E00014 Japan GAAP
前期
8,313.8億 円
前期比
106.6%
株価
1,136.5 (11/07)
発行済株式数
312,430,277
EPS(実績)
81.24 円
PER(実績)
13.99 倍
前期
766.0万 円
前期比
109.1%
平均年齢(勤続年数)
43.1歳(16.4年)
従業員数
1,505人(連結:10,332人)
当社グループは、当社、子会社64社及び関連会社25社で構成され、水産事業、食品事業、ファイン事業及び物流事業を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究及びサービス等を展開しております。
当社グループの事業に関わる位置付け及びセグメントとの関連は次の通りであります。
○水産事業………当社及び連結子会社[黒瀬水産㈱、NISSUI USA, INC.他31社]、非連結子会社1社[持分法適用会社]、並びに関連会社㈱大水他16社[持分法適用会社]で漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を行っております。
○食品事業………当社及び連結子会社[㈱日本デリカサービス、GORTON'S, INC.他18社]、並びに関連会社5社[持分法適用会社]で加工事業およびチルド事業を行っております。
○ファイン事業…当社及び連結子会社1社で医薬原料、機能性原料(注1)および機能性食品(注2)などの生産・販売を行っております。
○物流事業………連結子会社[日水物流㈱他2社]及び関連会社2社[うち持分法適用会社1社]で冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を行っております。
○その他…………連結子会社[ニッスイ・エンジニアリング㈱他5社]及び関連会社1社で船舶の建造・修繕、運航、エンジニアリング等を行っております。
(注1)サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注2)主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、特定保健用食品 「イマークS」などの健康食品。
事業の系統図は次の通りであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の拡大や雇用・所得環境の改善などにより経済環境に改善傾向が見られましたが、ウクライナ情勢の長期化や中東地域における地政学リスクの高まり、米国の関税政策に伴う為替変動など不確実性が増す状況となっています。
世界経済(連結対象期間1-12月)についても、欧米においてインフレ緩和による実質賃金の増加を受け、個人消費の持ち直しが景気を下支えしましたが、足元ではわが国同様、米国の関税など予測不能な政策により、景気の下振れリスクが懸念されています。
当社および当社グループにおいては、海外の水産商事事業・食品事業および国内チルド事業が好調に推移し、ファインケミカル事業では医薬品原料の販売が回復、物流事業も価格改定が進み収益性が向上しました。一方で、北米の水産加工事業が引き続き苦戦、漁撈事業・養殖事業も天候不順や海水温上昇の影響を受け厳しい事業環境となったうえ、国内食品事業では米価の高止まりの影響を受けました。
このような状況下、当連結会計年度の営業成績は、売上高は8,861億26百万円(前期比547億50百万円増)、営業利益は317億79百万円(前期比21億15百万円増)、経常利益は353億1百万円(前期比33億37百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は253億81百万円(前期比15億30百万円増)となり、売上高、各段階利益とも過去最高を更新しました。
(単位:百万円)
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
①水産事業
水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>
水産事業では売上高は3,640億57百万円(前期比271億64百万円増)となり、営業利益は84億18百万円(前期比22億78百万円減)となりました。
漁撈事業:前期比で増収、減益
<日本>
・カツオ・サバの漁獲は堅調に推移しましたが、夏場の時化などによりイワシの漁獲が振るわず減益となりました。
養殖事業:前期比で減収、減益
<日本>
・飼料価格の上昇などのコスト増に加え海水温の上昇による斃死や生育不良の影響もあり、各魚種で苦戦しました。魚種毎では、マグロは供給過多で販売価格が低迷、ブリは出荷抑制や成長遅れ、ギンザケは早期水揚げしたことによる魚体重減少の影響があり、減収・減益となりました。
<南米>
・飼料価格の上昇などのコスト増や生簀繰りの影響による生残率の低下に加え、水揚げ時期が集中したことで加工原料向け商品の販売比率が増加したことにより平均販売単価が下落していましたが、期末にかけ市況が好転したことで増益となりました。
加工・商事事業:前期比で増収、増益
<日本>
・鮭鱒などの販売が好調に推移し増収となった一方、ブリ・飼料油飼の販売が減少したこともあり減益となりました。
<北米>
・商事事業は鮭鱒の販売が堅調に推移した一方で、加工事業において人件費を含むコスト上昇に加え、スケソウダラのすりみやフィレの販売価格が低迷したことから、増収・減益となりました。
<欧州>
・鮮魚ビジネスを展開する会社を連結子会社とした効果に加え、イタリアやベネルクス向けの販売が好調に推移し、増収・増益となりました。
②食品事業
食品事業につきましては、加工事業およびチルド事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>
食品事業では売上高は4,710億58百万円(前期比277億61百万円増)となり、営業利益は287億11百万円(前期比14億19百万円増)となりました。
加工事業:前期比で増収、減益
<日本>
・家庭用の冷凍食品・フィッシュソーセージ、業務用冷凍食品の販売は堅調に推移し増収となりました。利益面では価格改定やすりみ原料安の効果はあったものの、米価の高止まりに加え、円安による輸入価格や物流費などの上昇も重なり、減益となりました。
<北米>
・家庭用の販売が好調に推移し、業務用の外食向け販売の苦戦をカバーしたことで全体では販売数量は増加、円安の影響もあり増収となりました。また、販売拡大に加え、白身魚・えびの原料価格が低位安定で推移したことから、家庭用・業務用ともに増益となりました。
<欧州>
・スペイン・イタリアへ販売エリア拡大を進めたことに加え、フランスでは販売数量が堅調に推移しました。また、販売拡大に加え、主原料である白身魚の価格が低位安定で推移したことで増収・増益となりました。
チルド事業:前期比で増収、増益
・人流回復に加えコンビニエンスストアの販売促進効果もあり、おにぎり・サラダの販売が好調に推移しました。また、株式会社グルメデリカ(注1)が2023年7月から連結子会社として加わったこともあり増収・増益となりました。
③ファイン事業
ファイン事業につきましては、医薬品原料、機能性原料(注2)および機能性食品(注3)などの生産・販売を行っております。
<当連結会計年度の概況>
ファイン事業では売上高は158億44百万円(前期比1億48百万円増)となり、営業利益は8億91百万円(前期比10億62百万円増)となりました。
・第4四半期に医薬品原料の国内向け販売が増加したことに加え、欧州への輸出がスタートしたことで増収・増益となりました。
④物流事業
物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>
物流事業では売上高は165億36百万円(前期比13億22百万円増)となり、営業利益は28億38百万円(前期比13億1百万円増)となりました。
・価格改定に加え、2024年1月の新物流センター開業効果もあり増収・増益となりました。
(注1) 2024年7月1日付で、日本クッカリー株式会社を存続会社として、NC・GDホールディングス株式会社及び
株式会社グルメデリカの3社が合併し株式会社日本デリカサービスに商号変更しました。
(注2) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注3) 主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、
特定保健用食品「イマークS」などの健康食品。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
(注) 1.金額は、販売価格によります。
②受注実績
受注生産は行っておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(単位:百万円)
資産合計は前連結会計年度末に比べて284億94百万円増の6,348億78百万円(4.7%増)となりました。
流動資産は74億1百万円増の3,325億68百万円(2.3%増)となりました。棚卸資産が109億34百万円増加したことが主な要因です。
固定資産は210億92百万円増の3,023億9百万円(7.5%増)となりました。設備投資などにより有形固定資産が146億31百万円増加しました。
負債合計は前連結会計年度末に比べて1億41百万円減の3,489億38百万円(0.0%減)となりました。
流動負債は133億63百万円増の2,261億79百万円(6.3%増)となりました。短期借入金が174億24百万円増加したことが主な要因です。
固定負債は135億4百万円減の1,227億58百万円(9.9%減)となりました。長期借入金が138億96百万円減少したことが主な要因です。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて286億35百万円増の2,859億39百万円(11.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を253億81百万円計上したこと、剰余金の配当を81億1百万円行ったこと、円安の影響により為替換算調整勘定が109億77百万円増加したことなどによります。
①キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
営業活動によるキャッシュ・フローは、403億79百万円の収入(前期比141億6百万円の収入減)となりました。税金等調整前当期純利益および減価償却費の合計が613億14百万円となった一方で、未払費用の減少をはじめ運転資本の増加による資金の減少が59億42百万円、法人税等の支払額が127億46百万円あったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、303億93百万円の支出(前期比73億28百万円の支出減)となりました。国内外における生産設備への投資等に伴う有形固定資産の取得による支出が298億41百万円あったことが主な要因です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、114億52百万円の支出(前期比9億41百万円の支出減)となりました。配当金の支払額が80億90百万円あったことが主な要因です。
②資金調達方針
当社は、事業活動を円滑に行うため、コストを抑えた安定資金の調達を目指し、直接金融を含めた多様な手段の中から最適な資金調達方法を選択しています。
間接金融については、スワップ等を利用した長期固定資金と変動の短期資金のバランスを概ね1:1を基本に、経済情勢等に応じ長期固定資金の比率を上げるなど、機動的に対応することで金利変動リスクを低減し安定資金を確保しています。調達通貨は円・米ドル・ユーロを基本に各国の事業規模に応じた調達とすることで為替リスクを軽減しています。また、複数の金融機関とコミットメントラインを設定しており、経済環境の急激な変化による資金調達難等の流動性リスクに備えております。
資金の効率性の側面では、国内はキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を活用、海外は各国の税制等を考慮のうえ、海外グループ間の資金融通等を本社で一元管理しています。なお、北米は日本同様、統括会社でCMSを導入し北米における資金を管理しています。
③調達方法
四半期ごとにグループの資金需要を予想し市場環境を考慮したうえで、最適な資金調達方法を策定、取締役会で審議しています。
長期資金については、毎期の償還額にも配慮しつつ、長期間に亘り構築してきた幅広くかつ良好な関係にある複数の金融機関から借入を行っています。また、相対借入に加え、市場性の高いシンジケート・ローンや健康経営・環境対応などESG関連の格付けを活用した調達も行っています。短期資金については、借入枠を締結し資金需要に応じて機動的に調達しています。
今後もコストを抑えた安定資金を調達するため、信用格付「A」を活用した調達を含め、多様化を図ってまいります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するにあたって、棚卸資産の評価、固定資産等の減損、繰延税金資産の回収可能性などの資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、特にIFRSを適用している在外子会社で保有する生物資産の評価(在池魚評価)については、生物資産を販売費用等の追加コスト控除後の公正価値で測定し、取得原価との差額の変動額を純損益として認識しており、その測定には生物資産の正味売却価額や生残率等を見積もる必要があることから、市場動向や養殖成績などによって公正価値評価額が大きく変動する可能性があります。海外及び国内養殖会社の仕掛魚の評価、国内養殖会社の固定資産の減損に関する見積りや前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。