E38645
前期
61.6億 円
前期比
111.9%
株価
2,250 (04/25)
発行済株式数
2,367,000
EPS(実績)
186.31 円
PER(実績)
12.08 倍
平均年齢(勤続年数)
39.2歳(14.4年)
従業員数
443人
当社は、技術革新が急速に進む情報サービス産業において、システムインテグレーション(注1)サービスの提供を役務としており、既存技術の強化に加え、DX(デジタルトランスフォーメーション)(注2)やクラウドコンピューティングなど新たな技術分野にも事業展開しております。
当社は、この50年の歴史の中で、株式会社日立製作所と40年以上、三菱電機ソフトウエア株式会社と30年以上にわたりシステム開発実績を積み重ねることで、ビジネスパートナーとしての関係を築いており、売上高の大きな割合を占める大口取引先となっております。
当社事業は、システムインテグレーションサービス事業の単一セグメントでありますが、事業戦略上、事業領域を「金融事業」、「産業流通事業」、「社会公共事業」、「ITイノベーション事業」の4つのサービスラインに区分しております。
各サービスラインの概要及び特徴と、協力会社との連携は以下のとおりであります。
(1)サービスラインの概要
① 金融事業
地銀・都銀、取引所、保険、証券、クレジットの各分野のシステムインテグレーション、コンサルティング、ソフトウェアの設計・開発・保守等、ソフトウェア開発の全領域に対応した総合的なサービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発、運用保守を中心に展開しております。
当サービスラインは、以下の分野で構成しております。
<地銀・都銀分野> 基幹系三大業務(預金、貸付、為替)及び付随業務、周辺業務のシステム開発、保守並びにミドルウェア(注3)の開発、保守
<取引所分野> 清算業務のシステム開発、保守
<保険分野> 損害保険業務(火災、自動車)及び生命保険業務(養老、終身、医療)のシステム
開発、保守
<証券分野> 保管振替システムの構築
<クレジット分野> 請求管理業務及び審査業務、個人ローン業務のシステム開発、保守
② 産業流通事業
産業流通、マイコン、医療の各分野は東京・名古屋・大阪に組織を配置し、ソフトウェアの設計・開発・保守全般における総合サービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発、運用保守を中心に展開しております。
当サービスラインは、以下の分野で構成しております。
<産業流通分野> 流通/医薬ユーザや自動車関連システムの開発、保守
<マイコン分野> 家電製品のマイコンソフト、モータ・ロボット系組み込みソフトの受託開発
<医療分野> 自社製品「臨床検査システム/CLIP」(注4)、「健診システム/MEX-Plus」(注5)の販売及び顧客ニーズに即したカスタマイズ開発、保守
③ 社会公共事業
社会基盤(電力ICT、社会インフラ、電力系統、交通)分野、メディア情報分野、公共分野、文教・教育系分野のシステムインテグレーション、コンサルティング、ソフトウェアの設計・開発・保守等、ソフトウェア開発の全領域に対応した総合的なサービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発を中心に展開しております。
当サービスラインは、以下の分野で構成しております。
<電力ICT分野> 託送システム(注6)の開発
<社会インフラ分野> 道路、河川、ダム等の監視制御システムの開発
<電力系統分野> 電力系統制御システムの開発
<交通分野> 鉄道電力管理システムの開発
<メディア情報分野> クラウド環境でのWEBシステム(注7)、ビッグデータ加工システム(注8)の開発
<公共分野> 自治体業務システムの開発、稼働維持並びに官公庁のシステム再構築
<文教・教育系分野> 教学事務(入試・教務・学生生活)及び教育支援システムの開発、保守
④ ITイノベーション事業
2022年4月から追加(金融事業から独立)したサービスラインです。
自社の競争力強化に向け、先端技術をリードする人材育成及び、さまざまな事業領域のデジタルソリューションサービス事業拡大に向け、元請システムインテグレーターとの協業を推進しております。また、各分野のシステム全体を支えるフロントシステムエンジニア(注9)として、システム全体の見積り、業務支援アプリケーションパッケージの設定、オンプレミスシステム(注10)及びクラウドシステムのインフラ構築、プロジェクトマネージメントのサービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発、運用保守を中心に展開しております。
当サービスラインは、以下の分野で構成しております。
<地銀・信金分野> サーバ環境の維持保守、投資信託システムの開発、保守
<保険分野> 生命保険基幹システムの開発、保守
<クレジット分野> クレジットカードセキュリティ基準(注11)導入システムの基盤構築、運用保守
<産業流通分野> サーバ環境の運用保守、クラウド環境の基盤構築
<総合情報サービス分野> サーバ環境の構築、携帯OSの開発、保守
(2)サービスラインの特徴
① 金融事業
地銀・都銀のほか、流通系銀行の勘定系システムに加え、ネットバンキングシステムなどのサブシステムの開発・保守を基盤事業としておりますが、今後は、オープンイノベーション(注12)に関わるDX化へと基軸を移行しつつあります。
これらDX化への取組みとしまして、次世代オープン勘定系システム(注13)開発への参画、保険分野での現行システムをサーバ環境で動作させるためのマイグレーション(注14)事業及び、ビッグデータ活用に向けたシステムのオープン化事業への参画等のDX化事業にも注力しております。
② 産業流通事業
産業流通分野では、ビッグデータを活用した受注予測システムの構築やクラウドコンピューティング需要が増加しております。DX関連事業は伸長しており、これまで培った要素技術に加え、分野間での技術融合による新しいソリューション事業の構築を目指しております。小売り事業者の販売、物流管理システム開発等に参画しております。また、マイコン分野では培った開発技術によるIoT組込みソリューション事業の拡大に注力しております。
更に、医療分野では2021年8月に臨床検査システム新製品「CLIP-Version5」を販売開始しました。この製品は、電子カルテ等の他システムとの連携性や操作性の向上を図っております。新健診システム「MEX-Plus」含め、ご利用いただいております全国の病院・施設システムの更改や新しい顧客への導入を目指しております。
③ 社会公共事業
メディア情報分野では、2020年10月から作業開始した新分野であり、クラウド環境でのWEBシステム開発、ビッグデータ加工システム開発を中心とした、DX化に力を入れ顧客ニーズに対応しております。この一環として、電力ICT分野のシステム開発にも積極的に取組んでおり、大きな成長分野となっております。
また、公共分野では自治体のガバメントクラウド(注15)(Gov-Cloud)活用を見据えて、自治体情報システムの標準化対応へ参画する等、DX化事業にも注力しております。
④ ITイノベーション事業
当サービスラインの主な特徴は、顧客ファーストの観点で、一人ひとりがお客様目線で考え、お客様の事業継続、発展に貢献し、お客様に近いところでシステム全体を支えるフロントシステムエンジニアとして活動している集団であります。
顧客のDX化事業を含めた業務改革の取組みを支援するシステム開発や、元請システムインテグレーターとの協業によるデジタルソリューション事業の拡大に注力しております。
(3)協力会社との連携
顧客ニーズの高度化、オープン化(注16)の進展によるシステムの複雑化が進み、開発の難易度がますます増加しております。各サービスラインにおいては、システムインテグレーションサービスの提供にあたって、システムの構築にかかる顧客ニーズに柔軟に応えられるよう当社の社員のみならず、当社と協力会社(外注先)が技術を共有し連携して一体となってプロジェクトに参画しております。当社では協力会社のシステムエンジニアが当社と一体になれるよう安定的、継続的な発注、定期的な情報交換を実施し、長期的な協力関係を構築できるよう推進しており、大型プロジェクトへの参画可能な環境を整えております。
(注)1.システムインテグレーションとは、利用目的に合わせて、多種多様のハードウエア・ソフトウエア・メディア・通信ネットワークなどのなかから最適のものを選択し、組み合わせて、コンピューターシステムを構築することであります。
2.DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術の活用によって企業のビジネスモデルを変革し、新たなデジタル時代にも十分に勝ち残れるように自社の競争力を高めていくことであります。
3.ミドルウェアとは、OS(基本機能を提供するオペレーティングシステム)と、アプリケーション(各種業務処理の遂行に特化したソフトウェア)との間に位置付けられ、OSが提供する基本機能を用いてアプリケーションの開発負担を軽減することに重点を置いたソフトウェアのことをいいます。
4.自社製品「臨床検査システム/CLIP」とは、血液、血清、細菌、病理、生理といった各検査部門ごとにデータ管理する分散型処理機構と検査室の依頼、検査データを一元管理する臨床検査システムです。
5.自社製品「健診システム/MEX-Plus」とは、病院及び健診センターにおける、人間ドックや企業健診などをサポートする健康診断支援システムです。
6.託送システムとは、電力会社が所有する送配電網を利用して需要家に電気を供給する電力小売事業者に対して、請求する託送料金を送電線の使用量に応じて計算するシステムです。
7.当社開発のWEBシステムには、違法動画コンテンツ検出システム及びテレビCM枠購入予約システム等があります。
8.当社開発のビッグデータ加工システムには、テレビメーカ視聴ログを活用する各種システムがあります。
9.フロントシステムエンジニアとは、ユーザの要望を的確に把握し、ITの技術をどう活かせば要望を満たせるかユーザと一緒に考え、システム導入に向けユーザと一緒にプロジェクトを推進していくエンジニアをいいます。
10.オンプレミスシステムとは、サーバやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設の構内に機器を設置して運用することです。
11.クレジットカードセキュリティ基準:PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)とは、クレジットカード会員の情報を保護することを目的に定められた、クレジットカード業界の情報セキュリティ基準です。2004年に国際カードブランドのAmerican Express、Discover、JCB、MasterCard、VISAの5社によって策定されました。
12.オープンイノベーションとは、メーカやベンダに拘らず、異業種、異分野が持つ技術やアイデア、サービス、ノウハウを組合せ、革新的なビジネスモデルにつなげる方法論です。
13.次世代オープン勘定系システムとは、株式会社静岡銀行と株式会社日立製作所が共同開発したオープン基盤上で稼働する勘定系システムです。株式会社日立製作所は本システムを製品化し、他の金融機関への導入を進めています。
14.マイグレーションとは、サーバを移行することです。最近では、クラウド環境への移行が主流となってきております。
15.ガバメントクラウドとは、政府の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の利用環境のことです。
16.オープン化とは、従来、大規模な情報システムで採用されていた、メーカごとに非公開の固有の仕様を持つメインフレーム(大型汎用機)を中核とするシステム構成から、標準規格や公開仕様に基づく汎用製品を主体としたシステム構成に置き換えることです。
[事業系統図]
当社の主要なサービスライン別に、当社と顧客等との関連を事業系統図で示すと以下のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は4,402,930千円となり、前事業年度末に比べ195,642千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が180,858千円、仕掛品が10,777千円、前払費用が6,199千円増加した一方、売掛金が3,311千円減少したことによるものであります。固定資産は816,263千円となり、前事業年度末に比べ186,239千円増加いたしました。これは主に工具、器具及び備品が2,518千円、投資有価証券が76,416千円、繰延税金資産が101,887千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における流動負債は1,247,235千円となり、前事業年度末に比べ446,836千円増加いたしました。これは主に長期未払金が振り替わったこと等により未払金が507,825千円増加した一方、買掛金が22,193千円、未払法人税等が14,095千円、賞与引当金が18,419千円減少したことによるものであります。固定負債は142,649千円となり、前事業年度末に比べ522,868千円減少いたしました。これは主に前述のとおり長期未払金が500,000千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は3,829,308千円となり、前事業年度末に比べ457,912千円増加いたしました。これは利益剰余金が393,629千円、その他有価証券評価差額金が64,283千円増加したことによるものであります。
b.経営成績の状況
当事業年度における国内経済は、官民一体となって取組んできた新型コロナウイルス感染症対策の成果により、ウィズコロナのもとで各種政策の効果もあり、一部に弱さがみられるものの、景気は緩やかに持ち直してきました。一方、世界的な金融引締め等が続いており、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクや、物価上昇による企業の設備投資姿勢の慎重化や消費者の消費意欲の減退が、景気回復の抑制要因となることが懸念されました。
当社が属する情報サービス業界においては、設備投資に持ち直しの動きがみられ、ソフトウェア投資も緩やかに増加しております。また、アフターコロナを見据えた事業構造の変革や競争力の強化を狙うDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の流れはますます加速しており、中長期的にも市場規模の拡大が期待されております。
こうした環境のもと、当社はクラウド、AI、ビッグデータ、ロボティクスなどのDX関連事業を成長の柱とする中期経営計画を推進しており、不足する人材を確保するために経験者採用へのアプローチを強化するとともに、DX人材の教育育成にも力を入れ、早期に戦力化することに全力をあげております。また、既存顧客とのパートナーシップの強化による当社事業領域の拡大及び顧客満足度の向上に努め、DX関連分野をはじめとする新分野に係る案件獲得に努めてまいりました。
また、当事業年度に係る株主総会の終結の時をもって、当社取締役会長の山田孝が取締役を任期満了に伴い退任する予定であり、退任に伴い支給を予定している役員退職慰労未払金に係る繰延税金資産がスケジューリング可能となったことに伴い、法人税等調整額が152,900千円減少いたしました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高6,163,836千円(前年同期比2.9%増)、営業利益502,153千円(前年同期比21.4%増)、経常利益517,413千円(前年同期比7.2%増)、当期純利益497,479千円(前年同期比46.9%増)となりました。
当社事業は、システムインテグレーションサービス事業の単一セグメントでありますが、事業戦略上、事業領域を「金融事業」、「産業流通事業」、「社会公共事業」、「ITイノベーション事業」(注)の4つのサービスラインに区分しております。
(注)2022年4月から、新技術領域の強化を目的に「金融事業」から独立した、「ITイノベーション事業」を設置し、4つのサービスラインとしました。このサービスラインは、さまざまな事業領域のデジタルソリューション事業を担当するとともに、他のサービスラインと横断的に協力し、当社のDX関連事業を強化・推進させてまいります。
当社のサービスライン別の業績を示すと、次のとおりであります。
|
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 |
|||
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
||||
売上高 |
(千円) |
5,992,188 |
6,163,836 |
102.9 |
|
|
金融事業 |
(千円) |
2,329,367 |
2,469,705 |
106.0 |
産業流通事業 |
(千円) |
1,774,051 |
1,757,123 |
99.0 |
|
社会公共事業 |
(千円) |
1,440,570 |
1,449,100 |
100.6 |
|
ITイノベーション事業(注) |
(千円) |
448,198 |
487,906 |
108.9 |
|
営業利益 |
(千円) |
413,650 |
502,153 |
121.4 |
|
経常利益 |
(千円) |
482,609 |
517,413 |
107.2 |
|
当期純利益 |
(千円) |
338,551 |
497,479 |
146.9 |
(注)前事業年度は、ITイノベーション事業(2022年4月に金融事業から独立)設置前にはなりますが、前事業年度における金融事業の売上高に含まれる、ITイノベーション事業相当の売上高を算出し、前事業年度のITイノベーション事業の売上高としております。また、同額を金融事業の売上高より控除して前事業年度の金融事業の売上高としております。
(a) 金融事業
金融事業は、地銀・都銀、取引所、保険、証券、クレジットの各分野のソフトウェア設計開発及び運用保守を中心に事業を展開しております。
引き続き主力である地銀・都銀分野での受注拡大に注力しつつ、引き合い件数が増加している保険分野での新規案件の受注獲得にも尽力し、両分野を中心として堅調に推移しております。
この結果、売上高は2,469,705千円(前年同期比6.0%増)となっております。
(b) 産業流通事業
産業流通事業は、産業流通、マイコン、医療の各分野のソフトウェア設計開発及び運用保守を中心に事業を展開しております。
主力である産業流通分野につきましては流通システム案件、自動車関連システム案件、医薬システム案件を中心に堅調に推移いたしましたが、期初における半導体不足等の影響により、マイコン分野、医療分野においては案件の遅延や案件金額の減少が生じました。
この結果、売上高は1,757,123千円(前年同期比1.0%減)となっております。
(c) 社会公共事業
社会公共事業は、社会基盤(電力ICT等)分野、メディア情報分野、公共分野、文教・教育系分野のソフトウェア設計開発及び運用保守を中心に事業を展開しております。
主力である電力ICT分野、社会インフラ分野につきましては堅調に推移いたしましたが、公共分野において得意先の入札結果の低迷や、メディア情報分野においての業容拡大の停滞等の影響を受け、事業全体としては鈍化いたしました。
この結果、売上高は1,449,100千円(前年同期比0.6%増)となっております。
(d) ITイノベーション事業
ITイノベーション事業は、システム全体を支えるフロントシステムエンジニアとして、受託開発、運用保守を中心に事業を展開しており、2022年4月から追加(金融事業から独立)したサービスラインになります。
一部の案件に開発開始の遅延が生じる等ありますが、総じてクラウドシステムのインフラ構築案件等、確実な受注ができていることにより堅調に推移しております。
この結果、売上高は487,906千円(前年同期比8.9%増)となっております。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ180,858千円増加し、2,089,135千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は305,821千円(前事業年度は210,723千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益が517,413千円、法人税等の支払額が148,049千円、仕入債務の減少額が22,193千円、退職給付引当金の減少額が22,873千円、賞与引当金の減少額が18,419千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は18,112千円(前事業年度は76,346千円の収入)となりました。これは主に、固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は106,850千円(前事業年度は83,080千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額103,850千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をサービスラインごとに示すと、次のとおりであります。
サービスライン名称 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
金融事業 |
(千円) |
2,096,746 |
104.6 |
産業流通事業 |
(千円) |
1,482,352 |
99.0 |
社会公共事業 |
(千円) |
1,130,281 |
97.8 |
ITイノベーション事業 |
(千円) |
408,129 |
110.1 |
合計 |
(千円) |
5,117,510 |
101.8 |
(注)金額は製造費用によっております。なお、サービスラインに共通して発生する品質管理等費用(33,787千円)は上記には含めておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をサービスラインごとに示すと、次のとおりであります。
サービスライン名称 |
当事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|||
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
金融事業 |
2,535,845 |
108.3 |
550,986 |
113.6 |
産業流通事業 |
1,811,174 |
102.3 |
340,973 |
118.8 |
社会公共事業 |
1,562,137 |
108.7 |
306,551 |
158.4 |
ITイノベーション事業 |
500,270 |
110.9 |
119,143 |
111.6 |
合計 |
6,409,427 |
106.8 |
1,317,655 |
122.9 |
(注)金額は販売価格で表示しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をサービスラインごとに示すと、次のとおりであります。
サービスライン名称 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
金融事業 |
(千円) |
2,469,705 |
106.0 |
産業流通事業 |
(千円) |
1,757,123 |
99.0 |
社会公共事業 |
(千円) |
1,449,100 |
100.6 |
ITイノベーション事業 |
(千円) |
487,906 |
108.9 |
合計 |
(千円) |
6,163,836 |
102.9 |
(注)1.金額は販売価格で表示しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社日立製作所 |
2,655,373 |
44.3 |
2,755,932 |
44.7 |
メルコ・パワー・システムズ株式会社(注) |
636,013 |
10.6 |
- |
- |
(注)2022年4月に、同社を含む三菱電機株式会社のソフトウェア設計子会社6社が経営統合し、
「三菱電機ソフトウエア株式会社」に社名を変更しております。なお、当事業年度における同社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の状況
当事業年度末における総資産は5,219,193千円となり、前事業年度末と比較して381,881千円の増加となりました。また、当事業年度末における自己資本は、3,829,308千円となり、前事業年度末と比較して457,912千円の増加となりました。
以上の結果から、当事業年度末における自己資本比率は73.4%(前事業年度末は69.7%)となり前年同期比で3.7ポイント上昇いたしました。
b.経営成績の状況
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当事業年度の売上高は6,163,836千円であり、前事業年度より171,647千円増加(2.9%増)いたしました。主な要因としては、DX関連案件の獲得が堅調であったことによるものであります。
また、売上原価は5,131,554千円となり、前事業年度より66,064千円増加(1.3%増)となりました。これにより、売上総利益につきましては、前事業年度より105,582千円増加(11.4%増)の1,032,282千円となっております。
当事業年度におけるサービスライン別の経営成績(売上高)の状況に関する認識及び分析は、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績の状況 の項目をご参照ください。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は530,128千円であり、前事業年度より17,079千円増加(3.3%増)いたしました。主な要因は、人員増加に伴い給料及び手当が11,112千円増加したことによるものであります。
その結果、営業利益は502,153千円となり、前事業年度より88,502千円増加(21.4%増)いたしました。
(営業外損益及び経常利益)
当事業年度の営業外収益は18,260千円となり、前事業年度より50,698千円減少(73.5%減)いたしました。これは保険解約返戻金が減少したことによるものであります。また、当事業年度の営業外費用は3,000千円であり、前事業年度より3,000千円増加いたしました。これは、上場関連費用を計上したことによるものであります。
その結果、経常利益は517,413千円となり、前事業年度より34,804千円増加(7.2%増)いたしました。
(当期純利益)
当事業年度の法人税等合計は19,933千円となり、前事業年度より124,123千円減少(86.2%減)いたしました。主な要因としては、スケジューリング可能となった長期未払金に係る繰延税金資産の計上(152,900千円)及び税率変更による繰延税金資産の取崩(36,793千円)等に伴い、法人税等調整額が124,454千円減少したことによるものであります。
以上の結果より、当期純利益は497,479千円となり、前事業年度より158,927千円増加(46.9%増)いたしました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討)
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況の項目をご参照ください。
当事業年度においては、財務活動で使用した資金は、営業活動により得られた資金で賄えており、財務健全性を維持できているものと判断しております。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社の主な資金需要は、労務費、外注費、事務所の賃借料並びに経費等の支払いを目的とした運転資金となります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金で賄うことを基本としております。今後、新型コロナウイルス感染症の広がりや収束時期に関連する必要な資金需要に対しては、財務健全性を勘案しながら金融機関からの借入等も含め、柔軟な資金調達を行ってまいります。
なお、当事業年度末現在、当社は通常の営業上の運転資金に対して十分な規模の現金及び現金同等物を保有しており、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)」に記載されているとおりであります。この財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産)
当社は、一時差異等のスケジューリングの結果、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。しかしながら、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得水準の見積りに依存するため、結果として将来の繰延税金資産の計上額が変動し、税金費用に影響を与える可能性があります。
(受託開発のソフトウェアに係る収益及び費用の計上基準)
当社は、受託開発のソフトウェアに係る収益について、原則として、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合に、その進捗を、発生したコストに基づくインプット法(原価比例法)により見積って収益を認識しております。
収益総額、見積原価総額及び決算日における進捗度について、最新の情報を使用しておりますが、作業内容及び工数等に不確実性を伴う要素が含まれるため、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
当社は、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当事業年度末において損失の発生可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる開発案件について、翌事業年度以降に発生が見込まれる損失を引当計上しております。損失見込額は最新の情報を使用して算定しておりますが、予見不能な事象の発生や作業内容及び工数等に不確実性を伴う要素が含まれるため、見積りと実績に差異が生じる可能性があります。なお、当事業年度末におきましては、計上はありません。
(プログラム保証引当金)
当社は、販売済ソフトウェアの保証期間中における補修費に備えるため、過去の実績に基づく補修見込額及び個別案件に対する補修見込額を引当計上しております。補修見込額は最新の情報を使用して算定しておりますが、予見不能な事象の発生や作業内容及び工数等に不確実性を伴う要素が含まれるため、見積りと実績に差異が生じる可能性があります。