カゴメ株式会社

ブランドなど:野菜生活100カゴメトマトジュースカゴメソースカゴメトマトケチャップ
食料品飲料プライムTOPIX Mid400

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュースリリース


最終更新:

E00444 IFRS

売上高

2,247.3億 円

前期

2,056.2億 円

前期比

109.3%

時価総額

3,485.9億 円

株価

3,694 (04/25)

発行済株式数

94,366,944

EPS(実績)

125.17 円

PER(実績)

29.51 倍

平均給与

799.9万 円

前期

754.5万 円

前期比

106.0%

平均年齢(勤続年数)

41.8歳(17.4年)

従業員数

1,654人(連結:2,921人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3 【事業の内容】

当社の企業集団は、当社、子会社35社及び関連会社5社で構成され、国内外での食品の製造、仕入及び販売を主な事業内容としております。

当社グループ各社の事業に係る位置付けは、次の通りであります。

 

当社グループは、国内において、飲料や調味料の製造・販売を行っている国内加工食品事業、トマトを中心とした生鮮野菜の生産・販売を行っている国内農事業の2つを主たる事業としております。また、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売までの垂直統合型ビジネスを国際事業として展開しております。なお、当社グループは製品、顧客等の要素及び経済的特徴の類似性を考慮し、飲料、通販及び食品他については事業セグメントを集約した「国内加工食品事業」を報告セグメントとしております。

したがって、当社グループは「国内加工食品事業」、「国内農事業」、「国際事業」及び「その他」の4つを報告セグメントとしております。

 

各報告セグメントの概要は以下の通りであります。

 

セグメントの名称

主要製品及び商品等

 

飲料

野菜生活100シリーズ、トマトジュース、野菜一日これ一本、他

通販

野菜飲料、サプリメント、スープ、他

 

食品他

トマトケチャップ、トマト調味料、ソース、贈答用、他

国内加工食品事業

 

国内農事業

生鮮トマト、ベビーリーフ、他

国際事業

種子開発・農業生産、商品開発、加工、販売

その他

不動産事業、業務受託事業、新規事業、他

 

 

 

主要な関係会社の事業系統図は、次の通りであります。

 

※画像省略しています。

 

24/03/08

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(重要な会計方針及び見積り)

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」における「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

 (1) CFO/CROメッセージ

※画像省略しています。

 

<Q1> 2023年度の業績を振り返りをお願いします。

売上収益は、前年度比+9.3%となりました。全ての事業にて増収となりましたが、特に国際事業において、外食需要の高まりからトマト加工品を中心とした需要が好調であったこと、コスト上昇分の販売価格への転嫁が進められたこと、円安により邦貨への換算額が増加したことなどが要因となりました。

事業利益は、前年度比+52.1%となりました。国内加工食品事業において、原材料やエネルギーの価格高騰などの大幅なコスト上昇があったものの、価格改定に加え、原価低減に積極的に取り組んだことにより、当初見込んでいた前年度からの減益幅を縮めることができました。また、国際事業の事業利益が売上収益同様、大きく増加しました。

親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度比+14.4%となりました。事業利益からの減少要因は、国内農事業において、固定資産の減損損失を計上したことによります。国内農事業は販売価格が市況の影響を大きく受ける構造です。今後のコスト上昇に対し、それを販売価格へ十分に反映できるかが不透明であると判断したことが主な理由です。

事業環境の急激な変化がありましたが、2023年度は増収増益となり、株主様への配当も当初の目標を上回る形で実施することができました。

また、こうした業績を背景に、ROICは13.2%と1.7point改善しました。これは、大幅な利益の増加が主因です。他方、投下資本においては、棚卸資産が前年度末比+176億円と大きく増加しました。これは、原材料価格の上昇などによるものです。原材料価格の上昇に対しては、販売価格への反映と原価低減努力により、投下資本と利益の循環が健全に保たれていると考えています。

 

※ROIC=カゴメROICのこと。EBITDA÷投下資本で算出。

 

 

<Q2> 財務戦略について第3次中期経営計画前半の振り返りをお願いします。

当社グループは、成長投資と株主還元を両立することを財務戦略の基本方針としています。持続的な成長を支え、大きな変化に耐えるためには、財務基盤の安定維持が重要だと考えています。

第3次中期経営計画の前半である2022~2023年度は、事業環境が大きく変化する中で、業績面では売上収益・事業利益とも当初の中期経営計画目標を上回ることができました。これは、国際事業が想定を上回るスピードで業績を伸ばしたことによるものです。他方、国内加工食品事業においては原材料などの急激なコスト上昇に対して販売価格の見直しを図りました。当初は販売数量の減少がありましたが、2023年第4四半期では概ね前年度水準まで販売数量が回復しています。
 同期間におけるキャッシュ・フローは下記の通りです。

区分

2022~2023年度

営業キャッシュ・フロー

92億円

投資キャッシュ・フロー

△155億円

財務キャッシュ・フロー

101億円

 

営業キャッシュ・フロー

 営業キャッシュ・フローは92億円の純収入となりました。利益は順調に推移したものの、棚卸資産の増加によるキャッシュの減少が2年間で223億円あったことが主な要因です。

投資キャッシュ・フロー

投資キャッシュ・フローは155億円の純支出となりました。これは営業キャッシュ・フロー悪化への対応として、不要不急の設備投資を控えたことなどによります。

財務キャッシュ・フロー

財務キャッシュ・フローは101億円の純収入となりました。これは主に2024年度以降の資金需要に対応するために、借入を行ったことによります。
 財務指標は、自己資本比率は49.8%、信用格付はシングルAとなっています。自己資本比率は、第3次中期経営計画の方針を若干下回りましたが、引き続き財務基盤は安定していると考えています。資本効率はROEが8.3%となりました。これは国内農事業における固定資産の減損による一時的な損失が影響しており、それを除くと目標とする9%の水準を達成しています。また株主還元は、前年度より1株当たり3円の増配を行うことができました。

 

目的

指標

2022年度実績

2023年度実績

※画像省略しています。

第3次中期経営計画方針

財務基盤の安定

自己資本比率

52.8%

49.8%

50%以上

信用格付

シングルA

シングルA

シングルAの維持

資本効率を重視した成長

ROE

7.7%

8.3%

9%以上

安定的な利益還元

総還元性向

40%以上

 

※ 1株当たり配当額実績:2022年度38円、2023年度41円

 

<Q3> 第3次中期経営計画期間後半における財務目標について教えてください。

 第3次中期経営計画期間の後半となる2024~2025年度は、「国内事業の利益回復」「国際事業の成長加速」を基本方針とし、売上収益3,000億円、事業利益240億円を目標とします。これは2022年度に掲げた当初の目標を大きく上回るものとなります。

特に、インオーガニック成長については、2024年1月に持分法適用関連会社であるIngomarの出資持分を追加取得し、連結子会社化しました。これにより売上収益にて約500億円程度の増分を見込んでいます。なお、同社持分の追加取得約360億円は当社の事業投資として過去最大となります。本投資に必要となる資金は、一時的には借入金にて調達します。その結果、自己資本比率は50%を下回りますが、同社からの利益や自己株式の処分により第3次中期経営計画期間内に同借入金の返済を予定しており、50%を回復する見込みです。

これらを踏まえ 2025年度における財務指標は、基本方針を上回る見込みです。財務基盤の安定を維持するとともに資本効率を重視した成長を図ります。また、2024年度の配当は1株当たり10円の記念配当を加えた52円を見込むなど、中期経営計画期間における総還元性向40%以上を堅持しつつ、事業成長を反映した利益還元を実施していきます。

 

<Q4> ROIC管理に取り組む意義について教えて下さい。

当社は資本効率を高める取り組みとして、全社でのROIC管理を行っており、企業価値最大化を図る上でROEの向上を目指しています。

当社の財務構造において、ROE9%以上を達成するためには、ROIC11~12%を達成する必要があります。その観点から、事業別に、目指すべきROIC目標を設定し、KPIの設定と達成に向けたPDCAが図られるように仕組み化しています。

今後もこのPDCAを継続・進化させ、従業員一人ひとりの意識・行動につなげることで、資本効率の向上、企業価値の最大化を図っていきます。

 

<Q5> リスクマネジメントに対するアプローチについて教えてください。

第3次中期経営計画期間におけるアクションの一つとして、当社は「グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成」を掲げています。リスクマネジメントは、この経営基盤を支える柱になると考えています。 

当社のリスクマネジメントに対する取り組みは、会社の重点リスク課題から各組織のリスク課題までを、経営層から従業員一人ひとりに至るまで、それぞれが我がこととして取り組めるよう仕組み化しています。

先に掲げた定量目標を達成するためには、環境変化により生じる多様なリスクを、それぞれの立場で的確に把握し、適切な対応を図ることが重要だと考えています。

 

 (2) 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次の通りであります。

①  売上収益

売上収益は、2,247億30百万円となり、前連結会計年度の2,056億18百万円に比べ、191億12百万円の増加(9.3%増)となりました。

国内加工食品事業は、主要原材料をはじめとする売上原価の大幅な上昇を受け、野菜飲料やトマト調味料など一部製品の出荷価格を改定しました。改定後、需要の落ち込みがあったものの、食品カテゴリーや業務用カテゴリーの販売が好調であったことにより増収となりました。国際事業においても、トマトペーストの販売価格の上昇、フードサービス企業向けの販売が好調であったことにより、増収となりました。

 

② 事業利益

事業利益は、194億76百万円となり、前連結会計年度の128億8百万円に比べ、66億67百万円の増加(52.1%増)となりました。

国内加工食品事業は、原材料価格の高騰などにより減益となりましたが、国際事業において増収による影響の他、持分法適用会社であるIngomarの利益が増加したことにより、増益となりました

 

③ 営業利益

営業利益は、174億72百万円となり、前連結会計年度の127億57百万円に比べ、47億15百万円の増加(37.0%増)となりました。

国内農事業において、気象条件に伴う生鮮トマト市況の不確実性やエネルギー、肥料の価格高騰によるコスト上昇等を総合的に勘案した結果、固定資産の減損損失を計上したものの、事業利益の増益に伴い増益となりました。

 

④  親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、104億32百万円となり、前連結会計年度の91億16百万円に比べ13億16百万円の増加14.4%増)となりました。

世界的な金利上昇を受け、支払利息が増加したことなどにより、営業利益と比べて増益幅は縮小しました。

 

以上により、当連結会計年度の売上収益は、前期比9.3%増2,247億30百万円、事業利益は前期比52.1%増194億76百万円、営業利益は前期比37.0%増174億72百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比14.4%増104億32百万円となりました。

 

 

 

 

セグメント別の業績は、次の通りであります。

 (単位:百万円)

セグメントの名称

売上収益

事業利益(△は損失)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

飲料

75,907

75,446

△461

6,798

6,903

105

通販

13,578

13,130

△448

1,528

664

△863

食品他

48,481

53,596

5,114

2,202

2,800

598

国内加工食品事業 計

137,968

142,173

4,204

10,528

10,369

△159

国内農事業

9,582

10,110

527

449

115

△333

国際事業

67,830

85,208

17,377

3,608

11,130

7,521

その他

2,221

2,481

260

△91

△106

△15

調整額

△11,984

△15,242

△3,258

△1,686

△2,032

△346

合計

205,618

224,730

19,112

12,808

19,476

6,667

 

 

各セグメントの概要及び成果については以下の通りです。

 

<国内加工食品事業>

国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。

当事業における売上収益は、前期比3.0%増1,421億73百万円、事業利益は、前期比1.5%減103億69百万円となりました。

 

① 概要

トマト、にんじん、その他の多様な野菜を使用した野菜飲料や食品などの商品を展開しています。お子様からご高齢の方まで、幅広い世代の方々に、日常生活の様々な場面においてご利用いただくことで、野菜の摂取量を増やし、健康寿命の延伸に貢献します。 

 

SWOT分析

STRENGTH 強み

WEAKNESS 弱み

■ 原材料調達における、海外ネットワーク力と、品質保証力

■ 120年を超える歴史で培われたブランド力

■ 素材の力を活かした機能性研究、商品開発力

■ 多様な販路と、顧客に応じた商品提案力

■ 環境変化へ対応できるバリューチェーンの柔軟性

■ 幅広いカテゴリー対応維持のための資源分散

■ コモディティ市場における価格競争力

■ 若年層への浸透

OPPORTUNITY 機会

THREAT 脅威

■ 健康、安心・安全意識のさらなる向上

■ 環境、社会貢献意識の向上を通じた購買行動の多様化

■ 生活者との新たな情報、購買接点の拡大

■ デジタル技術によるイノベーションの創出

■ 為替、市況変動に伴う原材料価格の上昇

■ 健康関連商品の多様化による相対的な既存領域でのポジション低下

■ 機能性研究の進化による異業種からの競合参入

■ 日本国内における人口減少、高齢化による市場の縮小

 

 

 

② 2023年度の概要(成果・課題)

 

成果

課題

野菜飲料においては、市場が停滞する中、積極的な新商品の投入及び需要創造活動の展開により当社のシェアは過去最高値を更新しています。食品においても、日本一食べたくなるオムライスを決める全国大会カゴメオムライススタジアム® 2023の開催をはじめ、洋食トマトメニューの需要喚起などを行った結果、トマトメニューの食卓出現率は過去最高値となりました。結果として、売上収益は、増収となりました。

野菜飲料の市場活性化がカテゴリーリーダー企業としての最大の責務であると認識しています。新しい価格が受容されるよう、広告投資も含めた需要喚起策を積極的に展開します。また、ナトカリバランスの訴求やベジチェック®を利用した生活者の野菜摂取の行動変容、食育活動の強化によるファン化促進を併せて進めていきます。

※ ナトカリバランス:食事から摂るナトリウム・カリウムのバランス 

※画像省略しています。
※画像省略しています。

 

 

 

③ 2024年度に向けた戦略

野菜飲料の需要回復に向けて、ユーザー数の維持拡大に全力で取り組みます。特に、これまで野菜飲料の飲用経験がなかった新規顧客の獲得に再注力します。2023年度に実施した彩りあざやかな「野菜の色」を野菜飲料の独自価値と捉えたコミュニケーション「GoVivid(あざやかに、生きよう。)」により、野菜飲料の新たな飲用者の獲得と、習慣飲用化の兆しも見えてきました。2024年度はこの活動をさらに拡大・加速させていきます。

食品は、「カゴメトマトケチャップ」による、食卓をよりおいしく、より楽しくする新提案として、トマトケチャップを油で炒めるだけでより濃厚でコク深い味わいが楽しめる新感覚の調理法「焼きケチャップ」の訴求をさらに強化することで差別化を図るとともに、洋食・トマトメニューの出現機会の促進を図ります。 業務用は、不採算商品の見直しなどの構造改革と並行し、特に付加価値が高く、伸長の著しい各種野菜ピューレーやオニオンソテーなどの冷凍野菜素材の拡大に尽力します。

2024年度も主要原材料であるトマトをはじめとした農産原料価格の上昇は続きます。価格改定の影響による販売数量の減少を最小限に抑制し、新しい価格の定着に向けた需要喚起策を併せて行うことで、売上・利益の最大化に引き続き取り組んでいきます。

※画像省略しています。
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マーケティング本部長メッセージ

「Farm」からファンベースドマーケティングを進展

私は、「Farm」をとても大切なものと考えています。「畑は第一の工場」として、価値を創出する場であるとともに、体験型の野菜のテーマパーク「カゴメ野菜生活ファーム」や、各営業拠点に設置されている野菜と暮らす楽しさを提供する「カゴメキッチンファーム」といった、お客様と価値をともに作り、感動体験を共有する場として、「Farm」を捉えています。この「Farm」と「Table」をつなげるだけではなく、「Life」という領域まで価値をつなげることはできないだろうか、と考えています。まだ道半ばではありますが、この考え方を昇華させ、ファンベースドマーケティングを進展させる力にしたいと思います。また、企業の持続的成長に向けて、マーケティング人材並びに組織外との連携・新規事業への参画などの強化を進めます。これら一連の活動を通して、全社マーケティングの強化及び挑戦する組織風土の醸成を図っていきます。

※画像省略しています。

執行役員マーケティング本部長 兼 デジタルマーケティング部長

稲垣 慶一

 

 

 

<国内農事業>

農事業では、主に生鮮トマト、ベビーリーフ等の生産・販売を手掛けております。

当事業の売上収益は、前期比5.5%増101億10百万円事業利益は前期比74.2%減1億15百万円となりました。

 

① 概要

生鮮トマトやベビーリーフなどの生鮮野菜の生産・販売を中心に「野菜の会社」を体現すべく事業活動を進めています。生産から消費までのバリューチェーンの高度化を図り、安定的な収益を獲得するとともに、日本の「農業振興」と「健康寿命の延伸」などの社会課題解決に貢献します。

 

SWOT分析

STRENGTH 強み

WEAKNESS 弱み

■ 生鮮トマトでのナショナルブランドの確立

■ トマトの高度な品種開発力、生産調達力、マーケティング力

■ 自社営業網・物流網による周年供給力と配荷力

■ 農事業に関する専門スキル(知識・技術)を持った人材

■ 生鮮トマト特有の市況影響による収益ボラティリティ

■ 生鮮トマトのコモディティ市場における価格競争力の低下

■ 労働集約型の施設園芸分野における生産自動化の遅れ

■ トマト、ベビーリーフ以外の野菜の品種、産地、流通などの生産基盤の不足

OPPORTUNITY 機会

THREAT 脅威

■ ロボット・AI・IoTを活用したスマート農業や環境制御機器にAIを搭載した技術開発が進展

■ 生鮮野菜の販売チャネルの多点化と健康志向の高まり

■ 農業分野でのESG投資やSDGsなどへの関心の高まり

■ 園芸に関心のある潜在的な生活者・企業の存在

■ 大型温室の増加による競争激化への対応

■ 人件費、エネルギー費、資材費、物流費などのさらなる上昇への対応

■ 気候変動による栽培適地の減少や新たな病害虫の発生への対応

 

 

 

② 2023年度の概要(成果・課題)

 

成果

課題

売上収益は、生鮮トマトの取扱量の増加、積極的な需要喚起策の実行などにより、増収となりました。事業利益は、余剰期の需給バランス悪化による販売単価下落、エネルギー価格や肥料価格の上昇などにより、減益となりました。

主な取り組みとして、従来の健康訴求に加えて美容需要を喚起するプロモーションを積極的に展開しました。それにより、「高リコピントマト」「高GABAトマト」などの高付加価値商品の販売構成を順調に上げることができました。「高GABAトマト」は、冬春作と夏秋作の組み合わせによって、通年販売ができるようになりました。

資材費エネルギー費人件費上昇による生産コスト圧迫、気象環境に伴う生鮮トマトの調達量の変動などの外部環境悪化に対し、収益力強化が課題です。商品容量変更や全国の生産拠点再編による需給バランス適正化などに取り組みます。また、コンビニエンスストアなどに対して、サンドイッチ惣菜への高リコピントマト使用メニューの提案を強化します。

※画像省略しています。
※画像省略しています。

 

 

 

③ 2024年度に向けた戦略

主力の生鮮トマトは、「健康付加価値型トマト」という独自ポジションの確立を目指します。美容需要の獲得によりお客様層が広がった「高リコピントマト」を中心に、ミニ系商品である「高β‐カロテントマト」と「ビタミンCトマト」の販売を拡大して、商品ラインナップを強化します。利益面では、急激な資材費上昇などの外部環境変化へ迅速に対応して持続的に利益を創出するため、生産から販売までサプライチェーン全体で原価低減と効率化を進めます。AI(人工知能による深層学習機能)の活用場面を、収量予測だけでなく、トマト温室の環境(温度・湿度・

※画像省略しています。

生鮮トマトを栽培する大型ガラス温室

CO2濃度など)制御や販売施策などの領域にも拡大し、収益力強化に結びつけていきます。

洗浄済みベビーリーフは、健康・簡便食材としてのトライアル拡大と、生鮮トマトとの連動販売を積極的に進めます。新たに取り組んでいる生鮮野菜(紫たまねぎなど)も含めて、青果売場で「彩り」をテーマとした売場活性化を図り、毎日の食卓を豊かにする取り組みを進めます。

ホームセンターで一般家庭向けにトマト苗などを販売する家庭園芸では、人気が定着した「薄皮トマト苗」のシリーズ化や、トマト以外の野菜苗の拡充により、年間を通じた売場提案を行います。通販・企業向けの提案など、新たな商品・接点開発を進めるとともに、デジタルツールを活用した園芸需要のさらなる掘り起こしに取り組みます。 環境面では、省エネやCO2排出量削減など、地球環境に配慮した新技術の探索・実証に向けた取り組みを進めていきます。

 

 

 

カゴメアグリフレッシュ㈱社長メッセージ

「生鮮野菜の生産から消費までのバリューチェーン」の高度化を推進

「先進的で持続可能な農ビジネスモデルを構築し、日本の農業をアグレッシブにリフレッシュする!」ことを目指して価値創造を進めます。そして、生活者の多様化する健康ニーズとライフスタイルにお応えするとともに、生産・流通・消費の各段階で環境負荷低減にも取り組みます。そのためには、社内外の経営資源を最大限活用し、品種開発力・技術力・調達力・営業力の各領域の力をより高め、競争力の源泉である「生鮮野菜の生産から消費までのバリューチェーン」の高度化を推進します。

中長期的な価値創造のためには、「人材」が経営資源の中で最も重要と捉えています。農事業の高い専門性とともに、「長期的な時間軸で、時代の変化とともに自ら変革を続ける力」を有する人材の育成に注力します。専門性が高い人材の採用、教育体制の整備、ローテーションや協働機会の創出・活性化などの人材マネジメントに戦略的に取り組みます。これにより、経営資源の有効活用、なくてはならない農事業としての独自性の確立、付加価値の高い商品やサービス提供による顧客満足度の向上、将来を見据えた社会課題の解決につなげていきます。

景気変動や市場変化の予測が困難な経営環境ではありますが、事業を持続的に成長させることを通して、社会からの期待に応えていきます。

※画像省略しています。

カゴメアグリフレッシュ株式会社
代表取締役社長

羽布津 真典

 

 

 

 

<国際事業>

国際事業では、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売まで垂直統合型ビジネスを展開しております。

当事業における売上収益は、前期比25.6%増852億8百万円、事業利益は、前期比208.4%増111億30百万円となりました。

 

① 概要

国際事業は、農業生産、加工、販売事業などを展開しています。加工はトマトペーストなどを製造する一次加工と、トマトペーストを原材料としてトマトソース、ピザソースなどを製造する二次加工に大別されます。国際事業の主な顧客は調味料メーカーや外食企業などで、米国、欧州、オーストラリアなどでBtoBビジネスを展開しています。

 

SWOT分析

STRENGTH 強み

WEAKNESS 弱み

■ フードサービス企業に向けたメニュー提案によるソリューション力

■ グローバルに展開するグループ会社によるトマト原材料の安定した供給力

■ グループ会社共通の品質管理基準の展開による品質力とESG課題の推進

■ トマトペースト市況の変動に伴う収益ボラティリティ

■ 購入額の大きい特定顧客への依存度の高さ

■ BtoCにおけるブランド認知の不足

OPPORTUNITY 機会

THREAT 脅威

■ 米国やインドなどを中心とした、フードサービス市場の成長ポテンシャル

■ 原材料となる加工用トマトの効率向上技術に対するニーズの高まり

■ 原価・運営コスト高騰に伴うフードサービス企業からのソリューションニーズの高まり

■ トマトペースト市況下落による収益の悪化

■ 異常気象などの天候リスクによる事業活動への影響

■ サプライチェーンの分断による原材料・製品供給不足 

■ 各国拠点の従業員の確保難、労務費の高騰

 

 

② 2023年度の概要(成果・課題)

 

成果

課題

米国を中心に展開するKIUSは、堅調な米国の外食需要を背景に、フードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。また、ポルトガルのHITをはじめとしたトマト一次加工も、世界のトマトペーストの市況高の影響もあり、増収に大きく寄与しました。KAUは、フードサービス企業向けの販売が好調に推移したものの、2022年10月に発生した洪水被害の影響によりトマトペーストの生産量が減少しました。事業利益は、原材料やエネルギー価格の高騰があったものの、各社で価格改定を実施したほか、円安の影響もあり、増益となりました。

世界的なインフレに対しては、生産性向上や固定費削減を進めるほか、価格改定を実施して利益を確保していきます。一次加工、二次加工ともに原材料価格や人件費などが上昇しており、価格への転嫁を進めます。中長期的には気候変動の影響を受ける加工用トマトや一次加工品の確保が課題であり、サプライチェーンの強化が必要です。

※画像省略しています。
※画像省略しています。

 

 

 

 

③ 2024年度に向けた戦略

国際事業は、主要顧客であるフードサービス企業のグローバル展開や、サプライチェーン上のリスクなどを鑑み、これまで以上に各グループ会社の連携を強めて事業の拡大を加速させるため、2023年10月から国際事業本部をカンパニー制(カゴメ・フード・インターナショナルカンパニー)に移行しました。この体制により、主に3点の取り組みを進めていきます。1点目は、バリューチェーンにおける連携強化です。バリューチェーンの川上における生産調達や品質保証だけでなく、マーケティングやソリューション営業活動などの川下との連携も強化し、各国で市場が拡大しているグローバルフードサービス企業向けの提案力を高めていくことで、売上成長につなげていきます。2点目は、ガバナンスの再構築です。カンパニー経営会議のもと、意思決定の速度を上げるとともに、リスクマネジメントや業務生産性向上などの課題に取り組みます。3点目はグローバル人材の育成です。海外で活躍できる人材の獲得や育成は国際事業の成長における喫緊の課題です。カンパニー制となることで、組織や人員体制をカンパニー全体で最適化することや、育成プログラムを確立するなど、国際事業全体でのグローバル人材の育成を図ります。

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カゴメ・フード・インターナショナルカンパニー
CEOミーティングの様子 

※画像省略しています。

世界トマト連携会議にて、グループ会社のトマト加工品を試食する様子

 

 

カゴメ・フード・インターナショナルプレジデント メッセージ

グローバル最適視点で成長を加速

カゴメ・フード・インターナショナルカンパニーは、海外現地法人のCEOも参加し、グローバル最適視点で機動的に意思決定を行い、迅速に執行するための新たな会議体を設置しました。第3次中期経営計画前半の個社収益構造改革で実現した安定基盤をてこに成長を加速させていくことが狙いです。成長ドライバーである二次加工領域においては、各市場における成長機会や顧客ニーズをタイムリーに掌握・共有し、新たな商品やソリューションを連携体制で開発し展開していきます。また、各市場における活動を支える農・原材料基盤や組織インフラの整備、効率的な生産を可能にするための投資も同時に進めます。カゴメの経営における海外事業の比重が高まる中で、グローバル経営の前進は必須ですが、それを可能にする最重要基盤は人材です。企業理念や行動指針を共有するグローバルチームの総力を結集し、持続的成長を実現する体制を構築します。

※画像省略しています。

執行役員カゴメ・フード・インターナショナルカンパニープレジデント 兼 グローバルトマト事業部長

江端 徳人

 

 

 

なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

 

(3)財政状態の分析

当連結会計年度末は、資産合計につきましては、前期末に比べ402億76百万円増加いたしました。

流動資産につきましては、前期末に比べ362億89百万円増加いたしました。

これは、主に原材料価格の高騰などにより「棚卸資産」が176億32百万円、有利子負債の増加などにより「現金及び現金同等物」が146億20百万円、好調な販売などにより「営業債権及びその他の債権」が29億39百万円円安によるデリバティブ資産の時価増加などにより「その他の金融資産」が13億77百万円、それぞれ増加したことによります。

非流動資産につきましては、前期末に比べ39億87百万円増加いたしました。

これは、主に円安によるデリバティブ資産の時価増加などにより「その他の金融資産」が41億20百万円、当社子会社であるKIUSの持分法適用会社であるIngomarの利益が増加したことなどにより「持分法で会計処理されている投資」が21億58百万円、それぞれ増加したことによります。なお、「繰延税金資産」はデリバティブの時価評価により11億16百万円減少いたしました。

負債につきましては、前期末に比べ256億33百万円増加いたしました。

これは、主に運転資金の増加に伴い「借入金」が152億71百万円、また当社における資金調達等に伴い「長期借入金」が55億65百万円、それぞれ増加したことによります。

資本につきましては、前期末に比べ146億43百万円増加いたしました。これは、「利益剰余金」が配当により32億76百万円減少した一方で、「親会社の所有者に帰属する当期利益」により104億32百万円増加、「その他の資本の構成要素」が主に主要通貨に対する円安が進行したことにより純額で58億19百万円増加したことによります。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.8%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,535円90銭となりました。

 

(4)連結キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、360億10百万円となり、前期末に比べ146億20百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、46億17百万円の純収入(前期は46億35百万円の純収入)となりました。この主要因は、税引前利益が164億89百万円となったこと、減価償却費及び償却費が82億49百万円となったこと(以上、キャッシュの純収入)、棚卸資産の増加により147億80百万円、法人所得税等の支払いにより42億71百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)によります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、60億56百万円の純支出(前期は94億57百万円の純支出)となりました。この主要因は、有形固定資産及び無形資産の取得(投資不動産含む)により64億26百万円支出(前期は98億78百万円支出)したことによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、156億26百万円の純収入(前期は55億12百万円の純支出)となりました。この主要因は、配当金の支払いにより32億77百万円支出があったものの、長期借入金による収入103億87百万円、短期借入金の純増減額92億9百万円の収入があったことによります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

 

飲料

38,690

7.4

 

通販

691

△4.6

 

食品他

19,439

7.1

 

国内加工食品事業 計

58,820

7.1

 

国内農事業

2,957

4.4

 

国際事業

64,990

12.9

 

 その他

173

△30.3

 

合計

126,942

9.9

 

 

(注) 1  金額は製造原価によっております。

2  金額は消費税等を含めておりません。

 

b. 受注状況

主要製品の受注生産は行っておりません。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

 

 

飲料

外部顧客に対するもの

75,446

 

△0.6

セグメント間取引

 

75,446

33.6

△0.6

通販

外部顧客に対するもの

13,130

 

△3.3

セグメント間取引

 

13,130

5.8

△3.3

食品他

外部顧客に対するもの

53,596

 

10.5

セグメント間取引

 

53,596

23.8

10.5

国内加工食品事業 計

外部顧客に対するもの

142,173

 

3.0

セグメント間取引

 

142,173

63.2

3.0

国内農事業

外部顧客に対するもの

10,106

 

5.6

セグメント間取引

3

 

△66.5

10,110

4.5

5.5

その他

外部顧客に対するもの

2,421

 

18.9

セグメント間取引

60

 

△67.6

2,481

1.1

11.7

国際事業

外部顧客に対するもの

70,029

 

25.0

セグメント間取引

15,178

 

28.8

85,208

37.9

25.6

調整額

△15,242

△6.7

27.2

連結売上収益

224,730

100.0

9.3

 

(注) 1 各セグメント間のセグメント売上収益を消去しております。

   2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社日本アクセス

32,375

15.7

32,020

14.2