売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E31524 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行による各種規制の緩和や、インバウンド需要の回復などにより経済活動の正常化が進み、景気全体は緩やかに回復しております。一方、ウクライナ紛争の長期化やパレスチナ自治区における紛争や混乱など、地政学的リスクの顕在化に加えエネルギー価格や食料品などの生活必需品の価格高騰などにより、依然として先行き不透明な状況が続きました。

当社においては、自治体を対象としたクラウドサービスを担うデジタルガバメントでは、行政デジタル化の流れを受けて順調に推移しておりますが、企業の営業車両を対象としたモビリティ・サービスにおいては、自動車メーカーにおける品質不正問題に起因する出荷停止による機会損失リスクは一定程度存在している状況と思料しております。

このような経営環境の下、当社グループでは「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」をミッションとし事業を展開してまいりました。

当第2四半期連結累計期間においては、クラウドソリューション事業におけるMRR(月次経常収益)の獲得や行政デジタル化への更なる深耕など持続的成長モデルへの移行と中長期的な新たな収益モデルの創造を推進してまいりました。

また、スマートベニューセグメントにおいては2025年4月開業を予定する神戸アリーナ(注1)の開業準備を順調に推進し投資が増加する中ですが、足元の売上獲得にも注力をしております。

その結果、当第2四半期連結累計期間におきましては、売上高は1,714,098千円(前年同期比2.1%減)、営業損失は303,888千円(前年同期は158,509千円の損失)、経常損失は303,340千円(前年同期は160,771千円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は280,461千円(前年同期は115,008千円の損失)となりました。

前年同期比ではマイナスとなる結果ではありますが、ある程度期初より想定されていた減収減益でもあり、引き続き通期黒字化の予算達成に向けて、事業を推進しております。

今後も引き続き、クラウドソリューション事業においては継続的な規模の拡大が見込まれるSaaS市場での安定的なMRR増額や継続的な業務効率化によるコスト削減を推進するとともに、デジタルガバメント、モビリティ・サービスに続く「第3の柱」としてのスマートベニューにおいて、2025年開業予定の神戸アリーナを起点とするスマートシティへの取り組みなど、デジタルなまちづくりに資するサービス創造に注力することで、さらなる成長につながる収益モデルの創造を目指してまいります。

 

当第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 

<デジタルガバメントセグメント>

デジタルガバメントセグメントにおきましては、オープンガバメント(注2)における透明性、参加、連携の社会実装を推進するための自治体向けCLOUD SUITEとして“ガブクラ”(注3)を提供しております。

昨今、オンライン手続など行政デジタル化の流れが活性化し、ガバメントクラウド(注4)やデジタルマーケットプレイス(注5)などの構想へとクラウドシフトが一段と鮮明になっております。“ガブクラ”はそうした中での「新しい公」へと続く行政デジタル化の実現に向けて、自治体の情報発信を推進するCLOUD SUITEです。具体的にはWebサイトの作成運用を実装するCMS(注6)である“SMART L-Gov”、住民と自治体をオンラインで繋ぎ「参加・連携」を促す“GaaS”(注7)などによって構成されており、当該“ガブクラ”を通じて持続的なまちづくりを推進しております。

当第2四半期連結累計期間においてデジタルガバメントセグメントでは、新規案件の獲得及び既存顧客の深耕に注力し、継続的な原価低減活動などに取り組みました。自治体及び公的機関を納入先とする入札案件においては、政府の行政デジタル化に関する取り組みが進められ販売は好調に推移しましたが、人件費及び出張費用の増加、グラングリーン大阪での新しいウェルビーイング事業への先行投資により減収減益となりました。アライアンス先企業などと連携して、公募調達に頼らない行政デジタル化サービスの開発や行政DXでの連携に向けた取り組みを始めております。

以上の結果、セグメント売上高は769,305千円(前年同期比10.3%減)、セグメント利益は69,023千円(前年同期比48.6%減)となりました。

 

 

<モビリティ・サービスセグメント>

モビリティ・サービスセグメントは、祖業である自動車電装に端を発し、100年に一度という自動車産業の大変革期において、自動車に装着する安全支援機器や情報デバイスの販売であるカーソリューションから、コネクティッドカー(注8)サービスである“CiEMSシリーズ”(注9)やクルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム、ソフトウエア、さらにカーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”(注10)の提供へと、多様なモビリティIoTを事業とするモビリティ・サービスを推進してまいりました。

当第2四半期連結累計期間においては、原価低減や業務効率化などを実行したものの、社用車の減少や新車の納車遅れなどの要因により減収減益となりました。新たにリリースいたしました“Kuruma Base”における鍵管理の新サービスの引き合いは順調ではございますが、引き続き、ソリューション強化に取り組み収益の獲得や更なる業務効率化などを実行してまいります。

以上の結果、セグメント売上高は764,231千円(前年同期比0.4%減)、セグメント利益は100,901千円(前年同期比31.0%減)となりました。

 

<スマートベニューセグメント>

スマートベニューセグメントでは、2025年4月開業の神戸アリーナを軸として、政府が成長産業として位置付けるスタジアム・アリーナ改革やスマートベニューという概念に則り、新たな市場の創造を目指しております。さらに収益的にもデジタルガバメント、モビリティ・サービスに続く3本目の柱として当社グループの成長を支える存在になるよう準備を進めております。

当第2四半期連結累計期間においては、中長期的な収益の獲得を見据え、2025年の開業に向けた環境整備を順調に推進しましたが、大口協賛などを獲得し大幅増収であるものの、投資が先行している中で増収減益となりました。

以上の結果、セグメント売上高は180,561千円(前年同期比44.9%増)、セグメント損失は224,882千円(前年同期は183,958千円の損失)となりました。

 

[用語解説]

注1.

神戸アリーナ

:

NTT都市開発株式会社、株式会社NTTドコモ及び当社の3社企業コンソーシアムによる民設民営のアリーナプロジェクトである「神戸アリーナプロジェクト」のもと、兵庫県神戸市中央区の新港突堤西地区(第2突堤)に建設中の多目的アリーナ。

注2.

オープンガバメント

:

透明でオープンな政府及び地方自治体を実現するための政策とその背景となる概念のことで、(1)透明性、(2)市民参加、(3)官民の連携の3つを基本原則としている。

注3.

ガブクラ

:

 

当社が提供する、自治体・公的機関向け地域情報CLOUD SUITEのこと。

注4.

ガバメントクラウド

:

政府の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービスの利用環境のこと。

注5.

デジタルマーケットプレイス

:

 

複数のベンダーやサービスを一律の要件で登録し、登録されているサービス・企業について、行政機関が、入札など不要で簡易的に調達できる仕組みのこと。

注6.

CMS

 

:

 

Contents Management Systemの略で、Webサイトのコンテンツを構成するテキストや画像、デザイン・レイアウト情報(テンプレート)などを一元的に保存・管理するシステムのこと。

注7

GaaS

 

Government as a Serviceの略で、当社が提供する行政サービスをデジタル化するオンライン手続きのサービス。

注8.

コネクティッドカー

:

インターネットに接続され、情報を送ることも受け取ることもできる自動車のこと。

注9.

CiEMSシリーズ

:

 

当社が提供する、モビリティから取得した多様なデータを分析・活用することで、交通事故の削減、渋滞の緩和、車両活用の効率化など、様々な社会課題の解決をするためのサービス。

注10.

Kuruma Base

:

 

当社が提供する、クルマのコネクティッド化からサービス化までをインテグレートするプラットフォーム。

 

 

(財政状態の分析)

①資産

当第2四半期連結会計期間末の総資産は、3,684,097千円となり、前連結会計年度末と比べ182,017千円の減少となりました。

流動資産は2,770,306千円となり、前連結会計年度末と比べ246,097千円の減少となりました。その主たる要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が148,593千円増加したものの、現金及び預金が395,843千円減少したことによるものであります。

固定資産は909,300千円となり、前連結会計年度末と比べ65,185千円の増加となりました。その主たる要因は、敷金及び保証金が32,148千円、その他無形固定資産が48,642千円増加したものの、建物及び構築物が13,652千円、ソフトウエアが24,779千円減少したことによるものであります。

繰延資産は4,490千円となり、前連結会計年度末と比べ1,104千円の減少となりました。その主たる要因は、株式交付費が1,045千円減少したことによるものであります。

②負債

当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、1,584,146千円となり、前連結会計年度末と比べ159,205千円の増加となりました。

流動負債は1,317,428千円となり、前連結会計年度末と比べ200,978千円の増加となりました。その主たる要因は、短期借入金が91,900千円、賞与引当金が12,913千円、その他流動負債が114,616千円増加したことによるものであります。

固定負債は266,718千円となり、前連結会計年度末と比べ41,773千円の減少となりました。その主たる要因は、長期借入金が39,720千円減少したことによるものであります。

③純資産

当第2四半期連結会計期間末における純資産は2,099,951千円となり、前連結会計年度末と比べ341,222千円の減少となりました。その主たる要因は、配当金の支払いにより83,138千円及び親会社株主に帰属する四半期純損失280,461千円の計上により利益剰余金が363,599千円減少したことによるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ395,843千円減少し、843,463千円(前年同四半期末は、845,870千円)となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

[営業活動におけるキャッシュ・フロー]

営業活動の結果、減少した資金は279,135千円(前年同四半期は、359,241千円の資金の減少)となりました。これは主に、減価償却費64,762千円、契約負債の増加額118,632千円、未払金の増加額31,106千円等の資金の増加と、税金等調整前四半期純損失303,347千円、売上債権の増加額146,910千円、仕入債務の減少額17,397千円、未払消費税等の減少額21,673千円等の資金の減少によるものであります。

 

[投資活動におけるキャッシュ・フロー]

投資活動の結果、減少した資金は142,216千円(前年同四半期は、25,915千円の資金の減少)となりました。資金減少の主たる要因は、有形固定資産の取得による支出54,960千円、無形固定資産の取得による支出55,107千円、敷金及び保証金の差入による支出32,314千円であります。

 

[財務活動におけるキャッシュ・フロー]

財務活動の結果、増加した資金は25,508千円(前年同四半期は、232,674千円の資金の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額91,900千円、非支配株主からの払込みによる収入49,735千円の資金の増加と、長期借入金の返済による支出33,100千円、配当金の支払額79,006千円等の資金の減少によるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第2四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。