株式会社イグニス

上場廃止 (2021/06/30) 株式の併合
ブランドなど:ぼくとドラゴン
情報・通信業スマホゲーム-

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E30698 Japan GAAP

売上高

56.8億 円

前期

55.7億 円

前期比

102.0%

平均給与

650.7万 円

前期

604.0万 円

前期比

107.7%

平均年齢(勤続年数)

35.7歳(2.0年)

従業員数

0.0人(連結:115人)


3【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社12社及び持分法適用関連会社2社により構成されており「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」の経営理念のもと、「次のあたりまえを創る。何度でも」をミッションとして掲げ、スマートフォン向けアプリの企画・開発・運営を主軸に、様々なサービスを展開しております。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済及び我が国経済は、米中の貿易摩擦に加えて、2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、国内外ともに先行きが不透明な状況にあります。

 このような状況の中、当社グループ(当社及び関係会社)は「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」という経営理念及び「次のあたりまえを創る。何度でも」というミッションのもと、インターネット、スマートフォン等を通じた様々なビジネス領域において、多くのユーザーに支持されるサービスの企画・制作・運営を行ってまいりました。

 当社グループは、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「スマートフォンアプリ事業」の単一セグメントから、「マッチング事業」、「エンターテック事業」及び「ゲーム事業」の3区分に変更いたしました。これは、2019年11月13日に当社の取締役会において、株式会社スタジオキングが展開するゲーム事業の譲渡に関する基本合意を決議したように、当社グループが属する事業環境の変化や事業規模の変化に迅速かつ適切に対応し、事業の選択と集中による早期収益化の実現を図る必要があることから、経営管理手法を見直したことによるものであります。

 当連結会計年度においては、前連結会計年度に引き続き高成長を続けている「マッチング事業」が、売上高・営業利益に大きく貢献いたしました。「エンターテック事業」においては、バーチャルライブアプリ『INSPIX LIVE』の大型アップデートに向けた開発投資を積極的に行いました。一方で、事業の選択と集中の観点から、「ゲーム事業」において、新規開発の凍結、『でみめん』のサービス終了を実施しました。また、2020年3月2日に、『ぼくとドラゴン』と『猫とドラゴン』の2タイトルに係る事業等の株式会社ドリコムへの譲渡が完了いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は5,683,451千円(前連結会計年度比2.0%増)、営業損失は232,129千円(前連結会計年度は744,693千円の営業損失)、持分法による投資損失267,575千円等を計上したことから、経常損失は553,961千円(前連結会計年度は867,651千円の経常損失)、持分変動利益192,586千円、投資有価証券評価損160,692千円及び法人税、住民税及び事業税449,147千円等を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は980,229千円(前連結会計年度は631,178千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 なお、当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う当社グループの連結業績への影響は、軽微であると考えています。

 

 各セグメントの経営成績は以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より報告セグメントを変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

セグメントの名称

売上高(千円)

セグメント利益又は損失(△)(千円)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

マッチング事業

2,961,289

4,375,699

1,414,410

736,511

1,335,020

598,509

エンターテック事業

104,288

341,734

237,445

△1,246,708

△1,710,104

△463,395

ゲーム事業

2,383,955

889,311

△1,494,643

242,338

306,520

64,181

その他

121,495

76,705

△44,789

△476,834

△163,565

313,269

合計

5,571,028

5,683,451

112,423

△744,693

△232,129

512,564

 

1.マッチング事業

 マッチング事業では、恋愛・婚活マッチングサービス『with』を提供しています。当サービスは、2015年9月にサービスを開始した、SMS(ショートメッセージサービス)又はFacebook認証で簡単に会員登録が可能な恋愛・婚活サービスです。メンタリストDaiGo氏監修のもと、統計学×心理学により「運命よりも、確実。」をコンセプトとして、相性の良いお相手を探せるサービスを目指しています。現在、WEBサイト、iOSアプリ、Androidアプリの3つのプラットフォームで提供しています。

 当連結会計年度におけるマッチング事業は、この『with』において、他社類似サービスとの差別化を図るべく、心理学やAIを活用して最適な男女のマッチングを目指し、季節イベントや各種診断イベント実施のほか、『with』アプリ内で音声通話やビデオ通話が楽しめる新機能「with通話β版」を2020年7月に実装するなど、ユーザー満足度をより一層高めるための施策を講じてまいりました。また、国内でオンラインマッチングサービスが急速に浸透してきていることから、プロモーションによる新規流入だけでなく、クチコミによる新規流入も増加傾向にあり、2020年9月末時点におけるユーザー数は370万人を突破するなど、サービスは順調に成長しています。

 当該サービスについては、売上高・営業利益への貢献度が高いサービスへと成長しており、引き続きユーザービリティの向上や精度の高いマッチングを実現する機能、診断イベントを継続的に実施していくことで、ユーザー満足度の高い唯一無二の恋愛・婚活マッチングサービスを目指してまいります。さらに、更なるサービスの浸透とユーザー数の増加を目指し、当該サービスに係る広告費を増枠しプロモーションを強化してまいります。

 なお、当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえた政府の要請(外出制限)により、当初、『with』においてユーザーの利用頻度が低下する可能性があると予測しておりました。しかし、2020年7月8日発表の適時開示「(開示事項の経過)新型コロナウイルス感染症の影響について(続報2)」に記載の通り、引き続き堅調に推移しており、現時点において当該事業への業績に与える影響は軽微であると考えています。

 

 この結果、当セグメントの売上高は4,375,699千円(前連結会計年度比47.8%増)、セグメント利益は1,335,020千円(前連結会計年度比81.3%増)となりました。

 

2.エンターテック事業

 エンターテック事業は、「音楽体験の、次のあたりまえを創る」ことを目的に、主に、パルス株式会社によるバーチャルライブアプリ『INSPIX LIVE』を開発・提供するとともに、芸能プロダクションの運営を行う株式会社VOYZ ENTERTAINMENTによる『VOYZ BOY』等、IP((注)1)の展開に取り組んでいます。

 パルス株式会社では、VR技術による音楽ライブを生配信するシステムの企画・開発・運営をしています。当該システムは様々な環境に合わせて配信できる仕組みを構築することで、既存の動画配信サイトへの生配信だけでなく、VR・AR動画の生配信も可能としています。2019年8月13日にリリースしたバーチャルライブアプリ『INSPIX LIVE』は、このシステムを活用し、スマートフォンとスマートフォン向けVRゴーグルを組み合わせることで、VRによる新たな音楽ライブを体験できるものです。現在『INSPIX LIVE』は、より理想的な顧客体験を実現するためにライブ特化型仮想空間SNS『INSPIX WORLD』への大型アップデートを行っており、積極的に投資をしております。6組のパートナー参画が決定しているほか、2020年5月には、新たに株式会社バンダイナムコアーツ及び株式会社バンダイナムコライブクリエイティブの参画も決定いたしました。2020年9月には、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社のIPである「初音ミク」((注)2)を起用したライブ「初音ミク GALAXY LIVE 2020」を開催し、2日間で約1.4万人を動員いたしました。2021年には「初音ミク GALAXY LIVE 2021」を予定しており、今後も有名大型IPを含む複数の他社IPが『INSPIX WORLD』(現『INSPIX LIVE』)上でVR音楽ライブの実施を予定しているなど、他社IPの誘致と様々な企画の準備も順調に進んでいます。IPの展開にあたっては、業務提携先であるVRタレントのマネジメントを専門とする株式会社岩本町芸能社所属のVRアイドル『えのぐ』が、当社のVR音楽ライブプラットフォームの技術を活用し、精力的に様々な活動をしています。

 芸能プロダクションの運営を行う株式会社VOYZ ENTERTAINMENTは、所属タレントである三次元のボーイズグループ『VOYZ BOY』と、「二次元と三次元を行き来する」5人組ボーイズグループ『学芸大青春(ガクゲイダイジュネス)』が活動をしています。『VOYZ BOY』は2019年5月より本格的に活動をスタートし、その後、定期イベントやファンミーティング、一部メンバーによるテレビ・舞台出演等を行っています。また、2020年4月には、メジャーデビューCD「ARRIVAL OF VOYZ BOY」をリリースいたしました。『学芸大青春(ガクゲイダイジュネス)』は、2019年9月に活動開始後、音楽配信等行っており、2020年5月には1st LIVEを実施、2020年9月には1st Album「HERE WE ARE!」をリリースいたしました。

 なお、2020年7月8日発表の適時開示「(開示事項の経過)新型コロナウイルス感染症の影響について(続報2)」に記載の通り、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年4月7日に政府より発令された緊急事態宣言を受け、株式会社VOYZ ENTERTAINMENTは、所属タレントによるイベントにおいて当面の間一部中止や延期、内容変更することを決定いたしました。これに伴い、新規ファンの獲得や売上貢献が当初の見込みよりも遅れることとなりました。しかしながら、所属タレントを支えていただいている多くのファンのニーズにお応えすべく、代替手段としてオンラインを活用した様々な活動やCD販売、タレントグッズの販売を通じて、積極的な活動をしております。2020年5月25日には政府発表により緊急事態宣言が全国で解除されることとなりましたが、今後の活動に関しては、状況を見定めながら細心の注意を払い随時運営方針を検討してまいります。

 一方で、パルス株式会社において実施している『INSPIX WORLD』への大型アップデート及び他社IPのVRライブの企画・制作につきましては、在宅勤務の増加により生産性の低下に伴う開発進捗の鈍化がみられるものの、当該事業の当連結会計年度の業績に与える影響は軽微であります。

 

 この結果、当セグメントの売上高は341,734千円(前連結会計年度比227.7%増)、セグメント損失は1,710,104千円(前連結会計年度は1,246,708千円のセグメント損失)となりました。

 

3.ゲーム事業

 ゲーム事業では、スマートフォン向けゲームアプリやブラウザゲーム((注)3)の企画・開発・運営を行っております。

 当連結会計年度におけるゲーム事業は、配信開始から6年目に突入した主力タイトル『ぼくとドラゴン』と、2019年4月3日に配信を開始した、イグニスグループ初のブラウザゲームである『猫とドラゴン』が、既存ユーザーの満足度向上と収益の安定化を目指すため、季節イベントの強化や、他社有名IPとのコラボレーションを実施するなど、ユーザーとのエンゲージメントを高めるサービス運用をしてまいりました。一方で、2018年12月12日に提供を開始いたしました、女性をターゲットにした新作スマホRPG『でみめん』は、ユーザー課金率及び新規ユーザー獲得数が伸び悩み、新キャラクターや各種イベントの実施など施策を講じてまいりましたが、大幅な改善に至らなかったことから、2019年12月12日をもってサービスを終了することとなりました。また、事業の選択と集中の観点から新規開発を凍結するとともに、2020年3月2日付で、『ぼくとドラゴン』と『猫とドラゴン』の2タイトルに係る事業等の株式会社ドリコムへの譲渡が完了いたしました。

 

 この結果、当セグメントの売上高は889,311千円(前連結会計年度比62.7%減)、セグメント利益は306,520千円(前連結会計年度比26.5%増)となりました。

 

4.その他

 報告セグメントに含まれない事業セグメントとして、HR Tech及び転職エージェントサービス、医療機関向けSaaS、VR医療等の事業セグメントにより構成されています。

 HR Tech及び転職エージェントサービスでは、グラム株式会社において、性格傾向データを活用した適性検査クラウド『Jobgram』と転職エージェントサービス『Jobgramエージェント』を展開しています。

 医療機関向けSaaSでは、株式会社イグニスメディカルケアソリューションズがオンライン診療を目的とした医療機関向けのソフトウエアの企画・開発・運営を行っており、『FOREST』というソフトウエアをオンライン診療と相性が良い医療機関に対して提供しています。

 VR医療では、パルス株式会社において順天堂大学との間で共同研究を行い、2019年6月にパイロット版の提供を開始したVRを用いた慢性疼痛の緩和システム『うららかVR』のサービス開始に向け研究開発を行っています。

 当連結会計年度において、主にグラム株式会社のサービスを展開する一方で、医療機関向けSaaSとVR医療に関しては、現時点では投資フェーズであるものの、サービス改善に努めてまいりました。

 

 この結果、その他の売上高は76,705千円(前連結会計年度比36.9%減)、セグメント損失は163,565千円(前連結会計年度は476,834千円のセグメント損失)となりました。

 

(注)1.IPとは、Intellectual Propertyの略で、著作権や商標権等の知的財産のことです。

2.「初音ミク」とは、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が開発した、歌詞とメロディーを入力して誰でも歌を歌わせることができるソフトウエアです。キャラクターとしても注目を集め、今ではバーチャル・シンガーとしてグッズ展開やライブを行うなど多方面で活躍しています。

3.ブラウザゲームとは、ダウンロード不要で、ウェブブラウザがあれば遊べるゲームのことです。

 

 

当連結会計年度の財政状態の概要は以下のとおりであります。

 

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は4,909,469千円となり、前連結会計年度末に比べ953,467千円増加いたしました。流動資産は3,202,236千円(前連結会計年度末比1,486,606千円増)となりました。主な増加要因は、現金及び預金が1,194,873千円増加したことによるものであります。主な減少要因は、営業貸付金が100,250千円減少したことによるものであります。固定資産は1,707,232千円(前連結会計年度末比533,138千円減)となりました。主な減少要因は、敷金の返還及び保険積立金の取崩し等により投資その他の資産が342,696千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債は2,227,972千円となり、前連結会計年度末に比べ538,261千円増加いたしました。流動負債は1,611,156千円(前連結会計年度末比301,616千円増)となりました。主な増加要因は、未払金が184,184千円増加したこと及び前受収益が147,757千円増加したことによるものであります。固定負債は616,816千円(前連結会計年度末比236,644千円増)となりました。主な増加要因は、役員等からの借入により長期借入金が309,954千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は2,681,496千円となり、前連結会計年度末に比べ415,206千円増加いたしました。主な増加要因は、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金が合計で1,402,970千円増加したことによるものであります。主な減少要因は、利益剰余金が980,229千円減少したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,189,652千円となり、前連結会計年度末に比べ979,873千円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の減少は326,380千円(前連結会計年度は959,213千円の減少)となりました。主な減少要因は、税金等調整前当期純損失455,542千円、法人税等の支払額548,962千円によるもの、主な増加要因は、非資金項目である減価償却費234,986千円、持分法による投資損益267,575千円等の調整によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は361,692千円(前連結会計年度は90,335千円の増加)となりました。主な減少要因は、定期預金の預入による支出339,750千円、無形固定資産の取得による支出389,505千円、その他の関係会社有価証券の取得による支出215,000千円によるもの、主な増加要因は、関係会社株式の売却による収入248,000千円、保険積立金の解約による収入188,059千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の増加は1,668,403千円(前連結会計年度は599,078千円の増加)となりました。主な増加要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,388,217千円、長期借入れによる収入572,979千円によるもの、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出292,766千円であります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

前年同期比(%)

マッチング事業(千円)

4,375,699

147.8

エンターテック事業(千円)

341,734

327.7

ゲーム事業(千円)

889,311

37.3

報告セグメント計(千円)

5,606,745

102.9

その他(千円)

76,705

63.1

合計(千円)

5,683,451

102.0

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2018年10月1日

至 2019年9月30日)

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Apple Inc.

3,595,344

64.5

3,485,989

61.3

テレコムクレジット株式会社

846,271

15.2

1,172,711

20.6

Google Inc.

719,397

11.1

2.相手先は決済代行業者であり、ユーザーからの代金回収を代行しております。

3.当連結会計年度のGoogle Inc.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 その作成には、経営者による会計方針の選択・適用・資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。当社グループは、特に以下の項目を重要な会計上の見積りと考えています。

a.貸倒引当金

 当社グループでは、貸倒損失の発生が懸念される特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額に基づき貸倒引当金を計上しております。しかしながら、将来相手先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

b.繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異に係る繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)(新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについて)」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 なお、2020年11月12日公表の「2020年9月期通期連結業績予想と実績値の差異、2020年9月期の連結業績における特別利益、単体業績における貸倒引当金繰入額(販売費及び一般管理費)及び特別損失の計上、並びに2021年9月期の単体業績における子会社の吸収合併に伴う特別利益の発生に関するお知らせ」においてお知らせしましたとおり、当社グループの当連結会計年度の連結業績予想における売上高は5,000,000千円としておりましたが、実績は5,683,451千円(連結業績予想比13.7%増)となりました。これは主に、マッチング事業の恋愛・婚活マッチングサービス『with』が順調にユーザー数を伸ばし売上高増加に大きく貢献したことによるものであります。

 

b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ979,873千円増加し、1,189,652千円となりました。

 当社グループの資金需要のうち主なものとしては、サービス提供・拡充のための広告宣伝費、支払手数料、研究開発費、人件費、その他経費をはじめとした販売費及び一般管理費等の営業費用であります。特にエンターテック事業において、『INSPIX LIVE』はライブ特化型仮想空間SNS『INSPIX WORLD』への大型アップデートを行っていることから、積極的に投資をしております。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には状況に応じて金融機関からの借入や各種資本政策等による資金調達で対応していくこととしております。

 なお、当連結会計年度の資金調達としては、2020年5月13日にドイツ銀行ロンドン支店を割当先とする第三者割当による第14回新株予約権が行使されたことにより、1,334,375千円の資金調達を実施いたしました。現在、ドイツ銀行ロンドン支店を割当先とする第三者割当による新株予約権を発行しており、これによる資金調達も引き続き行っていく計画です。本件に関する詳細は「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。

 

c.経営戦略の現状と見通し

 当連結会計年度における達成度及び翌連結会計年度の計画は、以下のとおりであります。

指標

2020年9月期

(計画)

2020年9月期

(実績)

2020年9月期

達成度

2021年9月期

(計画)

売上高

5,000,000千円

5,683,451千円

113.7%

7,000,000千円

 

 翌連結会計年度の連結業績見通しは、マッチング事業において『with』の更なる成長が見込める一方で、エンターテック事業において『INSPIX WORLD』への大型アップデートを引き続き実施しており、リリース時期及びリリース後の売上予測が困難であるため、このような予測困難な売上を業績見通しに織り込まない方針といたしました。この結果、売上高7,000,000千円(当連結会計年度比23.2%増)、その内訳として、マッチング事業の売上高は6,100,000千円(当連結会計年度比39.4%増)、エンターテック事業の売上高は900,000千円(当連結会計年度比163.4%増)と予想しております。

 また、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、エンターテック事業へ積極的に投資する一方でコストコントロールを図ってまいりますが、上記の通り『INSPIX WORLD』への大型アップデートを引き続き実施しており、クオリティ追求のためのコストに不確定要素が多く、適正かつ合理的な数値の算出が困難であるため、開示しない方針といたしました。

 なお、経営戦略は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略等」に記載のとおりであります。