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最終更新:

E26813 Japan GAAP

売上高

117.7億 円

前期

127.7億 円

前期比

92.2%

時価総額

31.6億 円

株価

240 (04/25)

発行済株式数

13,160,300

EPS(実績)

-27.19 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

891.5万 円

前期

850.3万 円

前期比

104.8%

平均年齢(勤続年数)

41.5歳(8.0年)

従業員数

53人(連結:55人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、創業以来培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業と金融事業を展開しております。

当社グループのセグメントは、「再生可能エネルギー関連事業」、「電力取引関連事業」、「小売事業」、「アセット・マネジメント事業」、「ディーリング事業」の5事業に区分しております。

主要な関係会社の異動は、以下のとおりであります。

その結果、当社グループは、2023年3月31日付で当社及び連結子会社3社に加え、匿名組合4組合、投資事業有限責任組合1組合及び持分法適用関連会社2社(うち1つは匿名組合出資)で構成されており、当社グループの事業における各社の位置づけ等について、セグメントとの関連において示しますと、次のとおりであります。

 

(再生可能エネルギー関連事業)

当社および以下の子会社等で、主として再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行っております。

具体的な事業は以下のとおりです。

・開発済みの太陽光発電所の売電、保守・運用管理

・新たな太陽光発電所の開発及び地熱発電の事業化

・PPA(需要家と発電事業者が長期間の電力購入契約(Power Purchase Agreement)を締結することにより、

 初期投資不要で太陽光設備等を導入利用可能)を中心とした自家消費モデルの導入

・蓄電池事業

子会社: アストマックスえびの地熱株式会社

また、以下の匿名組合出資及び投資事業有限責任組合出資も当事業の連結の範囲に含めております。

① 株式会社八戸八太郎山ソーラーパークSouth(匿名組合)

② 合同会社あくとソーラーパーク(匿名組合)

③ くまもとんソーラープロジェクト株式会社(匿名組合)

④ 九州再生可能エネルギー投資事業有限責任組合

⑤ 合同会社GreenPower(匿名組合)

持分法適用関連会社: 合同会社新川、合同会社DAX(匿名組合)

 

(電力取引関連事業)

当社および連結子会社であったアストマックス・エナジー・サービス株式会社(以下、「AES社」という。)が推進しておりましたが、AES社の清算結了は2022年7月29日付で完了し、現在は当社が単独で主として以下の事業を行っております。

・電力の卸売り販売

・代行サービス(顧客管理、需給予測、需給管理、計画値提出、リスク管理、報告等)の提供

 

(小売事業)

当社および以下の子会社で、小売電気事業及びガス小売事業を行っております。

子会社: アストマックス・エネルギー株式会社

 

(アセット・マネジメント事業)

当社は、2022年8月に当社の持分法適用関連会社であったPayPayアセットマネジメント株式会社の当社保有全株式をアセットマネジメントOne株式会社に譲渡いたしました。

この結果、当事業は、当社及び以下の子会社にて、以下の事業を行っております。

・ベンチャー企業等に投資するベンチャーキャピタルファンド、学校法人等の基金の資産運用を担うファンド、

 再生可能エネルギーを中心とするエネルギー事業に関連する投資を行うファンド等の運用業務

子会社: アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社:適格機関投資家等特例業務

 

(ディーリング事業)

国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。

 

(その他事業)

当社は、2022年12月27日付で当社の連結子会社であった長万部アグリ株式会社(以下、「アグリ社」)の保有していた株式の77.27%のうち、67.27%を譲渡いたしました。この結果、アグリ社は第3四半期連結会計期間末において当社の連結の範囲から除外されました。なお、2023年1月31日付けで、5.00%の株式も地方創生関連の会社に譲渡し、当社の持ち分比率は5.00%となりました。

 

 

23/06/29

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において創業以来培ってきたノウハウを活用し事業を展開しております。

当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染第6波、第7波を経て、11月以降の第8波により感染者数が過去最高水準まで増加したものの、重症者の比率が低下したこともあり、経済社会活動の正常化は徐々に進んでおります。一方で、ウクライナ情勢の長期化などによるエネルギー価格を中心とする諸物価の上昇に対し、欧米のインフレ対策としての金利引き上げと内外金利差を背景に円相場では急激な円安傾向が続いておりましたが、2022年12月に日本銀行がイールドカーブコントロールにおける長期金利の上限に関し0.5%への引き上げを決定すると、一転して円は急騰する展開となりました。引き続き、為替・債券及び株式市場の変動に注視しなければならない状況にあると判断しております。

 

このような環境の中、当社は、2021年11月に策定した「中期ビジョン2025」において総合エネルギー事業会社への変革を加速させることを掲げ、戦略的投資と事業資産の入れ替え(選択と集中)を検討しておりました。その結果、当連結会計年度においては2社の株式譲渡を行いました。

一つめは、当社の持分法適用関連会社であったPayPayアセットマネジメント株式会社(以下、「PPAM社」という。)の当社保有全株式を2022年8月にアセットマネジメントOne株式会社(以下、「AM-One社」という。)に譲渡いたしました。譲渡先であるAM-One社は、PPAM社の更なる発展を目指す方針であり、本株式譲渡を行うことがPPAM社の今後の企業価値の更なる向上に資すると判断するとともに、本株式譲渡により得られる資本を総合エネルギー事業に直接かかわる事業に投下することが当社グループの株主価値の向上に寄与すると判断いたしました。

アセット・マネジメント事業のセグメントについては、引き続きアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)を中心としたベンチャーキャピタルファンド等の運用業務を行うことに加え、当社における他の総合エネルギー事業とのシナジー効果が期待される領域の事業展開等に重点を置く方針です。

二つめは、2022年12月27日付で、当社の子会社であった長万部アグリ株式会社(以下、「アグリ社」という。)の株式の譲渡であります。これは、前述のとおり「中期ビジョン2025」において、総合エネルギー事業会社への変革を図るべく、事業領域の選択と集中を行う旨を明らかにしたことで、アグリビジネス分野に関する注力度は、引き下げる方針としたため、そのような中で、当社がアグリ社の経営権を継続的に保有し、農場運営及びアグリ社の発展を目指すことは難しいとの判断によります。譲渡先は、北海道を拠点として、新千歳空港における店舗運営を含めた道産品の販売チャネルを有し、グループ内で農産物の生産も行う等、農業事業の拡大を目指す会社です。引き続きアグリ社は、譲渡先の会社及び同社グループ内における、地方創生の中核事業の一つとして、今後も発展を目指すこととなります。

 

当社は、「中期ビジョン2025」の目標に掲げております「総合エネルギー事業会社への変革」に向かって、事業構造と経営資源配分の見直し、コア事業向けの資金調達等を含め、着実な一歩を踏み出しております。今後はセグメント間の連携を一層強化し、引き続きグループ一丸となって総合エネルギー会社への変革に取り組んでまいります。

 

当連結会計年度のセグメントごとの経営環境は以下のとおりです。

再生可能エネルギーを取り巻く環境については、2021年度の事業用太陽光発電のFIT価格が11円(税抜)、2022年度は10円(税抜)となり、250kW以上の設備は、引き続き入札制度適用区分として定められております。また、2022年4月に、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が改正され、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する失効制度、市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度、源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度、再生可能エネルギーのポテンシャルを活かす系統増強等が示されました。

再生可能エネルギーの増加に伴い、電力需給バランスの維持及び電力安定供給の必要性から出力抑制が発令されており、当連結会計年度において当社グループが保有する青森県の発電所では通常制御が合計2回、熊本県の発電所では合計9回(前年同期間比19回減)となりました。なお、出力制御及び系統の運用の最適化から、オンライン制御事業者が出力制御を実施する代わりに、オフライン制御事業者が対価を支払う、経済的出力制御(オンライン代理制御)が九州電力管轄内で2022年12月から始まりました。それに伴い、当社グループが所有する熊本県の発電所において、制度開始以降継続的にオンライン代理制御が発生しております。

 

電力市場においては、天候不順や燃料市場の高騰、再エネ電源の増加による既存発電施設の運用コスト増加等により市場価格の変動リスクが高まっております。前連結会計年度から当連結会計年度にかけては、燃料価格が上昇したことから発電コストが上昇し、電力卸売価格が高騰、燃料費調整単価の上昇や電力小売価格の値上げ等で需要家の負担が増えると同時に、安価での販売による小売電気事業者の収支の悪化、事業撤退が相次ぎました。当連結会計年度は、ウクライナ情勢の悪化などの影響で高騰していた燃料価格が軟調に推移し、高値で推移していた電力卸売価格も2023年の年初より下落傾向にあることもあり、来年度の買いヘッジを目的とした電力取引が増えております。電力卸売価格が大きく変動する中、小売電気事業者や発電事業者の経営においては、電力価格の「リスク管理」の重要性が再認識されており、電力取引のヘッジニーズは高い状態が続くものと考えられます。

 

商品市場においては、前連結会計年度にウクライナ情勢を受けて大幅高となった原油価格及び貴金属価格は、当連結会計年度に入り、落ち着きを取り戻しやや軟調に推移しておりましたが、2023年3月以降欧米の銀行破綻及び金融システムへの懸念が続いたことにより、金価格は日々最高値を更新することとなりました。引き続きウクライナ情勢、世界的なインフレ傾向・金融政策を注視する必要があると考えます。

 

電力小売業界では、2021年度後半から2022年度にかけての電力スポット市場の高止まり傾向により、小売電気事業者を取り巻く環境は厳しさを増しております。電力スポット価格の高騰は、スポット市場からの電力調達を余儀なくされる小売電気事業者へ大きな打撃を与えており、2022年度においては、当該事業から撤退または倒産する企業や、新規契約の受付停止をする企業が相次ぎました。上昇する燃料費と電力料金の消費者の負担感は高まってきており、国は2023年1月から価格激変緩和事業として電気料金とガス料金の一部を補助金で負担する制度を開始しています。また冬の電力需給のひっ迫に備え、2022年12月~2023年3月に「節電ポイント」制度等を設ける小売事業者を通じて、国や自治体が節電特典を支給する対策を実行しました。

 

このような市場環境等のもと、当連結会計年度における経営成績は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

2022年3月
連結会計年度

2023年3月

連結会計年度

増減

増減率(%)

増減の主要因ほか

営業収益

12,769

11,774

△995

△7.8

①電力取引関連事業(△1,865)※2

②再生可能エネルギー関連事業(+7)

③小売事業(+734)

④ディーリング事業(+113)

⑤アセット・マネジメント事業(+22)

営業費用

12,241

12,525

283

2.3

電力仕入の増加(+121)

営業利益又は

営業損失(△)

527

△750

△1,278

 

 

経常利益又は

経常損失(△)

324

△857

△1,182

①投資有価証券売却益(+30)

②持分法による投資損失の減少(+79)

特別利益

21

613

592

①当社保有のPPAM社全株式を譲渡したことによる

特別利益(+575)

②補助金収入(+20)

特別損失

11

125

113

965.5

①投資有価証券の減損(+101)

②固定資産圧縮損(+20)

税金等調整前当期純利益又は税金等調整

前当期純損失(△)

334

△369

△703

 

法人税等合計

(※1)

206

△21

△228

 

非支配株主に帰属する当期純利益

1

10

9

794.9

 

親会社株主に帰属する当期純利益又は

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

127

△357

△485

 

 

※1 「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。

※2 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係る減少の要因については、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。

 

セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。

セグメント利益:ディーリング事業はセグメント利益。

セグメント損失:小売事業とアセット・マネジメント事業のセグメント損失は、前年同期間比減少。

        再生可能エネルギー関連事業のセグメント損失は、前年同期間比増加。

        電力取引関連事業は、<2 電力取引関連事業>に記載した押し下げ要因によりセグメント損失。

 

(セグメント別営業収益・セグメント損益)                          (単位:百万円)

 

 

2022年3月
連結会計年度

2023年3月
連結会計年度

増減

増減率(%)

再生可能エネルギー

関連事業

営業収益

635

671

36

5.7

セグメント損益

△11

△12

△1

電力取引関連事業(※3)

営業収益

11,502

9,823

△1,679

△14.6

セグメント損益

875

△537

△1,412

小売事業

営業収益

391

1,122

731

186.8

セグメント損益

△234

△196

37

アセット・

マネジメント事業

営業収益

148

170

22

14.9

セグメント損益

△159

△45

113

ディーリング事業

営業収益

343

457

113

33.1

セグメント損益

△45

33

79

その他(※1)

営業収益

23

14

△8

△37.7

セグメント損益

△19

△7

11

調整額

営業収益

△275

△485

△210

セグメント損益

△81

△92

△11

連結財務諸表計上額

営業収益

12,769

11,774

△995

△7.8

セグメント損益

324

△857

△1,182

 

※1「その他」は、地方創生事業など、現時点で事業セグメント化されていない事業を示しています。

※2 セグメント利益又は損失は、当連結会計年度の経常損益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。各事業に帰属する特別利益及び特別損失は含んでおりません。

※3 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係る減少の要因については、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。

 

<1 再生可能エネルギー関連事業>

当事業は主に当社及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は前述のとおりですが、当社は当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。現時点においては、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、発電及び電気の供給(発電事業)、維持・運営管理(O&M事業)を行っております。また、前述の経営環境にあるとおり、足元のエネルギー価格の高騰等を受け、PPA(需要家と発電事業者が長期間の電力購入契約(Power Purchase Agreement)を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入利用できるもの。)を中心とした自家消費モデルは今後も拡大していくと考えられ、当社も企業や自治体への展開に積極的に取り組んでおります。

 

(太陽光発電事業)

当事業が従事した完工済みの案件は合計31.4MWであり、今後着工する案件は以下の①のとおり、1か所、2.1MWになります。

再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない事業環境が引き続き想定されます。当事業では、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係るノウハウとネットワークに加え、小売事業部門と連携を取りながら潜在顧客の発掘とアプローチを行い、固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開を中心にマーケティングを行っております。また、並行して固定価格買取制度上のセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保、保有している既存発電設備について譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しつつ、FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換により、事業採算性の向上に取り組んでおります。

自社開発(建設中):

① 栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年5月完工予定

稼働後は当社が維持・運営管理(O&M事業)を行います。

自社開発(運転開始):

当連結会計年度に運転開始した案件はありません。

セカンダリー市場:

新たな案件についても精査を行っております。

ポートフォリオの入替:

当連結会計年度に入替を実施した案件はありません。

維持・運営管理(O&M事業):

当社が開発に携わった案件等16か所、合計29.5MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。後述のコーポレートPPA案件も順次締結予定です。

なお、2023年3月に当社グループが所有する栃木県の発電所において、ケーブルの一部盗難が発生いたしました。復旧工事及び復旧に要する費用及び本休業に伴う休業補償について、今後保険金の請求を行う予定です。

コーポレートPPA事業:

既に開示いたしましたとおり、当社は北海道山越郡長万部町と包括連携協定を締結し、「持続可能な街づくりと脱炭素化・再生可能エネルギー推進を同時実現することを目的とした事業」を協同で推進しており、本案件は当第4四半期連結会計期間に運転開始しております。この他、民間企業との案件が順次運転開始する予定となっております。

 

(地熱発電事業等)

当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。

宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016~2018年度に3本の調査井掘削を完了し、1号調査井及び3号調査井については自噴を確認、2号調査井については熱水資源の還元ゾーンとしての十分な能力を確認してまいりました。

この結果を受け、当社は、事業規模の計画拡大及び、最大49%までの範囲による第三者からの事業参画をより容易にすることを目的として、2019年5月に、新設分割により設立したえびの地熱社に、宮崎県えびの市における地熱開発事業の全てを承継させました。2020年3月には大和エナジー・インフラ株式会社とえびの地熱社との間で、事業収益の10%を分配する匿名組合契約を締結いたしました。匿名組合出資と損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。

その後、えびの地熱社では、2019年度助成事業として掘削した4号調査井についても自噴を確認しており、これまでの調査結果から計画規模を4.8MWに拡大し、発電所建設のための検討を進めております。また2021年3月には、JFEエンジニアリング株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結し、合計2回の匿名組合出資を受けました。損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。

なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、現行制度においては空き容量が無い状態が続いておりますが、2023年4月1日よりローカル系統におけるノンファーム型接続の受付が開始されるなど、系統利用の在り方については制度変更を含め様々な議論が進められているため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。

 

再生可能エネルギー関連事業では、出力抑制が前年同期間に比べて大幅に減少したことや、発電効率向上のためパネル洗浄を実施したこと等から営業収益は前年同期間比増加いたしましたが、地熱開発を含む発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しているほか、今年度より源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度が始まったことによる負担の増加、保険料の増加、さらに新機能開発部門で準備を進めている系統用蓄電池発電にかかる事業のコスト負担増等により営業費用も前年同期間比増加しました。

以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は671百万円(前年同期間比36百万円(5.7%)の増加)、12百万円のセグメント損失(前年同期間は11百万円のセグメント損失)となりました。

 

<2 電力取引関連事業>

当事業は、当社が推進し、小売電気事業者への電力取引の提供、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供を行っております。

電力取引については、顧客の電力調達及びヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が高まっていることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進し、変動率が高い相場展開の中、リスクを適切に抑制しながら取引を実行しております。

当連結会計年度においては、夏場に高騰していた電力卸売価格も燃料価格の軟調な地合いを受けて下落、年初以降、冬場及び来年度の小売電気事業者からの取引ニーズが増加いたしました。しかしながら電力卸売価格の水準は全般的に高く推移したことから、取引量は前年同期間比減少いたしました。小売電気事業者の事業継続に向けた電力調達及び価格リスクヘッジから電力取引のニーズは引き続き高く、価格が落ち着いてきている中、取引量は増加するものと考えております。

業務代行サービスについては、既存顧客へ安定したサービスの提供をしながら、引き続き新規取引先を増やすべく、電力取引のリスク管理コンサルティング等新メニューを加え顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。自治体、企業ともに電力を自社の電源を活用、調達する動きが増えており、当連結会計年度においては、新規サービス提供先を4件獲得しましたが、前述のとおり小売電気事業者の事業縮小、撤退の影響を受け、3件の取引先でサービス提供が終了となりました。

また、当社がコンサルタントとして開発に携わっている、日鉄ソリューションズ株式会社の電力リスク管理システム「エネファロス」の販売は、今年度から開始いたしました。

なお、当連結会計年度の電力取引関連事業の営業収益減少は以下の理由によるものです。

当連結会計年度末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引は時価評価の対象ではありませんが、当該取引をヘッジする目的で行う電力先物取引はデリバティブ取引として時価評価の対象となります。電力先物取引のうち、一部取引所では取引所の規定によって3カ月以上の期間のポジションは期末が近付いた段階で決済され、より短い期間の新たなポジションに分割されます。これに伴う決済損失75百万円(純額)と、当連結会計年度末を越えて限月を迎える電力先物取引の時価評価損158百万円(純額)は、当連結会計年度末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引と同一の会計期間に認識されないため、当連結会計年度の営業収益を押し下げ、電力取引関連事業のセグメント損失を増加させる要因となっております。一方、同様の理由で、当連結会計年度に受渡しが行われる電力現物先渡取引をヘッジする目的で行われた電力先物取引に係る前連結会計年度に認識された決済利益344百万円(純額)及び時価評価益82百万円(純額)は当連結会計年度の営業収益を押し下げ、電力取引関連事業のセグメント損失を増加させる要因となっております。

以上の結果、電力取引関連事業の当連結会計年度の営業収益は9,823百万円(前年同期間比1,679百万円(14.6%)の減少)となり、セグメント損失は537百万円(前年同期間は875百万円のセグメント利益)となりました。

 

<3 小売事業>

当事業は、当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下「AEKK社」)が推進しております。

当社は特別高圧・高圧市場の顧客へ電力販売を行い、AEKK社では個人を中心とする低圧市場の顧客へ電力とガスの販売を行っております。

 

(電力小売事業)

AEKK社では前連結会計年度に、固定料金の基本プランとして4つのプランのラインナップを揃え、また実質再生可能エネルギーによる電力を100%供給する「プラス・グリーン」を各基本プランにトッピングできるサービスを開始いたしました。

一方、前述の事業環境のとおり、小売電気事業者から撤退する企業や倒産する企業が続出している中、電力会社の切替えを希望する顧客も多く、顧客を増加させる好機であるものの、現在の市場状況下での新規顧客獲得は電力調達コストが高騰していることから逆ザヤによる採算悪化となるため、プランを限定して新規顧客獲得を行わざるを得ない状況となっております。AEKK社でも、2022年4月より基本プランの新規受付を停止し、2022年6月には既存顧客に対する基本プランの料金改定を発表しました。

このような状況の中AEKK社では、市場連動型プランでありながら市場価格と固定価格を自由に組み合わせることができる新プラン「フリープラン」の提供を2022年4月から開始いたしました。本プランは、特に太陽光発電や蓄電システムを導入し、家庭内のエネルギーマネジメントに興味のある顧客に適した、他社との差別化ができる当社独自の商品となっております。また、「フリープラン」と連携して自宅の家電をスマートフォン上のアプリでどこからでも制御できるスマートリモコンの機能と、自宅の電力使用量や太陽光発電の発電量を計測・分析できる機能を兼ね備えた「アストHEMS」の開発を終え、一般モニターの募集を2022年10月から開始いたしました。

特別高圧・高圧の電力市場では電力価格の高騰により、2022年度に入ってからみなし小売事業者を含む多くの小売事業者が顧客への供給契約の停止や撤退を進めた結果、電力供給を絶たれた多くの顧客は送配電事業者による最終保障契約に移行いたしました。その結果、送配電事業者は2022年9月より最終保障契約の値上げを発表し、実質的な市場連動型料金に変更しております。こうした動きもあり、特別高圧・高圧電力では市場連動型料金体系が従来に比べ一般的になってきた市場環境の下、2022年夏季より当社は特別高圧・高圧向けフリープランの営業に注力してまいりました。その結果、同プランの優位性が認知され、撤退する事業者の顧客引受や媒介店からの流入を中心とした新規顧客が急増いたしました。今後もサービスの拡充と知名度の向上に努め、早期の黒字化を目指して取り組んでまいります。

 

(ガス小売事業)

2021年1月より、AEKK社は当社のガス小売り取次店として、既存の電力顧客に対し電気とガスのセット販売を行っておりましたが、2022年10月以降は、AEKK社は当社の業務提携関係である株式会社グローバルエンジニアリングのガス小売り取次店として電気とガスのセット販売を継続しております。ガス小売取次営業の新規顧客推移は横ばいとなっておりますが、これは前述した当社特別高圧・高圧電力の営業が好調に推移していることから、当社経営資源を高圧電力営業に大きく配分していることに起因しております。

 

獲得した特別高圧・高圧の顧客への電力供給開始時期は2023年1月以降より徐々に本格化していることから、当連結会計年度における特別高圧・高圧事業の収益寄与は限定的でした。

以上の結果、小売事業の当連結会計年度の営業収益は1,122百万円(前年同期間比731百万円(186.8%)の増加)となり、196百万円のセグメント損失(前年同期間は234百万円のセグメント損失)となりました。

 

<4 アセット・マネジメント事業>

当事業は、当社とAFM社が推進し、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担う他、2020年3月から開始したファンドの運用業務も継続しております。2022年10月には、学校法人東京理科大学が支援する新たな再生可能エネルギーファンドの受託を開始しました。この新たな再生可能エネルギーファンドにおいては、当社の「中期ビジョン2025」でも重点課題となっている「地域の地産地消のための再エネ導入」を、産官学連携の力も活用して計ってまいります。AFM社が営業者として運用しているファンドは順調に運用資産を増加させており、当セグメントの営業収益に計上する運用報酬額は前年同期間比増加しております。

なお、冒頭に記載しましたとおり、当社は保有していたPPAM社の全株式を2022年8月にAM-One社に譲渡し575百万円の特別利益を計上しましたが、当社のセグメント損益は経常損益にて計算されていることから、当該特別利益はアセット・マネジメント事業のセグメント損益には反映しておりません。一方、2022年4~7月までのPPAM社の持分法による投資損失73百万円は営業外費用としてアセット・マネジメント事業のセグメント損益に含んで表示しております。

以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は170百万円(前年同期間比22百万円(14.9%)の増加、持分法適用関連会社のPPAM社の営業収益は含まず)となり、45百万円のセグメント損失(前年同期間は159百万円のセグメント損失)となりました。

 

 

<5 ディーリング事業>

当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。

当連結会計年度における原油市場の動きは、上期はウクライナ情勢等を受け高値で推移していましたが、下期は原油需要の減少懸念などから軟調な推移が続きました。上期に軟調に推移していた貴金属の価格は、下期は金融引き締め減速期待などから上昇しました。裁定取引の機会は、特にプラチナの取引が国内外取引所の値差の動きが激しい中、安定してプラスに貢献し、金や原油市場でも総じてコンスタントに裁定取引機会がありました。

また、AIを活用した分析やトレーディングシステムを開発し、為替やプラチナ等の取引において実稼働しております。

以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は457百万円(前年同期間比113百万円(33.1%)の増加)、セグメント利益は33百万円(前年同期間は45百万円のセグメント損失)となりました。

当事業では、今後も引き続き経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。

 

<6 新機能開発部門>

2021年4月に設置した「新機能開発部門」は、当社が推進する総合エネルギー事業の様々な領域において、当部門が中心となって各事業部門との連携を図り、DXの推進や新しいビジネスモデルを組み立てていくことを業務目的としております。AI活用による需給管理や、発電/供給サイドの事業と販売/需要サイドの事業のアグリゲート(集約化)及び、双方のマッチングによる新たなサービスを展開すること等、独自性の高いビジネスフィールドを考えてまいります。

当連結会計年度においても、AI等を活用した電力の需要予測や太陽光発電出力予測等の需給管理、リスク管理の高度化に取り組んでおります。 業務代行サービスを提供している既存顧客の電力需要予測及び太陽光発電出力予測に関して、AIによる予測精度向上を確認し、順次、自動システム化に取り組んでおり、電力需要予測及び家庭における太陽光発電の余剰売電予測のAIを活用したシステムは電力取引関連事業にて実稼働しております。今後は更なる精度向上を図りつつ適用社数を増加させていく計画です。

また、再生可能エネルギーのアグリゲート事業に必要な太陽光発電出力予測及び九州等のエリア全体の再生可能エネルギー発電出力予測や需要予測及びJEPX価格予測等、顧客の新しいニーズに対応したAI化にも取り組んでおります。

さらに、電力需給調整や再エネ価値向上等に資する系統用蓄電池(発電所併設型含む)による蓄電事業開発については、再生可能エネルギー関連事業と連携を取りながら候補地の選定等に積極的に取り組んでおります。

 

<7 その他(地方創生ほか)>

当事業は報告セグメントとして独立しておりませんが、事業の状況について説明いたします。

2017年11月に設立されたアグリ社は、北海道長万部町における「長万部町と東京理科大学との地方創生に係る包括的連携協定」を背景に、内閣府の助成を受けた産官学連携の「地方創生事業」の担い手として設立され、これまで先端技術を活用した先進的アグリビジネスの推進や、「働きがいのある」雇用の創出等に取り組んでまいりました。しかしながら冒頭に記載しましたとおり、当社は保有していたアグリ社の株式77.27%のうち、67.27%を2022年12月27日付で譲渡し、アグリ社は第3四半期連結会計期間末において当社の連結対象から除外されました。さらに5%を2023年1月に譲渡した結果、当社の持株比率は5%となりました。

 

上記、セグメント利益又は損失は当連結会計年度の経常損失と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,934百万円(前年同期間比10.8%増)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主として預り保証金の増加による収入(593百万円)、差入保証金の減少による収入(451百万円)等により、239百万円(前年同期は△442百万円)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主として投資有価証券の売却による収入650百万円)等により、259百万円(前年同期は△269百万円)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、主として長期借入金の返済による支出(長期借入れによる収入との純額は△137百万円)等により、△211百万円(前年同期は133百万円)となりました。

 

③ 営業収益の状況

a. 営業収益実績

当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

再生可能エネルギー関連事業

(千円)

570,185

1.4

電力取引関連事業

(千円)

9,444,763

△16.5

小売事業

(千円)

1,116,818

192.5

アセット・マネジメント事業

(千円)

170,416

14.9

ディーリング事業

(千円)

457,504

33.1

その他収益

(千円)

14,523

△38.0

 

合 計

(千円)

11,774,210

△7.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 当社グループのアセット・マネジメント事業、ディーリング事業は生産・受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。また、同様の理由で「主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」について記載をしておりません。

 

b. 太陽光発電所発電量実績〔再生可能エネルギー関連事業〕

以下の表は、当社グループが保有する太陽光発電所の発電実績を示したものです。

 

発電所数

パネル出力(MW)

発電量(kWh)

(調整量を含む)

オンライン

代理制御(注2)

調整電力量(kWh)

CO2削減効果

(kg-CO2)

(調整量含)(注1)

2022年4月

4

10.9

1,242,575

-

683,416

5月

4

10.9

1,298,553

-

714,204

6月

4

10.9

1,161,498

-

638,824

7月

4

10.9

1,091,907

-

600,549

8月

4

10.9

1,152,985

-

634,142

9月

4

10.9

1,122,581

-

617,420

10月

4

10.9

1,045,497

-

575,023

11月

4

10.9

858,584

-

472,221

12月

4

10.9

723,075

△2,350

397,691

2023年1月

4

10.9

723,912

△31,871

398,152

2月

4

10.9

795,431

△65,397

437,487

3月

4

10.9

1,098,959

 

604,427

合計

-

-

12,315,557

△99,618

6,773,556

 

(注) 1  環境省の制定する「CO2削減効果算定マニュアル」に基づき算出しています。

      CO2排出係数(代替値):0.55kg-CO2/kWh

(注) 2.オンライン代理制御とは、オンライン制御事業者がオフライン制御事業者の代わりに出力制御を行い、オフライン制御事業者がオンライン事業者に対価を支払う経済的出力制御のこと。オンライン代理制御による調整電力量はおよそ3か月後に判明します。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、連結営業収益は11,774百万円(前期比995百万円の減少)、営業費用は12,525百万円(前期比283百万円の増加)、営業損失は750百万円前期は527百万円の営業利益)、経常損失は857百万円(前期は324百万円の経常利益)となりました。

営業収益の減少は、電力取引関連事業の取引先である小売電気事業者の事業縮小等により取引量が前年比減少したことに加え、前掲の「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」に記載のとおり、電力先渡取引に対するヘッジ目的の取引に係る損益が、ヘッジ対象取引と同一期間に認識されないことによる影響によります。その他の4事業の営業収益はそれぞれ前年比増加いたしましたが、電力取引関連事業の減少が大きく、全体としては前期比減少となりました。

営業費用の増加は、主に小売電気事業にかかる電力の仕入が増加したことによります。

PPAM社の全株式譲渡による575百万円とPPA事業にかかる補助金収入20百万円の特別利益と、投資有価証券の減損処理による101百万円とPPA事業にかかる固定資産圧縮損20百万円の特別損失により、税金等調整前当期純損失は369百万円(前期は334百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。法人税等合計は△21百万円(前期比228百万円の減少)、非支配株主に帰属する当期純利益は10百万円(前期比9百万円の増加)となったことから、親会社株主に帰属する当期純損失は357百万円(前期は127百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

自己資本は2022年3月期末の5,601百万円から5,201百万円と400百万円減少し、純資産は5,763百万円となりました。

 

再生可能エネルギー関連事業では、当連結会計年度は、ポートフォリオの入替を目的とした保有する太陽光発電所の設備の譲渡等は無く、保有する太陽光発電所の売電収入や管理する太陽光発電所の維持運営報酬等が主な収入となり、営業収益は前年比5.7%増加となりました。営業費用については、従来より、地熱開発を含む発電所の開発に係るコストを負担しておりますが、当連結会計年度においては、太陽光発電システムの廃棄費用積立制度の開始や、調査費用の増加、また、新機能開発部門で準備を進めている系統用蓄電池事業のコスト負担増等により、結果として、12百万円のセグメント損失となりました。

2014年度から着手している宮崎県えびの市で進めている地熱発電事業は、2026年度の事業化に向けて、匿名組合契約を締結いたしましたパートナー企業である大和エナジー・インフラ株式会社様とJFEエンジニアリング株式会社様と共に、引き続き協働をしております。発電規模を2MWから4.8MWに拡大した分の連系につきましては、2023年4月1日より、ローカル系統におけるノンファーム型接続の受付開始が予定されるなど、系統利用の在り方につきましては、制度変更を含め、様々な議論が進められている状況ではありますが、今後の動向を確認しながら、引き続き系統確保に向けての取り組みを進めております。

 

電力取引関連事業では、上記、全体の営業収益の減少要因として記載した背景等により営業収益が前期比1,679百万円減少し、537百万円のセグメント損失となりました。

 

小売事業では、電力の新料金プラン「フリープラン」の販売を開始し、特高・高圧需要家様向けの販売が順調に伸び、期末時点での契約件数は400件超となりました。実際の供給開始は契約締結後、一定のタイムラグを経て始まるため、当期への収益貢献は限定的であり、2023年3月期も通期ではセグメント損失となっておりますが、営業収益は前年比186.8%増加いたしました。

本事業は本年3月には単月黒字を達成しており、2024年3月期における通期黒字化達成に向け、さらなる顧客獲得を目指し、引き続き積極的な事業展開を進めてまいりたいと考えております。

 

アセット・マネジメント事業は、ファンド運用業務の新規受注などにより、営業収益は前連結会計年度比14.9%増加しました。利益面では持分法適用関連会社による損失が7月までとなったことから、セグメント損失は前期比113百万円改善し、45百万円のセグメント損失となりました。

 

ディーリング事業は、プラチナの取引が国内外取引所の値差の動きが激しい中、裁定取引の機会が多く収益に貢献しました。金や原油市場でも総じてコンスタントに裁定取引機会がありました。

営業収益は前連結会計年度比33.1%増加し、33百万円のセグメント利益となりました。

 

なお、当連結会計年度の経営成績と事業の種類別セグメント情報の詳細やその背景となる当社を取り巻く環境等につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下の事項であると考えております。

(再生可能エネルギー関連事業)

引き続き積極的に経営資源を投入し、太陽光発電事業の更なる拡大と地熱発電事業等への取り組みを継続しております。FIT制度からFIP制度への移行が進む中で、新しい取り組みとして、電力の自家消費モデルを企業や、自治体へ展開していくことに取り組んでおります。これは、需要家と発電事業者が、長期間の電力購入契約を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入することが可能となるという、ひとつのモデルとして、脱炭素化への貢献につながるものと考えております。

なお、同事業は、市場の変動の影響を受けにくい安定収益源として営業収益への貢献が期待できる一方で、「事業等のリスク」に記載の通り、不測の事態が生じた場合は、同事業の業績にマイナスの影響を与える可能性があります。

 

(電力取引関連事業)

同事業においては、国内における電力契約の切替ニーズの変化や小売電気事業者数の増減等が同事業の経営成績に影響を与える可能性があります。また、業務代行サービスを利用する顧客数及び顧客の取り扱う電力量や需給逼迫等による電力価格の高騰が経営成績に影響を与えることとなります。

 

(小売事業)

当事業では2022年度に電力の新料金プラン「フリープラン」の販売を開始し、秋以降、特高・高圧需要家様向けの販売が順調に伸び、期末時点で400件を突破いたしました。2024年3月期も各事業部門間の連携を一層強化し、当社サービスの認知によりさらなる特高・高圧の顧客獲得に努め、ひいてはPPA事業や電力取引の拡大に繋げていきたいと考えております。しかしながら想定以上に顧客の解約が発生する場合は経営成績に影響を与えることとなります。

 

(ディーリング事業)

ディーリング事業にとって、取引対象銘柄の出来高の大幅な減少や市場変動率の著しい低下(または、その反対に著しく急激な上昇)などの市場環境によって取引機会が減少する場合、同事業の業績は大きな影響を受ける可能性があります。また、2020年度に貴金属を中心とする銘柄は日本取引所へ移管が完了しましたが、東京商品取引所と大阪取引所の旧東京商品取引所銘柄を合算した日次出来高は前連結会計年度末の数字をやや下回っております。市場参加者の増加と市場流動性の向上を今後も期待するものの、現時点におきましては、減少後横這い傾向にあり、さらに市場参加者や市場の流動性が減少する場合は同事業の業績に影響を与える可能性があります。

 

 経営者の問題認識と今後の方針については、以下のとおりであります。

当社の経営者は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。

電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させるには、当社のトレーディング及びリスク管理ノウハウを生かしつつ新たなビジネスモデルの構築を早急に進めていく必要があり、加えて、当社は持続可能な社会の成長に資する脱炭素社会の実現を視野に、エネルギー資源の有効活用を図ると共に、効率的かつ利便性に優れたサービスの提供者になる必要があると考えております。このような考えの下、当社グループの事業領域における近未来のサービスの在り方をいち早く見極め、人財育成と確保、そして当社の事業展開を補完する事業パートナーの発掘を含め、スピード感をもって事業領域を広げると同時に深めるため、中期ビジョン2025「事業の進化と深化」の優先的に取り組む事項に沿って、事業を推進しております。

そのような中、2023年3月期は「事業の選択と集中」を進め、さらに、特高・高圧需要家向けの電力供給拡大や系統用蓄電池の事業化第1号に着手するなど「総合エネルギー会社」としての素地は出来つつあると考えております。2024年3月期は前期の流れをさらに拡大出来るよう、セグメント間の連系を強め全社一丸となって取り組んでまいります。

一方、当社の各事業に関連する事業の成果は、内外の金融商品市場、電力関連市場及び商品先物市場等の動向等の諸経済情勢の影響を大きく受けるものとなっております。このため、これらの市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力することは以前にも増して重要となっております。

業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(資産、負債及び純資産の状況)

当連結会計年度における総資産は、主にディーリング事業と電力取引関連事業に係る差入保証金の減少(462百万円)等により、12,942百万円(前年同期比1.4%減)となりました。

負債は、主に電力取引関連事業に係る1年内返還予定の預り保証金の増加(594百万円)等により、7,178百万円(前年同期比3.3%増)となりました。

純資産は、主に利益剰余金の減少(396百万円)等により、5,763百万円(前年同期比6.6%減)となりました。

 

(キャッシュ・フローの状況)

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,934百万円(前年同期間比10.8%増)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主として預り保証金の増加による収入(593百万円)、差入保証金の減少による収入(451百万円)等により、239百万円(前年同期は△442百万円)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主として投資有価証券の売却による収入650百万円)等により、259百万円(前年同期は△269百万円)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、主として長期借入金の返済による支出(長期借入れによる収入との純額は△137百万円)等により、△211百万円(前年同期は133百万円)となりました。

 

再生可能エネルギー関連事業における資金需要については、主としてプロジェクトファイナンスによって投資資金を確保することを想定しております。なお、手元流動性を超える資金需要の増加が見込まれる場合におきましては、銀行借り入れ等による財務活動を通じた資金調達も視野に入れております。

電力小売事業における資金需要については、手元流動性に加え、銀行借り入れにより確保いたします。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 (減損の認識)

当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に基づき、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

また、地熱発電開発事業に係る固定資産の評価に関する会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。