森永乳業株式会社

ブランドなど:おいしい牛乳ビヒダスピノクリープリプトン
食料品食品製造プライムTOPIX Mid400

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00331 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態及び経営成績の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

1.経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間においては、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の動向、世界的な金融引き締め政策など、国際社会におけるさまざまな影響や世界経済の下振れリスクが生じています。国内においては、感染症対策の規制緩和を受けた経済活動の持ち直し、労働需要増加、賃金上昇、インバウンド需要の回復などを受け緩やかな景気回復が続くことが期待される一方、物価上昇による家計や企業への影響は今後も継続すると考えられ、引き続き国内外の情勢を注視する必要があります

そのような中、森永乳業グループにおいては前期より開始した「中期経営計画2022-24」のもと、当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」の提供に努め、特に、国内外での健康ニーズの高まりを背景に、ヨーグルトや機能性素材をはじめさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大に継続して取り組んでおります

また、海外事業においては、主力となるMILEI GmbH(ミライ社)事業に加えて、前期に実施したパキスタン、米国、ベトナムでのM&Aによる事業計画を着実に軌道に載せていくなど、中長期での成長を目指しさらなる取り組みを進めております。

一方で、原料乳・原材料価格や各種オペレーションコストについては、引き続きさまざまなコストアップの影響を受けております。生乳取引価格においては、2023年4月からの乳製品向け、8月からの飲用・発酵乳用途向けに続き、12月からバター向けおよびクリーム向けの生乳取引価格の引き上げが行われ、一段とコストアップが進行しました。これに対し、価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進いたしました。これまでの取り組みをさらに推進させることに努めた結果、当第3四半期連結累計期間においては増収増益となりました

 

森永乳業グループ10年ビジョンと「中期経営計画 2022-24」について

当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を、2019年4月に制定しております。当ビジョンでは

・「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ

・「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ

・「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ

を10年後の当社グループのありたい姿と定め

「営業利益率7%以上」「ROE10%以上」「海外売上高比率15%以上

を2029年3月期の数値目標に設定いたしました

 

 

この考えのもと、2025年3月期までの3年間の「中期経営計画 2022-24」では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し

・「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現

・「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化

・「効率性を重視した財務戦略

の3つを基本方針に定め、取り組んでいます。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのテーマにより2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めております

中期経営計画の最終年度(2025年3月期)の数値目標については、売上高5,400億円、営業利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益160億円、売上高営業利益率4.6%、ROE(自己資本利益率)6%、海外売上高比率13%としています

 

(資料1)「中期経営計画 2022-24」全体像

 

※画像省略しています。

 

(資料2)「サステナビリティ中長期計画2030」

 

※画像省略しています。

 

 

中期経営計画の基本方針の1つ目であります「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」におきましては、前中期経営計画でのBtoC事業とウェルネス事業を統合し、①栄養・機能性食品事業、②主力食品事業として再構成、③BtoB事業、④海外事業を含め新たな4本の柱を設定いたしました。4本の柱それぞれを拡大させるとともに、特に「健康5領域」商品の拡大による横断的な健康価値提供の加速、当社独自の機能性素材・菌体の再飛躍、海外事業のポートフォリオ変革を進めております。事業活動を通じ「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を提供し、生活者の「健康」と「幸せ」に貢献してまいります。

基本方針の2つ目であります「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」におきましては、構造改革、戦略投資、資産活用の観点からそれぞれ取り組みを進めております。構造改革として、外部環境変化への耐性強化などに取り組んでおります。戦略投資として、研究開発機能の強化や、10年ビジョンを見据えた成長投資・環境関連投資などを進めております。資産活用の観点では、知的財産基盤の強化や、国産乳資源活用の推進を図っております。

基本方針の3つ目であります「効率性を重視した財務戦略」におきましては、成長投資の戦略的な実行、株主還元と財務体質にも留意した資金活用を目指すとともに、合わせて資本効率の視点を重視したROE改善を進めております。また、株主還元につきましては、引き続き安定的かつ長期的な配当を実施することを基本方針とし、配当性向の目標はこれまでの20%から30%に引き上げてまいります。合わせて総還元性向も意識した対応を実施してまいります。なお、保有する自己株式につきましては、基本的には消却いたしますが、将来の柔軟な資本政策に備えて一部を保有いたします。この考えのもと、2023年5月に「自己株式取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ」を発表し、同年11月に「自己株式の取得状況および取得終了に関するお知らせ」および「自己株式の消却に関するお知らせ」を発表しております。

 

当期の主な取り組み事項

当期は、「中期経営計画2022-24」の達成に向けた重要な1年と位置付けております。引き続き各取り組みを推進し、激変する環境に対応しながら、さらなる企業体質および事業の強化に努めてまいります

原料乳・原材料・エネルギーコスト上昇への対応

- 価格改定、プロダクトミックス改善、合理化などあらゆる対応によりコスト上昇の影響を最小限に抑制

「中期経営計画 2022-24」「サステナビリティ中長期計画2030」に沿った取り組みの推進

- 当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を追求した、お客さまのニーズに応える商品・高付加価値商品の提供とその価値訴求

- 栄養・機能性食品事業を中心に、ヨーグルトや機能性素材を始めとするさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大

- 海外事業のさらなる成長に向けた取り組みの推進

- 当社グループの基盤となる主力食品事業の収益基盤の強化、BtoB事業(業務用乳製品)の回復

- 経営基盤のさらなる強化に向けた成長分野への投資

2024年以降稼働予定:神戸工場製造棟増築、ほか

- 株主還元の強化

2023年5月発表:「自己株式取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ」

- サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み

本業を通じた健康への貢献、気候変動・プラスチック問題など環境課題への対応、人権・多様性への配慮、グループ全体のサステナビリティ意識の浸透など

 

 

これらの結果、当社グループの連結売上高は増収となりました。栄養・機能性食品事業および主力食品事業においては、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジ、チーズ、牛乳、デザートなどの価格改定や、機能性ヨーグルト、「マウントレーニア」、アイスなどの高付加価値商品の提供に努めました。また、価格改定や消費活動回復によるBtoB事業の増収、新規連結した海外子会社の寄与など海外事業の拡大、国内子会社の拡大もあり、全体では増収となりました

連結の利益面では、原材料価格や各種オペレーションコストを中心に、引き続きさまざまなコストアップの影響を受けました。特に原材料については、2023年4月に乳製品向け、8月に飲用・発酵乳用途向け、12月にバター向けおよびクリーム向けの生乳取引価格の引き上げが行われました。また、2023年4月に実施した東京工場跡地売却にかかる一時的な税負担や、M&Aによるのれん償却費の増加など、新たなコストアップも発生しております。これに対し、価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進いたしました。これまでの取り組みをさらに推進させることに努めた結果、当第3四半期連結累計期間においては増益となりました。なお、海外事業は前期に大きく拡大したMILEI社の反動減などがあり減益となりましたが、引き続き中長期での成長を目指した取り組みを進めております

なお、東京工場跡地売却による特別利益として第1四半期に657億円を計上したこともあり、親会社株主に帰属する四半期純利益は62,798百万円、前年比417.8%増と大幅増益となりました。

 

 

連結売上高

423,241百万円

(前年比

4.4%増)

連結営業利益

28,015百万円

(前年比

36.9%増

連結経常利益

28,572百万円

(前年比

32.7%増

親会社株主に帰属する四半期純利益

62,798百万円

(前年比

417.8%増

 

   (その他重要経営指標)

売上高営業利益率                      6.6

  ROE(自己資本利益率)                25.1

  海外売上高比率                       11.4

 

セグメント別の状況は、次のとおりです。

                                                     (単位:百万円)

 

売上高

前年比

営業利益

前年比

 

当期

前期

 

当期

前期

 

食品事業

404,739

387,260

+4.5%

35,644

27,223

+30.9

その他の事業

22,428

22,771

1.5

1,402

1,637

14.4

消去または全社

3,926

4,807

 

9,031

8,401

 

合計

423,241

405,224

+4.4%

28,015

20,460

+36.9

 

食品事業:市乳、乳製品、アイス、飲料など

その他の事業:飼料、プラント設備の設計施工など

 

 

  (参考)「中期経営計画 2022-24」における事業分野別(4本の事業の柱)業績概況

   栄養・機能性食品事業:ヨーグルトは価格改定に取り組んだほか、健康志向の高まりを背景に「ビヒダスヨーグルト」や「パルテノ」が好調に推移し、機能性ヨーグルトの拡大にも継続して注力しました。また、育児用ミルクなどの栄養食品、流動食などを扱うクリニコ社の寄与もあり、事業全体では増収となりました

利益面では、原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、価格改定やプロダクトミックスの改善、コスト削減などに努め、増益となりました

栄養・機能性食品事業 売上高

96,812百万円

(前年比

2.8%増)

栄養・機能性食品事業 営業利益

6,183百万円

(前年差

1,389百万円増)

 

 

 主力食品事業:原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、ビバレッジ、チーズ、牛乳、デザートなどの価格改定や、「マウントレーニア」、アイスなどの高付加価値商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、コスト削減などに努め、事業全体では増収増益となりました

主力食品事業 売上高

137,439百万円

(前年比

3.3

主力食品事業 営業利益

10,077百万円

(前年差

3,964百万円

 

 

 BtoB事業:原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、構成比の高い業務用乳製品において、消費動向の回復に応じた拡販や価格改定を進め、事業全体でも増収増益となりました。また、健康ニーズの高まりから、当社の保有する菌体をはじめとする機能性素材への高い関心も継続しております。

BtoB事業 売上高

73,644百万円

(前年比

3.9%増)

BtoB事業 営業利益

3,917百万円

(前年差

2,605百万円

 

 

 海外事業:輸出事業や、大きく拡大した前期からの反動減もあったMILEI GmbH(ミライ社)は減収となりましたが、M&Aにより新たに連結子会社となったNutriCo Morinaga (Pvt.) LTD.(ニュートリコ モリナガ社)、Turtle Island Foods, Inc.(タートル アイランド フーズ社)、Morinaga Le May Vietnam Joint Stock Company(モリナガ ル マイ社)の寄与もあり事業全体では増収となりました。

利益面では、MILEI社の反動減や原材料価格の上昇の影響、M&Aによるのれん償却費の増加などがあり、事業全体では減益となりました

海外事業 売上高

48,359百万円

(前年比

6.6%増)

海外事業 営業利益

4,899百万円

(前年差

1,765百万円

 

 

2.経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。

また、会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

 

4.研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、40億3千2百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

5.財政状態

(1) 貸借対照表の状況

当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、流動資産の「その他」は減少した一方、「現金及び預金」や「受取手形、売掛金及び契約資産」が増加したことなどから、合計では前連結会計年度末に比べ、852億6千9百万円増5,727億1千1百万円となりました。

負債の部は、「コマーシャル・ペーパー」は減少した一方、「未払法人税等」が増加したことなどから、合計では前連結会計年度末に比べ、306億9千8百万円増2,898億9千1百万円となりました。

純資産の部は、「利益剰余金」の増加などにより、合計では前連結会計年度末に比べ545億7千1百万円増2,828億2千万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の45.7%から48.5%となりました。

 

(2) 財務政策

当社グループは、資金調達に際しては、内部資金を基本としながら、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行などの外部からの資金も利用しております。外部からの資金調達につきましては、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案してバランスのとれた調達を実施しております。なお、当社(提出会社)は機動的な資金調達および当社グループ全体の資金効率アップのため、金融機関11行と総額200億円のコミットメントライン契約を締結しております。調達した資金につきましては、経常設備投資および成長投資への支出と、財務安定性を維持(有利子負債コントロール)することにより基盤確保した上で、株主還元へ振り分けております。