コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス株式会社

食料品飲料プライムTOPIX Mid400

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00417 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

当第1四半期における国内の清涼飲料市場は、前期に実施された清涼飲料各社の価格改定による需要へのマイナス影響があったものの、継続する人出の増加等を背景に、数量ベースで前年同期比3%程度増加したものとみられます。また、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安などが消費行動やビジネスに影響を及ぼすなど、事業環境は引き続き不透明な状況で推移いたしました。

このようななか、当社は、中期経営計画「Vision 2028」の初年度である2024年を「力強く利益を積み上げる年」と位置づけ、利益の最大化を軸としたトップライン成長戦略の実行や、全社横断的な変革の推進によるコスト削減、事業基盤のさらなる強化などに取り組んでまいりました。営業分野では、これまで実施してきた一連の価格改定後の製品価格の維持に努めるとともに、新製品の展開や売場の拡大、効果的なマーケティング活動の実施などに取り組んでまいりました。また、2024年5月1日出荷分より実施の一部製品の価格改定の円滑な実施に向け、カスタマーとの交渉を進めてまいりました。製造・物流分野では、消費地に近い工場での製品製造をコンセプトとした「地産地消モデル」の推進に取り組んでまいりました。製造キャパシティの拡大や柔軟な製造体制の構築を図るとともに、メガDC(Distribution Center)の活用を含めた物流ネットワークの改善などに取り組み、コストの削減とサプライチェーン基盤の強化に努めてまいりました。バックオフィスおよびITの分野では、業務プロセスの標準化や自動化のさらなる推進に取り組んでまいりました。また、2024年1月4日付でアクセンチュア株式会社との合弁会社「ネオアーク株式会社」を設立し、データドリブン経営のさらなる推進に向けた取り組みを開始いたしました。

社会との共創価値に基づくESG目標の実現に向けた活動にも継続して注力してまいりました。水資源保全やPETボトルリサイクルの強化に関し、カスタマーや行政との協業の取り組みを拡大し、循環型社会形成による環境負荷の低減や協業を通じたビジネス機会の拡大を図ってまいりました。社外からの評価としては、国際的な非営利団体であるCDPから、2023年度「サプライヤー・エンゲージメント評価」において最高評価「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定されるとともに、サスティナビリティー調査の「気候変動」および「水セキュリティ」の両分野において最高評価「Aリスト」企業に選定されました。また、DE&I(Diversity, Equity & Inclusion)推進の取り組みが評価され、2024年2月に「Morningstar日本株式ジェンダー・ダイバーシティ・ティルト指数(除くREIT)」の構成銘柄に選定されました。

 

 

業績の概要

単位:百万円、販売数量を除く

 

2023年
第1四半期
(1-3月)

2024年

第1四半期

(1-3月)

増減率

(%)

売上収益

182,063

186,528

2.5

 販売数量(百万ケース)

103

104

0

売上総利益

78,741

81,441

3.4

販売費及び一般管理費

88,002

89,288

1.5

その他の収益(経常的に発生した収益)

186

287

54.1

その他の費用(経常的に発生した費用)

369

302

△18.0

持分法による投資利益

8

16

111.2

事業損失(△)

△9,437

△7,847

その他の収益(非経常的に発生した収益)

1,123

5,412

382.1

その他の費用(非経常的に発生した費用)

846

635

△25.0

営業損失(△)

△9,160

△3,070

親会社の所有者に帰属する四半期損失(△)

△6,459

△2,897

 

 

*事業損失(△)は、事業の経常的な業績をはかるための指標であり、売上収益から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除するとともに、その他の収益およびその他の費用のうち経常的に発生する損益を加減算したものです。

*販売数量について、一部製品の集計範囲および区分等の変更にともない、2023年の実績値を遡って修正しております。

 

連結売上収益は186,528百万円(前年同期と比べ4,465百万円2.5%増加)となりました。前期に実施した価格改定や3月の天候不順による需要へのマイナス影響があったものの、人出増加により高まる需要を取り込むべく、新製品の展開や売場の拡大、効果的なマーケティング活動などに取り組んだことにより、販売数量は前年同期並みとなりました。また、一連の価格改定の効果として、ケース当たり納価は改善しており、売上収益は前年同期を上回る結果となりました。

連結事業利益は、前年同期と比べ1,590百万円増加(損失が減少)し、7,847百万円の損失(前年同期は9,437百万円の損失)となりました。トップライン成長による利益貢献に加え、変革を通じたサプライチェーンおよびバックオフィスの分野でのコスト削減や、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安などにより増加するコストを前年同期以下に抑制できたことなどが、収益性の改善に貢献いたしました。

連結営業利益は、前年同期比6,090百万円増加(損失が減少)し、3,070百万円の損失(前年同期は9,160百万円の損失)となりました。これは、主に、事業利益が前年同期と比べ増加(損失が減少)したことに加え、有形固定資産売却益によりその他の収益(非経常)が増加したことによるものです。なお、その他の収益(非経常)は、バランスシートの最適化を進める過程で計上した有形固定資産売却益5,412百万円です。また、その他の費用(非経常)には、抜本的な変革の実行に係る事業構造改善費用367百万円などが含まれております。

親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益が前年同期と比べ増加(損失が減少)したことなどから、前年同期と比べ3,563百万円増加(損失が減少)し、2,897百万円の損失(前年同期は6,459百万円の損失)となりました。

 

 

<販売数量動向(増減率は前年同期比)>

当第1四半期の販売数量は、2023年10月に実施した大型PETボトル製品等の価格改定や3月の天候不順による需要へのマイナス影響があったものの、継続する人出の増加や効果的な営業施策の貢献により、前年同期並みとなりました。また、ケース当たり納価は、一連の価格改定により改善傾向が継続いたしました。

チャネル別では、スーパーマーケットは、主力製品を中心とした売場獲得活動やキャンペーン実施に取り組んだものの、前期に実施した価格改定や3月の天候不順の影響を受け、販売数量は大型PETボトル製品を中心に減少し、11%減となりました。ドラッグストア・量販店においても、価格改定等の影響を受け、販売数量は6%減となりました。ベンディングでは、3月の天候不順の影響を受けるなか、これまで構築してきたシェア基盤に加え、スマホアプリ「Coke ON」でのキャンペーンの実施や「QR de決済」の展開拡大といったデジタル活用による需要の取り込み策などが奏功し、販売数量は1%増となりました。コンビニエンスストアでは、厳しい競争環境は継続したものの、売場獲得活動やデジタルを活用したマーケティング施策の効果により、販売数量は8%増となりました。リテール・フードサービスでは、飲食店や娯楽施設等における人出の回復などにより、販売数量は7%増となりました。オンラインでは、競争環境の厳しさが続くなか、チャネル特性に合わせた品揃えの強化や、カスタマーと連携したプロモーションの実施などが奏功し、販売数量は23%増となりました。

清涼飲料の製品カテゴリー別では、炭酸は、飲食店やオンライン等で「コカ・コーラ」が増加したものの、大型PETボトル製品を中心に価格改定の影響を受け数量が減少し、販売数量は前年同期並みとなりました。茶系は、「紅茶花伝」や「綾鷹」の数量増加が貢献し、販売数量は2%増となりました。コーヒーは、2023年5月の缶製品の価格改定の影響を受けるなか、「ジョージア」および「コスタコーヒー」の主力製品のリニューアルや、家庭内需要の獲得に向けた中型PETボトル製品の展開等が貢献し、販売数量は前年同期並みとなりました。スポーツは、小型および中型PETボトル製品は成長したものの、価格改定の影響により大型PETボトル製品の数量が減少し、販売数量は2%減となりました。水の販売数量は、スポーツ同様、大型PETボトル製品の数量減少が響き、6%減となりました。果汁は、飲食店やベンディング等での成長に加え、新製品「ミニッツメイド Qoo 白ぶどう」の貢献もあり、販売数量は11%増となりました。

アルコールカテゴリーは、「檸檬堂」のリニューアルや、ノンアルコール飲料「よわない檸檬堂」の販売強化に取り組んだものの、競争環境等の影響により、販売数量は9%減となりました。

 

(2) 財政状態の状況

総資産は830,376百万円となり、前連結会計年度末(以下「前期末」)と比べ14,456百万円減少しました。これは主に「現金及び現金同等物」や「有形固定資産」が減少したことによるものです。

負債合計は366,190百万円となり、前期末と比べ8,621百万円減少しました。これは主に「未払法人所得税」が減少したことによるものです。

資本合計は464,186百万円となり、前期末と比べ5,835百万円減少しました。これは主に配当金支払い等により「利益剰余金」が減少したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第1四半期における各キャッシュ・フローの状況等につきましては、次のとおりであります。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フローは、7,977百万円の支出(前年同期は8,062百万円の収入)となりました。これは、税引前四半期損失を計上したことや「その他の負債の減少」等があったことによるものです。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは、2,298百万円の収入(前年同期は8,062百万円の支出)となりました。これは、「有形固定資産、無形資産の取得による支出」があった一方で、「有形固定資産、無形資産の売却による収入」があったことによるものです。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは、3,573百万円の支出(前年同期は6,295百万円の支出)となりました。これは、主に「配当金の支払額」によるものです。

以上の結果、当第1四半期末における現金及び現金同等物の残高は104,408百万円(前期末と比べ9,252百万円減少)となりました。

 

(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
① 当社グループの対処すべき課題

当第1四半期において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。

② 株式会社の支配に関する基本方針について

a.基本方針の内容

当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式の大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。

しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が事業計画や代替案等を提示するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉等を必要とするものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、①世界中の国や地域で人々に爽やかさとうるおいを届け、人々の生活スタイルの一部となっている「コカ・コーラ」ブランドを、地域社会に根付かせていくこと、②当社の掲げる企業理念を理解し、お客さまから選ばれ市場で私たちが勝利するために積極的に取り組んでいくこと、③お客さまの満足を徹底して追求していこうとする強い使命感を持った社員の存在を理解し、社員一人ひとりに報いるべく彼らが「コカ・コーラ」に誇りを持ち、誰もが働きたいと思う職場環境づくりに積極的に取り組んでいくこと、④豊かな社会の実現の一助となるよう努力を続ける企業市民としての責任感をもって地域社会への貢献ならびに環境問題への積極的な取り組みを行うこと、これらを十分に理解し、ステークホルダーであるお客さま、お得意さま、株主のみなさま、社員との信頼関係を維持し、ステークホルダーのみなさまの期待に応えていきながら、中長期的な視点に立って当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる者でなければならないと考えております。

したがって、当社としてはこのような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による当社株式の大量買付に対しては必要かつ相当な対抗をすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上する必要があると考えております。

 

b.基本方針実現のための取組み

(a)基本方針の実現に資する特別な取組みの概要

当社グループは、ザ コカ・コーラ カンパニーおよび日本コカ・コーラ株式会社(ザ コカ・コーラ カンパニー100%出資)の戦略的パートナーとして、商品開発やテストマーケティングなどさまざまな取り組みを協働で展開し、日本のコカ・コーラビジネスの変革をリードする役割を担うとともに、ステークホルダーであるお客さま・お得意さま、株主のみなさま、社員から信頼される企業づくりに努めております。

清涼飲料業界においては、市場が成熟化し、大きな成長が期待できない中、清涼飲料各社間の業務提携が拡大するなど生き残りをかけた業界再編が一段と加速しており、当社を取り巻く経営環境はさらに厳しくなることが見込まれます。

このような状況の中、当社グループは、強固かつ継続的なオペレーティングモデルを確立し、重点エリアでの成功を目指すとともに、成長実現に向けビジネスを抜本的に変革し、すべてのお客さま(消費者)、お得意さまから、あらゆる飲用機会で必ず選ばれる飲料会社を目指してまいります。

 

また、当社は、ガバナンス体制の一層の強化を目指し、監査等委員会設置会社を採用しております。当社の監査を担う監査等委員会は、複数の独立社外取締役を含む社外取締役(監査等委員)のみで構成されており、この社外取締役である監査等委員が、取締役会における議決権を有していること、ならびに株主総会において取締役の指名・報酬等についての意見を陳述する権利を有していることなどにより、経営監督機能がより強化されております。また、当社は、意思決定および経営管理機能と業務執行機能を分離すべく、執行役員制度を採用しているほか、重要な業務執行の決定の一部を取締役に委任することにより、取締役会において特に重要度の高い事項についての審議をより充実させるとともに、それ以外の事項について、経営陣による経営判断の迅速化も図っております。

 

(b)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要

当社は、当社株式の大量買付けが行われた際には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。また、今後の社会的な動向も考慮しつつ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、当社取締役会が買収防衛策を再導入する必要があると判断した場合には、定款の定めに従い、株主総会において株主のみなさまにその導入の是非をお諮りいたします。

c.具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由

前記b.(a)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものであります。

また、前記b.(b)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内で、かつ株主意思を重視した具体的方策として策定されたものであるため、当社の株主共同の利益を損なうものおよび当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

(5) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

(6) 主要な設備

当第1四半期において、前期末に計画していた重要な設備の新設について完了したものは次のとおりであります。

会社名

事業所名

(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

金額

(百万円)

完了年月

コカ・コーラボトラーズジャパン(株)

各支店
(-)

飲料事業

自動販売機、

クーラー等

3,986

2024年3月

 

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。