売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00792 IFRS

売上高

1.00兆 円

前期

8,886.7億 円

前期比

113.1%

時価総額

5,230.4億 円

株価

2,276.5 (04/19)

発行済株式数

229,755,057

EPS(実績)

185.63 円

PER(実績)

12.26 倍

平均給与

753.5万 円

前期

739.8万 円

前期比

101.9%

平均年齢(勤続年数)

45.1歳(11.9年)

従業員数

634人(連結:20,109人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当「エア・ウォーター」グループは、当社、連結子会社142社(注1)、持分法適用会社12社の合計155社で構成され、デジタル&インダストリー、エネルギーソリューション、ヘルス&セーフティー、アグリ&フーズ、並びにその他の事業に関する製品・商品の製造・販売を行っております。

 

当グループが営んでいる主な事業内容と当社及び関係会社の当該事業における位置付けは次のとおりであります。

以下の事業区分はセグメント情報における事業区分と同一であります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.事業セグメント」をご参照ください。

 

 

セグメント名称

主な事業内容

主要な会社

デジタル&

インダストリー

酸素・窒素・アルゴン等産業ガスの製造・販売、高圧ガス関連機器等の製作並びに機能材料、電子材料等の製造・販売等

当社、エア・ウォーター北海道㈱、

エア・ウォーター東日本㈱、エア・ウォーター西日本㈱、

タテホ化学工業㈱、

エア・ウォーター・プラントエンジニアリング㈱(注2)、

エア・ウォーター・マッハ㈱、

エア・ウォーター・マテリアル㈱、

エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル㈱、

エア・ウォーター・ガスプロダクツ㈱、

AIR WATER INDIA PTE. LTD.

エネルギー

ソリューション

LPガス・灯油の販売、炭酸ガス・水素ガスの製造・販売等

当社、エア・ウォーター北海道㈱、

エア・ウォーター東日本㈱、エア・ウォーター西日本㈱、

エア・ウォーター炭酸㈱、

エア・ウォーター・ライフソリューション㈱

ヘルス&

セーフティー

酸素等の医療用ガス、衛生材料の製造・販売、病院設備工事、在宅医療並びにエアゾール製品のOEM受託等

当社、エア・ウォーター北海道㈱、

エア・ウォーター東日本㈱、エア・ウォーター西日本㈱、

エア・ウォーター防災㈱、川本産業㈱、

エア・ウォーター・ゾル㈱(注3)、

エア・ウォーター・リンク㈱、㈱歯愛メディカル

アグリ&フーズ

青果物の卸売・加工及び冷凍食品・食肉加工品等の製造・販売並びに清涼飲料水の製造受託等

当社、ゴールドパック㈱、㈱九州屋、

エア・ウォーターアグリ&フーズ㈱

その他の事業

業務用塩等の製造・販売事業、

一般貨物・食品・医療・環境等の物流サービスを展開する物流事業、

北米を中心に産業ガス関連機器・エンジニアリングを展開する北米産業ガス事業及び高出力UPS(無停電電源装置)事業、

木質バイオマス発電事業等

当社、

エア・ウォーター小名浜バイオマス電力㈱(注4)、

㈱日本海水、

エア・ウォーター物流㈱、東日本エア・ウォーター物流㈱、

HITEC HOLDING B.V.、AIR WATER AMERICA INC.、

K&Oエナジーグループ㈱

 

(注)1 連結子会社の数には、当社が直接連結経理処理を実施している会社のみ含めており、連結子会社が連結経理処理している関係会社(44社)はその数から除外しております。なお、上記連結子会社には、ジョイント・オペレーション(共同支配事業)を含んでおります。

2 エア・ウォーター・プラントエンジニアリング㈱は、2023年4月1日付でエア・ウォーター・エンジニアリング㈱に社名変更しております。

3 エア・ウォーター・ゾル㈱は、2023年4月1日付でエア・ウォーター・リアライズ㈱に社名変更しております。

4 エア・ウォーター小名浜バイオマス電力㈱は、2023年1月18日付でエア・ウォーター&エネルギア・パワー小名浜㈱より社名変更しました。

 

事業の系統図は次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

23/06/23

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

 当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス禍から社会経済活動の正常化が進んだことにより個人消費は回復基調で推移しましたが、エネルギー価格の高騰や世界的なサプライチェーンの混乱に加え、円安の進行による物価の上昇などが大きな影響を及ぼしました。また、年度後半にかけては、諸外国でのインフレや半導体需要の急速な減少等により世界経済の減速懸念が強まるなど、依然として不安定な状況が続きました。


 こうした中、当社グループは「地球環境」と「ウェルネス(健やかな暮らし)」という2つの成長軸に沿って事業活動を通じた社会課題の解決に貢献し、持続的な成長と企業価値の向上を目指す2030年度に目指す姿「terrAWell(テラウェル)30」を定めるとともに、2022年度から2024年度までの3ヵ年を実行期間とする中期経営計画「terrAWell 30 1st stage」を策定しました。また、その実現の布石として、当社グループの強みである「多様な事業、人材、技術」から創出されるシナジーの最大化を図るため、新たに「ユニット制」を導入し、当社本体組織とグループ会社群が一体となったグループ経営体制に移行しました。
 新たな経営戦略と組織体制の下、2010年からグループ全社を挙げて取り組んできた「売上収益1兆円」の達成を目指すとともに、成長分野と位置付ける海外およびエレクトロニクス関連事業の基盤構築、グループシナジーの創出と経営資源の最適配分による国内事業の収益構造強化、さらに、次なる成長に向け、従来の事業の枠を越えた着想と積極的な技術開発による新事業の創出を推し進めました。
 海外事業は、高炉一貫製鉄所の建設が相次ぐインドにおいて、産業ガスの製造・物流インフラの構築を進めるとともに、北米においてもM&Aを通じて産業ガスの販売事業に参入しました。また、エレクトロニクス関連事業は、国内半導体デバイスメーカーの生産能力増強に対応したガス供給プラントの設備投資に加え、産業ガスとケミカルを融合した新たな事業推進体制の下、先端ニーズに応える素材開発やグループ総合力を活かした顧客との関係強化に取り組みました。
 国内の既存事業は、エネルギー価格の高騰に加え、原材料や物流コストの上昇が続く中、生産・物流面の効率化をはじめとしたコスト削減や調達の見直しと同時に、自助努力で補いきれないコスト上昇分については徹底した販売価格の是正を行い、収益性の確保に努めました。また、各事業分野におけるグループ会社の統合再編に加え、農産分野では他企業との資本業務提携を開始するなど、環境変化に柔軟に対応できる事業構造への変革を進めました。
 さらに、社会課題解決に貢献する新事業として、地球環境領域では、小型CO2回収装置の開発や、家畜ふん尿由来の液化バイオメタン製造など地産地消型エネルギー供給モデルの構築を通じて、脱炭素ソリューションの社会実装化に注力しました。また、ウェルネス領域では、大学や自治体との連携強化を図るとともに、当社グループの技術やビジネスモデルの融合による新事業創出を目的としたオープンイノベーション推進施設「エア・ウォーター健都」の建設が順調に進展しました。
 サステナビリティの取り組みに関しては、CO2排出量の削減目標値を見直し、新たに設定した「2030年度GHG排出量30%削減(2020年度比)」に向け、エネルギー使用量の低減や生産プロセスの改善を進めました。また、多様な事業を担う当社グループの人材が活躍できる環境整備をはじめとしたダイバーシティ&インクルージョンを推進するとともに、自律的なキャリア形成を促す人事制度改革を実行するなど、価値創造の中核を担う人的資本の強化に努めました。

  当連結会計年度の業績については、エレクトロニクス関連事業とインドにおける産業ガス供給事業が積極的な設備投資を通じて供給インフラを拡充したことで着実に需要を取り込み、順調に拡大しました。また、コロナ禍における事業環境の変化に対応し、グループシナジーを高めた「ヘルス&セーフティー」が総じて順調に推移し、全社業績を牽引しました。
 こうした中、売上面では、ユニット制によるグループシナジーの追求に加え、価格是正や市況連動により販売価格が上昇したことも寄与し、全てのセグメントで増収となりました。

 

 

利益面では、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取)制度を利用した電力事業において、発電燃料や海上輸送コストの上昇分を価格転嫁することができず、年度を通じてその影響を大きく受けることとなりました。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上収益は1兆49億1千4百万円(前期比113.1%)、営業利益は621億8千1百万円(同95.4%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は401億3千7百万円(同92.9%)となりました。

 

 

売上収益

営業利益

親会社の所有者に
帰属する当期利益

2022年3月期
(百万円)

888,668

65,174

43,214

2023年3月期
(百万円)

1,004,914

62,181

40,137

前期比(%)

113.1

95.4

92.9

 

 

セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。

 

<デジタル&インダストリー>

当セグメントの売上収益は3,425億4千9百万円(前期比118.6%)、営業利益は290億2百万円(同104.3%)となりました。

事業全体では、エネルギー価格の高騰や物価上昇等の影響を受ける厳しい環境となる中、こうしたコスト上昇に対して、生産性の向上や徹底した価格是正に取り組みました。また、インドでの産業ガス供給事業が好調に推移するとともに、年度後半にかけて減速感はあるものの、エレクトロニクス事業が順調に推移した結果、売上・利益ともに前年度を上回りました。

 

エレクトロニクス事業は、大手半導体メーカー向けのオンサイトガス供給が順調に推移しました。特殊ケミカル材料やその供給機器、ガス精製装置、半導体製造装置向け熱制御機器などの販売は、年度後半から顧客の在庫調整や設備投資の先送りによる影響を受けたものの、堅調に推移しました。情報電子材料分野においては、半導体材料や電子部品の販売が国内外ともに好調に推移しました。

機能材料事業は、石化市況に連動する基礎化学品の価格上昇が増収に寄与しました。また、食品向け日持ち向上剤などに利用される酢酸ナトリウムの販売が回復するとともに、半導体製造装置向けOリング(シール材)や産業用ロボット向け高機能回路製品の販売が増加したことで、精密研磨パッドや電子材料などの需要が減少した影響を補い、事業全体では堅調に推移しました。

インダストリアルガス事業は、鉄鋼や自動車などの生産活動が低調だったことから、ガスの販売数量は前年をわずかに下回りました。また、電力料金や物流コストの上昇が続いたため、鉄鋼向けオンサイトガス供給の販売単価が上昇したことに加え、各種ガス製品の価格是正を実施したことにより、売上収益が増加しました。利益面では、価格是正が適用されるまでの期間影響が一部に残りました。

海外・エンジニアリング事業は、インドにおいて、鉄鋼向けオンサイトガス供給が旺盛な粗鋼生産に連動し高稼働を継続したほか、プラント操業の効率化に取り組み、年度を通じて好調に推移しました。また、ローリー・シリンダーによるガス供給も自動車向けなどの需要が高まり、販売数量が増加しました。

 

 

エネルギーソリューション

当セグメントの売上収益は919億1千9百万円(前期比108.8%)、営業利益は57億3百万円(同81.4%)となりました。

事業全体では、エネルギーと環境領域を融合し、地域の未利用資源を活用したカーボンニュートラルに寄与するエネルギー供給に向けた新たなビジネスモデルの構築を進めました。輸入価格に連動しLPガスの販売単価が上昇したことで増収となったものの、利益面では、炭酸ガス供給分野において原料ガスの不足等による影響を受け、ドライアイスの販売が停滞したことから、前年を大きく下回る結果となりました。

 

エネルギー事業は、輸入価格に連動しLPガスの販売単価が上昇したことで増収となりました。利益面では、配送費等のコスト増加に対する価格是正を実施しましたが、在庫量が増える年度後半にかけて輸入価格の変動に伴う在庫評価の影響を受けました。

資源循環事業は、炭酸ガス供給において、原料ガスの不足等による影響からドライアイスの販売が減少し、前年を大きく下回る状況となりました。一方、水素ガスは、半導体・非鉄業界向けのオンサイト供給を中心に順調に推移しました。また、小型CO2回収装置「ReCO2 STATION」やLNG代替燃料として利用可能な「液化バイオメタン」を開発し、CO2回収・利活用や新エネルギーのビジネスモデル構築を進めました。

 

<ヘルス&セーフティー>

当セグメントの売上収益は2,359億9千2百万円(前期比108.5%)、営業利益は154億8千2百万円(同116.6%)となりました。

  事業全体では、コロナ禍による医療機関や生活者を取り巻く環境の変化を踏まえ、今後も必要とされる感染症対策や新たな医療提供の形を見据えた事業体制の構築を進めた結果、医療用酸素の安定供給や病院設備のリニューアル工事、SPD(病院物品物流管理)による病院経営の効率化など、医療現場の様々な需要を着実に取り込みました。また、生活者により近い事業を展開する在宅医療や歯科分野に加え、衛生材料をはじめとしたコンシューマーヘルス分野が順調に推移した結果、売上・利益ともに前年を上回り、全社業績を牽引しました。

 

メディカルプロダクツ事業は、コロナ対策として酸素濃縮装置の自治体向けリース契約が継続したほか、病院での手術件数の回復などにより、医療用酸素の販売数量が増加しました。また、歯科分野は、CAD/CAM冠用材料が虫歯治療のインレー(詰め物)として保険適用が開始されたことにより、好調に推移しました。

防災事業は、病院設備工事分野においてリニューアル工事が増加したことに加え、大型工事案件の完工により、順調に推移しました。シンガポールの病院設備工事は、行動制限の緩和により工事進捗の改善が進み、順調に推移しました。また、消火設備分野は、発電所やデータセンター向けの需要を着実に取り込み、堅調に推移しました。

滅菌受託やSPDを展開するサービス事業は、人手不足が常態化する病院業務の効率化に向けた積極的な提案活動を通じて新規顧客の獲得が進んだことにより、増収に寄与しました。

コンシューマーヘルス事業は、衛生材料分野において、手術関連製品や自社開発のマスクなど市販用感染対策製品の販売が増加しました。エアゾール分野は、原材料コストの上昇による影響を受けましたが、年度後半にかけて化粧品やUVカットスプレーの製造受託が増加したことで、堅調に推移しました。注射針分野は、ワクチン接種用注射針に加え、海外向けのデンタル針や美容針の販売が回復したことにより、順調に推移しました。

 

<アグリ&フーズ>

当セグメントの売上収益は1,520億6千9百万円(前期比109.0%)、営業利益は55億2千1百万円(同96.6%)となりました。

事業全体では、年度前半においては、ハム・デリカ製品の販路拡大や業務用食品の需要回復に加え、原材料・エネルギーコストの上昇に対応した価格是正が進展したことで順調に推移しましたが、年度後半には、鶏卵や肥料・資材といった原材料コストがさらに高騰した影響を受けました。なお、M&Aによる新規連結効果が寄与しましたが、土地売却益を前年に計上していた反動から、営業利益は前年をわずかに下回る結果となりました。

 

フーズ事業は、ハム・デリカ分野において、ホテルや外食向けなどの業務用需要が回復したことに加え、新たな販路開拓と新商品の投入により市販用製品の販売が順調に推移しました。一方、スイーツ分野は、年度後半にかけて、鶏卵をはじめとした原材料費の上昇と物価上昇による消費マインドの低下を受け、厳しい状況となりました。

野菜・果実系飲料などの受託製造を行うナチュラルフーズ事業は、大口顧客へのミネラルウォーターの販売が増加しましたが、利益面では工場動力にかかるエネルギーコストが増加した影響を受け、前年並みとなりました。

アグリ事業は、青果卸・加工分野においては、北海道における農産物の一部が生育不良だった影響を受け、年度後半にかけて青果の卸・販売が低調に推移しました。百貨店等で店舗展開する青果小売分野においては、物価上昇の影響による消費マインドの低下を受けて販売が伸び悩みましたが、関西地区で農産物直売事業を行う㈱プラスの新規連結効果により、事業全体では順調に推移しました。

 

<その他の事業>

当セグメントの売上収益は1,823億8千2百万円(前期比115.1%)、営業利益は10億6千2百万円(同9.9%)となりました。

物流事業は、自社物流ネットワークの拡充により、主に北海道と東日本を結ぶ幹線輸送の荷扱量が増加しました。食品物流を中心とする3PL事業は、札幌第二低温センターが本格稼働するとともに厚木物流センターでネット通販関連の荷扱量が増加しました。また、受託料金の適正化に取り組んだことで、堅調に推移しました。トラック・ボディの設計・架装を行う車体事業が車両の納入遅れによる影響を受けましたが、産業・医療系廃棄物の収集運搬において取扱量が増加したことで、その影響を補い、事業全体としては順調に推移しました。

㈱日本海水は、製塩工程におけるボイラー燃料として使用している石炭やLNGの価格高騰に対し、業務用塩を中心に二度にわたる価格是正を実施した結果、売上収益が拡大しました。しかしながら、FIT制度を利用した電力分野において、発電燃料であるPKS(パーム椰子殻)の海上輸送コストなどが高騰した影響を受け、前年を下回る結果となりました。

北米産業ガス事業は、低温機器・エンジニアリング分野において、脱炭素関連需要の高まりを受けて、炭酸ガス関連機器や液化水素タンクなどの受注が堅調に推移したことに加え、貯槽用低温容器の販売が増加しました。一方、利益面では、部材の調達遅れなどによる影響から生産の停滞が発生し、厳しい状況となりました。なお、極低温冷凍システムを手掛けるDohmeyer Holding BVBA、米国ニューヨーク州を地盤とする産業ガス・ディストリビューターのNoble Gas Solutions, LLC.を新たにM&Aしました。高出力UPS(無停電電源装置)事業は、東南アジアにおいて、行動制限の緩和により工事進捗の改善が進み、順調に推移しました。一方、欧米においては、顧客の投資計画延期や資材価格の上昇などによる影響を受け、厳しい状況となりました。

電力事業は、発電燃料となる木質バイオマスや石炭の価格及び海上輸送コストの高騰が続いたことに加え、荷揚げ港湾施設の混雑に起因する滞船コストの発生や設備トラブルによる影響を大きく受けました。FIT制度により、電力の販売価格が固定化されているため、コスト上昇分を価格転嫁できず、年度を通じて厳しい状況で推移しました。なお、2023年1月18日付をもって、当社が保有するエア・ウォーター&エネルギア・パワー山口㈱の株式を中国電力㈱に譲渡しました。これにより、同社は中国電力㈱の完全子会社となり当社の連結子会社ではなくなりました。

 

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

デジタル&インダストリー

149,949

138.3

エネルギーソリューション

16,817

128.8

ヘルス&セーフティー

50,137

114.3

アグリ&フーズ

98,916

109.1

その他

53,381

102.8

合計

369,202

119.9

 

(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

 

② 受注状況

製品のほとんどが見込生産であります。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

デジタル&インダストリー

342,549

118.6

エネルギーソリューション

91,919

108.8

ヘルス&セーフティー

235,992

108.5

アグリ&フーズ

152,069

109.0

その他

182,382

115.1

合計

1,004,914

113.1

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

(資産の部)

総資産は、営業債権及びその他の債権の増加などにより前連結会計年度末に比べて696億1千3百万円増加し、1兆916億4千5百万円となりました。

 

(負債の部)

負債は、社債及び借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて429億8千8百万円増加し、6,451億6千2百万円となりました。

 

(資本の部)

資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の積み上げなどにより前連結会計年度末に比べて266億2千5百万円増加し、4,464億8千2百万円となりました。

以上の結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度の1,744.42円から1,892.36円に増加しております。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度の38.7%から39.4%となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率は前連結会計年度の11.5%から9.7%となっております。

 

(3)キャッシュ・フロー

① 資本政策の基本的な考え方

当連結会計年度は設備投資の厳選、投資有価証券の売却に取り組み、フリーキャッシュ・フローの創出を意識した経営を行ってまいりました。2010年度からグループ全社を挙げて取り組んできた「売上収益1兆円」を当連結会計年度に達成し、今後はこれまで以上に投資効率や財務バランスを意識し、運転資本の効率化を推進することで営業活動によるキャッシュ・フローの創出に取り組んでまいります。

中長期的には積極投資の回収が進むことに加え、事業規模の拡大からより収益性・効率性を重視した成長戦略を推進してまいります。親会社所有者帰属持分比率の向上とネットD/Eレシオの改善を目指し、安定的にフリーキャッシュ・フローを稼げる収益構造を構築していくことで、親会社所有者に帰属する当期利益の30%を配当性向の目標とし、安定的な配当を継続していくことを基本方針としております。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益及び減価償却費などから法人所得税の支払などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べ146億1千9百万円収入が減少し、569億5千3百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出が減少したものの、有形固定資産の取得による支出の増加や投資有価証券の売却による収入が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ179億8千万円支出額が増加し、711億3千5百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べて258億8千万円収入が増加し、192億5千7百万円の収入となりました。

 

(現金及び現金同等物)

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ63億9千万円増加し、659億4千4百万円となりました。

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度で売上収益1兆円を達成し、当社グループは大きな節目を迎えました。今後、中長期的に企業価値を高めていくために必要な成長投資の資金については、事業で創出されるキャッシュ・フローを充当し、不足する分は銀行借入或いは社債発行による負債調達を基本としております。

手元資金については、資金効率を重視し事業継続に必要な適正水準を維持する方針としております。

なお、資金の機動的かつ安定的な調達に向け、取引銀行3行との間に総額200億円のシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。

成長投資については、経済活動の停滞が長期化した局面に備えて十分な財務の安全性を維持するため、今後のM&A投資及び設備投資は、事業環境の変化を慎重に見極めながら厳選していきます。

株主還元については、配当性向の目標を親会社所有者に帰属する当期利益の30%を目安としており、中長期的な成長のための戦略的投資等に必要な内部留保の充実に留意しつつ、将来にわたって業績に見合った安定的な配当を行うことを基本方針としております。

 

 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

翌連結会計年度の事業環境については、インフレ抑制を目的とした諸外国の利上げに伴い、世界的な景気の下振れリスクが高まっております。さらに、製造業の先行指標となる半導体需要は、2023年半ばまで在庫調整の継続が見込まれるなど、今後の先行きに対する見通しは一段と不透明さを増しております。その前提に基づき、当連結会計年度において会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

① 非金融資産の減損

当社グループは決算日において、棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としており、資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、 当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等について一定の仮定を用いております。

これらの仮定は過去の実績や当社経営陣により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業戦略の変更や市場環境の変化等により影響を受ける可能性があり、仮定の変更が必要となった場合、認識される減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎決算日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。

当社グループは、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的なタックス・プランニングの検討に基づき繰延税金資産を計上しており、回収可能性の評価に当たり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、見積りは予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、認識される費用及び計上される資産に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。