E01059 Japan GAAP
前期
86.9億 円
前期比
101.3%
株価
1,416 (04/24)
発行済株式数
32,934,663
EPS(実績)
47.40 円
PER(実績)
29.88 倍
前期
582.5万 円
前期比
93.7%
平均年齢(勤続年数)
34.6歳(10.3年)
従業員数
355人
当社は、美容室向け頭髪用化粧品及び医薬部外品の製造、販売事業の単一セグメントであるため、セグメントに関連付けた記載はしておりません。
当社は、美容室向けの頭髪用化粧品及び医薬部外品の製造、販売を主な事業としております。そして、当社製品は美容室内で美容師が使用することを前提とした製品(美容室専売品)であることから、小売店舗(スーパーマーケット、ドラッグストア等)が取り扱う製品(市販品)と比べ、品質及び付加価値の高いものとなっております。
当社が製造、販売する区分、主要品目及び主力ブランドは以下のとおりであります。
当社の製品は、美容師が美容室に来店されたお客様に使われるプロ用の製品で、「美容室専売品」と言われており、スーパーマーケットやドラッグストア、インターネット等では販売されておりません。また、当社が取り扱う「美容室専売品」は、市販品とは別の市場が形成され、参入しているメーカーも異なっております。
なお、販売ルートにつきましては、当社から全国各地の代理店に販売する「代理店ルート」と、当社が直接美容室に販売する「直販ルート」の2つを採用しており、代理店へは営業第一部が、美容室へは営業第二部(全国各地にある11の支店)がそれぞれ販売を担当しております。当社の事業領域及び販売ルートは以下のとおりであります。
「店販」とは、美容室に来店されたお客様に対して、髪のプロである美容師のカウンセリングを通じてヘアケアやヘアスタイルのアドバイスを行い、必要かつ最適な製品をお勧めして対面による店舗販売を行うことであります。来店されたお客様がご自宅で使用できるシャンプーやトリートメント(トイレタリー)等の製品が、店販の対象となります。
美容室に来店されたお客様には、カットやパーマ、ヘアカラー等の技術サービスを受けていただくだけではなく、美容師からヘアケアやヘアスタイリングのアドバイスも受けていただきます。そして、美容室と同じ製品をご使用いただくことにより、美容師がつくり上げたヘアスタイルをご自宅でも再現することができ、満足していただくことができます。その結果、美容室の客単価が向上し、お客様の再来店にもつながるという相乗効果が期待できますので、当社では創業以来、この「トイレタリーの販売を中心とした店販戦略」を展開しております。
なお、業界におきましても店販の効果が少しずつ認知され始め、一部メーカーにも店販に取り組む動きが見られますが、店販を推進するためにはメーカー、美容室ともに「技術志向」の認識を変える「意識改革」が必要であり、その意味では、店販が業界に浸透するまでにはまだ時間を要すると思われます。
「旬報店システム」とは、「コンサルティング・セールス」の根幹となる美容室の経営改善システムであり、旬報店とは、お取引先美容室のうち「旬報店システム」を導入していただいている美容室であります。そして当社では、旬報店からの営業データ(売上高、来店客数等)を分析し、その結果をフィードバックするだけではなく、業績向上に向けた具体的な改善策を提案する等の経営アドバイスを行っております。
また、1ヶ月の営業データを10日ごと、つまり上旬、中旬、下旬に分けて送っていただいていたことから、「旬報店」と呼んでおりますが、現在では、ほとんどの旬報店において営業データの収集や当社が分析した結果の提供を、インターネットを通じてリアルタイムに行えるようになっております。
なお、このようなデータ分析と経営アドバイスにつきましては、当社の製品をすべて使用していただくという前提で行っておりますので、コンサルティング料のようなフィーは一切いただいておらず、無償で提供しております。このような、営業データをいただきながらコンサルティングをしていくという営業スタイルは、業界の中でも当社独自のビジネスモデルとなっております。
同業他社では、カットやヘアカラー等の美容技術の提案・指導を主とした営業活動を行っておりますが、当社ではそのような技術志向の営業活動ではなく、美容室の経営全般に関する指導を主とした経営志向の企画提案型営業活動を行っており、同業他社にはない当社独自の営業スタイルとなっております。
非正規販売とは、当社のお取引先である美容室を経由しない、インターネットや小売店での当社製品の販売のことであります。「美容室専売品」である当社のシャンプーやトリートメント、整髪料等は、美容室でのカウンセリングを通じた対面による店舗販売を原則とした製品であります。
そのような特徴を持つ当社製品がインターネット等で売れる理由は、全国のお取引先美容室が、当社と共に発展・繁栄していくという前提で、これまで当社製品の販売、すなわち店販を推進してこられたためであります。
したがいまして、当社が非正規販売を放置すれば、美容師の店販に対するモチベーションの低下により、美容室で当社製品が売れなくなり、その結果、インターネット等でも全く売れない製品に変わってしまうと判断しております。
また、インターネットでは、定価を超える価格での販売や偽造品の販売等の事例も発生しており、当社といたしましても、製品の品質や性能等の保証ができないことから、非正規販売は当社製品のブランドイメージを損なう行為であり、その対策は重要な課題であると認識しております。
つまり、非正規販売はお取引先美容室だけではなく、結果として、消費者の皆さまにも悪影響を与えることから、当社では、創業当時より非正規販売対策に徹底して取り組んでおり、それが当社の着実な成長の一因にもなっていると認識しております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は、「女性は髪からもっと美しくなれる」というコーポレートスローガンのもと、美容室でのカウンセリングを通じて、来店客に対して付加価値の高いヘアケア提案を行いました。特に、ヘアケアの基本であるシャンプー及びトリートメントの主力ブランド「コタ アイ ケア」を中心に美容室での販売を推進することで、多くの「女性のキレイ」を髪から応援しております。また、創業精神である「美容業界の近代化」をベースに、独自のビジネスモデルである「トイレタリーの販売を中心とした店販戦略」と「旬報店システムを軸としたコンサルティング・セールス」を引き続き展開いたしました。コロナ禍におきましても、お取引先美容室に対して、対面とオンラインによる営業活動を通じて徹底的に寄り添い、業績向上に向けた提案や経営に関する支援を行いました。
売上高につきましては、店販戦略の主力である「コタ アイ ケア」の販売が堅調に推移したことに加えて、2022年5月に発売した育毛剤「コタエイジング グロウセラム」や2022年9月に発売した整髪料「コタスタイリング ルミテックス」の販売も好調であったことにより、前期実績を上回りました。
また、売上原価につきましては、増収に伴う増加や原材料費の上昇等により前期実績を上回りましたが、引き続き原価管理の見直し等を行っていることから、売上原価率は前期実績とほぼ同等になりました。販売費及び一般管理費につきましては、営業活動や物流に係る費用の増加、2022年6月に竣工した「COTA KYOTO Lab(研究開発施設)」に関連する費用を計上したことにより、前期実績を上回りました。営業外収益につきましては、前述の「COTA KYOTO Lab(研究開発施設)」建設に対する補助金収入(98百万円)を、特別利益につきましては、前事業年度において計上した「コタ アイ ケア」の一部ロットの自主回収に係る関連費用引当金の戻入益(32百万円)をそれぞれ計上しております。
これらの結果、当事業年度につきましては、売上高は8,804百万円(前期比1.3%増)、営業利益は2,020百万円(前期比6.1%減)、経常利益は2,115百万円(前期比2.8%減)、当期純利益につきましては、1,560百万円(前期比12.0%増)となりました。
また、売上高は25期連続の増収、営業利益、経常利益は10期ぶりの減益、当期純利益は4期連続の増益となり、売上高と当期純利益は過去最高の結果となりました。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第43期の期首から適用しており、第40期、第41期及び第42期については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値となっております。
なお、当社は美容室向けの頭髪用化粧品及び医薬部外品の製造、販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の開示は行っておりませんが、売上高の内訳は以下のとおりであります。
当社は、2つのミッションである「世の中の美容室を一軒でも多く近代経営に導く」と「世の中の女性を一人でも多く髪から美しくする」を実現するために、トイレタリーの販売を中心とした「店販」を推進しながら、美容室の経営改善システムである「旬報店システム」を軸とした美容室の経営コンサルティング(コンサルティング・セールス)を展開することで、成長・繁栄につながるさまざまな提案を美容室に行っております。
そのため売上高に占めるトイレタリーの割合は、同業他社に比べ高いことが特徴であります。
なお、総資産は、前事業年度から608百万円増加し、13,693百万円となりました。
主な要因としては、現金及び預金が595百万円減少し、有形固定資産が641百万円、商品及び製品が327百万円、売掛金が50百万円、原材料及び貯蔵品が43百万円増加したことによるものであります。
負債は、前事業年度から29百万円減少し、3,515百万円となりました。
主な要因としては、役員退職慰労引当金が73百万円、未払法人税等が65百万円増加し、未払消費税等が112百万円、製品自主回収関連費用引当金が90百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前事業年度から637百万円増加し、10,177百万円となりました。
主な要因としては、自己株式が492百万円増加し、利益剰余金が1,130百万円増加したことによるものであります。なお、自己資本比率は、74.3%(前事業年度72.9%)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末から95百万円減少し、3,224百万円(前期比2.9%減)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
営業活動により得られた資金は、1,300百万円(前期比359百万円減)となりました。
収入の主な要因としては、税引前当期純利益2,148百万円及び減価償却費281百万円によるものであります。
支出の主な要因としては、法人税等の支払いによる支出471百万円、棚卸資産の増加374百万円によるものであります。
投資活動により使用した資金は、473百万円(前期比820百万円減)となりました。
収入の主な要因としては、定期預金の払戻による収入2,500百万円によるものであります。
支出の主な要因としては、定期預金の預入による支出2,000百万円及び有形固定資産の取得による支出908百万円によるものであります。
財務活動により使用した資金は、922百万円(前期比488百万円増)となりました。
支出の主な要因としては、自己株式の取得による支出492百万円、配当金の支払いによる支出429百万円によるものであります。
当社は、美容室向け頭髪用化粧品及び医薬部外品の製造、販売事業の単一セグメントであるため、セグメントに関連付けた記載はしておりませんが、区分別に示すと以下のとおりであります。
当事業年度における生産実績は、以下のとおりであります。
(注) 上記の金額は、「代理店納入価×生産本数」により算出しております。
当社は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当事業年度における販売実績は、以下のとおりであります。
(注) 1 総販売実績に対する売上高の割合が10%を超える販売先はありません。
2 「その他」の区分は、美容室で利用される販売促進用品等であります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、社内で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。当社は、この財務諸表の作成にあたって「第5 経理の状況」に記載のとおり、有価証券及び棚卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、退職給付引当金の認識、繰延税金資産や資産除去債務の計上等に関し、過去の実績や状況に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の当事業年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
売上高は、前事業年度と比較して113百万円増収の8,804百万円(前期比1.3%増)となりました。区分別の売上高は、トイレタリーが418百万円減収の6,623百万円、整髪料が230百万円増収の1,624百万円、カラー剤が15百万円減収の314百万円、育毛剤が340百万円増収の602百万円、パーマ剤が1百万円増収の109百万円、その他が8百万円減収の96百万円となりました。
一方で、売上原価率は、引き続き行っている原価管理の見直しにより、前事業年度とほぼ同等の28.7%になり、売上総利益は前事業年度と比較して72百万円増益の6,279百万円(前期比1.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、営業活動や物流に係る費用の増加により、前事業年度と比較して203百万円増加の4,259百万円(前期比5.0%増)となりました。
営業利益は、売上総利益の増加額を販売費及び一般管理費の増加額が上回ったことから、前事業年度と比較して130百万円減益の2,020百万円(前期比6.1%減)となりました。
営業外収益は、前事業年度と比較して89百万円増加の121百万円(前期比272.9%増)となりました。これは、主に「COTA KYOTO Lab(研究開発施設)」建設に対する補助金収入(98百万円)を計上したことによるものであります。営業外費用は、前事業年度と比較して20百万円増加の26百万円(前期比331.2%増)となりました。
経常利益は、前事業年度と比較して61百万円減益の2,115百万円(前期比2.8%減)となりました。
特別損益には、特別利益として32百万円を計上しております。これは、前事業年度において計上した「コタ アイ ケア」の一部ロットの自主回収に係る関連費用引当金の戻入益であります。
この結果、税引前当期純利益は、前事業年度と比較して128百万円増益の2,148百万円(前期比6.4%増)となりました。
当期純利益は、前事業年度と比較して167百万円増益の1,560百万円(前期比12.0%増)となりました。1株当たり当期純利益は、前事業年度と比較して5.94円増加の60.14円となりました。
なお、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする経営指標」に記載のとおり、当社は会社の着実な成長と永続という観点から、売上高経常利益率15%以上、ROE10%以上を目標値として定め、継続的かつ安定的に上回ることを目指しております。当事業年度につきましては、上記の要因から売上高経常利益率は24.0%と高い水準で目標値を上回りました。また、収益の構造上、総資産回転率及び財務レバレッジが比較的安定していることに加え、売上高当期純利益率が17.7%となったことから、ROEは15.8%となり、目標値を上回りました。
(資金の主要な使途)
当社は、持続的な企業価値の向上を実現するため、会社の着実な成長と適正な利益水準の維持、適正な経営資源の配分に努めております。経営環境の急激な変化や不測の損失リスクに備え、必要に応じて成長投資資金を調達できる強固な財務基盤の構築及び維持に努めることを基本方針としております。
具体的には、営業活動によって得られた資金を、成長投資、手許資金、株主還元に適切なバランスで配分することを意識しており、成長投資としては運転資金、人材獲得及び育成費用、設備投資、研究開発費等に、手許資金としては今後の事業規模の拡大や研究開発・工場設備への投資、財務基盤の強化、安定的な配当を継続するための原資に、株主還元としては配当金の支払い等に充当しております。
(資金調達の方法及び状況)
当社は、当事業年度末において、現金及び預金5,224百万円に加え換金性の高い金融資産も保有しており、当事業年度末の自己資本比率は74.3%と引き続き良好な財務体質を保っていることから、研究開発や工場設備への投資、コンサルティング・セールスを展開する営業体制の強化等に必要となる資金については、手許資金を活用することを基本としております。
一方で、手許資金を上回る資金調達が必要となる場合には、対象となる投資等の規模や目的、時期等を十分に勘案し、資本市場や金融機関からの調達を検討する等、柔軟に調達手段を選択することとしております。
当事業年度における所要資金は、「COTA KYOTO Lab(研究開発施設)」の建設代金の一部を自己株式を活用した第三者割当による第1回新株予約権(行使価額修正条項及び行使許可条項付)により充当し、その他はすべて自己資金で賄っております。なお、有利子負債はございません。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症との共存により、社会経済活動は徐々に正常化が進み、回復の兆しが見えた一方、原材料やエネルギー価格の高騰等による物価の上昇や円安の進行等により、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような経営環境において、美容室の業績向上に資することができる独自のビジネスモデルである「トイレタリーの販売を中心とした店販戦略」と「旬報店システムを軸としたコンサルティング・セールス」を展開することで、当社はお取引先美容室のより一層の業績向上に取り組み、美容業界の発展と近代化に引き続き注力する考えであります。コロナ禍におきましても、美容室における店販の需要は底堅く、その重要性も再認識されており、さらに消費者からの高付加価値製品へのニーズも高まっております。
2024年3月期につきましては、引き続き、店販戦略の主力であるトイレタリーの「コタ アイ ケア」及び同トップブランドである「コタクチュール」を推進し、拡販を図るとともに、2023年5月にはトイレタリーと整髪料の新製品「コタエイジング バウンスアップ」を発売いたしました。一方で、さらなる成長のための人材の獲得と育成、給与水準の引上げ等を中心とした販売費及び一般管理費の増加等を見込んでおります。なお、設備投資等につきましても、継続して行う予定であります。