E05037 Japan GAAP
前期
661.8億 円
前期比
101.6%
株価
2,000 (04/18)
発行済株式数
22,757,800
EPS(実績)
153.66 円
PER(実績)
13.02 倍
前期
727.8万 円
前期比
104.0%
平均年齢(勤続年数)
38.4歳(7.6年)
従業員数
918人(連結:1,417人)
当社グループの連結決算対象会社の総数は提出会社を含めて17社であり、連結子会社が14社、持分法適用会社が2社となっています。
当社グループの報告セグメントは、「ICTサービス事業」の単一セグメントとしており、「ICTサービス事業」を構成する主要な区分の内容及び業績については、次のとおりです。
当社は各マーケットの課題に対し、プロジェクトチームを立ち上げコンサルティングからシステム導入、IT教育まで展開しております。第4次中期経営計画を推進するにあたり、当社の事業ポートフォリオの変革を可視化し、外部環境と当社の業績進捗比較を容易にするため、顧客の属するマーケットによる区分に即して「主な内容」及び「主な事業会社の名称」の項目を変更しています。
また、各区分の前期の金額は現在の計上方法に則して算出しております。
当社グループにおける事業の系統図は、以下のとおりであります。矢印はサービス提供の流れです。
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は以下のとおりです。
a. 流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末より1,295百万円増加して、35,622百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が1,843百万円増加したことなどによるものです。
b. 固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末より193百万円減少して、9,842百万円となりました。これは主に、のれんが257百万円減少したことなどによるものです。
c. 流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末より306百万円減少して、18,590百万円となりました。これは主に、買掛金が507百万円減少したことなどによるものです。
d. 固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末より380百万円減少して、1,708百万円となりました。これは主に、長期借入金が309百万円減少したことなどによるものです。
e. 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より1,787百万円増加して、25,167百万円となりました。これは主に、利益剰余金が2,392百万円増加したことなどによるものです。
(百万円) (円)
当連結会計年度の業績につきまして、売上高、営業利益、経常利益は過去最高となりました。
売上高及び営業利益は、公共領域において2023年3月期に受注した次期自治体情報セキュリティクラウド案件や農林水産省向けデジタル地図案件が順調に進捗しました。また、エンタープライズ領域においても自社サービスであるマネージドセキュリティサービスが順調に伸長した結果、売上高は前期比1.6%増の67,227百万円、営業利益は前期比7.8%増の5,557百万円、経常利益は前期比7.1%増の5,499百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の一時的な投資有価証券の売却等の反動により前期比3.7%減の3,497百万円となりました。
当社グループの報告セグメントは、「ICTサービス事業」の単一セグメントとしており、「ICTサービス事業」を構成する各マーケットの業績については、次のとおりであります。
ICTサービス事業を構成する各マーケットの内容については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。
・通信
ソフトバンク㈱向けのベンダーマネジメント案件を高付加価値な領域へシフトしたことにより減収となりましたが、効率化が進み利益率が改善したことで増益となりました。
・エンタープライズ
製造業向けのクラウド構築案件が増加したほか、自社サービスのマネージドセキュリティサービスが順調に進捗したことにより増収増益となり利益率も改善しました。
・公共
農林水産省向けの電子申請基盤の追加開発及び運用案件やデジタル地図案件、次期自治体情報セキュリティクラウドの運用が開始し増収となったものの、次期自治体情報セキュリティクラウドに関する追加引当コストが増加したことにより売上総利益の増加は緩やかとなりました。
・個人
ECサイト運営代行において㈱ノートンライフロックとの契約変更の影響があったものの、連結子会社であるフォントワークス㈱の大型案件獲得により増益となりました。
(百万円)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末より540百万円減少して8,160百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は3,450百万円となりました。これは、売上債権及び契約資産の増加が1,843百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が5,456百万円あったことなどによるものです。
前連結会計年度との比較では、契約負債の増減額で2,093百万円資金が減少したものの、売上債権及び契約資産の増減額で3,063百万円、営業債権の増減額で2,076百万円資金回収が増加したことなどにより、得られた資金は3,050百万円増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は1,500百万円となりました。これは、無形固定資産の取得で1,047百万円の資金使用があったことなどによるものです。
前連結会計年度との比較では、無形固定資産の取得による支出が415百万円減少したものの、投資有価証券の売却による収入が903百万円減少したことなどにより、使用した資金は639百万円増加しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は2,496百万円となりました。これは、配当金の支払で1,103百万円、自己株式の取得による支出で1,098百万円資金使用があったことなどによるものです。
前連結会計年度との比較では、自己株式の取得による支出が1,097百万円増加したことに加え、非支配株主からの払込みによる収入が479百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入が458百万円減少したことなどにより、使用した資金は2,003百万円増加しております。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者による経営成績等の状況に関する分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
<ア.当期におけるICTサービス市場の動向>
新型コロナウイルス感染症の脅威が継続したものの、新しい生活様式の定着や規制の緩和により緩やかながらも経済活動が回復してきました。そのような中、企業においては依然としてデジタル技術を用いたDX推進や事業強化、働き方の変化に伴うクラウドの利活用促進といった取り組みが求められており、これにより国内企業におけるDX投資の需要は堅調に推移してきました。経済活動回復に伴い人手不足の課題も顕在化し、自動化や省力化といった人手不足に対応するための投資も求められております。また、企業のセキュリティ対策が脆弱な部分を狙ったサイバー犯罪は増加傾向にあります。サイバーセキュリティに関するリスクや対策について開示する企業が増加しており、事業継続の重要な要素としてサイバーセキュリティの対策が講じられるようになっています。
当社を含めたICT関連企業は、DX推進とそれに伴うセキュリティ対策の支援のみならずDX人材の育成を通じて、大きな社会の変化に対応することが求められています。
<イ.重点テーマの進捗>
このような経営環境の下、当社はお客様のニーズを満たし本業の成長に貢献することを通じて、お客様と共に事業成長及び企業価値の向上を目指すべく、2023年3月期より第4次中期経営計画として以下を重点テーマとし、事業を推進してきました。
<3つの重点テーマ>
・顧客のDXを支援するセキュリティ&運用サービスの提供
・顧客の変革を実現するデータを活用した共創型DXの推進
・DX人材の育成・創出のためのコンサルティング&IT教育
自社サービスであるマネージドセキュリティサービス(MSS)の拡販が順調に進捗したことにより、当連結累計期間におけるセキュリティ関連の売上高は10,817百万円(前期比11.2%増)となりました。2022年7月には当社のセキュリティ監視センター(SBT-SOC)をリニューアルしました。SBT-SOCでは、専門のセキュリティアナリストが24時間365日体制でお客様環境のセキュリティシステムやネットワークを監視し、サイバー攻撃や不正アクセスから守るMSSを提供しています。今回のリニューアルではスペースを約2倍に拡張し、業務効率や職場環境の向上、グローバル監視センター等との連携強化を図ることでセキュリティアナリストが働きやすい環境を整備し、セキュリティ&運用サービスの提供体制を拡充しました。また、今後セキュリティアナリストを80名(2022年7月時点)から2024年度までに150名規模を目指し、拡大する需要に対し体制を強化してまいります。さらに顧客のセキュリティニーズに応えるため2022年12月に「CrowdStrike Falcon」を、2023年3月に「Carbon Black」を対象としたMSSの提供を開始しました。今後もお客様の事業継続に貢献できるようセキュリティサービスの拡充を図ってまいります。
データ活用の領域においては、大学との産学連携により、農業分野における気象、水質、土壌などの農場に設置されたセンサーから吸い上げられるデータを、Microsoft Azureに自動集約し分析するためのデータ基盤を開発しました。取得したデータの可視化には Microsoft Power BI(ビジネス・インテリジェンス)の導入及び学生へのBIツールの教育支援を行い、作物の生育環境の把握に活用されます。農業従事者の高齢化、担い手不足など持続可能な農業産業には課題もありますが、デジタル技術を活用した生産性の向上や、次世代を担うDX人材の育成を支援することにより農業分野における課題解決への支援を図ってまいります。
また、エンジニア採用や人材開発の領域でAKKODiSコンサルティング㈱(旧:Modis㈱)と業務提携契約を締結しました。これにより、当社が注力するクラウドやセキュリティ領域に必要なITエンジニアやコンサルティング人材を育成及び採用するスキームを構築してまいります。
引き続き3つの重点テーマに注力し、第4次中期経営計画を着実に遂行してまいります。
<ウ.経営成績の分析及び経営指標の進捗>
当社グループは、2023年3月期から2025年3月期までの第4次中期経営計画において、クラウド・セキュリティ&サービスを注力事業に設定し、事業の拡大と企業価値のさらなる向上を図ってまいります。第4次中期経営計画の最終年度である2025年3月期の経営指標として「営業利益80億円」「営業利益率9%台」「クラウド・セキュリティ&サービス売上高500億円超」を掲げ、取り組みを推進しています。
これに対して、当連結会計年度における営業利益は前期比7.8%増の5,557百万円となりました。営業利益率については前期より+0.5ポイント改善し、8.3%となりました。
また、当期におけるクラウド・セキュリティ&サービス売上高は前期比7.8%増の36,585百万円となりました。
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金面では、顧客からの受託開発案件の長期大型化によって生じる回収と支払のギャップ増大によるものであり、設備投資の面では、独自のクラウドサービスや、セキュリティ監視システムへの開発投資といったものであります。さらには資本提携を目的とした他社株式取得のための資金需要が生じることもあります。
当社グループは、企業体質の強化を図りながら持続的な企業価値の向上を進めるにあたり、前述の資金需要に対応するための資金は、自己資金を中心として進めることを基本方針としております。そのためグループ内の資金効率を向上させるべく、当社は極度借入契約を通じて、資金余剰が生じている子会社から借り入れる一方、資金需要のある子会社に対しては、貸付を行うことがあります。
しかしながら、自己資金で賄えない短期運転資金需要が生じた場合に備えて、予め取引銀行との間で極度貸越契約を締結しており、当期においても限定的な期間ではありますが、短期運転資金の借入を行いました。また、M&Aの実施によって、大規模な投資資金が必要になる場合には、個別に銀行借入により資金調達を行うことがあります。
株主還元については、毎期の連結業績、投資計画、手元資金の状況等を総合的に勘案しながら、安定的かつ継続的な配当の実施を行うことが基本方針でありますが、株価の動向や財務状況などを考慮しながら必要に応じて自己株式の取得・消却等についても検討する方針です。なお、当期は2022年5月13日開催の取締役会決議にもとづいて、株主還元の充実及び資本効率の向上を目的とした自己株式の取得1,093百万円を実施しました。
当連結会計年度末における連結ベースの流動比率は191.6%(前期末比10.0ポイント増)、現金及び現金同等物の期末残高8,160百万円(前期末比540百万円減)に対し、有利子負債(リース債務含む)残高は896百万円(前期末比414百万円減)と、当期に実施した自己株式の取得影響もあり、手元資金残高は減少したものの、依然として比較的高い流動性及び自己資金での投資余力を維持しております。今後もM&Aの実施や不測の事態の発生に備えて、取引銀行との良好な関係の維持に努めてまいります。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り及び仮定を必要としています。経営者は、これらの見積り及び仮定について過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、これらの見積り及び仮定と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって、用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
そのうち、特に補足する情報が必要と判断しているのは、以下の項目であります。
(進捗度の見積りに応じて収益認識した売上高及び受注損失引当金)
当社グループでは、請負契約など顧客に対して成果物の引き渡し義務を伴うシステム開発受託については、作業の進捗に伴って、顧客が利用可能な状態に近づき、履行義務が充足されると判断できるため、合理的に当該履行義務の充足に係る進捗度を見積ることができる場合には、当該進捗度に基づき収益を認識しております。
履行義務の充足に係る進捗度の適切な見積りにあたっては、原価総額の見積額に対する実際発生原価の割合により測定し、それに基づき収益を認識しておりますが、原価総額については、見積りの要素が強く、また、プロジェクト(工事)の進行に伴い、変動する性格を有しております。
当社は、プロジェクトの現場責任者による原価総額の見積りに対して、社内のプロジェクト管理部門が、第三者的な視点から異常値の有無を確認する体制を構築、運用することによって、信頼性のある見積りを実施できていると考えております。
原価総額の見積り(見積総原価の算定)は、以下の前提によっております。
・顧客に納めるべき成果物の仕様、作業範囲など、当社が負っている役務提供義務の認識が、当社と顧客との間において一致していること
・過去に実施した経験のあるプロジェクトにおいては、見積総原価の算出は比較的容易であること
・実施した経験のない新しい技術要素を含むプロジェクトであっても、現場責任者やプロジェクト管理部門は、IT専門家として、必要に応じて外部パートナーの助力を得るなどして、成果物を完成させるために必要とされる作業工数を、一定程度の信頼性をもって見積ることが可能であること
しかし、実際には、さまざまな理由から、当社と顧客との間において、成果物の仕様、作業範囲の認識に相違が生じ、突発的なアクシデントによって想定外の追加工数が必要になり、さらには、未経験の技術要素の影響を予測しきれず、結果として見積りの修正が必要になるケースもあります。
そのため、決算日以降、見積総原価は大きく変動している可能性があり、当該見積りの変更による影響は、変更が行われた期に損益として計上するため、結果的に、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与えることがあります。
なお、進捗度の見積りに応じて当連結会計年度に認識した収益は10,748百万円であり、そのうち当連結連結会計年度末時点において進行中であるプロジェクトに係る金額は2,489百万円であります。
また、見積総原価が受注金額を上回る場合には、損失発生の可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることが可能なケースであれば、当該超過部分につき、受注損失引当金を計上しております。
従いまして、当連結会計年度末に計上しております受注損失引当金626百万円についても、決算日以降、見積総原価の修正が必要になる可能性があり、引当金の過不足が生じることによって、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与えることがあります。