売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS




E01975 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

当中間連結会計期間において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度の要約中間連結財務諸表及び連結財務諸表については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額によっています。

 

(1)経営成績の状況

2024年4月1日付けで岸田光哉が社長に就任し新経営体制がスタートしました。One Nidecをキーワードにグループ間でシナジーを創出しながら成長していく全体最適の経営、すなわちグループ一体化経営の実現を目指して、技術や人材のグローバルベースでの融合をはじめ、各種の施策を強力に推進しています。

製品グループ別については、まず精密小型モータはニアライン用途を中心にHDD用モータの需要が回復しました。また、急拡大しているAIサーバ向け水冷システムは来る次世代GPU仕様サーバ向けを含め、下期に向けて高付加価値の水冷モジュール関連の戦略商材の供給体制を整備し、収益性の高い事業ポートフォリオへの転換を加速しています。車載は、BEV市場の拡大鈍化と価格競争の激化をいち早く察知し昨年度に他社に先駆けて収益性最優先へ戦略転換を行い、当第2四半期連結会計期間ではEVトラクションモータ関連事業の中国市場において黒字転換しました。今後も合弁先との連携を一層強化し、これまで厳しい市場で培った技術・コスト競争力を活かした部品供給の推進にも注力していきます。また、世界各国の先進安全装備や自動運転に向けた高度な電動化、HEV需要の高まりを見越した製品開発等に注力しています。家電・商業・産業用においても、データセンターに必要不可欠な発電機等の需要が急拡大しており、それに対応した生産能力の増強を鋭意進めています。またグリーンイノベーション関連需要の拡大に伴いバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の大幅成長も見込まれています。機器装置は景気変動サイクルにおける低迷期の最終局面に差し掛かっており、回復局面へ転換するタイミングに即応できるよう、グループ各社の経営体制や生産体制の集約一元化等、引き続き事業推進体制の強化を鋭意進めています。

このように新経営体制の下、グループ一丸となってスリー新(新市場、新製品、新顧客)活動を強化した結果、当中間連結会計期間の売上高・営業利益において過去最高を更新しました。

このような状況下、当社は「中長期の方向性」を明確化することにより、100年を超えて成長し続けるグローバルな“超一流企業”を目指し、当社ならではの強みを継承しながら“第2の創業”として、“質”を伴った成長により企業価値を高めていきます。

 

 

当中間連結会計期間における主な経営成績は次のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

前中間期

当中間期

増減額

増減率

売上高

1,157,448

1,293,811

136,363

11.8%

営業利益

115,309

121,000

5,691

4.9%

(利益率)

(10.0%)

(9.4%)

税引前中間利益

144,886

100,174

△44,712

△30.9%

継続事業からの中間利益

106,614

73,628

△32,986

△30.9%

非継続事業からの中間損失

△14

△141

△127

親会社の所有者に帰属する中間利益

105,710

75,572

△30,138

△28.5%

 

 

当中間連結会計期間の継続事業からの連結売上高は、前年同期比11.8%増収1兆2,938億11百万円となり、過去最高を更新しました。

各事業分野・市場において順調に推移し、精密小型モータではニアライン用途を中心にHDD用モータが回復したこと、急成長しているAIデータセンター向け水冷モジュールをはじめとする新分野での売上高が増加したほか、車載におけるニデックPSAイーモーターズ(Stellantis社との合弁会社)の連結子会社化等により売上高が拡大しました。

営業利益は、家電・商業・産業用及び機器装置において、下期以降の収益性の改善を目指し、分散拠点の合理化や生産体制の集約等を進めた結果、先行してコスト負担が発生した影響はありましたが、一方で精密小型モータでは高付加価値の水冷モジュールを新規投入し、収益性の高い事業ポートフォリオへの転換が進んだこと、ニデックPSAイーモーターズの連結子会社化に伴う段階取得に係る差益の計上もあり、前年同期比4.9%増益1,210億円となり、過去最高を更新しました。

税引前中間利益は、当第2四半期連結会計期間において急速な円高が進行したことに伴う為替差損約273億円を計上した影響も含め、前年同期比30.9%減益1,001億74百万円、継続事業からの中間利益は前年同期比30.9%減益736億28百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比28.5%減益755億72百万円となりました。

なお、当中間連結会計期間の対米ドル平均為替レート(1ドル当たり152.63円)は前年同期比約8%の円安、対ユーロ平均為替レート(1ユーロ当たり165.95円)は前年同期比約8%の円安となりました。

なお、当中間連結会計期間の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。

- 売上高:前年同期比約769億円の増収

- 営業利益:前年同期比約79億円の増益

 

 

 

セグメント別の経営成績は次のとおりです。

(単位:百万円)

 

総売上高

営業損益

 

前中間期

当中間期

増減額

前中間期

当中間期

増減額

SPMS

162,230

197,322

35,092

9,805

20,300

10,495

AMEC

166,353

177,796

11,443

3,033

36

△2,997

MOEN

230,562

278,101

47,539

31,228

38,272

7,044

ACIM

216,879

235,276

18,397

21,121

18,931

△2,190

機械事業

99,930

106,584

6,654

12,622

6,965

△5,657

グループ会社事業

318,426

335,892

17,466

45,379

45,997

618

調整及び消去/全社

△36,932

△37,160

△228

△7,879

△9,501

△1,622

連結

1,157,448

1,293,811

136,363

115,309

121,000

5,691

 

(注) 1.総売上高は外部顧客に対する売上高とセグメント間の売上高の合計です。

2.当中間連結会計期間においてセグメント区分を一部変更しています。詳細は「第4 経理の状況1要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。

 

「SPMS」の総売上高は1,973億22百万円前年同期比350億92百万円増)となりました。これは、HDD用モータの売上高の増加及び、AIサーバー向け水冷システムの急激な需要拡大に呼応した水冷モジュール事業の垂直立ち上げによる量産化によるものです。営業利益は203億円前年同期比104億95百万円増)となりました。これは増収の影響に加えて、ニアライン向けHDDモータやAIデータセンター向け水冷モジュールをはじめとする高利益率製品への製品構成良化の影響によるものです。

 

「AMEC」の総売上高は1,777億96百万円前年同期比114億43百万円増)となりました。これは、車載オーガニック(既存事業)売上高の増加によるものです。営業利益は36百万円前年同期比29億97百万円減)となりました。これは、EVトラクションモータ関連事業の戦略転換に伴う不採算機種の受注制限の徹底と原価低減、固定費の大幅削減を断行した一方、既存事業において欧州市場の市況の悪化により利益率が低下した影響によるものです。

 

「MOEN」の総売上高は2,781億1百万円前年同期比475億39百万円増)となりました。これは、発電機等及びグリーンイノベーション関連需要の増加及びニデックPSAイーモーターズ連結子会社化の影響によるものです。営業利益は382億72百万円前年同期比70億44百万円増)となりました。これは、増収による影響、固定費の大幅低減、原価改善による増益及びニデックPSAイーモーターズ連結子会社化による段階取得に係る差益の計上等の影響によるものです。

 

「ACIM」の総売上高は2,352億76百万円前年同期比183億97百万円増)となりました。これは、商業・産業用モータ等の売上増加及び為替影響による増収です。営業利益は189億31百万円前年同期比21億90百万円減)となりました。これは、欧州を中心とする分散拠点の合理化等を推進したことに伴う一時的なコスト負担の増加によるものです

 

「機械事業」の総売上高は1,065億84百万円前年同期比66億54百万円増)となりました。これは、新規連結の影響による増収です。営業利益は69億65百万円前年同期比56億57百万円減)となりました。これは、工作機械関連各社の生産体制集約等に伴う一時的な生産能力低下、コスト負担の増加によるものです。

 

「グループ会社事業」の総売上高は3,358億92百万円前年同期比174億66百万円増)となりました。これは、ニデックインスツルメンツやニデックプレシジョンの売上増加によるものです。営業利益は459億97百万円前年同期比6億18百万円増)となりました。これは、売上の増加によるものです。

 

 

製品グループ別の経営成績は次のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業損益

前中間期

当中間期

増減額

前中間期

当中間期

増減額

精密小型モータ

204,055

242,588

38,533

16,685

29,079

12,394

車載

282,176

330,780

48,604

16,363

20,098

3,735

家電・商業・産業用

479,663

520,080

40,417

58,624

58,253

△371

機器装置

146,254

153,512

7,258

23,302

16,758

△6,544

電子・光学部品

42,986

44,972

1,986

7,823

6,356

△1,467

その他

2,314

1,879

△435

239

139

△100

消去/全社

△7,727

△9,683

△1,956

連結

1,157,448

1,293,811

136,363

115,309

121,000

5,691

 

 

「精密小型モータ」製品グループの売上高は、前年同期比18.9%増収2,425億88百万円となりました。HDD用モータの売上高は、ニアライン用途を中心とした高付加価値ゾーンでの増加を主因として、前年同期比67.7%増収487億23百万円となりました。その他小型モータの売上高は、AIサーバ向け水冷システムの急激な需要拡大に呼応した水冷モジュール事業の垂直立上げによる量産化を主因として、前年同期比10.8%増収1,938億65百万円となりました。営業利益は、増収の影響に加えて、ニアライン向けHDDモータやAIデータセンター向け水冷モジュールをはじめとする高利益率製品への製品構成良化の影響も含め、前年同期比74.3%増益290億79百万円となりました。

なお、当中間連結会計期間の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。

- 売上高:前年同期比約133億円の増収

- 営業利益:前年同期比約10億円の増益 

 

「車載」製品グループの売上高は、車載オーガニック(既存事業)において、世界各国の先進安全装置や自動運転に向けた高度な電動化の流れを受け、電動ブレーキブースター用モータ等の需要を着実に取り込みました。EVトラクションモータ関連事業においては、BEV市場の拡大鈍化と価格競争の激化をいち早く察知し昨年度に他社に先駆けて収益性最優先へ戦略転換したことを踏まえ、合弁先との連携を一層強化すると同時に、厳しい市場で培った技術・コスト競争力を活かした部品供給の推進にも注力しています。これらにニデックPSAイーモーターズ連結子会社化の影響も含め、前年同期比17.2%増収3,307億80百万円となりました。営業利益は、EVトラクションモータ関連事業の戦略転換に伴う不採算機種の受注制限の徹底と原価低減、固定費の大幅削減を断行した一方、量産体制構築の途上にあるニデックPSAイーモーターズ連結子会社化による損失の取り込みと段階取得に係る差益の計上等の影響も含め、前年同期比22.8%増益200億98百万円となりました。

なお、当中間連結会計期間の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。

- 売上高:前年同期比約187億円の増収

- 営業利益:前年同期比約13億円の増益 

 

 

「家電・商業・産業用」製品グループの売上高は、AIデータセンター建設ラッシュを背景にデータセンターに必要不可欠な発電機等の需要が急拡大しており、それに対応した生産能力の増強を鋭意進めています。またグリーンイノベーション関連需要の拡大に伴いバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の大幅拡大に注力するなか、前年同期比8.4%増収5,200億80百万円となりました。営業利益は、下期以降の収益性の改善を目指して欧州を中心とする分散拠点の合理化等を推進したことに伴う一時的なコスト負担の増加を主因に、前年同期比0.6%減益582億53百万円となりました。

なお、当中間連結会計期間の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。

- 売上高:前年同期比約385億円の増収

- 営業利益:前年同期比約51億円の増益

 

「機器装置」製品グループの売上高は、新規連結による影響や液晶ガラス基板搬送用ロボットの増収を主因として、前年同期比5.0%増収1,535億12百万円となりました。営業利益は、景気変動サイクルに伴う高収益の半導体検査装置の売上減少や工作機械関連各社の生産体制集約等に伴う一時的な生産能力低下、コスト負担の増加により、前年同期比28.1%減益167億58百万円となりました。

なお、当中間連結会計期間の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。

- 売上高:前年同期比約51億円の増収

- 営業利益:前年同期比約4億円の増益

 

「電子・光学部品」製品グループの売上高は、前年同期比4.6%増収449億72百万円、営業利益は前年同期比18.8%減益63億56百万円となりました。

なお、当中間連結会計期間の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。

- 売上高:前年同期比約14億円の増収

- 営業利益:前年同期比約1億円の増益

 

「その他」製品グループの売上高は、前年同期比18.8%減収18億79百万円、営業利益は前年同期比41.8%減益1億39百万円となりました。

 

(2)財政状態の状況

当中間連結会計期間末の資産合計残高は、前期末(2024年3月末)比216億74百万円増加3兆1,813億83百万円となりました。これは為替の影響により残高が減少する傾向がある中、主にニデックPSAイーモーターズの支配権を獲得したことにより有形固定資産が168億1百万円増加、無形資産が108億1百万円増加したことによります。

負債合計残高は前期末比534億7百万円増加1兆5,548億95百万円となりました。これは主に短期借入金が円建の借入等により561億34百万円増加し、長期債務が円建の借入及びニデックPSAイーモーターズの支配権獲得により831億47百万円増加したことによります。一方で、主に社債の償還により1年以内返済予定長期債務が718億80百万円減少しました。

この結果、ネット有利子負債は4,526億76百万円(前期末3,838億94百万円)、リース債務を含む借入金比率は21.0%前期末19.0%)となりました。DEレシオは0.42倍前期末0.37倍)となり、ネットDEレシオは0.28倍前期末0.24倍)となりました。

親会社の所有者に帰属する持分は、330億48百万円減少1兆5,984億33百万円となりました。これは在外営業活動体の換算差額を主因にその他の資本の構成要素が830億84百万円減少し、利益剰余金が505億22百万円増加したことによります。親会社所有者帰属持分比率は50.2%前期末51.6%)となりました。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、在庫削減及び売上債権の回収強化、運転資金の効率化を推進しましたが、継続事業からの中間利益が329億86百万円減少の736億28百万円となった結果、978億17百万円の収入(前年同期比430億9百万円の収入減少)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が534億75百万円となったことなどにより、698億3百万円の支出(前年同期比97億49百万円の支出減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期債務による調達額が725億83百万円及び短期借入金の純増加額が563億9百万円となりましたが、社債の償還による支出が1,000億円、親会社の所有者への配当金の支払額が229億84百万円となったことなどにより、51億83百万円の支出(前年同期比675億25百万円の支出減少)となりました。

なお、新規連結子会社の現金及び現金同等物の期首残高には、当期より持分法適用会社から連結子会社化したニデックPSAイーモーターズの89億73百万円が含まれています。

前述の状況と為替相場変動の影響を受けた結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は2,156億24百万円(前期比103億54百万円の減少)となりました。

また、当中間連結会計期間末に保有する主な通貨は、米国ドル、中国人民元、ユーロ、韓国ウォン、日本円です。上記の金額はすべて非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計金額です。

 

(4)目標とする経営指標

当社は2025年度をターゲットとする中期戦略目標(Vision2025)を設定しており、事業環境変化に力強く適応する成長企業を目指しています。

その骨子は次のとおりです。

 

2023年度~2025年度

 ①連結売上高目標 4兆円

 ②生産性向上:従業員一人当たりの売上高と営業利益を倍増

 ③ROIC(投下資本利益率) 15%以上

 ④ESGで評価される企業に

・世界初、世界№1技術の積み上げによる社会ニーズの解決
・カーボンニュートラルを中心としたESG経営の推進
・One Nidecとしての組織、ガバナンス強化

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は406億55百万円です。

なお、当中間連結会計期間において、当社及び当社の連結子会社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)生産、受注及び販売の実績

当中間連結会計期間において、主に「SPMS/MOEN」セグメントの生産、受注及び販売の実績が前年同期比で増加しています。

 

 

(7)主要な設備

当中間連結会計期間において、当社の設備の状況に著しい変動がありました。これはニデックPSAイーモーターズの支配権を獲得したことにより、当中間連結会計期間末日時点で有形固定資産499億36百万円が増加したことによります。