売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E27054 Japan GAAP

売上高

464.8億 円

前期

443.9億 円

前期比

104.7%

時価総額

816.1億 円

株価

606 (03/29)

発行済株式数

134,668,787

EPS(実績)

-19.69 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

750.3万 円

前期

668.3万 円

前期比

112.3%

平均年齢(勤続年数)

41.0歳(5.0年)

従業員数

242人(連結:846人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社16社及び関連会社3社により構成されており、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を起点としてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した健康食品及び化粧品の開発、製造、販売等)、バイオ燃料事業(ユーグレナを中心とした微細藻類等や産業廃棄油等のバイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発、製造、販売等)、その他事業(サステナブルアグリテック、バイオインフォマティクス、ソーシャルビジネス等の新規領域における事業開発や研究開発)といった事業を展開しております。

 子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養設備を有し、ユーグレナ、クロレラ等の微細藻類の大量培養、乾燥粉末の製造等を行っております。

 

(1) 微細藻類ユーグレナをはじめとする当社独自素材の概要および当社の技術

①ユーグレナという生物

 ユーグレナは、5億年以上前に原始の地球で誕生した、体長約30μm~50μm、幅約10μm程度の微細藻類であり、世界中の様々な環境で生息しております。また、植物と動物の形質を兼ね備えている生物で、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のように自ら動き回ることができ、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。

 

②ユーグレナの培養方法

 ユーグレナは、植物のようにエネルギーを光から得て、炭素源としてCO2を用いる「独立栄養培養」(いわゆる光合成)、および動物のように有機物を炭素源として利用する「従属栄養培養」、そして両培養方法の特徴を組み合わせた「光従属栄養培養」による培養が可能です。

 「独立栄養培養」は、光合成によりCO2を吸収し、クロロフィル、ビタミン、フィトケミカル等、野菜寄りの栄養素が豊富に生成される特徴を有する一方、採光効率等の点から高密度化による生産性向上には限界があり、また、他の生物の混入もしやすいため、特に食品用途で求められる品質の安全性を確保しながら培養の安定化・大規模化・低コスト化を実現する難易度が高いという側面があります。「従属栄養培養」は、高密度培養や希少成分パラミロンの高含有化が可能であり、他の生物の混入も抑えやすく、新品種などの環境への拡散リスクを低減した培養も可能である一方、栄養素の多様性が低下する側面があります。「光従属栄養培養」は、食品用途の観点から重視される豊富な栄養素と高密度培養を両立させた培養方法となります。各培養方法それぞれに異なる特徴があり、全ての培養技術を有する当社は、事業目的に応じて各培養方法を使い分けております。

 

③ユーグレナの培養等に関する当社技術

 ユーグレナは研究対象生物として50年以上の歴史があり、その独自性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年、食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されておりませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく、商業的にユーグレナのみを大量に培養することが困難であったことがあげられます。

 当社は創業メンバーによる東京大学農学部における研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めて、屋外培養プールを用いてユーグレナの食品用途大量培養に成功しました。その後、培養の安定化、大規模化、低コスト化に向けた技術改良を進め、現在は上部から採光可能な屋外培養タンクを用いた光従属栄養培養により食品用途ユーグレナの大量培養を行っております。

 また当社は、バイオ燃料の原料用途でのユーグレナの大量培養に向けて、独立栄養培養に関する技術開発を進めており、近年は従属栄養培養に関する技術開発も並行して進めております。

 以下が当社グループの主たる技術です。

A.ユーグレナの大量培養技術

B.ユーグレナの食品加工、化粧品加工及び用途開発の技術

C.培養方法のコントロールによるユーグレナの組成を調整する技術

D.ユーグレナのゲノム編集技術

 

④ユーグレナのヘルスケア素材としてのポテンシャル

当社が生産する食品用途ユーグレナには、以下の特徴があります。

A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ

植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンやクロロフィルを産生するとともに、動物のようにバランスの良いアミノ酸組成を持ち、植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。

当社は、毎年、第三者分析機関である一般財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が含有されていることを確認しております。

 

図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素

※画像省略しています。

 

B.細胞壁がない

野菜等の植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。

 

図 ユーグレナ、植物細胞のイメージ図

※画像省略しています。

C.希少成分パラミロンを持つ

 植物がデンプンに代表されるエネルギー貯蔵物質を産生するのと同様に、ユーグレナもパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。独自の方法で産生されるパラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖(※4)の粒子であり、ユーグレナがエネルギーを効率よく貯蔵するために役立っていると考えられております。

パラミロンは難消化性であり、食物繊維に分類される生物由来の希少成分で、機能性に関して様々な研究成果が報告されています。当社は、希少成分パラミロンを55%以上含有するユーグレナの製造方法を確立、規格化し、ユーグレナグラシリスEX55として当社商品やOEM供給等を通じて活用しています。

 

 図 パラミロンの粒子構造と構造

 

 ▲パラミロンの粒子構造

 ▲パラミロンの構造

 ※画像省略しています。

※画像省略しています。

 

 

 

 撮影:青山学院大学 福岡伸一教授

 

 

⑤ユーグレナのバイオ燃料原料としてのポテンシャル

 ユーグレナにはバイオ燃料原料として、以下の特徴があります。

A.食糧生産との競合を回避

独立栄養培養の場合は耕作不適地を活用することで、また、従属栄養培養の場合は食糧生産に伴う残渣・廃棄物を原料として活用することで、バイオ燃料の生産量拡大に際して懸念されている食糧生産との競合を回避することが可能です。

 

B.複数の培養方法にチャレンジ可能

ユーグレナは、異なる特徴を持つ独立栄養培養と従属栄養培養の両方法により培養することが出来るため、大規模化と低コスト化の両立という難易度が高いバイオ燃料原料用途での商業生産に向けて、技術開発の成功確率を高めることが可能です。

 

C.細胞壁がない

他の微細藻類は通常の植物と同じように細胞壁があり細胞内の脂質を抽出するためには細胞壁の破砕、溶解等の処理が必要となりますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、他の微細藻類と比べて低コスト、低エネルギーで脂質抽出が可能です。

 

D.バイオジェット燃料(SAF)製造に適した脂質の生成

ユーグレナが生成する脂質(ワックスエステル)は、一般的な植物油脂(トリグリセリド)と比べて、分子構造上の酸素原子や二重結合が少なく、炭素鎖の長さもジェット燃料と同程度の12-16個のため、低エネルギー、低水素使用量でSAF製造が可能です。

 

E.脱脂藻体の多様な用途

ユーグレナは豊富な栄養素を含有するため、脂質抽出後の脱脂藻体を、飼料や肥料等の有価物として販売することで、バイオ燃料原料に配賦される製造コストの低減が可能です。

 

⑥ユーグレナの多様な産業素材としてのポテンシャル

ユーグレナには、食品やバイオ燃料原料以外の用途として、以下の特徴があります。

A.化粧品原料としての可能性

 ユーグレナは化粧品原料として活用することが可能であり、既にユーグレナエキス、ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル、ミドリ麹エキスを化粧品原料として規格化し、当社の化粧品に活用しています。

 

B.パラミロンの素材としての可能性

 ユーグレナが含有する希少成分パラミロンは、食品以外にも活用することが可能で、パラミロンを使った新しいバイオマスプラスチックであるパラレジン、創傷治癒促進効果が期待されるパラミロンフィルムの他、セルロース由来の再生繊維であるレーヨンに練込むことで水膨潤性(吸水性)、染着度(色の染まりやすさ)、細菌に対する増殖阻害作用を高めたパラミロンレーヨン等の開発を進めております。

 

C.微生物や発酵との組み合わせの可能性

 ユーグレナは、様々な微生物や発酵プロセスを活性化し、付加価値を高める可能性を有しております。当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発しました。また、ユーグレナエキスが乳酸菌の動きを活性化すること、ユーグレナの摂取が腸内で酪酸産生菌の割合を増やすことを確認しており、プレバイオティクスとしてのポテンシャルも期待されます。さらに、ユーグレナを堆肥や培養土に加えることで微生物が活性化し、植物の生育に有用な成果を確認した他、ユーグレナと海藻カギケノリの混合飼料の給餌により、反芻動物(牛など)からのメタン排出量軽減に寄与する成果を確認しており、肥料や飼料としてのポテンシャルも期待されます。

 

⑦その他の当社独自素材のポテンシャル

当社はユーグレナ以外にも、以下のような独自素材を展開しております。

A.ヤエヤマクロレラ

 クロレラは世界中で食品素材や着色料として流通している微細藻類であり、当社の子会社である八重山殖産株式会社は、石垣島で約50年にわたる培養実績を誇り、国産素材ヤエヤマクロレラとして国内外に展開しています。植物性プロテインを中心とする豊富な栄養素、CGF(クロレラ・グロース・ファクター)やオートファジー活性因子であるスペルミジン等の特徴的な成分を含有している他、毒素を吸着して排出するデトックス効果等の様々な可能性を秘めております。

 

B.オーランチオキトリウム

 オーランチオキトリウムは、ラビリンチュラ類に属し、葉緑体を持たないながらも微細藻類と呼ばれる生物です。不飽和脂肪酸の一種であるDHAを豊富に含有しており、環境保全の観点からプラントベースのシーフード代替素材としての活用が期待されております。また、発毛・育毛、血中脂質の低下、肥満予防等の機能性が報告されている希少成分「アシルステリルグルコシド」も含有しており、当社で物質特許を保有しております。

 

C.カラハリスイカ

 アフリカのカラハリ砂漠に自生する野生種スイカの一種で、過酷な環境下で生育するために、保水性に優れており、活性酸素の消去能力に優れた抗ストレス因子を蓄積するといった特徴から、当社のヘルスケア商品素材として活用しております。

 

D.ミドリ麹

 当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発し、当社の健康食品に活用しております。

 

[用語解説]

※1.必須アミノ酸

必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいいます。ヒトにおいて、具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれております。

※2.直鎖

炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。

※3.β-1,3-グルカン

β-1,3- グルコシド結合にて連なったグルコースを構成糖とする多糖のことです。

※4.多糖

単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます

(2) ヘルスケア事業

当事業では、健康食品や飲料等の開発・販売及び化粧品の開発・販売を行っております。食品及び化粧品に活用されているユーグレナ粉末やクロレラ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は主に外注先に製造委託しているほか、自社グループ会社工場にて一部製品の製造も行っております。販売については、自社グループ商品の直販に加え、流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給や原料粉末の卸売等を行っております。

さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。また、近年、新規開発・探索・商品化された素材として、食品素材(オーランチオキトリウム、エルゴチオネイン等)、化粧品素材(ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル等)があります。

 

A.直販

 自社グループの健康食品や化粧品等を、自社ECサイトや電話などで直接消費者に販売する形態です。当社では、健康食品ではユーグレナを配合した食品ブランド「からだにユーグレナ」等を、化粧品ではスキンケア化粧品ブランドとして「one」「NEcCO」「CONC」等を展開しております。また、株式会社エポラ、株式会社MEJ、株式会社LIGUNA、キューサイ株式会社等の自社グループ会社においても、健康食品や化粧品等を展開しております。

 また、投資効率をブランドと媒体毎にグループ横断で比較分析し、高効率ブランドと媒体へ機動的に広告投資を配分しております。オンラインとオフライン広告のバランスについても、市場トレンドや投資効率に応じて柔軟な広告運用を行っております。

 

B.流通チャネルでの卸売

 自社グループの健康食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやドラッグストア等の大手流通店舗、美容院や接骨院等の専門店舗、並びにその他の全国の取扱店舗向けに、「からだにユーグレナ」等の自社グループの様々な食品ブランドや化粧品ブランドを展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。

 

C.OEM供給

 取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社グループにて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例はアリナミン製薬株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」であり、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。

 

D.原料販売

 製薬会社、食品メーカー等にユーグレナ粉末やクロレラ粉末等を提供するビジネスモデルです。

 

E.海外展開

 日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。また、クロレラについても、OEM供給や原料供給を通じてグローバル市場での販売を展開しております。

 

(3) バイオ燃料事業

 当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス資源のバイオ燃料原料としての利活用や、バイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発・製造・販売の商業展開に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。

 

A.バイオ燃料原料用のユーグレナ生産実用化に向けた研究開発

前述の通り、ユーグレナは、バイオ燃料原料生産の生産で求められる大規模化、低コスト化の観点から様々な優位性を有しております。また、ユーグレナは、独立栄養培養であれば大気中のCO2を直接固定することで、従属栄養培養であれば植物が固定したCO2を間接的に用いることで、カーボンニュートラルに貢献する可能性があります。これらのユーグレナのポテンシャルに着目し、当社グループは、バイオ燃料原料用のユーグレナの商業生産に向けた研究開発を進めております。

急拡大が見込まれるバイオ燃料市場において、バイオ燃料原料用のユーグレナ生産の実用化に向けて、独立/従属栄養培養の両アプローチにより大規模・低コスト培養技術を確立し、原料サプライヤーとしての競争優位性の確保を目指しております。

 

B.バイオ燃料の実証製造・供給体制の構築

当社グループは、2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めてきました。具体的には、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、2018年10月31日に実証プラントは竣工に至りました。実証プラントは2020年3月に本格稼働を迎え、次世代バイオディーゼル燃料の供給先をバス・トラック・鉄道・船舶など様々な移動体を対象として拡大するとともに、バイオジェット燃料も2021年6月に初フライトを実現し、2022年9月には国内空港のハイドラントシステムへの導入を実現するなど、当社のバイオ燃料の導入実績は「陸・海・空」の全ての領域をカバーしながら2023年末で累計93件に達しました。

これらの成果により建設時点の目的を全て成功裏に達成できたことを踏まえ、実証プラントは2024年1月末をもって稼働を終了しました。今後は、商業化フェーズに向けた取り組みを推進します。

 

C.バイオ燃料の商業化

商業プラントの建設については、2022年12月にグローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad及びEni S.p.A.と共同で、マレーシアにおいて商業規模のバイオ燃料製造プラント(以下「本商業プラント」といいます。)の建設及び運転プロジェクトを検討しており、本商業プラント建設に係る技術的・経済的な実現可能性評価を進めていることを発表しました。本商業プラントの原料処理能力は年間約65万トン、バイオ燃料の製造能力は最大で日産1万2,500バレル(年産約72.5万KL相当)となる見通しで、3社間で最終投資決定に向けた協議、検討を継続しております。

 また、商業生産開始後を見据えて、バイオ燃料の供給体制を拡大し、継続的な供給配送を可能とすべく、国内外パートナーと連携しながらサプライチェーン構築に向けた更なる取り組みを進めていきます。

 

(4)その他事業

A.サステナブルアグリテック領域

 肥料・飼料領域で微細藻類を活用した様々な研究開発を実施しております。また、藻類のみならず未利用資源も活用した研究を展開しております。第3の事業の柱として、飼料・肥料領域の展開を本格化していきます。

 肥料領域では有機肥料メーカーである大協肥糧株式会社を2021年に完全子会社化し、ユーグレナグループの有機肥料の製造・販売事業展開を推進しております。同社は多種多様な原料を使いこなす現場力、作物や気候に応じたオーダーメイドでの肥料開発に強みがあり、当社の研究開発部門と連携しながら新たな原料の活用事例創出や商品開発を推進していきます。

 飼料領域では、これまでの研究成果を踏まえ、既存代替飼料、環境負担低減飼料、機能性飼料の3テーマを中心に、微細藻類を活用した水産・畜産の商品開発を推進してまいります。

 

B.バイオインフォマティクス領域

 2017年にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、バイオインフォマティクス領域における事業展開を開始しました。当社で遺伝子解析サービス「ユーグレナ・マイヘルス」を展開するとともに、同社は遺伝子解析サービス「Genequest」や研究開発を主軸に事業を展開しつつ、2022年には遺伝子解析結果を医療機関、フィットネス等に連携できるサービス「GeneLink」の提供を開始しました。

 

C.ソーシャルビジネス領域

 バングラデシュにおいて、2015年に子会社化したGrameen euglenaを中心に、緑豆栽培等の農業事業や、子どもたちへユーグレナ入りクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」等を推進し、国際連合世界食糧計画(WFP)等の国際機関とも連携しながら、事業成長が社会課題解決に直結するビジネスモデルの構築に取り組んでおります。

[事業系統図]

主な事業の状況の概要図及び主要な会社名は次のとおりです。

 

①ヘルスケア事業

※画像省略しています。

 

 

②バイオ燃料事業

 

※画像省略しています。

 

③その他事業

 その他事業の主要な会社としては、肥料の製造卸売販売を行う大協肥糧株式会社、遺伝子解析サービスを行う株式会社ジーンクエスト、バングラデシュ人民共和国でソーシャルビジネスを行うGrameen euglenaがあります。

 

24/03/21

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
 

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、ロシア・ウクライナ戦争の長期化やイスラエル・ハマス紛争などの地政学的リスク、欧米におけるインフレ率の上昇と利上げの進展といった大きな変化を迎える中、米国経済は堅調な個人消費や雇用に支えられて堅調に推移する一方で、欧州経済や中国経済では減速傾向が見られており、今後の見通しに対する不確実性が高まっています。日本経済は、コロナ禍明け後の需要回復が景気を押し上げるとともに、日米金融政策の乖離に伴う円安基調の継続、コスト増の価格転嫁の進展やインバウンド需要の拡大により物価が上昇に転じ、雇用拡大や賃金上昇も見受けられるなど、デフレ脱却の素地が整いつつあります。

 このような事業環境のもと、当社のヘルスケア事業においては、2019年よりブランド群の育成、デジタル化、マルチチャネル展開という3つの基本方針を推進し、当連結会計年度は、売上高成長と利益率を両立するサステナブルな成長の実現に向けて、成長ブランドの創出、顧客ロイヤリティの向上、チャネル販売力の強化、コストシナジーの創出に注力しました。広告投資の機動的運用や定期顧客の継続率改善に取り組んだ直販や、営業力強化に取り組んだ流通・OEM等が概ね横ばいで推移する一方で、株式会社はこの通期連結の影響(2022年7月より連結対象)による増収効果に加えて、バイオ燃料事業におけるテスト取引の拡大により、売上高は46,482百万円(前連結会計年度比4.7%増)となりました。

 また、当社は、キャッシュ・フロー重視の経営の観点から、当社のキャッシュ・フロー創出力を示す指標として調整後EBITDAを開示しております。調整後EBITDAは、EBITDA(営業利益+のれん償却費及び減価償却費)+助成金収入+株式関連報酬+棚卸資産ステップアップ影響額、として算出しております。上述のヘルスケア事業における広告投資を継続しているものの広告宣伝費の未消化もあり単年度の利益増に影響しました。これに加えて、バイオ燃料事業や研究開発活動を中心に473百万円の助成金収入を計上しました。結果、当連結会計年度の調整後EBITDAは2,222百万円(前連結会計年度比16.1%減)となりました。

 一方、キューサイ株式会社(以下「キューサイ」)の連結子会社化等の過去のM&A案件に伴う無形固定資産及びのれん等の償却費の計上を主因として営業損失は1,464百万円(前連結会計年度は営業損失3,455百万円)となりました。また、助成金収入や支払利息の計上に伴い、経常損失は1,419百万円(前連結会計年度は経常損失2,489百万円)となり、バイオジェット・ディーゼル燃料実証プラント(以下「実証プラント」)の稼働終了に伴う助成金返還等の特別損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2,652百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失2,672百万円)となりました。なお、キューサイの連結子会社化時における棚卸資産のステップアップにより計上した含み益の費用化処理は、前連結会計年度で完了しております。

 

 なお、当連結会計年度の各四半期の業績推移は以下のとおりです。

 

当第1四半期

連結会計期間

当第2四半期

連結会計期間

当第3四半期

連結会計期間

当第4四半期

連結会計期間

売上高   (百万円)

10,837

11,967

11,274

12,402

調整後EBITDA(百万円)

776

495

707

242

営業損益 (百万円)

△176

△584

△198

△505

経常損益 (百万円)

△111

△528

△157

△621

 

 セグメント別の状況については、以下のとおりです。

(ヘルスケア事業)

 当連結会計年度は、成長ブランドの創出に向けて、前連結会計年度以降にローンチした「NEcCO(ネッコ)」「CONC」「epo」等の新ブランドの育成、「からだにユーグレナ」「C COFFEE」等の既存ブランドの商品ラインアップの拡充等に取り組むとともに、グループ全体で顧客ロイヤリティの向上、チャネル販売力の強化、コストシナジーの創出に向けた施策を推進しました。直販において、広告クリエイティブや広告手法の見直しにより投資効率の改善に取り組みつつ、広告投資を慎重にコントロールしながら継続した他、2022年7月1日に連結子会社化した株式会社はこが収益貢献した結果、セグメント売上高は41,359百万円(前連結会計年度比0.6%減)となりました。

 セグメント損益においては、上述のキューサイの連結子会社化に伴う棚卸資産のステップアップにより計上した含み益の費用化処理は前連結会計年度で完了しており、当連結会計年度は、キューサイの連結子会社化等の過去のM&A案件に伴う無形固定資産及びのれん等の償却費2,258百万円を計上しました。物流費率の削減やコストシナジー創出に向けた施策も推進した結果、セグメント利益は1,456百万円(前連結会計年度はセグメント損失638百万円)となりました。

 

(バイオ燃料事業)

 バイオ燃料事業においては、実証プラントにおけるバイオ燃料の実証製造を継続するとともに、当社が製造・供給するバイオ燃料(ブランド名「サステオ」)の導入先の開拓や、バイオジェット・ディーゼル燃料商業プラント(以下「商業プラント」)の建設に向けた取り組みを推進しています。

 実証事業については、当社バイオ燃料の導入事例は当連結会計年度に累計93件に達し、当社直販顧客も参画する佐川急便とのサステナブル配送プロジェクト、東京都と締結したバイオ燃料導入促進事業に係る協定やG7広島サミット(主要国首脳会議)を通じた取り組みで「陸・海・空」の全領域において「サステオ」供給先を拡大した他、本邦初となる航空自衛隊戦闘機やブルーインパルスへのSAF給油等を実現しました。なお、実証プラントは、建設時点の目的を全て成功裏に達成できたことを踏まえ、2024年1月末をもって稼働を終了し、以降は海外パートナー企業等から調達したバイオ燃料の販売に移行することで、より大規模なサプライチェーン構築とバイオ燃料供給先の更なる開拓を進めていく予定です。

 商業プラントの建設については、2022年12月に、グローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad及びEni S.p.A.と共同で、マレーシアにおいて商業規模のバイオ燃料製造プラント(以下「本商業プラント」といいます。)の建設及び運転するプロジェクトを検討しており、本商業プラント建設に係る技術的・経済的な実現可能性評価を進めていることを発表しました。本商業プラントの原料処理能力は年間約65万トン、バイオ燃料の製造能力は最大で日産1万2,500バレル(年産約72.5万KL相当)となる見通しで、3社間で最終投資決定に向けた協議、検討を継続しております。

 また、商業化後を見据えて、サプライチェーン構築に向けた取り組みや研究開発活動も展開しております。サプライチェーン構築については、国内外パートナー企業と連携したバイオ燃料のテスト取引を進めており、当連結会計年度に複数の大口取引を実行しました。研究開発活動については、マレーシアに新たな研究開発拠点となる「熱帯バイオマス技術研究所」を開設し、これまで蓄積してきた微細藻類ユーグレナの大規模培養に関する研究開発成果をはじめとする知見や技術を活用しながら、ユーグレナなどの微細藻類、その他の藻類や植物など、バイオ燃料原料用途のバイオマス生産・利用の最大化・最適化を中心とする研究を推進していきます。

 以上の結果、当連結会計年度は、セグメント売上高2,851百万円(前連結会計年度はセグメント売上高262百万円)、セグメント損失は800百万円(前連結会計年度はセグメント損失789百万円)となりました。

 

(その他事業)

 当連結会計年度は、大協肥糧株式会社を中心に肥料領域における事業拡大に取り組むとともに、バイオインフォマティクス領域、ソーシャルビジネス領域、先端研究領域においても、事業成長や事業開発に向けた投資を継続しております。以上の結果、当連結会計年度は、セグメント売上高2,273百万円(前連結会計年度比9.5%減)、セグメント損失は519百万円(前連結会計年度はセグメント損失325百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は59,619百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,343百万円の増加となりました。これは主に、商品及び製品が681百万円、無形固定資産が2,258百万円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が5,837百万円増加したこと等によるものです。

 負債は39,404百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,482百万円増加となりました。これは主に、長期借入金が2,524百万円減少した一方で、転換社債型新株予約権付社債が4,800百万円増加したこと等によるものです。

 純資産は、前連結会計年度末から860百万円増加し、20,214百万円となりました。この結果、自己資本比率は33.9%となりました。

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から5,837百万円増加し、15,651百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失2,110百万円が計上されておりますが、減価償却費2,124百万円及びのれん償却額846百万円、棚卸資産の減少931百万円を計上したこと等により、658百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出380百万円、有形固定資産の取得による支出313百万円等により646百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出2,589百万円があったものの、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入4,800百万円、株式の発行による収入2,962百万円等により5,828百万円の収入となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

ヘルスケア事業    (百万円)

6,744

115.6

バイオ燃料事業    (百万円)

6

85.5

その他事業      (百万円)

213

87.6

合計(百万円)

6,965

114.4

 

b. 受注実績

 当社グループは、健康食品、化粧品のOEM製品及びユーグレナ粉末等の原料粉末について受注生産を行っておりますが、原料粉末については需給動向を勘案し一部見込生産を行っており、受注生産と見込生産を明確に区別することが困難であることから、記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

ヘルスケア事業    (百万円)

41,356

99.4

バイオ燃料事業    (百万円)

2,851

1,086.4

その他事業      (百万円)

2,273

90.5

合計(百万円)

46,482

104.7

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。

その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

経営成績の分析について、各事業の売上高及び調整後EBITDAの推移は以下のとおりです。なお、キューサイの連結子会社化時における棚卸資産のステップアップにより計上した含み益の費用化処理は、前連結会計年度で完了しております。

 

 前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期合計

売上高 (百万円)

10,822

10,761

10,752

12,056

44,392

  ヘルスケア事業

10,124

10,103

10,107

11,282

41,617

    直販

8,695

8,624

8,376

8,583

34,280

    流通

860

1,022

944

1,311

4,138

    OEM・原料・海外

365

264

228

454

1,312

    その他

202

191

557

932

1,884

  バイオ燃料事業(注1)

21

41

104

93

262

  その他事業(注1)

676

616

539

680

2,512

調整後EBITDA (百万円)

1,554

665

267

160

2,648

  ヘルスケア事業

1,412

1,257

826

808

4,305

  バイオ燃料事業

448

△187

△119

△203

△62

  その他事業

26

△36

△29

△64

△103

  調整額(注2)

△332

△367

△410

△380

△1,490

 

 当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期合計

売上高 (百万円)

10,837

11,967

11,274

12,402

46,482

  ヘルスケア事業

10,026

10,484

9,991

10,854

41,356

    直販

8,244

8,346

8,200

8,359

33,151

    流通

890

986

953

1,172

4,003

    OEM・原料・海外

238

310

353

523

1,425

    その他

652

841

483

798

2,776

  バイオ燃料事業(注1)

52

849

868

1,081

2,851

  その他事業(注1)

758

633

414

466

2,273

調整後EBITDA (百万円)

776

495

707

242

2,222

  ヘルスケア事業

1,301

1,066

1,261

943

4,572

  バイオ燃料事業

△147

△141

△84

△310

△683

  その他事業

27

△40

△113

△95

△221

  調整額(注2)

△404

△389

△355

△295

△1,444

(注)1. 販売チャネルは「その他」となります。

   2.主に各報告セグメントに配分していない一般管理費等の全社費用であります。

(注)調整額は、主に各報告セグメントに配分していない一般管理費等の全社費用であります。

 

また当社グループの売上原価並びに販売費及び一般管理費に関する分析は次のとおりです。

売上原価については、2022年12月期は13,396百万円(売上原価率30.1%)のところ、2023年12月期は14,707百万円(売上原価率31.6%)となりました。製品構成比の変化として原価率の高いバイオ燃料事業の取引拡大により、売上原価率は増加しました。

販売費については、2022年12月期は21,779百万円(対売上高比率49.0%)のところ、2023年12月期は20,970百万円(対売上高比率45.1%)となりました。製品構成比の影響及び物流改善や共通購買によるコスト最適化の結果、荷造運賃費が減少し、またヘルスケア事業における諸環境を踏まえた広告投資の効率的運用の結果、広告宣伝費及び販売促進費が減少しました。

人件費については、2022年12月期は5,009百万円のところ、2023年12月期は5,270百万円となりました。事業規模の拡大に伴い全社的に増加トレンドとなりました。

管理費については、2022年12月期は6,183百万円のところ、2023年12月期は5,756百万円となりました。事業規模の拡大の中、2022年12月期のM&A費用やキューサイにおける外部コンサル費用が2023年12月期では大きく発生していない影響、そしてバックオフィス最適化により、全社としては減少となりました。

研究開発費については、2022年12月期は1,480百万円のところ、2023年12月期は1,242百万円となりました。実証プラントにおけるコストの見直しを行った結果、減少となりました。

 

営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失に関する状況の分析については「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

 

b. キャッシュ・フローの分析

 当社グループでは、ヘルスケア事業からの営業キャッシュ・フローによる収入を原資として、中長期的な事業化を目指すバイオ燃料事業や新規事業に対する投資に資金を投下し、必要に応じて追加の資金を財務活動によって調達することをキャッシュ・フローの基本方針としております。

 2023年12月期の詳細なキャッシュ・フローの内訳については「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しており、企業運営に必要となる十分な水準の資金を確保していると評価しております。

 

c. 資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、M&A、バイオ燃料商業プラントの建設関連資金等の長期資金需要と運転資金需要です。

 このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については「第3 設備の状況」に記載しております。M&Aについては中長期的成長を目的とした、ヘルスケア事業(特に健康食品・化粧品等の直販及び卸売)における事業基盤の拡充やシナジー創出に資する企業、及び事業ポートフォリオの拡大もしくは新規領域進出に向けた事業基盤獲得に資する企業等を対象としたM&Aを円滑に推進するため、手元現預金の確保が必要となります。また、バイオ燃料事業の商業化に向けたプロジェクトの実現には、相応の規模の建設関連資金等が必要となります。

 運転資金需要については、ヘルスケア事業における直販等の事業基盤の拡充に必要となる広告宣伝費や機能性研究・新規素材開発に必要となる研究開発費のための運転資金に加え、バイオ燃料事業における商業化実現後を見据えたサプライチェーン構築やバイオ燃料原料の研究開発に関する運転資金が必要となります。

 

d. 財政政策

 当社グループでは資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施し、事業運営上必要な流動性と資金を長期安定的に確保することを基本方針としております。現在、当社グループは事業基盤の拡充や新規領域進出等に向けた将来的なM&A、研究開発投資、バイオ燃料事業の商業化等に必要な資金を内部留保しております。資金需要が発生した場合、自己資金で賄うことを基本としつつ、必要に応じて金融機関からの借入金や資本市場からの調達等を含めた最適な手段を検討した上で資金調達を実施いたします。

 当連結会計年度末の総資産は59,619百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,343百万円の増加となりました。これは主に、商品及び製品が681百万円、無形固定資産が2,258百万円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が5,837百万円増加したこと等によるものです。

 負債は39,404百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,482百万円増加となりました。これは主に、長期借入金が2,524百万円減少した一方で、転換社債型新株予約権付社債が4,800百万円増加したこと等によるものです。

 純資産は、前連結会計年度末から860百万円増加し、20,214百万円となりました。この結果、自己資本比率は33.9%となりました。