E32811 Japan GAAP
前期
19.5億 円
前期比
168.5%
株価
18 (02/25)
発行済株式数
28,398,600
EPS(実績)
3.81 円
PER(実績)
4.73 倍
前期
546.0万 円
前期比
94.3%
平均年齢(勤続年数)
35.9歳(5.7年)
従業員数
41人(連結:155人)
当社グループは、当社(グレイステクノロジー株式会社)、子会社5社により構成されており、国内・国外の各種産業機械やソフトウエアメーカーを中心に、製品に付随する操作系及び運用系の技術マニュアル、さらに企業内で使われる業務マニュアルなどあらゆるマニュアルのコンサルティング、企画・構成、編集、制作及び翻訳(多言語化)を専門とするマニュアルオーダーメードサービス(「MOS事業」)を提供するとともに、それらマニュアルのデジタル化を推進し、企業のマニュアルに係る工数・コスト低減を実現するマニュアル基幹システム「e-manual」及び「読む」「見る」からの脱却を実現する完全誘導型「GRACE VISION®」の導入・運営を行うマニュアルマネージメントシステム(「MMS事業」)を展開しております。
(主な関係会社)
「MMS(マニュアルマネージメントシステム)事業」:当社、HOTARU株式会社
「MOS(マニュアルオーダーメードサービス)事業」:当社、HOTARU株式会社、螢日国際貿易(上海)有限公司
(当社グループが扱うマニュアルの主な対象)
※画像省略しています。
(当社グループが扱う主なマニュアル)
操作系 |
運用系 |
業務系 |
・取扱説明書 ・設置マニュアル ・リファレンスマニュアル ・パーツカタログ ・ヘルプ/GUI ・チュートリアル |
・導入マニュアル ・メンテナンスマニュアル ・整備マニュアル ・制御マニュアル ・運用マニュアル ・トレーニングマニュアル ・サポート・修理マニュアル |
・業務マニュアル ・管理マニュアル ・セールスマニュアル ・接客応対マニュアル ・システム運用マニュアル ・社員研修マニュアル ・人事系マニュアル |
当社グループの事業内容は次のとおりです。なお、以下の事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」のセグメントと同一の区分です。
(1)MMS(マニュアルマネージメントシステム)事業
MMS事業では、マニュアル基幹システム「e-manual」及び「GRACE VISION®」の導入・運営を行なっており、その機能は、(ⅰ)マニュアルの企画・構成、編集、制作をWeb上で行う作成プラットフォーム、(ⅱ)デジタル化されたマニュアルのユーザーへの配信、管理、ユーザーの閲覧及び問い合わせに対応するポータルサイト、(ⅲ)デジタル化されたマニュアルの印刷物を注文・管理するシステムの主に3つで構成されております。
マニュアル基幹システム「e-manual」を導入する利点としては、(ⅰ)Microsoft Word、Adobe InDesignまたはAdobe FrameMaker等の特定のアプリケーションに依存することなくWeb上でテキストを入力するだけで自動的に汎用性が高いXML形式のデータにすることができ、かつDTPの専門知識がなくても簡単にレイアウト調整もできること、(ⅱ)製品毎のマニュアル作成にあたって既存マニュアルの活用・転用が容易になるため、作成効率が向上すること、(ⅲ)マニュアル制作の進捗や作成履歴の管理機能及び承認機能を搭載していることなどが挙げられます。当社ではマニュアル制作のあり方を含め、顧客毎に最適なマニュアル基幹システム「e-manual」の導入及び運営を提案しております。
「GRACE VISION®」は、マニュアルを読まなくても見なくても、搭載されたAIと会話をしながらメンテナンス等の作業を導いてくれる、スマートグラスです。この完全誘導型マニュアルの導入及び制作を提案しております。
(MMS事業における「e-manual」の機能イメージ図)
※画像省略しています。
なお、マニュアル基幹システム「e-manual」の契約形態はクラウド型(グレイスクラウド)が基本であり、機能追加やバージョンアップに迅速に対応しております。
※画像省略しています。
(2)MOS(マニュアルオーダーメードサービス)事業
MOS事業では、専門性の高い各種マニュアル制作の受託業務を行っております。具体的には、テクニカルライティング(ユーザーの目線で正確かつ分かり易い文書を作成すること)及び技術翻訳、印刷業務を提供しております。
当社グループは、マニュアルがメーカーとユーザーをつなぐ重要なコミュニケーションツールであると捉え、ユーザーの利用目的に応じた注意事項や潜在的な疑問点に的確に応えたマニュアル作りを提案しております。具体的には、メーカーのコールセンターやヘルプデスク等に寄せられたお問い合わせ内容の分析や製品の利用状況のリサーチ、製品の設計資料を読み込み、技術者へのヒアリング、操作確認やモニタリング等、ゼロベースからテクニカルライティングを行っております。
こうしたユーザー目線のテクニカルライティングによって、ユーザーは当該製品の性能・機能・特性などを的確に理解でき、ひいては当該製品もしくはメーカーに対するロイヤリティーの向上にも繋がると考えられます。
技術翻訳においては、高精度な機械翻訳も実用化されてきておりますが、原文が正確でない場合、高精度な技術翻訳を行ったとしてもマニュアルとしての役割を果たす文章にならない場合があります。当社グループは、機械翻訳では対応が難しい部分を賄えるような技術翻訳を行っております。
※画像省略しています。
[事業系統図]
※画像省略しています。
文中の将来に関する情報は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号、2020年3月31日)等を適用しております。ただし、財政状態及び経営成績に与える影響は軽微なため、前連結会計年度末および前連結会計年度との比較分析は、調整を加えることなく単純比較を行っております。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展に伴い経済活動正常化への期待が高まりましたが、足元では変異株による感染拡大や度重なる緊急事態宣言の発出等に伴う経済活動の抑制により厳しい環境が続いており、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
国内大手メーカーでは、先行き不透明な状況下で当社の扱うマニュアル関連への積極的な投資は控える傾向にありますが、各メーカーがレジリエンス、グリーン、デジタルを主軸に課題解決を進めているなか、これらの課題を解決するツールとして、「本当に使えるもの」「無駄な経費・工数のかからない」品質の高いマニュアルに注目され、当社の使命と市場ニーズとの整合性が見出されております。このような経済環境の下、当社では、付加価値の高い製品・サービスの提供に積極的に取り組んでまいりました。
経営戦略につきましては、当社の主力サービスである「e-manual」の導入促進を積極的に図りました。また、HOTARU株式会社との連携強化を進めました。今後もより一層、グループ全体で「e-manual」「GRACE VISION®」の普及に努めてまいります。
米国子会社 GraceVision Inc.につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大による往来抑制の影響により、現在も稼働を停止しております。
技術面につきましては、「e-manual」及び「完全誘導型AIマニュアル」である「GRACE VISION®」の機能向上に引き続き取り組んでおります。
営業面につきましては、クライアントからの「高品質なマニュアル」への要求の高まりから、コンサルティング案件及び「e-manual」の導入に注力しております。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高3,285,477千円(前連結会計年度比68.5%増)、経常利益654,668千円(同70.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益108,109千円(同79.4%減)となりました。
当連結会計年度の業績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
① MMS事業
MMS事業においては、上記のとおり、「e-manual」サービスの導入促進及びコンサルティング案件の獲得を積極的に図った結果、売上高621,555千円(前連結会計年度比32.6%増)、セグメント利益268,792千円(同76.8%増)となりました。
② MOS事業
MOS事業においては、既存顧客への是正提案及び2020年11月に子会社化したHOTARU株式会社を通期で連結した結果、売上高2,663,922千円(前連結会計年度比79.8%増)、セグメント利益756,050千円(同40.2%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末と比較し2,073,959千円減少し、1,603,277千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は150,021千円(前連結会計年度は1,290,450千円の増加)となりました。これは、法人税等の支払額390,638千円、未払金の減少額17,166千円等による資金の減少があった一方で、税金等調整前当期純利益267,506千円の計上等による資金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は464,042千円(前連結会計年度は372,515千円の減少)となりました。これは、定期預金の預入による支出393,915千円等による資金の減少があった一方で、定期預金の払戻による収入770,772千円、投資有価証券の売却及び償還による収入64,340千円等による資金の増加があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は2,458,002千円(前連結会計年度は1,110,092千円の増加)となりました。これは、長期借入金の返済による支出1,726,818千円、短期借入金の減少額450,000千円、配当金の支払額255,403千円等によるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
MMS事業 |
182,076 |
156.7 |
MOS事業 |
1,375,869 |
231.5 |
合計 |
1,557,946 |
219.3 |
(注)金額は、製造原価によっております。
(2)受注実績
当社の取引は、受注から売上計上までの期間が比較的短く、また、企画・構成、編集、制作及び翻訳の途中で仕様変更・内容変更が発生する場合もあるため、受注実績の記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
MMS事業 |
621,555 |
132.6 |
MOS事業 |
2,663,922 |
179.8 |
合計 |
3,285,477 |
168.5 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
ダイキン工業株式会社 |
272,140 |
14.0 |
1,592,979 |
48.5 |
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
下記文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は4,799,947千円となり、前連結会計年度末に比べて2,109,250千円の減少となりました。
(流動資産)
流動資産は3,844,012千円となり、前連結会計年度末に比べて1,925,541千円の減少となりました。これは主に、未収還付法人税等が361,854千円、未収消費税等が140,590千円増加した一方で、現金及び預金が2,213,666千円、有価証券が238,350千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産は955,935千円となり、前連結会計年度末に比べて183,708千円の減少となりました。これは主に、有形固定資産が75,648千円、無形固定資産が56,892千円減少したことによるものであります。
(流動負債)
流動負債は2,799,334千円となり、前連結会計年度末に比べて658,944千円の減少となりました。これは主に、未払法人税等が94,010千円増加した一方で、短期借入金450,000千円、1年内返済予定の長期借入金259,850千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は136,754千円となり、前連結会計年度末に比べて1,396,893千円の減少となりました。これは主に、繰延税金負債が77,366千円増加した一方で、長期借入金が1,466,968千円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産合計は1,863,857千円となり、前連結会計年度末に比べて53,411千円の減少となりました。これは主に、為替換算調整勘定が88,507千円増加した一方で、利益剰余金が141,772千円減少したことによるものであります。
(2)経営成績の分析
① 売上高
売上高は3,285,477千円(前連結会計年度比68.5%増)となりました。主な要因として重点顧客へ積極的な営業活動を実施し、大口顧客獲得に成功した結果です。
② 売上原価、売上総利益
売上原価は1,558,510千円(同120.8%増)となりました。この結果、売上総利益は1,726,966千円(同38.8%増)となりました。
③ 販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は1,147,017千円(同31.8%増)となりました。この結果、営業利益は579,949千円(同55.1%増)となりました。
④ 営業外収益、営業外費用及び経常利益
営業外収益は主として受取保険金であり、91,454千円(同287.9%増)となり、営業外費用は主として支払利息であり、16,735千円(同18.2%増)となり、この結果、経常利益は654,668千円(同70.8%増)となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は267,506千円(同56.0%減)となり、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は108,109千円(前連結会計年度比79.4%減)となりました。
(3)資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、登録スタッフであるマニュアルのテクニカルライター・翻訳者等への外注費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に「e-manual」や「GRACE VISION®」のソフトウェア開発等の無形固定資産への投資等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は236,756千円、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,603,277千円となっております。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「世界一の“わかる”を創り出す企業」を目指すという経営目標のもとで、マニュアルを通じて、メーカーとユーザー、人と人、企業と人をつなぐコミュニケーションビジネスを展開し、形や常識とされる既成概念に捉われず、「解る」・「理解できる」を追求することで、当社に心底傾倒し、お客様自身の体制をも変化させていただけるような、絶大なる支持を得られるように事業展開を行っております。
具体的には、国内・国外のメーカーを中心に、産業機械などの工業製品や会計システムなどの情報サービスソフトウェアに付随する操作系マニュアル、運用系マニュアルや、各企業における業務系マニュアルまで、お客様の目的に合致した技術マニュアルをコアに、各種マニュアルの管理・配信・閲覧・制作を支援する「e-manual」の企画、導入コンサルティング及び運営のサービスを提供するMMS事業と、エンドユーザーの立場に立って、ユーザーログの分析をベースとしたテクニカルライティング(原稿執筆)を行うとともに、輸出対象国の言語に翻訳(多言語化)する等のサービスを提供するMOS事業を展開しております。
2018年1月には、これまでのテクニカルライティングの手法を踏まえ、読むことも、見ることも、覚える必要もない、従来にはない全く新しい完全誘導型AIマニュアル「GRACE VISION®」を発表して、更なる「解る」・「理解できる」の追求に邁進しています。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社経営陣は、急速な業界環境や経済動向の変化に対応するため、当社事業のあるべき将来像を描き、収益機会を創造し、明確な目標設定を基本とする戦略的事業展開を推進し、これらの変化を的確に捉え、時に先取りして、入手可能な情報に基づき最善の経営意思決定をするように努めております。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、今後の世界経済の先行きへの懸念が非常に高まっております。当社の主要ターゲットである国内大手メーカーは、引き続き厳しい経営環境に置かれておりますが、当社においては、マニュアルのプロとして、ドキュメントコンサルティング、マニュアル制作及び「e-manual」の導入促進とあわせ、「GRACE VISION®」を積極的に販売することにより、技術伝承、人手不足及びコストダウンなど、国内大手メーカーの生産性向上を支援してまいります。
これまでのところ、当社の業績に大きな変調は見受けられません。今後、感染症の影響が長期化した場合は、収益が減少する可能性がありますが、そのような状況下においても、当社は生産性の向上とコストダウン等の対策を実施し、収益減少を最小限に抑えるよう努めてまいります。
なお、今後の解決すべき主たる重点課題及び今後の方針等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の項目をご参照下さい。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (追加情報)」に記載のとおりであります。