E00014 Japan GAAP
前期
6,936.8億 円
前期比
110.7%
株価
959.7 (04/23)
発行済株式数
312,430,277
EPS(実績)
67.96 円
PER(実績)
14.12 倍
前期
801.8万 円
前期比
99.6%
平均年齢(勤続年数)
43.0歳(16.3年)
従業員数
1,485人(連結:9,515人)
当社グループは、当社、子会社66社及び関連会社23社で構成され、水産事業、食品事業、ファイン事業及び物流事業を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究及びサービス等を展開しております。
当社グループの事業に関わる位置付け及びセグメントとの関連は次の通りであります。
○水産事業………当社及び連結子会社[黒瀬水産㈱、NISSUI USA, INC.他31社]、非連結子会社1社[持分法適用会社]、並びに関連会社㈱大水他15社[持分法適用会社]で漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を行っております。
○食品事業………当社及び連結子会社[日本クッカリー㈱、GORTON'S INC.他19社]、並びに関連会社5社[持分法適用会社]で加工事業およびチルド事業を行っております。
○ファイン事業…当社及び連結子会社2社で医薬原料、機能性原料(注1)および機能性食品(注2)などの生産・販売を行っております。
○物流事業………連結子会社[日水物流㈱他2社]及び関連会社2社[うち持分法適用会社1社]で冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を行っております。
○その他…………連結子会社[ニッスイ・エンジニアリング㈱他5社]で船舶の建造・修繕、運航、エンジニアリング等を行っております。
(注1)サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注2)主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、特定保健用食品 「イマークS」などの健康食品。
事業の系統図は次の通りであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、オミクロン変異株の感染拡大(第7波・第8波)が繰り返されたものの、行動制限の解除や全国旅行支援などにより人流が回復し、外食などサービス業を中心に改善傾向がみられました。一方で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に起因する資源価格の高騰など、インフレ圧力の高まりや急激な為替変動が企業活動の重しとなりました。
世界経済(連結対象期間1-12月)につきましては、1月に欧米でオミクロン変異株の感染が急拡大したものの、行動制限の解除に伴って人流が回復し個人消費は堅調に推移しましたが、国内同様、2月末からのロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けた資源の供給不安、エネルギーや人件費などの上昇による急激なインフレや利上げによる影響がありました。
当社および当社グループにつきましては、水産事業は前期に引き続き国内外の販売が堅調に推移するとともに、国内養殖事業の改善が継続、北米加工事業のコスト削減も進んだことから大幅増益となりました。一方、食品事業では国内外とも販売は概ね堅調ながら、原材料や円安を始めとしたコストアップの影響を大きく受けました。ファイン事業については、連結上場子会社の日水製薬株式会社の全株式を売却したことに加え、医薬原料の米国向け輸出の中断などがあり苦戦する結果となりました。
このような状況下で当連結会計年度の営業成績は、売上高は7,681億81百万円(前期比744億99百万円増)、営業利益は244億88百万円(前期比25億88百万円減)、経常利益は277億76百万円(前期比45億95百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は日水製薬株式会社の株式売却益24億2百万円、政策保有株式の株式売却益19億38百万円などを特別利益として計上した一方、Empresa de Desarrollo Pesquero de Chile S.A.(EMDEPES)の固定資産について減損損失18億10百万円を特別損失として計上しましたので212億33百万円(前期比39億58百万円増)となりました。
配当金につきましては、期末配当金を1株当たり10円と致しました。これにより実施済みの中間配当金1株当たり8円とあわせ、年間配当金は1株当たり18円(前期14円)となりました。
(単位:百万円)
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
① 水産事業
水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>
水産事業では売上高は3,283億35百万円(前期比405億66百万円増)となり、営業利益は185億79百万円(前期比58億57百万円増)となりました。
漁撈事業:前期比で増収、増益
<日本>
・燃油価格上昇があったものの、かつお、いわしなどの漁獲や販売価格が堅調に推移し増収・増益となりました。
<南米>
・ほき、南だらの漁獲が低調に推移したことや燃油価格上昇などもあり減益となりました。
養殖事業:前期比で増収、増益
<日本>
・昨年の稚魚(もじゃこ)不漁により市場全体の養殖ぶりの供給が少ない中、完全養殖ぶりの強みを活かし安定供給を行いました。また、銀鮭の養殖場拡大による販売数量増に加え、グループの漁撈会社と連携した畜養大型まぐろの強化、養殖会社間で飼料の共同購入や重複するオペレーションの見直しなどを進め収益改善に努めたこともあり増収・増益となりました。
<南米>
・銀鮭の生残率改善に加え販売価格上昇もあり、生簀繰りによる生産数量の減少や飼料などのコスト上昇をカバーし増収・増益となりました。
加工・商事事業:前期比で増収、増益
<日本>
・主力の鮭鱒のみならず、各魚種も総じて販売価格が堅調に推移したことから、外食・産業給食向けの一部食材化商品において値上げが遅れたものの、増収・増益となりました。
<北米>
・すけそうだらの漁獲枠減少の影響がありましたが販売価格の上昇で増収、前期の固定資産減損による償却費負担やコロナ対策費用の減少もあり、人件費の上昇などのコスト上昇を吸収し増益となりました。
<欧州>
・年後半には経済環境の悪化を受け水産物市況に影響が出始めましたが、年間を通して外食やクルーズ船向けの販売は概ね堅調に推移し増収・増益となりました。
② 食品事業
食品事業につきましては、加工事業およびチルド事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>
食品事業では売上高は3,820億48百万円(前期比534億46百万円増)となり、営業利益は114億26百万円(前期比39億73百万円減)となりました。
加工事業:前期比で増収、減益
<日本>
・健康意識の高まりに対応し、良質なたんぱく質が含まれる「速筋タンパク」商品の拡売に努めたことに加え、人流回復の効果で業務用食品の外食・量販店惣菜向け商品の販売が堅調に推移しました。一方、家庭用食品・業務用食品ともに値上げ効果もあり増収となりましたが、原材料やエネルギーコストに加え急激な円安などコスト上昇に値上げが追いつかず大幅な減益となりました。
<北米>
・家庭用食品は値上げ後も販売数量を維持し堅調に推移しました。業務用食品は昨年にあったクイックサービスレストラン向けの商品導入がかなわず苦戦したうえ、値上げを実施したものの原材料や人件費などのコスト上昇が先行し減益となりました。
<欧州>
・英国の改善に加え、スペインなどへエリア拡大を進めたことにより販売が堅調に推移しましたが、電気・ガス代などエネルギーコストの急激な上昇に値上げが追いつかず減益となりました。
チルド事業:前期比で増収、減益
・行動制限が無くなり人流に回復傾向がみられたことから、コンビニエンスストア向けおにぎりの販売が増加するなどベンダー事業は好調に推移したものの、今年度からスタートしたキューディッシュ事業(注1)が償却費負担に加え、立ち上げ時のトラブルもあり減益となりました。
③ ファイン事業
ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注2)および機能性食品(注3)などの生産・販売を行っております。
<当連結会計年度の概況>
ファイン事業では売上高は251億16百万円(前期比89億58百万円減)となり、営業利益は17億25百万円(前期比23億26百万円減)となりました。
・9月に連結子会社の日水製薬株式会社の全株式を売却したことに加え、医薬原料の米国向け輸出の中断、巣ごもり需要の減速(反動減)により健康食品向けEPA・DHA原料の販売や通信販売の減少などがあり減収・減益となりました。
④ 物流事業
物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>
物流事業では売上高は154億88百万円(前期比2億89百万円減)となり、営業利益は15億94百万円(前期比4億46百万円減)となりました。
・輸出入の増加により通関事業は堅調に推移したものの、国内貨物の荷動きが低調に推移し入出庫料収入が減少しました。電力料・人件費のコストアップに対して保管料の値上げを進めていますが、値上げ浸透に時間を要し減益となりました。
(注1) 冷凍とチルドのノウハウを活かしたフローズンチルド惣菜、煮魚やエビチリなど和洋中さまざまなメニューを食べ切りの個食パックで提供。電子レンジで温めるだけの手軽な調理で内食需要に対応、通常のチルド品に比べて添加物を削減しおいしさを向上、賞味期限も長く設定できフードロスも削減。
(注2) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注3) 主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、特定保健用食品「イマークS」などの健康食品。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
(注) 1.金額は、販売価格によります。
② 受注実績
受注生産は行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。
(単位:百万円)
資産合計は前連結会計年度末に比べて432億82百万円増の5,490億13百万円(8.6%増)となりました。
流動資産は392億58百万円増の3,043億49百万円(14.8%増)となりました。売上増加などにより受取手形及び売掛金が53億65百万円増加したこと、棚卸資産が318億円増加したことが主な要因です。
固定資産は40億23百万円増の2,446億64百万円(1.7%増)となりました。
負債合計は前連結会計年度末に比べて312億44百万円増の3,283億77百万円(10.5%増)となりました。
流動負債は209億42百万円増の1,987億71百万円(11.8%増)となりました。運転資金需要増などにより短期借入金が174億24百万円増加したことが主な要因です。
固定負債は103億2百万円増の1,296億6百万円(8.6%増)となりました。長期借入金が99億74百万円増加したことが主な要因です。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて120億37百万円増の2,206億35百万円(5.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を212億33百万円計上したこと、剰余金の配当を49億85百万円行ったこと、円安の影響により為替換算調整勘定が128億49百万円増加したこと、連結子会社の売却などにより非支配株主持分が150億6百万円減少したことなどによります。
① キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
営業活動によるキャッシュ・フローは、33億96百万円の収入(前期比257億21百万円の収入減)となりました。税金等調整前当期純利益および減価償却費の合計で497億16百万円の資金を創出した一方で、売上債権をはじめ運転資本の増加による資金の減少が355億10百万円、法人税等の支払額が124億98百万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、225億71百万円の支出(前期比53億10百万円の支出増)となりました。主として、国内における生産設備への投資等に伴う有形固定資産の取得による支出が209億10百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、174億13百万円の収入(前期は112億65百万円の支出)となりました。長期借入金の返済による支出が200億61百万円、配当金の支払額が49億76百万円あった一方で、短期借入金の増加が163億59百万円、長期借入による収入271億96百万円があったことが主な要因です。
② 資金調達方針
当社は、事業活動を円滑に行うため、コストを抑えた安定資金の調達を目指し、直接金融を含めた多様な手段の中から最適な資金調達方法を選択しています。
間接金融については、スワップ等を利用した長期固定資金と変動の短期資金のバランスを概ね1:1を基本に、経済情勢等に応じ長期固定資金の比率を上げるなど、機動的に対応することで金利変動リスクを低減し安定資金を確保しています。調達通貨は円・米ドル・ユーロを基本に各国の事業規模に応じた調達とすることで為替リスクを軽減しています。また、複数の金融機関とコミットメントラインを設定しており、経済環境の急激な変化による資金調達難等の流動性リスクに備えております。
資金の効率性の側面では、国内はキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を活用、海外は各国の税制等を考慮のうえ、海外グループ間の資金融通等を本社で一元管理しています。なお、北米は日本同様、統括会社でCMSを導入し北米における資金を管理しています。
③ 調達方法
四半期ごとにグループの資金需要を予想し市場環境を考慮したうえで、最適な資金調達方法を策定、取締役会で審議しています。
長期資金については、毎期の償還額にも配慮しつつ、長期間に亘り構築してきた幅広くかつ良好な関係にある複数の金融機関から借入を行っています。また、相対借入に加え、市場性の高いシンジケート・ローンや健康経営・環境対応などESG関連の格付けを活用した調達も行っています。短期資金については、借入枠を締結し資金需要に応じて機動的に調達しています。
今後もコストを抑えた安定資金を調達するため調達方法の多様化を図ってまいります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するにあたって、棚卸資産の評価、固定資産等の減損、繰延税金資産の回収可能性などの資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、特にIFRSを適用している在外子会社で保有する生物資産の評価(在池魚評価)については、生物資産を販売費用等の追加コスト控除後の公正価値で測定し、取得原価との差額の変動額を純損益として認識しており、その測定には生物資産の正味売却価額や生残率等を見積もる必要があることから、市場動向や養殖成績などによって公正価値評価額が大きく変動する可能性があります。海外及び国内養殖会社の仕掛魚の評価、国内養殖会社の固定資産の減損に関する見積りや前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。