株式会社アイ・テック

上場廃止 (2023/01/25) 株式の併合 卸売業鉄鋼スタンダード

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E01297 Japan GAAP

売上高

845.8億 円

前期

677.9億 円

前期比

124.8%

平均給与

542.3万 円

前期

512.4万 円

前期比

105.8%

平均年齢(勤続年数)

40.3歳(10.3年)

従業員数

519人(連結:815人)


3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社アイ・テック)及び子会社11社、その他の関係会社1社で構成され、鋼材の販売・加工、鉄骨工事請負、倉庫業、機械販売業及びそれらに関連した運送等を主たる業務としております。

 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置づけは次のとおりであります。

 なお、次の3部門については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

(1)鋼材の販売・加工事業……主要な商品・製品はH形鋼、鋼板、コラム、カクパイプ、C形鋼、合成スラブ用デッキプレート、フラットデッキプレート、ビルトH形鋼等であります。

H形鋼、鋼板、コラム……………当社が販売・加工するほか、子会社の静清鋼業㈱が販売・加工しております。

カクパイプ、C形鋼………………当社が製造販売しております。

合成スラブ用デッキプレート……当社がアイ・テックSデッキの名称にて製造販売しております。

フラットデッキプレート…………当社がアイ・テックフラットデッキの名称にて製造販売しております。

ビルトH形鋼………………………主に当社が販売し、子会社の㈱浜松アイ・テックが製作をしております。

(注) 合成スラブ用デッキプレート及びフラットデッキプレートはともにビル等の床に使用され、ビルトH形鋼は高層建築物や橋梁等に使用されます。

 

(2)鉄骨工事請負事業…………当社がゼネコンより鉄骨工事を請負い、子会社のファブ・トーカイ㈱、大川スティール㈱、㈱オーエーテック及び当社の得意先である鉄骨加工業者等に加工を依頼しております。

 

(3)その他………………………運送業、倉庫業及び機械販売業であります。

運送業は子会社の中央ロジテック㈱が行っており、倉庫業は当社が行っておりましたが、昨年6月末日をもって事業を停止いたしました。機械販売業は子会社の㈱ミヤジマが行っております。

 ㈱OEホールディングスは、当社の発行済株式(自己株式を除く。)総数の39.4%を所有するその他の関係会社であり、有価証券の取得及び保有を主な事業内容としておりますが、当社及び子会社11社との間には営業上の取引がないため、下記の系統図からは記載を省略しております。

 また、愛鉄柯(上海)国際貿易有限公司、㈱メタルクラフトマツムラ、㈲松村商店及び㈲花押は、当社及び連結子会社7社との間に営業上の取引はあるものの重要性が乏しいため、下記の系統図からは記載を省略しております。

 

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

※画像省略しています。

22/06/29

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当社役員及び従業員が取引先に対して外注費を過剰に支払い、キックバックを受けていた件につきまして、株主・投資家の皆様をはじめ、多くの取引先の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけいたしておりますことを心より深くお詫び申し上げます。

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大懸念や雇用情勢の悪化により、景気の減速感が強まるなか、生産や輸出を中心に持ち直しの動きが見られ、企業収益においても非製造業では弱さが見られるものの、総じて見れば持ち直しております。また、海外経済におきましては米国等を中心に回復しているものの、米中貿易摩擦の激化やウクライナ情勢などの地政学的リスクの懸念もあり、先行きは不透明感が高まっております。

当鉄鋼流通加工業界におきましては、オリンピック関連投資と首都圏の再開発案件の端境期となり鋼材の荷動きは低迷しているものの、一昨年12月より急騰したスクラップ価格は何度か踊り場を迎えつつも着実に上昇し、現状も高値圏で推移しております。また、鉄鉱石や石炭等の資源価格は急速に上昇しており、更にウクライナ情勢が世界の資源価格の不安定化に拍車をかけております。このような状況から、国内鉄鋼メーカーは繰り返し製品の値上げを発表しており、自動車産業の一時的な生産の回復に加え、低燃費船舶の需要増加から造船業も急回復しており、限られた鉄源の配分から、建材向け製品への供給量は一時大幅に削減されました。これらから鋼材の出荷量は伸び悩んでいるものの、鋼材価格は急速な上昇となりました。

このような環境下にありまして当社グループは、各地域において、地道な営業活動により販売エリアの拡大・シェアアップを図っておりますが、販売先でありますゼネコンやファブリケーターは、大型物件等の工期の長い案件につきましては、スケジュールに沿ってある程度の仕事量は確保しているものの、地方の中小物件等につきましては設備投資の中止や延期等から仕事量は減少しております。このような状況から出荷量は低迷しているものの、国内鉄鋼メーカーからの供給量も減っていた事から、市中在庫はタイトな状況が続いておりましたが、それらについても徐々に解消に向かいつつあります。

これらから鋼材の販売・加工事業につきましては、販売量は前年同期を若干下回る結果となりましたが、販売単価につきましては大幅に上昇している事から、売上高は前年同期を上回る結果となりました。

なお、鉄骨工事請負事業は、民間設備投資の回復には力強さがなく、鋼材の値上がり等もあり受注活動は厳しさを増しております。工事売上高につきましては、中小物件は完成物件数及び売上金額共に増加した事に加え、大型物件の売上高も進捗物件数も回復しつつあり進捗も進み大幅な増加となりました。これらの結果から当連結会計年度の売上高は84,578百万円(前年同期比24.8%増)となりました。

収益面におきましては、鋼材の販売・加工事業は、販売量の減少はあったものの、国内鋼材市況は急速に上昇した事から、収益率は大幅に改善いたしました。鉄骨工事請負事業は、売上高の増加に加えて、個別工事の収益性についても概ね堅調に推移した事から収益確保となりました。これらの結果から当連結会計年度の営業利益は6,861百万円(前年同期比301.4%増)となりました。また、営業外損益につきましては、一部連結子会社の退職金規程の整備に伴う退職給付費用118百万円の計上等により経常利益は6,800百万円(前年同期比271.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,277百万円(前年同期比269.3%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

(鋼材の販売・加工事業)

鋼材の販売・加工事業は、建築関連の民間設備投資の回復には力強さがなく、このところ弱含みで推移しております。特に地方においては新規物件の発生も減少しており、鋼材需要は弱く、荷動きも低迷しております。このような状況の中、販売量は前年同期を若干下回る結果となりましたが、売上高は国内鉄鋼メーカーの相次ぐ値上げ発表から、鋼材市況も呼応し、販売単価は月を追うごとに上昇した事から、前年同期を大幅に上回る結果となりました。

品種別に見ますと、当社主力のH形鋼は従来からの建築向けには概ね堅調に推移したものの、土木向けにつきましては販売量が大幅に前年同期を下回る結果となりました。その他条鋼につきましては、ホットコイルの品不足等から大手軽量形鋼メーカーは生産調整をした事などにより、自社製品でありますC形鋼、カクパイプが大幅に増加した事に加え、アングル等も堅調に推移しました。しかしながら、H形鋼の減少を補うことはできず条鋼類の販売量は前年同期を若干下回る結果となりましたが、販売金額は価格上昇により大幅な増加となりました。また、鋼板類は、建築向けの切板及び切断用母材等は大幅に増加しましたが、土木向けの敷板等が大幅に減少した事に加えて、当社にて製造販売をしている合成スラブ用デッキとフラットデッキ等は一時出荷量が低迷しておりましたが、徐々に回復しており、出荷量は前年同期並となり販売金額は増加となりました。これらの結果、販売量は前年同期を下回る結果となりましたが、販売金額は増加となりました。鋼管類は、在庫出荷のロール成形コラム及び物件対応のプレス成形コラム共に堅調に推移した事に加えて、パイプ類も好調だった事から、販売量は前年同期を上回り、販売金額はコラムの価格上昇もあり大幅な増加となりました。以上の結果から、売上高は66,652百万円(前年同期比20.3%増)、セグメント利益は鋼材市況の急騰を受け、収益率は急速に改善した事から6,554百万円(前年同期比383.9%増)となりました。

(鉄骨工事請負事業)

鉄骨工事請負事業は、民間設備投資は持ち直しに力強さがなく、首都圏を中心とした再開発や大型物件につきましては、オリンピックの開催延期に伴い若干の工程変更等はあったものの、総じて計画通りに進むものと考えられますが、地方の中小物件等については中止や延期等もあり、受注状況は厳しさを増しております。売上高につきましては、中小物件は多くの物件が完成を迎え売上高が増加した事に加え、大型物件はオリンピック後の再開発物件等が動き出しており、進捗物件数も回復してまいりました。これらの結果、売上高は16,959百万円(前年同期比39.9%増)となりました。また、収益につきましては、引き続き工事管理部門の強化や鉄骨加工子会社の原価低減は進めているものの、一部工事において外注費の増加などがあり、セグメント利益は1,033百万円(前年同期比0.3%減)となりました。

(その他)

その他は、従来の運送業及び倉庫業に加え、当連結会計年度の期首より機械販売業1社が連結範囲に加わりました。運送業についてはグループ内の輸送が減少する中、グループ外の鉄骨製品輸送を積極的に行った事から売上高は前年同期を上回る結果となりました。また、倉庫業につきましては昨年6月末日をもって事業を停止しましたが、機械販売業も堅調に推移したことから売上高は966百万円(前年同期比281.0%増)、セグメント利益は284百万円(前年同期比307.1%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は76,530百万円(前連結会計年度末は61,338百万円)となり、15,191百万円増加しました。主な要因は、流動資産は売上高増加に伴う受取手形の増加2,698百万円及び売掛金の増加678百万円に加えて、収益認識に関する会計基準等の適用から契約資産の増加5,650百万円、鋼材価格の急騰による商品及び製品の増加4,313百万円、原材料及び貯蔵品の増加1,080百万円、工事物件の進捗による未成工事支出金の増加1,805百万円等がありましたが、現金及び預金の減少3,124百万円等により一部相殺されたものであります。また、固定資産は、投資その他の資産については関係会社株式の増加386百万円、保険積立金の増加72百万円等がありましたが、有形固定資産は若干の設備投資はあったものの減価償却が進み59百万円の減少となり、それらにより一部相殺されたものであります。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は42,211百万円(前連結会計年度末は30,512百万円)となり、11,698百万円増加しました。主な要因は、流動負債は鋼材仕入の増加等に伴う買掛金の増加7,842百万円、短期借入金の増加1,200百万円、未払法人税等の増加1,507百万円及び契約負債の増加1,323百万円等がありましたが、未成工事受入金の減少472百万円及び1年内返済予定の長期借入金の減少105百万円等により一部相殺されたものであります。また、固定負債は長期借入金の減少1,156百万円等によるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は34,319百万円(前連結会計年度末は30,826百万円)となり、3,493百万円増加しました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益が4,277百万円ありましたが、自己株式の消却等により、利益剰余金の増加額が987百万円となった事に加え、自己株式743,700株の取得及び自己株式2,300,000株の消却等による自己株式の減少2,482百万円等によるものであります。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は44.5%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ3,652百万円減少し、当連結会計年度末には3,108百万円(前年同期比51.3%減)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は532百万円(前年同期は5,610百万円の獲得)となりました。これは主に、売上  債権の増加額8,719百万円、棚卸資産の増加額7,199百万円、その他流動資産の増加額1,639百万円及び法人税等の支払額1,203百万円等がありましたが、税金等調整前当期純利益6,759百万円、減価償却費1,239百万円、仕入債務の増加額7,592百万円及びその他流動負債の増加額1,559百万円等により概ね相殺されたものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,718百万円(前年同期比32.5%増)となりました。これは主に、有形固定資産取得による支出1,113百万円、定期預金の預入による支出237百万円及び短期貸付金の純増加額100百万円、非連結子会社株式取得による支出367百万円等がありましたが、定期預金の払戻による収入153百万円等により一部相殺されたものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は1,402百万円(前年同期比74.8%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,261百万円、配当金の支払額289百万円及び自己株式の取得による支出1,045百万円等がありましたが、短期借入金の純増加額1,200百万円より一部相殺されたものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

鋼材の販売・加工事業(千円)

21,583,363

104.0

鉄骨工事請負事業(千円)

18,765,039

167.7

報告セグメント計(千円)

40,348,402

126.3

その他(千円)

合計(千円)

40,348,402

126.3

(注)1.金額は販売金額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.その他の生産実績につきましては、事業の性格上、該当事項がありませんので、記載を省略しております。

 

ロ.商品仕入実績

 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

鋼材の販売・加工事業(千円)

49,855,392

124.2

鉄骨工事請負事業(千円)

報告セグメント計(千円)

49,855,392

124.2

その他(千円)

合計(千円)

49,855,392

124.2

(注)1.金額は仕入金額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.鋼材の販売・加工事業以外の商品仕入実績につきましては、事業の性格上、該当事項がありませんので、記載を省略しております。

ハ.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

鋼材の販売・加工事業

19,166,458

129.8

1,203,005

159.8

鉄骨工事請負事業

17,420,708

95.4

9,990,474

71.7

報告セグメント計

36,587,166

110.8

11,193,479

76.2

その他

合計

36,587,166

110.8

11,193,479

76.2

(注)1.金額は販売金額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当連結会計年度において、鋼材の販売・加工事業の受注残高が著しい増加となりました。これは、世界的な鋼材市況の急騰を受けて国内鋼材市況も急騰した事による受注単価の上昇と共に、今後の価格上昇を見込んだ先行発注等によるものであります。

3.当連結会計年度において、鉄骨工事請負事業の受注残高が著しい減少となりました。これは、前連結会計年度において首都圏を中心とした再開発案件の受注等が急増した事による反動であります。

4.その他の受注実績につきましては、事業の性格上、該当事項がありませんので、記載を省略しております。

 

ニ.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

鋼材の販売・加工事業(千円)

66,652,760

120.3

鉄骨工事請負事業(千円)

16,959,301

139.9

報告セグメント計(千円)

83,612,061

123.8

その他(千円)

966,685

381.0

合計(千円)

84,578,747

124.8

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、鋼材の販売・加工及び鉄骨工事請負を主体事業として展開しており、販売している商品・製品の多くは、倉庫・工場及びビル等の建設に使用される建材向け鋼材であります。従いまして、国内の公共投資及び民間設備投資の動向、国内鋼材市況並びに物流コストの状況等により、常に業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、他にも「2 事業等のリスク」に記載した要因等が考えられます。

 

ロ.売上高と営業利益

当連結会計年度の売上高につきましては、鋼材の販売・加工事業は、国内鉄鋼メーカーは原材料価格の上昇を背景に、年間を通じて繰り返し製品価格の値上げを行いました。首都圏を中心とした再開発等の大型建築物件は堅調に推移しているものの、地方の中小建築物件は新型コロナウイルス感染症の影響等もあり低迷しております。全体感として鋼材需要に力強さは見られないものの、メーカー主導の値上げから鋼材市況は上昇を続け、品種により差異はありますが、概ね40%~50%の値上がり率となっております。これらから売上高は大幅な増加となりました。また、鉄骨工事請負事業についても、当連結会計年度は、首都圏の再開発案件がようやく本格的に稼働し始めた事や中小建築物件も多くが完成時期を迎えました。これらの結果、売上高は84,578百万円となり、前連結会計年度に比べ16,793百万円(前年同期比24.8%増)の増収となりました。

売上総利益につきましては、鋼材の販売・加工事業は、大量の在庫を保有し日々の営業活動を行っている事から、価格上昇局面においては収益率が向上し、反対に価格下降局面においては収益率が急速に低下する収益構造となっており、まさしく当連結会計年度は価格上昇から収益率は大幅に上昇しました。鉄骨工事請負事業は、収益率に若干の陰りが見えてきておりますが、概ね堅調に推移しました。これらの結果から売上総利益は14,596百万円、売上総利益率は17.3%となり、前連結会計年度より4.4ポイントの改善となりました。販売費及び一般管理費は、給料及び賞与や賞与引当金繰入額等の人件費の増加に加えて、輸送コストの上昇から運賃荷造費も増加し7,734百万円(前年同期比10.2%増)となりました。

この結果、営業利益は6,861百万円となり、売上高営業利益率は8.1%で前連結会計年度に比べ5.6ポイント改善いたしました。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

(鋼材の販売・加工事業)

鋼材の販売・加工事業は、建築関連の民間設備投資の回復に力強さがなく、鋼材の出荷量も低迷しているものの、鋼材市況については、国内鉄鋼メーカーの度重なる値上げ発表から、右肩上がりで上昇いたしました。これらの結果、売上高は66,652百万円となり11,242百万円(前年同期比20.3%増)の増収となりました。また、人件費や運賃荷造費の増加等から営業費用は63,755百万円(前年同期比13.3%増)となりました。これらの結果、セグメント利益は6,554百万円となり5,199百万円(前年同期比383.9増)の増益となりました。

このような状況の中、鋼材市況は過去最高値圏となっておりますが、国内鉄鋼メーカーは原材料価格の高騰に加えて、カーボンニュートラルに向けた研究開発費や設備投資コストを製品価格に織り込むべく、更なる値上げを発表しております。今後、これらの建築資材の高騰が、設備投資意欲の低下に繋がる事を懸念しております。また、鋼材価格の急上昇から得意先の資金繰りの圧迫も予想され、与信管理においてもより一層、留意して参ります。なお、社内においても棚卸金額が増加し、運転資金が増加傾向となっており、資金の効率的な運用を行って参ります。

 

(鉄骨工事請負事業)

鉄骨工事請負事業は、首都圏を中心とした再開発案件が、ようやく本格的に動き始めております。一方、地方の中小建築物件は低迷しており、二極化が進んでおります。当連結会計年度においては、再開発案件の進捗も堅調に推移した事や中小物件も完成時期が集中した事から、売上高は16,959百万円となり4,838百万円(前年同期比39.9%増)の増収となりました。しかしながら、鋼材の値上がりを始め、副資材の値上げや輸送コストも上昇している事からセグメント利益は1,033百万円となり3百万円(前年同期比0.3%減)の減益となりました。今後、更に首都圏の再開発案件が本格化すると共に、経済安保の観点から製造業の国内回帰、北海道新幹線の札幌延伸、また、2030年の札幌冬季オリンピックに向けた投資等が見込まれております。鋼材等の値上がりが何処まで続くのか不透明な中、新規着工物件の予定収益率は徐々低下しており、今後、受注する物件は更に厳しくなる事が予想されますので、鉄骨製造コスト、物流コスト及び現場施工コスト等の徹底的な効率化により収益の確保を目指します。

 

(その他)

その他は、運送業及び機械販売業であり、運送業についてはグループ内の輸送が減少する中、グループ外の鉄骨製品輸送を積極的に行った事から売上高は前年同期を上回る結果となり、機械販売業は当連結会計年度より連結の範囲に加わり堅調に推移しました。なお、倉庫業につきましては昨年6月末日をもって事業を停止しました。これらの結果、売上高は966百万円となり712百万円(前年同期比281.0%増)の増収となりました。また、セグメント利益は284百万円となり214百万円(前年同期比307.1%増)の増益となりました。どちらの事業も当社グループにおける主力事業ではありませんので、成長を目指すのではなく、全体のバランスの中で着実な収益確保を目指して参ります。

 

ハ.営業外損益と経常利益

営業外収益は受取賃貸料40百万円及び仕入割引20百万円の計上等により149百万円となりました。営業外費用は一部子会社の退職金規程の新設による退職給付費用118百万円及び支払利息50百万円の計上等により210百万円となりました。

この結果、経常利益は6,800百万円となり、売上高経常利益率は8.0%で前連結会計年度に比べ5.3ポイント改善いたしました。

 

ニ.特別損益

特別利益は補助金収入19百万円であります。また、特別損失は貸倒引当金繰入額61百万円を計上しております。

 

ホ.親会社株主に帰属する当期純利益

上記の結果から、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は6,759百万円となり、法人税、住民税及び事業税2,636百万円、法人税等調整額△187百万円等により、親会社株主に帰属する当期純利益は4,277百万円(前年同期比269.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

イ.キャッシュ・フロー

当社グループの連結会計年度のキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益は大幅に増加したものの、鋼材市況の高騰等より売上高の増加から、売上債権が大幅に増加した事に加えて、在庫単価の上昇により、棚卸資産も大幅な増加となりました。また、法人税等の支払額等もあり、それらが要因となって、営業活動によるキャッシュ・フローは532百万円の使用となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産の取得等により1,718百万円を使用しました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは自己株式の取得、長期借入金の返済及び配当金の支払いに短期借入金の資金を一部充当したことにより1,402百万円の使用となりました。なお、今後につきましては具体的な大型の設備投資計画等については未定ですが、生産性の向上や他社との競争力維持の為、若干の生産設備の新設やリプレースは予定しております。資金につきましては、内部資金及び短期借入金による調達を予定しております。

 

ロ.資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は金融機関からの借入により資金調達しております。このうち、借入による資金調達の多くは短期借入金で賄っておりますが、工場建屋や生産設備等の長期資金につきましては、固定金利の長期借入金にて一部調達しております。当連結会計年度末における長期借入金の残高は1,156百万円であります。また、取引銀行7行と当座貸越契約を締結しており当座貸越契約の総額は27,500百万円、短期借入金の実行残高は13,200百万円、借入未実行残高は14,300百万円となっております。

当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力及び借入金により、当社グループの成長を維持するために将来必要な資金を調達することが可能と考えております。

また、資金の流動性につきましては、連結会計年度末日における現金及び現金同等物は3,108百万円を有しており、企業の経営方針・経営戦略等を遂行するに当たっては十分な資金の流動性を確保しているものと考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが販売しております鋼材は、需要及び販売価格において国内の民間設備投資の状況に非常に左右される商品であるため、中長期の売上高や収益の予測が困難である事から、中期経営計画の策定はしておりません。しかし、長期的な財務体質の強化と安定的な収益の確保を目指しており、具体的には財務の健全性の指標として自己資本比率は連結決算・個別決算共に40%以上を確保する事に加え、収益指標として売上高経常利益率5.0%以上を安定的に確保し、また、株主価値の増大を数値的に判断できる株主資本当期純利益率(ROE)4.0%以上を目標としております。

当連結会計年度末における自己資本比率は44.5%(前年同期比5.3ポイント悪化)、当連結会計年度における売上高経常利益率は8.0%(前年同期比5.3ポイント改善)、株主資本当期純利益率(ROE)は13.2%(前年同期比9.6ポイント改善)となりました。自己資本比率については、売上高の増加や棚卸単価の上昇により、売上債権及び棚卸資産が大幅増加となり、総資産も大幅に増加した事から悪化となりました。利益指標については増益から堅調な結果となりました。引き続き当該指標の改善に邁進して参ります。

連結経営指標

 

59期

60期

61期

62期

63期

売上高

(千円)

72,826,793

89,906,557

83,366,994

67,785,256

84,578,747

経常利益

(千円)

4,311,686

4,750,489

4,355,292

1,830,400

6,800,985

親会社株主に帰属する

当期純利益

(千円)

2,693,764

3,794,261

2,689,957

1,158,073

4,277,206

自己資本比率

(%)

43.9

43.3

49.6

49.8

44.5

売上高経常利益率

(%)

5.9

5.3

5.2

2.7

8.0

株主資本当期純利益率(ROE)

(%)

9.7

12.6

8.3

3.6

13.2