E04499 Japan GAAP
前期
3.95兆 円
前期比
102.7%
株価
2,683.5 (07/12)
発行済株式数
938,733,028
EPS(実績)
470.71 円
PER(実績)
5.70 倍
前期
855.8万 円
前期比
97.1%
平均年齢(勤続年数)
42.8歳(20.2年)
従業員数
8,416人(連結:31,437人)
当社および当社の関係会社は、電気やガス、ユーティリティサービスなどの多様なソリューションを通じて新たな価値を提供する「エネルギー事業」、中立・公平な立場で電気の安全安定供給を行う「送配電事業」、総合的な情報通信サービスを提供する「情報通信事業」および不動産関連サービスや生活・ビジネス関連サービスの提供を行う「生活・ビジネスソリューション事業」において事業展開している。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
<経営成績等の状況の概要>
当社グループを取り巻く事業環境は、国際情勢を受けた燃料市況の不安定化に加え、脱炭素化の潮流やデジタル化の急進により、先行き不透明な状況が続いている。こうした中において、「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」の取組みを着実に進捗させ、長年取り組んできた原子力7基体制を実現するとともにコスト構造改革等による成果が表れてきている。
当連結会計年度の小売販売電力量は、需要数が増加したことなどから、1,172億kWhと前連結会計年度に比べて5.1%増加した。その内訳を見ると、「電灯」については、314億kWhと前連結会計年度に比べて1.7%増加した。また、「電力」については、858億kWhと前連結会計年度に比べて6.4%増加した。
収入面では、販売電力料が増加したことなどから、売上高は4,059,378百万円と、前連結会計年度に比べて107,494百万円の増収(+2.7%)となった。
支出面では原子力利用率の上昇や燃料価格の低下などにより火力燃料費や他社購入電力料が減少したことなどから、営業費用は3,330,442百万円と、前連結会計年度に比べて673,498百万円の減少(△16.8%)となった。
この結果、当連結会計年度の営業利益は728,935百万円と、前連結会計年度に比べて780,992百万円の増益、経常利益は765,970百万円と、前連結会計年度に比べて772,636百万円の増益となった。また、和歌山発電所建設計画の中止を決定したことに伴い、126,495百万円を特別損失に計上したものの、親会社株主に帰属する当期純利益は441,870百万円と、前連結会計年度に比べて424,191百万円の増益(+2,399.3%)となった。
セグメントの経営成績(相殺消去前)は、次のとおりである。
(注) 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要は、次のとおりである。
<生産、受注及び販売の状況>
当社および連結子会社における生産、受注及び販売の実績については、その大半を占めるエネルギー事業のうち当社の数値を記載している。
(注) 1 火力発電電力量は、汽力発電電力量と内燃力発電電力量の合計である。
2 新エネルギー発電電力量は、汽力発電設備におけるバイオマスと新エネルギー等発電等設備における太陽光による発電電力量である。
3 発受電電力量と総販売電力量は、提出日(2024年6月27日)現在において把握している電力量を記載している。
4 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。
5 2022年度出水率は、1991年度から2020年度までの30カ年平均に対する比である。
2023年度出水率は、1992年度から2021年度までの30カ年平均に対する比である。
6 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。
7 発受電電力量の合計と総販売電力量の差は損失電力量等である。
(注) 1 総販売電力量は、提出日(2024年6月27日)現在において把握している電力量を記載している。
2 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。
自社発電認可最大出力
主要燃料の受払状況
(注) 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。
<財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析>
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要がある。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)に記載している。
[エネルギー事業]
社会の変化に着実に対応すべく、「ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー」として、再エネの主力電源化や原子力の最大限活用、火力のゼロカーボン化、ゼロカーボン水素の活用も含めた電源のゼロカーボン化に取り組み、また、お客さまのゼロカーボン化を実現する最適なソリューションをご提案・ご提供するとともに、水素社会に向けた検討・実証にも取り組むなど、お客さまや社会のゼロカーボン化の実現に向けて当社グループのリソースを結集していく。また、デジタル技術の活用や、競争力のある電源ポートフォリオの構築、燃料調達や需給運用の合理化といったコスト構造改革の取り組み等により、強靭な企業体質への改革に努めるとともに、エネルギーソリューションを軸とした様々なサービスの開発・提供を通じて事業の拡大を図り、中期経営計画で掲げた目標の達成に取り組む。
(業績)
収入面では、販売電力料が増加したことなどから、外部顧客への売上高は3,335,680百万円と、前連結会計年度に比べて225,971百万円の増収(+7.3%)となり、内部売上高を含めた売上高は3,539,199百万円と、前連結会計年度に比べて77,084百万円の増収(+2.2%)となった。
支出面では、原子力利用率の上昇や燃料価格の低下などにより火力燃料費や他社購入電力料が減少したことなどから、経常費用は減少した。
この結果、セグメント利益は583,867百万円と、前連結会計年度に比べて611,273百万円の増益となった。
(当連結会計年度の取組み)
原子力プラントについては、特定重大事故等対処施設を含む安全対策工事を完了し、昨年8月に高浜発電所1号機、同年10月に同2号機の本格運転を再開した。これにより美浜発電所、高浜発電所および大飯発電所の全てのプラントが運転を行っており、7基体制を実現することができた。当社の原子力プラントの高経年化対策については、法律に基づいた技術評価を実施し、安全性を確認したうえで運転を行っている。また、昨年6月に改正された原子炉等規制法において、高経年化の安全規制について見直しが行われたが、これに対しても適切に対応していく。今後とも、原子力プラントの安全・安定運転および安全性・信頼性の一層の向上に取り組んでいく。
再生可能エネルギーの開発等については、国内において、KDS太陽光合同会社によるコーポレートPPA(電力購入契約)に活用する太陽光発電設備の開発を進め、昨年7月に1号機が営業運転を開始した。また、水力発電事業では、黒部川第二発電所3号機の設備更新など最大出力増加に取り組んだ。和歌山県沖での洋上風力発電事業や北海道古平町と余市町での陸上風力発電事業では、地域からの意見を踏まえつつ、環境保全に十分配慮しながら事業性を検討してきた。
国外においては、フィンランドのアラヤルヴィ陸上風力発電事業は昨年12月に商業運転を開始した。また、スペインのビルバオ港沖での浮体式洋上風力実証プロジェクトおよびノルウェーのゴリアテヴィンド浮体式洋上風力発電実証事業へ参画するとともに、オドフェル・オーシャンウィンド社への出資参画にも取り組んできた。
ご家庭のお客さまへのサービスについては、従来のオール電化住宅向けなどのメニューに加え、省エネ給湯機エコキュートのリース料金と一定量までの電気料金がセットになったサブスクリプション(定額)メニュー「はぴeセット」等の推進に加え、新たに蓄電池のリースと電気をセットにした「はぴeセットストレジ」の提供を発表した。加えて、当社の電気とガスをセットにした「なっトクパック」の提案活動を展開し、年度末時点での関電ガスの契約件数は160万件となった。
法人のお客さまへのサービスについては、脱炭素の計画策定から具体策の実行までをトータルサポートする「ゼロカーボンパッケージ」において、太陽光オンサイトサービス※1やコーポレートPPA、お客さまが所有する分散型エネルギーリソースの最適制御等を行うエネルギーマネジメントシステムであるSenaSonなど、より一層サービス内容の充実を図った。加えて、昨年4月にE-Flow合同会社※2を設立し、分散型エネルギーリソースを最適に運用し、需給調整市場等の各種市場取引を推進している。
株式会社関電エネルギーソリューションにおいては、ユーティリティサービス事業について、収益の拡大に向け、大型案件の受注推進に加え、中小規模案件の獲得や首都圏での活動強化など顧客基盤の構築に取り組むとともに、節水・節湯自動管理システム「ぴたっとOU」等の新サービスを推進した。
※1:お客さまの建物の屋根などに、太陽光発電設備を設置、所有したうえで、設置後の運用・メンテナンスま
でをワンストップで行うもので、初期投資ゼロで太陽光発電による電気をご使用いただけるサービス。
※2:昨年4月設立。VPP事業、系統用蓄電池事業、再エネアグリゲーション事業の3事業に重点を置き、2030年
度までに全国で分散型エネルギーリソースの市場取引量250万kW、売上高300億円を目指す。
[送配電事業]
送配電事業の一層の中立性を確保しつつ、安全かつ安定した電気を低廉な価格でお届けするため、電力系統の運用、送電、変電、配電の計画・工事などを行い、生活や産業の基盤を支える電力を供給している。
また、脱炭素化やレジリエンス強化をはじめ、エネルギーに関する社会ニーズは多様化する中、それを支える基盤である送配電事業の重要性はこれまで以上に高まっていると認識しており、電力ネットワークの次世代化を進めるとともに、分散型電源などの多様な系統利用者の要請にも柔軟に系統利用サービスを提供し続け、お客さまや社会のご期待にお応えし続けていく。
(業績)
収入面では、託送料金の改定などによる託送収益の増加があったものの、需給調整取引の単価下落により販売電力料が減少したことなどから、外部顧客への売上高は341,880百万円と、前連結会計年度に比べて128,095百万円の減収(△27.3%)となり、内部売上高を含めた売上高は1,016,276百万円と、前連結会計年度に比べて122,162百万円の減収(△10.7%)となった。
支出面では、需給調整取引の単価下落により購入電力料が減少したことなどから、経常費用は減少した。
この結果、セグメント利益は124,083百万円と、前連結会計年度に比べて169,270百万円の増益となった。
(当連結会計年度の取組み)
関西電力送配電株式会社において、新たな託送料金制度のもと策定した5ヵ年の事業計画に基づき、高経年化設備の計画的更新や、脱炭素化・レジリエンス強化に資する電力ネットワークの次世代化、サービスレベルの向上などを着実に進め、電力の安定供給に取り組んだ。また、トヨタ生産方式(カイゼン)・DXを通じた生産性向上や徹底した効率化を推進した。
[情報通信事業]
FTTHを利用した光インターネット、光電話、光テレビの3つのサービスをeo光ブランドで関西一円に展開しているほか、全国をターゲットにモバイル事業「mineo(マイネオ)」および、法人ソリューション事業などを展開している。
(業績)
収入面では、株式会社オプテージにおいて、株式会社関電セキュリティ・オブ・ソサイエティを吸収合併したことによりホームセキュリティサービスの収益が増加したことや、FTTHサービスの収益が増加したことなどから、外部顧客への売上高は225,369百万円と、前連結会計年度に比べて2,540百万円の増収(+1.1%)となり、内部売上高を含めた売上高は301,381百万円と、前連結会計年度に比べて9,697百万円の増収(+3.3%)となった。
支出面では、株式会社関電システムズにおいて、システム開発案件が増加したことなどから、経常費用は増加した。
この結果、セグメント利益は47,492百万円と、前連結会計年度に比べて4,463百万円の増益(+10.4%)となった。
(当連結会計年度の取り組み)
株式会社オプテージにおいて、FTTHサービス「eo光」について、超高速(10ギガ/5ギガ)コースを関西173市町村で利用可能とするなど、販促活動の推進により関西のFTTH(戸建向け•5ギガコース以上)において約6割のシェアを確保している。
また、モバイル事業「mineo」は10周年を控え、約130万回線をご利用いただいている。法人向け事業については、大阪市内に都市型データセンター「曽根崎データセンター」の建設を進め、2026年1月に運用開始を予定している。
[生活・ビジネスソリューション事業]
不動産賃貸・分譲・管理、レジャーなどの総合不動産事業に加え、リース、コールセンター運営、メディカル・ヘルスケアなど、お客さまの安心・快適・便利な生活やビジネスを実現するサービスを展開している。
(業績)
収入面では、関電不動産開発株式会社の住宅分譲事業において、引渡戸数が増加したことや、賃貸事業において、ホテルの稼働率が向上したことなどから、外部顧客への売上高は156,447百万円と、前連結会計年度に比べて7,077百万円の増収(+4.7%)となり、内部売上高を含めた売上高は195,022百万円と、前連結会計年度に比べて4,312百万円の増収(+2.3%)となった。
支出面では、関電不動産開発株式会社の住宅分譲事業において、売上原価や委託費が増加したことなどから、経常費用は増加した。
この結果、セグメント利益は22,389百万円と、前連結会計年度に比べて1,480百万円の増益(+7.1%)となった。
(当連結会計年度の取り組み)
安心・快適・便利な生活やビジネスを実現する様々な事業を展開している。特に、関電不動産開発株式会社においては、超高層タワーマンション「シエリアタワー中之島」や、首都圏のオフィス建て替えプロジェクト「関電不動産渋谷ビル」の開発を推進した。
また、海外においても住宅開発・賃貸事業を展開しており、米国・豪州にて6件の事業に参画した。
当期経常利益を765,970百万円計上した一方、和歌山発電所建設計画の中止を決定したことに伴い、126,495百万円を特別損失に計上したことなどから、税金等調整前当期純利益は641,054百万円となった。ここから法人税等合計と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引きした親会社株主に帰属する当期純利益は441,870百万円となり、前連結会計年度に比べて424,191百万円の増益(+2,399.3%)となった。
資産は、和歌山発電所建設計画の中止を決定したことに伴い、固定資産に係る減損損失126,495百万円を計上したものの、設備投資額が減価償却費を上回ったことや、現金及び預金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べて258,492百万円増加(+2.9%)し、9,032,917百万円となった。
負債は、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べて234,973百万円減少(△3.4%)し、6,699,669百万円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益441,870百万円を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べて493,465百万円増加(+26.8%)し、2,333,248百万円となった。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて4.8%上昇し、25.2%となった。
また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べて543円04銭増加し、2,547円28銭となった。
当社グループは、エネルギー事業等を行うための設備投資や債務償還などに必要な資金を可能な限り自己資金にて賄い、不足する資金については主に社債や借入金によって資金調達を行い、コマーシャル・ペーパー等により短期的な運転資金を調達することにより、流動性を確保している。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純損益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べて収入が1,026,951百万円増加(+802.1%)し、1,154,990百万円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、投融資の回収収入が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて支出が10,164百万円増加(+2.4%)し、428,049百万円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて支出が606,011百万円増加し、488,906百万円の支出となった。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて242,192百万円増加(+75.2%)し、564,427百万円となった。
(5)中期経営計画の財務目標および進捗状況
連結財務目標および進捗状況
(注) ROA=事業利益〔経常損益+支払利息〕÷総資産〔期首・期末平均〕
セグメント別財務目標および進捗状況
(注) 1 各セグメント損益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。
2 ROA=事業利益〔セグメント損益+支払利息〕÷セグメント資産〔期首・期末平均〕