b
E39967
前期
26.7億 円
前期比
154.2%
平均年齢(勤続年数)
38.9歳(2.7年)
従業員数
20人(連結:0.0人)
当社は、「個人の記憶の永遠化・意思の再現・個人の価値の最大・永遠化により自律社会の実現を加速させるパーソナル人工知能」の開発を目指し、「ラボーロからオペラへ」と「私たちの存在を永久にする」の2つをMission(使命)に掲げ、創業より一貫して「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の研究開発を行っております。「P.A.I.」(パーソナル人工知能)とは、私たち自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクローンにさせることを目的としたAIであり、当社は、全ての人が自分のAIを持つことによって、労働(Lavoro)から解放され、アーティスティックな営み(Opera)に没頭することができる世界を実現することを目指しています。これが実現することにより、現在多く見られる「労働集約型ビジネスモデル」から「知識集約型ビジネスモデル」へと転換が行われると考えております。
当社は、アカデミックのネットワークを活用し「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の研究開発を進める一方で、その研究開発過程から生まれた対話エンジン(※)などの要素技術(※)や、機械学習(※)による個性モデル(※)構築などのノウハウを、AIの活用を検討するクライアントに提供してまいりました。また、2020年1月に、現在の当社収益の多くを占めるCommunication Intelligence(※)「AI GIJIROKU」の提供を開始するなど、上記技術を活用したAI Products事業や、戦略的パートナーとの連携により様々なクライアントに対してAIモデルを応用したAI Solutions事業を提供しております。
これらの製品を支える技術として、日本語の複雑な言い回しや専門用語を学習した当社独自開発の「LHTM-2」等の大規模言語モデル(LLM)(以下、「LLM」)(※)を保有しております。こちらは柔軟なカスタマイズが可能かつ個性化に対応しており、事実の正確性を担保した設計となっております。また、AI市場の拡大により、一層確保が難しくなっていくと考えられる計算リソースという点についても、分散コンピューティング(※)と分散ストレージ(※)の独自のインフラストラクチャー技術「Emeth」、「Stack」を保有しております。
当社は、2014年11月設立以降、一人ひとりに「P.A.I.」(パーソナル人工知能)を提供するという世界観の実現に向けて、研究開発を続けてまいりました。2015年より、「Personal Artificial Intelligence」「P A.I.」(2018年6月に同意義として「P.A.I.」)の商標を取得し、あらゆるテクノロジー分野のトップティアアカデミアとの連携を強化し、他社に先駆けて「P.A.I.」(パーソナル人工知能)に必要な独自の技術を蓄積してまいりました。研究開発の実施にあたっては、2016年のSeriesAラウンド以降、2022年から2023年に実施したSeriesDラウンドまでの調達資金も基に進めております。
以上より、昨今脚光を浴びる「パーソナルエージェント思想」の先駆者であること、また同分野における技術的な先行優位性があるものと自負しております。パーソナルエージェント思想とは、「人の非生産的労働からの解放」という目標のためAI技術を活用して人間の生活をより豊かで効率的にするための重要な「ツール」としての概念です。この思想は、人々が日常生活やビジネスの中で直面する繰り返しの作業や時間を要するタスクから解放され、より創造的で価値の高い活動に集中できるようにすることを目指しています。当社では、このパーソナルエージェント思想を実現するために、高度な自然言語処理技術や機械学習を用いたパーソナルエージェントの開発に取り組んでいます。これらの技術により、個々のユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが可能となり、よりパーソナライズされたサービスの提供が実現します。当社は、その基盤となる技術であるLLMを自社開発してまいりましたが、それに基づいたプロダクト(2020年よりリリースし現在主要プロダクトとなっているCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」を筆頭として、そのほか、PoC(Proof of Concept、概念実証。以下、「PoC」)により様々なビジネス上の課題を切り口としてソリューション展開する「altBRAIN」、「AIコールセンター」、「CLONEdev」など)の展開を皮切りに、売上を大きく拡大させております。
(注) 1.AI Products事業が立ち上がり始めた2020年度以降の売上高を記載しております。
2.2021年12月期以前の売上高については、監査法人シドーによる監査を受けておりません。
3.ジャフコグループ株式会社を頂点とする同社のグループ会社及び同社が投資助言を行うファンドを総称して、ジャフコグループと記載しております。
4.Vertex Holdings.が投資助言を行うファンドを総称して、Vertexグループと記載しております。
② 当社独自のパーソナライゼーション技術
一般的に、個々人にパーソナライズされたAIモデルを開発するためには、多くの学習データと学習時間を必要とすることから、クライアントへのサービス提供においては多額のコストが掛かると考えております。当社は、「P.A.I.」(パーソナル人工知能)を広くサービスとして普及するため、安価にパーソナライズされたモデルを提供できるよう研究を続けてまいりました。当社では、膨大な集合データにより学習された汎用的なエンジンである「平均モデル」を構築しております。「平均モデル」そのままでのサービス展開は行っておらず、「平均モデル」に、パーソナライズを行いたい対象のパーソナルデータ(例えばSNSやメール等のデータ)を学習させることで「平均モデル」を歪ませ、個人の思考、意思、癖などが反映される「個性モデル」を開発します。この際、当社の長年の技術により、学習に必要なパーソナルデータを極少量のデータで実現することが可能であり、これにより相対的に安価に「P.A.I.」(パーソナル人工知能)プロダクトをクライアントに提供できております。
当社は、様々なバックボーンを有し、テクノロジーやビジネスに造詣の深い国内外の優秀な人材を確保することで、真にクライアントが求めるプロダクトを提供できるような体制を構築しております。また、当社のビジョンに賛同頂いた、国内外有数のアカデミアの方々と連携・共同研究を行っており、当社独自開発の「LHTM-2」等のLLM等、常に最先端技術を提供できる体制を整えております。
また、当社は業務委託者を積極的に活用することで人材の流動性を確保し、正社員では採用が難しいような高い専門性を持つ人材や当社に最適な人材を世界中から集め、正社員も合わせ、グローバルで90名以上の規模にて事業に取り組んでおります。業務委託者の当社へのコミットメントは様々ですが、2024年6月末現在における業務委託者の在籍状況は次のとおりです。特にエンジニアにおいては契約期間を長期化し、長期のサポートが可能な契約形態、または月40時間に留まらない稼働等、コミットメントを高める施策を講じております。
(注) 1.2024年6月末現在における、業務委託者の過去の契約期間であります。
2.2024年6月単月における、業務委託者の月当たり稼働時間を指します。
当社は、要素技術、LLM、インフラストラクチャー等、生成AIのバリューチェーンにおいて必要な技術要素を自社開発・自社保有しております。
<LLMについて>
当社のコア技術でもあり多くのプロダクトにも組み込まれている、独自開発のLLMの種類及び特徴は次の表のとおりです。なお、当社のLLMは、ハルシネーション(LLMが、正当性がなく、事実に基づかない虚偽の回答をしてしまう現象)を極力排除できるよう設計をしており、ハルシネーションの発生確率を自動的に評価できるエンジンも開発しております。
(注) 1.Japanese General Language Understanding Evaluationの略であり、早稲田大学とヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)の共同研究により構築された、日本語言語理解を図るベンチマークであります。
2.YuzuAIグループが構築した日本語LLMを評価するためのベンチマークを指します。
3.2023年10月時点において、開示されている各ベンチマークとの比較に基づいております。
<インフラストラクチャーの説明>
当社は人工知能(AI)事業の単一セグメントでありますが、当社内のサービス分類として2つの事業区分に分けており、その区分に基づくサービスの特徴・優位性を以下のとおり記載します。
当社の「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の実現のために研究開発を重ね蓄積させてきた要素技術と、多くの戦略的パートナーとのリレーションを活用した課題発掘力及び優秀なエンジニア陣によるプロダクト開発力、AIの社会実装力を基盤とすることで、多くのAIプロダクトの開発・提供を行っております。
<プロダクト一覧及び説明>
(注) Communication Intelligence「AI GIJIROKU」以外のプロダクトは、主にPoCにより提供されており、PoCにより提供されるプロダクトはAI Solutions事業にて収益計上しております。
(メインプロダクトであるCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」)
当社の開発する高精度音声認識技術と日本語最高精度を記録したLLMを組み合わせたソリューションにより、ビジネスシーンの「P.A.I.」(パーソナル人工知能)を提供しています。会議などの発言者の区別をしながらリアルタイムに文字起こしし、自動的に議事録を作成し要約やToDoを纏めるだけではなく、それらコミュニケーションデータをセキュアに保存するデータクラウドソリューションとして価値提供します。
音声認識を利用した文字起こしによる議事録サービスや、AIボットサービス、またChatGPTなどの一般的な物事を熟知する生成AIは多く存在してきておりますが、当社のCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」は音声認識×生成AI技術を組み合わせることで、クライアント社内の会議を含む全コミュニケーションデータを記憶したAIを働かせることが可能なソリューションとして他プロダクトとの差別化を図ることに成功しています。
具体的には、次のような特徴があります。
1. パーソナライズ機能
当社のCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」において最も優位性のある特徴が「パーソナライズ機能」になります。汎用的な音声認識とは異なり、一人ひとりの単語選択の癖、文脈構成の癖、イントネーションの癖などを学習していくことで一人ひとりに合った音声認識を学習していきます。また、SNSやカレンダーと予め連携しておくことで、その時における発話がどういった意味を持つかを推測しにいくことが可能になっています(例えば、カレンダーに当社との会議が入っている時間帯では、「おるつ」という音を「オルツ」という単語として認識する、など)。固有名詞認識は、一般的な単語よりも複雑で、様々な言語や表記のバリエーションが存在します。したがって、これらの固有名詞を正確に認識することは難しい場合があります。しかしながら、ユーザーはユーザー自身がかかわる固有名詞が正確に認識されることを期待しています。特に会議の議事録などの文書では、人名や会社名、地名などの固有名詞の正確な認識が重要です。認識の不正確さやミスは、信頼性や使いやすさに影響を与えます。固有名詞の誤認識は、文脈や情報の正確性に直接的な影響を与える可能性があります。例えば、誤って認識された人名や会社名は、議事録や報告書の内容を正確に把握するのを難しくします。その結果、ユーザーはシステムの信頼性を失う可能性があり、満足度が得にくくなります。これらの理由によりユーザー満足度を得にくい領域であった固有名詞認識について、これまで数多く存在してきた議事録サービスがマーケットフィットに苦戦した中、当社のパーソナライズ機能は、例えばユーザーのメールやSNSなどのアプリと連携することにより関連する固有名詞を学習させることができるため、ファインチューニングが可能になっています。
2. パーソナライゼーション技術を用いた高い音声認識精度
「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の実現を目指し、様々な要素技術を蓄積してきました。これにより、高度な音声認識精度を実現し、個々人の発言を正確に理解することができます。さらに、パーソナライゼーション技術を駆使して、業界ごとに専門用語を認識しやすくすることができます。現在、業種別音声認識ソリューションを15業界分(2024年8月末時点)保有しております。前提として、日本語には同音異義語が多い事、また業界によって、日常使用する表記とは異なる表現方法や、漢字と平仮名の書き分けなどの異なる習慣があります。例えば「こうしょう」という単語は48の同音異義語がある(日本漢字能力検定調べ)ように、複数ある漢字の中でどの漢字が適しているかと判断するために、文脈や意味を理解する必要があります。その文脈や意味で使い分けるためには、業界に特化した音声認識が必要であります。当社の音声認識エンジンは各業界に特化した形にチューニングすることにより、汎用的な音声認識では認識することが難しい同音異義語や専門用語(カタカナなど)を高い精度で認識することができます。業界に応じた膨大な専門用語や言い回し等を学習させることにより、例えば建築業界向けの「建築GIJIROKU」上は「かわら」をそのまま平仮名で表記せず、さらに「河原」に誤変換することなく「瓦」に変換するといった、各業界に特化した形で追加のチューニングを加えることで、一層精度を高めることが可能であります。
当社のパーソナライズ技術又は業界特化のチューニングを施したものを総称して「パーソナライズドモデル」と称しております。
当社が有する顧客基盤の一例として、当社が有する2パターンのエンジンを用いた、建築業界及び医療業界の業種別音声認識ソリューションにおける音声認識例が以下のとおりです。具体的には、当社における高精度音声認識エンジンである「パーソナライズドモデル」(注1)及び当社のパーソナライズ技術を駆使していない又は業界に特化していない汎用的なエンジンである「平均モデル」(注2)の2パターンであります。
なお当社では、「平均モデル」そのままでのサービス展開は行っておらず、「平均モデル」に当社の独自開発のLLMである「LHTM-2」を利用してSNSやメール、辞書データからの自動学習や声紋判断による話者特定といったパーソナライズ技術を施し最適化することで、高精度音声認識エンジンのCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」としてユーザーへ提供しております。利用する度に学習し、文字起こしの精度が向上するため、ユーザーは常に最新の技術を享受できます。
<当社が開発した業界別音声認識ソリューション例>
建築 GIJIROKU
建築業界における「パーソナライズドモデル」の認識精度の業界平均値が95.25%、「平均モデル」の業界平均値は87.08%であります。
上記の「パーソナライズドモデル」及び「平均モデル」の業界平均値の水準に最も近似した事例が以下のとおりです。
医療 GIJIROKU
医療業界における「パーソナライズドモデル」の認識精度の業界平均値が97.80%、「平均モデル」の業界平均値は91.42%であります。
上記の「パーソナライズドモデル」及び「平均モデル」の業界平均値の水準に最も近似した事例が以下のとおりです。
(注) 1.「パーソナライズドモデル」とは、業界特化エンジンを含む、高度な文脈理解のための最適化が施された当社の高精度音声認識エンジンのことであります。
2.「平均モデル」とは、各業界に特化した同音異義語や専門用語(カタカナなど)を学習していない汎用的なエンジンのことであります。
3.建築業界及び医療業界の業種別音声認識ソリューションにおける音声認識は、当社にて実験室内(通常オフィス環境)で音声を用い、「パーソナライズドモデル」及び「平均モデル」のエンジンにて、1個のデータ当たり20回ずつのテスト実験を行ったものであります。
4.建築業界における音声認識は、2024年7月時点における394個の実験データに基づくものであります。建築業界全体における394個の実験データの、「パーソナライズドモデル」の認識精度の平均値は95.25%、「平均モデル」の認識精度の平均値は87.08%であります。
5.医療業界における音声認識は、2024年6月時点における124個の実験データに基づくものであります。医療業界全体における124個の実験データの、「パーソナライズドモデル」の認識精度の平均値は97.80%、「平均モデル」の認識精度の平均値は91.42%であります。
6.認識精度の算出方法は、CER(文字誤り率)を100%から引いた値で、原文と一致している文字数のパーセンテージで表示しております。
7.読み上げ原文からの認識間違いを赤字で表記しております。
当社は英語よりも同音異義語の多さを有する日本語において、高い音声認識精度を有しております。さらに、当社は2023年6月に人力による文字起こし事業を事業譲受しており、AI Solutions事業において、人力(Human-in-the-Loop)による文字起こしサービスを展開し、完璧な精度を有する議事録の提供が可能であります。
英語、中国語、スペイン語等、35ヶ国語(本書提出日現在)に対応したリアルタイム翻訳機能により、指定した言語で会話が記録されます。また、音声合成技術を活用して、AIに翻訳テキストを発話してもらうことが出来るサービスを提供しており、ユーザー間のコミュニケーションを取りやすくするメリットを有しております。
Zoomビデオコミュニケーションズが提供するクラウドコンピューティングを使用したWeb会議サービスである「Zoom」と連携することができます。会議やウェビナーでの会話をリアルタイムで画面にテキスト化して字幕として表示でき、通話終了後は議事録を自動保存します。
5. パーソナルエージェント機能
高精度な音声認識と、当社が保有する高い日本語精度を誇るLLMを組み合わせることで、社内外で交わされる商談や会議の全データをテキストデータとして書き起こし、保管し、そのデータを基に社内外のコミュニケーションをとることができます。例えば、当社プロダクトである「altBRAIN」との連携により営業が行った全商談の要約を役員に随時共有したり、ある商談についての次の提案内容をドラフトしたり、全開発会議を把握することである開発における意思決定過程の透明性を高くしたりすることができます。
<課金体系>
課金体系は次のとおりです。当社では、法人のチームプランを中心にサービスを展開しておりますが、足元では法人のビジネスプランの対象となるエンタープライズ向けのセールスチームを立ち上げ、ビジネスプランの獲得に注力しております。
② AI Solutions事業
AIの活用を検討するクライアントに対して、コンサルティング、PoC、本番開発から協業販売までのプロジェクト遂行の支援をしております。当社の設立以降、継続して推進してきた事業であり、かつ当社が最も得意とする分野でもあります。「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の開発を目指す上で蓄積させてきた要素技術及びそれらの統合ノウハウを活用することで、当社が「カンパニゼーション」(※)と呼ぶクライアントごとのデータ・特徴に合わせたプロダクト活用もしくはインフラの構築などのニーズを捕捉していきます。AI Solutions事業ではクライアントが直面する課題の生の声を聞くことが可能であり、それらの課題と当社の「P.A.I.」(パーソナル人工知能)要素技術が合わさることで、現在の労働集約的な状態を打開するようなプロダクトの創出に繋げることが可能です。各クライアントに存在する属人的なノウハウや作業過多な業務をAI技術で自動化もしくは効率化を行うことで、より創造的な時間を創出します。また、今後はAI Products事業で関係を持った企業群を本AI Solutions事業のリード顧客としてみなしていくことで、事業間の好循環を回し、更なる収益機会の拡大を図ります。
当社は、LLM等の当社が有する幅広いAI技術と、株式会社キーエンスのノウハウやデータに基づく合理的な企業運営の知見を合わせ、新たなソリューションを提供することを目指し、資本業務提携を行っております。さらに、NVIDIA Corporationが展開するスタートアップ支援プログラム「NVIDIA Inception Program」にてパートナー企業に認定されており、業務連携を通じ「EMETH」や「EMETH GPU POOL」を強化してまいります。またその他にも、デロイトトーマツグループのデロイトトーマツコンサルティング合同会社と生成AIの社会実装を目的、Stability AI Japan株式会社とは音声・画像・映像における生成AIのユースケース確立を目的、Databricks Inc.とはデータ構造化及びAI/DX化の加速を目的として業務連携を行っております。このように、グローバルに活躍するパートナーとの連携を多数実施しており、生成AI領域における確固たるポジショニングを築いているものと理解しております。
(事業系統図)
(注) 「販売パートナー」とは、販売店契約に基づき取引を行う「販売店」の当社における呼称であります。
※用語解説
本項「事業の内容」において使用する用語の定義については、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。なお、当社は、人工知能(AI)事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第10期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
一般社団法人電子情報技術産業協会「注目分野に関する動向調査2023」によれば、独自に開発したLLMを活用しプロダクトをマネタイズする当社の事業が属する生成AIにおける国内市場は成長を続けており、生成AIの利活用により、2023年には1,188億円、2025年には6,879億円、2030年には1兆7,774億円にまで成長するとされております。データからパターンと傾向を学習し画像生成、音声生成、動画生成、テキスト生成の形でアウトプットを行う生成AIは、幅広い業種での業務での活用が期待され、2030年の市場は2023年対比で15倍の成長を遂げる見通しです。
販売パートナーの数の増加に取り組んだことにより、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」の売上が拡大し、当事業年度におけるAI Products事業の売上高は3,825,527千円(前事業年度比152.9%)となり、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」の2023年12月時点のMRR(Monthly Recurring Revenue)は約3.6億円となりました。
また、当社の継続してきた事業であるAI Solutions事業については、当事業年度における売上高は286,468千円(前事業年度比174.5%)となりました。引き続き「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の実現に向けたPoC受注があることと並行して、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」のユーザーである企業から更なるカスタマイズやAIを用いた開発受託などの依頼がくることでAI Products事業からAI Solutions事業へのニーズ獲得といった流れも出てきており、ユニークな事業モデルを構築できつつあります。
今後は、さらに製品の認知及びシェアの拡大を進めるとともに他製品の公開を進めます。また、デジタルクローン技術の社会実装に向けても事業を加速させていく所存であります。特に主要プロダクトであるCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」を用いて、日本ひいてはアジア圏におけるVoice-to-Text市場のシェアを獲得していきたいと考えています。
以上の結果、当事業年度の売上高は4,111,995千円(前事業年度比154.2%)、営業損失は1,485,892千円(前事業年度は672,188千円)、経常損失は1,497,762千円(前事業年度は670,352千円)、当期純損失は1,498,712千円(前事業年度は671,302千円)となりました。
第11期中間会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
当中間会計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、国際情勢に伴う資源価格の高騰、円安の進行など先行き不透明な状況が続きました。
当社は「デジタルクローンP.A.I.(=私たち自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクローンにさせることを目的としたAI)」の実現のため、AI研究開発を通じた成果によるサービスをクライアントに提供しておりますが、リモートワークの定着や人手不足を背景に、AIがビジネスで求められるシーンは引き続き拡大しております。
このような事業環境の中、当社は、AI Products事業のプロモーション活動を引き続き実施し、特に主要プロダクトであるCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」により、toB向けの販売を前事業年度に継続して伸ばすことが出来ました。AI Solutions事業では、様々なクライアントからビジネスシーンでのAIの活用についてご商談をいただき、前事業年度より受注を伸ばすことが出来ました。
以上の結果、当中間会計期間の業績は、売上高2,844,006千円、営業損失1,111,562千円、経常損失1,126,917千円、中間純損失は1,127,392千円となりました。
第10期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して124,591千円減少し、3,397,485千円となりました。
流動資産は、前事業年度末と比較して383,013千円減少し、3,136,995千円となりました。これは主に、現金及び預金が845,745千円減少したこと及び、売掛金が340,768千円増加したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比較して258,421千円増加し、260,489千円となりました。これは主に、のれんが258,351千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して689,988千円増加し、1,093,770千円となりました。
流動負債は、前事業年度末と比較して700,632千円増加し、1,049,651千円となりました。これは主に、短期借入金が449,700千円、未払金が203,289千円増加したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末と比較して10,644千円減少し、44,119千円となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金に振り替えたことにより長期借入金が10,644千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して814,580千円減少し、2,303,714千円となりました。これは、第三者割当増資により684,132千円増加したことと、当期純損失により1,498,712千円減少したことによるものであります。
第11期中間会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
(資産)
当中間会計期間末における資産合計は、前事業年度末と比較して323,639千円増加し、3,721,124千円となりました。
流動資産は、前事業年度末と比較して276,991千円増加し、3,413,986千円となりました。これは主に、現金及び預金が144,482千円増加し、売掛金が90,143千円増加したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比較して46,648千円増加し、307,138千円となりました。これは主に、のれんが44,747千円増加したことによるものであります。
(負債)
当中間会計期間末における負債合計は、前事業年度末と比較して1,451,031千円増加し、2,544,801千円となりました。
流動負債は、前事業年度末と比較して156,353千円増加し、1,206,004千円となりました。これは主に、短期借入金が100,200千円減少し、未払金が207,739千円増加したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末と比較して1,294,678千円増加し、1,338,797千円となりました。これは、長期借入金が1,294,678千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産合計は、前事業年度末と比較して1,127,392千円減少し、1,176,322千円となりました。これは、利益剰余金が1,127,392千円減少したことによるものであります。
第10期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は2,217,193千円(前事業年度比845,745千円減少)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果使用した資金は、1,688,864千円(前事業年度は781,019千円の支出)となりました。主な要因は、税引前当期純損失1,497,762千円及び売上債権の増加340,768千円並びに未払金の増加203,289千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、280,070千円(前事業年度は1,208千円の支出)となりました。主な要因は、事業譲受による支出280,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は、1,123,188千円(前事業年度は3,510,584千円の獲得)となりました。主な要因は、短期借入による収入600,000千円及び新株発行による収入684,132千円によるものであります。
第11期中間会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は2,361,675千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において営業活動の結果使用した資金は、976,193千円となりました。主な要因は、税引前中間純損失1,126,917千円及び未払金の増加207,739千円並びに売上債権の増加90,143千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において投資活動の結果使用した資金は、73,802千円となりました。主な要因は、事業譲受による支出71,901千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において財務活動の結果獲得した資金は、1,194,478千円となりました。主な要因は、長期借入による収入1,300,000千円及び短期借入金の返済による支出100,200千円によるものであります。
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
販売実績は次のとおりであります。なお、当社は人工知能(AI)事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略し、サービスごとに記載しております。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に不確実性がある場合、作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出するために見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社の財務諸表作成のための会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(税効果会計)
当社は、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり、重要な税務上の欠損金が生じており、かつ、翌期における課税所得の発生が確実に見込まれる状況ではないことから回収可能性はないと判断し、繰延税金資産は計上しておりません。将来、課税所得が生じると見込まれる場合には、繰延税金資産を計上する可能性があります。
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
第10期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(売上高)
AI Products事業において、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」を伸張させるため、チームプランの継続的な顧客獲得を前提として、販売パートナーを通じて企業向けのビジネスプランの顧客獲得及び単価向上に注力し、売上の拡大に努め、結果として3,825,527千円を計上するまでになりました。AI Solutions事業については286,468千円の売上を計上し、結果として合計 4,111,995千円の売上となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は前事業年度比154.1%で、176,018千円(前事業年度は114,210千円)となりました。これはAI Products事業におけるCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」売上の増加に伴うサーバー費用やプログラム改良での人件費の増加を要因とし、売上原価が増加しております。以上の結果、売上総利益は前事業年度比154.2%で、3,935,976千円(前事業年度は2,551,863千円)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は前事業年度比168.2%で、5,421,869千円(前事業年度は3,224,052千円)となりました。これは広告宣伝費や研究開発費の増加を主要因としております。以上の結果、営業損失は1,485,892千円(前事業年度は営業損失672,188千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外収益は主に雑収入の計上により349千円、営業外費用は主に為替差損と支払利息の計上により12,220千円となりました。以上の結果、経常損失は1,497,762千円(前事業年度は経常損失670,352千円)となりました。
(当期純損失)
当期純損失は、影響を与える特別損益の計上はなく、法人税等の計上のみであります。
この結果、当期純損失は1,498,712千円(前事業年度は当期純損失671,302千円)となりました。
第11期中間会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
(売上高)
AI Products事業において、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」を伸張させるため、チームプランの継続的な顧客獲得を前提として、販売パートナーを通じて企業向けのビジネスプランの顧客獲得及び単価向上に注力し、売上の拡大に努め、結果として2,502,337千円を計上するまでになりました。AI Solutions事業については341,668千円の売上を計上し、結果として合計2,844,006千円の売上となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、主にAI Products事業におけるCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」売上の増加に伴うサーバー費用やプログラム改良での人件費の増加により、164,310千円となりました。以上の結果、売上総利益は、2,679,696千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は、主に広告宣伝費や研究開発費の増加により、3,791,258千円となりました。以上の結果、営業損失は1,111,562千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外収益は主に商品処分益の計上により1,791千円、営業外費用は主に支払利息の計上により17,146千円となりました。以上の結果、経常損失は1,126,917千円となりました。
(中間純損失)
中間純損失は、影響を与える特別損益の計上はなく、法人税等の計上のみであります。
この結果、中間純損失は1,127,392千円となりました。
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しました各指標の推移は次のとおりであります。
(AI Products事業)
2020年1月に提供開始したCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」に関する数値であります。
(注) 1.Communication Intelligence「AI GIJIROKU」は2020年1月提供開始であり、2019年12月期は記載を省略しております。
2.2021年12月期以前の売上高については、監査法人シドーによる監査を受けておりません。
売上高については、有料アカウント数の継続的な増加に伴い、増加しております。
有料アカウント数については、販売パートナーの増加等の取り組みにより、継続的に増加しております。
(AI Solutions事業)
(注) 2021年12月期以前の売上高については、監査法人シドーによる監査を受けておりません。
売上高については、継続的なPoCの受注やCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」のユーザーであるクライアントから有料アカウント数の追加や特定の業界に特化した高精度の業種別音声認識ソリューションの活用といった更なるカスタマイズや「altBRAIN」の導入に加えて、例えばチャットボットの開発を行うといったAIを用いた開発受託などの依頼があり、継続的に増加しております。
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の事業活動における主な資金需要は、労務費及び人件費といった人材に関するもの及び経費等の販売費及び一般管理費等となっております。上記運転資金につきましては、内部資金、銀行からの借入及び売上債権の回収により調達を行うことを基本としており、資金の流動性は確保されております。なお今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。