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最終更新:

E04278 Japan GAAP

売上高

273.1億 円

前期

174.1億 円

前期比

156.9%


3【事業の内容】

当社の主たる業務は、定期航空運送事業であります。

 

事業区分

事業の内容

定期航空運送事業

定期の航空機による旅客の運送として、以下の10路線毎日30往復を運航しております。

札幌(新千歳)-東京(羽田)線

旭川-東京(羽田)線

女満別-東京(羽田)線

釧路-東京(羽田)線

帯広-東京(羽田)線

函館-東京(羽田)線

札幌(新千歳)-仙台線

札幌(新千歳)-名古屋(中部)線

札幌(新千歳)-神戸線

函館-名古屋(中部)線

不定期航空運送事業

主に北海道内の就航空港から国内外への不定期の航空機による旅客の運送(チャーター便)を行っております。

附帯事業

航空運送に附帯関連する事業として、主に機内でオリジナルグッズの販売等を行っております。

(注)その他の関係会社である株式会社日本政策投資銀行とは、重要な営業上の取引はありません。

 

 

22/06/29

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ①経営状態等の状況の概要

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残るものの、一部持ち直しの動きがみられました。

国内航空業界においては、ワクチン接種等による行動制限の緩和により、航空需要は一時的に回復傾向にありましたが、その後の第6波による感染症再拡大の影響を受け、再び需要は減少に転じました。原油価格については、需要増加の期待感等により上昇傾向にあった中で、2月下旬のウクライナ情勢の急激な変化による影響等で高騰が継続しました。

このような状況の下で当社は、2021年10月の緊急事態宣言解除以降、特に年末年始につきましては、多くのお客様にご利用をいただきましたが、ウクライナ情勢の悪化や世界的な物価、金利の上昇とそれに起因する急激な為替変動の影響を受けるなど、依然として先行き不透明な状況が続きました。一方で、2020年度より取り組んできたコスト構造改革を進めるとともに、株式会社ソラシドエア(以下、ソラシドエア)との協業を軸とした「経営基盤の強化」に向けて準備を進めてまいりました。

従前より、減便や運航機材の小型化等による直接運航経費の削減に加え、人件費等、固定費の削減等に取り組んでまいりましたが、航空需要回復の見通しが依然不透明であるため、2021年7月に第三者割当増資による優先株式を発行し、安定的に事業を継続するための財務基盤の強化を図りました。

営業面では、2021年7月よりソラシドエアとの協業事業の一環として「ふたつの翼で全国を旅しよう」共同特設サイトを開設し、ポイント&マイル相互交換キャンペーンを実施しました。2022年1月には当社初となる「初日の出ツアー」及び「お正月デイフライト・ツアー」と題したチャーターフライトを実施しました。

社会貢献活動としては、北海道教育庁と協力して行っているキャリア教育の取り組みの一環として、「AIRDO航空教室」の内容を札幌市立大学と協働制作した絵本や紙芝居で学べる「そらのがっこう」をWebサイトに公開しました。

ご愛顧いただいておりました特別塗装機「ベア・ドゥ北海道JET」が機材更新のため2021年12月に退役し、同月に新たな特別塗装機として北海道の観光振興の活性化を目的に、北海道と包括連携協定を締結する当社と株式会社ポケモンが連携し、きつねポケモンの「アローラロコン」と「ロコン」が機体の先から尾翼まで大きく描かれた「ロコンジェット北海道」を就航させました。

これらの結果、営業収入はコードシェアによる座席販売分も含め、27,313百万円(前年同期比56.9%増)となりました。

事業費は28,819百万円(前年同期比5.2%増)となりました。販売費及び一般管理費は3,229百万円(前年同期比7.4%増)、営業費用は32,048百万円(前年同期比5.4%増)となり、この結果、営業損失は4,735百万円、経常損失は4,692百万円、当期純損失は2,367百万円となりました。

 ②キャッシュ・フローの状況の分析

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ569百万円の資金が増加(前年同期は2,423百万円の増加)し、当事業年度末には16,378百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果減少した資金は1,004百万円(前年同期は9,975百万円の減少)となりました。

これは、税引前当期純損失3,860百万円、減価償却費4,471百万円、航空機材整備引当金の減少額523百万円、未収入金の増加額855百万円、未払金の減少額518百万円、前受金の減少額1,310百万円、預り金の増加額1,610百万円等を反映したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は2,362百万円(前年同期は1,822百万円の増加)となりました。

これは、定期預金の預入による支出1,004百万円、定期預金の払戻による収入1,014百万円、有形固定資産の取得による支出390百万円、長期前払費用の取得による支出1,968百万円等を反映したものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は3,752百万円(前年同期は10,489百万円の増加)となりました。

これは、短期借入金の返済による支出500百万円、長期借入金の返済による支出725百万円、リース債務の返済による支出2,022百万円、優先株式発行による収入7,000百万円を反映したものであります。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 ①営業実績

 当事業年度の営業成績を収入項目別に示すと、次のとおりであります。

項目

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比 (%)

旅客収入

26,369百万円

159.3

貨物収入

423百万円

134.3

その他

520百万円

94.6

営業収入合計

27,313百万円

156.9

 (注)1 旅客収入には、全日本空輸株式会社への座席販売分を含めております。

    2 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の営業収入合計に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

全日本空輸株式会社

8,912

51.2

11,799

43.2

 

 

 

 ②運航実績

 当事業年度の運航実績は、次のとおりであります。

項目

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比 (%)

運航便数

18,967便

140.1

飛行距離

18,257,048km

139.8

飛行時間

30,150時間

140.5

 

 ③輸送実績

 当事業年度の輸送実績は、次のとおりであります。

項目

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比 (%)

旅客数

1,161,787人

200.4

旅客キロ

1,091,204千人キロ

199.2

座席キロ

2,295,617千席キロ

156.6

座席利用率

47.5%

10.1ポイント増

 (注) 上記輸送実績には、全日本空輸株式会社への座席販売分を含めておりません。

 

なお、路線別の座席利用率は、次のとおりであります。

 

前事業年度

当事業年度

備考

「札 幌-東 京」線

34.3%

51.6%

 

「旭 川-東 京」線

43.1%

40.6%

 

「女満別-東 京」線

40.2%

42.3%

 

「釧 路-東 京」線

42.2%

46.8%

 

「帯 広-東 京」線

42.2%

50.7%

 

「函 館-東 京」線

40.3%

49.2%

 

「札 幌-仙 台」線

35.1%

27.7%

 

「札 幌-名古屋」線

43.9%

57.7%

 

「札 幌-神 戸」線

22.7%

37.8%

 

「函 館-名古屋」線

30.2%

39.9%

 

路線の平均

37.4%

47.5%

 

  (注)座席利用率は当社販売分を表記しております。

 

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 ②当事業年度の経営成績の分析

a. 営業収入、事業費及び営業総利益

 総座席キロは、運航便数が増加したこと等により、コードシェアによる座席販売分を含め、3,487,195千席キロ(前年同期比48.1%増)となりました。

 営業収入は、依然として新型コロナウイルス感染症の影響があったこと等により、航空需要がコロナ前の水準まで回復しなかったことから、27,313百万円(前年同期比56.9%増)となりました。

 航行費は、燃料使用量の増加および原油価格の上昇等により航空燃料費が増加し、9,832百万円(前年同期比5.4%増)となりました。

 航空機材維持費は、当事業年度中にボーイング767-300型機2機を導入したこと等により減価償却費が増加し、2,670百万円(前年同期比2.8%増)となりました。

 整備費は、整備引当金の戻し入れが発生したことで整備引当金繰入額が減少したこと等により、8,572百万円(前年同期比0.2%減)となりました。

 運航費は、消耗品費の減少等により、1,240百万円(前年同期比0.6%減)となりました。

 運送費は、運航便数の増加等により運送業務委託費が増加し、6,503百万円(前年同期比15.3%増)となりました。

 この結果、事業費総額は28,819百万円(前年同期比5.2%増)となり、営業総損失は1,505百万円となりました。

 

b. 販売費及び一般管理費、営業損益

 販売費及び一般管理費は、販売手数料等が増加したこと等により、3,229百万円(前年同期比7.4%増)となり、営業損失は4,735百万円となりました。

 

c. 営業外損益、経常損益

 営業外収益として、雇用調整助成金344百万円、受取負担金115百万円、受取手数料21百万円、為替差益8百万円、受取利息1百万円、営業外費用として支払利息448百万円を計上したこと等により、経常損失は4,692百万円となりました。

 

d. 当期純損益

 特別利益として、受取精算金879百万円、固定資産売却益41百万円、特別損失として固定資産処分損88百万円を計上し、法人税、住民税及び事業税17百万円及び法人税等調整額△1,510百万円を計上したことにより、当期純損失は2,367百万円となりました。

 

 ③財政状態の分析

 資産、負債及び純資産の状況

資産の部

 資産については、デリバティブ資産が2,098百万円、現金及び預金が593百万円、営業未収入金が523百万円増加したこと等により、前事業年度末と比較して、流動資産が3,864百万円増加しました。

 また、リース資産が3,103百万円、長期前払費用等を含む投資その他の資産が767百万円増加したこと等により、前事業年度末と比較して、固定資産が3,246百万円増加しました。

 この結果、資産総額は48,850百万円となりました。

 

負債の部

 負債については、営業未払金が545百万円、短期借入金が500百万円減少した一方、1年内返済予定の長期借入金が794百万円、1年内返済予定の関係会社長期借入金が468百万円それぞれ増加したこと等により、前事業年度末と比較して、流動負債が533百万円増加しました。

 また、長期借入金が1,244百万円、関係会社長期借入金が743百万円減少した一方、リース債務が3,109百万円増加したこと等により、前事業年度末と比較して、固定負債が677百万円増加しました。

 この結果、負債総額は40,745百万円となりました。

 

純資産の部

 株主資本合計は、前事業年度末と比較して、4,485百万円増加しました。この増加は優先株式発行による増資及び当期純損失2,367百万円の計上によるものです。

 評価・換算差額等は、原油スワップおよび金利スワップを活用したヘッジ取引に係るものであり、前事業年度末と比較して、1,414百万円増加しました。

 この結果、純資産合計は8,105百万円となりました。

 

 

 ④資本の財源及び資金の流動性

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては次のとおりです。

当社の運転資金需要のうち主なものは、日々の運航に必要な航空燃油費や、空港使用料など運航経費をはじめ、整備費や運送部門における業務委託費等の事業費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は航空機や航空機のエンジン等への設備投資によるものであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と、資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は航空運送事業を中心とした収入金等の他、金融機関からの借入により調達を行っております。設備投資資金につきましてはキャッシュ・フローで賄いきれない分の調達を主とし、その調達手段は金融機関からの長期借入金やファイナンス・リースなど、市場動向や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。

なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、27,029百万円となっております。また当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は16,378百万円となっております。

 

 ⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

当社は、事業等のリスクにおいて、為替レートや原油価格の変動による航行費の増加、航空法及び関連諸法令による規制、自然災害、人財確保等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため当社は、コストを安定させることを目的として、ヘッジ取引の実施、社内管理体制の確立、人財養成体制の見直しや採用の強化等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応してまいる所存であります。

 ⑥経営者の問題意識と今後の方針について

当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、迅速かつ最善の経営戦略の立案及び施策の実施に努めております。

また、当社を取り巻く環境は、競合他社との激しい競争に加え、消費者ニーズの多様化や燃料市況等の外部環境が大きく変化する可能性もあることから、幅広い視点で俯瞰した経営戦略の重要性、必要性を認識しております。

加えて、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、コロナ禍の影響により、依然としてコロナ前までの旅客需要の回復までには至っていない状況にあります。感染症収束に伴う従来の水準への回復時期については、引き続き見極めることが困難ではあるものの、全国的にワクチン接種が進んでいることや、IATA(国際航空運送協会)による回復予想等を参考とし、2022年度中を想定しています。

このような状況に対応すべく、需要に応じた機動的な運航調整による収入の最大化、並びに運航関連費用の抑制等を実施しております。

また、前事業年度末時点において、純資産が22億円まで減少し、自己資本比率が5.3%まで低下したことから、早期に自己資本を回復し資金の確保を図ることで財務基盤を強化し、安定的に事業を継続するため2021年7月に優先株式を発行いたしました。

加えて、2022年10月の株式会社ソラシドエアとの共同持株会社設立に向けて、2022年5月に両社による「共同持株会社設立に係る契約書」を締結しました。それぞれ地域に根差した航空会社として地域社会とともに持続的な発展を目指し、可能な限りの業務共通化や知見共有等による更なる費用削減と、新たな価値を共創することによる収益拡大に向けた取り組みの推進を目指します。

以上の対応策を迅速かつ確実に遂行するとともに、事業の継続と従業員の雇用を守るため、前例にとらわれることのない様々な施策を講じてまいります。そして、感染症収束の状況や景気動向等を慎重に注視しつつ、公共交通機関としての役割を全うすべく、事業の回復と更なる飛躍へ向けた体制の構築を進めてまいります。