売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00375 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの5類感染症への変更により経済活動の正常化が進む中で、インバウンド需要の回復もあり外食や旅行は持ち直したものの、実質賃金の伸び悩みもあり、消費は総じて持ち直しに一服感がみられました。

当業界におきましては、物価の上昇が続き、お客様の生活防衛意識が高まる中で節約志向や低価格志向が一段と強まり販売競争が激化するとともに、主原料の小麦粉や卵、油脂など原材料価格の上昇もあり、厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、人流の回復に伴い、おにぎりやサンドイッチ、焼き立てパンなどの需要が伸長しましたが、光熱費などの店舗コストが増加する厳しい経営環境となりました。

このような情勢下にありまして、当社グループは、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によって低価格帯製品や値頃感のある製品の品揃えを充実し、女性製品開発担当者による高付加価値製品の開発に取り組むなど、変化するお客様のニーズに対応した隙のない製品対応を推進し、新しい価値と新しい需要の創造に取り組んでまいりました。また、当社は、本年7月1日、主原料の小麦粉を中心とした原材料価格の上昇に対処するため、一部の食パン、菓子パンの価格改定を実施しましたが、これを下支えする低価格帯製品や値頃感のある製品を充実強化したこともあり、業績は好調に推移しました。

また、本年3月31日付で、㈱神戸屋から包装パン事業の子会社㈱YKベーキングカンパニーの発行済株式全部を譲り受け、新経営体制の下でヤマザキの技術を最大限活用した製品の品質改善に取り組みました。

デイリーヤマザキやヴィ・ド・フランスなど小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにより日次管理・週次管理の経営手法を徹底し、日々の仕事の精度向上につとめるとともに、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携し、ヤマザキの技術を最大限活用した、魅力ある商品の開発を推進するなど業績回復に取り組んでまいりました。

また、新型コロナウイルスの感染対策が事業者等の判断に委ねられる中で、当社グループは、緊急事態においてパン、和菓子、洋菓子類を緊急食糧として社会に提供するという新しいヤマザキの精神に従い、製品の安定供給を確保するため、全従業員に対して検温を実施し、37.2℃以上の発熱がある者、また発熱がない場合でも新型コロナウイルス独特の自覚症状がある者を自宅待機とし、この自宅待機者数とPCR検査陽性者数を日々管理しました。また、マスクの着用や手指の消毒など日常の感染防止対策を徹底し、従業員5人以上の会食の原則禁止や感染の恐れの高い遊興施設の利用禁止など、公衆衛生上の遵守事項を徹底するとともに、職場の感染防止対策として、炭酸ガス濃度測定器によって、常時職場内の換気をしながら炭酸ガス濃度を700ppm 以下に保つなど、社会的使命の達成に全力を挙げて取り組んでまいりました。

当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は8,462億25百万円(対前年同期比106.8%)、営業利益は278億68百万円(対前年同期比173.9%)、経常利益は308億26百万円(対前年同期比155.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は188億68百万円(対前年同期比189.7%)となり、山崎製パン㈱単体が菓子パンを中心に好調に推移したことに加え、連結子会社の業績が改善したこともあり、増収増益となりました。

 

 

セグメントの業績は以下のとおりであります。

セグメント
の名称

区分

前第3四半期連結累計期間

(自 2022年1月1日

 至 2022年9月30日)

当第3四半期連結累計期間

(自 2023年1月1日

 至 2023年9月30日)

比較増減

金額(百万円)

金額(百万円)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

食品事業

食パン

76,102

78,948

2,846

103.7

 

菓子パン

279,172

304,582

25,410

109.1

 

和菓子

51,412

52,253

840

101.6

 

洋菓子

102,662

107,711

5,048

104.9

 

調理パン・米飯類

109,696

116,357

6,661

106.1

 

製菓・米菓・その他商品類

117,869

126,185

8,315

107.1

 

食品事業計

736,916

786,038

49,121

106.7

流通事業

45,591

49,905

4,314

109.5

その他事業

 

9,620

10,281

661

106.9

合計

792,128

846,225

54,097

106.8

 

 

<食品事業>
食品事業の主要製品別の売上状況は次のとおりであります。

①食パン部門(売上高789億48百万円、対前年同期比103.7%)

  食パンは、主力の「ロイヤルブレッド」が好調に推移するとともに、「モーニングスター」や「スイートブレッド」などの低価格帯食パンが伸長しました。また、食べきりサイズのハーフサイズ食パンやサンドイッチ用食パンの伸長もあり、前年同期の売上を上回りました。

②菓子パン部門(売上高3,045億82百万円、対前年同期比109.1%)

  菓子パンは、「コッペパン」や「まるごとソーセージ」など主力菓子パンに加え、ミニパンの薄皮シリーズ、低価格帯のヤマザキ菓子パンや「ドーナツステーション」などが伸長しました。さらに、コンビニエンスストアチェーン対応製品が伸長し、前年同期の売上を大きく上回りました。

③和菓子部門(売上高522億53百万円、対前年同期比101.6%)

  和菓子は、主力の串団子やホットケーキが好調に推移するとともに、チルド製品の「クリームたっぷり生どら焼」や和洋折衷の新製品「やわらか生大福」の寄与もあり、前年同期の売上を上回りました。

④洋菓子部門(売上高1,077億11百万円、対前年同期比104.9%)

  洋菓子は、主力の2個入り生ケーキや「大きなツインシュー」などのシュークリームが順調に推移するとともに、「5つに切ったロールケーキ」やチルド製品の「生クリームロール」の寄与もありスイスロールが好調に推移し、前年同期の売上を上回りました。

⑤調理パン・米飯類部門(売上高1,163億57百万円、対前年同期比106.1%)

  調理パン・米飯類は、おにぎりが伸長するとともに、サンドイッチや調理麺が好調に推移し、前年同期の売上を上回りました。

⑥製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,261億85百万円、対前年同期比107.1%)

  製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「ホームパイ」や㈱東ハトの「ポテコ」、ヤマザキビスケット㈱の「チップスター」が好調に推移し、前年同期の売上を上回りました。

  以上の結果、食品事業の売上高は7,860億38百万円(対前年同期比106.7%)、営業利益は269億19百万円(対前年同期比166.1%)となりました。

 

 

<流通事業>

  デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携し、「ランチパック 大盛り」シリーズやデイリーホットなど、ヤマザキの技術を最大限活用した魅力ある商品の開発を推進し、お客様に喜ばれるヤマザキ独自のコンビニエンスストアチェーンをめざしました。また、松戸・杉並ドミナントプロジェクトによりデイリーホットを中心に品質の向上と収益改善に取り組むとともに、既存店舗の改装を推進し、ヤマザキらしいお店づくりと競争力の強化をはかりました。当第3四半期は、チェーン全店売上高は前年同期を上回るとともに、営業総収入は直営店舗数の増加もあり増収となりました。

  以上の結果、流通事業の売上高は499億5百万円(対前年同期比109.5%)、営業損失は13億60百万円(前年同期は23億22百万円の営業損失)となりました。

 

<その他事業>

  その他事業につきましては、売上高は102億81百万円(対前年同期比106.9%)、営業利益は19億10百万円(対前年同期比107.7%)となりました。

 

 (2) 財政状態の状況

  当第3四半期連結会計期間末の資産合計は7,663億45百万円で、前連結会計年度末に対して83億14百万円増加しました。流動資産は2,868億82百万円で、売掛金の減少等により、前連結会計年度末に対して44億39百万円減少しました。固定資産は4,794億63百万円で、投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に対して127億53百万円増加しました。負債合計は3,400億81百万円で、支払手形及び買掛金等の支払債務の減少や借入金の返済により、前連結会計年度末に対して100億52百万円減少しました。純資産は4,262億64百万円で、自己株式の取得による減少がありましたが、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に対して183億66百万円増加しました

  この結果、自己資本比率は49.7%となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4) 研究開発活動

  当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は63億93百万円であります。

  なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5) 主要な設備

①  当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設の計画の主なものは次のとおりであります。

会社名

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

投資予定額

資金
調達
方法

着手年月

完了予定
年月

完成後の
増加能力

総額
(百万円)

既支払額
(百万円)

㈱東ハト

関東工場
 (埼玉県入間郡

 三芳町)

食品事業

製菓生産設備

2,250

自己資金

2024年8月

2025年7月

生産能力

30%増

 

 

②  前連結会計年度末において計画中であった重要な設備について、当第3四半期連結累計期間に完了したものは次のとおりであります。

会社名

事業所名
(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

金額
(百万円)

完了年月

㈱ヤマザキ物流

盛岡営業所

(岩手県滝沢市)

その他事業

盛岡営業所新設

293

2023年4月