亀田製菓株式会社

ブランドなど:柿の種ハッピーターン
食料品製菓プライムTOPIX Small 2

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00385 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、海外からの旅行者の拡大、人流の復活もあって、緩やかな回復傾向が続きました。

一方で、国際情勢の緊迫、円安、原材料価格、エネルギー価格の高止まりは解消されておらず、企業収益の下押し要因となっています。

国内の食品企業においては、これらの経済環境を踏まえ、厳しい舵取りが続いています。

 

こうした中、当グループは、経営環境の変化を踏まえて再構築した「中長期成長戦略2030」の実行に向けて取り組んでいます。お米の恵みを美味しさ・健康・感動という価値に磨き上げ、お客様の健やかなライフスタイルに貢献する、“Better For You”をパーパス(存在意義)として位置づけ、お米の可能性を最大限に引き出し、社会に対して新価値・新市場を創造する姿、ビジョン(目指す姿)“ライスイノベーションカンパニー”の実現を通じて持続的な成長と企業価値向上を目指していきます。

これまで国内米菓事業で培った技術やノウハウなどの事業基盤をベースとして、海外事業ならびに食品事業への先行投資を通じて事業領域の拡大に取り組んでいますが、将来的にはこれらの取り組みにより蓄積する技術やノウハウを強みに、アセットライトで高収益なビジネスモデルへの展開を目指しています。2026年度までにグループの収益基盤を整え、以降はその強固な基盤のうえに、もう一段の事業拡大を図ることで2030年度に向けた持続的な成長と企業価値向上に取り組んでいきます。

中計初年度にあたる2023年度は、多様化する社会のニーズに応え、社会課題の解決に資する商品開発などを通じ、お客様に価値を提供し続ける企業を目指し、構造改革の実行と、経営基盤の強化に取り組んでいます。

 

国内米菓事業については、外出型消費の回復により、需要は底堅く推移しています。当社は、原材料やエネルギー価格の高止まりによる収益影響を踏まえ、商品の価格改定や規格変更を実施するとともに、商品の独自性を高めた価値訴求型の競争戦略へと転換を図ることで、業績確保に取り組んでいます。

重点ブランドである「亀田の柿の種」は、新たな食シーンを訴求するテレビCMの放映やそれに連動した店頭露出の強化を図るとともに、需給のひっ迫により休止した商品の復活も含め需要喚起に努めました。「ハッピーターン」「無限」シリーズは人気スマートフォンアプリゲームとのコラボレーションキャンペーンを実施するなど若年層獲得に向けた取り組みも継続的に推進しています。また、当社が培ってきた「お米」の加工技術を活かした新価値商品の育成に取り組むなど、ブランド価値の深化と商品価値の進化の両輪で取り組みを進めています。加えて、商品戦略に連動する形で、生産能力増強や適正価格販売、販売促進費用の効果的な執行等、価値訴求に軸足を置いた活動を展開しています。

これらの取り組みの結果、重点4ブランドの売上高については「無限」シリーズが前年同四半期を上回った一方、「亀田の柿の種」「ハッピーターン」「亀田のつまみ種」は前年同四半期を下回りました。

なお、百貨店向け商品や土産物用商品を製造販売するグループ会社は、コロナ禍からの正常化に伴う市場回復効果もあり増収となりましたが、単体米菓の減収を補えず、国内米菓事業全体の売上高は前年同四半期を下回りました。

 

海外事業については、北米のMary’s Gone Crackers, Inc.は引き続き生産活動の立て直しや供給体制の正常化を図り、事業基盤の回復、値上の実行等、収益改善に向けた取り組みを進めています。一方アジアでは、ベトナムのTHIEN HA KAMEDA, JSC.における堅調な国内需要およびクロスボーダー取引拡大などが寄与し、海外事業全体の売上高は前年同四半期を上回りました。

 

食品事業については、プラントベースフードは植物性原料100%のサラダチキンを発売し、取り扱い拡大に取り組むとともに、アレルゲン28品目不使用の米粉パンは、機能性に加え米粉ならではの品質を訴求し、個人向けに加え業務用の取り扱い拡大にも取り組んでいます。また、植物性乳酸菌については、機能性を訴求し差別化を図ることで販路拡大に取り組んでいます。

長期保存食については、企業備蓄による買い替え需要が堅調に推移する一方で、前年同四半期に地震等の影響で高まった個人需要やコロナ禍による各自治体の在宅治療支援物資に採用された反動減の影響を受けました。これらの結果、食品事業全体の売上高は前年同四半期を下回りました。

 

以上の結果、売上高は70,136百万円(前年同四半期比2.4%減)となりました。

 

営業利益については、単体米菓における商品の価格改定、規格変更に加え、重点4ブランドの成長に向けたセールスプロモーション活動や生産能力増強によりプロダクトミックスの改善に取り組むとともに、販売促進費の効率的な執行、商品の絞り込みや外部生産委託の活用など生産効率の向上に継続的に取り組むことで収益性は着実に改善しつつありますが、急速なシェア拡大を図った前年同四半期との比較では減益となりました。百貨店向け商品や土産物用商品を製造販売するグループ会社については、人流の回復効果もあり増益となり、単体米菓の減益をカバーして国内米菓事業全体では前年同四半期比で増益となりました。

 

海外事業については、THIEN HA KAMEDA, JSC.において国内販売に加えクロスボーダー取引が拡大する等、アジア地域は総じて好調に推移し、同地域では、着実な利益成長を果たしました。一方で、Mary’s Gone Crackers, Inc.においてオペレーションの正常化を図るプロセスにおいて、一時的な構造費用等が発生した結果、海外事業全体では前年同四半期比で損失拡大となりました。

 

食品事業については、長期保存食の個人需要の反動減影響に加え、プラントベースフードの規模拡大に向けた先行投資の影響もあり、前年同四半期比で減益となりました。

 

これらの取り組みの結果、営業利益は2,895百万円(前年同四半期比7.5%減)となりました。

 

また、経常利益については、円安に伴う一時的な為替差益が発生しましたが、営業減益に加え持分法適用関連会社であるTH FOODS,INC.の持分法による投資利益が減少した結果、3,995百万円(前年同四半期比7.6%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益については、1,983百万円(前年同四半期比24.2%増)と、前年同四半期にMary’s Gone Crackers, Inc.に起因する特別損失を計上していたこともあって、増益となりました。

 

(2) 財政状態

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は33,026百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,760百万円増加いたしました。これは主に「受取手形、売掛金及び契約資産」が1,386百万円、「商品及び製品」が420百万円、「原材料及び貯蔵品」が839百万円それぞれ増加した一方、「現金及び預金」が598百万円、「その他」が303百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定資産は83,090百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,174百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産の「その他」が3,173百万円、「投資有価証券」が860百万円、投資その他の資産の「その他」が397百万円それぞれ増加した一方、「機械装置及び運搬具」が967百万円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は、116,117百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,935百万円増加いたしました。

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は29,123百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,400百万円増加いたしました。これは主に「電子記録債務」が431百万円、「短期借入金」が3,364百万円、「未払法人税等」が99百万円それぞれ増加した一方、「引当金」が602百万円減少したことによるものであります。固定負債は16,123百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,339百万円減少いたしました。これは主に「その他」が513百万円増加した一方、「長期借入金」が1,898百万円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、45,246百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,061百万円増加いたしました。

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は70,870百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,873百万円増加いたしました。これは主に「親会社株主に帰属する四半期純利益」1,983百万円及び「剰余金の配当」1,159百万円により「利益剰余金」が824百万円増加したことや、「為替換算調整勘定」が1,369百万円、「非支配株主持分」が511百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は57.9%(前連結会計年度末は58.3%)となりました。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、827百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。