売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00210 Japan GAAP

売上高

3,208.0億 円

前期

3,103.3億 円

前期比

103.4%

時価総額

3,722.6億 円

株価

2,493 (03/28)

発行済株式数

149,321,421

EPS(実績)

92.51 円

PER(実績)

26.95 倍

平均給与

748.9万 円

前期

805.1万 円

前期比

93.0%

平均年齢(勤続年数)

44.4歳(16.9年)

従業員数

5,176人(連結:7,825人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社の企業集団は、2023年3月末現在、当社および連結子会社17社、持分法適用関連会社3社で構成しております。

 当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)は、お客様の視点で新たなコミュニケーションを創出するシステムインテグレーターとして、主にコミュニケーション分野を中心としたICT(注)システムにつき、企画・コンサルティングから、設計、構築、運用・監視、アウトソーシングやクラウドに至るサービスを提供するとともに、ネットワーク/コミュニケーション機器等の製造・販売を展開しております。

 

※画像省略しています。

 

(注) ICT:

Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。

23/06/23

4【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態および経営成績の状況

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日、以下、当期)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、為替の急激な変動やウクライナ情勢の長期化に伴う資源・エネルギー価格の上昇などにより、先行きの不透明な状況が続いております。

 このような経済環境下、当社の事業領域においては、円安による調達価格上昇や半導体や各種部材不足による影響などにより、お客様の投資意欲も分野ごとに濃淡がありましたが、全般的には堅調に推移いたしました。

 企業においては、新型コロナウイルス感染症対策としてのテレワーク導入を契機とした働き方改革関連へのニーズが引き続き堅調であり、クラウドやAI、IoT、RPAといったDX(※1)などの最先端技術を活用してオフィス、在宅といった場所にとらわれない新しい働き方(ニューノーマルな働き方)への投資内容のシフトが進んでおります。通信事業者においては、設備投資抑制の動きがコアネットワーク領域にも波及してきた一方で、DX活用などによるコスト削減、オペレーション効率化分野へのニーズが高まっております。官庁・自治体、公益関連においては、官庁・自治体における働き方改革への動きが顕在化してくるとともに、デジタル田園都市国家構想など街づくりにおけるデジタルインフラの整備に向けた動きも見られはじめました。

 こうした市場環境のもと、当社グループでは、2022年5月に中期経営計画「Shift up 2024」を発表し、Sustainable Symphonic Societyの実現に向け、社会への提供価値を高めるべく、DX×次世代ネットワーク時代において、自社実践によるノウハウやお客様の現場を熟知している強みを活かしたお客様目線のコンサルテーションを軸に、顧客伴走によるスパイラル型成長を行う新しい事業モデルへのシフトに注力しております。

 DX領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業を、さらにお客様の経営力、事業力強化につながるサービスへと進化させるべく、DX技術の積極的な活用によるイノベーションを生む働き方/プロセス改革に取り組み、そこから得られた技術・ノウハウなどを強みとして提案活動を実施し、サービス開発を強化してきました。また、企業向けのみならず自治体DX推進のニーズが高まる官庁・自治体向けに、パートナー企業とともに自治体の閉域ネットワークに対応したサービスを順次リリースし、お客様がソリューションを実際に目で見て体験出来る課題解決型ショーケースをオープンするなど、対応を強化いたしました。加えて、通信事業者向けには、お客様の業務プロセスに対する知見を活かし、DX技術による業務自動化サービスなど、運用効率化につながるDXサービスの提供へと領域の拡大を進めてきました。

 5Gを含む次世代ネットワーク領域につきましては、ローカル5Gを活用した基地局インフラシェアリング分野への対応強化を行うとともに、海外企業や東京大学発のベンチャー企業などへの出資を含めた5G技術、製品に関する新たなパートナーシップを築き、サービス提供力の強化を進めました。また、技術拠点である新川崎テクニカルベースにおいて、ローカル5G(Sub6帯)の商用局免許を取得し、ローカル5G環境を活用した技術者の育成を強化するなど、5Gの事業体制をより一層強化いたしました。

 社会課題としての重要性がさらに拡大している気候変動に関しては、全ての事業を気候変動対応の視点で見直し、これまで培ってきた様々な環境関連のサービス、ノウハウと合わせて気候変動対応ビジネスの強化を図ることを宣言するとともに、蓄電池開発のスタートアップとの資本業務提携などに取り組んできました。また、2022年6月には、2021年12月に賛同を表明したTCFD(※2)のフレームワークに基づく情報開示を開始いたしました。なお、これらの取り組みを推進していくための全社横断組織として、2022年4月に「カーボンニュートラル推進本部」を設置いたしました。

 このような、自社実践と共創実践、気候変動対応の取り組みをより加速すべく、ローカル5Gなどの高度なネットワーク活用や最先端のDXソリューション実証の場として、2023年3月から新本社ビルに移転し、新たな取り組みの準備を進めております。

 このようにサステナブルな成長に向けた取り組みを進める一方で、当期においては、半導体・部材不足による受注から売上までのリードタイム長期化や、これに伴うキャッシュ・フローの減少、急激な円安の進行に伴う海外から調達している製品やサービスにおけるコスト上昇などの影響が生じました。

 

  これらの結果、当期における連結業績は、

売上高               3,208億 2百万円(前期比  3.4%増加)

営業利益               227億51百万円(前期比  1.9%減少)

経常利益               229億70百万円(前期比  2.5%減少)

親会社株主に帰属する当期純利益    138億13百万円(前期比  8.0%減少)

      <参考>

受注高               3,560億43百万円(前期比  5.7%増加)

となりました。

 

 売上高は、設備投資抑制の影響により通信事業者向けが減少したものの、DX技術を活用した働き方改革に関連したICT(※3)サービスなどが増加し、また、半導体・部材不足など、受注から売上までのリードタイム長期化による影響もありましたが、年度末には徐々に解消への動きが見られはじめたことで、前期比3.4%増加の3,208億2百万円となりました。なお、受注高は、通信事業者向けが伸び悩みましたが、注力領域であるDX/次世代ネットワーク分野を中心に全セグメントで堅調に拡大し、前期比5.7%増加の3,560億43百万円となりました。

 利益面では、ミャンマーにおけるプロジェクトで計上していた受注損失引当金の一部戻入や、中期経営計画に基づいた提供サービスの高付加価値化や効率化などの取り組みの進展があった一方で、付加価値が低い機器中心の案件の一時的な増加などによる売上ミックスの悪化、急激な円安の進行により調達コストが高騰した影響、タイの通信インフラプロジェクトにおける損失の計上、さらには今後の成長に向けた新事業創出に関わるリソースの強化に伴う販売費及び一般管理費の増加などにより、営業利益は前期比1.9%減少の227億51百万円、経常利益は2.5%減少の229億70百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は8.0%減少の138億13百万円となりました。

 

セグメント情報につきましては次のとおりであります。

 

 DXソリューション事業

 PBX関連などの既存サービスの領域が想定より減少しましたが、注力領域であるDX技術を活用した働き方改革などのサービス事業に加え、第4四半期から半導体や部材不足による影響も一部解消したことによりSI/工事も拡大し、売上高は前期比5.8%増加の1,142億44百万円となりました。

 

 ネットワークソリューション事業

 海洋事業は増加も通信事業者向けが設備投資抑制の影響などから減少し、売上高は前期比3.2%減少の792億17百万円となりました。

 

 社会・環境ソリューション事業

 ICT機器のキッティング案件や海外通信インフラ構築案件などが増加、第4四半期から半導体や部材不足による影響の一部解消もあり、SI/工事領域が増加し、売上高は前期比3.7%増加の1,192億41百万円となりました。

 

<セグメントの概要>

セグメント

主な事業内容

DXソリューション事業

主に企業などの業務系ICTプラットフォームに関するシステムインテグレー

ションおよびこれらに関するアウトソーシング/クラウドサービスや、

最先端/デジタル技術を活用し、お客様のビジネス変革に資するソリュー

ション、サービスの提供、ならびにコンタクトセンターサービスの提供

ネットワークソリューション事業

主に通信事業者や、宇宙・海洋・放送などの専門技術が必要な社会基盤事業者向けの、信頼性が要求される公共性の高いネットワークインフラに関するシステムインテグレーション、サービスの提供、ならびにネットワーク機器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供

社会・環境ソリューション
事業

主に社会・公共事業者向けの施工事業、および当社が提供する各種ICTシステム、サービスに関する保守、運用などの全社サービス基盤の運用とそれらを活用したテクニカルサービスなどのサポートサービスの提供、ならびに海外現地法人によるネットワークインフラの施工事業

その他

主に情報通信機器等の仕入販売

 

 当社の組織再編を2022年4月1日付で実施したことに伴い、「デジタルソリューション事業」「ネットワークインフラ事業」および「エンジニアリング&サポートサービス事業」としていた報告セグメントを、2023年3月期から「DXソリューション事業」「ネットワークソリューション事業」および「社会・環境ソリューション事業」に変更することといたしました。

 なお、前連結会計年度に係る報告セグメントに関する情報につきましても、当該事象による変更を反映したものに組替えて開示しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当期の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ111億82百万円減少し、685億49百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、28億16百万円となりました。これは主に、売上債権の増加、棚卸資産の増加、仕入債務の増加、法人税等の支払などによるものであります。前期と比べて大型案件が減少したことによる反動により、198億58百万円の資金の減少となっております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、49億34百万円となりました。これは主に、固定資産の取得などによるもので、前期と比べると22億28百万円の資金の増加となっております。

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、21億17百万円の資金の減少となりました。前期と比べると176億29百万円の資金の減少となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、92億43百万円となりました。これは主に、配当金の支払などによるもので、前期と比べると49億75百万円の資金の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前期末の1株当たり配当金を24円、中間の1株当たり配当金を23円にしたことにより、前期と比べると10億41百万円増加し、69億90百万円の支払となっております。

 

③生産、受注および販売の実績

a.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

DXソリューション事業

122,651

2.7

ネットワークソリューション事業

92,107

9.2

社会・環境ソリューション事業

132,653

3.1

その他

8,630

101.5

合計

356,043

5.7

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

DXソリューション事業

114,244

5.8

ネットワークソリューション事業

79,217

△3.2

社会・環境ソリューション事業

119,241

3.7

その他

8,099

48.5

合計

320,802

3.4

(注)主な相手先の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

日本電気㈱

67,925

21.9

70,597

22.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

a. 概要

 当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、為替の急激な変動やウクライナ情勢の長期化に伴う資源・エネルギー価格の上昇などにより、先行きの不透明な状況が続いております。

 このような経済環境下、当社の事業領域においては、円安による調達価格上昇や半導体や各種部材不足による影響などにより、お客様の投資意欲も分野ごとに濃淡がありましたが、全般的には堅調に推移いたしました。

 企業においては、新型コロナウイルス感染症対策としてのテレワーク導入を契機とした働き方改革関連へのニーズが引き続き堅調であり、クラウドやAI、IoT、RPAといったDX(※1)などの最先端技術を活用してオフィス、在宅といった場所にとらわれない新しい働き方(ニューノーマルな働き方)への投資内容のシフトが進んでおります。通信事業者においては、設備投資抑制の動きがコアネットワーク領域にも波及してきた一方で、DX活用などによるコスト削減、オペレーション効率化分野へのニーズが高まっております。官庁・自治体、公益関連においては、官庁・自治体における働き方改革への動きが顕在化してくるとともに、デジタル田園都市国家構想など街づくりにおけるデジタルインフラの整備に向けた動きも見られはじめました。

 こうした市場環境のもと、当社グループでは、2022年5月に中期経営計画「Shift up 2024」を発表し、Sustainable Symphonic Societyの実現に向け、社会への提供価値を高めるべく、DX×次世代ネットワーク時代において、自社実践によるノウハウやお客様の現場を熟知している強みを活かしたお客様目線のコンサルテーションを軸に、顧客伴走によるスパイラル型成長を行う新しい事業モデルへのシフトに注力しております。

 DX領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業を、さらにお客様の経営力、事業力強化につながるサービスへと進化させるべく、DX技術の積極的な活用によるイノベーションを生む働き方/プロセス改革に取り組み、そこから得られた技術・ノウハウなどを強みとして提案活動を実施し、サービス開発を強化してきました。また、企業向けのみならず自治体DX推進のニーズが高まる官庁・自治体向けに、パートナー企業とともに自治体の閉域ネットワークに対応したサービスを順次リリースし、お客様がソリューションを実際に目で見て体験出来る課題解決型ショーケースをオープンするなど、対応を強化いたしました。加えて、通信事業者向けには、お客様の業務プロセスに対する知見を活かし、DX技術による業務自動化サービスなど、運用効率化につながるDXサービスの提供へと領域の拡大を進めてきました。

 5Gを含む次世代ネットワーク領域につきましては、ローカル5Gを活用した基地局インフラシェアリング分野への対応強化を行うとともに、海外企業や東京大学発のベンチャー企業などへの出資を含めた5G技術、製品に関する新たなパートナーシップを築き、サービス提供力の強化を進めました。また、技術拠点である新川崎テクニカルベースにおいて、ローカル5G(Sub6帯)の商用局免許を取得し、ローカル5G環境を活用した技術者の育成を強化するなど、5Gの事業体制をより一層強化いたしました。

 社会課題としての重要性がさらに拡大している気候変動に関しては、全ての事業を気候変動対応の視点で見直し、これまで培ってきた様々な環境関連のサービス、ノウハウと合わせて気候変動対応ビジネスの強化を図ることを宣言するとともに、蓄電池開発のスタートアップとの資本業務提携などに取り組んできました。また、2022年6月には、2021年12月に賛同を表明したTCFDのフレームワークに基づく情報開示を開始いたしました。なお、これらの取り組みを推進していくための全社横断組織として、2022年4月に「カーボンニュートラル推進本部」を設置いたしました。

 このような、自社実践と共創実践、気候変動対応の取り組みをより加速すべく、ローカル5Gなどの高度なネットワーク活用や最先端のDXソリューション実証の場として、2023年3月から新本社ビルに移転し、新たな取り組みの準備を進めております。

 このようにサステナブルな成長に向けた取り組みを進める一方で、当期においては、半導体・部材不足による受注から売上までのリードタイム長期化や、これに伴うキャッシュ・フローの減少、急激な円安の進行に伴う海外から調達している製品やサービスにおけるコスト上昇などの影響が生じました。

 

b. 売上高

 売上高は、前述の取り組みの結果、3,208億2百万円(前期比3.4%の増加)となりました。

 DXソリューション事業の売上高は、PBX関連などの既存サービスの領域が想定より減少しましたが、注力領域であるDX技術を活用した働き方改革などのサービス事業に加え、第4四半期から半導体や部材不足による影響も一部解消したことによりSI/工事も拡大し、1,142億44百万円(前期比5.8%増加)となりました。

 ネットワークソリューション事業の売上高は、海洋事業は増加も通信事業者向けが設備投資抑制の影響などから減少し、792億17百万円(前期比3.2%減少)となりました。

 社会・環境ソリューション事業の売上高は、ICT機器のキッティング案件や海外通信インフラ構築案件などが増加、第4四半期から半導体や部材不足による影響の一部解消もあり、SI/工事領域が増加し、1,192億41百万円(前期比3.7%増加)となりました。

 

c. 売上総利益

 売上総利益は、665億45百万円(前期比4.8%増加)となり、売上総利益率は20.7%となりました。

 

d. 販売費及び一般管理費、営業利益

 販売費及び一般管理費は、前期比35億1百万円増加の437億94百万円となりました。

 この結果、営業利益は227億51百万円(前期比1.9%減少)となりました。

 

e. 営業外損益、経常利益

 営業外損益は、前期比1億50百万円悪化の2億19百万円の益(純額)となりました。

 この結果、経常利益は229億70百万円(前期比2.5%減少)となりました。

 

f. 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、付加価値が低い機器中心の案件の一時的な増加などによる売上ミックスの悪化、急激な円安の進行により調達コストが高騰した影響、タイの通信インフラプロジェクトにおける損失の計上、さらには今後の成長に向けた新事業創出に関わるリソースの強化に伴う販売費及び一般管理費の増加などにより、前期比8.0%減少し、金額にして12億7百万円減少の138億13百万円となりました。

 

g. 資産

 当期末の総資産は、前期末に比べ122億98百万円増加し、2,670億円となりました。流動資産は、前期末に比べ65億74百万円増加し、2,207億35百万円となりました。これは主に、受取手形、電子記録債権、売掛金および契約資産が119億35百万円、棚卸資産が53億6百万円増加した一方、現金及び預金が111億82百万円減少したことなどによるものであります。固定資産は、前期末に比べ57億24百万円増加し、462億64百万円となりました。

 

h. 負債

 当期末の負債は、前期末に比べ47億33百万円増加し、1,212億85百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が40億84百万円、未払法人税等が4億74百万円増加したことなどによるものであります。

 

i. 純資産

 当期末の純資産は、前期末に比べ75億64百万円増加し、1,457億14百万円となりました。これは主に、利益剰余金が68億12百万円増加したことなどによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

 当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ111億82百万円減少し、685億49百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、28億16百万円となりました。これは主に、売上債権の増加、棚卸資産の増加、仕入債務の増加、法人税等の支払などによるものであります。前期と比べて大型案件が減少したことによる反動により、198億58百万円の資金の減少となっております。

 なお、当社グループでは資本効率性の指標であるROEを高め、資本コストを上回るリターンを継続的に実現し、最大化するためには、運転資本の効率化を追求する必要があると考えており、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの圧縮に努めております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当社はローカル5Gを活用した基地局インフラシェアリング分野への対応強化を行うとともに、東京大学発のベンチャー企業などへの出資を含めた5G技術、製品に関する新たなパートナーシップを築き、サービス提供力の強化を進めました。また、気候変動に関してはこれまで培ってきた様々な環境関連のサービス、ノウハウと合わせて気候変動対応ビジネスの強化を図ることを宣言するとともに、蓄電池開発のスタートアップとの資本業務提携などを行いました。こうした取り組みにより、投資活動の結果使用した資金は、49億34百万円となりました。前期と比べると22億28百万円の資金の増加となっております。

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、21億17百万円の資金の減少となりました。前期と比べると176億29百万円の資金の減少となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、92億43百万円となりました。これは主に、配当金の支払などによるもので、前期と比べると49億75百万円の資金の減少となっております。

 利益配当金につきましては、前期末の1株当たり配当金を24円、中間の1株当たり配当金を23円にしたことにより、前期と比べると10億41百万円増加し、69億90百万円の支払となっております。

 

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの事業展開のための材料および機器の購入のほか、外注費、販売費及び一般管理費等の経費によるものであります。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費および当社グループの事業所の不動産賃借料等であります。当社グループは国や自治体、通信事業者等の公共的なインフラ構築をはじめとした信頼性の高いサービスを継続的に提供する責務があり、健全な財務基盤が要求されます。このため突発的な資金需要等に備え、売上高の2カ月程度は現預金として確保しておきたいと考えております。この資金の財源は主として営業活動によるキャッシュ・フローによる自己資金により、現在必要とされる資金水準を満たす流動性を保持していると考えております。また、事業を行うための設備計画等に照らして、必要な資金を調達(主に銀行等金融機関からの借入)しており、今後、事業成長や大きな投資等でさらなる資金需要が出てきた際は、株主価値に配慮し、売上高の2カ月分を超過した現預金に加え、健全性を損なわない範囲での負債の活用を優先してまいります。

 なお、当社は短期的な資金調達方法として、国内金融機関2社と合計80億円のコミットメントライン契約を締結しております。

 

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値ならびに報告期間における収益・費用の数値に影響を与える見積りを行っております。当社は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

a. 一定期間にわたり履行義務が充足される施工工事等の収益認識

 当社グループは、施工工事等において、一定の期間にわたり充足される履行義務のうち、合理的な進捗度の見積りが出来るものにつきましては、期間がごく短い場合を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積もり、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。なお、履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、見積工事原価総額に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しております。将来工事原価総額の見積りの前提条件の変更等(設計変更や天災等)により当初見積りの変更が発生する可能性があります。

 

b. 受注損失引当金

 当社グループは、顧客より受注済みの案件のうち、当該受注契約の履行に伴い、翌連結会計年度以降に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積ることが可能なものにつきましては、将来の損失に備えるため翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金として計上しております。また、将来工事原価総額の見積りの前提条件の変更等(設計変更や天災等)により追加引当が発生する可能性があります。

 

c. 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産につきまして、将来の課税所得および、実現可能性の高い継続的な税務計画を検討いたしますが、繰延税金資産の全部または一部を将来実現で出来ないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の取り崩し額を費用として計上いたします。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現出来ると判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の追加計上額を利益として計上いたします。

 

d. 退職給付に係る負債

 退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率および年金資産の収益率などが含まれております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。未認識数理計算上の差異の償却は、退職給付費用の一部を構成しておりますが、前提条件の変化による影響や前提条件と実際との結果の違いの影響を規則的に費用認識したものであります。

 

※1 DX:

Digital transformationの略。AI・IoT・RPA(Robotic Process Automation)等の最先端技術を用いて、企業・産業の事業活動や都市運営などを大きく変革すること。

※2 TCFD:

気候関連財務情報開示タスクフォース。

※3 ICT:

Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。