E01013 IFRS
前期
6,314.3億 円
前期比
100.6%
前期
730.5万 円
前期比
98.5%
平均年齢(勤続年数)
43.3歳(18.9年)
従業員数
6,729人(連結:16,426人)
当社グループ(当社並びに当社の子会社及び持分法適用会社)は、当連結会計年度末現在、当社、子会社71社及び持分法適用会社2社により構成されており、機能材料及び先端部品・システムの製造・加工・サービスの提供及び販売等を主たる事業としている。当社グループの事業区分別の主要製品及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりである。なお、当社は、機能材料及び先端部品・システムの製造・加工・サービスの提供及び販売に携わっている。
次の2事業区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」に掲げるセグメントの区分と同一である。
2021年12月31日現在
[事業系統図] (2021年12月31日現在)
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりである。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
前連結会計年度は、決算期の変更により、2020年4月1日から同年12月31日までの9ヵ月となっているため、当連結会計年度(2021年1月1日から同年12月31日)は、前連結会計年度と期間が異なる。このため、当連結会計年度の売上収益、営業利益、親会社株主に帰属する当期利益、セグメントの売上収益、セグメント損益及びキャッシュ・フローについては、前連結会計年度との比較は行っていない。主要製品の売上推移については、前年同一期間(2020年1月1日から同年12月31日)と比較した。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行による世界的な経済活動抑制の影響により厳しい状況にあったものの、堅調に推移している半導体関連業界を含む製造業で回復の動きが見られた。国内経済においては、個人消費と輸出の増加傾向を受けた製造業を中心とする企業収益が持ち直すなど、企業の業況判断は回復感が見られた。
このような経営環境において、当社グループは、経営・事業基盤の質を高めるステージと位置づけて策定した2021中期経営計画の下、「デファクト化されたトップシェア事業の拡大」「新事業・新製品の創出加速」「グローバル先進クラスのコスト構造への再挑戦」を方針に掲げ、諸施策に取り組んできた。
その結果、売上収益は、2021年12月1日付けで蓄電デバイス・システム事業(FIAMM Energy Technology S.p.A.を除く。)を譲渡した影響があったものの、旺盛な半導体需要や自動車生産台数の回復などを背景に、半導体回路平坦化用研磨材料等の電子材料、銅張積層板等の配線板材料及び樹脂成形品等のモビリティ部材が好調に推移し、6,350億円となった。利益については、売上収益が好調に推移したことで、営業利益は243億円、親会社株主に帰属する当期利益は193億円となった。
半導体用エポキシ封止材、半導体用ダイボンディング材料、半導体回路平坦化用研磨材料は、旺盛な半導体需要を背景に、前年同一期間実績を上回った。
ディスプレイ用回路接続フィルムは、スマートフォン向けの売上が増加したことにより、前年同一期間実績を上回った。
銅張積層板は、通信分野向け半導体の需要増を背景に、前年同一期間実績を上回った。
感光性フィルムは、スマートフォン向けの売上が増加したことにより、前年同一期間実績を上回った。
この結果、当セグメントの売上収益は2,775億円、セグメント損益は789億円となった。
樹脂成形品、摩擦材、粉末冶金製品は、自動車生産の回復により、前年同一期間実績を上回った。
リチウムイオン電池用カーボン負極材は、環境対応自動車向けの売上が減少したことにより、前年同一期間実績を下回った。
診断薬・装置は、脂質異常症や糖尿病、アレルギー疾患の診断薬需要が増加したことにより、前年同一期間実績を上回った。
再生医療等製品の製法開発・受託製造サービスは、受注件数の増加により、前年同一期間実績を上回った。
この結果、当セグメントの売上収益は3,575億円、セグメント損益は546億円の損失となった。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から95億円増加し、739億円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費及び償却費436億円、減損損失262億円等により、763億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による収入677億円があったが、短期貸付金の増加825億円、有形固定資産の取得による支出288億円等により、468億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額190億円、リース負債の返済による支出53億円、非支配持分株主からの子会社持分取得による支出53億円等により、289億円の支出となった。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。
このため、生産、受注及び販売の状況については、(業績等の概要)におけるセグメント業績に関連付けて示している。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されている。この連結財務諸表の作成に当たり、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り及び予測を実施している。しかし、これらには特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合がある。
個々の項目については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2 作成の基礎」に記載のとおりである。
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりである。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる原材料費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発などである。資金調達は主としてフリー・キャッシュフロー及び間接調達により十分な資金を調達しており、財務の安定性及び流動性を確保している。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から197億円増加し6,900億円となった。
その他の金融資産の増加等によるものである。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から99億円減少し2,439億円となった。
社債及び借入金が減少したこと等によるものである。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末から297億円増加し4,461億円となった。
為替の影響等によるその他の包括利益累計額の増加等によるものである。
当連結会計年度の売上収益は、前年同一期間実績と比較して541億円(9.3%)増加し6,350億円となった。各区分の概況は下記のとおりである。
当区分の売上収益は、前年同一期間実績と比較して327億円(13.3%)増加し2,775億円となり、総売上収益に対する比率は1.6ポイント増加し43.7%となった。
当区分の売上収益は、前年同一期間実績と比較して214億円(6.4%)増加し3,575億円となり、総売上収益に対する比率は1.6ポイント減少し56.3%となった。
売上原価は、前年同一期間実績と比較して287億円(6.5%)増加し4,682億円となり、売上収益に対する比率は1.9ポイント減少し73.7%となった。また、販売費及び一般管理費は、前年同一期間実績と比較してから17億円(1.5%)増加し1,134億円となり、売上収益に対する比率は1.3ポイント減少し17.9%となった。研究開発費は、前年同一期間実績と比較して20億円(6.6%)減少し285億円となり、売上収益に対する比率は0.8ポイント減少し4.5%となった。
営業利益は、前年同一期間実績と比較して103億円(73.5%)増加し243億円となり、売上収益に対する比率は1.4ポイント増加し3.8%となった。
区分別では、機能材料セグメントのセグメント損益は、前年同一期間実績と比較して435億円(122.8%)増加し789億円、同区分の売上収益に対する比率は14.0ポイント増加し28.4%となった。先端部品・システムセグメントのセグメント損益は、前年同一期間実績と比較して330億円減少し△546億円となった。
法人所得税費用は、前年同一期間実績と比較して24億円(27.8%)増加し108億円となり、税引前当期利益に対する比率(税負担率)は、20.7ポイント減少し34.6%となった。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期利益は、前年同一期間実績と比較して126億円(188.3%)増加し193億円となった。
当社グループは、2021年度を最終年度とする中期経営計画において、調整後営業利益率10%以上、ROIC13%以上を目標値とした。調整後営業利益率は、「売上収益」から「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」の額を減算して得られた金額の「売上収益」に対する比率をいう。
当連結会計年度の調整後営業利益率は8.4%、ROICは11.9%となり、前連結会計年度から改善したものの、上記の目標値には及ばなかった。
今後の経済見通しについては、需要回復とコロナ禍におけるサプライチェーンの混乱による原材料価格の高騰リスク、半導体の供給不足が自動車業界のみならず、広範にわたる製造業のサプライチェーンにも影響を及ぼし始めるなど、日本経済、世界経済の回復を妨げる要因も存在しており予断を許さない状況が続いている。
当社グループは、市場の動向に応じた既存事業の売上拡大と収益確保を確実に行うとともに、次代の成長に向けた新事業・新製品の創造、育成に取り組んでいく。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めている。上記(5)及び(6)の問題認識の下、下記の方針により事業を遂行することとしている。
① サステナビリティ・マネジメントの強化
② グローバル水準の収益基盤の確立
③ ポートフォリオ経営の高度化
④ 競争優位を構築するための戦い方の追求