E34837 IFRS
前期
3.71兆 円
前期比
90.4%
当社グループは、当社、連結子会社等が117社、持分法適用関連会社等が55社(2025年3月31日現在)で構成されている。これまでの3回にわたる段階的な事業統合(①2015年10月:燃料輸送事業及び燃料トレーディング事業、②2016年7月:既存燃料事業(上流・調達)及び既存海外発電・エネルギーインフラ事業、③2019年4月:燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等)により、燃料上流・調達・輸送から発電、電力・ガスの卸販売に至る一連のバリューチェーンが当社に一元化されている。
当社グループは、国内外において、発電資産、LNG受入基地を開発・保有する世界最大級の発電事業会社であると同時に、海外からのLNG調達、LNG船の保有、LNG生産プロジェクトに関与する燃料事業会社である。これらの大規模事業から得た多様な開発能力を更に進化させ、燃料調達から発電までの一体型プロジェクト(Gas to Power)や大規模再生可能エネルギー事業の開発も積極的に進めている。
また、当社グループは、世界最大級のLNG取扱規模と長期間にわたる燃料トレーディングの経験を有しており、この巨大なエネルギーの流れである「燃料調達→輸送→受入→発電→販売」をトレーディングも活用しながら一体的に最適化することで、最も経済的かつ弾力的な運用を実現する。国内における電力・ガスの販売は、長期相対取引に加えて短期相対取引や市場取引を活用し、お客さまのニーズに応じたエネルギーソリューションを提供している。
更には、当社グループは、関東及び中部地方で約70年にわたり安定して電気をお届けし続けた実績と現在も国内外の火力発電所を保有・操業する中で得たOperation & Maintenance(運転・保守、以下「O&M」という。)及びエンジニアリング(開発・建設)のノウハウを有しており、発電所の建設から保守・運営を行っている。これまでに培った知見と世界の先鋭技術を組み合わせることで、世界トップクラスのO&M・エンジニアリングサービスを提供し、安全で競争力があり機動的な発電所・受入基地の運営を国内外のお客さまにお届けしている。
報告セグメントは「燃料事業」、「海外・再エネ発電事業」、「国内火力・ガス事業」の3つとしている。各報告セグメントの主な事業内容は、以下のとおりである。
「燃料事業」…燃料上流事業等への投資、燃料輸送・燃料トレーディング事業
「海外・再エネ発電事業」…海外の発電事業や国内外の再生可能エネルギー発電事業等への投資
「国内火力・ガス事業」…国内における電力・ガスの販売等
当社及び関係会社の事業を「事業系統図」として示すと以下のとおりである。
[事業系統図]
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社等及び持分法適用関連会社等)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりである。
総資産は、前連結会計年度末に比べ816億円増加し8兆5,897億円となった。これは、持分法で会計処理されている投資の増加等はあったものの、燃料トレーディング事業を営む子会社におけるデリバティブ資産の減少等によるものである。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,530億円減少し5兆5,964億円となった。これは、有利子負債の減少に加え、燃料トレーディング事業を営む子会社におけるデリバティブ負債の減少等によるものである。
資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加や為替換算調整勘定の増加等から、前連結会計年度末に比べ3,346億円増加し2兆9,932億円となった。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は、33.7%となった。
売上収益は、販売電力量の減少等により、前連結会計年度に比べ3,548億円減少し3兆3,559億円となった。また、燃料調達価格影響や期首燃料在庫単価の改善等があったものの、海外・再エネ発電事業や燃料事業の利益減等により、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ2,157億円減少し1,839億円となった。
なお、期ずれについては、燃料価格の変動を販売価格に反映するまで文字とおり「タイムラグ」があるため、期間で区切った際には収支影響が生じるが、中長期的には収支影響はニュートラルになる。この期ずれ影響を除いた親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ49億円減少し1,437億円となった。
当連結会計年度末における連結ベースの資金(現金及び現金同等物)は、前連結会計年度末に比べ1,437億円減少し、1兆2,616億円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の収入は、前連結会計年度に比べ9,197億円減少し4,051億円となった。これは、期ずれによる差益の減少に伴う税引前当期利益の減少のほか、当社の営業債権の増加、当社棚卸資産の増加等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローにおける資金の支出は、前連結会計年度に比べ931億円減少し4,353億円となった。これは、前連結会計年度における関係会社の取得による支出の反動等によるものである。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ8,266億円減少し301億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ7,545億円減少し1,186億円の支出となった。これは、主に子会社株式の売却による収入の増加等によるものである。
当社グループは、主に国内火力・ガス事業が、連結会社の売上収益の大半を占めているため、生産、受注及び販売の実績については、上記国内火力・ガス事業について記載している。
国内火力・ガス事業における発電実績、販売実績並びに主要燃料の受払状況については以下のとおりである。
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績(国内火力・ガス事業の販売額)に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものである。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、サービス業を中心とした内需回復や賃上げを背景に、緩やかな回復基調を維持した。設備投資も堅調で、名目GDPは過去最高を更新する等回復の兆候が見られている。一方で、物価上昇や円安、海外経済の下振れリスクにより、先行きには依然として不透明感が残っている。
エネルギー業界では、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東地域での新たな緊張の高まり等により、エネルギー供給の不確実性が一段と増すとともに、各国でのエネルギー安全保障の重要性が再認識された。加えて、国連気候変動枠組条約に関し、米国がパリ協定からの離脱を宣言する等、先進国と途上国間での気候資金を巡る対立等の課題が浮き彫りとなり、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの困難さが際立つ年となった。
このような環境下、当社は「共同CEO体制」のもと、グループの総力を挙げてエネルギーの安定供給と脱炭素の両立に向けた取組みを進めた。
まず、安定供給については、電源確保の観点から、稼働中の発電所の安定運転に加えて、CO2排出量の少ない最新鋭の火力発電設備へのリプレースによる電源の新陳代謝を着実に進め、五井火力発電所1~3号機の営業運転を開始した。また、知多火力発電所7、8号の開発に向け、環境影響評価準備書の縦覧を開始した。
燃料調達については、子会社であるJERA Global Markets Pte. Ltd. (JERAGM)を通じた安定調達に加え、戦略的余剰LNG(SBL)の確保を継続的に行い、日本全体のエネルギー安全保障にも貢献した。
次に脱炭素に向けては、「JERA環境コミット2035」に基づき、クリーンエネルギー基盤の構築を更に加速した。
再生可能エネルギーにおいては、2035年までに2000万kWの開発目標を掲げ、JERA NEX Limitedを発足し、本格的に再生可能エネルギーの開発・導入を進めるとともに、bpとの洋上風力事業合弁会社(JERA Nex bp)の発足に関する合意を果たし、世界最大級の洋上風力発電事業者への統合準備を進めている。国内においては、「青森県沖日本海(南側)における洋上風力発電事業(2024年12月)」の事業者に認定される等、洋上風力事業の開発を着実に進めている。
火力発電のゼロエミッション化においては、2024年4月に碧南火力発電所4号機にて世界初となる大型商用発電機によるアンモニア20%転換の大規模実証試験を実施し、アンモニア転換技術の確立に向けて着実に取組みを進めた。加えて、アンモニア50%転換に向けたバーナの開発・燃焼試験、米国での水素転換に向けたガスタービン改造工事、グリーン水素製造、アンモニアのクラッキング・大規模分解触媒の技術開発等、最先端のソリューションの開発・獲得に取り組んだほか、国による支援制度整備の動きにも沿う形で、水素・アンモニア分野の上流開発・販売等のサプライチェーンの構築・拡大に向けた検討・協業等を進めた。
更に、毎日24時間・毎週7日間(年間365日)にわたってCO2を排出しない「24/7カーボンフリー電力」供給に向け、再エネ・ゼロエミ火力・デジタル技術を統合したソリューションの社会実装に取り組むための「JERA Cross」を設立し、日本で初めて水素専焼のゼロエミッション火力で発電した電力の商用利用を開始した(2024年11月、東宝株式会社への提供を開始)。
海外においては、ゼロエミッションに向けて共通の課題を有するアジアにおいて、各国の事情に即した確実なトランジションを可能とするため、パートナー企業との共同による脱炭素ロードマップの策定、水素・アンモニアの活用を含めた国・地域別の特性を考慮したソリューションの検討等を実施した(インドネシアEnergy Transition Master Planの策定支援、フィリピン LNG導入に向けた制度設計支援等)。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[燃料事業]
燃料上流事業等への投資、燃料輸送・燃料トレーディング事業を行っており、フリーポート計画外停止による影響や燃料トレーディング事業を営む子会社利益の減少等から、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ99億円減少し1,227億円となった。
海外の発電事業や国内外の再生可能エネルギーの発電事業等への投資を行っており、2021年度に実施した海外発電案件減損の戻入の反動や海外IPP事業の減益の影響等から、親会社の所有者に帰属する当期損益は前連結会計年度に比べ254億円減少し83億円の利益となった。
国内における電力・ガスの販売等を行っており、燃料調達価格や期首燃料在庫単価の影響の改善等はあったものの、期ずれによる差損や石炭等の契約期末評価損等により、親会社の所有者に帰属する当期損益は前連結会計年度に比べ1,310億円減少し1,243億円の利益となった。
②キャッシュ・フローの現状の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
(b)有利子負債
当連結会計年度末での有利子負債残高は、3兆0,997億円(うち、社債7,306億円、長期借入金2兆3,494億円、短期借入金196億円)となり、前連結会計年度より39億円減少した。
当社グループの主要な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資及び投融資向けの資金である。これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応していく方針である。
また、短期運転資金は、主に短期借入金やコマーシャル・ペーパーにより対応していく方針である。
なお、資金の短期流動性を確保する目的でコミットメントライン契約を締結している。
2025年度連結当期利益額(※「期ずれ」額除き)2,000億円という目標達成に向けて、2025年度までの各年度における連結当期利益の目標額を設定している。2024年度においては設定した目標1,600億円に対し、1,437億円となり未達ではあるが、想定していなかった武豊火力発電所の火災による影響が大きいと考えている。現時点の2025年度業績見通しとしては、2,000億円程度を見込んでおり、目標達成に向けて全社一丸となって取り組んで行く。
※「期ずれ」とは、燃料価格の変動が販売価格に反映されるまでのタイムラグである。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成している。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施している。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定 及び 14.のれん及び無形資産」に記載している。