株式会社イーブックイニシアティブジャパン

上場廃止 (2022/02/02) 株式の併合
ブランドなど:ebookjapan
情報・通信業インターネット東証1部

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利益

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セグメント別利益

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最終更新:

E25888 Japan GAAP

売上高

299.5億 円

前期

212.8億 円

前期比

140.7%

平均給与

700.0万 円

前期

585.3万 円

前期比

119.6%

平均年齢(勤続年数)

37.3歳(6.3年)

従業員数

148人


 

3 【事業の内容】

1. 事業概要

当社は、急速に普及しているスマートフォン・タブレット端末及びパソコン向けに、マンガを中心とした電子書籍の販売事業を行っております。創業者の鈴木雄介が出版社勤務時代に、返本の山が断裁・焼却されることに地球環境への影響を危惧し、「SAVE TREES!」を事業コンセプトに打ち立て、電子書籍による解決を目指して設立いたしました。直径20センチ、樹高8メートルに育った、樹齢20年の1本の木から、1冊300グラムの本が約200冊できるといわれます。当社は累計1億冊以上販売し、50万本以上の木を救ってまいりました。

設立当初の2000年にパソコン向けに電子書籍の販売事業を開始以来、順調に事業を拡大し、2008年からはスマートフォン及びタブレット端末向けに注力し、成長を加速してまいりました。

 

当社の事業は、(1)電子書籍事業、(2)クロスメディア事業に大別されます。

 

[事業別売上の推移]

 

 

 

(単位:百万円)

 

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

(1)電子書籍事業

6,741

7,432

10,424

16,236

23,017

(2)クロスメディア事業

5,241

4,449

4,361

5,045

6,933

 

(注) 2017年3月期は決算期変更に伴い、2016年2月1日から2017年3月31日の14ヶ月間となっております。

 

(1)電子書籍事業

 電子書籍事業は、エンドユーザーに向けて電子書籍を販売するサービスです。2018年10月より、ヤフー株式会社(以下、「ヤフー」)と当社が協力して運営する電子書籍販売サービス「ebookjapan」を経由して、国内外の一般エンドユーザーに対して電子書籍の販売を行っております。これまで当社が運営していた電子書籍販売サイト「eBookJapan」は2019年6月にて販売を終了し、「ebookjapan」への統合を完了しました。

本サービスにおいて、エンドユーザーは自身のパソコン、スマートフォン、タブレット端末等に電子書籍を購入し、冊数に応じた代金を支払います。これにより、エンドユーザーは既存の紙の書籍であれば数百冊にも及ぶ大量の書籍をわずか一台の端末に収納し、好きな場所で好きな時間に、永続的に読書を楽しむことが可能となります。また、パソコンの買い替えや故障などで電子書籍が紛失することのないよう、インターネット上で電子書籍を預かるクラウド本棚サービスの提供及びスマートフォン・タブレット端末での購入・閲覧対応など、エンドユーザーが快適に読書をするための機能を拡充させております。さらに電子書籍販売サービスは、多くのユーザーにご利用いただいておりますが、一度獲得したユーザーは定着する傾向が高く、獲得したユーザーが根雪のように積みあがっていくスケーラブルな事業モデルとなっています。

 

 

(2)クロスメディア事業

当社は紙の書籍をインターネット経由で販売するオンライン書店を運営しており、その売上については、クロスメディア事業に計上しています。

 

当社の事業の系統図は、以下のとおりです。

 

※画像省略しています。

 

21/06/22

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 
① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、企業収益の減速、雇用情勢の悪化等による消費マインドの低下など、不透明かつ厳しい状況となりました。引き続き国内では、感染の再拡大などの懸念が残り、予断を許さない状況が続いております。

出版業界においては、2020年(1月~12月期)の紙書籍市場が前年比1.0%減の1兆2,237億円となった一方で、電子出版市場が同28.0%増の3,931億円となり、紙と電子を合算した出版市場は同4.8%増の1兆6,168億円と大きく成長しました。当社が主力と位置付ける電子コミックの推定販売額は同31.9%増の3,420億円となり、巣ごもり需要や人気作品のヒットもあり、大きく伸長しました(出所:公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所「出版月報」2021年1月号)。

当社は、このような事業環境のもと、従業員や取引先等の安全と事業の拡大を両立すべく在宅勤務を中心とした働き方に移行する(平均在宅勤務率97%超)とともに、2016年6月に資本業務提携したヤフー株式会社(以下、ヤフー)との事業連携を引き続き積極的に推進しております。

当社とヤフーが協力して運営する電子書籍販売サービス「ebookjapan」において、Yahoo! JAPANサービスとの連携施策を強化し、スマートフォン決済サービス「PayPay」と連携した大型キャンペーンを実施したほか、ソフトバンク携帯ユーザーへのポイント還元施策など、グループシナジーを本格化いたしました。これによりグループシナジー経由のユーザーが大幅に増え、それによって売上が大きく拡大しました。当社サービスにおいては一度購入いただいたユーザーの継続率が高く、将来に渡って収益を見込めることから、ストック型ビジネスモデルに近く、今後も新規ユーザーの獲得に努めてまいります。また、クロスメディア事業においても、「PayPayモール」をはじめヤフーグループの諸サービスとの連携を本格化し、売上高が前年比で大きく伸長しました。

以上の取り組みを行った結果、当事業年度における当社業績は、売上高29,951百万円(前期比40.7%増)、営業利益957百万円(前期比20.7%増)、経常利益956百万円(前期比20.2%増)、当期純利益663百万円(前期比21.7%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

電子書籍事業

当事業年度における電子書籍事業は、当社とヤフーが協力して運営する電子書籍販売サービス「ebookjapan」において、「PayPay」と連携した大型キャンペーンを展開、ヤフーグループのECサービスが一丸となって実施した「超PayPay祭」に参画、グループサービスを使えば使うほどお得になるキャンペーン「PayPayStep」を通じ、売上高の拡大に努めました。また、サービスの認知度をあげるべく広告宣伝を強化し新規ユーザーの獲得に努めました。プロダクト面では、AIの更なる活用としてユーザーレビューから自動生成した「感情タグ」を実装するなど、利便性の向上を図りました。

以上の結果から、当事業年度の電子書籍事業の売上高は、23,017百万円(前期比41.8%増)となりました。

 

クロスメディア事業

当事業年度におけるクロスメディア事業は、引き続き「PayPayモール」や「Yahoo!ショッピング」をはじめとした大手ECモールにおける紙書籍のオンライン販売に注力しました。ヤフーグループを挙げた大規模セール「超PayPay祭」に参画したほか、需要拡大に対応するため、さらに在庫の拡充等を図り、ユーザー満足度の向上と売上高の拡大に努めました。また、「PayPayモール」において2020年度年間ベストストア総合3位受賞するなど、引き続きヤフーグループの諸サービスとの連携を積極的に推進しました。

以上の結果、当事業年度のクロスメディア事業の売上高は、6,933百万円(前期比37.4%増)となりました。

 

 

当事業年度末における総資産は、11,481百万円(前事業年度末比2,509百万円増)となりました。

総資産の内訳は、流動資産が10,155百万円(同2,604百万円増)、固定資産が1,325百万円(同95百万円減)であります。流動資産増加の主たる要因は、現金及び預金が625百万円、売掛金が1,211百万円増加したことによるものです。固定資産減少の主たる要因は、建物(純額)が38百万円、ソフトウエアが35百万円減少したことによるものです。

当事業年度末における負債合計は、7,007百万円(同1,835百万円増)となりました。主たる要因は、買掛金が1,070百万円、未払金が731百万円増加したことによるものです。

当事業年度末における純資産合計は、4,473百万円(同673百万円増)となりました。主たる要因は、利益剰余金が663百万円増加したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況の概要

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、5,031百万円となりました。

営業活動の結果得た資金は919百万円(前事業年度は1,252百万円の獲得)となりました。この主な資金増加要因としては仕入債務の増加額1,070百万円、税引前当期純利益の計上956百万円、減価償却費183百万円によるものであります。これに対して主な資金減少要因としては売上債権の増加額1,211百万円によるものであります。

投資活動の結果使用した資金は241百万円(前事業年度は220百万円の使用)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出が219百万円によるものであります。

財務活動の結果使用した資金は53百万円(前事業年度は205百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出60百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績 

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

b.受注実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

c.販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日

販売高(百万円)

前年同期比(%)

電子書籍事業

23,017

 

141.8

 

クロスメディア事業

6,933

 

137.4

 

合計

29,951

 

140.7

 

 

(注)1 セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。

   2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度の売上高は29,951百万円、経常利益は956百万円、当期純利益は663百万円となりました。

当社は、2016年6月に資本業務提携したヤフーとの事業連携を積極的に推進し、サービスを飛躍的に発展させることで、「電子コミック国内取扱高No.1」を達成することを中期ビジョンに掲げております。当事業年度は、上記中期方針に基づき、当社とヤフーが協力して運営する電子書籍販売サービス「ebookjapan」において、Yahoo! JAPANサービスとの連携施策を強化し、スマートフォン決済サービス「PayPay」と連携した大型キャンペーンの実施や、ソフトバンク携帯ユーザーへのポイント還元施策など、グループシナジーを活用した販促施策を数多く展開したほか、新規ユーザー獲得のための広告宣伝、既存ユーザー向けの販促活動等を積極的に推進してまいりました。また、クロスメディア事業においても、「PayPayモール」および「Yahoo!ショッピング」にてヤフーグループを挙げた大規模セール「超PayPay祭」に参画するなど、引き続きヤフーグループの諸サービスとの連携を積極的に推進しました。

電子書籍市場は、今後も大きな市場成長が期待されている一方で競合各社による激しい競争が続いておりますが、当事業年度においては、そうした事業環境変化に機敏に対応し、将来の優位性確保に向けた取り組みを実施することができました。今後もヤフーとの連携を強め、迅速な意思決定と強い執行体制により、「電子コミック国内取扱高No.1」に向けて継続的な事業成長を実現してまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容及び資本の財源及び資金の流動性について

当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前当期純利益の計上により919百万円の獲得(前事業年度は1,252百万円の獲得)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に無形固定資産の取得により241百万円の使用(前事業年度は220百万円の使用)となりました。また財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済により53百万円の使用(前事業年度は205百万円の使用)となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、5,031百万円となりました。

当社の事業活動における運転資金需要な主なものは、商品仕入等の原価、人件費、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費であります。また、設備投資資金需要の主なものは、当社サービスにかかるソフトウエア開発費用やサーバー構築費用であります。なお、当事業年度における主な資金需要は、事業の通常運営のために使用する資金、当社サービスにかかるソフトウエアであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としております。

なお、当事業年度末現在における有利子負債残高はありません。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、現時点では新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う、当社の業績に大きな影響はございませんが、今後の事業に対する影響につきましては、注視してまいります。財務諸表作成にあたり用いた会計上の見積り及び過程のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.固定資産の減損

当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

b.繰延税金資産

当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。