売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00014 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

    文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1)経営成績の分析

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化に起因するインフレなどにより景気の先行きに不安感があるなか、新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことや全国旅行支援の延長などにより人流やインバウンド需要の回復が進み経済環境に改善傾向が見られました。

世界経済(連結対象期間1-9月)につきましては、米国で雇用環境の改善や個人消費の増加が続き、欧州ではインバウンド需要の回復を含む人流の増加によりサービス業が景気を下支えしましたが、欧米とも高インフレや政策金利の引き上げが続く難しい状況でした。

足元では、各地で地政学リスクの高まりに加え、欧米では景気減速懸念、国内では社会経済活動の回復やインバウンド需要に期待がある一方、年明けの震災の影響が心配されるなど不透明な状況となっています。

当社および当社グループにつきましては、食品事業が国内外とも値上げ効果や原料価格の低下があり大幅な増益となりました。一方で、水産事業は国内漁業・養殖が堅調に推移したものの、国内外で主力の鮭鱒・すりみなどの市況下落の影響を受け減益となりました。

このような状況下で当第3四半期連結累計期間の営業成績は、売上高は6,254億81百万円前年同期比471億44百万円増)、営業利益は263億55百万円前年同期比29億90百万円増となり売上高・営業利益とも過去最高を更新しました。経常利益は277億80百万円前年同期比18億21百万円増)。親会社株主に帰属する四半期純利益は政策保有株式の売却等もあり202億93百万円(前年同期比17億4百万円増)となり親会社株主に帰属する四半期純利益も過去最高益となりました。なお、前期には連結子会社の日水製薬株式会社(現・島津ダイアグノスティクス株式会社)の売却益が計上されています。

 (単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属
する四半期純利益

2024年3月
第3四半期

625,481

26,355

27,780

20,293

2023年3月
第3四半期

578,337

23,365

25,959

18,589

前年同期増減

47,144

2,990

1,821

1,704

前年同期比

108.2%

112.8%

107.0%

109.2%

 

 

セグメント別の概況は次の通りであります。

                                            (単位:百万円)

 

売上高

前年同期増減

前年同期比

営業利益

前年同期増減

前年同期比

 水産事業

256,127

7,286

102.9%

10,523

△6,836

60.6%

 食品事業

332,618

47,051

116.5%

21,264

11,877

226.5%

 ファイン事業

11,500

△9,733

54.2%

△78

△1,891

 物流事業

11,767

131

101.1%

1,381

△2

99.8%

 その他(注)

13,467

2,407

121.8%

496

△11

97.8%

 全社経費

△7,232

△145

102.1%

 合計

625,481

47,144

108.2%

26,355

2,990

112.8%

 

(注)「その他」:エンジニアリング(工場・設備機器の企画・設計・施工等)事業、船舶運航事業等。

 

事業の概況は次の通りであります。

①水産事業
 水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。
<当第3四半期連結累計期間の概況>
 水産事業では売上高は2,561億27百万円前年同期比72億86百万円増)となり、営業利益は105億23百万円前年同期比68億36百万円減)となりました。

 

漁撈事業:前年同期比で増収、増益

<日本>

・いわし、さばなどの漁獲が堅調に推移し増収・増益となりました。

 

養殖事業:前年同期比で増収、減益
<日本>
・銀鮭で養殖オペレーションの改善により斃死・成長遅れもなく水揚げ数量が増加したことに加え、養殖まぐろの販売価格が堅調に推移したことにより増収・増益となりました。養殖ぶりは昨年、供給が少ないなかで完全養殖ぶりの強みを活かし安定供給を行い好調でしたが、本年は供給が例年並みに戻ったことから反動減となりました。
<南米>
・生育環境改良による生残率の改善やトラウトの販売数量増加もあり増収となりました。9月にかけて鮭鱒市況が調整局面に入るなかでも事業損益は堅調に推移しましたが、期末における在池魚評価(注1)の影響が大きく減益となりました。

 

加工・商事事業:前年同期比で減収、減益
<日本>
・外食・産業給食向け食材化商品の値上げ効果に加え、魚油・ミールなどの販売が好調に推移する一方、鮭鱒・すりみ・輸入冷凍まぐろの市況が調整局面に入りました。不採算在庫の早期処分等を進めたことにより回復の兆しが見え始めているものの減収・減益となりました。
<北米>

・北米加工は、すけそうだらの漁獲枠増加により生産数量が増加した反面、人件費などのコストアップに加え、供給増によるすりみ・フィレ価格の大幅下落により減益となりました。

<欧州>

水産市況が調整局面に入り荷動きも低下したことに加え、すけそうだらなどの在庫評価減があり減益となりました。

 

※画像省略しています。

 

②食品事業
 食品事業につきましては、加工事業およびチルド事業を営んでおります。
<当第3四半期連結累計期間の概況>
 食品事業では売上高は3,326億18百万円前年同期比470億51百万円増)となり、営業利益は212億64百万円前年同期比118億77百万円増)となりました。

 

加工事業:前年同期比で増収、増益

<日本>
・家庭用・業務用とも値上げや単品別収支管理の強化により収益構造が改善し増収・増益となりました。業務用は人流回復の効果もあり外食・量販店惣菜向け冷凍食品の販売が数量・金額とも堅調に推移しましたが、家庭用は値上げや外食の回復影響などもあり、増収となったものの販売数量は減少しました。
<北米>
・家庭用・業務用ともに値上げ効果が継続していることに加え、家庭用はインフレ影響で市場が低迷する中でシェアを拡大、業務用は原料価格低下もあり増収・増益となりました。

<欧州>
・英国の改善に加え、スペイン・イタリアなどへ販売エリア拡大を進めました。フランス・ドイツでは販売数量の減少が見られましたが、値上げ効果に加え原料価格が低下し始めたこともあり増収・増益となりました。

 

チルド事業:前年同期比で増収、増益
・人流回復でコンビニエンスストア向けおにぎり・サラダの販売が増加するなどベンダー事業が好調に推移しました。また、2023年7月から同業のベンダー事業を営む株式会社グルメデリカが連結子会社として加わったことも寄与し増収・増益となりました。

 

 

※画像省略しています。

 

③ファイン事業
 ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注2)および機能性食品(注3)などの生産・販売を行っております。

<当第3四半期連結累計期間の概況>
 ファイン事業では売上高は115億円前年同期比97億33百万円減)となり、営業損失は78百万円前年同期比18億91百万円減)となりました。

・2022年9月に連結子会社の日水製薬株式会社(現・島津ダイアグノスティクス株式会社)の全株式を売却したことに加え、医薬原料の米国向け輸出の中断、巣ごもり需要の減速による通信販売の減少などがあり減収・減益となりました。

 

 

※画像省略しています。

 

④物流事業
 物流事業につきましては、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。

 <当第3四半期連結累計期間の概況>
 物流事業では売上高は117億67百万円前年同期比1億31百万円増)となり、営業利益は13億81百万円前年同期比2百万円減)となりました。
・人件費などのコストアップに対して作業の効率化・保管料の値上げを進めたことにより収益性は改善したものの、冷蔵倉庫事業・通関事業において取扱い数量の減少や、2024年1月開業の日水物流株式会社南港物流センター開業のための費用の発生などがあり増収・減益となりました。

 

(注1) 国際財務報告基準(IFRS)に基づき、海面養殖魚(在池魚)について出荷想定価格による評価を実施。

(注2) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。

(注3) 主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、特定保健用食品「イマークS」などの健康食品。

 

 

(2)財政状態の分析

(単位:百万円)

 

2023年3月

2024年3月
 第3四半期

増減

  流動資産

304,349

343,104

38,754

  (うち 棚卸資産)

175,884

192,948

17,064

  固定資産

244,664

270,171

25,507

 資産合計

549,013

613,275

64,261

  流動負債

198,771

213,118

14,346

  固定負債

129,606

145,047

15,441

 負債合計

328,377

358,165

29,788

 純資産合計

220,635

255,109

34,473

 

 

資産

資産合計は前連結会計年度末に比べて642億61百万円増6,132億75百万円11.7%増)となりました。

流動資産は387億54百万円増3,431億4百万円12.7%増)となりました。売上増加などにより受取手形及び売掛金が271億39百万円増加したこと、棚卸資産が170億64百万円増加したことが主な要因です。

固定資産は255億7百万円増2,701億71百万円10.4%増)となりました。新規連結化などにより有形固定資産が172億59百万円増加しました。

 

負債

負債合計は前連結会計年度末に比べて297億88百万円増3,581億65百万円9.1%増)となりました。

流動負債は143億46百万円増2,131億18百万円7.2%増)となりました。支払手形及び買掛金が61億18百万円増加したことが主な要因です。
 固定負債は154億41百万円増1,450億47百万円11.9%増)となりました。
 

純資産

純資産合計は前連結会計年度末に比べて344億73百万円増加し、2,551億9百万円15.6%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益を202億93百万円計上したこと、剰余金の配当を62億31百万円行ったこと、円安の影響により為替換算調整勘定が144億12百万円増加したこと、新規連結化などにより非支配株主持分が42億18百万円増加したことなどによります。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は32億4百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。