株式会社HCSホールディングス

上場廃止 (2023/11/27) 株式等売渡請求による取得 上場日 (2021-06-24) 
ブランドなど:OutSystems
情報・通信業システムスタンダード

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E36660 Japan GAAP

売上高

45.9億 円

前期

47.8億 円

前期比

96.1%

時価総額

50.3億 円

株価

1,797 (11/24)

発行済株式数

2,801,500

EPS(実績)

56.59 円

PER(実績)

31.75 倍

平均給与

603.3万 円

前期

623.4万 円

前期比

96.8%

平均年齢(勤続年数)

51.7歳(14.8年)

従業員数

35人(連結:412人)


3【事業の内容】

  当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社HCSホールディングス)、連結子会社5社(注)及び関連会社1社により構成されており、情報サービス事業、ERP事業、デジタルマーケティング事業を主たる業務としております。

純粋持株会社である当社は、グループ経営戦略の策定、コーポレート・ガバナンスの構築、経営資源のグループ内最適配分などを行っております。

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

  当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。また、当該事業は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 (注)当社の連結子会社(孫会社)でありましたHCS Vietnam Co., Ltd. は、2022年11月7日に清算手続きを完了いたしました。

 

(1) 情報サービス事業

① システムインテグレーションサービス

 製造、運輸、公共、金融等の幅広い分野において、大手エンドユーザ系情報子会社や大手システムインテグレータ等の開発案件に主に2次請けとして参画しており、常駐型を中心に、主に業務ソフトウェアの設計・開発・保守及び運用サービスを提供しております。

 業務ソフトウェア開発においては、システム機能や入出力データの概要を決定する「基本設計」、システムの内部処理を設計する「詳細設計」、プログラムを作成する「製造・単体テスト」、各プログラムの連携を確認する「結合テスト」、システム全体機能や性能を確認する「総合テスト(システムテスト)」を行っております。また、システム稼働後は、安定稼働をさせるための「保守・システム運用」を行っております。

 当社グループでは、設備投資規模が大きい電力・航空・鉄鋼業のエンドユーザ系情報子会社を主要顧客としており、長年に亘る顧客企業との信頼構築や、これまでの経験で築き上げてきた業務知識を基に、継続的な取引をしております。

 また、クラウドサービス(注1)を利用したシステム開発支援として、Salesforce(注2)の導入・定着化や追加機能開発等を支援するSalesforce導入支援・開発サービスを提供しております。

 

当該サービスに携わる主な関係会社…㈱日比谷コンピュータシステム、㈱アイシス

 

② マスターファイルソリューションサービス

 当社グループの前身となるリッカー株式会社の電算センターにて、顧客管理を目的に住所マスターが開発され、1970年に同センターが子会社化される際に事業譲渡を受けた後、1972年より外販を開始いたしました。以来、当社グループでは、全国住所マスターである国土行政区画コードマスター及び関連製品・サービス等を提供しております。

 当社グループの住所マスターは、日本国内の各地区に9または12桁のコード(住所コード)を割り当て、各住所コードに地名や番地情報を付与したデータ集であります。当社は収集した住所変更情報を、該当する住所コードに付与された地名や番地に反映し、地名や番地を最新化した住所マスターを毎月お届けしております。

 住所は市町村の統廃合や区画整理などによって同じ場所でも地名や番地が変わりますが、お客様が自社の顧客管理システムに住所マスターを導入し、各顧客に該当する住所コードを割り当てておけば、以降は当社グループから届けられる最新の住所マスターに入れ替えるだけで、顧客住所の地名や番地を常に最新にメンテナンスしておくことができます。

※画像省略しています。

当該サービスに携わる主な関係会社…㈱オートマティゴ

 

③ プラットフォームソリューションサービス

 人手不足対策(ソフトウェア開発自動化)や環境問題(CO2排出量算定、輸送コスト削減)に資するソリューション等を提供しております。

 

a.OutSystems導入支援・開発サービス

ソフトウェア開発自動化については、米OutSystems社が提供するローコード開発(注3)プラットフォームであるOutSystems(注4)の導入支援・開発サービスを提供しております。当社グループでは、ビジネス環境の変化に対応するためシステム開発の生産性を高めたいお客様や、旧技術で構築された既存システムを新技術で刷新したいお客様等を対象に、OutSystemsを活用した高速開発の支援をしております。

 

b.CO2排出量算定支援サービス

CO2排出量算定では、GHGプロトコル(注5)に則り、CO2排出量の可視化および算定を支援しております。

 

c.Infor Nexus導入支援サービス

輸送コスト削減については、米Infor社が提供するグローバルサプライチェーンプラットフォームであるInfor Nexus(注6)の導入支援サービスを提供しております。当社グループは、世界有数のグローバルサプライチェーンプラットフォームであるInfor Nexusの国内初の導入パートナーであります。

 

当該サービスに携わる主な関係会社…㈱オートマティゴ

 

(2) ERP事業

① SAP導入支援・開発サービス

 当社グループは、SAPジャパン株式会社よりサービスパートナー認定を取得しております。大手コンサルティングファームや大手システムインテグレータ等からのSAP(注7)導入・保守案件に、主に2次請けとして参画しており、常駐型を中心に、独SAP社のERPソフトウェア(SAP ERP、S/4 HANA等)導入支援、カスタマイズ、アドオン開発(注8)、保守及び運用サービスを提供しております。

 ERPソフトウェアとは、調達・購買、製造・生産、物流・在庫管理、販売・受発注管理、人事・給与、財務・会計等の業務データを相互に参照・連携できるように各業務機能を共通のシステム基盤のもとに統合したソフトウェアです。ERPソフトウェアを導入することにより、部門間の業務連携が容易になり、調達・購買・生産・在庫・販売・請求・入金といった業務の流れを迅速化することができます。また、各部門の状況をリアルタイムに把握しやすくなるため、部門最適化による非効率を排して全体最適化を促したり、経営層の意思決定の精度向上などに資することが期待できます。ERPソフトウェアは1990年代半ばから国内で使われ始め、2000年代に入って国内での本格的な普及が始まりましたが、当社グループではこれらの需要に対応すべく1999年から本サービスを提供しております。

 本サービスの主な内容は以下の通りです。

 

a.SAP導入支援

 SAP導入プロジェクトにおけるコンサルタント業務(要件定義やFit/Gap分析(注9)、プロトタイプ構築・検証、業務フロー作成、テストシナリオ作成、テスト実施、ユーザー教育から本稼働サポートまで)や、SAP保守業務(ユーザー問合せ対応、調査、システム改修提案、実装からテストまで)を支援しております。

 

b.ERP開発支援

 SAPの導入・保守プロジェクトにおける周辺機能のアドオン開発や、アドオン部分のパフォーマンス調査・改善などテクニカル領域での開発支援を行っております。また、SAP周辺のWeb系開発等も行っております。

 

c.インフラ構築支援

 SAPの導入・保守プロジェクトにおけるシステム環境の構築・運用業務の他、ITインフラの維持・運用管理・構築に関わるさまざまな業務を支援しております。

 

当該サービスに携わる主な関係会社…㈱日比谷リソースプランニング

 

② リソースプランニングサポートサービス(RPSサービス)

 

a.リモート保守・運用サービス

 SAPシステム及び運用管理ツール等の保守・運用及びヘルプデスク業務について、当社グループのサポートセンター(RPSセンター)からリモートによる支援サービスを提供しております。お客様はシステム運用のために個別に技術者を抱えることなく、適宜必要なだけのリソースのみを利用する事でコストダウンを図ることができます。

 また、スポットでの構築・開発支援やユーザ業務支援なども併せて対応し、お客様リソースの効率的な管理・最適化に向けて幅広く支援しております。

 

※画像省略しています。

 

 

b.教育支援サービス

 当社グループのパートナー企業やSAP導入を検討するユーザー企業向けに、プログラミングに関する実践的なアドバイスや、Q&Aに対するサポート等、教育に関する支援サービスを提供しております。

 

当該サービスに携わる主な関係会社…㈱日比谷リソースプランニング

 

(3) デジタルマーケティング事業

① マーケティングソリューションサービス

 インターネットの普及により、情報流通量は飛躍的に増加しており、膨大な情報の中から自社の商品・サービスに関心を持つユーザー層を見つけ、最適な情報を提供することが、マーケティング上の大きな課題になっております。インターネットユーザーの多くは、Googleに代表される検索エンジンを利用して情報を探しておりますが、当社グループでは、これらのユーザーをお客様のWebサイトに効率良く集客し、商品購入や問い合わせ、会員登録等の成果に導くために、インターネット広告に関する広告プラン策定及び広告運用(主にGoogle、Twitter等へのディスプレイ広告掲載)等のサービスを提供しております。

 当社グループが提供するサービスでは、お客様から提示される広告の目的と予算に対して、広告プラン(広告効果の高いターゲット層の選定等)を策定し、広告配信の仕組みを持つ広告プラットフォームを通じて、各広告媒体(ニュースサイト等)に広告を配信しております。また広告配信後には、インターネット閲覧者(厳密にはWebブラウザー(注10))が、お客様のWebサイトにどの広告から来訪し、どのページやコンテンツを閲覧した後、Webサイト上での商品購入や問い合わせ等のコンバージョン(注11)に至っているか(または至らなかったか)等を分析し、分析結果を基にターゲットユーザー層、お客様Webサイト設計、広告素材、広告配信先、入札額等の広告プランの見直しを行ないお客様に提案しております。このように当サービスでは、データドリブンマーケティング(注12)を導入し、データ分析に基づいたPDCAサイクル(Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(改善))を繰り返すことにより、広告効果の向上を図っております。

 なお、当社グループは、インターネット広告に関する広告プラン策定及び広告運用を主な業務範囲としておりますが、広告効果の分析や広告配信の指定は、広告プラットフォームを通じて行なっております。従いまして、当社グループが個別の閲覧履歴データを取得することはなく、個人を特定する情報を得ることもございません。

 

※画像省略しています。

 

当該サービスに携わる主な関係会社…㈱ビジー・ビー

 

② パッケージソリューションサービス

 点検・検査報告書作成アプリケーションである「点検エース」の開発・販売をしております。本製品は紙の報告書をタブレットPCに置き換えるために開発されたソフトウェアであり、紙媒体の利用が多かった検査報告書の作成業務を電子化することで、作業の効率化を実現する製品であります。また、本製品はExcelアドインソフト(注13)であるため、Excelで作成された報告書フォーマットをそのまま利用することが可能であります。その他、本製品から取得したデータを統合・可視化することで、今まで見えなかった気づきの発見によるお客様ビジネスの改善等に活用することができます。

 

当該サービスに携わる主な関係会社…㈱ビジー・ビー

 

〔用語説明〕

 

(注)1.クラウドサービス

 「クラウド」はクラウドコンピューティングの略称です。ソフトウェア、データベース、サーバーおよびストレージ(データ記憶領域)等のコンピュータ資源を、インターネット等の通信ネットワーク経由で、必要に応じてサービスとして使う利用形態を指します。

 

  2.Salesforce

 米国Salesforce社が提供しているクラウドサービスプラットフォームであります。元々は顧客管理を主とするプラットフォームでしたが、IT企業の買収や技術投資によって、企業システムの開発を担えるだけのプラットフォームとして成長しつつあります。

 

  3.ローコード開発

 手作業によるコードの記述を最小限に抑えることにより、アプリケーションを高速開発する手法であります。画面部品やロジック(処理手続き)部品を組み合わせることによって、開発作業を自動化・省力化します。

 

  4.OutSystems

 米OutSystems社が提供するローコード開発プラットフォームであります。ソースコードを手作業で書くことなく、ビジュアルなモデルで、ワークフロー、画面、データ、ロジック(処理手続き)を定義することにより、最小限のコード記述(ローコード)でアプリケーションソフトウェアを自動生成することができ、これにより高速開発を実現することができます。また、生成した各アプリケーションの依存関係が分析できることからシステムの保守性にも優れている他、外部システムとの連携も容易に行うことができます。

 

  5.GHGプロトコル

 温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の排出量を算定・報告する際の国際的な基準であります。GHGプロトコルイニシアチブという国際機関から公表され、現在、温室効果ガス排出量の算定と報告の世界共通基準となっています。

 

  6.Infor Nexus

 米Infor社が提供するクラウドベースのグローバルサプライチェーンプラットフォームであります。同プラットフォームを活用する企業は、プラットフォームに参加しているサプライヤやメーカー、3PL(※)、銀行等、サプライチェーンにおける関係企業を自社と繋げることで、企業間のデータが連携され、企業間取引を可視化することができます。これにより、グローバルサプライチェーンでの輸送コスト、輸送リードタイムの短縮、在庫の削減を実現し、顧客サービス及び収益の向上を図ることができます。

※3PL…サードパーティ・ロジスティクスの略称であります。荷主企業に代わって最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、それを包括的に受託し実行する事業者のことを指します。

 

  7.SAP

 ドイツのERPパッケージベンダーであり、日本におけるERPシステムのシェアとしては最大手ベンダーの一社です。当社グループのERP事業では、SAP社のERPシステムである「SAP R/3」と、その後継製品である「S/4 HANA」について、導入支援・保守運用を主に手掛けております。なお、SAPジャパン株式会社は独SAP社の日本法人であります。

 

  8.アドオン開発

 ソフトウェアの機能を拡張するための開発のことを指します。

 

  9.Fit/Gap分析

 お客様の業務とソフトウェアの機能との適合部分(Fit)と乖離部分(Gap)を調査し、アドオン開発が必要な機能の洗い出しを実施することを指します。

 

  10.Webブラウザー

 Webページを閲覧するためのアプリケーションの総称で、主な種類として、Google Chrome、Safari、Microsoft Edge、Firefox等があります。広告プラットフォームでは、各端末(PC・スマートフォン等)で使用されるWebブラウザーを個別ユーザーとして認識し、各Webブラウザユーザーの閲覧履歴データが収集されております。

 

  11.コンバージョン

 商品購入、問い合わせ、資料請求、会員登録等、目標とされる成果が達成されることを意味します。

 

  12.データドリブンマーケティング

 マーケティングにおける意思決定や戦略の立案、実行、振り返り等をデータに基づき行うマーケティング手法です。本手法を導入することにより、属人的な判断ではなく客観的なデータに基づき、関係者の共通認識として明確に判断できるようになることが大きなメリットです。

 

  13.Excelアドインソフト

 ExcelとはMicrosoft社が提供する表計算ソフトであります。また、アドインとは一般的に『プログラムに拡張した機能を追加装備させる』という意味のことを指します。したがって、ExcelアドインソフトとはExcelに追加装備するソフトウェアのことを指します。

 

 

 

〔事業系統図〕

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

              無印 連結子会社   ※ 関連会社で持分法適用会社

 

23/06/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より「経営成績等の状況の概要」における金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて334百万円減少し2,174百万円となりました。これは主として、その他に含まれる未収還付法人税等の増加による一方で、現金及び預金、売掛金及び契約資産、貯蔵品並びにその他に含まれる前払費用の減少によるものであります。

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて117百万円増加し2,340百万円となりました。これは主として、のれん、無形固定資産のその他に含まれるソフトウエア及び繰延税金資産の減少による一方で、建物(純額)及び投資有価証券の増加によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて225百万円減少し783百万円となりました。これは主として、買掛金、1年内返済予定の長期借入金、未払法人税等、賞与引当金及び役員賞与引当金の減少によるものであります。

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて21百万円減少し49百万円となりました。これは主として、長期借入金の減少によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べて30百万円増加し3,680百万円となりました。これは主として、資本剰余金が期中に取得した自己株式の消却により減少、利益剰余金が剰余金の配当により減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化により景気は緩やかな持ち直しの動きが見られました。しかしながら、先行きにつきましては、ロシアのウクライナ侵攻による世界情勢不安や、日米欧における労働需給ひっ迫に起因したインフレ圧力と金融引き締めによる景気減速の懸念等、不透明な経済状況が続いております。

 当社グループが属する情報サービス業界におきましては、企業の生産性向上を目的とした業務の自動化・省力化やデータ活用、事業変革推進に向けたクラウド移行やローコード開発等による旧来の基幹システムの刷新シフト等、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域における企業のIT投資需要は引き続き底堅く、増加基調を維持しております。一方、円安や原材料価格の高騰による仕入コスト増加等で収益悪化の影響が出ている企業においてはIT投資抑制の動きが懸念されます。

 このような状況下、当社グループにおきましては、情報サービス事業やERP事業における既存事業では安定的に収益を確保するとともに、クラウド案件やローコード開発案件、デジタルマーケティング支援案件等のDX領域の拡大に努めてまいりました。

 しかしながら、情報サービス事業においてスキル転換等の人材育成が計画通りに進捗しなかったことや開発案件にてプロジェクト計画の変更・保留等が発生したほか、ERP事業では協力会社からの要員調達が計画通りに進捗せず、デジタルマーケティング事業では第3四半期から主要取引先との取引大幅縮小発生により、当初業績予想を下方修正いたしました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,592百万円(前年同期比3.9%減)、営業利益は241百万円(同41.8%減)、経常利益は293百万円(同37.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は158百万円(同54.4%減)となりました。

 

 セグメント別の概況は、次のとおりであります。

 

(情報サービス事業)

 ソフトウェア開発業務では電力案件や金融案件等の売上が増加し、Salesforce等のクラウド関連案件、CO2排出量算定案件、マスタ―関連業務につきましても売上は増加いたしました。また、OutSystems等のローコード関連案件につきましては、一部の案件においてプロジェクト計画の見直し等が発生した結果、売上は前年並となりました。

 以上の結果、売上高は2,815百万円(前年同期比1.5%増)となりました。利益面では、人材育成関連費用の増加等により、セグメント利益は546百万円(同7.7%減)となりました。

 

(ERP事業)

 SAP導入支援・開発業務では、業務系(会計・ロジスティクス等)開発案件及びインフラ系案件ともに売上は増加いたしました。また、RPS(リソースプランニングサポート)業務につきましても売上が増加いたしました。

 以上の結果、売上高は1,294百万円(前年同期比5.8%増)、セグメント利益は416百万円(同2.4%増)となりました。

 

(デジタルマーケティング事業)

 デジタルマーケティング支援業務では、主要取引先の方針変更の影響を受け、第3四半期後半より同社との取引が大幅に縮小し、売上が減少いたしました。また、フィールド業務向けパッケージにつきましては、売上は微増となりました。

 以上の結果、売上高は481百万円(前年同期比38.2%減)、セグメント利益は32百万円(同71.9%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて222百万円減少し1,510百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により得られた資金は192百万円(前年同期は371百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益298百万円、減価償却費90百万円及び売上債権の減少額127百万円があった一方で、仕入債務の減少額91百万円及び法人税等の支払額195百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により支出した資金は231百万円(前年同期は63百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出74百万円及び投資有価証券の取得による支出151百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により支出した資金は183百万円(前年同期は374百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出48百万円、自己株式の取得による支出48百万円及び配当金の支払額87百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループの事業は、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

情報サービス事業

2,815

1.5

ERP事業

1,294

5.8

デジタルマーケティング事業

481

△38.2

合計

4,592

△3.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

NECパーソナルコンピュータ株式会社

582

12.2

3.当連結会計年度におけるNECパーソナルコンピュータ株式会社の販売実績は総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 また、当連結会計年度より「経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」における金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断して行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたっては、特に重要と判断している会計上の見積りは以下のとおりであります。

a.のれん

 当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。

 また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。

b.投資有価証券

 持分法を適用した関連会社を除く投資有価証券は、すべて市場価格のない株式等であるため、取得原価で連結貸借対照表に計上しております。当該株式の実質価額が著しく低下したときは、出資先企業の業績や事業計画等を基に回復可能性の判断を行った上で、回復する見込みがあると認められない場合、当該連結会計年度において投資有価証券の減損処理を行う可能性があります。

c.繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産の回収可能性については、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積もりに依存するため、その見積もりを前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績の分析

当社グループでは経営戦略としてDX推進に向けた下記の事業展開方針を掲げております。

・既存ビジネスでの収益の確保

・DX関連ビジネスの推進

この方針に従って事業を推進した当連結会計年度の経営成績の分析は以下の通りであります。

 

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は4,592百万円となり、前連結会計年度(4,779百万円)と比較して186百万円減少(前年同期比3.9%減)となりました。これは主にデジタルマーケティング事業の売上が減少したためであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 売上原価は、前連結会計年度に比べ69百万円減少し、3,023百万円(同2.3%減)となりました。これは主に外注費の減少によるものであります。

 売上総利益は、前連結会計年度に比べ117百万円減少し、1,568百万円(同6.9%減)となりました。これは主に売上高が減少したためであります。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ56百万円増加し、1,327百万円(同4.4%増)となりました。これは主に人材育成関連費用及び情報システム関連費用の増加によるものであります。

 営業利益は、前連結会計年度に比べ173百万円減少し、241百万円(同41.8%減)となりました。これは主に売上高が減少したためであります。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 営業外収益は、前連結会計年度に比べ19百万円減少し、105百万円(同15.8%減)となりました。これは主に持分法による投資利益及びその他に含まれる助成金収入の減少によるものであります。

 営業外費用は、前連結会計年度に比べ14百万円減少し、53百万円(同21.9%減)となりました。これは主に上場関連費用及びソフトウエア除却損を前期に計上したことによるものであります。

 その結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ178百万円減少し、293百万円(同37.8%減)となりました。

 

(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純利益)

 特別利益は、前連結会計年度に比べ45百万円減少し、6百万円(同87.2%減)となりました。これは主に持分変動利益の減少によるものであります。

 特別損失は、前連結会計年度に比べ0.9百万円減少し、1百万円(同34.4%減)となりました。これは主に関係会社清算に伴う特別損失計上額の減少によるものであります。

 その結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ222百万円減少し、298百万円(同42.8%減)となりました。

 

(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税等合計は、前連結会計年度に比べ23百万円減少し、134百万円(同14.9%減)となりました。

 また、非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ10百万円減少し、5百万円(同65.7%減)となりました。

 その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ189百万円減少し、158百万円(同54.4%減)となりました。

 

(b) 財政状態の分析

 財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

(c) キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(d) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの運転資金については、原則として営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する方針でありますが、必要に応じて、季節資金(賞与等)等は金融機関からの借入で調達し、当社グループの収益基盤拡大に向けたM&A等による投資資金は、市場動向等を総合的に判断して調達方法を決める方針であります。

 なお、当社グループの2023年3月末における長期の銀行借入は26百万円であり、株式取得資金となっております。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,510百万円となっており、経営に必要な資金は十分に確保しております。

 

(e) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。事業環境、事業内容、事業運営体制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部監査体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

(f) 経営戦略の現状と見通し

 経営戦略の現状と見通しにつきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(g) 経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループは、『私達はICTを人間の良きパートナーとして活用し、日本の「少子高齢化・人口減少」「環境・資源問題」などに取り組み、「課題解決先進国ニッポン」の持続可能な成長に貢献すると共に、その技術を世界に発信する。』を経営理念(ミッション)として掲げております。この経営理念(ミッション)のもと、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した課題に適切に対処していくことが必要であると認識しております。

 

③ 目標とする経営指標の達成状況

 目標とする経営指標は、営業利益、営業利益率、自己資本利益率(ROE)です。

 

回次

第6期

第7期

決算年月

2022年3月

2023年3月

営業利益

(百万円)

414

241

営業利益率

(%)

8.7

5.2

自己資本利益率

(%)

11.39

4.39

 

 営業利益は、デジタルマーケティング事業の減収により売上高が減少した結果、前年同期比41.8%減の241百万円となり、営業利益率は前年同期比3.4ポイント減の5.2%となりました。

 自己資本利益率(ROE)は、親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期比54.4%減となった結果、前年同期比7.0ポイント減の4.39%となりました。

 今期の経営指標数値は前期を下回りましたが、当社グループは、今後もこれらの経営指標の改善に向けて努めてまいります。