E04502 Japan GAAP
前期
3.99兆 円
前期比
90.6%
株価
1,954.5 (04/26)
発行済株式数
758,000,000
EPS(実績)
531.85 円
PER(実績)
3.67 倍
前期
857.8万 円
前期比
99.2%
平均年齢(勤続年数)
43.8歳(21.5年)
従業員数
3,153人(連結:28,367人)
当社グループは,当社,子会社62社及び関連会社72社(2023年3月31日現在)で構成され,電気やガスなどを供給するエネルギー事業をコア領域として,国内事業で培ったノウハウを活かした海外エネルギー事業,電気事業に関連する設備の拡充や保全のための建設,資機材供給のための製造,不動産事業及び医療・健康といった生活関連事業など,さまざまな事業を展開している。
当社は,2019年4月1日付で,燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により㈱JERAに承継させ,2020年4月1日付で,当社が営む小売電気事業等を中部電力ミライズ㈱に,一般送配電事業等を中部電力パワーグリッド㈱に,権利義務を承継させた。
この体制の下,「ミライズ」,「パワーグリッド」,「JERA」の3つを報告セグメントとしている。
[ミライズ]
電力・ガスの販売と各種サービスの提供
[パワーグリッド]
電力ネットワークサービスの提供
[JERA]
燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売
当社及び関係会社の事業を「事業系統図」として示すと以下のとおりである。
※1 Balance Responsible Partyは,出資により,新たに連結の範囲に含めている。
※2 合同会社CR-01は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。
※3 中電テレメータリング合同会社は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。
※4 Chubu Electric Power Company Rupertiwinkel B.V.は,Chubu Global Investment B.V.に商号変更している。
※5 中電興業㈱は,中電クラビス㈱に商号変更している。
※6 ㈱エネワンでんきは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※7 中電ソザイテラス合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※8 豊富Wind Energy合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※9 ㈱Global New Energy Togoは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※10 境港昭和町バイオマス発電合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※11 合同会社FSPS八風は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※12 ㈱GDBLは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※13 OMC Power Private Limitedは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※14 中部ケーブルネットワーク㈱は,CCNet㈱に商号変更している。
※15 BRITANIA BANGNA KM.39 CO.,LTD.は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※16 秋田由利本荘オフショアウィンド合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※17 秋田能代・三種・男鹿オフショアウィンド合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※18 千葉銚子オフショアウィンド合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。
※19 ヴィーナスコーポレーション㈱,㈱キュービック,㈱サンタ,平野物産㈱,㈱Aria,有限会社栄角は,㈱ピカソを存続会社とする吸収合併に伴う消滅により,連結の範囲から除外している。
※20 トヨタグリーンエナジー有限責任事業組合は,清算結了により,持分法の適用範囲から除外している。
※21 合同会社フリートEVイニシアティブは,清算結了により,持分法の適用範囲から除外している。
※22 グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合は,清算結了により,持分法の適用範囲から除外している。
※23 ORIGIN KNIGHTSBRIDGE THEPHARAK CO.,LTD.は,株式譲渡により,持分法の適用範囲から除外している。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度におけるわが国経済は,新型コロナウイルスの影響が残る中,景気の緩やかな持ち直しの動きが継続した。一方で,世界的な金融引締めなどにより,景気の下振れが懸念されている。
燃料価格については,ウクライナ情勢や急激な円安進行などを背景として大幅に高騰した。足元ではピーク時から比較すると一時的に下落したものの,ボラティリティ(変動性)が高い状態が継続している。
このような中,当連結会計年度の収支状況について,売上高は,3兆9,866億円となり,前連結会計年度と比べ1兆2,815億円の増収となった。
経常損益は,651億円の利益となり,前連結会計年度と比べ1,244億円改善した。
(2) 生産,受注及び販売の状況
当社グループは,電力・ガスの販売と各種サービスの提供を行う「ミライズ」,電力ネットワークサービスの提供を行う「パワーグリッド」,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売を行う「JERA」等が,バリューチェーンを通じて,電気事業を運営している。
当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める電気事業のうち主要な実績を記載している。
(注) 1 発電電力量及び出水率は,中部電力㈱の実績を記載している。
2 出水率は,1991年度から2020年度までの30カ年平均に対する比である。
3 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。
ア 販売電力量及び料金収入
(注) 1 販売電力量及び料金収入は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。
2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。
3 料金収入には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づいて受領した電気・ガス価格激変緩和対策補助金収入56,343百万円を含む。
(注) 中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。
(注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。
イ 中部エリアの需要電力量及び料金収入
(注) 1 中部エリアの需要電力量及び料金収入は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。
2 料金収入は,接続供給託送収益(インバランスの供給に係る収益を除く)を記載している。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループに関する財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については,連結財務諸表に基づいて分析した内容である。
(1) 財政状態の分析
固定資産については,減価償却の進行はあったものの,設備投資などにより固定資産が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ537億円増加し,5兆2,884億円となった。
流動資産については,現金及び預金が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ2,266億円増加し,1兆1,666億円となった。
有利子負債が増加したことなどから,負債合計は,前連結会計年度末と比べ2,414億円増加し,4兆2,928億円となった。
配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する当期純利益の計上やその他の包括利益累計額の増加などから,純資産合計は,前連結会計年度末と比べ389億円増加し,2兆1,622億円となった。
この結果,自己資本比率は,31.9%となった。
〔資産・負債・純資産比較表(要旨)〕
(注) 億円未満切り捨て
(2) 経営成績の分析
中部電力ミライズ㈱の販売電力量は,他事業者への切り替え影響や,産業用電力の需要減などから,前連結会計年度と比べ65億kWh減少し1,024億kWhとなった。
なお,中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の合計の販売電力量は,前連結会計年度と比べ48億kWh減少し1,130億kWhとなった。
〔販売電力量〕
(注) 1 販売電力量は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。
2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。
〔参考1〕
(注) 中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。
〔参考2〕
(注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。
中部エリアの需要電力量は,夏季の気温影響による冷房設備の稼動増はあったものの,産業用電力の需要減や冬季の気温影響による暖房設備の稼動減などから,前連結会計年度と比べ31億kWh減少し1,243億kWhとなった。
〔中部エリアの需要電力量〕
(注) 中部エリアの需要電力量は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。
収支の状況については,売上高(営業収益)は,燃料費調整額(燃調収入)の増加などから,前連結会計年度と比べ1兆2,815億円増加し3兆9,866億円となった。
経常損益は,燃料価格の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差損が縮小したことや,中部電力ミライズにおける電源調達ポートフォリオの見直しなどによる市場価格高騰影響の抑制,調達コストを踏まえた販売活動の展開などから,前連結会計年度と比べ1,244億円改善し651億円の利益となった。
なお,期ずれを除いた連結経常利益は,1,560億円程度と,前連結会計年度と比べ890億円程度の増益となった。
また,独占禁止法関連損失275億円や子会社などにおける固定資産の減損損失142億円を特別損失に計上した一方,政策保有株式の一部を売却したことなどにより有価証券売却益453億円を特別利益に計上した。
この結果,親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度と比べ812億円改善し,382億円の利益となった。
当連結会計年度におけるセグメント別の業績(内部取引消去前)及び取り組みは以下のとおりである。
なお,㈱JERAは持分法適用関連会社のため,売上高は計上されない。
[ミライズ]
〔業績〕
電力・ガスの販売と各種サービスの提供に伴う売上高については,燃調収入の増加などから,前連結会計年度と比べ1兆626億円増加し3兆908億円となった。
経常損益は,卸電力取引市場価格の高騰はあったものの,電源調達ポートフォリオの見直しなどによる市場高騰影響の抑制や調達コストを踏まえた販売活動の展開などから,前連結会計年度と比べ1,483億円改善し648億円の利益となった。
〔当連結会計年度の取り組み〕
電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとのつながりをもとに,お客さまのくらしを豊かにするサービスや,ビジネス上の課題解決を実現するサービスの提供を進めている。
脱炭素社会の実現に向けては,「ミライズGreenでんき」によるCO2フリー電気のお届けやお客さまに初期費用やメンテナンス費用をお支払いいただくことなく,太陽光発電をご利用いただけるサービスの提供を通じて,再生可能エネルギーの普及・拡大と地産地消に貢献している。さらに,デマンドレスポンスサービス「NACHARGE」の提供を開始するなど,電気を効率的にご利用いただくための取り組みを拡充している。今後もお客さまと一体となって,脱炭素などの社会課題の解決に取り組んでいく。
また,燃料価格のボラティリティが高い中においても,お客さまに安定して電気をお届けするため,低圧の一部料金メニューの燃料費調整制度の変更や,特別高圧・高圧の標準料金メニューの見直しをさせていただいた。一方で,足元の燃料価格が標準料金メニューの見直し検討時に比べて低位で推移していることや,中部電力グループ全体で取り組んでいる経営努力を踏まえ,低圧のお客さまに対しては,省エネや脱炭素化,電気料金の負担軽減につながるキャンペーンなどを,特別高圧・高圧のお客さまに対しては,電気料金の負担軽減策を実施していく。
[パワーグリッド]
〔業績〕
電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,再生可能エネルギー特別措置法に基づく購入電力の卸電力取引市場への販売単価の上昇や,需給調整取引に係る収益の増加などから,前連結会計年度と比べ2,166億円増加し1兆1,161億円となった。
経常損益は,減価償却方法の変更による費用の減少に加え,効率化による費用削減や,需給バランス調整等を適切に実施するための調整力確保費用の低減に取り組んだことなどから,前連結会計年度と比べ218億円改善し70億円の利益となった。
〔当連結会計年度の取り組み〕
再生可能エネルギーの接続可能量の拡大に向けて,電力系統設備・運用の高度化に取り組むとともに,中部エリアの安定供給に必要な予備力・調整力の確保や,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備増強などを着実に進め,需給安定に努めている。また,「地域別電力需要予測」などを用いた分散型電源の最大限の活用や,送配電設備の合理化に取り組んでいる。
ネットワークの次世代化については,当初の予定通りスマートメーターの設置は完了し,今後は次の定期取替に向け次世代スマートメーターの導入検討を進めるとともに,引き続き新型電圧調整器の設置などを進めていく。
また,2023年4月より託送料金を改定したが,必要な投資を効率的かつ計画的に実施しながら,引き続きさらなる効率化に取り組むことで,託送料金の抑制に努めていく。
そして,2050年における目指す姿を掲げた中部電力パワーグリッドビジョンの実現に向け,脱炭素化に向けた取り組みの推進及び地域のニーズに寄り添ったサービスの展開により,地域の未来像実現に貢献できるよう努めていく。
[JERA]
〔業績〕
燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売に伴う経常損益は,燃料価格の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差損の縮小はあったものの,LNGスポット価格の高騰による収支の悪化などから,前連結会計年度と比べ239億円悪化し242億円の損失となった。なお,期ずれを除いたJERAによる連結経常利益への影響は670億円程度となった。
〔当連結会計年度の取り組み〕
燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めつつ,安定的な燃料調達などエネルギーの安定供給確保における重要な役割も担っている。
燃料制約や需給ひっ迫の回避に向けては,休止火力発電所の再稼働などを通じ,追加供給力の確保などに取り組むとともに,需給変化を迅速に捉え,㈱JERAの子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達により,安定的な燃料確保に努めてきた。
また,エネルギーの安定供給を確保しながら,2050年時点で国内外の事業から排出されるCO2を実質ゼロとするJERAゼロエミッション2050に向けた取り組みを進めている。
まずは発電時にCO2を排出しない燃料であるアンモニアの混焼技術の確立を目指し,碧南火力発電所4号機において,アンモニア20%混焼の実証実験に着手する。さらに,燃料アンモニアの製造や調達に向けた協業の検討を進めるなどサプライチェーン構築にも取り組んでいる。
(注) JERAゼロエミッション2050は,脱炭素技術の着実な進展と経済合理性,政策との整合性を前提としている。JERAは,引き続き,自ら脱炭素技術の開発を進め,経済合理性の確保に向けて主体的に取り組んでいく。
(目標とする経営指標の達成状況等)
当社は,2022年4月に中期経営目標として,「2025年度に連結経常利益1,800億円以上,ROIC3.0%以上」を設定しており,当連結会計年度における期ずれ影響を除いた連結経常利益は1,560億円程度,ROIC(期ずれ除き)は2.9%となった。
〔連結収支比較表〕
(注) 1 特別利益:当連結会計年度 有価証券売却益
2 特別損失:当連結会計年度 減損損失,独占禁止法関連損失
前連結会計年度 インバランス収支還元損失
3 内部取引相殺消去後(億円未満切り捨て)
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フローは,税金等調整前当期純損益が改善したことや,当連結会計年度に法人税等の還付があったことなどから,前連結会計年度に比べ2,741億円増加し2,957億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは,固定資産の取得による支出の増加はあったものの,政策保有株式の一部売却による収入があったことなどから,前連結会計年度に比べ650億円支出が減少し1,969億円の支出となった。
この結果,フリー・キャッシュ・フローは,前連結会計年度に比べ3,392億円改善し988億円の収入となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達による収入が減少したことなどから,前連結会計年度に比べ1,931億円減少し732億円の収入となった。
これらにより,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末と比べ1,723億円増加した。
資本の財源及び資金の流動性について,当社グループは,主に電気事業の運営上必要な設備資金を,社債発行や銀行借入等により調達し,短期的な運転資金は,主に短期社債により調達することを基本としている。
〔連結キャッシュ・フロー比較表(要旨)〕
(注) 億円未満切り捨て
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については,「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりである。
当社グループは,固定資産の評価,繰延税金資産,貸倒引当金,退職給付に係る負債及び資産,企業結合などに関して,過去の実績や当該取引の状況に照らして,合理的と考えられる見積り及び判断を行い,その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しているが,実際の結果は見積り特有の不確実性があるため,これらの見積りと異なる場合がある。
また,連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち,重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。