丸善CHIホールディングス株式会社

ブランドなど:丸善ジュンク堂書店TRCMARC
小売業書店スタンダードTOPIX Small 2

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E23841 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)業績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2023年2月1日~2023年10月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の規制緩和に伴い社会経済活動の正常化が進み、加えてインバウンド需要の回復もあり、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、ウクライナ情勢の長期化及び円安の進行によりエネルギーコスト・原材料価格が高騰し、物価上昇が続くなど、経済的リスクは高く、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況のなか、当社グループでは「学びとともに生きる社会への取り組み(教育の質的向上に貢献する商品・サービスの提供、リカレント教育や社会人教育における事業開発)」「地域創生への貢献(図書館や書店を核とした地域コミュニティや学びの場づくり)」「新しい書店収益モデルの創造(非書籍商品やサービス事業の拡大、ICTを活用した業務効率化による収益力強化)」を主要戦略テーマに生活者の知的文化的生活に貢献する新たな付加価値の創造に取り組んでおります。

 当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、図書館サポート事業が伸長し、店舗・ネット販売事業においては書籍、文具・雑貨の販売が堅調に推移したことに加え、新業態の出店拡大に取り組んだ結果、売上高は1,230億69百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は21億67百万円(前年同期比13.3%増)、経常利益は22億46百万円(前年同期比22.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は12億58百万円(前年同期比21.3%増)と増収増益となりました。

 なお、当社では、デジタル化や人口減少など大きく変容する社会構造や、市場の変化に対して事業構造改革を推進し、あわせて資本コストや株価を意識した経営の取り組みを強化すべく、中期計画を策定中であり、2024年3月中を目途として公表の予定です。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

[文教市場販売事業]

 当事業は以下の事業を行っております。

1.図書館(公共図書館・学校図書館・大学図書館)に対する図書館用書籍の販売、汎用書誌データベース「TRC MARC」の作成・販売及び図書装備(バーコードラベルやICタグ等の貼付等)や選書・検索ツール等の提供

2.大学などの教育研究機関や研究者に対する学術研究及び教育に関する輸入洋書を含む出版物(書籍・雑誌・電子ジャーナル、電子情報データベースほか)や英文校正・翻訳サービスをはじめとする研究者支援ソリューションの提供

3.教育・研究施設、図書館などの設計・施工と大学経営コンサルティングをはじめとする各種ソリューションの提供

4.大学内売店の運営や学生に対する教科書・テキストの販売等

 

 当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、公共図書館向け書籍等販売は堅調に推移したものの、大学市場において教科書などの書籍販売及び教育・研究施設、図書館などの設計・施工の完工の減少により、売上高は367億14百万円(前年同期比3.0%減)、営業利益は23億9百万円(前年同期比0.4%減)と減収減益となりました。

 

[店舗・ネット販売事業]

 当事業は、主に全国都市部を中心とした店舗網において和書・洋書などの書籍をメインに、文具・雑貨・洋品まで多岐にわたる商品の販売を行っております。

 店舗の状況といたしましては、3月に「丸善 日吉東急アベニュー店」「丸善 ユニモちはら台店」、4月に「丸善 ジョイホンパーク吉岡店」を開店し、一方で7月に「ジュンク堂書店 大分店」、10月に「戸田書店 前橋本店」を閉店いたしました。また、株式会社駿河屋BASEが展開するリユースホビーショップ「駿河屋」にフランチャイズ加盟し2023年3月に「駿河屋新潟駅南店」、8月に「駿河屋那覇沖映通り店」を開店した結果、2023年10月末時点の店舗数は111店舗となっております。(うち1店舗は海外店(台湾)、17店舗は「丸善(MARUZEN)」「ジュンク堂書店」の店舗名ではありません。)

 当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、書籍販売が堅調に推移し、継続的に売場拡張、新商材開発を進めております文具・雑貨が好調に推移したこと、またPOP UP STOREとして「絵本の世界を楽しむことのできる空間」をコンセプトとした「EHONS HAKATA」、競技麻雀のチーム対抗戦のナショナルプロリーグ「M.LEAGUE OFFICIAL SHOP」やリユースホビーショップ「駿河屋」など新業態の出店拡大に取り組んだ結果、売上高は486億47百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益は18百万円(前年同期2億34百万円の営業損失)と増収増益となりました。

 

[図書館サポート事業]

 当事業は、図書館の業務効率化・利用者へのサービス向上の観点から、カウンター業務・目録作成・蔵書点検などの業務の請負、地方自治法における指定管理者制度による図書館運営業務、PFI(Private Finance Initiative)による図書館運営業務及び人材派遣を行っております。

 当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、図書館受託館数は期初1,786館から17館増加し、2023年10月末時点では1,803館(公共図書館600館、大学図書館240館、学校図書館他963館)となり堅調に推移しました。

 その結果、当事業の売上高は266億46百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益は22億10百万円(前年同期比25.4%増)と増収増益となりました。

 

[出版事業]

 当事業は、『理科年表』をはじめとする理工系分野を中心とした専門書・事典・便覧・大学テキストに加え、絵本・童話などの児童書、図書館向け書籍の刊行を行っております。また医療・看護・芸術・経営など多岐にわたる分野のDVDについても発売を行っております。

 当第3四半期連結累計期間につきましては、専門分野として『暗号と誤り訂正 代数学的基礎とその応用』『有機化学 改訂3版』『極論で語る緩和ケア』『食育の百科事典』『47都道府県・城下町百科』、児童書として『にじいろフェアリーしずくちゃん8 ときめきウェディング・オーディション』『なんでも魔女商会29 ナナのバッグのメタモルフォーゼ』『ちびちびうさまる みんなのおくりもの』『うさぎのあかちゃん、おうちにかえろうね』など、合計新刊132点(前年142点)を刊行いたしました。

 当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、専門書の刊行遅延により新刊刊行数が減少したこと、また前年は児童書分野で話題作があったことにより売上高は28億73百万円(前年同期比5.9%減)と減収となり、利益につきましても原価増の影響もあり営業損失49百万円(前年同期1億94百万円の営業利益)となりました。

 

[その他]

 当事業は、書店やその他小売店舗を中心に企画・設計デザインから建設工事・内装工事・店舗什器・看板・ディスプレーなどのトータルプランニング(店舗内装業)に関わる事業、図書館用図書の入出荷業務、Apple製品やパソコンの修理・アップグレード設定等の事業(株式会社図書館流通センターの子会社であるグローバルソリューションサービス株式会社による)、総合保育サービス(株式会社図書館流通センターの子会社である株式会社明日香による)等を行っております。

 また、2023年10月より税務・会計・M&A領域において電子化された専門書籍・雑誌を横断的に検索・閲覧できるサービス(丸善リサーチ)を開始しました。

 当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、総合保育サービス事業及び店舗内装業が順調に推移した結果、売上高81億87百万円(前年同期比3.3%増)と増収となりました。一方利益面は原価増及び丸善リサーチの初期費用計上の影響もあり営業利益1億49百万円(前年同期比8.5%減)と減益となりました。

 

 

(2)財政状態の分析

① 資産

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて55億69百万円減少し、869億42百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が14億70百万円、その他が77億11百万円減少したことなどによります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて9億11百万円減少し、353億44百万円となりました。これは、有形固定資産が2億24百万円、投資有価証券が4億6百万円減少したことなどによります。

 繰延資産は、前連結会計年度末に比べて3百万円減少し、残高はありません。これは、社債発行費が3百万円減少したことによります。

 この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて64億83百万円減少し、1,222億86百万円となりました。

② 負債

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて76億26百万円減少し、504億23百万円となりました。これは、短期借入金が73億円、その他が18億69百万円減少したことなどによります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べて4億45百万円増加し、254億62百万円となりました。これは、長期借入金が14億70百万円増加し、その他が9億59百万円減少したことなどによります。

 この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて71億81百万円減少し、758億86百万円となりました。

③ 純資産

 純資産合計は、前連結会計年度末と比べて6億97百万円増加し、463億99百万円となりました。これは、利益剰余金が10億73百万円増加したことなどによります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。