伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

上場廃止 (2023/12/01) 株式の併合 情報・通信業システムプライム

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05059 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績の状況

当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、世界的な金融引締めや中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れによる景気下押しリスクがあるものの、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかに回復しました。

情報サービス産業においては、引き続き企業のIT投資意欲は高く、レガシーな基幹系システムの刷新や、クラウド利用を含めたDX関連の投資需要の増加が見られました。

このような状況下、当社グループでは、企業理念であるMission(使命)「明日を変えるITの可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する。」を目指す姿とした、中期経営計画(2021年4月から2024年3月までの3か年)「Beyond the Horizons~その先の未来へ~」を掲げています。

基本方針とする
 「Accelerate:これからの豊かさを創る」
 「Expand:今の豊かさを拡げる」
 「Upgrade:実現可能性を高める」

を着実に実行し、2024年3月期の目標達成を目指すとともに、社会課題の解決に貢献してまいります。

これらの具体的な取り組みは次のとおりです。

 

 

・生成AIの活用についてのコンサルティングサービス「生成AIアドバイザリサービス」を開始しました。生成AIの利用の検討から、既存システムとの連携、生成AIを含めたシステム構築、導入後の定着化まで、幅広い場面でお客様を支援するサービスです。また、日本マイクロソフト株式会社が提供する生成AIサービス「Azure OpenAI Service」を活用して企業独自の利用に特化した対話型生成AIの環境を構築する「AOAI環境構築サービス」の提供を開始しました。セキュリティや安全性を備えた生成AIの環境で、社内文書の内容も検索して学習し、企業独自の回答を実現する環境です。当社は、当社グループの「AI倫理原則」を遵守しながら生成AIの利活用に関するサービスを拡充し、お客様の更なる業務効率化に貢献していきます。

  《Accelerate》

 

・量子コンピューティングの活用に向けたサービス「CUVIC for Quantum」の提供を開始しました。量子コンピューティングサービスに加えて、量子コンピュータ向けのアプリケーション、複数の量子コンピュータを束ねるクラウド型プラットフォームとマネージドサービス、人材教育サービスなどを包括的に提供していきます。

《Accelerate》
 

・当社と伊藤忠メタルズ株式会社は、当社が開発した廃棄物処理の可視化プラットフォーム「StateEco(ステートエコ)」を活用した、廃棄ベッドマットレスの効率的な回収と経路最適化の実証実験を共同で開始しました。StateEcoは、廃棄物の回収から最終処理まで、資源循環促進のためのトレーサビリティプラットフォームで、AIの活用によりCO2排出量を抑制する最適な運搬経路を算出できます。また、当社と株式会社ブレインパッドは、運輸業向けに配送ルートを最適化して物流でのGHG※1排出量の削減を図る「配車・配送ルートの最適化サービス」の提供を開始しました。これらの環境改善に繋がるデータを活用した製造・物流のプラットフォームの整備を通して、社会のGX(グリーン・トランスフォーメーション)に貢献していきます。

《Accelerate》

※1 Greenhouse Gas(温室効果ガス)の略。

 

 

・お客様のシステムを24時間365日遠隔監視するCTCセキュリティ・オペレーション・センター(CTC-SOC)における生成AIを活用したセキュリティ分析サービスを、日本マイクロソフト株式会社(以下、マイクロソフト)と連携して開発を開始しました。マイクロソフトが提供する、生成AIサービス「Azure OpenAI Service」、インターネット上からサイバーセキュリティに関する脅威情報を収集して分析する「Microsoft Defender Threat Intelligence(以下、Microsoft Defender TI)」、セキュリティ監視基盤「Microsoft Sentinel」を組み合わせ、CTC-SOCが長年培ってきた知見とMicrosoft Defender TIが持つ膨大な脅威情報を生成AIの学習データとして利用することで、増え続けるセキュリティ脅威に対する分析業務の高度化を実現します。

《Accelerate》

 

・SAPジャパン株式会社が提供するERPソリューションのパブリッククラウド版「SAP S/4HANA Cloud, public edition」を、当社の基幹システム最適化ソリューション「Figues(フィグ)」のメニューに加えて提供を開始しました。Figuesは、基幹システムに手を加えることなく自社業務に最適な環境を整えるソリューション群です。今回の取り組みにより、ERPのバージョンアップの際の影響を少なく抑え、最新の機能をカスタマイズなしに利用することが可能になります。基幹システム導入から運用までの負担軽減を可能とするFiguesの提供を通じて、今後もお客様の業務の効率化やDXの推進に貢献していきます。

《Expand》

 

・クラウド事業者や通信・サービスプロバイダなどに向け、Arrcus Inc.のオープンネットワークソフトウェア「Arrcus Connected Edge(ACE)™」の提供を開始しました。データセンターやクラウド、エッジ、5Gを含めたネットワークのスイッチングやルーティングをソフトウェアで管理・制御する、ネットワークの仮想化ソリューションです。お客様はビジネスの状況に応じて柔軟にネットワークを拡張することが可能となり、またネットワーク運用の効率化も実現できます。当社は、今後もクラウドネイティブに対応したネットワーク技術の提供により、お客様のDXやITサービスの開発を支援していきます。

《Expand》

 

・業務のデジタル化に向けた潜在的なニーズを掘り起こすサービス「Snowflake Prototyping with D-Native」の提供を開始しました。Snowflake Inc.のクラウド型データプラットフォームと、当社が提供するデータ活用のライフサイクル全体を支援する伴走サービスD-Nativeを使用したサービスです。社内外の課題や取り組みたいテーマのヒアリングに基づきデータの収集・蓄積を進め、仮説のブラッシュアップを繰り返すことで、業務プロセスの改善や最適化、新規ビジネスの創出などにつなげ、お客様のDXに貢献していきます。

《Expand》

 

・当社とQuesTek International LLC(以下、QuesTek社)が共同で出資しているQuesTek Japan株式会社は、QuesTek社が開発した材料のモデリングや設計のシミュレーションのためのクラウド型材料開発プラットフォーム「ICMD®(Integrated Computational Materials Design)」を活用した材料設計コンサルティングサービスを開始しました。当社は、合金設計、材料プロセス設計、材料評価などの材料関連の各種ソフトウェア及び関連データベースの販売やサポート、コンサルティングサービスを40年以上前より提供しており、新規材料の開発などに関する高度な技術を有するQuesTek社との協業関係の強化によって、マテリアルズ・インフォマティクス事業を拡充していきます。

《Expand》

 

営業活動につきましては、通信、情報サービス、社会インフラなど様々な分野向けのインフラ、開発案件などに注力しました。

当第2四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。売上収益は、サービスビジネス、開発・SIビジネス及び製品ビジネスの全てにおいて増加し、274,635百万円(前年同期比7.9%増)となりました。営業利益につきましては、増収及び売上総利益率の改善により、21,006百万円(同21.4%増)となりました。また、営業利益の増加により税引前四半期利益は21,811百万円(同24.6%増)、四半期純利益は15,141百万円(同24.8%増)、当社株主に帰属する四半期純利益は14,856百万円(同24.2%増)となりました。

 

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前第2四半期連結累計期間との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。

 

エンタープライズ事業

製造向け製品販売・サービス、建設向け製品販売などが増加し、売上収益は61,722百万円(前年同期比23.7%増)となりました。増収による売上総利益の増加により、税引前四半期利益は3,158百万円(同61.9%増)となりました。

 

② 流通事業

エンターテインメント向け製品販売、情報サービス向け製品販売や開発などが増加し、売上収益は39,333百万円(同7.7%増) となりました。増収による売上総利益の増加や売上総利益率の改善などにより税引前四半期利益は4,736百万円(同60.0%増)となりました。

 

③ 情報通信事業

通信向け製品販売などが減少し、売上収益は82,213百万円(同2.0%減) となりました。売上総利益率の改善などにより税引前四半期利益は4,651百万円(同31.3%増)となりました。

 

④ 広域・社会インフラ事業

社会インフラ、自動車向け製品販売などが増加し売上収益は46,932百万円(同7.2%増)となりました。増収による売上総利益の増加あるも、販売費及び一般管理費の増加などにより税引前四半期利益は2,368百万円(同6.3%減)となりました。

 

⑤ 金融事業

銀行向け製品販売、その他金融向け開発などが増加し、売上収益は26,764百万円(同24.8%増)となりました。増収による売上総利益の増加により税引前四半期利益は2,510百万円(同42.8%増)となりました。

 

⑥ ITサービス事業

当セグメントは、クラウド関連やデータセンタービジネス、保守・運用サービスを全社横断的に提供しており、売上収益は69,614百万円(同5.7%増)、税引前四半期利益は6,141百万円(同9.4%増)となりました。

 

⑦ その他

海外事業会社における製品販売が減少し、売上収益は27,933百万円(同3.3%減)となりました。売上総利益率の改善などにより税引前四半期利益は818百万円(同27.1%増)となりました。

 

()上記セグメントの売上収益及び税引前四半期利益は、セグメント間の内部売上収益等を含めて表示しております。

 

 

(2) 財政状態の分析

当第2四半期連結会計期間末における資産は、前連結会計年度末に比べて1,406百万円増加し、529,452百万円となりました。これは、主に営業債権及びその他の債権が30,995百万円、現金及び現金同等物が14,323百万円減少したものの、棚卸資産が31,061百万円、その他の流動資産が19,508百万円増加したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度末に比べて5,232百万円減少し、217,214百万円となりました。これは、主にその他の流動負債が17,925百万円増加したものの、営業債務及びその他の債務が14,140百万円、従業員給付(流動負債)が5,034百万円、未払法人所得税が3,880百万円減少したことによるものであります。

資本は、前連結会計年度末に比べて6,638百万円増加し、312,238百万円となりました。これは、主に剰余金の配当による減少が9,502百万円あったものの、四半期純利益による増加が15,141百万円あったことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べて14,323百万円減少し、78,207百万円となりました。

当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は2,125百万円となりました。これは、税引前四半期利益が21,811百万円、減価償却費及び償却費が7,628百万円、営業債権及びその他の債権が29,657百万円の減少となった一方、棚卸資産が30,685百万円の増加営業債務及びその他の債務が15,698百万円の減少、法人所得税の支払額が10,505百万円となったことによるものであります。

前第2四半期連結累計期間において営業活動により得られた資金は10,297百万円でありました。前年同期との比較では、税引前四半期利益は増加したものの、棚卸資産の増加による支出が増加しております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は2,386百万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が2,584百万円となったことによるものであります。

前第2四半期連結累計期間において投資活動により使用した資金は2,712百万円でありました。前年同期との比較では、有形固定資産の取得による支出が増加し、投資有価証券等の取得による支出が減少しております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は10,753百万円となりました。これは、セール・アンド・リースバックによる収入が3,514百万円となったものの、リース負債の返済による支出が6,196百万円となったことに加え、当社株主への配当金の支払額が9,367百万円となったことによるものであります。

前第2四半期連結累計期間において財務活動により使用した資金は14,003百万円でありました。前年同期との比較では、セール・アンド・リースバックによる収入が増加したことに加え、当社株主への配当金の支払による支出が減少しております。

 

(4) 研究開発活動

当社グループの当第2四半期連結累計期間における研究開発費は、957百万円(情報通信事業 231百万円、新事業創出・DX推進 278百万円、その他の事業等 448百万円)であります。

なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。