売上高

利益

資産

キャッシュフロー

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ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E22621 Japan GAAP

売上高

1.06億 円

前期

7,636.0万 円

前期比

139.4%

時価総額

5,065.5万 円

株価

2 (08/22)

発行済株式数

25,327,356

EPS(実績)

-37.46 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

535.4万 円

前期

571.5万 円

前期比

93.7%

平均年齢(勤続年数)

41.0歳(3.5年)

従業員数

20人(連結:30人)


 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社2社により構成されております。

当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

当社グループの事業は、以下のとおりであります。

〔細胞医療事業〕

テラ株式会社により、医療機関に対する樹状細胞ワクチン療法等、細胞医療に関する技術・運用ノウハウの提供及び樹状細胞ワクチン療法等、再生・細胞医療に関する研究開発を行っております。

1.医療機関に提供するサービスの概要

樹状細胞ワクチン療法を中心とするがん免疫療法を行うには、高度な技術・ノウハウ、専門技術者の確保・育成、専用施設・機器等が必要であり、医療機関が独力でこれらすべてを準備し、導入することは困難です。 当社は、大学等の研究機関との共同研究の成果を活かして、医療機関が樹状細胞ワクチン療法を中心とするがん免疫療法を患者に提供するために、以下のサービスを包括的に提供し、対価を受け取っております。

(1)細胞培養体制整備支援サービス

① 細胞培養施設の設置に関する支援

樹状細胞の培養を行うためには、医薬品の製造施設と同等レベルの空気清浄度を維持する専用の細胞培養施設(CPC:Cell Processing Center)が必要となります。当該施設の設計、運用には独自のノウハウが必要となりますが、当社はこのノウハウをもとに、高品質の樹状細胞を安定的に培養するための施設の設置支援を行っております。

② 培養方法に関する教育指導

医療機関が樹状細胞ワクチン療法を中心とするがん免疫療法を患者に提供するにあたり、培養される樹状細胞の品質が重要となります。当社では、医療機関の培養技術者が安定的に質の高い樹状細胞を培養できるよう、培養方法の教育指導をしております。

③ 標準作業手順書の貸与

当社では、樹状細胞をはじめとする高品質の免疫細胞を安定的に培養するため、培養ノウハウを標準作業手順書(SOP:Standard Operating Procedures)に取りまとめ、医療機関に貸与しております。当該手順書は、培養技術・ノウハウの改良が行われる毎に内容を更新しております。

④ 培養管理システム導入の支援

樹状細胞の培養工程は多岐に亘る、複雑なものとなっております。当社では、当該培養工程を正確かつ効率的に管理し、高品質な樹状細胞を培養するためのGMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造及び品質管理に関する基準)に準拠した培養管理システムを導入する支援を行っております。

⑤ 細胞品質管理支援サービス

臨床効果を高めるには、樹状細胞ワクチン療法において用いる、樹状細胞の品質管理が重要です。この点、当社は契約医療機関で培養された樹状細胞ワクチン療法に用いられる細胞について、その品質の解析を行い、契約医療機関に報告をしております。このように、培養された細胞の品質報告と細胞測定装置による解析を行う体制を整えることで、契約医療機関において安定的に高品質な樹状細胞が培養されるよう支援しております。

 

(2)特定細胞加工物製造受託サービス

免疫細胞加工受託サービス

当社は、10年以上にわたり医療機関で免疫細胞が製造できるよう整備してきた経験に基づき、がん治療に用いる樹状細胞、T細胞、NK細胞等の免疫細胞の加工を受託しています。免疫細胞の中でも、当社は、樹状細胞ワクチン療法と腫瘍浸潤リンパ球輸注療法に特に技術ノウハウを有しております。

 

(3)運営体制整備支援サービス

① 治療実施体制整備の支援

治療を行うに際しては、医療相談から細胞培養、投与に至る治療の一連の流れに対して、医師、看護師、培養技術者等、多くの専門家が関わるため、治療実施体制が複雑なものになります。当社では、独自のノウハウを提供することで、医療機関が治療実施体制の整備をスムーズに行えるように支援を行っております。

② 業務に関わる文書の貸与

樹状細胞ワクチン療法を中心とした、がん免疫療法に関する説明文書等、業務に関わる文書の貸与を行っております。

③ 臨床効果評価方法の体制整備に関する支援

臨床効果評価は、治療の継続的な改善及びレピュテーションの向上に必要であることから、全ての契約医療機関で統一した評価体制をとれるよう支援しております。

 

(4)がん組織の保管に関する技術・ノウハウの提供

樹状細胞ワクチン療法に必要な抗原の一つである、自己がん組織の利用可能性を高め、同療法を実施できる患者を増やすために、契約医療機関に対して、患者の自己がん組織を超低温下において保存するサービスの技術・ノウハウを提供しております。

 

(5)協力医療機関の紹介

治療を行う際に、それを構成する全ての治療を契約医療機関のみで行うことができない場合もあることから、治療に協力していただける医療機関を当社が開拓し、契約医療機関に紹介しております。

 

(6)集患支援サービス

樹状細胞ワクチン療法を中心とするがん免疫療法は日本国内で薬事承認を取得しておりません。そのため、がん免疫療法の認知は広がっておらず、普及を進め、より多くの患者に提供していくためには、その内容等を認知・理解していただく必要があります。

そのため、当社では、これまで蓄積してきた情報発信ノウハウを契約医療機関に提供することで、当該医療機関の集患を支援しております。

 

2.契約医療機関について

(1)契約医療機関の種類

当社がサービスを提供する契約医療機関は、契約形態によって、①基盤提携医療機関、②提携医療機関、③連携医療機関の3種類に分類されます。

① 基盤提携医療機関

当社が、医療機関に対して樹状細胞ワクチン療法を中心としたがん免疫療法を行うための設備の貸与、技術・ノウハウの提供、マーケティング、医療機関向け及び患者向け情報提供、権利使用許諾を行い、その対価として、施設使用料、技術・ノウハウ料、権利使用料を治療数に応じて受け取っております。新規に設立する医療機関の場合は、設立支援も行っております。

② 提携医療機関

当社が、医療機関に対して樹状細胞ワクチン療法を中心とした、がん免疫療法を行うための技術・ノウハウの提供、マーケティング、医療機関向け及び患者向け情報提供、権利使用許諾を行い、その対価として、技術・ノウハウ料、権利使用料を治療数に応じて受け取っております。当社が設備の貸与を行わないことから、当社への施設使用料が発生しない点が、基盤提携医療機関と異なります。

③ 連携医療機関

基盤提携医療機関又は提携医療機関と連携して治療を行う医療機関であります。当社が、医療機関に対して樹状細胞ワクチン療法を中心としたがん免疫療法を行うための技術・ノウハウの提供、医療機関向け及び患者向け情報提供等を行い、その対価を受け取っております。細胞培養施設を保有していない点が、基盤提携・提携医療機関と異なります。

 

(2)当社契約医療機関の概要

有価証券報告書提出日時点における、主な契約医療機関は以下のとおりです。

名称

所在地

契約形態

社会医療法人 北楡会 札幌北楡病院

北海道札幌市白石区

基盤提携

医療法人社団 ミッドタウンクリニック

東京都港区

提携

 

 

3. 当社技術内容に関する補足説明

1. 樹状細胞ワクチン療法の概要 

(1)樹状細胞ワクチン療法の位置づけ

現在、一般的に行われているがん治療は、外科治療(手術)、化学療法(分子標的薬を含む抗がん剤治療)、放射線治療の3つで、これらは総称して三大がん治療といわれています。この三大がん治療に加えて、近年“第4のがん治療”として注目されているのが免疫療法です。

三大がん治療は、外部からの力(手術・抗がん剤・放射線)を借りてがんを治療するのに対し、免疫療法は本来体が持っている免疫力(免疫細胞)を活かしてがんと闘います。免疫療法は、自分自身の持つ免疫力を使った治療です。従来の三大がん治療と組み合わせることもできます。

当社が技術・ノウハウを提供する樹状細胞ワクチン療法は、このがん免疫療法の一つです。樹状細胞ワクチン療法は、がんを狙い撃ちしがんに対して体が本来もつ免疫力を引き出すことができる技術です。

 

(2)樹状細胞の働き

樹状細胞とは、枝のような突起(樹状突起)を持つことにその名が由来する免疫細胞です。この樹状細胞は、体内で異物を捕食することによりその異物の特徴(抗原)を認識し、リンパ球(異物を攻撃する役割を持つT細胞等)にその特徴を覚え込ませます。これにより、そのリンパ球が異物を特異的に攻撃することが可能になります。

 

※画像省略しています。

(3)樹状細胞のがん治療への応用

樹状細胞ワクチン療法は、樹状細胞の働きをがん治療に活かしたものです。体外でがんの目印を覚えさせた樹状細胞が、体内でT細胞に指令を出してがん細胞を攻撃します。当社独自の技術で、T細胞を活性化する力を強化することが可能となります。

 

(4)当社の提供する樹状細胞ワクチン療法について

① 根拠となる技術・ノウハウ

当社の樹状細胞ワクチン療法に関する技術は、東京大学医科学研究所で開発された技術・ノウハウが基礎となっています※1。当社はこれを基に、高品質な細胞を安定的に供給するための技術 ・ノウハウを標準化して 各医療機関に提供しています。さらに、医療機関や大学病院などの医師らと共に、常により良い培養方法を検討して改良を積み重ねています。

当社契約医療機関では、これらの技術・ノウハウをもとに着実に症例数を積み重ねており、その数は約12,278症例となっております(2021年12月末時点)。

 

※1:学術論文(一例)

・Nagayama H. et al. Melanoma Res. 2003 Oct;13(5):521-30.(東京大学医科学研究所、悪性黒色腫に対する研究)

・Kuwabara K. et al. Thyroid. 2007 Jan;17(1):53-8.(東京大学医科学研究所、甲状腺がんに対する研究)

 

② 品質
(a)樹状細胞の成熟度

樹状細胞は、単球から培養することで樹状細胞に成熟させますが、一律に成熟化するわけではありません。樹状細胞の成熟度や純度のマーカーとしては、細胞表面に発現している様々な分子が用いられています。近年の報告では、細胞表面分子であるCD86(リンパ球の一つであるT細胞を刺激する分子)やHLA-DR(樹状細胞ががんの目印をリンパ球に教える際に重要な分子)が発現している割合が70%以上であれば樹状細胞ワクチンとして適しているとされています※2。当社では、東京大学医科学研究所の培養技術を元に改良を重ね、この基準を満たす培養技術を確立しています。

 

       ※2:学術論文(一例)

       ・Butterfield LH, et al.: Clin Cancer Res 2011; 17: 3064-76.

 

   (b) 品質管理された作業工程

樹状細胞ワクチンは、医療機関の細胞加工施設(Cell Processing Center:CPC)と呼ばれる、清浄度等の品質が管理された施設で作製されます。CPCでの作業は標準業務手順書(Standard Operating Procedure:SOP)に従って、訓練を積んだ培養担当者により厳格に行われ、品質が管理されています。また、2014年11月25日より施行となった「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」等、新たな規制に対応するための取り組みも推進しております。

 

③ 臨床成績

当社の樹状細胞ワクチン療法は、契約医療機関や共同研究先の医師らによって、臨床成績に関する論文が発表されています。

  樹状細胞ワクチン療法の臨床成績に関する論文一覧(抜粋)

雑誌名

掲載号

掲載年月

対象疾患

内容

Trials

Vol 20, no 1,

pp 242

2019年4月

進行膵臓がん

TLP0-001の安全性・有効性を検討する二重盲検ランダム化比較試験

pp 1099-1111

vo l43, no 10,

2016年10月

進行がん(膵臓がん、大腸がん、肺がん、胃がん、他)

WT1クラスI+クラスIIペプチドパルス樹状細胞ワクチン療法の有用性の検討

pp 1252-1255

Cancer Immunology, Immunotherapy

vo l65, no 9,

2016年7月

切除不能な進行・転移非小細胞肺がん

化学療法と併用した樹状細胞ワクチン療法の安全性及び生存期間延長関連因子の検討

pp 1099-1111

World Journal of Gastroenterology

vo l21, no 39,

2015年10月

進行膵臓がん

樹状細胞ワクチン療法と抗がん剤の併用における予後予測因子の検討

pp 11168-11178

Cancer Science

vol 106, no 4,

2015年3月

進行膵臓がん

WT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の完遂性と免疫反応の評価

pp 397-406

Anticancer Research

vol 35, no 1,

2015年1月

進行膵臓がん

樹状細胞ワクチン療法と抗がん剤の併用における予後予測因子の検討

pp 555-562

World Journal of Surgical Oncology

vol 12,

2014年12月

局所再発胃がん

局所樹状細胞ワクチン療法の治療効果(症例報告)

pp 390-395

Clinical Cancer Research

vol 20, no 16,

2014年7月

進行膵臓がん

WT1クラスI及びクラスIIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の安全性及び有効性の評価

pp 1-12

Journal of Ovarian Research

vol 7,

2014年5月

再発卵巣がん

樹状細胞ワクチン療法の臨床効果とフィージビリティスタディ

pp 48-56

Cancer Immunology, Immunotherapy

vol 63, no 8,

2014年4月

切除不能な膵臓がん

化学療法に樹状細胞ワクチン療法を併用した場合の上乗せ延命効果

pp 797-806

Journal of Gastrointestinal Surgery

vol 17, no 9,

2013年7月

切除不能な進行・再発胆道がん

樹状細胞ワクチン療法の有用性と予後因子の検討

pp 1609-1617

 

 

 

〔医療支援事業〕

遺伝子検査サービスに関しては、当社では遺伝子検査サービスの実施を開始すべく準備を進めてまいりましたが、治療に結び付けた有効なサービスが開発できず、サービスの開始には至っておりません。

 

〔医薬品事業〕

当社連結子会社であるテラファーマ株式会社により、細胞医療事業における樹状細胞ワクチン療法に関する技術を基盤とした再生医療等製品の開発を行っております。

テラファーマ株式会社は、公立大学法人和歌山県立医科大学が実施する膵臓がんに対する樹状細胞ワクチン(TLP0-001)の医師主導治験への治験製品の提供を行っております。2018年12月26日付「膵臓がんに対する樹状細胞ワクチン(TLP0-001)の医師主導治験多施設共同研究に展開し有効性検証へ(経過情報)」にて公表したとおり、この度、中間解析にてTLP0-001の安全性が確認され、本治験は単一医療機関で安全性を確認する段階から複数の医療機関で有効性を検証する段階に移行することになりました。

 

22/03/31

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にありますが、個人消費に持ち直しの動きがみられます。先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続していく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待されますが、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要があります。

このような状況のもと、当社グループは下記のとおり企業価値の向上に向けた取り組みを実行しました。

(1)細胞医療事業の増収戦略:国内外の営業活動の強化により、収益アップ

当社は創業以来、当社独自の樹状細胞ワクチン療法を中心としたがん治療技術・ノウハウの提供を契約医療機関に行い、当社の収益の柱となっていました。しかしながら、2018年12月12日付開示でお知らせしましたように、当時当社の主要取引先である医療法人との取引を停止し、その後日本国における契約医療機関が減少しました。2019年より営業活動を再開しましたが、がん診療連携拠点病院での自由診療が実質的に規制されたこと、2020年より新型コロナウイルス感染症が世界的パンデミックとなり、2022年になっても収まっていないことなどの理由により、日本国内における契約医療機関の増加には至っておりません。引き続き、営業活動の強化を行って参ります。一方、当社は、2019年3月5日付開示でお知らせしましたように、当社の細胞製造所において近畿厚生局から特定細胞加工物製造許可証を受領し、新たな収益の柱となる製造開発受託事業を開始しました。2021年1月5日には、慶應義塾大学医学部より腫瘍浸潤Tリンパ球製品製造に係る業務を受託し、樹状細胞以外の新たな細胞の製造に成功し、提供を開始しました。今後も、大学や企業からの細胞加工の受託件数を増加させるべく営業活動を行って参ります。

海外においては、2018年9月10日付開示で報告しましたように、台湾の上場企業であるVectorite Biomedical社(以下、「VB社」)とテラのがん免疫療法の台湾における技術移転等に関する業務提携契約を締結しました。2019年2月19日付開示で報告しましたように、VB社は台湾の医療機関に対して、当社の樹状細胞ワクチンのがん治療用免疫細胞の加工を開始し、以来当社には台湾での実績件数に応じたロイヤリティが支払われています。2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延がありましたが、VB社の細胞の提供先である医療機関数は順調に伸びており、2021年12月現在、10医療機関となりました。それぞれの医療機関は、現在台湾のTFDA(Taiwan Food and Drug Administrations)へ自由診療におけるがんに対する樹状細胞ワクチン療法を行うための申請を行っています。当社は引き続きVB社との連携を強め、樹状細胞ワクチンの普及を進めて参ります。

(2)開発品の拡大戦略:現行の開発品を薬事承認申請へ、新規開発品の展開により企業価値向上へ

2016年12月7日付開示でお知らせしましたように、当社子会社テラファーマ株式会社が和歌山県立医科大学と医師主導治験に関する契約を締結し、膵臓がんに対する樹状細胞ワクチン(以下「TLP0-001」)の再生医療等製品としての承認取得を目指して治験をサポートして参りました。2018年12月26日付開示でお知らせしましたように、中間解析にてTLP0-001の安全性が確認され、当該治験が、単一医療機関で安全性を確認する段階から複数の医療機関で有効性を検証する段階に移行いたしました。2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延の影響もあり、2020年2月13日付、2021年3月8日付、2021年12月28日付開示で報告しましたように、患者登録期間の延長を2022年9月までとしたため、TLP0-001の製造販売承認申請するまでの期間につきましても延長となる見込みではありますが、引き続き当医師主導治験をサポートして参ります。

当社の最初の樹状細胞ワクチンによるがん治療の治験における適応は膵臓がんですが、新たな開発品の拡大を行うべく、2019年10月2日付開示でお知らせしましたように、福島県立医科大学と進行再発胸腺がんに対するTLP0-001の有効性および安全性を評価する医師主導治験に関する契約を締結いたしました。当治験も2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延の影響を受けておりますが、引き続きサポートしていくとともに、TLP0-001のがん治療における適応拡大を検討して参ります。

(3)次世代技術の研究開発戦略:次世代技術の研究を促進し、より優れたがん治療の開発につなげる

当社は創業以来、樹状細胞ワクチンによるがん治療に特化してビジネスを展開してまいりましたが、次世代技術の研究として、当社はT細胞等リンパ球によるがん治療の研究開発を開始いたしました。2021年1月5日付開示でお知らせしましたように、当社は、慶應義塾大学医学部より樹状細胞以外の免疫細胞の1つである腫瘍浸潤Tリンパ球(以下、「TIL療法」)製品製造に係る業務を受託しました。TIL療法はメラノーマ悪性黒色腫で効果があることがわかっている免疫細胞療法ですが、本研究開発では、日本でより需要の高い子宮頸癌をターゲットとしています。慶應義塾大学医学部は進行・再発子宮頸癌に対する治療薬開発を目指し、臨床試験を計画し、2020年12月3日に、当該臨床試験は厚生労働省先進医療会議において当該臨床試験が先進医療として許可されました。当社は、引き続き当該研究開発をサポートし、新たなパイプラインとなるように次世代技術の研究開発を推進して参ります。

当連結会計年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により海外からのがん患者の日本国内における受診、いわゆるインバウンド需要の消失などがマイナス要因となったものの、2021年7月及び8月に大型案件として受注した新型コロナウイルス簡易抗体検査キットを中心に、特定細胞加工物の受託製造事業における受注及びロイヤリティ収入等は前年実績を上回り、売上高は106,408千円(前年同期比30,047千円増、39.3%増)となりました。

コスト面においては、2021年12月13日付適時開示「特別損失(投資有価証券評価損)及び商品評価損の計上に関するお知らせ」にてお知らせしましたが、当社の主要事業である細胞医療事業の当社独自の樹状細胞ワクチン療法における「がん抗原ペプチド」(棚卸資産)については、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により、海外からのがん患者の日本国内における受診、いわゆるインバウンドの予測及び台湾における自由診療の治療拡大の予測が困難であることなどから、今後の販売予測等の見直しを行った結果、2021年12月期第3四半期決算において、商品の評価損40,933千円を売上原価に計上いたしました。また、販売費及び一般管理費については、前年度発行した新株予約権にかかるコスト(株式報酬費用)について、当期は発行しなかったこと及び前年度CENEGENICS JAPAN株式会社と契約を締結し、現在は解約している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療新薬開発に関する研究開発費が当期は発生しなかったこと等、前期比で大きな減少要因があったことで販売費及び一般管理費は、695,473千円(前年同期比33.9%減)となりました。一方で、2021年12月13日付適時開示「特別損失(投資有価証券評価損)及び商品評価損の計上に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、当社が株式会社AI医療福祉介護機器研究開発機構から153,000千円で取得した株式会社CESデカルトの株式について、同社の将来の収益性等の検討を行った結果、投資有価証券評価損153,000千円を特別損失に計上しました。その結果、営業損失は794,062千円(前年同期は1,089,236千円の損失)、経常損失は792,232千円(前年同期は1,099,333千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は948,759千円(前年同期は1,067,085千円の損失)となりました。

当連結会計年度における報告セグメント別の業績は次のとおりであります。

a.細胞医療事業

細胞医療事業は、当社独自の樹状細胞ワクチン療法を中心としたがん治療技術・ノウハウの提供を契約医療機関に行うとともに、主にがんに対する免疫細胞治療に係る特定細胞加工物の製造開発を受託しております。2021年12月期末時点での細胞医療事業の提携医療機関における樹状細胞ワクチン療法の症例数は、14症例(前年度64症例)であり、当社設立以降の累計では、約12,278症例となりました。

当連結会計年度につきましては、学校法人慶應義塾からの細胞加工の受託製造やVectorite Biomedical Inc.からのロイヤリティの発生があったものの、症例数が前年同期と比べ減少し、開発費用が31,226千円発生しました。その結果、売上高は106,408千円(前年同期比39.3%増)、セグメント損失は795,574千円(前年同期は1,120,807千円の損失)となりました

b.医療支援事業

遺伝子検査サービスに関しては、当社では遺伝子検査サービスの実施を開始すべく準備を進めてまいりましたが、治療に結び付けた有効なサービスが開発できず、サービスの開始には至っておりません。

当連結会計年度につきましては、売上高は計上無し(前年同期は計上無し)、セグメント損失は222千円(前年同期は194千円の損失)となりました。

c.医薬品事業

医薬品事業は、膵臓がんに対する再生医療等製品としての樹状細胞ワクチンの承認取得を目指した活動を推進しております。

当連結会計年度につきましては、膵臓がんに対する再生医療等製品としての樹状細胞ワクチンの承認取得を目指した開発費用が237,865千円発生しました。その結果、売上高は計上無し(前年同期は計上無し)、セグメント損失は243,566千円(前年同期は272,414千円の損失)となりました。

(単位:千円)

 

2020年12月

2021年12月

増 減

総資産額

1,292,960

326,405

△966,554

総負債額

175,705

127,711

△47,994

純資産額

1,117,254

198,694

△918,560

 

当連結会計年度末における総資産額は、前連結会計年度末比966,554千円減少し、326,405千円となりました。これは主に、現金及び預金の減少721,093千円、未収入金の減少185,750千円によるものであります。

総負債額は、前連結会計年度末比47,994千円減少し、127,711千円となりました。これは主に、未払金の減少44,317千円によるものであります。

純資産額は、前連結会計年度末比918,560千円減少し、198,694千円であります。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等による利益剰余金の減少948,759千円によるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

                       (単位:千円)

 

2020年12月

2021年12月

営業活動によるキャッシュ・フロー

△1,168,803

△813,632

投資活動によるキャッシュ・フロー

103,475

95,269

財務活動によるキャッシュ・フロー

1,020,949

△2,730

現金及び現金同等物に係る換算差額

△279

現金及び現金同等物の増減額

△44,658

△721,093

現金及び現金同等物の期首残高

825,222

780,563

現金及び現金同等物の期末残高

780,563

59,469

 

当連結会計年度における現金及び現金同等物は59,469千円となり、前連結会計年度末と比較して721,093千円の減少となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは813,632千円の支出(前年同期は1,168,803千円の支出)となりました。その主な内訳は、税金等調整前当期純損失945,579千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは95,269千円の収入(前年同期は103,475千円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入33,150千円、投資有価証券の売却による収入62,586千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは2,730千円の支出(前年同期は1,020,949千円の収入)となりました。その内訳は、リース債務の返済による支出2,726千円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

b.受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 販売高(千円)

前期比(%)

細胞医療事業

106,408

39.3

医療支援事業

医薬品事業

合計

106,408

39.3

 

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社プランA

59,532

55.9

合同会社ブルーエクスプレス

11,510

10.8

Vectorite Biomedical Inc.

6,813

8.9

11,019

10.4

新横浜かとうクリニック

27,675

36.2

4,257

4.0

札幌北楡病院

12,558

16.5

3,535

3.3

 

  3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

当社グループは収益回復にむけて、営業活動の強化、治験製品の提供、コスト削減に努めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。なお、当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

運転資金及び設備投資資金など必要な資金需要に対応するため、資本市場からの資金調達などを主に必要資金を確保する方針であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。

なお、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、細胞医療事業及び医薬品事業において、樹状細胞ワクチンの薬事承認取得へ向けた開発活動、技術・ノウハウ向上のための研究開発活動、細胞医療事業において、細胞加工受託事業の製品製造費用及び固定費用が発生するものと見込んでおります。これらについて経営成績に重要な影響を与える要因であると認識しております。