E00346 Japan GAAP
文中における将来に関する事項は当四半期報告書提出日(2024年2月7日)現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(2)財政状態及び経営成績の状況
① 当第3四半期連結累計期間の経営成績の概況及び分析
当第3四半期連結累計期間につきましては、昨年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以降、人流の増加やインバウンド需要の回復等、経済活動の再開により景気は緩やかに回復しております。また、ウクライナ情勢等の影響により高騰した小麦をはじめとした穀物相場が落ち着きを取り戻してきた中、引き続き為替相場の動向を注視する必要はあるものの、当社グループを取り巻く事業環境は明るさを取り戻しつつあります。
このような中、当社グループは、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給を確保し、各事業において安全・安心な製品をお届けするという使命を果たすとともに、2026年度を最終年度とする「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の達成に向けて、当期は事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進、食糧インフレへの対応、豪州製粉事業の業績回復、環境政策、デジタル戦略を最優先課題として取り組んでおります。
事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進の一環として、昨年5月には、製粉事業の子会社である日清製粉株式会社において、2025年5月頃の稼働に向け、水島工場の建設に着手しました。これに伴い、岡山工場及び坂出工場を閉鎖する予定です。さらに、昨年12月に酵母・バイオ事業の子会社であるオリエンタル酵母工業株式会社において、老朽化し稼働率が低下した埼玉工場を閉鎖し、フラワーペーストの生産をびわ工場に集約しました。このような施策を進め、生産効率及び資本効率の一層の改善に取り組むとともに、コスト競争力の強化を図ってまいります。
また、当社グループのサステナビリティ重要課題への取組みを推進し、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の施策を事業戦略に反映していく体制をより一層強化するために、「サステナビリティ委員会」を昨年10月に新設しました。環境政策においては、2030年度のグループの自社拠点におけるCO2排出量50%削減(2013年度比)に向け、丸紅新電力株式会社との間でオフサイトコーポレートPPAの契約を締結し、製粉工場として日本最大規模を誇る日清製粉株式会社鶴見工場で消費される電力のすべてを昨年11月から実質再生可能エネルギーに切り替えました。これにより、年間約27,000トン強のCO2削減につながります。
当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、製粉事業における小麦粉価格改定の実施や熊本製粉株式会社の新規連結効果、食品事業や中食・惣菜事業での製品価格改定の実施等により、6,506億81百万円(前年同期比108.4%)となりました。利益面では、各事業において前期にコスト上昇に対して価格転嫁が遅れた部分も含めた価格改定の実施に加え、製粉事業における熊本製粉株式会社の新規連結効果、国内における副産物のふすま販売価格の堅調な推移、豪州製粉事業の前期の減損損失計上に伴うのれん等の償却費の減少、食品事業の業績回復及び中食・惣菜事業の堅調な業績等により、営業利益は418億94百万円(前年同期比164.5%)、経常利益は433億21百万円(前年同期比160.2%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は295億17百万円(前年同期は229億12百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
(前年同期比較) (単位:百万円)
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前第3四半期 |
当第3四半期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
600,005 |
650,681 |
50,675 |
108.4% |
営業利益 |
25,462 |
41,894 |
16,432 |
164.5% |
経常利益 |
27,040 |
43,321 |
16,280 |
160.2% |
親会社株主に帰属する 四半期純利益又は 四半期純損失(△) |
△22,912 |
29,517 |
52,429 |
- |
セグメント別の経営成績及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
1) 製粉事業
(単位:百万円)
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前第3四半期 |
当第3四半期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
313,345 |
346,849 |
33,504 |
110.7% |
営業利益 |
12,191 |
24,371 |
12,179 |
199.9% |
国内製粉事業につきましては、製品価格改定による小麦粉需要の減退があったものの、人流の増加やインバウンド需要の回復等により、出荷は前年並みとなりました。
また、昨年4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で5.8%引き上げとなり、10月に同11.1%引き下げられたことを受け、それぞれ昨年6月と本年1月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。
海外製粉事業につきましては、豪州における製品価格改定及び米国子会社における為替換算の影響等により売上高は前年を上回りました。
この結果、製粉事業の売上高は、国内における業務用小麦粉の価格改定や昨年1月に連結子会社化した熊本製粉株式会社の新規連結効果等により、3,468億49百万円(前年同期比110.7%)となりました。営業利益は、国内製粉事業における副産物のふすま販売価格の堅調な推移、熊本製粉株式会社の新規連結効果、豪州製粉事業の前期の減損損失計上に伴うのれん等の償却費の減少等により、243億71百万円(前年同期比199.9%)となりました。
2) 食品事業
(単位:百万円)
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前第3四半期 |
当第3四半期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
142,043 |
152,232 |
10,189 |
107.2% |
営業利益 |
5,527 |
7,662 |
2,135 |
138.6% |
加工食品事業につきましては、国内において原材料等のコスト上昇に伴う対応として継続して実施してきた製品価格改定等により、売上高は前年を上回りました。
酵母・バイオ事業につきましては、国内において、原材料価格やエネルギー価格の高騰を受け、イーストの価格改定を継続して実施したことや、インドイースト事業における販売数量の増加等により、売上高は前年を上回りました。
健康食品事業につきましては、売上高は前年を下回りました。なお、昨年10月よりお客様一人ひとりの生活習慣や健康状態にフィットしたサプリメントを提供する「パーソナルニュートリション事業(サービス名:ユアフィット)」を新たに開始しました。
この結果、食品事業の売上高は、1,522億32百万円(前年同期比107.2%)となりました。営業利益は、業績回復等により、76億62百万円(前年同期比138.6%)となりました。
3) 中食・惣菜事業
(単位:百万円)
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前第3四半期 |
当第3四半期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
113,290 |
118,943 |
5,653 |
105.0% |
営業利益 |
3,264 |
5,681 |
2,416 |
174.0% |
中食・惣菜事業につきましては、人流の増加やインバウンド需要の回復等に伴い販売が堅調に推移したことや製品価格改定等により、売上高は、1,189億43百万円(前年同期比105.0%)と前年を上回りました。営業利益は、製品価格改定や生産性の改善等により、56億81百万円(前年同期比174.0%)となりました。
4) その他事業
(単位:百万円)
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前第3四半期 |
当第3四半期 |
前年同期差 |
前年同期比 |
売上高 |
31,326 |
32,655 |
1,328 |
104.2% |
営業利益 |
4,338 |
3,979 |
△359 |
91.7% |
エンジニアリング事業につきましては、売上高は前年を下回りました。
メッシュクロス事業につきましては、太陽光パネル向けスクリーン印刷用資材等の出荷増により、売上高は前年を上回りました。
この結果、その他事業の売上高は326億55百万円(前年同期比104.2%)、営業利益はエンジニアリング事業における大型工事の減少等により、39億79百万円(前年同期比91.7%)となりました。
② 当第3四半期連結会計期間の財政状態の概況及び分析
(単位:百万円)
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2023年3月期 |
2023年12月期 |
前期末差 |
流動資産 |
330,069 |
354,841 |
24,771 |
固定資産 |
383,805 |
430,236 |
46,430 |
資産合計 |
713,874 |
785,077 |
71,202 |
流動負債 |
150,262 |
156,078 |
5,815 |
固定負債 |
125,112 |
137,859 |
12,746 |
負債合計 |
275,375 |
293,937 |
18,562 |
純資産合計 |
438,499 |
491,139 |
52,639 |
負債純資産合計 |
713,874 |
785,077 |
71,202 |
当第3四半期連結会計期間末における資産、負債及び純資産の状況及び分析は以下のとおりです。
流動資産は3,548億41百万円で、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等に伴い、前期末に比べ247億71百万円増加しました。固定資産は4,302億36百万円で、保有している投資有価証券の時価評価の増加等に伴い、前期末に比べ464億30百万円増加しました。この結果、資産合計は7,850億77百万円となり、前期末に比べ712億2百万円増加しました。
また、流動負債は1,560億78百万円で、未払金の増加による流動負債その他の増加等に伴い、前期末に比べ58億15百万円増加しました。固定負債は1,378億59百万円で、繰延税金負債の増加等に伴い、前期末に比べ127億46百万円増加しました。この結果、負債合計は2,939億37百万円となり、前期末に比べ185億62百万円増加しました。純資産合計は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加、配当金の支出による減少、その他の包括利益累計額の増加等により、前期末に比べ526億39百万円増加し、4,911億39百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、記載しておりません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
また、当社は株式会社の支配に関する基本方針を定めておりますが、当第3四半期連結累計期間において重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、58億81百万円であります。
(6)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「1 事業等のリスク」に記載のとおり、当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。