E04374 Japan GAAP
前期
9,770.8億 円
前期比
110.2%
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(西日本高速道路㈱)、子会社28社及び関連会社7社(令和6年3月31日現在)により構成されており、高速道路事業、受託事業、SA・PA事業、その他の4部門に関係する事業を行っており、各事業における当社及び関係会社の位置付け等は、次のとおりです。
なお、次の4部門は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。
(1)高速道路事業
高速道路事業においては、西日本地域の2府22県(注1)において、平成18年3月31日に当社が独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」といいます。)と締結した「高速自動車国道中央自動車道西宮線等に関する協定」(以下「全国路線網協定」といいます。)、「一般国道31号(広島呉道路)に関する協定」(以下「広島呉道路協定」といいます。)(注2)、「一般国道165号及び一般国道166号(南阪奈道路)に関する協定」(以下「南阪奈道路協定」といいます。)(注3)、「一般国道201号(八木山バイパス)に関する協定」(以下「八木山バイパス協定」といいます。)(注4)、「一般国道506号(那覇空港自動車道(南風原道路))に関する協定」(以下「那覇空港自動車道協定」といいます。)(注5)及び平成31年3月26日に締結した「一般国道201号(八木山バイパス)に関する協定(その2)」(以下「八木山バイパス協定(その2)」といいます。)(注6)(その後の変更を含み、以下「協定」と総称します。)、道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)(以下「特措法」といいます。)第3条の規定による許可及び同法第4条の規定に基づき、高速道路(注7)の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行っています。当該協定に基づき、新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、同法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に引き渡すこととしており、かかる道路資産を、当社は機構から借受けて、高速道路事業を実施します。道路利用者より徴収する料金には高速道路の公共性に鑑み当社の利潤を含めないことを前提としており、かかる料金収入は機構への賃借料及び管理費用の支払いに充てられます。また、同法第9条の規定に基づき、当該高速道路の道路管理者の権限の一部を代行しています。
当事業において、以下の業務については、当社が関係会社に委託しています。
料金収受業務 西日本高速道路サービス関西㈱、西日本高速道路サービス中国㈱、西日本高速道路サービス四国㈱、西日本高速道路サービス九州㈱、西日本高速道路総合サービス沖縄㈱
交通管理業務 西日本高速道路パトロール関西㈱、西日本高速道路パトロール中国㈱、西日本高速道路サービス四国㈱、西日本高速道路パトロール九州㈱、西日本高速道路総合サービス沖縄㈱
点検・管理業務 西日本高速道路エンジニアリング関西㈱、西日本高速道路エンジニアリング中国㈱、西日本高速道路エンジニアリング四国㈱、西日本高速道路エンジニアリング九州㈱、西日本高速道路総合サービス沖縄㈱、西日本高速道路ファシリティーズ㈱
保全作業業務 西日本高速道路メンテナンス関西㈱、西日本高速道路メンテナンス中国㈱、西日本高速道路エンジニアリング四国㈱、西日本高速道路メンテナンス九州㈱、西日本高速道路総合サービス沖縄㈱、西日本高速道路ファシリティーズ㈱、㈱富士技建、NEXCO西日本コンサルタンツ㈱
その他業務(注8) 西日本高速道路ビジネスサポート㈱、㈱富士技建、NEXCO西日本コンサルタンツ㈱、NEXCO西日本イノベーションズ㈱、NEXCO西日本情報テクノロジー㈱、㈱NEXCOシステムソリューションズ、㈱高速道路総合技術研究所、高速道路トールテクノロジー㈱
(注)1.福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県及び沖縄県(なお、中日本高速道路㈱、阪神高速道路㈱及び本州四国連絡高速道路㈱が事業を営む高速道路は除きます。)
2.広島呉道路協定については、令和元年7月1日午前0時をもって、全国路線網協定に編入されています。
3.南阪奈道路協定については、平成30年4月1日午前0時をもって、全国路線網協定に編入されています。
4.八木山バイパス協定については、平成26年3月14日付で一部変更を行い、料金の徴収期間及び道路資産の貸付期間を平成27年2月25日までから平成26年9月30日までに短縮しました。これを受け、平成26年10月1日午前0時をもって、当該協定は期間満了の上終了し、一般国道201号(八木山バイパス)は無料開放され、道路の管理についても国に引き継がれています。
5.那覇空港自動車道協定については、平成21年2月19日付で一部変更を行い、料金の徴収期間及び道路資産の貸付期間を平成21年8月19日までから平成21年3月27日までに短縮しました。これを受け、平成21年3月28日午前0時をもって、当該協定は期間満了の上終了し、一般国道506号(那覇空港自動車道(南風原道路))は無料開放され、道路の管理についても国に引き継がれています。
6.一般国道201号(八木山バイパス)は、有料道路事業として4車線化が事業化されました。4車線化の一部区間が完成した後に、当社が道路の管理を国から引き継ぐ予定です。
7.高速道路株式会社法(平成16年法律第99号)(以下「高速道路会社法」といいます。)第2条第2項に規定する高速道路をいいます。
8.不動産関連、橋梁補修、高速道路維持管理用システム等の開発・運用及びITインフラ、通行料金及び交通量等の電子計算、高速道路技術に関する調査・研究及び技術開発、料金収受機械保守等の業務です。
(2)受託事業
受託事業においては、当社が国、地方公共団体等の委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕等及びその他委託に基づく事業等を行っています。
国、地方公共団体等との協議の結果、経済性、効率性等から当社において一体として実施することが適当と認められた跨道橋や取付道路などの工事等を当該国、地方公共団体等から受託しています。
(3)SA・PA事業
SA・PA事業においては、高速道路の休憩所及び給油所等(以下「商業施設等」といいます。)の建設、管理等を行っており、当社の連結子会社である西日本高速道路サービス・ホールディングス㈱が192箇所(注)において商業施設等の管理運営を行っています。また、当社の連結子会社である西日本高速道路ロジスティックス㈱及び西日本高速道路リテール㈱は、SA・PA事業にかかる運営の一部を行っています。
(注)192箇所の商業施設等については、国道2号姫路バイパスの別所パーキングエリア(上下線)の2箇所を含みます。
(4)その他
その他においては、駐車場事業、建設等のコンサルティング事業、一般自動車道事業、ウルトラファインバブル事業、広告事業、海外における高速道路事業、トラックターミナル事業等を実施しています。
このうち、駐車場事業については、当社が福岡中央自動車駐車場の管理運営を行っており、建設等のコンサルティング事業については、当社が技術支援業務を行っています。一般自動車道事業については、連結子会社である芦有ドライブウェイ㈱が、芦屋市と神戸市北区を結ぶ一般自動車道「芦有ドライブウェイ(10.7km)」の管理運営を行っています。ウルトラファインバブル事業については、連結子会社である西日本高速道路エンジニアリング関西㈱が、ウルトラファインバブル(約1~3μm(マイクロメートル(注))の微細気泡)技術を清掃など道路事業における活用から、農業など多様な分野へ適用拡大していくことを目的とし、事業を行っています。広告事業については、連結子会社であるNEXCO西日本コミュニケーションズ㈱が、高速道路の広告事業の成長を通じて地域の情報発信のサポートをするなど、「地域」と「人」の橋渡しの役割を担うことを目的とし、事業を行っています。海外における高速道路事業については、連結子会社であるNEXCO-West USA,Inc.が米国での橋梁点検事業を行っているほか、持分法適用関連会社である日本高速道路インターナショナル㈱が海外における道路インフラ事業への展開を目的とし、事業を行っています。トラックターミナル事業については、持分法適用関連会社である九州高速道路ターミナル㈱が佐賀県鳥栖市及び熊本市東区の2箇所におけるトラックターミナルの管理運営を行っています。また、持分法適用関連会社である㈱NEXCO保険サービスが損害保険及び生命保険の代理店業務を行っています。
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
(注)マイクロメートルとは長さの単位であり、1マイクロメートルは1ミリメートルの1,000分の1です。
※画像省略しています。
(注)1.◎は連結子会社,○は持分法適用の子会社及び関連会社,△は関連当事者を示しています。
2.機構は、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法(平成16年法律第100号)(以下「機構法」といいます。)第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が、特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされています。
※画像省略しています。
1.経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつあります。30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、経済には前向きな動きがみられ、デフレから脱却し、経済の新たなステージに移行する千載一遇のチャンスを迎えています。このような経済情勢の下で、高速道路の料金収入やSA・PAの売上についても概ねコロナ禍前の水準に回復しました。
一方で、記録的な大雨、台風によって当社管内の高速道路に発生した災害の影響や、度重なる大雪の影響により、通行止め等の通行の制限を余儀なくされました。また、令和5年9月5日に山陽自動車道(播磨ジャンクション~赤穂インターチェンジ)下り線の尼子山トンネル内において発生した関係車両32台に及ぶ車両火災により、トンネル構造物が甚大な損傷を受け長期間の通行止めを余儀なくされましたが、24時間体制で復旧を進め、12月15日に通行止めを解除するなど、当社グループの総力を結集し交通の確保に尽力しました。
こうした経営環境のなかで当社グループは、24時間365日、我が国の大動脈として生活・経済活動に欠かせない重要なインフラである高速道路の機能・サービスを間断なく提供するとともに、「私たちは、高速道路の安全・安心を最優先に、高速道路の進化に挑み続け、地域の発展と豊かな未来の実現に貢献します」というグループ理念のもと、安全・安心の確保を目指し、さらに満足度の高い機能・サービスの提供を行うべく事業を展開しました。
その結果、当連結会計年度の通行台数は、前期比2.8%増となり、料金収入は、前期比4.3%増(761,305百万円)となりました。
高速道路事業以外の事業においては、SA・PA事業を中心に展開していますが、新型コロナウイルス感染症の影響緩和に伴うお客さまの立寄り数の回復の影響もあり、店舗及びガスステーションの売上は前期比10.4%増の174,884百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は1,077,088百万円(前連結会計年度比10.2%増)、営業費用は1,067,088百万円(同9.2%増)、営業利益は9,999百万円(前連結会計年度は営業損失453百万円)、経常利益は13,212百万円(同経常利益1,600百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は10,611百万円(同親会社株主に帰属する当期純利益392百万円)となりました。
今後、「高速道路における安全・安心基本計画」(令和元年9月国土交通省)を踏まえ、令和元年12月に策定した「高速道路における安全・安心実施計画」に基づき、暫定2車線区間の解消、災害時におけるネットワークの確保等の高速道路の更なる機能強化を図る各種事業を着実に推進していきます。
各セグメントの概況は次のとおりです。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、高速道路株式会社法(平成16年法律第99号)第6条第1項に基づき機構と平成18年3月31日に締結した全国路線網協定及び平成31年3月26日に締結した八木山バイパス協定(その2)(その後の協定変更を含みます。)並びに特措法第3条の規定による許可及び同法第4条の規定に基づき、高速道路の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行いました。
まず、道路管理事業に関して、令和5年9月に山陽自動車道(播磨ジャンクション~赤穂インターチェンジ)下り線の尼子山トンネル内において火災が発生し、トンネル構造物に甚大な損傷が生じました。24時間体制で復旧作業に取り組むとともに、通行止め期間中に中国自動車道への迂回にご協力いただいたお客さまへのSA・PA割引クーポン(通称「みちトク迂回クーポン」)の提供などの施策により広域迂回を促進することで、一般道の混雑緩和に取り組みました。令和5年7月には、梅雨前線の影響により当社が管理する高速道路の複数箇所で土砂崩れ等の被害が生じましたが、速やかに応急復旧のうえ交通確保を行いました。特に、大分自動車道(朝倉インターチェンジ~杷木インターチェンジ)では、区域外からの土砂及び濁水の流入に伴う通行止めが生じましたが、速やかな応急復旧により早期の通行止め解除に取り組みました。また、令和5年5月のG7広島サミット開催にあたり、警察等の関係機関と連携しながら、各国の首脳等の移動に伴う交通規制、標識取替や舗装補修、不審者・不審物への防犯強化のための樹木伐採や休憩施設ゴミ箱透明化、お客さまへの情報提供等に協力しました。
高速道路リニューアルプロジェクトについて、地方部での事業に加え、関西都市圏の事業を推進しました。中国自動車道(中国池田インターチェンジ~神戸ジャンクション)においては、交通混雑期を除き、終日車線規制により4車線運用をしながら床版取替を実施しました。これらの工事においては、テレビCMやリニューアル工事専用ウェブサイトを活用し、渋滞予測やリアルタイム所要時間等の情報提供を積極的に行うなど、関係機関と連携しながら、工事中の社会的影響を最小化させるよう取り組みました。
また、令和5年1月に定期点検や詳細調査の実施により新たに判明した更新が必要な箇所について「高速道路の更新計画(概略)」として取りまとめた内容の具体化を進め、令和6年1月に「高速道路の更新計画」として公表を行いました。
平成28年4月に発生した熊本地震以降、既に完了している落橋・倒壊を防止する対策に加え、橋としての機能を速やかに回復させるために必要な対策として更なる耐震補強を推進しており、大規模地震発生確率の高い地域を中心に事業進捗を図っています。
今後の耐震補強対策をより効率的かつ確実に進めるため、令和6年1月に「高速道路の耐震補強実施計画」を策定し公表しました。
交通安全対策については、より安心かつ快適な道路環境を提供するため、事故多発箇所を中心としたハード対策や交通安全キャンペーン等によるソフト対策等、引き続き交通安全対策に取り組みました。対面通行区間での正面衝突事故防止のため、これまでのラバーポールに代えてワイヤロ-プの設置や長大橋・トンネル区間に区画柵の試行設置を進めているほか、逆走による重大事故ゼロの実現のため、行先を誤ったお客さまに対して適切な対処方法をご案内する看板の設置や一般道接続部等での誤進入対策、一般公募で寄せられた逆走防止技術の現地展開を実施しています。道路の劣化を進行させる要因の一つである重量超過等の車両制限令に違反する車両に対しては、積載物の軽減や通行の中止など厳格な措置を実施し、指導及び取り締まりに引き続き取り組みました。また、阪神高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社及び株式会社エフエム大阪と共同で進めている、“ながら運転撲滅活動”(通称「SNDプロジェクト」)により交通安全啓発活動への取組みを推進しました。さらに、SA・PAにおける大型車駐車エリアの混雑緩和を目的として、従来より実施している大型車駐車マスの拡充や、新たな取組みとして短時間限定駐車マスの実証実験を実施しています。
上記の取組みに加え、高速道路資産を確実に点検し正確に健全性を把握するため、高解像度カメラや、赤外線カメラを活用した点検に取り組むとともに、構造物点検の更なる効率化を図ることを目的に無人航空機(UAV)で撮影した動画による鋼橋の点検を導入しました。また、タブレット端末を使用した点検結果の記録に取り組むなど、点検から補修までの一連のサイクルである「保全事業システム」の高度化、効率化を推進しました。
通行料金については、周遊割引(ドライブパス)を各支社において企画し、自治体イベントに併せた期間限定企画や観光施設等と連携したセット企画の販売を実施しました。また、既存のシステム上の制約にとらわれず、必要な料金施策を必要な時期に実施できるようにするため、様々な料金施策に迅速かつ正確に対応可能な新料金システムの構築を推進しました。さらに、料金所のキャッシュレス化・タッチレス化に向け、令和5年4月から新名神高速道路 茨木千提寺料金所他10箇所を、令和6年3月から名神高速道路 瀬田西料金所他16箇所をETC専用料金所として運用開始するとともに、車載器購入助成キャンペーンを実施しました。
京都縦貫自動車道(宮津天橋立インターチェンジ~丹波インターチェンジ)については、令和5年4月1日に京都府道路公社から当社へ移管され、新たな料金に移行しました。
その他、交通混雑期における渋滞の激化を避ける取組みとして、国土交通省からの依頼を受け、昨年度に引き続き、令和5年度のゴールデンウイーク、お盆及び年末年始に休日割引を適用しないこととしました。
災害対応力の強化については、近年、災害が広域化・激甚化しており、当社管内の高速道路においても毎年災害が発生していることを踏まえ、災害発生時に迅速な対応ができるよう、令和3年度に本社にて策定した事業継続計画(災害対応編)を基に、各支社・事務所・グループ会社においても事業継続計画(災害対応編)を策定するとともに、陸上自衛隊第3師団と関西支社との間において、災害発生時の連携に関する確認書を締結しました。
また、発災直後の早期の道路機能確保のため中央分離帯の開口部やジャンクション等の土工部ランプ部の拡幅を行うことでスムーズな対面通行が可能となるなどの将来に備えた最適な構造(最適管理構造)の計画策定や、災害時の活動状況について広く理解を得るため、被災状況や活動状況等をSNSを用いて積極的に発信する取組みを行いました。
冬季の高速道路の安全・安心については、令和5年1月に新名神高速道路で発生した大雪に伴う大規模な車両滞留の教訓を踏まえ、道路利用者や地域の安全・安心の確保、東西幹線物流への影響の軽減を図るため、関係機関と共同して雪害対応についてとりまとめるとともに、「人命を最優先に、幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避すること」という基本方針のもと、幅広い事前の外出自粛・広域迂回等の呼びかけや関係機関と連携した躊躇ない広範囲での予防的な通行規制を実施するとともに、早期交通確保に向けた集中除雪の実施やSNS等各種ツールを用いた情報の発信に努めました。
次に、道路建設事業については、新名神高速道路の着実な整備や4・6車線化を推進するなど、高速道路ネットワークの形成及び充実を図りました。
4車線化では、令和5年8月9日に岡山自動車道(有漢インターチェンジ~北房ジャンクション)の一部が完成しました。
また、松山自動車道 東温スマートインターチェンジが完成し、令和6年3月23日に供用を開始しました。九州自動車道 小郡鳥栖南スマートインターチェンジが完成し、令和6年6月9日に供用を開始しました。
工事の安全対策については、全社的な工事安全レベルの向上を図るため各支社安全協議会において「安全対策部会」を、本社において「工事安全推進会議」をそれぞれ開催しました。また、発注者による安全確認や啓発活動を通して、工事受注者の安全意識を高めるとともに、重大事故リスクアセスメントの実施等、受発注者一体となり工事安全管理に取り組みました。
新たな事業として、令和5年9月8日に中国自動車道 加計スマートインターチェンジ他1箇所のスマートインターチェンジ及び地域活性化インターチェンジの池武当インターチェンジ(仮称)、令和6年3月27日に名神湾岸連絡線(西宮~西宮浜)の有料道路事業及び東九州自動車道(末吉財部インターチェンジ~国分インターチェンジ)他5区間の4車線化について事業許可を受けました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は1,031,486百万円(前連結会計年度比10.0%増)、営業費用は1,026,876百万円(同9.2%増)となり、営業利益は4,610百万円(前連結会計年度は営業損失2,871百万円)となりました。
(受託事業)
受託事業においては、高速道路の計画、建設及び管理の各段階を通じ、これまで培ってきた技術力及びノウハウを活かして、国及び地方公共団体等の委託に基づき、道路の新設、改築、維持、修繕等を実施しました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は8,694百万円(前連結会計年度比38.0%増)、営業費用は8,676百万円(同37.7%増)となり、営業利益は18百万円(前連結会計年度は営業損失1百万円)となりました。
(SA・PA事業)
SA・PA事業においては、新しい価値を提供するSA・PAの進化を目指し、自社アプリを介したお客さまの行動・購買データの分析による最適な販促活動の実施など、お客さまの“推し”となるSA・PAエリアの創造や、新たな体験と感動の提案に取り組みました。
令和5年5月には中国自動車道 安佐サービスエリア(上り線・下り線)のシャワーステーションが新規オープンし、昨年度の24時間営業のコンビニエンスストアの営業開始に続き、物流支援の観点から利便性の向上に向けた取組みを進めており、より多くのお客さまにご利用いただけるようになりました。また、無人パーキングエリアにおける使いやすさの改善及びサービスの向上の取組みの一環として、令和5年11月に東九州自動車道 大分松岡パーキングエリア(上り線・下り線)に24時間営業のコンビニエンスストアが新規オープンしました。
また、地域とともに発展するSA・PAを目指し、九州自動車道 古賀サービスエリア(上り線)に全国の高速道路のサービスエリア初、九州地方初の「ふるさと納税自販機」を設置しました。また、宮崎県延岡市他4自治体への誘客を図ることを目的に、サービスエリア等にてそれぞれの地域で使えるチケットが入った運試し型のチケット販売機を設置し、偶発性と体験性を演出するクルマ旅キャンペーン(旅っチャ)を開催するなど、地域との連携・共創を推進しました。
その他、山陽自動車道 宮島サービスエリア(下り線)において、任天堂株式会社のキャラクターである「ピクミン」をテーマにした「ピクミンテラスin宮島SA」を令和5年12月から期間限定で開催しています。
その結果、当連結会計年度の営業収益は31,190百万円(前連結会計年度比15.7%増)、営業費用は26,427百万円(同4.7%増)となり、営業利益は4,762百万円(前連結会計年度は営業利益1,716百万円)となりました。
(その他)
その他においては、福岡市天神地区における駐車場事業、佐賀県鳥栖市及び熊本市東区の2箇所におけるトラックターミナル事業並びに海外における有料道路事業及びコンサルティング事業等を行いました。
米国においては、子会社であるNEXCO-West USA,Inc.を通じて非破壊検査点検事業に取り組みました。インドネシアにおいては、出資先である同国の高速道路運営会社PT Margautama Nusantara(マルガウタマ ヌサンタラ)等に対し、当社からの出向社員が技術指導等を行い、道路維持管理の品質向上及び新規建設事業の施工計画における安全性の確保に寄与しました。
当連結会計年度のその他全体としては、営業収益は7,802百万円(前連結会計年度比7.7%減)、営業費用は7,158百万円(同7.2%減)となり、営業利益は644百万円(同12.7%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ504,437百万円増加し、2,532,314百万円となりました。仕掛道路資産が増加したことが主な要因です。
負債は、前連結会計年度末に比べ488,014百万円増加し、2,282,320百万円となりました。道路建設関係社債が増加したことが主な要因です。
純資産は、前連結会計年度末に比べ16,422百万円増加し、249,994百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加が主な要因です。
自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.6ポイント減少し、9.9%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は558,465百万円(前連結会計年度比63.9%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は171,202百万円(前連結会計年度比45.8%減)となりました。これは主に、減価償却費32,120百万円に加え、仕入債務の増加額69,806百万円の資金の獲得があったものの、棚卸資産の増加額271,173百万円の資金の使用があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は28,804百万円(前連結会計年度比8.8%減)となりました。これは主に、料金収受機械、ETC装置等の設備投資28,635百万円の資金の使用があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は417,661百万円(前連結会計年度比19.9%増)となりました。これは主に、長期借入れ及び道路建設関係社債発行による資金の獲得685,242百万円があったものの、長期借入金の返済及び道路建設関係社債償還による資金の使用265,911百万円(機構法第15条第1項による債務引受額265,909百万円を含みます。)があったためです。
なお、建設投資(仕掛道路資産)に係る有利子負債は、建設投資(仕掛道路資産)を機構に引き渡す際に同時に機構が債務を引き受けます。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)における「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりです。
なお、「高速道路事業営業費用、営業外費用及び特別損失等明細表」については、後記「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 ②損益計算書 営業費用明細書のうち高速道路事業原価明細書」をご参照ください。
(注) 本明細表は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)第6条の規定により作成しています。
高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
当事業年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)
区分 |
金額(百万円) |
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1.営業収益 |
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料金収入 |
761,517 |
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道路資産完成高 |
265,948 |
|
受託業務収入 |
0 |
|
その他の売上高 |
1,109 |
1,028,575 |
2.営業外収益 |
|
|
受取利息 |
13 |
|
有価証券利息 |
52 |
|
受取配当金 |
1,472 |
|
土地物件貸付料 |
528 |
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固定資産受贈益 |
735 |
|
雑収入 |
556 |
3,358 |
3.特別利益 |
|
|
固定資産売却益 |
22 |
22 |
高速道路事業営業収益等合計 |
|
1,031,956 |
|
|
|
(注) 収益の配賦基準は次のとおりです。
1.高速道路事業又はその他収益として事業が特定できるものは、各々の特定の事業部門に直接
配賦しています。
2.事業が特定できないものについては、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)
第24条の規定により各事業へ配賦しています。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を、金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「1.経営成績等の状況の概要」において各セグメントの業績に関連付けて記載しています。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の非営利性等について
高速道路事業においては、高速道路会社法及び機構法の規定により機構と締結した協定並びに特措法の規定による事業許可に基づき、機構から道路資産を借受けた上、道路利用者より料金を徴収、かかる料金収入から機構への賃借料及び管理費用の支払いに充てています。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の徴収する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされています。なお、各連結会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合がありますが機構との協定に基づき、賃借料の着実な支払いを行うことが重要であるとの認識から、将来の社会経済変動及び自然災害の発生により料金収入が変動した場合等を想定し、高速道路事業に係る利益を備えのために積み立てています。
また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いことから、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏季の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。
なお、高速道路事業の収益には、インセンティブ助成金収入が含まれています。インセンティブ助成金とは、機構法第12条第1項第9号の規定に基づき、当社が経営努力による高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に要する費用の縮減を行った際に、機構より縮減額の一部を助成されるものです。当連結会計年度におけるインセンティブ助成金を原資とする支出は58百万円となっています。当連結会計年度末におけるインセンティブ助成金残高は995百万円であり、利益剰余金に留保されています。
② 機構による債務引受け等について
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところですが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされています。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的(重畳的)債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しています。
なお、高速道路にかかる道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表及び財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、原則当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、日本道路公団の民営化に伴い当社、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱が承継した日本道路公団の債務の一部について、当社と、機構、東日本高速道路㈱及び中日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じています(民営化関係法施行法第16条)。
(2)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えています。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費・人件費等のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等その他道路資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しています。
なお、上記「(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 料金収入等の計上基準
営業収益のうち、料金収入については、顧客が当社の管理する道路を通行した時点で収益を計上しています。
なお、ETCマイレージサービス制度に係る将来の無料走行に使用できるポイント等を付与した場合、当該ポイント等にて追加のサービスを顧客に提供したものとして、将来、当該サービスが顧客に移転した時に履行義務が充足するものとして収益を計上しています。また、営業収益のうち、道路資産完成高の計上は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した日に行っています。
③ 受託業務収入等の計上基準
営業収益のうち、直轄高速道路事業収入及び受託業務収入等については、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を計上しています。ただし、契約における取引開始日から履行義務の全部を充足すると見込まれる時点までの期間が短い等、重要性が乏しい場合は、引き渡し時点において履行義務が充足されたものとして収益を計上しています。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
⑤ 固定資産の減損
当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これら固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出し、減損の要否を検討しています。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断する際、将来の課税所得を合理的に見積もっています。よって、将来の課税所得の見積額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営成績の分析
① 営業収益
当連結会計年度における高速道路事業の営業収益については、道路資産完成高が増加したこと等により1,031,486百万円(前連結会計年度比10.0%増)となりました。受託事業の営業収益については、8,694百万円(同38.0%増)、SA・PA事業の営業収益については、31,190百万円(同15.7%増)、その他の営業収益については、7,802百万円(同7.7%減)となりました。以上により、当連結会計年度における営業収益合計は、1,077,088百万円(同10.2%増)となりました。
② 営業利益
当連結会計年度における高速道路事業にかかる営業費用は、道路資産完成原価が増加したこと等により1,026,876百万円(前連結会計年度比9.2%増)となり、受託事業の営業費用については、8,676百万円(同37.7%増)、SA・PA事業の営業費用については、26,427百万円(同4.7%増)、その他の営業費用については7,158百万円(同7.2%減)となりました。以上により、当連結会計年度における営業費用合計は、1,067,088百万円(同9.2%増)となりました。
その結果、当連結会計年度における営業利益は、9,999百万円(前連結会計年度は営業損失453百万円)となりました。その内訳は、高速道路事業の営業利益は4,610百万円(同営業損失2,871百万円)、受託事業の営業利益は18百万円(同営業損失1百万円)、SA・PA事業の営業利益は4,762百万円(同営業利益1,716百万円)、その他の営業利益は644百万円(前連結会計年度比12.7%減)です。
③ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、土地物件貸付料976百万円等の計上により3,597百万円(前連結会計年度比51.0%増)となり、営業外費用は、棚卸資産処分損147百万円等の計上により384百万円(同17.4%増)となりました。
その結果、当連結会計年度の経常利益は、13,212百万円(前連結会計年度は経常利益1,600百万円)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益80百万円の計上により80百万円(前連結会計年度比5.9%増)となり、特別損失は、減損損失329百万円等の計上により401百万円(同30.7%増)となりました。
その結果、税金等調整前当期純利益は12,892百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益1,370百万円)となり、これから法人税等合計2,277百万円(同法人税等合計965百万円)及び非支配株主に帰属する当期純利益3百万円(前連結会計年度比73.4%減)を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、10,611百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益392百万円)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析は、前記「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
② 資金調達
資金の調達は、高速道路料金の徴収等の営業活動のほか、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産にかかる投資については、道路建設関係社債の発行及び機構からの無利子借入れ並びに金融機関等からの借入れを通じて実施しました。
資金の調達においては低利且つ安定的な調達を目指し、道路建設関係社債の発行を基軸としつつ、金融機関等からの借入れも実施し、調達バランスの最適化を図っています。
③ 資金需要と設備投資
当社グループの主な資金需要は、協定に基づく機構への賃借料に加え、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の建設資金及び事業用設備に係る設備投資資金です。
道路資産賃借料の支払いには高速道路料金収入を、道路資産の建設資金には道路建設関係社債の発行並びに機構からの無利子借入金及び金融機関等からの借入金を充てています。
なお、資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しています。