E04499 Japan GAAP
前期
2.85兆 円
前期比
138.6%
株価
2,308 (04/19)
発行済株式数
938,733,028
EPS(実績)
18.83 円
PER(実績)
122.55 倍
前期
820.8万 円
前期比
104.3%
平均年齢(勤続年数)
42.8歳(20.4年)
従業員数
8,474人(連結:31,628人)
当社および当社の関係会社は、電気やガス、ユーティリティサービスなどの多様なソリューションを通じて新たな価値を提供する「エネルギー事業」、中立・公平な立場で電気の安全安定供給を行う「送配電事業」、総合的な情報通信サービスを提供する「情報通信事業」および不動産関連サービスや生活・ビジネス関連サービスの提供を行う「生活・ビジネスソリューション事業」において事業展開している。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
<経営成績等の状況の概要>
当社グループは、「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」および「関西電力グループ2022年度計画」に掲げた諸施策について、総力を結集し、取り組んできたが、特別高圧電力および高圧電力の取引に関する独占禁止法違反や新電力顧客情報の不適切な取扱いによる電気事業法違反等のコンプライアンスに関わる不適切な事案が相次いでいることを極めて重く受け止めている。こうした中、当社は、2023年2月24日から5月12日までの間、能動的な営業活動を全面的に自粛し、業務運用やシステムの総点検、行為規制等の法令に関する理解とコンプライアンス意識の再徹底に向けた研修・教育に集中的に取り組んだ。
当連結会計年度の小売販売電力量は、需要数が増加したことなどから、1,116億kWhと前連結会計年度に比べて10.8%増加した。その内訳を見ると、「電灯」については、309億kWhと前連結会計年度に比べて4.4%減少した。また、「電力」については、807億kWhと前連結会計年度に比べて18.0%増加した。
収入面では、電灯電力料収入が増加したことなどから、売上高は3,951,884百万円と、前連結会計年度に比べて1,099,989百万円の増収(+38.6%)となった。
支出面では、徹底した経営効率化に努めたものの、原子力利用率の低下や為替・燃料価格の影響などにより火力燃料費が増加したことや、卸電力取引市場からの調達費用の増加などにより他社購入電力料が増加したことなどから、営業費用は4,003,940百万円と、前連結会計年度に比べて1,251,370百万円の増加(+45.5%)となった。
この結果、当連結会計年度の営業損失は52,056百万円と、前連結会計年度に比べて151,381百万円の減益、経常損失は6,666百万円と、前連結会計年度に比べて142,621百万円の減益となった。また、税務上の繰越欠損金について当期に繰延税金資産を計上したことなどにより法人税等が減少したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は17,679百万円と、前連結会計年度に比べて68,156百万円の減益(△79.4%)となった。
セグメントの経営成績(相殺消去前)は、次のとおりである。
(注) 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要は、次のとおりである。
<生産、受注及び販売の状況>
当社および連結子会社における生産、受注及び販売の実績については、その大半を占めるエネルギー事業のうち当社の数値を記載している。
(注) 1 自社の発電電力量については、送電端電力量を記載している。
2 火力発電電力量は、汽力発電電力量と内燃力発電電力量の合計である。
3 新エネルギー発電電力量は、汽力発電設備におけるバイオマスと新エネルギー等発電設備における太陽光による発電電力量である。
4 他社受電電力量と総販売電力量は、提出日(2023年6月29日)現在において把握している電力量を記載している。
5 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。
6 2021年度出水率は、1990年度から2019年度までの30カ年平均に対する比である。
2022年度出水率は、1991年度から2020年度までの30カ年平均に対する比である。
7 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。
8 発受電電力量の合計と総販売電力量の差は損失電力量等である。なお、第2四半期連結会計期間より発受電電力量の合計を、従来の小売販売電力量から総販売電力量に対応するよう見直している。
(注) 1 他社販売電力量と総販売電力量は、提出日(2023年6月29日)現在において把握している電力量を記載している。
2 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。
自社発電認可最大出力
主要燃料の受払状況
(注) 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。
<財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析>
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要がある。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)に記載している。
[エネルギー事業]
社会の変化に着実に対応すべく、「ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー」として、再エネの主力電源化や原子力の最大限活用、火力のゼロカーボン化、ゼロカーボン水素の活用も含めた電源のゼロカーボン化に取り組み、また、お客さまのゼロカーボン化を実現する最適なソリューションをご提案・ご提供するとともに、水素社会に向けた検討・実証にも取り組むなど、お客さまや社会のゼロカーボン化の実現に向けて当社グループのリソースを結集していく。また、安全・安定運転を大前提とした原子力7基体制の確立に加え、競争力のある電源ポートフォリオの構築、燃料調達や需給運用の合理化、DXを活用した状態監視保全の導入拡大等により、コスト構造改革を完遂し、中期経営計画で掲げた目標の達成に取り組む。加えて、エネルギー・環境分野での新たな市場を開拓し、多様なソリューションを通じた新たな価値のご提供を本格化させることで、さらなる収益の拡大を図る。
(業績)
収入面では、電灯電力料収入が増加したことなどから、外部顧客への売上高は3,109,708百万円と、前連結会計年度に比べて1,016,898百万円の増収(+48.6%)となり内部売上高を含めた売上高は3,462,114百万円と、前連結会計年度に比べて1,084,234百万円の増収(+45.6%)となった。
支出面では、徹底した経営効率化に努めたものの、原子力利用率の低下や為替・燃料価格の影響などにより火力燃料費が増加したことや、卸電力取引市場からの調達費用の増加などにより他社購入電力料が増加したことなどから、経常費用は増加した。
この結果、セグメント損失は27,405百万円と、前連結会計年度に比べて98,029百万円の減益となった。
(当連結会計年度の取組み)
原子力プラントについては、7基中、美浜発電所3号機、高浜発電所3、4号機、大飯発電所3、4号機の5基が運転を行っている。高浜発電所4号機は、2023年1月に制御棒挿入による中性子束急減に伴い原子炉が自動停止したが、原因を調査し必要な対策を講じた後、3月に運転を再開した。また、運転期間延長の認可を受けた高浜発電所1、2号機は、2023年度の運転再開に向け定期検査を継続している。なお、特定重大事故等対処施設については、美浜発電所3号機は2022年7月に、大飯発電所3号機は12月に、4号機は8月に運用を開始しており、高浜発電所1、2号機は、早期完成に向け引き続き最大限努力していく。
再生可能エネルギーの開発等については、国内においては、福島いわきバイオマス発電所およびパシフィコ・エナジー和歌山メガソーラー発電所は2022年4月に、南木曽吾妻発電所(水力発電)は7月に、播州メガソーラー発電所、秋田港および能代港洋上風力発電所は2023年1月に、相生バイオマス発電所は3月に営業運転を開始した。また、五島市沖洋上風力発電事業で風車組立てを開始するなど、既存のプロジェクトを着実に推進するとともに、コーポレートPPA(電力購入契約)による太陽光発電開発・電力供給等、新規プロジェクトにも取り組んだ。
また、国外においても、建設中であったフィンランドのピーパリンマキ陸上風力発電事業は商業運転を開始し、ノイコネクト英独連系送電線事業は工事着工を迎えた。
ご家庭のお客さまへのサービスについては、従来のオール電化住宅向けなどのメニューに加え、太陽光発電設備と電気をセットにしたサブスクリプション(定額)サービス「はぴeセットソラレジ」の提供を開始した。
また、法人のお客さまへのサービスについては、脱炭素の計画策定から具体策実行までをサポートする「ゼロカーボンパッケージ」活動を展開するとともに、お客さまが所有する分散型リソースの最適制御等を行うエネルギーマネジメントシステムである「SenaSon(Smart energy aggregate Solution)※」の提供を開始した。
ガス事業については、販売量は153万トンと、前年度実績と同水準となった。また、家庭用分野においては、多くのお客さまに「関電ガス」をお選びいただくため、当社の電気とガスをセットにした「なっトクパック」の提案活動を展開し、当年度末時点での契約件数は162万件となった。
また、中核会社の株式会社関電エネルギーソリューションにおいては、ユーティリティサービス事業について、収益の拡大に向け、大型案件の受注推進に加え、中小規模案件の獲得や首都圏での活動強化など顧客基盤の構築に取り組むとともに、空調制御サービス「おまかSave-Air」等のサービスを推進した。
※お客さまが所有する分散型リソースの最適制御等を行うエネルギーマネジメントシステム
[送配電事業]
送配電事業の一層の中立性を確保しつつ、安全かつ安定した電気を低廉な価格でお届けするため、電力系統の運用、送電、変電、配電の計画・工事などを行い、生活や産業の基盤を支える電力を供給している。
また、脱炭素化やレジリエンス強化をはじめ、エネルギーに関する社会ニーズは多様化する中、それを支える基盤である送配電事業の重要性はこれまで以上に高まっていると認識しており、電力ネットワークの次世代化を進めるとともに、分散型電源などの多様な系統利用者の要請にも柔軟に系統利用サービスを提供し続け、お客さまや社会のご期待にお応えし続けていく。
(業績)
収入面では、需給調整取引の増加による収益の増加があったことなどから、外部顧客への売上高は469,975百万円と、前連結会計年度に比べて70,998百万円の増収(+17.8%)となり、内部売上高を含めた売上高は1,138,438百万円と、前連結会計年度に比べて140,627百万円の増収(+14.1%)となった。
支出面では、燃料価格の高騰などの影響により、需給調整に伴う費用が大幅に増加したことなどから、経常費用は増加した。
この結果、セグメント損失は45,186百万円と、前連結会計年度に比べて51,250百万円の減益となった。
(当連結会計年度の取組み)
関西電力送配電株式会社において、高経年化設備の計画的更新や次世代化を着実に進め、電力の安全・安定供給に取り組んだ。また、2023年度から導入される新たな託送料金制度に向け、脱炭素化・レジリエンス強化に資する電力ネットワークの次世代化やサービスレベル向上などの取組目標を反映した5ヶ年の事業計画を策定するとともに、カイゼンを通じた生産性向上や徹底した効率化によるコスト削減などを推進した。需給調整取引の収支悪化に対しては、調整力調達費用の適正化に向けて取り組んだ。
[情報通信事業]
FTTHを利用した光インターネット、光電話、光テレビの3つのサービスをeo光ブランドで関西一円に展開しているほか、全国をターゲットにモバイル事業「mineo(マイネオ)」および、法人ソリューション事業を展開している。
(業績)
収入面では、eo電気において燃料費調整額が増加したことなどから、外部顧客への売上高は222,828百万円と、前連結会計年度に比べて12,132百万円の増収(+5.8%)となり、内部売上高を含めた売上高は291,683百万円と、前連結会計年度に比べて12,314百万円の増収(+4.4%)となった。
支出面では、燃料価格の高騰などの影響により、eo電気において電力調達費用が増加したことなどから、経常費用は増加した。
この結果、セグメント利益は43,029百万円と、前連結会計年度に比べて2,978百万円の増益(+7.4%)となった。
(当連結会計年度の取り組み)
中核会社の株式会社オプテージにおいて、FTTHサービス「eo光」新規申込者の約6割に選ばれている10ギガ/5ギガコースをeo光ネットの全エリアで利用可能としたほか、モバイル事業「mineo」についても、データ使い放題となるプラン「マイそく」の新コース投入やeSIMの提供開始などお客さまのご期待に応えるため新たなメニューや機能を充実した。さらに、新サービスとして、家電製品を一括でひとつのアプリで操作することができるスマートホームIoT「IOPT(アイオプト)」の提供を開始した。
[生活・ビジネスソリューション事業]
不動産賃貸・分譲・管理、レジャーなどの総合不動産事業に加え、リース、コールセンター運営、メディカル・ヘルスケア、ホームセキュリティなど、お客さまの安心・快適・便利な生活やビジネスを実現するサービスを展開している。
(業績)
収入面では、不動産分野において、賃貸事業における新規物件取得により賃料収入が増加したことや、ホテル事業における稼働率の向上などがあったものの、株式の譲渡により、4社を連結の範囲から除外したことなどから、外部顧客への売上高は149,370百万円と、前連結会計年度に比べて39百万円の減収(△0.0%)となり、内部売上高を含めた売上高は190,710百万円と、前連結会計年度に比べて1,806百万円の減収(△0.9%)となった。
支出面では、徹底したコスト削減に努めたことなどから、経常費用は減少した。
この結果、セグメント利益は20,908百万円と、前連結会計年度に比べて1,250百万円の増益(+6.4%)となった。
(当連結会計年度の取り組み)
中核会社の関電不動産開発株式会社において、超高層タワーマンション「シエリアタワー中之島」や、首都圏のオフィス建て替えプロジェクト「関電不動産渋谷ビル」の開発を推進した。また、海外においても住宅開発・賃貸事業を展開しており、米国・豪州・東南アジアで6案件に事業参画した。
当期経常損失6,666百万円を計上したことなどから、税金等調整前当期純損失は5,828百万円となった。一方、税務上の繰越欠損金について当期に繰延税金資産を計上したことなどにより法人税等が減少したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は17,679百万円となり、前連結会計年度に比べて68,156百万円の減益(△79.4%)となった。
資産は、設備投資額が減価償却費を上回ったことなどから、前連結会計年度末に比べて117,994百万円増加(+1.4%)し、8,774,425百万円となった。
負債は、設備投資などに対応するために有利子負債が増加したものの、その他の流動負債が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べて16,230百万円減少(△0.2%)し、6,934,642百万円となった。
純資産は、その他の包括利益累計額が増加したことや、親会社株主に帰属する当期純利益(17,679百万円)を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べて134,225百万円増加(+7.9%)し、1,839,782百万円となった。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて1.2%上昇し、20.4%となった。
また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べて144円75銭増加し、2,004円24銭となった。
当社グループは、電気事業等を行うための設備投資や債務償還などに必要な資金を可能な限り自己資金にて賄い、不足する資金については主に社債や借入金によって資金調達を行い、コマーシャル・ペーパー等により短期的な運転資金を調達することにより、流動性を確保している。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純損失を計上したことなどから、前連結会計年度に比べて収入が282,277百万円減少(△68.8%)し、128,038百万円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて支出が114,745百万円減少(△21.5%)し、417,884百万円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、有利子負債の増加額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて収入が201,664百万円減少(△63.3%)し、117,104百万円の収入となった。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて168,255百万円減少(△34.3%)し、322,235百万円となった。
(5)中期経営計画の財務目標および進捗状況
連結財務目標および進捗状況
(注) ROA=事業利益〔経常損益+支払利息〕÷総資産〔期首・期末平均〕
セグメント別財務目標および進捗状況
(注) 1 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。
2 ROA=事業利益〔セグメント損益+支払利息〕÷セグメント資産〔期首・期末平均〕