E04367 Japan GAAP
1 経営成績等の状況の概要
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当中間連結会計期間末における資産合計は1,258,381百万円、負債合計は1,018,946百万円、純資産合計は239,434百万円となりました。
資産は、前連結会計年度末比0.6%減の1,258,381百万円となりました。「更なる機能強化」事業の推進に伴う、固定資産の取得等により、流動資産は前連結会計年度末比5.7%減の393,351百万円、固定資産は前連結会計年度末比1.9%増の865,030百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末比1.1%減の1,018,946百万円となりました。流動負債は、短期借入金及び1年内償還予定の社債の減少等により、前連結会計年度末比47.7%減の78,842百万円となりました。固定負債は、社債の発行等により、前連結会計年度末比6.9%増の940,104百万円となりました。なお、長期借入金残高(1年内返済を含む)は438,500百万円となり、社債残高(1年内償還を含む)490,600百万円と合わせた長期債務残高は前連結会計年度末比5.9%増の929,100百万円となりました。
株主資本は、前連結会計年度末比1.6%増の231,238百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する中間純利益が3,676百万円計上されたことによるものです。当中間連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の18.0%から18.4%へ増加しました。
非支配株主持分は、前連結会計年度末比0.6%増の8,284百万円となり、その他の包括利益累計額を含めた純資産合計は、前連結会計年度末比1.7%増の239,434百万円となりました。
②経営成績の状況
新型コロナウイルスの感染症法上の分類変更に伴い、国内での行動規制が撤廃され、また、国際線の水際対策が終了したことにより、航空旅客需要は順調に回復しております。国際航空貨物需要は、海運の正常化及び中国経済等の景気減速により荷動きが低調になっており、昨年度を下回る水準で推移しております。
当中間連結会計期間における経営成績は、航空機発着回数及び航空旅客数ともに増加したことから、空港使用料収入、旅客施設使用料収入ともに増収となりました。加えて、子会社が運営する直営店舗の物販・飲食収入、一般テナントからの構内営業料収入についても増収となり、全体として、営業収益は前年同期比87.7%増の99,782百万円となりました。営業利益は4,334百万円(前年同期は営業損失17,040百万円)、経常利益は3,434百万円(前年同期は経常損失17,816百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益は3,676百万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失18,525百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(空港運営事業)
空港運営事業では、新型コロナウイルスの感染症法上の分類変更に伴い、航空旅客需要は順調に回復していることから、空港使用料収入は前年同期比25.4%増の14,987百万円、給油施設使用料収入は前年同期比15.7%増の5,567百万円、旅客施設使用料収入は前年同期比181.0%増の15,129百万円となりました。
以上の結果、営業収益は前年同期比61.2%増の41,813百万円、営業損失は13,516百万円(前年同期は24,105百万円)となりました。
(リテール事業)
リテール事業では、航空旅客需要は順調に回復し、円安傾向が続いていることから、子会社が運営する直営店舗の物販・飲食収入は前年同期比390.4%増の32,660百万円、一般テナントからの構内営業料収入は前年同期比209.1%増の4,258百万円となりました。
以上の結果、営業収益は前年同期比318.3%増の42,217百万円、営業利益は11,571百万円(前年同期は営業損失825百万円)となりました。
(施設貸付事業)
施設貸付事業では、国際線の水際対策が終了したことに伴い、検疫所への貸付面積が減少したこと等から、営業収益は前年同期比8.8%減の14,258百万円、営業利益は前年同期比21.2%減の5,894百万円となりました。
(鉄道事業)
鉄道事業では、営業収益は前年同期比0.4%増の1,493百万円、営業利益は前年同期比14.2%増の397百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前年同期比9,289百万円増の162,884百万円となりました。フリー・キャッシュ・フローは、前年同期比42,379百万円増の5,426百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益が改善したこと等により、前年同期は1,845百万円のキャッシュ・アウトであったのに対し、31,363百万円のキャッシュ・インとなりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出の減少等により、キャッシュ・アウトは前年同期比9,171百万円減の36,789百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による調達があったものの、短期借入金の返済等により、前年同期は26,270百万円のキャッシュ・インであったのに対し、8,755百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
2 生産、受注及び販売の実績
(1) 当社グループにおいては、空港運営事業、リテール事業、施設貸付事業及び鉄道事業を行っておりますが、生産及び受注については該当事項はありません。
(2) 販売実績
当中間連結会計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
空港運営事業(百万円) |
41,813( 41.9%) |
161.2 |
リテール事業(百万円) |
42,217( 42.3%) |
418.3 |
施設貸付事業(百万円) |
14,258( 14.3%) |
91.2 |
鉄道事業(百万円) |
1,493( 1.5%) |
100.4 |
合計(百万円) |
99,782(100.0%) |
187.7 |
空港運営事業
区分 |
当中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
空港使用料収入(百万円) |
14,987( 35.8%) |
125.4 |
旅客施設使用料収入(百万円) |
15,129( 36.2%) |
281.0 |
給油施設使用料収入(百万円) |
5,567( 13.3%) |
115.7 |
その他収入(百万円) |
6,129( 14.7%) |
161.1 |
合計(百万円) |
41,813(100.0%) |
161.2 |
リテール事業
区分 |
当中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
物販・飲食収入(百万円) |
32,660( 77.3%) |
490.4 |
構内営業料収入(百万円) |
4,258( 10.1%) |
309.1 |
その他収入(百万円) |
5,298( 12.6%) |
257.8 |
合計(百万円) |
42,217(100.0%) |
418.3 |
施設貸付事業
区分 |
当中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
土地建物等貸付料収入(百万円) |
10,778( 75.6%) |
88.5 |
その他収入(百万円) |
3,480( 24.4%) |
100.4 |
合計(百万円) |
14,258(100.0%) |
91.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.( )には構成比を記載しております。
(参考情報)
成田国際空港運用状況
区分 |
当中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
|
航空機発着回数(回) |
|
105,164 |
126.5 |
|
国際線 |
79,533 |
140.1 |
|
国内線 |
25,631 |
97.3 |
航空旅客数(千人) |
|
16,573 |
211.7 |
|
国際線 (うち日本人) (うち外国人) (うち通過客) |
12,665 (3,116) (8,043) (1,505) |
288.2 (237.3) (699.6) ( 77.9) |
|
国内線 |
3,909 |
113.9 |
国際航空貨物量(千t) |
|
920 |
78.0 |
|
積 込 |
418 |
75.5 |
|
取 卸 |
502 |
80.3 |
給油量(千kl) |
|
1,509 |
109.5 |
|
国際線 |
1,436 |
109.9 |
|
国内線 |
72 |
101.1 |
(注)航空取扱量は、単位未満を四捨五入して表示しております。
3 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2022~2024年度の3ヶ年中期経営計画「Restart NRT(リスタート・ナリタ)」に掲げる諸施策に取り組んでおります。
コロナ禍からの需要回復に向けては、労働力不足への対応やテナントの充実など、サービス供給体制の復旧を行っております。
特に労働力不足は、安全で安定した空港運用やお客様へのサービスの根幹を揺るがしかねない喫緊の課題として、厚生労働省千葉労働局や千葉県商工労働部等の協力の下で開設している空港内の雇用相談窓口「ナリタJOBポート」における就労相談や職業紹介、空港見学会付きの合同企業説明会や空港関連企業の採用担当者と県内大学の就職担当者の関係を深めるための情報交換会の開催、空港内の食事環境や休憩環境等の職場環境改善、イノベーション推進による空港業務の自動化・省力化等を通じ、空港管理者として関係機関との連携を深めながら、主体的に取り組みを行っております。
また、テナントエリアでは、2023年7月に、成田国際空港内のブランドブティックとして最大規模となる「ルイ・ヴィトン」を第1ターミナル南ウイング3階の出国手続き後エリアにオープンし、2023年9月には、日本を味わえる飲食店10店舗を集積した飲食店フロア「JAPAN FOOD HALL」を第2ターミナル本館2階の出国手続き後エリアにオープンする等、コロナ禍からの復旧に留まることなく、ご利用頂くお客様に更なる体験価値をご提供するための取組みを行っております。
無駄なく柔軟なコスト構造の確立、また、創造的な業務や変革的な業務に積極的に取り組んでいくための業務改革の推進については、経営陣がプロジェクトオーナーとなり、重点的に推進しております。改革の取り組みの一環として、2023年6月の役員改選期以降は、役付取締役に担当部門を持たせず、より全社的な観点からマネジメントするよう経営体制を強化することとしました。
国際航空貨物需要の更なる取り込みに向けては、貨物施設の分散や狭隘化の対策として、新たな貨物上屋「第8貨物ビル」の施工を進めております。同施設と、隣接する第7貨物ビルに全日本空輸株式会社の航空貨物取扱機能を集約し、2024年10月に供用を開始する予定です。
成田国際空港の能力向上については、2018年3月、国、千葉県、空港周辺9市町、当社による「成田空港に関する四者協議会」において、3,500mのC滑走路の新設、B滑走路の3,500mへの延伸、夜間飛行制限の緩和等を内容とする「更なる機能強化」事業の実施について合意され、2020年1月に国から航空法に基づく空港設置変更が許可されました。当中間連結会計期間においては、2028年度末のC滑走路新設、B滑走路延伸に向け、当該区域の埋蔵文化財調査、地質調査等を実施するとともに、本格造成工事前の各種準備工事を進めており、B滑走路延伸部は2022年10月に東関道切り回し道路工事に着手し、C滑走路新設部は2023年12月に高谷川等排水整備工事に着手するなど、順調に進捗しております。
また、空港能力向上には、滑走路のみならず、旅客ターミナルをはじめ、空港全体の機能向上を図らねばなりません。そのためには、空港内施設の老朽化への対応、激甚化した災害やパンデミック等の危機に備えた機動的かつ柔軟に運用できる施設の整備、長年の懸念事項であるアクセスの改善等といった課題への対処が必要となります。このような背景から、成田国際空港の「更なる機能強化」事業の推進とあわせて、旅客ターミナルの再構築、航空物流機能の高度化、空港アクセスの改善、地域との一体的な発展等に関する成田国際空港の将来像を検討するため、2022年10月に、学識経験者、国、県、地元市町で構成する、「『新しい成田空港』構想検討会」が設置されました。2023年3月に今後の取組みの主要な方向性について中間とりまとめが公表されたことを受け、現在検討の深度化を進めています。
サステナビリティ経営の実現に向けては、CO₂排出量削減に関する中長期目標「サステナブルNRT2050」に掲げる諸施策を推進しました。
成田国際空港におけるエネルギー(電気・熱)供給と空港の脱炭素化事業に取り組むため、当社と東京瓦斯株式会社との合弁により設立した「株式会社Green Energy Frontier」は、2023 年4月1日より事業を開始し、既存エネルギー供給施設のリニューアルを進めるとともに、2045 年度末までの太陽光発電設備180MW導入の第一弾として、新設される第8貨物ビルへの太陽光発電設備の整備に着手しました。
加えて、2022年12月に施行された改正航空法及び空港法に基づき、空港全体の施設と車両の脱炭素化を目指す「空港脱炭素化推進計画」を策定し、2023年12月に認定を受けました。
顧客志向・脱自前主義でのイノベーションの推進に向けては、株式会社 eiiconが運営するオープンイノベーションプラットフォーム 「AUBA」上にて、共創により成田空港発の価値を最大化するプログラム 「Narita Airport OPEN INNOVATION PROGRAM 2023」を2023年6月より開始し、非常に多くのご提案を頂きました。採択したご提案については、新たな価値創造に向け、共創パートナー企業との面談・協議を開始しております。
こうした状況下、当中間連結会計期間における航空機発着回数は、前年同期比26.5%増の105,164回(対2019年同期比22.2%減)となり、航空旅客数は、前年同期比111.7%増の16,573千人(対2019年同期比26.7%減)となりました。航空機発着回数・航空旅客数ともに前年同期と比較し増加が見られ、2019年同期と比較しても、引き続き減少幅が縮まり回復傾向にあります。国際航空貨物量は、前年同期比22.0%減の920千t(対2019年同期比9.8%減)となりました。給油量は、発着回数の増加に伴い、前年同期比9.5%増の1,509千kl(対2019年同期比34.0%減)となりました。
以上の結果、当中間連結会計期間における業績は、営業収益は前年同期比87.7%増の99,782百万円、営業利益は4,334百万円(前年同期は営業損失17,040百万円)、経常利益は3,434百万円(前年同期は経常損失17,816百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益は3,676百万円(前年同期は中間純損失18,525百万円)となりました。
(3) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「1 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、当社グループの今後の資金需要において、主なものは空港運営事業等に係る設備投資であり、「第3 設備の状況」の「2 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、営業活動により生み出される営業キャッシュ・フローと、設備投資による投資キャッシュ・フローのバランスに配慮のうえ、中長期的な視点から必要な成長投資は着実に推進し、財務健全性と成長の両立を図ることとしております。
また、当社グループは資産規模が大きいことから、資産効率の向上が経営上重要なポイントであると認識しております。
こうしたことから中期経営計画(2022~2024年度)においては、連結営業利益、連結ROA、連結長期債務残高、連結長期債務残高/連結営業キャッシュ・フロー倍率を重要な指標として位置付けており、2024年度末時点の各指標の目標値と前連結会計年度の状況は以下のとおりです。
コロナ禍により毀損した空港運用を早期に正常化し、併せて抜本的なコスト構造改革・業務改革を断行することで、経営基盤の早期回復・強化を図ってまいります。
指標 |
2024年度(目標) |
2022年度(実績) |
コロナ禍前水準 2019年度(実績) |
連結営業利益 |
200億円以上 |
△317億円 |
407億円 |
連結ROA(総資産営業利益率) |
1.1%以上 |
-% |
4.9% |
連結長期債務残高 |
9,000億円台 |
8,776億円 |
3,610億円 |
連結長期債務残高/連結営業キャッシュ・フロー倍率 |
18倍以内 |
-倍 |
5.9倍 |