E04503 Japan GAAP
2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況
(財政状態)
資産合計は、前連結会計年度末に比べ42億円減の1兆8,010億円(前期末比 99.8%)となった。これは、棚卸資産の減少などによるものである。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ716億円減の1兆4,814億円(同 95.4%)となった。これは、有利子負債の減少などによるものである。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ673億円増の3,196億円(同 126.7%)となった。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の利益剰余金への計上などによるものである。
(経営成績)
a. 売上高及び経常収益
売上高(営業収益)は、総販売電力量の減少はあったものの、小売・託送料金の改定などにより、前年同四半期に比べ135億円増の5,937億円(前年同四半期比 102.3%)となり、これに営業外収益を加えた経常収益は145億円増の5,980億円(同 102.5%)となった。
b. 経常利益
経常利益は、総販売電力量の減少や水力発受電量の減少、設備関連費の増加等の影響はあったものの、料金収入の増加や、電力市場の積極的活用等を始めとする効率化の深掘りなどにより、851億円(前年同四半期は経常損失749億円)となった。
c. 親会社株主に帰属する四半期純利益
経常利益に法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は603億円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失757億円)となった。
(セグメントごとの経営成績[セグメント間の内部取引消去前])
a. 発電・販売事業
当第3四半期連結累計期間の総販売電力量については、203億11百万キロワット時となり、前年同四半期と比較すると14.8%の減少となった。
このうち、小売販売電力量については、電灯で夏季の冷房需要の増加はあったものの、春先の暖房需要の
減少や、新型コロナの5類移行に伴う外出機会の増加、省エネ・節電意識の高まり等により需要が減少したこと、電力で契約電力が減少したことや工場の稼働が減少したことなどから、175億63百万キロワット時となり、前年同四半期と比較すると8.2%の減少となった。また、卸販売電力量については、卸電力取引所等への販売減から27億49百万キロワット時となり、前年同四半期と比較すると41.7%の減少となった。供給力については、出水率が89.9%と平年を下回ったほか、志賀原子力発電所1・2号機が引き続き運転できなかったものの、供給設備全般にわたる効率的運用に努めた結果、期を通じて安定した供給を維持することができた。
収支については、売上高は、総販売電力量の減少はあったものの、小売・託送料金の改定などにより、前年同四半期に比べ138億円増の5,455億円(前年同四半期比 102.6%)となった。
また、経常利益は、総販売電力量の減少や水力発受電量の減少、設備関連費の増加等はあったものの、料金収入の増加や、電力市場の積極的活用等を始めとする効率化の深掘りなどにより、676億円(前年同四半期は経常損失716億円)となった。
b. 送配電事業
売上高は、託送料金の改定による増加はあったものの、インバランスに係る収益が減少したことなどにより、前年同四半期に比べ204億円減の1,495億円(前年同四半期比 88.0%)となった。一方、費用面では、需給バランス調整等を行うために必要な調整力の調達費用が減少したことなどにより、経常利益は、前年同四半期に比べ171億円増の140億円(前年同四半期は経常損失30億円)となった。
c. その他
売上高は、請負業務の受注増加などから、前年同四半期に比べ24億円増の946億円(前年同四半期比 102.6%)、経常利益は、前年同四半期に比べ11億円増の65億円(同 122.2%)となった。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、2022年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について変更した内容、並びに新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題は次のとおりである。
a.「北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>」における財務目標等の設定
2023年4月に安定供給維持と大きく毀損した財務基盤回復を目指す「北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>」を公表したが、「北陸電力グループ2030長期ビジョン」(2019年4月公表)で掲げた財務目標については見直すこととしていた。
2023年10月、足元の競争環境等を踏まえ、将来の事業運営について一定程度見通すことが可能となったため、以下のとおり、「財務目標」を設定するとともに、成長投資や株主還元に関する方針を「投資及び株主還元の基本的な考え方」に追加した。
(財務目標)
連結経常利益 |
450億円以上 |
連結自己資本比率 |
20%以上(2027年度末) |
連結自己資本利益率(ROE) |
8%以上 |
(投資及び株主還元の基本的な考え方)
成長投資については、北陸地域のカーボンニュートラルの推進や成長事業に向けた投資をタイムリーに実施する。(2023~2027年度で総額1,500億円程度)
投資判断に際しては、事業リスクを勘案しつつ、収益性を重視するために、ROIC等の手法を用いた事業評価により投資を厳選する。
株主還元については、毀損した財務基盤の回復を図りつつ、株主の期待にお応えする。
b.「令和6年能登半島地震」への対応
2024年1月に発生した「令和6年能登半島地震」により、石川県内を中心とした当社グループの電力供給設備等の被害及び大規模な停電が発生した。
この災害により当社の七尾大田火力発電所1・2号機では発電を停止しているが、被害の無い発電設備の活用や市場からの電力調達等により必要な供給力を確保することで、安定供給に努めていく。また、停電が継続している地域では、協力会社、他の電力会社等とも連携し、早期の停電解消に努めていく。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は「発電・販売事業」で1,011百万円、「送配電事業」で304百万円、グループ全体(内部取引消去後)で1,098百万円となった。
また、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の内容は、次のとおりである。
研究開発活動の内容 |
セグメント情報の区分 |
||
発電・販売事業 |
送配電事業 |
||
電力の安定供給、 脱炭素社会の実現及び 環境保全に資する研究 |
信頼性と経済性の両立のための 送配電線雷事故解析手法の精度向上 |
|
○ |
長期的な設備機能維持に向けた工法開発等 |
○ |
○ |
|
電力設備の診断・寿命延伸・性能評価技術の開発 |
○ |
○ |
|
再生可能エネルギー大量導入による 系統影響の経済的な緩和対策 |
○ |
○ |
|
フライアッシュの有効利用 |
○ |
|
|
新たな企業価値創造や 生産性向上に資する研究 |
新たな価値創造に向けた研究 |
○ |
○ |
業務効率化に向けた新技術の活用研究 |
○ |
○ |
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)においては、電気を供給することを主たる事業としており、また、それ以外の事業は、広範囲かつ多種多様であり、生産、受注、販売といった画一的な区分による表示が困難である。
このため、発電及び販売の実績のみを記載している。
① 発電実績
種別 |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
前年同四半期比(%) |
|
発 電 電 力 量 |
水力発電電力量(百万kWh) |
4,312 |
92.1 |
火力発電電力量(百万kWh) |
14,067 |
83.1 |
|
原子力発電電力量(百万kWh) |
- |
- |
|
再生可能エネルギー発電電力量(百万kWh) |
4 |
99.7 |
|
合計(百万kWh) |
18,382 |
85.0 |
(注)1.当社の発電電力量を記載している。
2.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。
② 販売実績
a.販売電力量
種別 |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
前年同四半期比(%) |
電灯(百万kWh) |
4,915 |
95.6 |
電力(百万kWh) |
12,648 |
90.4 |
電灯電力合計(百万kWh) |
17,563 |
91.8 |
他社販売(百万kWh) |
2,749 |
58.3 |
総販売電力量(百万kWh) |
20,311 |
85.2 |
(注)1.送配電事業関連の販売を除く。
2.他社販売は期末時点で把握している実績を記載している。
3.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。
b.料金収入
種別 |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
前年同四半期比(%) |
電灯(百万円) |
117,019 |
95.3 |
電力(百万円) |
296,682 |
114.8 |
電灯電力合計(百万円) |
413,702 |
108.5 |
他社販売(百万円) |
45,293 |
51.0 |
(注)1.送配電事業関連の販売を除く。
2.他社販売は期末時点で把握している実績を記載している。
3.「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、
「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和
対策事業」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っている。
(5) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備に関し、新設、除却等による著しい変動はない。
なお、当社グループ(当社及び連結子会社)は水力発電電力量の増加に取組んでおり、当第3四半期連結累計期間における水力発電所の出力増加は1箇所4,800kWである。