E03345 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、前連結会計年度末より、IFRSに準拠した連結財務諸表を開示しており、前第3四半期連結累計期間の数値もIFRSベースに組み替えて比較・分析を行っております。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間(2023年3月1日から2023年11月30日までの9か月間)におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されるなどアフターコロナへの移行が進む中で、グループ一丸となって中期経営ビジョン「ローソングループ Challenge 2025」の実現に向けて取り組みました。具体的には、2020年9月に立ち上げたローソングループ大変革実行委員会の各種施策を推進するとともに、グループ全体で持続的な成長に向けた中長期課題の解決、新たな収益機会の獲得及び働きがいの向上に取り組むとともに、多様な人財が活躍する職場環境や体制づくりのため、各種LGBTQ施策を導入し、「PRIDE指標2023」*1において「ゴールド」を受賞しました。また、「地域密着×個客・個店主義」の実現に向けてカンパニー制を全国8エリアに拡大し、よりお客さまに近い現場で顧客価値の創造を徹底追求する体制を強化するために権限及び機能を本部から現場に移行し、各種施策を推進しております。
*1 一般社団法人work with Prideが2016年に策定した、職場におけるLGBTQ+などのセクシュアル・マイノリティへの取り組みの評価指標です。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、営業収益8,141億43百万円(前年同期比9.0%増)、税引前四半期利益678億29百万円(同43.9%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益458億82百万円(同48.7%増)となりました。
また、2023年度内部統制システムの整備の基本方針に基づき、当社グループ全体の内部統制の充実と事業リスクへの対応にも注力してまいりました。今後ともより一層、内部統制の充実を図ってまいります。
セグメントの業績は次のとおりです。
(国内コンビニエンスストア事業)
当第3四半期連結累計期間におきましては、人流は総じて増加傾向となる中で、大変革実行委員会で進めてきた店舗改装及び冷凍食品や日用品などの日常使いの商品の拡充を基盤に、各エリアカンパニーで品揃えの「幅」と在庫の「量」にこだわった売場の強化を推進しました。前年に本格導入を開始した「無印良品」の導入店舗数は11月末日現在12,689店舗となりました。また、創立50周年を迎える2025年に向けて、「新・マチのほっとステーション」を実現するためのプロジェクト「ハッピー・ローソン・プロジェクト!(ハピろー!)」を引き続き展開し、すべてのお客さまから支持されるローソンを目指し、「圧倒的な美味しさ」「人への優しさ」「地球(マチ)への優しさ」の3つの約束を実現するための施策を推進しております。
ローソンならではのおいしくかつ健康を意識した商品の魅力を一層強化することに加えて、店舗における心のこもった接客を徹底するとともに、食品ロスやプラスチック使用量及びCO2排出量の削減といった地球環境に配慮した取り組みを継続しております。
[店舗運営の状況]
店舗運営につきましては、引き続き3つの徹底(①心のこもった接客、②マチのニーズに合った品揃えの徹底、③お店とマチをきれいにする)の強化に努めてまいりました。お客さまの生活と価値観の変化に対応した商品の品揃えを拡充し、売上向上に努めるとともに、店舗オペレーションの効率化や廃棄ロス・水道光熱費の抑制など、加盟店利益の向上に向けた取り組みを継続しております。
[商品及びサービスの状況]
人流の増加に伴いカウンターファストフード、ソフトドリンク及び米飯の売上が伸長したほか、店内調理サービス「まちかど厨房」、ベーカリーや化粧品などの売上が伸長しました。カウンターファストフードは「からあげクン」などの定番商品に加え、新商品である「Lから」の売上が好調に推移し、米飯はリニューアルした「金しゃりおにぎり」シリーズなどのおにぎりの売上が好調に推移しました。店内調理サービス「まちかど厨房」は定番商品である丼タイプに加えてセパレートタイプの弁当の売上が好調に推移しました。また、日配食品では「じゅわバタ塩メロンパン」や定番商品の販売が好調だったベーカリーが売上を牽引し、非食品では「無印良品」や人気コスメブランドと共同開発した新ブランドの化粧品の売上が伸長しました。
「Uber Eats(ウーバーイーツ)」を含む4社のフードデリバリーサービスの導入店舗数は11月末日現在で47都道府県の4,478店舗となりました。なお、「Uber Eats」では、一般用医薬品の取り扱いを20都道府県の105店舗で実施しております。
[国内コンビニエンスストア事業の商品群別チェーン全店売上高]
[店舗開発の状況]
出店につきましては、収益性を重視した店舗開発を継続しております。
当第3四半期連結累計期間における「ローソン」「ナチュラルローソン」「ローソンストア100」の国内の出店数は191店舗、閉店数は196店舗となり、11月末日現在の国内総店舗数は14,626店舗となりました*2。
高齢化や健康意識の高まりなどに対応したコンビニエンスストアモデル構築への取り組みとして、調剤薬局、ドラッグストアチェーンとの提携により、一般用医薬品や調剤薬品を取り扱うとともに、通常のローソンよりも化粧品、日用品などの品揃えを増やしたヘルスケア強化型店舗を継続して展開しております。このヘルスケア強化型店舗も含めた一般用医薬品の取扱店舗数は、11月末日現在で309店舗(うち、調剤薬局併設型店舗数は45店舗)となりました。また、介護拠点併設型店舗数は、11月末日現在で19店舗となりました。さらに、病院内コンビニエンスストアとして、コンビニエンスストアの標準的な商品やサービスに加え、医療衛生・介護関連用品などの品揃えを強化した「ホスピタルローソン」の展開は、11月末日現在で338店舗となりました。引き続き、これまで培った病院内コンビニエンスストアのノウハウを生かし、病院に関わるあらゆる人々の生活をサポートしてまいります。
美しく健康で快適なライフスタイルを身近でサポートするお店として、お客さまに支持されている「ナチュラルローソン」は、体に優しい素材を使った食品や環境に配慮した洗剤や化粧品などを厳選し、「ナチュラルローソン」にしかないこだわりと価値のある商品を取り揃えております。また、「ローソンストア100」は鮮度にこだわった安心・安全で良質な野菜や果物と日常生活に密着した商品を取り揃え、「献立応援コンビニ」として、毎日の食生活を応援しており、単身者・主婦を中心に、お子さまからご高齢の方まで幅広いお客さまにご利用いただいております。11月末日現在で「ナチュラルローソン」の店舗数は131店舗、「ローソンストア100」の店舗数は648店舗となりました。
*2 出店数、閉店数、国内総店舗数には、当社の運営する店舗のほか、株式会社ローソン高知、株式会社ローソン南九州、株式会社ローソン沖縄の運営する店舗を含めております。
[国内店舗数の推移]
[国内地域別店舗分布状況(2023年11月30日現在)]
(注)上記表には、当社の運営する店舗のほか、株式会社ローソン高知、株式会社ローソン南九州、株式会社ローソン沖縄の運営する店舗を含めております。
これらの結果、国内コンビニエンスストア事業の営業収益は5,654億34百万円(前年同期比8.0%増)、セグメント利益は563億7百万円(同33.8%増)となりました。
(成城石井事業)
株式会社成城石井は経営理念「食にこだわり、豊かな社会を創造する。」のもと、こだわりのある独自性の高い食品をお客さまに提供しております。路面、駅ビル、商業施設などに、多様な店舗フォーマットを展開し、高い商品開発力を生かしたオリジナル商品、自家製商品などで「成城石井」ブランドをお客さまにお届けしております。11月末日現在の株式会社成城石井の直営店舗数は181店舗となりました。コロナ禍で売上が伸び悩んでいたオフィス店舗の売上が回復し、商品では日配食品や自社のセントラルキッチンで製造している自家製惣菜の売上が堅調に推移したほか、路面店舖を中心に青果、精肉、鮮魚などの生鮮品の売上も伸長しました。また、11月には1号店である成城店を新たな旗艦店として全面リニューアルしております。今後も、情報発信型製造小売業として、価値ある商品の持続的な開発や、魅力ある販促・広報活動を推進し、「成城石井」のブランド力の向上に努めてまいります。
これらの結果、成城石井事業の営業収益は819億2百万円(前年同期比1.0%増)、セグメント利益は87億16百万円(同6.8%減)となりました。
(エンタテインメント関連事業)
株式会社ローソンエンタテインメントにつきましては、チケット事業におきまして、コンサート、レジャーなどのジャンルが活況となりました。加えて各ジャンルで案件獲得及び販売強化に注力した結果、チケットの取扱高は前年同期を上回りました。音楽・映像ソフトの専門店「HMV」などの店舗における物販事業は、人流の増加による売上伸長に加えコンサートやイベントの開催増加に伴い関連商品が売上を牽引しました。EC事業におきましてはアーティストグッズなどに加えコスメなどの商材領域の拡大にも取り組んでおります。なお、「HMV」を中心に、書籍・CD・DVDなどを販売する複合店「HMV&BOOKS」やレコード専門店「HMV record shop」を含め、11月末日現在の店舗数は52店舗となりました。
シネコン事業を行うユナイテッド・シネマ株式会社につきましては、春の大型連休や夏休みに続き集客力の高い話題作品が公開されたことや、高単価の体感型映画上映システムの作品が好調だったことなどから、動員客数及び売上が前年同期を上回りました。11月末日現在、全国43劇場、398スクリーンを展開しております。
これらの結果、エンタテインメント関連事業の営業収益は608億17百万円(前年同期比13.2%増)、セグメント利益は53億16百万円(同24.5%増)となりました。
(金融関連事業)
金融関連事業につきましては、株式会社ローソン銀行のATMネットワークやATMの基盤を活用した新しいサービスの拡充に努めてまいりました。11月末日現在、全国のATM設置台数は13,579台、1日1台当たりのATM平均利用件数は55.7件、提携金融機関数は全国で391金融機関となりました。また、ATMでの現金チャージの提携先は5社、「スマホATM(QR入出金)*3」の提携先は8社、「即時口座決済サービス*4」の提携先は24社(金融機関18行、サービス事業者6社)、海外送金専用カードの提携先は11社となりました。現金の入出金に加え、キャッシュレス決済サービスへのチャージ取引などがATM利用件数の増加に寄与しております。また、ローソン銀行ATMでの入出金取引後にPontaカードを読み取ることでPontaポイントがたまる「ローソン銀行ATM Pontaポイントたまるサービス(愛称:ぽんたまATM)」を10月から開始しております。
株式会社ローソン銀行が発行するクレジットカード「ローソンPontaプラス」につきましては、ローソンやPonta提携店舗で利用できるメリットを訴求することにより、会員数の拡大と利用の促進に継続して取り組んでおります。
*3 スマートフォンのアプリを用いてATMでカードを使わずに入出金、カードローンの借入れ、返済ができるサービスです。
「スマホATM」は株式会社セブン銀行の登録商標です。
*4 ATMネットワークを活用して金融機関口座からスマートフォンなどの決済アプリにチャージできるサービスです。
これらの結果、金融関連事業の営業収益は267億67百万円(前年同期比2.9%増)、セグメント利益は23億85百万円(同20.1%減)となりました。
(海外事業)
海外事業につきましては、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、米国ハワイ州におきまして、各地域の運営会社が「ローソン」店舗を展開しております。
中国につきましては、8月に6,000店舗を突破し、11月末日現在の店舗数が6,251店舗と前期末比で631店舗の純増となりました。当社子会社による出店に加え、各都市における地場小売企業とのメガフランチャイズ契約による出店や、パートナー企業が本部機能を持ち指定エリアにおける運営開発全般を担うエリアライセンス契約による出店などを進め、出店エリアと店舗数の拡大を加速させております。前年末から1月初旬にかけての新型コロナウイルス感染症拡大のピークが過ぎ、回復の度合いに地域差はあるものの人流の回復とともに日販が伸長しました。今後も当社の強みである米飯、デザートなど高品質なオリジナル商品を提供し、中国におけるローソンブランドの価値を高めるとともに、デリバリー事業を強化するなど、収益拡大に取り組んでまいります。
中国以外の地域につきましては、各国での新型コロナウイルス感染症に関する行動規制の撤廃及び緩和による人流回復などの影響により売上が伸長しました。店舗出店加速の体制も整いつつあり、タイ・インドネシア・フィリピン・米国(ハワイ州)の4か国合計で11月末日現在の店舗数が964店舗と前期末比で424店舗純増し、当地域では過去最大の出店を実現しております。今後もお客さまの暮らしを支える最も身近な店舗として営業し、更なる収益拡大に取り組んでまいります。
[海外地域別ローソンブランド店舗分布状況]
これらの結果、海外事業の営業収益は881億24百万円(前年同期比27.2%増)、セグメント利益は25億11百万円(前年同期はセグメント損失34億88百万円)となりました。
(2) 財政状態
流動資産は、前連結会計年度末に比べ25億94百万円増加し、6,824億34百万円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権が155億38百万円増加、棚卸資産が38億4百万円増加、現金及び現金同等物が113億86百万円減少、ファイナンス・リース債権が58億47百万円減少したことによるものです。非流動資産は、前連結会計年度末に比べ204億73百万円増加し、1兆5,830億56百万円となりました。これは主に、有形固定資産が94億85百万円増加、無形資産が88億4百万円増加、差入保証金が48億30百万円増加、繰延税金資産が38億80百万円減少したことによるものです。この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ230億68百万円増加し、2兆2,654億90百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ766億12百万円増加し、9,818億92百万円となりました。これは主に、その他の金融負債が1,335億83百万円増加、預り金が564億24百万円減少したことによるものです。非流動負債は、前連結会計年度末に比べ835億74百万円減少し、9,997億9百万円となりました。これは主に、借入金が799億25百万円減少、リース負債が54億2百万円減少したことによるものです。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ69億61百万円減少し、1兆9,816億1百万円となりました。
資本は、前連結会計年度末に比べ300億30百万円増加し、2,838億88百万円となりました。これは主に、利益剰余金が266億17百万円増加、その他の資本の構成要素が27億6百万円増加したことによるものです。この結果、親会社所有者帰属持分比率は12.3%(前連結会計年度末は11.1%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ113億86百万円減少し、3,881億36百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に銀行業におけるコールマネーの純増減、預り金の増減額、営業債権及びその他の債権の増減額、法人税等の支払額、営業債務及びその他の債務の増減額の増減影響などにより、前第3四半期連結累計期間と比べ905億30百万円増加し、3,012億59百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資の売却、償還による収入の減少、無形資産の取得による支出の増加、差入保証金の差入による支出の増加などにより、前第3四半期連結累計期間と比べ152億66百万円支出が増加し、△500億21百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出の増加、借入れによる収入の増加などにより、前第3四半期連結累計期間と比べ719億68百万円支出が増加し、△2,637億23百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性は、新規出店、既存店舗の改装及び新規ビジネスの他、配当金の支払等に資金を充当しております。
運転資金と投資資金については営業キャッシュ・フローでの充当を基本とし、必要に応じて資金調達を実施しております。