E04239 Japan GAAP
前期
1,959.4億 円
前期比
128.0%
株価
4,460 (04/25)
発行済株式数
23,970,679
EPS(実績)
1,151.53 円
PER(実績)
3.87 倍
前期
876.1万 円
前期比
122.5%
平均年齢(勤続年数)
39.9歳(13.8年)
従業員数
232人(連結:657人)
(1)当社グループは、提出会社(NSユナイテッド海運株式会社、以下当社という。)のほか子会社63社、関連会社3社及びその他の関係会社2社により構成されており、海運業及び海運附帯事業を主たる業務としております。
当該事業に係る当社並びに子会社及び関連会社の位置付けは次のとおりです。なお、事業区分は連結財務諸表に関するセグメントの区分と同一です。
当社:運賃、貸船料、運航手数料等を収受する外航海運事業を営んでおります。
子会社及び関連会社:
① 外航海運事業
・当社への外航船舶貸渡業を主とする会社(会社数47社)
NEW HARVEST S.A.、HIGHLAND MARITIME S.A.、HOSEI SHIPPING S.A. 他
・船舶管理業、海運仲立業等の海運附帯事業を行う会社(会社数7社)
NSユナイテッドマリンサービス㈱ 他
・運賃、貸船料、運航手数料等を収受する外航海運事業を主とする会社(会社数1社)
NS UNITED BULK PTE.LTD.
② 内航海運事業
・運賃、貸船料、運航手数料等を収受する内航海運事業を主とする会社(会社数9社)
NSユナイテッド内航海運㈱、NSユナイテッドタンカー㈱ 他
③ その他
・情報サービス業等を行う会社(会社数2社)
NSユナイテッドシステム㈱、NSユナイテッドビジネス㈱
(2)日本製鉄株式会社は当社のその他の関係会社であり、当社の事業上重要で、継続的な緊密関係にあります。
(3)以上について図示すると次のとおりです。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期における世界経済は、資源エネルギー価格の高騰や、世界的に進行したインフレに対する各国の金融政策転換により、先行きの不透明感が強まりました。このような状況下、当社におきましては、長期契約による安定収益に加え、期中に進行した円安にも支えられ、前期に続き2期連続で最高益を達成することができました。
外航海運事業において、ドライバルク市況は、当期前半は堅調に推移したものの、ゼロコロナ政策による中国経済の停滞や、新型コロナウイルス感染症に対する港湾の検疫体制が緩和され滞船の解消につながったことを背景に、船腹需給が緩み、当期後半は各船型において下落基調となりました。VLGC(大型LPG運搬船)市況は、米国からのLPG輸出量増加等が船腹需給を引き締め、総じて高水準で推移しました。
内航海運事業につきましては、長引く半導体の供給不足による自動車生産の停滞や、火力発電所の稼働率低下が貨物輸送量の下押し要因となりました。
燃料油価格につきましては、当期の平均消費価格(全油種)は、トン当たり上期約705ドル、下期約605ドル、期中平均で約655ドルと、前期比で約155ドル上昇となりました。また対米ドル円相場は日米金利差を背景に円安が加速し、上期平均130円83銭、下期平均138円50銭、期中平均で134円67銭と前期比23円17銭の円安となりました。
このような事業環境の下で、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ9億13百万円増加し2,757億84百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ183億3百万円減少し1,383億79百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ192億16百万円増加し1,374億5百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高2,508億25百万円(前年同期比28.0%増)、営業利益324億87百万円(前年同期比21.6%増)、経常利益334億44百万円(前年同期比25.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は276億3百万円(前年同期比17.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<外航海運事業>
ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、世界経済の回復への期待感から期初は堅調に推移し5月下旬には主要5航路平均用船料は3万ドル台後半に達しましたが、新型コロナウイルス感染症に対する検疫体制の緩和により、各港で船舶の停滞が解消され船腹供給が増加したことに加え、ゼロコロナ政策や不動産市況の低迷による中国経済の減速に伴い荷動きが鈍化したことで、夏場以降市況は軟調に転じました。さらに中国のゼロコロナ政策が解除された年明け以降も、主要鉄鉱石積地であるブラジルの雨期と重なり出荷が滞ったことで、市況は低迷を続ける結果となりました。このような状況下、当社では主要荷主の日本製鉄株式会社をはじめとする国内外顧客向け中長期輸送契約獲得により安定収益を確保するとともに、三国間配船の集荷に努めた結果、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。
パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、ロシア・ウクライナ情勢を背景に欧州向け石炭の輸送パターンが多様化したことによる輸送トンマイルの伸びや、インドの石炭輸入量が増加したことを受け、主要5航路平均用船料は5月に3万ドル超を記録しました。その後は、中国経済の減速による石炭・穀物の需要減に加え、南米の天候不良に起因した穀物出荷の遅れにより、船腹需給が緩んだことで2月に市況は7千ドル台まで下落しましたが、3月に入り穀物出荷が回復したことで上昇に転じました。このような状況下、当期後半の市況下落による影響を受けたものの、効率運航に努めたことで、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。
ハンディ型撒積船(2~6万重量トン型)市況は、当期前半は堅調に推移した一方、船腹需給を引き締めていた港湾の検疫体制強化という特殊要因の剥落、また世界的なインフレ拡大や中国のゼロコロナ政策により荷動きが鈍化したことで、軟調な推移となりました。このような状況下においても往航では主力貨物の一つである鋼材の荷動きが堅調に推移し、復航ではあらかじめ中長期契約の貨物を積極的に獲得していたことで安定収益を積み重ね、市況下落の影響を受けながらも当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。
近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、中国の経済活動の停滞により、主力の中国向け輸出鋼材の輸送量は前期比で減少となりました。また、当期後半には中国各港湾の滞船が解消され船腹需給が緩和されたことが市況下落要因となりました。このような状況下、高市況下で成約したバルク貨物輸送が収益を下支えするとともに、主に東南アジア向け鋼材とバルク貨物の往復航効率配船に努めたことで、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。
VLGC(大型LPG運搬船)は、全ての船舶が定期貸船契約に従事することにより安定収益を確保しておりますが、市況連動契約となっている一部の船舶についても、総じて市況が高水準で推移したことから、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。
以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は2,240億69百万円(前年同期比30.1%増)、セグメント利益(営業利益)300億82百万円(前期は249億35百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
<内航海運事業>
ドライバルクにつきまして、鉄鋼関連貨物では、長引く半導体不足に伴う自動車生産停滞から鋼材の輸送量は当初の計画を下回った一方で、鉄鋼原料の輸送量は堅調に推移し当初の計画を上回りました。またセメント関連貨物は、堅調な専用船の稼働に支えられ輸送量は当初の計画を上回りましたが、電力関連貨物につきましては、火力発電所の稼働率低下等を背景に輸送量は当初の計画を下回りました。
タンカーにつきまして、LNG輸送では新規航路における海上輸送の本格化が輸送量増加に寄与した一方で、LPG輸送は国内需要の減退に伴い輸送量が伸び悩みました。このような状況下、効率配船に努めたことで当初の計画を上回る収益を達成することができました。
以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は267億56百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益(営業利益)は24億27百万円(前期は17億72百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
<その他>
特記すべき事項はありません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、429億30百万円の収入(前年同期比100億49百万円の収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、19億58百万円の支出(前年同期は1億39百万円の収入)となりました。これは主に、船舶の取得による支出59億50百万円と船舶の売却による収入40億4百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、323億92百万円の支出(前年同期は299億15百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引195億34百万円の支出によるものです。
以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して90億49百万円増加し、402億64百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
自己資本比率(%) |
36.7 |
35.6 |
43.0 |
49.8 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
13.2 |
16.4 |
36.1 |
35.2 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
8.1 |
6.6 |
3.8 |
2.3 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
11.3 |
15.7 |
24.4 |
36.7 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期増減率(%) |
外航海運事業(百万円) |
224,069 |
30.1 |
内航海運事業(百万円) |
26,756 |
12.8 |
報告セグメント計(百万円) |
250,825 |
28.0 |
その他(百万円) |
- |
- |
計 |
250,825 |
28.0 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す
る割合は次のとおりです。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(百万円) |
比率(%) |
金額(百万円) |
比率(%) |
|
日本製鉄㈱ |
90,111 |
42.0 |
118,267 |
45.4 |
(注)上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。
また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。
なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等
a. 財政状態
当連結会計年度末における総資産は2,757億84百万円となり、前年度末比9億13百万円増加しました。このうち流動資産は主として現金及び預金の増加により141億57百万円増加しました。固定資産は主として船舶の減少により、132億44百万円減少しました。
負債合計は前年度末に比べ、183億3百万円減少の1,383億79百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金の増加により、18億76百万円増加しました。固定負債は主として長期借入金の減少により、201億79百万円減少しました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加、その他有価証券評価差額金の増加によるその他の包括利益累計額の増加等により、前連結会計年度末に比べ192億16百万円増加し、1,374億5百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の43.0%から当連結会計年度末は49.8%に増加しました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高2,508億25百万円(前年同期比28.0%増)、営業利益324億87百万円(前年同期比21.6%増)、経常利益334億44百万円(前年同期比25.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は276億3百万円(前年同期比17.0%増)と、前期に比べ増収増益となりました。
なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は約9割、内航海運事業の割合は約1割となっております。
セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
c. キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d. 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。外航海運市況は、当期前半は堅調に推移したものの、ゼロコロナ政策による中国経済の停滞や、新型コロナウイルス感染症に対する港湾の検疫体制が緩和され滞船の解消につながったことを背景に、船腹需給が緩み、当期後半は各船型において下落基調となりました。当社におきましては、長期契約による安定収益に加え、期中に進行した円安にも支えられ、前期に続き2期連続で最高益を達成することができました。燃料油価格は高騰する局面もありましたが、運賃への転嫁やヘッジ対応により影響は限定的となりました。
しかしながら、今後の地政学上のリスクや金融情勢などによっては事業環境が変化し、海上荷動きへの影響が懸念されます。当社ではかかる事業上のリスクに対し細心の注意を払い、事業運営を行って参ります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
a. 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。
当連結会計年度に実施した設備投資の総額は61億53百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は164億62百万円(既支払額37億59百万円を含む)であります。
b. 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船隊の整備を行っております。当年度末の有利子負債残高は1,007億87百万円となりました。
また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額90億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。
c. キャッシュ・フロー
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、営業利益・ROE(株主資本利益率)・ネットD/Eレシオ(実質負債資本倍率)の3つに着目しています。営業利益は事業収益の規模感の、ROEは株主資本に対しての収益効率性の、ネットD/Eレシオは財務健全性の目安としています。2022年度は通期営業利益325億円、ROEは21.6%となりました。また2022年度末時点での
ネットD/Eレシオは0.44倍となり、2023年度の目標水準である営業利益100億円以上、ROE10%以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下を2021年度に続き達成することができました。引き続き上記に掲げた中期経営計画の目標の継続的な達成に向けてグループ一丸で不断の取り組みを重ねて参ります。