E21671
前期
94.8億 円
前期比
101.9%
株価
1,285 (04/09)
発行済株式数
12,912,800
EPS(実績)
84.22 円
PER(実績)
15.26 倍
平均年齢(勤続年数)
40.0歳(4.4年)
従業員数
114人(連結:118人)
「レオス」とは古代ギリシャ語で「流れ」という意味の言葉です。日本にある人財・資本・知恵・技術などたくさんの資産「キャピタル」の「流れ(レオス)」をつくる工房「ワークス」でありたいという想いが当社の社名には込められています。
そして、見えない価値を見つめるという想い、この目に見えない価値を結びつけ新しい大きな流れを創り出したいという志を込めて、当社のロゴを作りました。ロゴは点字の「レオス」をデザインしたものです。目には見えないもの、触れてみないと分からないもの、そこに企業の大きな価値や未来が潜んでいると考えます。
※画像省略しています。
なお、「日本のみんながひふみでつみたて」をスローガンに、日本中に「ひふみ」によるつみたて投資を普及させ、当社の経営理念である「資本市場を通じて社会に貢献します」の実現を目指すべく、当社がこれまで培った企業文化や経営理念を大切にしながらも、SBIグループが有するブランドイメージや認知度の高さを生かして「ひふみ」ブランドの浸透・価値向上を図ることを幅広い方々に認識いただくため、2024年4月1日より、商号を「レオス・キャピタルワークス株式会社」から「SBIレオスひふみ株式会社」に変更する予定です。
(1)当社グループの事業内容
当社グループの事業領域は、投信投資顧問事業の単一セグメントであり、投資信託委託業務、投資顧問業務(投資一任契約に係る業務)及びその他業務から構成されます。
① 投資信託委託業務
投資信託とは、お客様から投資いただいた資金を国内外の株式等に投資し、その運用成果をそれぞれのお客様の投資額に応じて分配する仕組みの金融商品です。投資信託委託業務では、投資信託の設定、運用及び販売を行っております。
当社グループが運用を行っている投資信託は2023年3月末現在、以下のとおりです。
|
販売経路別 |
|||
公募投資信託 (直接販売) |
公募投資信託 (間接販売) |
私募投資信託 |
||
投資資産別 |
国内株式 |
- |
- |
レオス日本小型株ファンド (一般投資家私募) |
内外株式 |
ひふみ投信 |
ひふみプラス ひふみ年金 ※ まるごとひふみ100 |
- |
|
海外株式 |
ひふみワールド |
ひふみワールド+ ひふみワールド年金 ※ |
- |
|
内外資産複合 (バランスファンド) |
ひふみらいと |
まるごとひふみ15 まるごとひふみ50 |
まるごとひふみ50 (適格機関投資家専用) |
※ ひふみ年金、ひふみワールド年金は、確定拠出年金(iDeCo/企業型DC)専用の投資信託です。
公募投資信託(直接販売)は、当社グループが運用を行うとともにインターネットを通じて販売も行う投資信託です。当社グループでは、運用会社が直接お客様に販売する形式をとることで、販売会社の意向に左右されることなく、独自の営業活動やお客様とのコミュニケーションを図ることが可能となっています。当社グループに口座を保有するお客様に対しては、「投資信託を保有して楽しい」と感じていただけるようなイベントやセミナーを開催し、密にコミュニケーションをとることで、お客様の資産形成をサポートしています。
公募投資信託(間接販売)は、販売会社(証券会社、銀行等)が、当社グループの投資信託をそれぞれの販売会社のお客様へ販売する投資信託です。お客様が当社グループの投資信託をお買い求めやすい環境を提供するため、地方銀行、ネット証券といった様々な金融機関を販売会社として採用し、販売チャネルの多様化を図っております。
(ア)投資信託委託業務の仕組みについて
投資信託委託業務においては、当社が投資信託委託会社(委託者)として投資信託を組成し、投資家から集めた資金を運用し、その成果を投資家に配分しております。
投資信託委託会社では、経済・金融情勢などのデータを収集・分析し、運用の専門家がこれまでの経験等を駆使しながら、どの企業に投資するのかを考え、信託銀行に対して運用を指図します。
当社では、お客様からお預かりした運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定される信託報酬から、信託銀行への手数料を差し引いた金額を委託者報酬として受け取ります。さらに、間接販売においては、委託者報酬の一部から、各販売会社が販売する当社の投資信託の残高に一定率を掛け合わせた代行手数料をそれぞれの販売会社に支払っております。
(a)投資信託(直接販売)の仕組み図
※画像省略しています。
(b)投資信託(間接販売)の仕組み図
※画像省略しています。
(イ)投資信託の特徴
(a)「ひふみ」ブランド
いわゆる「老後2,000万円問題」に象徴されるように、日本国民の将来に対する不安が高まっている中、日本銀行が毎年公表する家計金融資産におけるリスク資産の割合は依然として低水準に留まっており、日本の家計における投資へのハードルは引き続き高いままであるのが現状です。当社グループでは、このハードルを少しでも低くして、よりたくさんの方々に資産形成を始める一歩を踏み出していただくためには、投資信託を単なる金融資産ではなく、お客様に長く大切にされる資産形成の大切なパートナーに育て上げたいと考えており、当社グループが運用するすべての公募投資信託の名称には「ひふみ」というブランドを使用しています。
「ひふみ」には「次のゆたかさの、まんなかへ」という想いを込めています。投資を通じてお金を提供することで社会を動かしていくということが金融の力であり、これを促すことが当社グループの役割です。「ひふみ」は、同じ想いを持つお客様と投資先の会社をつなぐものでありたい、お客様の夢や希望をかなえるための資産形成のまんなかの存在でありたい、そのような信念でできており、この「ひふみ」ブランドを支えるのが、当社グループの「運用力」「発信力」「販売力」という3つのチカラです。
(b)運用力
当社グループの運用方針は、独自に発掘した成長企業に投資をし、守りながらふやす運用を目指すことです。
当社グループのアナリストやファンドマネージャーは、事業内容、企業規模などにとらわれることなく、実際に企業に足を運び、企業の活動状況を目の当たりにし、企業が目指す理想の未来を経営者と共有して、企業が提供する製品・サービスが世の中にどのような影響を与えるのか、当該企業の属する産業は今後どのようにあるべきかなど、会社訪問の中で経営者と面談して得られる定性情報の分析を行います。これらに加え、国内外の産業の動向や、個別企業の成長性、バリュエーションなどの定量情報の分析を実施して投資先の選定を行い、中・長期的な将来価値に対して市場価値が割安だと考えられる銘柄や、安定的に業績を上げている成長企業に長期的に投資しております。
なお、2019年10月から海外株式に投資する「ひふみワールド」の運用を開始したことを契機として、米国ニューヨーク市に調査拠点を設置し、海外企業についても成長性のある企業を独自のルートで発掘していく体制を整備いたしました。
一方で、「守る」とは、投資対象企業の株価の変動(リスク)をさまざまな形で低減し、基準価額の変動を抑えることを指します。マーケットの変化に柔軟に対応し、幅広い銘柄に投資をすることで、相場の上下によるお客様のハラハラドキドキをできるだけ低減し、安心して長期にわたり保有して頂く運用にこだわっています。具体的には、IT企業など成長企業の王道のような銘柄から、地味で地道に収益をあげる銘柄まで、さまざまな価値観を組み入れることで、投資のリスク(価格変動)の大きさに比べてどれだけリターン(収益率)を得られるかを測るためのモノサシと言える「シャープレシオ」(リターンをリスクで割った数値)を高位に保つことを目標としております。
これまでの実績として、「ひふみ投信」については、株式会社格付投資情報センター(R&I)が「シャープレシオ」を定量評価に用いて選定する「R&I ファンド大賞」を直近5年間(2019年~2023年)継続的に受賞しております。
(c)発信力
当社グループは自分たちの顔をしっかり見せて、Face to Faceでお客様とコミュニケーションすることを大切にしており、セミナー、イベント、運用報告会等を実施して、お客様に投資のたのしさや重要性をお伝えしております。例えば、当社グループの投資信託の話をはじめてお聞きになられる方や投資が初めてという方向けの「はじめてのひふみ」や、毎月月初に「ひふみ投信」などの運用結果とともに運用責任者やアナリストたちがどのような視点で経済・株式相場を捉え、運用を行っているかなどについてお話しする「ひふみアカデミー」などのセミナーの開催、当社グループが直接販売する公募投資信託を保有するお客様を対象に、当社グループのメンバーとともに経済や投資、企業を身近に感じていただく投資先企業の社会科見学の開催などを通して、「投資=悪」というイメージを払拭し、長期・分散・つみたて投資の促進を図っております。
さらに、Webサイトにて運用メンバーのインタビュー記事等を公開し、セミナーをYouTubeやZoom等で配信することで「顔の見える運用」を意識した情報発信を行い、当社グループの運用メンバーを少しでも身近に感じていただき、安心して投資していただく環境を整えることを心がけています。
また、2021年1月には、お金や投資についてたのしく・わかりやすく発信するYouTubeチャンネル『お金のまなびば!』を開設いたしました。『お金のまなびば!』は、「資本市場を通じて社会に貢献します」という当社グループの経営理念を元に、お客様の資産形成ニーズや不安に寄り添った内容を、できるだけ平易な言葉を使いながら配信をしています。具体的には、当社代表の藤野が解説する「なぜ株価は上昇しているのか」、各業界で活躍されるゲストと本気でお金を語る対談「100億円の驚きの使い方!?」、お笑い芸人、フリーアナウンサーなど著名人とお金について語らう「マネーキャンプシリーズ」などが好評で、視聴者の年代も、10代から60代以上の方まで、幅広い方々に視聴いただいており、2023年3月末時点でチャンネル登録者数は21.5万人となっています。
(d)販売力
当社グループの販売手法の強みは、直接販売と間接販売という2つの販売チャネルを持っていることです。
直販販売のチャネルを持っていることはとても重要です。お客様と直接コンタクトすることで、当社グループのメッセージを確実にお伝えし、当社グループの商品ブランドをしっかり育てることができるからです。また、長期の資産形成を促すコスト体系として、直接販売する公募投資信託の一部においては、長期に保有するほど信託報酬率が低減する日本初の仕組み「資産形成応援団(信託報酬一部還元方式)」を導入しています。この仕組みは、5年以上当社グループの投資信託を保有している場合に、信託報酬をあらかじめ決められた応援率分、実質的に割り引く制度です(注)。
また、当社グループは、日本の大手金融機関から地方銀行、ネット証券など2023年3月末時点で96社の販売会社と取引をしており、幅広いサポートを得ています。お客様が当社グループの口座をお持ちでなくても、既にお持ちの金融機関の口座で、又は、近くに店舗のある金融機関で、当社グループの投資信託を購入し、資産形成を始めることができるよう、今後も販売会社の開拓を行ってまいります。
(注)実際には、当社グループが一旦通常の信託報酬額を受け取り、応援率分を半年毎にお客様口座に入金することで新規投資信託の買付に充当され、自動的に投資信託の口数が増加することになります。
② 投資顧問業務(投資一任契約に係る業務)
投資一任契約とは、お客様から投資判断を任され、お客様に代わりお客様の資産運用を行う契約のことで、この契約に基づき投資資金を受託、運用する業務を行っています。
(ア)当社グループ投資顧問業務の運用資産残高と特徴
当社グループでは、投資一任契約に基づき、国内企業年金基金や海外ソブリンウェルスファンドなどを受託し運用しております。
(イ)投資顧問業務の仕組みについて
投資顧問業務においては、当社とお客様との間で投資一任契約を締結し、当社が投資家から投資判断や投資に必要な権限を委任され、投資家を代理して証券会社への売買発注などを行います。
※画像省略しています。
投資顧問業務の収益は、お客様からお預かりした運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定される投資顧問報酬と、運用成績に応じて受け取る成功報酬から構成されます。
③ その他業務
2021年4月にベンチャー企業への出資等を目的とした、「レオス・キャピタルパートナーズ株式会社」を100%子会社として設立しました。レオス・キャピタルパートナーズ株式会社は、2022年2月1日にRheosCP1号投資事業有限責任組合を設立し、ベンチャーキャピタル業務を開始しております。
(2)投資信託委託業務及び投資顧問業務の運用資産残高の推移について
当社グループの2016年3月末以降の投資信託委託業務及び投資顧問業務における運用資産残高の推移は次のとおりです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。
(単位:億円)
|
2016年 3月末 |
2017年 3月末 |
2018年 3月末 |
2019年 3月末 |
2020年 3月末 |
2021年 3月末 |
2022年 3月末 |
2023年 3月末 |
公募投資信託 (直接販売) |
308 |
491 |
1,355 |
1,307 |
1,193 |
1,763 |
1,864 |
1,885 |
公募投資信託 (間接販売) |
803 |
1,365 |
5,853 |
6,256 |
5,371 |
6,699 |
8,169 |
8,414 |
私募投資信託 |
39 |
44 |
72 |
82 |
51 |
66 |
52 |
15 |
投資信託合計 |
1,151 |
1,902 |
7,282 |
7,646 |
6,616 |
8,529 |
10,086 |
10,315 |
投資顧問合計 |
534 |
862 |
1,170 |
1,070 |
855 |
1,079 |
993 |
1,127 |
全社合計 |
1,685 |
2,764 |
8,452 |
8,716 |
7,471 |
9,608 |
11,079 |
11,443 |
(注)当該数値は、東陽監査法人による監査を受けておりません。
[事業系統図]
※画像省略しています。
※ お客様から販売会社に支払われる手数料は販売会社が設定するものであり、当社グループの収益に寄与するものではありません。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。また、当社グループは、投信投資顧問事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は8,704百万円となり、前連結会計年度末に比べ146百万円増加いたしました。うち、流動資産は352百万円増加し、7,737百万円となりました。これは主に現金及び預金が未収委託者報酬及び未収投資顧問報酬の回収等により266百万円、営業投資有価証券が新規取得により217百万円増加した一方、回収により未収委託者報酬が107百万円、前払費用が32百万円減少したことによるものであります。固定資産は967百万円となり、前連結会計年度末に比べ205百万円減少いたしました。これは主として減価償却により有形固定資産が173百万円、主として繰延税金資産の減少により投資その他の資産が37百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は2,610百万円となり、前連結会計年度末に比べ851百万円減少いたしました。うち、流動負債が857百万円減少し、2,432百万円となりました。これは主に前連結会計年度末計上の広告宣伝費の支払いにより未払金が303百万円、募集等受入金の減少等により預り金が188百万円、法人税等の納付により未払法人税等が361百万円減少したことによるものであります。固定負債は177百万円となり、前連結会計年度末に比べ5百万円増加いたしました。これは主に退職給付に係る負債の計上により5百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は6,094百万円となり、前連結会計年度末に比べ998百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金1,087百万円の計上、非支配株主持分の増加300百万円、利益剰余金の配当による減少396百万円によるものであります。
② 経営成績の状況
2022年度の日経平均株価は上値の重い展開で始まりました。欧米を中心にインフレが後退する兆しは見られず金利は一段と上昇し、欧米中銀がタカ派姿勢を強める一方で日銀は金融緩和姿勢を継続したため、中銀政策の違いから為替市場では急速に円安進行しました。日銀のハト派姿勢や円安基調がポジティブ視された影響で日本株は欧米株に対してはアウトパフォームする局面が目立ちましたが、株式市場自体はインフレ高進を背景に冴えない展開が続きました。6月に入ると、欧米マクロ指標やインフレ指標の下振れが目立ち始めたほか、景気減速懸念から原油も軟調となってインフレのピークアウト期待が高まり金利高が一服したことで、株式市場は反発し、日経平均株価は8月半ばに1月以来となる29,000円を回復しました。しかし、再び欧米のインフレ指標が強い結果となり金利はすぐに反発し、株安の展開に戻りました。世界的な金利上昇と共に為替市場ではドル買いが進行したことから、9月に財務省は円買い介入を行いましたが効果は限定的で、10月に米ドル/円は152円と24年ぶりの水準まで円安進行しました。英国の大幅減税発表による財政不安も加わって欧州でも金利が急騰、株売りは10月頭まで続き、米国の主要株価指数は年初来安値を更新していきました。その後、英国が減税計画を撤回したことに加え、FRBメンバーからはハト派コメントも出始めて金利がようやく上げ止まり、株売りは一服しました。そして、11月半ばに発表された米国CPIは予想以上に鈍化してインフレのピークアウト期待が再燃したことで株式市場は底堅い動きを見せます。しかし11月後半に入ると、米国の冴えないマクロ指標が相次いだことや、中国でのコロナ感染拡大を背景にした景気減速懸念が株式市場の重石となりました。更には、12月20日に行われた日銀の金融政策決定会合では、長期金利の変動許容幅を従来の±0.25%から±0.5%に変更と実質的な利上げを決定したことで、円高と共に日本株は売り込まれ、年が明けた1月4日には終値ベースでの年度来安値を更新しました。それでもその後は欧米を中心としたインフレのピークアウト期待や景気の急速な落ち込み回避の期待、中国コロナ懸念の後退などを背景に世界的に株高基調となりました。日銀の政策修正懸念も徐々に落ち着き、3月に入ると日経平均株価は8月以来の高値水準を回復しましたが、米国中堅銀行のシリコンバレー銀行発の信用不安を背景に株買いの流れは続かず、年度末の日経平均株価は28,041.48円と前年度比+0.8%の小幅高となりました。一年を通すと概ね3,000円の狭いレンジ内での動意に欠ける展開に終始し、実に2年以上に渡って小動き商状が続いています。
※日経平均株価に関する著作権、知的財産権その他一切の権利は株式会社日本経済新聞社に帰属します。
一方で、投資信託協会が公表する「投資信託概況」によれば、株式投信の当連結会計年度末の純資産総額は、前連結会計年度末から2.2%増の152兆2,321億円、株式投信(除ETF)の当連結会計年度末の純資産総額は、前連結会計年度末から2.1%増の88兆9,358億円となりました。
このような市場環境において、当社の運用戦略である「守りながらふやす運用」を心がけつつ、オンライン・対面を問わず、様々なセミナーを中心に数多くのお客様とのリレーションを深めていったことや、2021年1月に開設したYouTubeチャンネル『お金のまなびば!』でお金や投資について幅広く発信し、チャンネル登録者数を2023年3月末時点で21.5万人まで伸ばす等、幅広い層への「ひふみ」ブランドの認知度向上を目指して積極的に広告宣伝投資を行いましたが、投資マインドの冷え込みにより新規顧客の獲得に苦戦したため、直接販売する「ひふみ投信」、「ひふみワールド」及び「ひふみらいと」のいずれかを保有する顧客数は当連結会計年度末には62,402名となり、前連結会計年度末の63,777名から1,375名の減少となりました。
また、引き続き、当社の経営理念と運用哲学に共感していただける販売パートナー開拓を継続し、「ひふみプラス」及び「ひふみワールド+(プラス)」に加え、2021年3月から運用を開始した「まるごとひふみ」(まるごとひふみ15、まるごとひふみ50、まるごとひふみ100の総称。以下同じ)の販売網拡大に努め、間接販売である「ひふみ」シリーズの当連結会計年度末の取扱い社数は延べ257社(「まるごとひふみ」についてはいずれかを取り扱う販売パートナーを1社と数えています)となりました。
この結果、当連結会計年度の投資信託の純流入額(設定額から解約額を控除した金額)は304億円となって当連結会計年度末における運用資産残高は、前連結会計年度末から3.3%増の1兆1,443億円となり、営業収益は前期比1.9%増の9,660百万円となりました。
営業費用及び一般管理費は、新たな人員の採用による人件費の増加や『お金のまなびば!』などの動画制作による減価償却費の増加等により前期比6.9%増の8,049百万円となり、営業利益は前期比17.5%減の1,610百万円、為替差益などの営業外収益の計上により経常利益は前期比17.4%減の1,625百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比16.6%減の1,087百万円となりました。なお、当社は、投信投資顧問事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が1,625百万円計上されたこと等により、前連結会計年度末に比べ266百万円増加し当連結会計年度末には2,105百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は912百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が1,625百万円、減価償却費が552百万円及び未収委託者報酬の減少107百万円、営業投資有価証券の増加218百万円、預り金の減少188百万円、法人税等の支払額886百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は578百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出452百万
円、無形固定資産の取得による支出127百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は66百万円となりました。これは主に、非支配株主からの払込330百万円による収入及び配当金の支払い396百万円によるものであります。
④ 営業の実績
(ア)営業収益の実績
当社グループは投信投資顧問事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の営業収益の実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
投信投資顧問事業 |
9,660,236 |
101.9 |
(イ)運用資産残高の実績
当社グループは、主として、投信投資顧問事業を行っており、営業収益は、投資信託の運用から得られる委託者報酬と投資一任契約等による投資顧問報酬の2種類の収入によって構成されています。委託者報酬及び投資顧問報酬は、運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定されます。投資顧問業務の一部では、運用成績に応じて発生する成功報酬がありますが、成功報酬が発生する運用資産残高は、当社グループの運用資産残高のごく一部です。
したがって、当社グループにとって最も重要な経営指標は、収益の源泉である運用資産残高となります。当社グループの2019年3月末以降の投資信託委託業務及び投資顧問業務における運用資産残高実績は次のとおりであります。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。
(単位:億円)
|
2019年3月末 |
2020年3月末 |
2021年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
公募投資信託 (直接販売) |
1,307 |
1,193 |
1,763 |
1,864 |
1,885 |
公募投資信託 (間接販売) |
6,256 |
5,371 |
6,699 |
8,169 |
8,414 |
私募投資信託 |
82 |
51 |
66 |
52 |
15 |
投資信託合計 |
7,646 |
6,616 |
8,529 |
10,086 |
10,315 |
投資顧問合計 |
1,070 |
855 |
1,079 |
993 |
1,127 |
全社合計 |
8,716 |
7,471 |
9,608 |
11,079 |
11,443 |
(注)当該数値は、東陽監査法人による監査を受けておりません。
2023年3月末の運用資産残高の状況については、マーケット環境が芳しくない中、全体で1,882億円の設定額となり、純流入額は392億円と堅調に推移しましたが、通期で基準価額が伸び悩んだため、投資信託委託業務及び投資顧問業務における運用資産残高は前連結会計年度末比3.3%増の1兆1,443億円の着地となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであり、翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響は、翌連結会計年度以降においても同様に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の分析
(営業収益)
2023年3月末における運用資産残高は2022年3月末から3.3%増の1兆1,443億円となり、営業収益は9,660百万円となりました。
(営業費用及び一般管理費、営業利益)
営業費用及び一般管理費については、委託者報酬の増加に伴う支払手数料の増加や新たな人材の採用による人件費の増加によって8,049百万円となり、営業利益は1,610百万円となりました。
(営業外損益、経常利益)
為替差益などの営業外収益の計上により経常利益は1,625百万円となりました。
(特別損益、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益の計上はなく、賃上げ促進税制による税額控除の適用によって法人税等合計は560百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,087百万円となりました。
③ 財政状態の分析及びキャッシュ・フローの状況の分析
財政状態の分析及びキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要① 財政状態の状況及び③ キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの主な資金需要は、事業活動の維持拡大に必要な事業資金及び設備投資資金、顧客分別金信託の追加設定に必要な資金であります。主な設備投資については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりです。必要な資金については、原則自己資金を基本方針としておりますが、顧客分別金信託の追加設定に必要な資金が生じた場合には金融機関からの短期借入で賄います。
⑤ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「(1)経営成績等の状況の概要 ④ 営業の実績 (イ)運用資産残高の実績」に記載のとおり、運用資産残高であります。運用資産残高の概要・分析については、当該項目をご参照ください。