株式会社エス・ディー・エス バイオテック

上場廃止 (2021/07/29) 出光興産の完全子会社化 化学農薬東証2部-

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E21969 Japan GAAP

売上高

120.0億 円

前期

123.9億 円

前期比

96.9%

平均給与

676.8万 円

前期

690.0万 円

前期比

98.1%

平均年齢(勤続年数)

43.8歳(14.6年)

従業員数

179人


3【事業の内容】

 当社は、農薬の有効成分(原体)及び原体と補助成分を混ぜ合わせて様々な剤型(粉・顆粒・液等)にした農薬(製剤)の研究開発、製造及び販売を主たる事業としております。

 なお、当社は農薬事業セグメントのみの単一セグメントとなります。

 当社の特徴は、農薬の有効成分(原体)の研究開発に重点を置いていること、横浜工場において製造しているダコニール関連剤(原体及び製剤)を除きまして、基本的に製造行為を外部に委託していることであります。

 日本の農薬の流通ルートは、各JA(農業協同組合)を主体とする「系統ルート」と農薬メーカーとその系列となる販売会社を中心とする「商系ルート」の二つに大きく分かれております。当社の製品は全国農業協同組合連合会(全農)や農薬メーカーへ販売され、上記の両流通ルートを通じて農家等の末端ユーザーへ提供されます。海外販売におきましては、各国の現地販売会社を通じた販売と特定顧客への直接販売が中心となります。

 

 製品分類は主として以下の用途による分類に準じております。

  イ.殺菌剤    :植物病原菌(糸状菌や細菌)の有害作用から作物を守る薬剤

  ロ.水稲除草剤:雑草類の防除に用いられる除草剤のうち、水稲栽培に使用される薬剤

  ハ.緑化関連剤:ゴルフ場や公園等で使用される薬剤及び畑地で使用される除草剤、並びに植物の生理機能を増進または抑制する植物成長調節剤など

  ニ.殺虫剤    :作物に被害を及ぼす害虫の防除に用いられる薬剤

 

当社の主な製品

分類

原体名

製剤名

製品の特徴

殺菌剤

TPN

  (ダコニール)

原体

・1969年生産開始から販売を続けている総合防除殺菌剤。

・園芸の重要病害であるべと病、炭疽病、つる枯病、うどんこ病等幅広い病害に適用があり、基幹防除剤として適している。

ダコニール1000

ダコニールエース

ペフラゾエート

原体

・ばか苗病等の種子伝染性病害に効果を示す水稲種子消毒剤。

・ベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌にも効果を示す。

ジフルメトリム

ピリカット乳剤

・既存の殺菌剤とは異なる構造、作用性を持つ花き専用剤。

・各種耐性菌に対して交差耐性がなく、他剤とのローテーション散布により耐性菌コントロールが可能。

塩基性硫酸銅

クプロシールド

・塩基性硫酸銅を微細化したフロアブル製剤。

・作物への汚れが少なく、糸状菌から細菌性病害まで幅広い病害に優れた予防効果を発揮する。

殺菌剤

(生物農薬)

バチルス アミロ

リクエファシエンス

インプレッション  クリア

・自然界に存在する細菌を利用した微生物殺菌剤。

・うどんこ病、灰色かび病に対して高い効果を示す。

・汚れが少なく、収穫期にも使用できる。

タラロマイセス  フラバス

タフブロック

タフブロックSP

・自然界に存在する糸状菌を利用した微生物殺菌剤。主要な水稲種子伝染性病害に高い予防効果を示す。

・特別栽培米生産に使用できる。

タフパール

・野菜類のうどんこ病やいちごの炭疽病等に予防効果を示すフロアブル製剤の微生物殺菌剤。

水稲除草剤

ダイムロン

原体

・カヤツリグサ科雑草のマツバイ、ホタルイに効果を示す。また、薬害軽減作用を持つことにより、多くの水稲除草剤の水稲への薬害リスクを軽減することができる。

カフェンストロール

原体

・水稲栽培で最も問題となるノビエに対し、効果を示す水稲除草剤。

・ノビエに対しては、発生前~2.5葉期までの処理時期で効果を示し、ノビエ以外のアゼナやコナギといった一年生広葉雑草にも効果を示す。

 

 

分類

原体名

製剤名

製品の特徴

水稲除草剤

ベンゾビシクロン

原体

・一年生広葉雑草の他、難防除雑草のイヌホタルイに対して薬効を示す。また、イボクサ、アシカキ、エゾノサヤヌカグサなどの畦畔から侵入してくる難防除雑草に対しても防除効果を示す。

・抵抗性雑草に対し効果を示し、抵抗性対策剤として配合されている。

テニルクロール

原体

・ノビエの他、アゼナやコナギといった一年生広葉雑草にも効果を示す水稲除草剤。

・初期剤分野でも使用されている。

緑化関連剤

カルブチレート

バックアップ粒剤

・一年生雑草の他、ササ、ススキ、セイタカアワダチソウといった難防除の多年生雑草にも効果を示す。

オールキラー粒剤

・鉄道、駐車場、墓地、家周りといった多くの場所で使用されている。

塩素酸塩

クロレートS

・非選択性、接触型除草剤で一年生雑草から多年生雑草まで広範囲の雑草に効果を示す。

クロレートSL

・土壌中の半減期は、通常の使用条件下で約1.5~2か月と短く、土壌中での長期残留の心配がない。

トリアジフラム

イデトップフロアブル

・イネ科雑草、広葉雑草など一年生雑草に対して優れた防除効果を発揮する芝生用除草剤。

ファルクス

・アミカルバゾンの補填効果により、発生前だけではなく、発生初期の一年生雑草に対しても効果を示す芝生用除草剤。

メチオゾリン

ポアキュア

・メヒシバ、スズメノカタビラといった一年生イネ科雑草に対し優れた効果を示す芝生用除草剤。

アミカルバゾン

アミカル顆粒水和剤

・一年生から多年生の各種広葉雑草に高い効果を示す芝生用除草剤。

ダクタール

原体

・広範囲の雑草に長期間効果を示す除草剤。

・国内農薬登録は失効し、現在は輸出専用製品。

ブトルアリン

イエローリボンS

・たばこのわき芽抑制剤。

・わき芽抑制効果により、芽かき作業の省力化が期待できる。

デシルアルコール

殺虫剤

ノバルロン

カウンター乳剤

・主要な害虫に対して効果を示す。

・寄生蜂、捕食性ダニ等の天敵類やミツバチなどの訪花昆虫に対し影響が少なくIPM(*)防除に適している。

DD

DC油剤

・春先や秋季の低温時でも効果を発揮する殺線虫剤。ネコブセンチュウの他、防除しにくいネグサレセンチュウ、シストセンチュウにも効果がある。

殺虫剤

(生物農薬)

バチルス チューリンゲンシス

チューンアップ顆粒水和剤

・自然界に存在する細菌を利用した微生物殺虫剤。

・環境や天敵に対する影響が少なくIPM(*)防除に適合、有機農産物生産や特別栽培農産物生産に使用できる。

バシレックス水和剤

スタイナーネマ カーポカプサエ

バイオセーフ

・生物農薬でありながら、チョウ目、カミキリムシ類、ゾウムシ類、キノコバエ類など様々な害虫種に適用がある。

その他

TPN

ショウサイドT

・ゴム、プラスチック、木材等幅広い素材に使用でき、汎用性がある工業用殺菌剤。

(工業用薬剤)

(*)IPM

Integrated Pest Management(総合的病害虫管理)の略称。

安定した農業生産を実践する上で、病害虫による農作物被害を抑えるための手段を総合的に講じ、人の健康へのリスクと環境への負荷を軽減するための概念。(出典:農林水産省ウェブサイト、総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針より)

 

 また、非連結子会社である史迪士(上海)化学制品有限公司は、中華人民共和国において、当社製品の開発、技術普及活動をしております。関連会社であるフマキラー・トータルシステム株式会社は、当社とフマキラー株式会社との合弁会社で、防疫剤・シロアリ剤、木材保存剤等の化学薬品の製造及び販売、並びに環境改善サービスを展開しております。当社は、非農薬事業に係る製品を同社に販売し、同社が顧客に販売しております。また、関連会社である江蘇新河農用化工有限公司は、中華人民共和国においてダコニール原体及びその原料の製造及び販売を行っており、当社は、ダコニール原体を購入しております。以上述べた事項を系統図によって示すと、以下のとおりとなります。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

(※1)国内外の仕入先より仕入れた原材料は、当社で製造用に使用される他、当社より製造委託先へ支給(有償/無償)され、当社の製造の用に供されております。

(※2)親会社である出光興産株式会社とは、除草剤販売等の取引を行っております。その取引条件については市場価格を勘案し、一般取引条件と同様に取引の妥当性について十分な審議を経たうえで決定しております。

(※3)フマキラー・トータルシステム株式会社は、当社とフマキラー株式会社との合弁会社で、関連会社であります。

(※4)江蘇新河農用化工有限公司及び江蘇新沂泰禾化工有限公司は、関連会社であります。

なお、江蘇新沂泰禾化工有限公司の工場は、現在運転を停止しております。

(※5)史迪士(上海)化学制品有限公司は、非連結子会社であります。

 

21/06/24

1【業績等の概要】

(1)業績

 わが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和政策の効果等を背景に、緩やかな回復基調を維持しながらも新興国経済の減速や英国の欧州連合(EU)離脱の決定等による金融資本市場の不透明感が高まり、一部に弱さがみられました。また、雇用情勢は改善が続いているものの、企業の景況感において慎重さが増していることから、個人消費は消費者マインドに足踏みがみられ、概ね横ばいに推移しました。

 農業を取り巻く環境は、世界的には人口増加や新興国の経済成長、バイオ燃料の需要増加に伴って農作物需要が拡大しており、中長期的にも成長が継続するものと思われます。一方、国内においては、政府による農業改革が本格化し、農業の生産性を高め、従事者所得を増やすことを目標に、現在、農業生産資材価格の引き下げや農産物流通の構造改革について議論が重ねられております。農薬についても、ジェネリック農薬の登録の在り方を含め、農薬取締法の運用を国際標準に合わせる方向で議論が進められており、急速な市場環境の変化に対応した取り組みが求められております。

 このような中、当社グループの状況は、世界的なダコニール需要の増加により、当社主力製品であるダコニール原体やその中間体IPNの出荷が好調であったものの、国内の水稲除草剤分野において、ベンゾビシクロンの新規混合剤への切り替えが遅れたこと及び海外での農薬登録の遅れにより出荷が伸び悩みました。また、インド連結子会社であるSDS Ramcides CropScience Private Limited(以下「Ramcides社」という。)において、過年度の天候不順による在庫調整の影響や病害虫の発生が少なかったこともあり、売上高は低調に推移したことで赤字となり、4億97百万円の債務超過に陥りました。そのため、買収時の販売計画と著しい乖離が生じたことから連結決算において「のれん」の減損処理を行い、減損損失として7億78百万円を特別損失に計上致しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は149億88百万円、営業利益は7億34百万円、経常利益は5億61百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は2億3百万円となりました。

 なお、前連結会計年度は、決算期の変更により、平成27年1月1日から平成28年3月31日までの15ヵ月間となっております。そのため、前年同期比については記載しておりません。

 

 当社グループは農薬事業セグメントのみの単一セグメントでありますが、事業の傾向を示すために品目別に業績を記載します。

 

(殺菌剤)

 当連結会計年度における売上高は57億円となりました。主な製品としては、国内向け及び海外向けダコニール関連剤(原体及び製剤)です。

 

(水稲除草剤)

 当連結会計年度における売上高は38億62百万円となりました。主な製品としては、国内向け及び海外向けベンゾビシクロン原体並びに国内向けダイムロン原体です。

 

(緑化関連剤)

 当連結会計年度における売上高は27億20百万円となりました。主な製品としては、カルブチレート関連剤、クロレート関連剤及び海外向けダクタール原体です。

 

(殺虫剤)

 当連結会計年度における売上高は18億9百万円となりました。主な製品としては、D-D関連剤及びチューンアップ顆粒水和剤です。

 

(その他)

 当連結会計年度における売上高は8億94百万円となりました。主な製品としては、ダコニールの中間体IPN及び連結子会社がインド国内で販売する機能性肥料です。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、長期借入金の返済、たな卸資産の増加、法人税等の支払等による減少がありましたが、長期借入金による調達等により、7億47百万円となりました。主な要因は、以下のとおりとなります。

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果支出した資金は百万円となりました。主な内訳は、減価償却費の計上3億25百万円、減損損失の計上7億78百万円、のれんの償却額の計上1億20百万円による収入があったものの、仕入債務の減少4億1百万円、たな卸資産の増加1億89百万円、利息の支払額3億53百万円、法人税等の支払額1億49百万円の支出が上回ったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は2億59百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出2億79百万円、無形固定資産の取得による支出18百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は2億19百万円となりました。主な内訳は、長期借入金による資金調達23億円、長期借入金の返済23億46百万円、配当金の支払2億15百万円によるものです。