E35230 IFRS
前期
3,818.3億 円
前期比
106.4%
前期
786.0万 円
前期比
100.9%
平均年齢(勤続年数)
33.9歳(6.5年)
従業員数
2,092人(連結:4,380人)
当社グループは、親会社である楽天グループ株式会社のもと、楽天グループにおけるFinTech事業を担っています。
前連結会計年度における報告セグメントは「クレジットカード事業」「保険事業」の2つでしたが、2023年11月1日を効力発生日として、楽天グループ株式会社が保有する楽天ペイメント株式会社の株式を株式交付により当社に移管したことにより、楽天ペイメント株式会社及びその子会社である楽天Edy株式会社は、当社の連結子会社となりました。そのため、当連結会計年度より、「クレジットカード事業」「保険事業」「ペイメント事業」の3つの報告セグメントに変更しました。
クレジットカード事業は、主に楽天カード株式会社が運営しており、主にインターネットを通じて個人顧客を対象としたクレジットカード『楽天カード』を発行し、カードショッピングサービス、キャッシングサービス等をカード会員向けに提供しています。また、カード加盟店の開拓や楽天グループへの決済機能提供等の決済関連サービス、個人向け銀行カードローンの保証業務等のサービスも提供しています。また、不動産への投資事業も行っています。台湾においては、台灣樂天信用卡股份有限公司が個人向けにクレジットカードを発行しており、カードショッピングサービス等を提供しています。
保険事業は、楽天インシュアランスホールディングス株式会社が運営しており、主に楽天生命保険株式会社、楽天損害保険株式会社等で構成されています。楽天生命保険株式会社は、個人向け保障性生命保険商品等を中心に、主にインターネット及び代理店チャネルを通じて販売しています。楽天損害保険株式会社は、自動車保険、火災保険を中心に、さまざまなリスクを補償する損害保険商品等を主にインターネット及び代理店チャネルを通じて販売しています。
ペイメント事業は、主に楽天ペイメント株式会社が運営しており、主にモバイル決済サービスの提供等を行っています。また、その子会社である楽天Edy株式会社がプリペイド型電子マネーサービス等を営んでおり、お客様のご利用シーンに応じた、幅広い決済サービスを提供しています。
事業の系統図は、以下のとおりです。
当連結会計年度(2023年1月1日から2023年12月31日)における当社グループの経営成績等の状況については以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1)経営成績等の状況
当社グループでは、売上収益、Non-GAAP営業利益を経営成績評価上の重要な指標としています。当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、IFRS第17号「保険契約」を当連結会計年度より適用し、基準移行日である2022年1月1日時点に基準変更による累積的影響額を反映しています。これにより、前連結会計年度の数値を修正再表示しています。詳細は、「第5 経理の状況、連結財務諸表注記 注記2.重要性がある会計方針」をご参照ください。
① 当期の経営成績
当連結会計年度における国内経済は、インバウンド消費の回復や、全国旅行支援をはじめとした各種政策の効果により、持ち直しの動きが見られました。さらに、2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類感染症に移行したこともあり、飲食・レジャーを中心に経済の回復傾向は継続しました。一方で、海外経済は、ウクライナ・中東情勢の緊迫化や、世界的なインフレに端を発する急激な金融市場・為替相場の変動等、経済の不確実性は高まっているため、引き続き注視していきます。
このような環境の中、当社グループは以下のように成長を果たすことができました。なお、詳細は「(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」にセグメントごとの分析を記載しています。
(単位:百万円)
Non-GAAP営業利益から営業利益への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
② 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度における売上収益は406,350百万円となり、前連結会計年度の381,832百万円から24,518百万円(6.4%)増加しました。これは主に、クレジットカード事業における『楽天カード』の会員基盤拡大により収益が増加したことに加え、2023年11月1日を効力発生日とするペイメント事業再編に伴い連結子会社が増加したことによるものです。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は337,789百万円となり、前連結会計年度の329,497百万円から8,292百万円(2.5%)増加しました。これは主に、クレジットカード事業における業容の拡大により費用が増加したことに加え、2023年11月1日を効力発生日とするペイメント事業再編に伴い連結子会社が増加したことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は69,560百万円となり、前連結会計年度の52,683百万円から16,877百万円(32.0%)増加しました。これは主に、クレジットカード事業・保険事業の業績が好調に推移したことによるものです。
(税引前当期利益)
当連結会計年度における税引前当期利益は69,204百万円となり、前連結会計年度の52,550百万円から16,654百万円(31.7%)増加しました。これは主に、営業利益で説明した要因等により利益が増加したことによるものです。
(法人所得税費用)
当連結会計年度における法人所得税費用は20,683百万円となり、前連結会計年度の15,939百万円から4,744百万円(29.8%)増加しました。
(当期利益)
当期利益は48,521百万円となり、前連結会計年度の49,425百万円から904百万円(1.8%)減少しました。これは主に、楽天銀行株式会社及びその子会社、楽天証券株式会社及びその子会社並びに楽天投信投資顧問株式会社が連結子会社から除外されたことによるものです。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は48,484百万円となり、前連結会計年度の49,674百万円から1,190百万円(2.4%)減少しました。これは、当期利益で説明した要因等により利益が減少したためです。
③ 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は4,190,330百万円となり、前連結会計年度末の資産合計4,087,679百万円と比べ、102,651百万円増加しました。これは主に、楽天ペイメント株式会社及びその子会社が当社の連結子会社になったことにより、ペイメント事業におけるその他の金融資産が増加したこと、また、クレジットカード事業における貸付金が増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は4,041,090百万円となり、前連結会計年度末の負債合計3,959,121百万円と比べ、81,969百万円増加しました。これは主に、楽天ペイメント株式会社及びその子会社が当社の連結子会社になったことにより、ペイメント事業のその他の金融負債が増加したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は149,240百万円となり、前連結会計年度末の資本合計128,558百万円と比べ、20,682百万円増加しました。これは主に、親会社である楽天グループ株式会社へ配当により減少したものの、当期利益による利益剰余金、ペイメント事業再編に伴う株式交付により資本剰余金が増加したことによるものです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ336,134百万円減少し、318,210百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、193,698百万円の資金流出(前連結会計年度は641,199百万円の資金流出)となりました。これは主に、預り金の増加による資金流入が44,407百万円となった一方で、カード事業の貸付金の増加による資金流出が242,150百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、6,742百万円の資金流入(前連結会計年度は4,125,841百万円の資金流出)となりました。これは主に、無形資産の取得による資金流出が20,165百万円となった一方で、子会社の支配獲得による資金流入が27,592百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、149,794百万円の資金流出(前連結会計年度は1,169,149百万円の資金流入)となりました。これは主に、短期借入金の増加による資金流入が43,249百万円となった一方で、コマーシャル・ペーパーの減少による資金流出が175,200百万円となったことによるものです。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
生産及び受注の実績については、該当事項はありません。また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に各セグメントの状況を記載しています。
(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
前連結会計年度における報告セグメントは「クレジットカード事業」「保険事業」の2つでしたが、2023年11月1日を効力発生日として、楽天グループ株式会社が保有する楽天ペイメント株式会社の株式を株式交付により当社に移管したことにより、楽天ペイメント株式会社及びその子会社である楽天Edy株式会社は、当社の連結子会社となりました。そのため、当連結会計年度より、「クレジットカード事業」「保険事業」「ペイメント事業」の3つの報告セグメントに変更しました。
以下、セグメント単位で経営成績等の分析・検討内容を記載しています。
(クレジットカード事業)
(単位:百万円)
クレジットカード事業セグメントでは、経済の緩やかな回復の下、引き続きカード発行枚数とショッピング取扱高を伸ばすことができました。
楽天グループ各社のサイト上の当社のバナー広告の展開やテレビCM、Web CMの実施に加えて、各種SNSの活用、「楽天カード 武尊デザイン」の発行、楽天モバイルとのコラボレーションキャンペーンの実施等により、カード発行枚数は3,007万枚 (前年同期末比7.1%増)と、中期的な戦略として掲げた「トリプル3」の一つであるカード発行枚数「3,000万枚」を達成しました。またカード発行枚数の伸長に加え、効果的なキャンペーン活動を継続的に行った結果、主要KPIであるショッピング取扱高は 21兆1,475億78百万円(前年同期比16.4%増)となりました。また、ショッピングリボルビング残高は6,410億円(前年同期末比3.4%増)、キャッシング残高は1,443億40百万円(前年同期末比12.0%増)となりました。
結果として、当連結会計年度において、売上収益は316,261百万円(前年同期比7.6%増)となりました。
また、業容拡大に伴い費用は増加しましたが、引き続き債権回収の効率化を図ったことにより、貸倒関連費用は前年同期比で減少しました。
以上の結果から、セグメント損益は49,487百万円(前年同期比16.1%増)となりました。
(保険事業)
(単位:百万円)
保険事業セグメントでは、「楽天保険の総合窓口」の開設により、楽天生命保険株式会社、楽天損害保険株式会社等の提供する保険商品のお客様窓口を一本化し、ご契約者様のお手続きをワンストップで受けることができるようにすることで、お客様にとって利便性の高い保険サービスを提供しています。また、楽天グループ各社間でのシナジー最大化を図るとともに保険募集経費の削減効果等をお客様に還元するため、楽天IDを使ったインターネット経由での楽天生命保険株式会社、楽天損害保険株式会社等の対象商品のご加入者様に、楽天ポイントを還元するサービスを実施し、開始以来好評いただいています。
各社における取組みとして、楽天生命保険株式会社においては、対面専属代理店やインターネット経由での医療保険を中心とした保険販売等により、主要KPIの一つである楽天生命保険株式会社の保有契約件数(共済事業及び1年定期ガン保険の契約を除く)は、50.2万件(前年同期末比0.1%増)となりました。また、金融機関との団体信用生命保険の新規取引を増やしており、取引銀行が拡大しています。
楽天損害保険株式会社においては、行動制限緩和による旅行需要の回復を背景とした、トラベルアシスト(海外旅行保険/国内旅行傷害保険)や、新たな割引制度を導入したドライブアシスト(個人用自動車保険)の販売が順調に増加したこと等もあり、インターネット経由の新規契約件数が19.7万件(前年同期比19.3%増)となりました。
以上の結果から、売上収益は80,646百万円(前年同期比9.2%減)、セグメント損益は9,401百万円(前年同期比712.3%増)となりました。
(ペイメント事業)
(単位:百万円)
ペイメント事業セグメントでは、楽天ペイメント株式会社が主にモバイル決済サービスの提供等を行い、また、楽天Edy株式会社がプリペイド型電子マネーのサービス等を営んでおり、お客様のご利用シーンに応じた、幅広い決済サービスを提供しています。各社における取組みについては、楽天ペイメント株式会社が提供するキャッシュレス決済サービス「楽天ペイ」において2023年12月より国税のスマホアプリ納付に対応し、楽天Edy株式会社が提供する電子マネー「楽天Edy」とともに、自治体マイナポイント事業で利用可能となりました。継続的な営業活動の結果、楽天ペイメント株式会社が提供する各種決済サービスの総利用可能箇所数が834万箇所、及び交通系ICカード利用可能店舗数が184万店舗となりました。上記のような取組みを通して、各種施策・サービスの拡充を行い、顧客に最も選ばれるペイメントサービスを目指します。
以上の結果から、売上収益は14,702百万円、セグメント損失は391百万円となりました。
以上により、当連結会計年度においては、当社グループのNon-GAAP営業利益は58,497百万円(前年同期比33.6%増)となりました。
今後の施策として、クレジットカード事業においては、引き続きキャッシュレス決済の社会全体への浸透を追い風として、新規会員の獲得及びクレジットカード利用促進に向けた効果的かつ効率的なマーケティング戦略を行い、中期的な戦略として掲げた「トリプル3」(カード発行枚数「3,000万枚」、ショッピング取扱高「30兆円」、取扱高シェア「30%」)の達成を目指します。また、当社グループの顧客基盤を最大限に活用し、各社間でのクロスユースを促進することで、当社グループ間でのシナジーをさらに発揮していきます。一方で、新型コロナウイルスの感染状況や金利上昇等のマクロ環境の変化によるユーザー動向については注視する必要があり、資産の健全性、財務の安定性を維持しつつ、各事業のKPI、売上収益、Non-GAAP営業利益への影響を注意深く見ていきます。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、グループ全体における持続的成長の実現を可能とするために、安定的かつ多様な資金調達手段の確保を行うこと、また、各社の高い財務健全性を維持するために、十分な流動性を確保することが重要だと認識しており、低利かつ安定的な調達を行い、十分な流動性の確保に努めています。
なお、当社の信用格付け(2023年6月21日時点)は、JCRから発行体格付け「A-(シングルAマイナス)」を取得しています。また、R&Iからは発行体格付け「BBB+(トリプルBプラス)」を取得しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況、 連結財務諸表注記 注記3.重要な会計上の見積り及び判断(1)重要な会計上の見積り及び仮定」に記載しています。
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、提出会社における営業貸付金の状況は次のとおりです。
2023年12月31日現在
2023年12月31日現在
(注)平均調達金利は、借入金等の期末残高に対する加重平均利率を記載しています。
2023年12月31日現在
④担保別貸付金残高内訳
2023年12月31日現在
2023年12月31日現在