明治ホールディングス株式会社

ブランドなど:おいしい牛乳R-1SAVAS
食料品食品製造プライムTOPIX Mid400

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E21902 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。

 

1.経営成績の分析

   (単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属

する四半期純利益

1株当たり

四半期純利益

(円 銭)

当第3四半期

連結累計期間

833,003

 69,712

 68,308

 44,946

161.13

前第3四半期

連結累計期間

798,083

 64,739

 66,377

 47,283

168.12

前年同期比

(%)

104.4

107.7

102.9

95.1

-

(注)当社は、2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり四半期純利益を算定しております。

 

 当社グループは「2023中期経営計画」の基本コンセプトである「明治ROESG®※経営の実践」に基づき、利益成長とサステナビリティ活動の同時実現に向けて取り組んでいます。

重点課題は以下のとおりです。

1.事業戦略

(食品セグメント)  (1)コア事業の成長力の回復

           (2)海外展開の強化

(医薬品セグメント) (1)ワクチン事業の強化

           (2)受託製造/受託製造開発(CMO/CDMO)事業の強化

(グループ全体)      新領域への挑戦

2.ROICの活用による経営管理体制強化

3.成長投資の継続と強固な財務基盤構築の両立

4.サステナビリティ2026ビジョンの着実な実行

 ※「ROESG」は一橋大学・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。

 

 2024年3月期は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和や賃金上昇などにより、人流および景気の緩やかな回復が期待されますが、国内の生乳取引価格や円安進行にともなう原材料価格およびエネルギーコストの上昇が続き、当社グループ業績にも影響する見通しです。

 食品セグメントでは、原材料価格およびエネルギーコストの上昇に対して、価格改定などによりコスト上昇分を吸収します。また、価格改定による数量減の影響を最小限にとどめるべく、主力商品の価値訴求強化や積極的なマーケティング活動に取り組みます。加えて、海外では引き続き中国における生産販売能力を強化し、販売エリア拡大と高付加価値商品の売上拡大を目指します。米国においても、チョコレートスナックを中心に販路を拡大していきます。

 医薬品セグメントでは、感染症領域に経営資源を集中し、ワクチンと感染症薬のトップ企業としての競争優位性確立に取り組みます。新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン(レプリコン)と不活化ワクチンの開発を進めるとともに、他のパイプラインの開発加速にも取り組みます。また、海外では、CMO/CDMO事業の強化・拡大に注力します。インドに完成した新製造棟における商業出荷に向けた準備を確実に進めるほか、生産性の向上にも取り組みます。

 

 当第3四半期連結累計期間の売上高は 8,330億3百万円(前年同期比 4.4%増)、営業利益は 697億12百万円(同 7.7%増)、経常利益は 683億8百万円(同 2.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 449億46百万円(同 4.9%減)となりました。

 

 当社の事業子会社であるKMバイオロジクス株式会社とMeiji Seika ファルマ株式会社では、新型コロナウイルス感染症に対する不活化ワクチンの開発を進めています。第3相臨床試験(国際共同、成人40歳以下)を2022年4月に、また国内小児第3相臨床試験(6か月以上12歳未満)を2023年1月に、それぞれ開始しました。また、2023年12月に、承認に向けた最終段階となる変異株対応の国内小児第3相臨床試験(6か月以上13歳未満)を開始しました。

 2023年4月に、Meiji Seika ファルマ株式会社は、新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン(レプリコン)「コスタイベ筋注用」について、全世界における権利を保有するCSL Limitedの子会社であるCSL Seqirusと日本での供給・販売提携に関する契約を締結しました。同ワクチンについては、2023年11月に「SARS-CoV-2による感染症の予防」を適応とした成人の初回免疫および追加免疫における国内製造販売承認を取得しました。

 2023年9月には、新型コロナウイルスの起源株およびオミクロンBA.4-5株に対応する2価レプリコンワクチン「ARCT-2301」の追加免疫国内第3相臨床試験を開始しました。「ARCT-2301」を用いた臨床試験を通じてオミクロン株に対する免疫原性と安全性を確認するとともに、並行して今後の新規変異株に対応した次世代mRNAワクチン(レプリコン)の実用化を目指します。

 アストラゼネカ株式会社が日本へ導入している新型コロナウイルスワクチンについて、Meiji Seika ファルマ株式会社は安全性情報収集の業務を第2四半期連結累計期間まで実施しました。

 

セグメントの業績は、次のとおりです。

                                   (単位:百万円)

 

報告セグメント

合計

食品

医薬品

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

増減

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

増減

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

増減

売上高

649,939

679,495

29,555

148,701

154,087

5,386

798,640

833,582

34,941

セグメント

利益

45,125

48,659

3,534

21,037

22,800

1,762

66,163

71,460

5,297

(注)売上高、セグメント利益は、セグメント間の取引を消去する前の金額によっております。

 

セグメント別、事業別の概況は次のとおりです。

 

(1)食品

当セグメントには、ヨーグルト・チーズ事業 (プロバイオティクス、ヨーグルト、チーズ)、ニュートリション事業(乳幼児ミルク、スポーツ栄養、流動食、美容)、チョコレート・グミ事業、牛乳事業、業務用食品事業、フローズン・調理食品事業 (アイスクリーム、調理食品、バター・マーガリン類)、海外事業(海外子会社、輸出)、その他・国内子会社 (国内独立系子会社、キャンデー、OTC)による製造・販売、運送等が含まれております。

 

売上高は、価格改定効果もあり前第3四半期連結累計期間を上回りました。全ての事業で前第3四半期連結累計期間を上回り、特に業務用食品事業や海外事業は大幅に上回りました。

セグメント利益は前第3四半期連結累計期間を上回りました。価格改定効果が原材料コストの上昇や数量減の影響をカバーしました。

 

 事業別の概況は次のとおりです。

 

■ヨーグルト・チーズ事業

売上高は前第3四半期連結累計期間を上回りました。プロバイオティクスは価格改定効果に加え、新商品「R-1 TheGOLD」の発売により増収となりましたが、ヨーグルトはドリンクタイプの大容量品の終売の影響で減収となりました。チーズは需要拡大や販促強化により、スライスチーズを中心に伸長しました。

営業利益は前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。価格改定による数量への影響を最小化すべくマーケティング投資を強化しました。

 

■ニュートリション事業

売上高は前第3四半期連結累計期間を上回りました。乳幼児ミルクは、価格改定効果により増収となりました。外出機会の増加や災害用の備蓄需要により液体ミルク「明治ほほえみらくらくミルク」が好調に推移しました。スポーツプロテイン「ザバス」は、粉末タイプも増収となりましたが、たんぱく質配合量を20gに増量した商品の発売により、ドリンクタイプが大きく伸長しました。

営業利益は前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。

 

■チョコレート・グミ事業

売上高は前第3四半期連結累計期間を上回りました。チョコレートは、人流回復やインバウンド需要により大袋商品やナッツチョコレートが好調に推移しました。グミは、生産子会社譲渡による影響はありましたが、商品ラインアップの拡大などにより増収となりました。

営業利益は、価格改定を実施しましたが、原材料コストやマーケティング費用の増加により前第3四半期連結累計期間を下回りました。

 

■牛乳事業

売上高は価格改定効果により前第3四半期連結累計期間を上回りました。

営業利益は、価格改定効果や中小容量品の数量増の影響などにより前第3四半期連結累計期間から損失額が縮小しました。

 

■業務用食品事業

 売上高は前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。人流回復により市場が拡大し、クリームやチーズ、バターなどが伸長しました。

 営業利益は、原材料コストと減価償却費などの製造間接費が増加しましたが、価格改定効果や数量増により前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。

 

■フローズン・調理食品事業

 売上高は前第3四半期連結累計期間を上回りました。アイスクリームは、主力の「明治エッセルスーパーカップ」に加え、付加価値型商品も好調に推移しました。調理食品は、2023年2月に冷凍ピザを終売した影響により減収となりました。

 営業利益は前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。価格改定効果が原材料コストや拡売費の増加を上回りました。

 

■海外事業

売上高は、前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。中国の業務用事業や菓子事業、東南アジアや米国の子会社が好調に推移しました。

営業利益は、前第3四半期連結累計期間から損失額が拡大しました。米国の子会社は増益となりましたが、中国の子会社が大きく減益となりました。市販の牛乳・ヨーグルト事業において、競合企業対策のための拡売費が増加しました。また、2023年1月の天津工場稼働に伴い、華北エリアの新規開拓費用や減価償却費も増加しました。

 

■その他・国内子会社

売上高は前第3四半期連結累計期間を上回りました。糖類を扱う商社などが好調に推移しました。

営業利益は、原材料コストの増加による飼糧子会社の減益などにより、前第3四半期連結累計期間を大幅に下回りました。

 

(2)医薬品

当セグメントには、国内医薬品事業、海外医薬品事業、ヒト用ワクチン事業、動物薬事業(動物薬、動物用ワクチン)による製造・販売が含まれております。

 

売上高は前第3四半期連結累計期間を上回りました。国内医薬品事業と海外医薬品事業は前第3四半期連結累計期間を上回り、ヒト用ワクチン事業と動物薬事業は前第3四半期連結累計期間を下回りました。

セグメント利益は、海外医薬品事業やヒト用ワクチン事業の増益により、前第3四半期連結累計期間を上回りました。

 

事業別の概況は次のとおりです。

 

■国内医薬品事業

売上高は前第3四半期連結累計期間を上回りました。抗菌薬「スルバシリン」や「メイアクト」に加え、血漿分画製剤が増収となりました。

営業利益は、薬価改定の影響に加え、アストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンに関する受託収入の減少や研究開発費の増加により前第3四半期連結累計期間を下回りました。

 

■海外医薬品事業

売上高は前第3四半期連結累計期間を上回りました。スペインやタイの子会社が好調に推移しました。

営業利益は前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。スペインやタイの子会社の増収やインドの子会社の原価低減が寄与しました。

 

■ヒト用ワクチン事業

売上高は前第3四半期連結累計期間を下回りました。四種混合ワクチン「クアトロバック」は好調に推移しましたが、インフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチン「ビームゲン」が減収となりました。

営業利益は、生産効率化に加え、ロイヤリティ収入も寄与し、前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。

 

■動物薬事業

 売上高は、品目数削減の影響を受け前第3四半期連結累計期間を下回りました。

 営業利益は、原材料コストの増加などにより前第3四半期連結累計期間を大幅に下回りました。

 

 

 

2.財政状態の分析

〔資産〕

 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は 1兆2,359億81百万円となり、前連結会計年度末に比べて 997億63百万円増加しました。これは受取手形及び売掛金が 492億15百万円、現金及び預金が287億52百万円、建物及び構築物が157億21百万円増加したことなどによるものです。

 

〔負債〕

 当第3四半期連結会計期間末における負債合計は 4,424億97百万円となり、前連結会計年度末に比べて 575億91百万円増加しました。これはコマーシャル・ペーパーが200億円、支払手形及び買掛金が122億12百万円、短期借入金が 98億3百万円増加したことなどによるものです。

 

〔純資産〕

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は 7,934億83百万円となり、前連結会計年度末に比べて 421億71百万円増加しました。これは利益剰余金が 183億86百万円、為替換算調整勘定が 150億1百万円増加したことなどによるものです。

 なお、自己資本比率は 60.8%(前連結会計年度末は 62.7%)となりました。

 

3.キャッシュ・フローの状況                              (単位:百万円)

区 分

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

36,694

64,537

27,842

投資活動によるキャッシュ・フロー

△41,796

△29,422

12,373

フリー・キャッシュ・フロー

△5,101

35,114

40,216

財務活動によるキャッシュ・フロー

21,300

△10,555

△31,855

現金及び現金同等物に係る換算差額

4,837

3,011

△1,825

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

21,035

27,571

6,535

現金及び現金同等物の期首残高

64,872

60,939

△3,933

現金及び現金同等物の四半期末残高

85,908

88,510

2,601

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増減額が減少した一方、棚卸資産の増減額や法人税等の支払額の減少、税金等調整前四半期純利益の増加などにより、前第3四半期連結累計期間より 278億42百万円収入増の 645億37百万円の収入となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の売却による収入が減少した一方、有形固定資産の取得による支出の減少、投資有価証券の売却による収入の増加などにより、前第3四半期連結累計期間より 123億73百万円支出減の 294億22百万円の支出となりました。

 これにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は前第3四半期連結累計期間より 402億16百万円収入増の351億14百万円の収入(前第3四半期連結累計期間は 51億1百万円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額の減少や社債の償還による支出増加などにより、前第3四半期連結累計期間より 318億55百万円支出増の 105億55百万円の支出(前第3四半期連結累計期間は 213億円の収入)となりました。

 これらの結果、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は 885億10百万円となりました。

 

4.経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

5.会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

6.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

7.研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は242億61百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

8.従業員数

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員の状況に重要な変動はありません。

 

9.生産、受注及び販売の実績

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。

 

10.主要な設備

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの主要な設備に関し、著しい変動及び変更はありません。