E04767 Japan GAAP
前期
14.3億 円
前期比
100.1%
当社は、昭和48年3月15日から施行された改正割賦販売法に基づき同法第35条の4に定める指定受託機関として、前払式特定取引業者と前受業務保証金供託委託契約を締結することを業としています。この「前受業務保証金供託委託契約」とは、割賦販売法第18条の3の規定に基づく前受金保全措置のための契約であって、当社の供託委託契約業務は前払式特定取引の方法により同法の指定役務を行う事業者で当社に出資した者又は受託事業基金を拠出した者を対象としています。
なお、事業の運営については経済産業大臣の承認を受けた業務方法書などに基づき実施されており、これによる当社の受託限度は当社の自己資本及び受託事業基金の合計額の25倍以内で、かつ、一供託委託者に対する受託限度は原則として当社の自己資本と、受託事業基金に50パーセント以下の率を乗じた額の合計額に相当する額となっています。
また、委託者が割賦販売法の定める一定の事由に該当することになった場合で経済産業大臣から指示があった時は、当社は委託者のために委託額に相当する額の前受業務保証金を供託することとなります。
連結子会社でありましたMutual Service Aid Guarantee Insurance Corporation(MAI)は、当社が保険契約を締結している国内損害保険会社より再保険契約を引受けておりましたが、環境変化をふまえ方針の見直しを行い、当該再保険契約については、平成30年9月の保険契約の満期をもって終了し、令和2年3月に同社の清算手続きを完了いたしました。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度の景況を概観しますと、我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響や物価上昇、深刻な人手不足など成長力低下の要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の抑制や賃金の上昇などを受けてサービス消費を中心に個人消費は回復し、高水準の収益に支えられた企業の設備投資も堅調に推移するなど、持ち直しの傾向にありました。
金融市場では、世界的なインフレ圧力の高まりを抑制するため、欧米での利上げが急速に進んだことなどにより、海外金利は上昇しましたが、本年3月の米国中堅銀行の経営破綻を契機とする金融不安の広がり等もあり上昇幅を縮めました。また国内金利は、12月に日銀が長期金利変動許容幅を拡大したことに伴い上昇し期末には0.4%台となりました。こうした中、国内株式は欧米の金融引き締めによる景気減速懸念が株価への逆風になりましたが、その後円安の進行や欧米対比で緩和的な日本の金融政策が下支えとなり持ち直し、日経平均株価は5月には3万1千円を超える水準まで回復しました。
企業の資金運用は、各国の金融政策、経済政策及び世界の地政学的リスクの状況によって大きく影響を受ける難しい状態が続いております。
このような状況の中で、当社の契約先である冠婚葬祭互助会業界の業況は令和2年3月からの新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、冠婚儀式の中止や延期、葬儀の小規模化等事業環境は厳しい状況が続いておりましたが、感染防止策の徹底、社会経済活動の正常化に伴い徐々に回復が認められます。
第101基準日(令和5年3月31日)におけるわが国全国互助会238社の前受金残高は、第99基準日(令和4年3月31日)比1.0%減の2兆4,421億円と247億円の減少となりました。
第101基準日(令和5年3月31日)における当社の契約先互助会149社の前受金残高は、第99基準日(令和4年3月31日)比1.0%減の2兆2,220億円と216億円減少しました。
当社の当事業年度の業績を報告いたします。
当社の契約先は互助会149社で、契約残高は前年度比2.4%増の7,976億円と183億円の増加となりました。
損益状況は次のとおりであります。
営業収益は、契約額が増加したことにより、前年度比微増の1,434百万円となりました。
営業費用は、前年度比42.1%減の646百万円を計上しました。これは、債務保証損失引当金繰入が前年度比484百万円減少したことにより営業費用全体として減少したものであります。
以上の結果、787百万円の営業利益となりました。
営業外収益は、受取配当金、有価証券利息及び投資有価証券運用益の合計939百万円、ならびにテナントからの受取賃貸料106百万円等の合計1,046百万円を計上しました。
営業外費用は、社屋の賃貸収入原価46百万円を計上しました。
以上の結果、経常利益は、前年度比10.1%減の1,786百万円となりました。
特別損失として責任準備金繰入176百万円を計上しました。
当期純利益は、前年度比49.2%減の696百万円となりました。
中期経営計画の達成状況に関する認識及び分析は次のとおりです。
令和3年7月に策定した「中期経営計画(令和3年度~令和5年度)」の期間においては、最終年度で保証契約残高は7,809億円以上、保証基盤額(受託事業基金と純資産の合計額)は1,015億円以上という目標を掲げておりますが、2年度目の当事業年度末においては、保証契約残高は7,976億円、保証基盤額は978億円となりました。引き続き保証事業及び資産運用において収益力の強化策を実行し保証基盤の充実を図ってまいります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、2,793百万円となり、前事業年度末に比べ205百万円減少しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動で得られた資金は743百万円となりました。これは営業収入1,440百万円、利息及び配当金の受取りによる収入額460百万円、受託事業基金の受入れによる収入189百万円、受託事業基金の返還による支出151百万円及びその他営業支出等1,196百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動で使用した資金は850百万円となりました。これは投資有価証券の取得における支出が7,826百万円ありましたが、投資有価証券の売却による収入2,623百万円及び投資有価証券の償還による収入4,300百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で使用した資金は98百万円となりました。これは普通株式の配当及び第一種優先株式の配当による支出98百万円によるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
a. 販売方法
当社の前受業務保証金供託委託契約業務は、供託委託契約者(互助会)より毎年3月末日及び9月末日を基準日とする契約について申込を受け、これを審査のうえ、経済産業大臣によって承認された受託限度額の範囲内で前受業務保証金供託委託契約を締結します。この間、受託手数料の領収と受託事業基金の預託を受けます。
当社は、前受業務保証金供託委託契約書の正本を委託者に交付し、委託者はこの写を前受業務保全措置届出書に添付して各基準日から50日以内に経済産業大臣に提出し保全措置を終わることとなります。
なお、この手続きの流れを示せば次のとおりであります。
※画像省略しています。
b. 供託受託契約状況
供託受託契約状況は次のとおりであります。
期別 |
前事業年度 (自 令和3年6月1日 至 令和4年5月31日) |
当事業年度 (自 令和4年6月1日 至 令和5年5月31日) |
||||||
区分 |
供託受託契約額 |
供託受託契約残高 令和4年5月31日現在 |
供託受託契約額 |
供託受託契約残高 令和5年5月31日現在 |
||||
件数 (件) |
金額(千円) |
件数 (件) |
金額(千円) |
件数 (件) |
金額(千円) |
件数 (件) |
金額(千円) |
|
|
303 |
1,560,103,018 |
151 |
779,254,926 |
301 |
1,596,755,956 |
149 |
797,635,293 |
計 |
303 |
1,560,103,018 |
151 |
779,254,926 |
301 |
1,596,755,956 |
149 |
797,635,293 |
(注)供託受託契約の契約期間は6ヶ月であるため、供託受託契約額は2基準日の合計額であります。
c. 供託受託契約実績及び収入手数料
供託受託契約実績及び収入手数料は次のとおりであります。
項目 |
前事業年度 (自 令和3年6月1日 至 令和4年5月31日) |
当事業年度 (自 令和4年6月1日 至 令和5年5月31日) |
||
区別 |
計 |
収入手数料 (千円) |
計 |
収入手数料 (千円) |
件数・金額(件) |
303 |
1,426,573 |
301 |
1,440,400 |
供託受託契約額(千円) |
1,560,103,018 |
|
1,596,755,956 |
|
供託受託契約残高(A)(千円) |
779,254,926 |
|
797,635,293 |
|
供託受託契約限度額(B) (千円) |
2,447,840,448 |
|
2,445,058,871 |
|
供託受託契約限度額に対する供託受託契約残高の比率 (A)/(B)(%) |
31.8 |
|
32.6 |
|
(注)収入手数料は非課税につき消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 資産
当事業年度末の資産合計につきましては100,330百万円となり、前事業年度末に比べ81百万円減少しま
した。これは主に投資有価証券の減少によるものであります。
b. 負債
当事業年度末の負債合計につきましては56,714百万円となり、前事業年度末に比べ67百万円増加しまし
た。これは主に流動負債の責任準備金の増加によるものであります。
c. 純資産
当事業年度末の純資産合計につきましては43,616百万円となり、前事業年度末に比べ149百万円減少しまし
た。これは主に当期純利益の計上があったものの、その他有価証券評価差額金の減少によるものであります。
経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。なお、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「3 事業等のリスク」をあわせてご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・
フローの状況」に記載しております。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは、人件費等の経費であり内部
資金により調達しております。当社は事業上必要な流動性と資金源泉を安定的に確保することを基本方針として
おります。流動資産から流動負債を差し引いた運転資本については、当事業年度末現在において15億円の超過と
なっております。
長期資金需要につきましては、内部資金により調達することを基本方針としております。当事業年度末におい
て、設備投資等の重要な支出の予定はありません。
また、当事業年度末現在において、有価証券及び投資有価証券の残高は935億円となっております。資産運用に
つきましては、「安全性」「効率性」「流動性」を重視した資産運用方針に基づき、外部専門機関への運用委託
を原則とし、投資適格債券、不動産投資信託、株式等によるインカムゲインを重視した「ポートフォリオ運用」
を基本とし、社内の業務方法書及び資産運用の基本方針に則り、特に「安全性」に注意を払い運用しておりま
す。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。こ
の財務諸表の作成に当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いており
ますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて
は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおり
であります。