E32144 Japan GAAP
前期
138.7億 円
前期比
116.3%
前期
399.5万 円
前期比
102.3%
平均年齢(勤続年数)
33.3歳(3.9年)
従業員数
0.0人(連結:2,158人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当連結会計年度末日時点において、当社、子会社3社及び関連会社1社により構成されており、「障害のない社会をつくる」というビジョンのもとで社会課題を解決するための事業を、基幹事業として運営しております。
当社グループでは、現在全国230拠点以上で就労や学びを支援するサービスを提供しております。加えて、プログラミング等一般教育分野への展開も進めております。さらに、これらの施設運営で培ってきたノウハウを活用し、障害福祉領域におけるインターネットプラットフォーム事業等を行っています。これら、自社運営の施設サービスとインターネットプラットフォーム事業を組み合わせることで、より高品質のサービスをより多くの方々へ提供し、ビジョンの実現を目指しております。
当社グループは個人向けサービスとしてLITALICOワークス事業、LITALICOジュニア事業、LITALICOワンダー事業、LITALICOライフ事業の4事業を、また施設や従事者向けのインターネットプラットフォーム事業としてLITALICO発達ナビ事業、LITALICO仕事ナビ事業、LITALICOキャリア事業の3事業を運営しております。
内閣府「障害者白書」(2019年)によると、日本における障害者数は、身体障害者436万人(人口千人当たり34人)、知的障害者108.2万人(同9人)、精神障害(※用語解説①)者419.3万人(同33人)であり、およそ国民の7.6%が何らかの障害を有していることになります。
また、文部科学省「通級による指導実施状況調査結果について」(2019年)によると、通級による指導(※用語解説②)を受けている児童生徒数の推移は、1993年度12,259人から2019年度134,185人に増加しております。
このような状況をうけ、一人ひとりの可能性が最大化され、生きづらさを解消するための問題解決を、以下の事業を通じて実現しています。
当社グループのセグメント区分と事業・サービスは下記のとおりです。
(注) 1.上記セグメント区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
2.当社グループにおいて、国民健康保険団体連合会等の行政から報酬を得る事業を公費事業(公費)と定めております。その他の事業は国民健康保険団体連合等の行政から報酬を得ない私費事業となります。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
当社グループの拠点数の推移は下記のとおりです。
(注) 1.地域別では、2021年3月末時点、北海道地方4拠点、東北地方3拠点、関東地方155拠点、中部地方15拠点、近畿地方46拠点、中国地方5拠点、九州地方7拠点となっております。
2.LITALICOプラットフォーム事業は、拠点を持たないため上記の表に含めておりません。
(1) LITALICOワークス事業
LITALICOワークス事業は、就労移行支援事業、就労定着支援事業、特定相談支援事業の3つの事業から構成されております。
① 就労移行支援事業
当事業は、当社グループの運営する就労移行支援事業所において、行政(市区町村)によって障害福祉サービス受給者証を発行された65歳未満の障害者に対して、就労移行支援を行う事業です。
当社グループの運営する就労移行支援のサービス内容は、就労を目指す65歳未満の障害者(以下、顧客という)を対象にしたコミュニケーション訓練、PCスキルを向上するための訓練、職場実習等の職業訓練等であり、これらを実施することで、顧客の適性と希望職種のマッチング、応募先企業の開拓や選定時のサポートを行います。また、企業を選定した後には、模擬面接等の面接訓練も行い、さらに就労後6ヶ月間まで定着の支援を行います。当連結会計年度における当社グループの運営する就労移行支援事業所からの就職者の58.9%は精神障害のある方となっております。
就労移行支援事業所には、障害者総合支援法により一定数のサービス管理責任者や職業指導員等の人員配置が定められております。
当社グループの運営する就労移行支援事業所のサービスの流れは以下のとおりです。
就労移行支援事業の特徴は以下のとおりです。
a.就職実績
積極的な求人開拓と書類添削や模擬面接、面接同行などの就活支援を実施してLITALICOワークス事業を利用した方々の就職先は1,000社以上にのぼり、創業以来、当連結会計年度末時点において就職者数は8,703名になります。また、当連結会計年度末時点の就職6ヶ月後の定着率は89.7%となりました。
b.長く働くための充実したカリキュラム
電話応対、ビジネスコミュニケーション、ストレス対処法など豊富な実践的プログラムやPC訓練にとどまらず、「長く安心して働き続けたい。」顧客のそんな気持ちに応える就労支援サービスを提供しております。自分にあった就職をすることと、ひとりで抱え込まないことなど、「どう働きたいか」「自分らしく働く」を大切に、カリキュラムを構成しています。
c.顧客に即した支援サービスを提供するための採用と育成体制
入社時に知識として、「就労移行支援の理解」「障害に関する知識の習得」「支援方法の理解」を学びます。その後の6ヶ月間、事業所での実践を踏まえて、知識がスキルとして定着するようフォローアップ研修を行っていきます。研修は単なる座学の提供にとどまらず、テストによる理解度確認や、ロールプレイを通して実践的な理解を促進するなど、支援で求められる知識とスキルを身につけられる内容になっています。
また、スキルアップとして社内で設けている等級制度に則り、スキルアップしていくための研修を実施しています。障害のある方に対しての支援スキルのみならず、雇用側の企業に対してのアプローチ方法や、各種社会資源と連携しながら地域での支援をコーディネートしていくソーシャルワークなど、就労支援における一連の業務を正しく理解、実践していることを、知識の埋め込みだけでなくプレゼンやロールプレイ、さらには実地でのスーパーバイズも交え、実践を重視した研修を行っています。
d.職場定着支援
就職者と就職先企業双方へアプローチを行い、就職者の継続的な就労を6ヶ月間まで支援しております。具体的には、企業と就職者との三者面談や企業との二者面談、就職者との二者面談を行い、就職先での活躍と定着を支援しております。
② 就労定着支援事業
当事業は、行政(市区町村)によって障害福祉サービス受給者証を発行された65歳未満の就労者に対して、定着支援を行う事業です。就労後6ヶ月以降から最大3年間利用可能で、月に1回の就職者との面談等を行います。就労定着支援事業所には、障害者総合支援法により一定数のサービス管理責任者や就労定着支援員等の人員配置が定められております。
③ 特定相談支援事業
当事業は、当社グループの運営する相談支援センターにおいて基本相談支援と計画相談支援を行うサービスです。障害福祉サービスを利用する前に、障害のある方に適した「サービス等利用計画」を作成し、利用計画を作成した後も定期的に障害福祉サービスの利用状況などをモニタリングして、変更が必要な場合には利用計画の改善を行う事業です。相談支援センターには、障害者総合支援法により一定数の相談支援専門員等の人員配置が定められております。
(2) LITALICOジュニア事業
LITALICOジュニア事業は、児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業、保育所等訪問支援事業、学習教室事業の4つの事業から構成されております。全事業ともに以下の特徴を有しております。
a.個別最適で多様性を持つ教育
児童一人ひとりの発達段階に沿った指導計画を用いることで、児童が持つ多様な可能性を拡げる個別最適な指導の実践しております。小さな成功体験を繰り返し積むことで、児童が徐々に目標に到達できるように指導計画を工夫しております。
b.保護者・地域社会とのコミュニケーションの充実
児童に対する教育は、教室の中だけではなく家庭においても重要でありますので、保護者が教室内での授業を、外からモニタで見学できるITシステムを導入し、保護者に対して授業内容のフィードバックや教育ノウハウの個別アドバイスも実施しております。また、家庭だけではなく児童が生活する地域社会への働きかけも重視しており、保育園や幼稚園、医療機関と連携した指導計画の策定を行っております。このように、児童とその家庭だけではなく、地域社会そのものへの働きかけを行うことも特徴の一つです。
c.教室スタッフの専門性
教室スタッフには、健常児だけの教室や、障害児だけの教室のスタッフにはない教育スキルや、保護者とのコミュニケーション能力が必要となりますので、それを可能とする教室スタッフの採用や育成に注力しております。採用においては、実務経験の有無だけでなく、高度なコミュニケーション能力を備えているか、児童の成長により良い影響を与えられる人材であるか、といった側面も重視して選考しております。育成においては専門の研修部門を設立しており、新入スタッフは入社時に1ヶ月間の研修を受けております。また研修部門では、既存スタッフの能力練磨も担っており、人事制度と連携させることでスタッフの成長意欲を亢進させております。研修部門の講師には国内外から有識者、経験者を集り、体系的な学問に基づく独自の教育体系を構築しております。
d.教室の内装と立地
児童や保護者が教室に通うことへの抵抗感を減らし、楽しんで通いたくなる教室を目指して、所謂「施設」のイメージではなく遊び心のあるポップな家具や内装にしております。教室の出店は沿線・地域に沿ってドミナント展開することで、保護者間の口コミや関係機関との信頼構築にも有利に働いており、新規出店時の顧客獲得も容易となるなど、新規出店後数ヶ月を待たずに定員に達する傾向にあります。
① 児童発達支援事業
当事業は、当社グループの運営する教室において、行政(市区町村)によってサービス受給者証を発行された発達障害がある未就学児を中心に、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練等を提供する事業です。児童発達支援事業には、児童福祉法により一定数の児童発達支援管理責任者や指導員等の人員配置が定められております。
② 放課後等デイサービス事業
当事業は、当社グループの運営する教室において、行政(市区町村)によってサービス受給者証を発行された発達障害がある学齢期の児童を中心に、授業の終了後又は休業日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を提供する事業です。放課後等デイサービス事業には、児童福祉法により一定数の児童発達支援管理責任者や指導員等の人員配置が定められております。
③ 保育所等訪問支援事業
当事業は、行政(市区町村)によってサービス受給者証を発行された発達障害児に対し、その児童が通う保育所、幼稚園、小学校等の施設へ指導員が訪問し、集団生活への適応訓練等を提供する事業です。保育所等訪問支援事業には、児童福祉法により一定数の児童発達支援管理責任者や訪問支援員等の人員配置が定められております。
④ 学習教室事業
当事業は、公費事業である児童発達支援事業又は、放課後等デイサービス事業の対象外(サービス受給者証未発行者)となる発達障害がある、もしくは、発達障害の可能性がある児童を中心に、生活に必要な力となる身辺自立やコミュニケーションスキルの体得、基礎的な力となる読み書きや、集団行動スキルの体得支援等の教育サービスを提供しております。学習教室事業は、法律に基づく公費サービスではないため、人員配置の定めはございません。
(3) LITALICOプラットフォーム事業
LITALICOプラットフォーム事業の事業成長と共に重要性が増したことから、当連結会計年度より「LITALICOプラットフォーム事業」を報告セグメントとしております。
当セグメントの事業領域は、LITALICO発達ナビ事業、LITALICO仕事ナビ事業、LITALICOキャリア事業です。
① LITALICO発達ナビ事業
当事業は、発達障害児や発達が気になる子どもを持つご家族を対象とするポータルサイト『LITALICO発達ナビ』を通して、サイトユーザーに向けてユーザー同士が質問し合えるSNS機能や、地域の施設情報の口コミ情報、療育事例、その他発達障害児の子育てに関する情報を提供しております。
また、障害児を対象とした障害福祉サービスの事業所(児童発達支援、放課後等デイサービス)に向けて、『LITALICO発達ナビ』上に施設情報を掲出し、サイトユーザーからの問い合わせが獲得できるサービスと、手軽にオンライン上で研修を受けたり、利用したい教材を検索しダウンロードできる研修・教材サービス、そして事務作業を一元管理できる運営支援サービスを提供しております。
② LITALICO仕事ナビ事業
当事業は、働くことに障害のある方を対象とする就職情報ポータルサイト『LITALICO仕事ナビ』を通して、サイトユーザーに向けて地域の就労支援施設が検索できる機能や、就職に関する情報を提供しております。
また、障害者の就労を支援する障害福祉サービスの事業所(就労継続支援A/B型、就労移行支援)に向けて、『LITALICO仕事ナビ』上に施設情報を掲出し、サイトユーザーからの問い合わせが獲得できるサービスを提供しております。
③ LITALICOキャリア事業
当事業は、障害福祉分野に特化した就職・転職支援サービス『LITALICOキャリア』を通じて、求人情報の掲載だけでなく、障害福祉分野の様々な職種等の情報を提供しております。
(4) その他
① LITALICOワンダー事業
当事業は、未就学児(主に年長)から高校生まで幅広い年代の子どもたちを対象に、プログラミングやロボット、3Dプリンターを活用したデジタルファブリケーション、デザインなど、最先端のデジタルものづくりを通じた教育を提供する事業です。
当事業の特徴は、プログラミング・ロボット開発など「IT×ものづくり」を通して、子どもの興味・関心をベースとした自主的な学びを引き出し、子どもたちの考える力、作る力、伝える力を育みます。
② LITALICOライフプランニング事業
当事業は、障害児を持つご家族を対象に、ライフプランの作成を支援するサービスです。障害分野の専門性を活かして、障害児の特性を考慮した進路、就労等の相談に乗りながらライフプランの作成を支援します。また、ファイナンスの専門性を活かして、プラン実現のための財務シミュレーションや家計の見直しをサポート、必要がある場合は保険の見直し販売を行います。
当社グループの事業系統図は以下のとおりになります。
<店舗サービス 公費事業>
※1 報酬の計算方法は以下のとおりです。
顧客人数(注1)×単価(注2)=報酬額
(注1) 顧客人数は上限となる定員数が定められております。
(注2) 当社における標準的な単価は以下のとおりです。
(基本報酬単価+各種加算)×(1+処遇改善加算)×地区単位
※2 顧客当人の自己負担分は10%となっております。ただし、所得水準に応じて支払(自己負担)を免除される顧客(保護者)が存在し、当社のLITALICOワークス事業における実績では、9割以上の方に自己負担なくご利用いただいております。
<店舗サービス 私費事業>
※ 料金は全額自己負担(保護者負担)となっており、コンビニエンスストア決済もしくは銀行口座引き落としとなります。
<LITALICO発達ナビ事業/LITALICO仕事ナビ事業/LITALICOキャリア事業>
<LITALICOライフプランニング事業>
<用語解説>
<当社グループに関連する主な法律>
(1)業績
当事業年度における我が国の経済は、政府や日銀による経済・金融政策等の効果により、景気は緩やかな回復基調が続いております。しかし、新興国を始めとした海外経済の下振れリスクや、英国の欧州連合(EU)離脱等の影響が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社を取り巻く事業環境においては、発達障害児等の特別な支援が必要な児童に対して、担当する教員を安定的に配置することを一つの柱とする義務教育標準法等の改正法案が閣議決定されるなど、我が国政府は少子化対策の一環として、発達障害児支援も重点項目として取り上げております。
また、障害者の就労分野においては、平成30年度より法定雇用率の算定基礎に精神障害者が加わることで、法定雇用率が引き上げられる流れもあり、障害者雇用に対する旺盛な需要が見込まれております。
このような外部環境の変化を踏まえ、長期的利益の安定成長を実現するため、一般就労等を希望される障害者等を対象としたLITALICOワークス事業の一層の強化や業務効率の改善、発達障害がある児童を対象としたLITALICOジュニア事業への投資を継続しております。具体的には、当事業年度の新規開設数は、就労移行支援事業6拠点、児童発達支援事業6教室、放課後等デイサービス事業12教室、その他(LITALICOワンダー事業)1教室となりました。
なお、当社は、当事業年度において、お客様にサービスの安心感を伝えるとともに、各サービスの質をさらに高めていくことを目的に、一部事業のサービスブランドを「LITALICO」の下に統合いたしました。それにともない、報告セグメント名称をWINGLE事業からLITALICOワークス事業へ、Leaf事業からLITALICOジュニア事業へとそれぞれ変更を行っております。
このような事業環境のもと、当事業年度の業績につきましては、売上高は8,729,693千円(前事業年度比20.2%増)、営業利益は669,943千円(前事業年度比19.2%増)、経常利益は650,891千円(前事業年度比21.9%増)となり、当期純利益は419,095千円(前事業年度比40.2%増)となりました。
セグメントごとの業績は以下のとおりです。
①LITALICOワークス事業
既存拠点及び新規開設拠点が順調に推移したことにより、当事業年度の売上高は4,310,832千円(前事業年度比6.1%増)となりました。
②LITALICOジュニア事業
既存教室及び新規開設教室が順調に推移したことにより、当事業年度の売上高は3,987,288千円(前事業年度比30.0%増)となりました。
③その他
既存教室及び新規開設教室が順調に推移したこと及び、インターネット事業の収益化により、当事業年度の売上高は431,572千円(前事業年度比218.3%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前事業年度末に比べ353,932千円減少し、627,682千円となりました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、421,328千円(前事業年度比20.1%減)となりました。これは主に、売上債権の増加により183,079千円、法人税等の支払により253,096千円の支出となった一方で、税引前当期純利益608,237千円、減価償却費213,627千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、900,638千円(前事業年度比96.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得により689,427千円、無形固定資産の取得により65,927千円、敷金の差入により91,696千円を支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は125,377千円(前事業年度比66.1%減)となりました。これは主に、長期借入金による収入900,000千円となった一方で、短期借入金の返済により300,000千円、長期借入金の返済により354,418千円、長期未払金の返済により98,818千円を支出したことによるものであります。