売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00015 Japan GAAP

売上高

1.02兆 円

前期

8,667.0億 円

前期比

117.7%

時価総額

1,501.4億 円

株価

2,968.5 (04/19)

発行済株式数

50,578,837

EPS(実績)

367.66 円

PER(実績)

8.07 倍

平均給与

742.7万 円

前期

705.2万 円

前期比

105.3%

平均年齢(勤続年数)

42.1歳(15.9年)

従業員数

1,640人(連結:12,843人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

  当社グループ(当社及び当社の関係会社)は当社、子会社99社及び関連会社54社により構成されており、水産資源事業、加工食品事業、食材流通事業、物流事業を主たる事業として行っております。

  当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

  なお、次の4事業は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

  また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(1)水産資源事業………当社及び連結子会社[大洋エーアンドエフ㈱、Austral Fisheries Pty Ltd.、大都魚類㈱、神港魚類㈱、大東魚類㈱、㈱マルハ九州魚市ホールディングス、九州中央魚市㈱、Kingfisher Holdings Limited、Southeast Asian Packaging and Canning Limited、KF Foods Limited、Premier Pacific Seafoods, Inc.、Westward Seafoods, Inc.、Alyeska Seafoods, Inc.、Maruha Capital Investment, Inc.、Seafood Connection Holding B.V.、Maruha Nichiro Europe Holding B.V.、アイシア㈱他39社]、非連結子会社17社[うち、持分法適用会社2社]、並びに関連会社47社[うち、持分法適用会社19社]により、国内外で漁業を行う漁業ユニット、国内において主にブリ、カンパチ、マグロの養殖を行う養殖ユニット、国内外にわたり水産物の調達・市場流通も含む販売ネットワークを持つ水産商事ユニット、中国・東南アジア・北米・欧州において水産物・加工食品の生産・販売を行う海外ユニットから構成されております。

(2)加工食品事業………当社及び連結子会社[㈱マルハニチロ北日本他4社]により、家庭用冷凍食品・缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・ デザート・調味料・フリーズドライ製品等の製造・販売を行う加工食品ユニット、化成品の製造・販売を行うファインケミカルユニットから構成されております。

(3)食材流通事業………当社及び連結子会社[㈱ヤヨイサンフーズ、マルハニチロ畜産㈱他6社]、並びに関連会社2社[持分法適用会社]により、多様な業態に対して水産商材や業務用商材の製造・販売を行う食材流通ユニット、国内外の畜産物を取り扱う畜産ユニットから構成されております。

(4)物流事業……………連結子会社[㈱マルハニチロ物流他7社]、並びに関連会社1社[持分法適用会社]において冷凍品・飼料等の保管及び輸配送等を行っております。

(5)その他………………当社及び連結子会社[㈱マルハニチロアセット他3社]、非連結子会社1社、並びに関連会社4社[うち、持分法適用会社2社]において、不動産業等を行っております。

 

  以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

23/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

    文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概況

① 経営成績の状況

  当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス新規感染者数の増加局面が引き続きあったものの、行動制限が緩和されたことや、全国旅行支援等の政府による需要喚起策、インバウンド需要の回復を受けた、外食・旅行等のサービス消費が牽引役となり、個人消費を中心に緩やかな持ち直しが見られました。

  その一方で、当社グループ関連業界を取り巻く環境につきましては、ウクライナ情勢長期化等の影響を受けた原材料・エネルギーコストの高騰に加え、日米金利差や世界景気の動向を受けた為替相場の乱高下等もあり、不安定な環境が継続いたしました。

  このような状況のもと、当社グループにおいては、中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」の策定にあたり再定義した長期経営ビジョンの実現に向けて、「経営戦略とサステナビリティの統合」「価値創造経営の実践」「持続的成長のための経営基盤強化」に取り組んでまいりました。

(長期経営ビジョン)

  ①事業活動を通じた経済価値、社会価値、環境価値の創造により、持続可能な地域・社会づくりに貢献する

  ②総合食品企業として、グローバルに「マルハニチロブランド」の提供価値を高め、お客様の健康価値創造に貢

    献する

  ③水産資源調達力と食品加工技術力に基づく持続可能なバリューチェーンを強化し、企業価値の最大化を実現す

    る

  その結果、売上高は1,020,456百万円(前期比17.7%増)、営業利益は29,575百万円(前期比24.2%増)、経常利益は33,500百万円(前期比21.4%増)となりました。また、2022年9月24日に当社広島工場で発生した火災による火災損失の計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は18,596百万円(前期比10.0%増)となりました。

 

  各セグメントの経営成績は次のとおりであります。

  なお、従来、報告セグメントについては「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分としておりましたが、水産資源調達力と食品加工技術を生かしたバリューチェーンの更なる強化拡充を図るため、当期より「水産資源」、「加工食品」、「食材流通」及び「物流」の4区分に変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

水産資源事業

  水産資源事業は、国内外で漁業を行う漁業ユニット、国内において主にブリ、カンパチ、マグロの養殖を行う養殖ユニット、国内外にわたり水産物の調達・市場流通も含む販売ネットワークを持つ水産商事ユニット、中国・東南アジア・北米・欧州において水産物・加工食品の生産・販売を行う海外ユニットから構成され、新型コロナウイルスの影響により大きく変化する事業環境に対応し、収益の確保に努めました。

  漁業ユニットは、メロを始め主要魚種の販売好調により増収となり、魚価の回復により増益となりました。

  養殖ユニットは、量販店や外食向けを中心としたブリ、カンパチの販売数量増加とコロナ禍で下落した売価の回復に加えて、マグロを始め主要魚種相場の更なる上昇により増収増益となりました。

  水産商事ユニットは、外食・業務用向け販売の回復に加えて、水産物全般の堅調な魚価に支えられ、増収増益となりました。

  海外ユニットは、北米では生産効率の向上や新たに獲得したアラスカのスケソウダラ資源が生産増に寄与し、加えて堅調なマーケットの中で販売価格が上昇したことにより増収増益となりました。欧州では水産物需要拡大に対応した仕入・販売やイギリス水産加工販売会社の買収及びオランダの食品卸会社への追加出資による子会社化により増収増益、アジアではタイのペットフードが北米向けの販売好調やドル高バーツ安により増収増益となり、全体においても増収増益となりました。

  以上の結果、水産資源事業の売上高は598,481百万円(前期比23.8%増)、営業利益は21,376百万円(前期比60.2%増)となりました。

 

 

加工食品事業

  加工食品事業は、家庭用冷凍食品・缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート・調味料・フリーズドライ製品等の製造・販売を行う加工食品ユニット及び化成品の製造・販売を行うファインケミカルユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。

  加工食品ユニットは、食品全体の値上げによる消費心理の冷え込みや節約志向が見られ、数量面では苦戦しましたが、継続する簡便食ニーズに加え、値上げ効果や販売拡大に向けた施策が奏功し、増収となりました。一方、秋に再値上げを実施したものの、引き続き原材料・資材、エネルギーコストの高騰及び為替変動の影響を受け、減益となりました。

  ファインケミカルユニットは、今期より新規参入したヘパリンの販売や既存の健康食品向けの販売が底堅く推移し、増収増益となりました。

  以上の結果、加工食品事業の売上高は106,637百万円(前期比2.3%増)、営業利益は3,115百万円(前期比38.4%減)となりました。

 

食材流通事業

  食材流通事業は、多様な業態に対して水産商材や業務用商材の製造・販売を行う食材流通ユニット、国内外の畜産物を取り扱う畜産ユニットから構成され、グループにおける原料調達力、商品開発力、加工技術力を結集して業態ニーズにお応えする商品を提案し、収益の確保に努めました。

  食材流通ユニットは、外食向けを中心に販売が回復したこと、介護食・給食が堅調に推移したこと、価格改定に努めたことなどにより増収となりました。しかしながら、業務効率化・生産性向上等に努めましたが、更なる原材料・エネルギーコストの高騰及び円安によるコストアップのカバーまでには至らず、減益となりました。

  畜産ユニットは、全般的な輸入畜肉相場高騰による販売価格の上昇、欧州産豚肉の取り扱い増加に加え、国産牛肉の販売が堅調に推移したことから、増収増益となりました。

  以上の結果、食材流通事業の売上高は297,316百万円(前期比13.5%増)、営業利益は3,087百万円(前期比21.4%減)となりました。

 

物流事業

  物流事業は、電気料金の値上げに伴い動力費が大幅に増加となったものの、大都市圏を中心に保管需要を着実に取り込んだことにより、売上高は17,620百万円(前期比6.1%増)、営業利益は1,583百万円(前期比43.7%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

総資産は637,227百万円となり、前期に比べ88,623百万円増加いたしました。これは、主として棚卸資産及び売上債権の増加によるものであります。

負債は424,704百万円となり、前期に比べ63,996百万円増加いたしました。これは、主として借入金及び社債による有利子負債の増加によるものであります。

  非支配株主持分を含めた純資産は212,522百万円となり、前期に比べ24,627百万円増加いたしました。

 

  各セグメントの資産は次のとおりであります。

 なお、当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

  水産資源事業の総資産は354,414百万円となり、前期に比べ68,658百万円増加いたしました。これは、主として棚卸資産及び有形・無形固定資産の増加によるものであります。

  加工食品事業の総資産は77,025百万円となり、前期に比べ1,895百万円減少いたしました。これは、主として有形固定資産の減少によるものであります。

  食材流通事業の総資産は116,787百万円となり、前期に比べ18,180百万円増加いたしました。これは、主として

棚卸資産の増加によるものであります。

  物流事業の総資産は47,304百万円となり、前期に比べ13百万円増加いたしました。これは、主として売上債権の増加によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、借入金の増加によって得た資金を、主として棚卸資産の取得及び設備投資等により使用した結果、当連結会計年度末には33,360百万円と前連結会計年度末に比べ8,929百万円増加いたしました。

営業活動によるキャッシュ・フロー

  営業活動の結果使用した資金は24百万円(前連結会計年度は19,249百万円の収入)となりました。これは、主として棚卸資産及び売上債権の増加によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動の結果使用した資金は23,860百万円(前連結会計年度は10,258百万円の支出)となりました。これは、主として設備投資によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フロー

  財務活動の結果得られた資金は30,288百万円(前連結会計年度は17,200百万円の支出)となりました。これは、主として借入金によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

  当期より、一部事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

(ⅰ) 生産・仕入実績

  当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

  当連結会計年度

(自  2022年4月1日

    至  2023年3月31日)

 前年同期比(%)

水産資源事業(百万円)

554,126

118.0

加工食品事業(百万円)

78,532

100.3

食材流通事業(百万円)

222,863

123.7

物流事業(百万円)

15,234

103.0

報告セグメント計(百万円)

870,757

117.2

その他(百万円)

3,895

216.0

合計(百万円)

874,652

117.5

  (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(ⅱ) 受注実績

  当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(ⅲ) 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

  当連結会計年度

(自  2022年4月1日

    至  2023年3月31日)

 前年同期比(%)

水産資源事業(百万円)

598,481

123.8

加工食品事業(百万円)

106,637

102.3

食材流通事業(百万円)

297,316

113.5

物流事業(百万円)

17,620

106.1

報告セグメント計(百万円)

1,020,056

117.7

その他(百万円)

400

97.9

合計(百万円)

1,020,456

117.7

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、販売実績額が総販売実績額の100分の10

以上となる販売先がないため省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

  売上高は前連結会計年度を153,754百万円上回る1,020,456百万円となりました。主な増減の内訳は、海外ユニットにおけるタイでの北米向けペットフードの販売好調に加え、欧州でのイギリス水産加工販売会社の買収及びオランダでの食品卸会社への追加出資による子会社化に伴う販売増加、水産商事ユニットにおける外食・業務用向け販売回復及び水産物全般の堅調な魚価に支えられたことによる水産資源事業の増収114,879百万円、食材流通ユニットにおける外食向けを中心とした販売回復及び介護食・給食向けも堅調に推移したことに加え、畜産ユニットにおける全般的な輸入畜肉相場の上昇及び欧州産豚肉の取り扱い増加等による食材流通事業の増収35,417百万円となります。

 

連結会計年度のセグメント別売上高

 

 

 

(単位:百万円)

セグメントの名称

  前連結会計年度

(自  2021年4月1日

    至  2022年3月31日)

  当連結会計年度

(自  2022年4月1日

    至  2023年3月31日)

前期比

増減率

(%)

水産資源事業

483,601

598,481

114,879

23.8

加工食品事業

104,192

106,637

2,444

2.3

食材流通事業

261,899

297,316

35,417

13.5

物流事業

16,600

17,620

1,020

6.1

その他

408

400

△8

△2.1

合計

866,702

1,020,456

153,754

17.7

(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

  売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度から138,996百万円増加し、885,201百万円(前期比18.6%増)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.6ポイント悪化し、86.7%となりました。販売費及び一般管理費は、労務費や発送配達費等の物流費等の経費増加により、前連結会計年度から9,001百万円増加し、105,678百万円(前期比9.3%増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.8ポイント好転し、10.4%となりました。研究開発費は、前連結会計年度から5百万円増加し、1,652百万円(前期比0.3%増)となりました。

 

(営業利益)

  営業利益は前連結会計年度を5,756百万円上回る29,575百万円(前期比24.2%増)となりました。主な増減の内訳は、海外ユニットにおけるタイでの北米向けペットフードの販売好調、北米での販売価格の上昇、養殖ユニットにおける量販店や外食向けを中心としたブリ、カンパチの販売数量の増加及び販売価格の回復に加え、マグロを始めとした主要魚種相場の上昇による水産資源事業の増益8,031百万円、大都市圏を中心に保管需要を着実に取り込んだことによる物流事業の増益482百万円、一方で、原材料、エネルギーコストの高騰及び為替変動の影響等による加工食品事業の減益1,946百万円、食材流通事業の減益839百万円となります。

  なお、営業利益の売上高に対する比率は、2.9%(前連結会計年度は2.7%)となりました。

 

連結会計年度のセグメント別営業利益

 

 

 

(単位:百万円)

セグメントの名称

  前連結会計年度

(自  2021年4月1日

    至  2022年3月31日)

  当連結会計年度

(自  2022年4月1日

    至  2023年3月31日)

前期比

増減率

(%)

水産資源事業

13,345

21,376

8,031

60.2

加工食品事業

5,061

3,115

△1,946

△38.4

食材流通事業

3,926

3,087

△839

△21.4

物流事業

1,101

1,583

482

43.7

その他

165

278

112

68.0

調整額

218

134

△83

△38.5

合計

23,819

29,575

5,756

24.2

(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。

 

(経常利益)

  経常利益は前連結会計年度を5,903百万円上回る33,500百万円(前期比21.4%増)となりました。主な増減の内訳は、営業利益の増加5,756百万円、為替差益の増加1,581百万円、支払利息の増加878百万円、貸倒引当金繰入額の増加421百万円となります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

  親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度を1,697百万円上回る18,596百万円(前期比10.0%増)となり、1株当たり当期純利益は363円68銭(前連結会計年度は321円13銭)となりました。増減の内訳は、経常利益の増加5,903百万円、特別利益の増加2,213百万円、特別損失の増加4,090百万円、法人税等の減少138百万円、非支配株主に帰属する当期純利益の増加2,467百万円となります。

  なお、特別損益は、前連結会計年度に比べ1,876百万円の損益悪化となりました。これは主に、特別利益が固定資産売却益及び投資有価証券売却益の増加等により前連結会計年度に比べ2,213百万円増加した一方で、特別損失が火災損失の計上に加え、固定資産処分損の増加等により前連結会計年度に比べ4,090百万円増加したことによるものであります。

  法人税等合計は前連結会計年度に比べ138百万円減少しており、法人税等合計の税金等調整前当期純利益に対する比率が3.8ポイント減の22.4%となっております。これは主に、貸倒引当金の認容等によるものであります。

 

② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

(総資産)

  総資産は前連結会計年度末に比べ88,623百万円増加し、637,227百万円(前期比16.2%増)となりました。総資産のうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ68,334百万円増加し、392,639百万円(前期比21.1%増)となり、固定資産は前連結会計年度末に比べ20,289百万円増加し、244,587百万円(前期比9.0%増)となりました。

  主な増減の内訳は、棚卸資産の増加44,006百万円並びに売上債権の増加16,377百万円となります。

  売上債権及び棚卸資産は前連結会計年度末に比べ増加しておりますが、販売好調による売上債権の増加及び必要な在庫の手当て、魚種全体にわたる単価上昇や外貨換算の円安影響等によるものであり、正常な範囲内と考えております。

  また、売上債権回転日数については47.1日(前期比1.5日減)、棚卸資産回転日数については89.4日(前期比4.9日増)となっており、いずれも正常な水準の範囲内と判断しております。

 

売上債権回転日数及び棚卸資産回転日数

 

 

 

(単位:百万円)

 

  前連結会計年度

(自  2021年4月1日

    至  2022年3月31日)

  当連結会計年度

(自  2022年4月1日

    至  2023年3月31日)

前期比

増減率

(%)

売上高(a)

866,702

1,020,456

153,754

17.7

売上原価(b)

746,205

885,201

138,996

18.6

受取手形、売掛金

及び契約資産(c)

115,391

131,769

16,377

14.2

棚卸資産(d)

172,691

216,698

44,006

25.5

売上債権回転日数(日)

48.6

47.1

△1.5

△3.0

(c)÷(a)×365

棚卸資産回転日数(日)

84.5

89.4

4.9

5.8

(d)÷(b)×365

 

 

なお、セグメント別資産の内訳は、次のとおりであります。

連結会計年度のセグメント別資産

 

 

 

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

前期比

増減率

(%)

水産資源事業

285,756

354,414

68,658

24.0

加工食品事業

78,920

77,025

△1,895

△2.4

食材流通事業

98,606

116,787

18,180

18.4

物流事業

47,290

47,304

13

0.0

その他

9,627

9,998

370

3.9

調整額

28,401

31,696

3,295

11.6

合計

548,603

637,227

88,623

16.2

(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。

 

(負債)

  負債は前連結会計年度末に比べ63,996百万円増加し、424,704百万円(前期比17.7%増)となりました。負債のうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ43,903百万円増加し、265,448百万円(前期比19.8%増)となり、固定負債は前連結会計年度末に比べ20,092百万円増加し、159,255百万円(前期比14.4%増)となりました。

  主な増減の内訳は、仕入債務の増加5,474百万円、未払法人税等の増加1,329百万円、借入金及び社債による有利子負債の増加50,535百万円となります。

  また、有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ50,535百万円増加し、301,139百万円となりました。

 

(純資産)

  非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ24,627百万円増加し、212,522百万円(前期比13.1%増)となりました。

  主な増減の内訳は、当期純利益等による利益剰余金の増加15,702百万円、為替換算調整勘定の増加7,054百万円、非支配株主持分の増加6,489百万円及び自己株式の消却等による資本剰余金の減少5,132百万円となります。

  なお、自己資本比率は売上債権及び棚卸資産等の増加に伴う総資産の増加により、28.0%となり、前連結会計年度末(29.2%)に比べ、1.2ポイント悪化いたしました。

  また、1株当たり純資産は自己株式の消却等により、前連結会計年度末の3,043円95銭から3,534円39銭となりました。

 

自己資本比率及び1株当たり純資産

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

前期比

自己資本(a)

160,174

178,312

18,138

総資産(b)

548,603

637,227

88,623

自己資本比率(%)(a)÷(b)

29.2

28.0

△1.2

1株当たり純資産

3,043円95銭

3,534円39銭

490円44銭

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

連結キャッシュ・フローの状況

 

 

(単位:百万円)

 

  前連結会計年度

(自  2021年4月1日

    至  2022年3月31日)

  当連結会計年度

(自  2022年4月1日

    至  2023年3月31日)

前期比

営業活動によるキャッシュ・フロー

19,249

△24

△19,273

投資活動によるキャッシュ・フロー

△10,258

△23,860

△13,601

財務活動によるキャッシュ・フロー

△17,200

30,288

47,489

現金及び現金同等物に係る換算差額

1,483

2,131

648

現金及び現金同等物の増減額

△6,726

8,535

15,261

新規連結に伴う現金及び現金同等物

の増加額

394

394

現金及び現金同等物の期末残高

24,430

33,360

8,929

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動によるキャッシュ・フローは、24百万円の支出(前連結会計年度は19,249百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益31,545百万円及び減価償却費15,083百万円等により資金を創出した一方、棚卸資産の増減額の増加35,235百万円、売上債権の増加額の増加9,836百万円及び法人税等の支払額5,545百万円があったこと等によるものであります。

 前連結会計年度に比べて営業活動の結果得られた資金が19,273百万円減少いたしましたが、主な増減の内訳は、棚卸資産の増減額による減少20,588百万円、法人税等の支払額による減少2,042百万円、税金等調整前当期純利益の増加4,026百万円となります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動によるキャッシュ・フローは、23,860百万円の支出(前連結会計年度は10,258百万円の支出)となりました。水産資源事業における北米でのスケソウダラの加工施設の取得及び加工食品事業における生産拠点を中心に、有形固定資産の取得による支出20,359百万円、水産資源事業における漁業許可権利金等の無形固定資産の取得による支出9,384百万円、有形固定資産の売却による収入4,647百万円等によるものであります。

  前連結会計年度に比べて投資活動の結果使用した資金が13,601百万円増加いたしましたが、主な増減の内訳は、無形固定資産の取得による支出の増加7,172百万円、有形固定資産の取得による支出の増加5,540百万円となります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動によるキャッシュ・フローは、30,288百万円の収入(前連結会計年度は17,200百万円の支出)となりました。借入金による収入38,444百万円、社債の発行による収入4,965百万円、自己株式の取得による支出5,381百万円によるものであります。

  前連結会計年度に比べて財務活動の結果得られた資金が47,489百万円増加いたしましたが、主な増減の内訳は、借入金による収入の増加50,054百万円、社債の発行による収入の増加4,965百万円、自己株式の取得による支出の増加5,377百万円等となります。

 

(資金の流動性)

  当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ8,929百万円増加し、33,360百万円となりました。

  手元流動性確保のため、主要な金融機関との関係維持・強化を図るほか、当座貸越枠等の調達手段を備えております。

  また、当社グループは各社が月次に資金繰り計画を作成するなどの方法により流動性リスクを管理しております。

 

(財務政策)

  当社グループは、中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」において、再定義した長期経営ビジョンの実現に向けて、基本的な考え方である「経営戦略とサステナビリティの統合」「価値創造経営の実践」「持続的成長のための経営基盤強化」に取り組んでまいりました。

  引き続き、成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ってまいります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指してまいります。

  また、当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入及びグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる自己資金によっております。

 

(資金調達の方法及び状況)

  短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

  また、当社は2022年11月2日、環境持続型の漁業・養殖事業等に資金使途を限定した本邦初となる債券「ブルーボンド」(第1回無担保社債)の発行により、5,000百万円を調達いたしました。

  今後も資金調達の多様化・安定化に努めるとともに、調達した資金を通じた環境課題解決への貢献にも取り組んでまいります。

 

(資金需要の動向)

  当社グループでは、設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当及び法人税の支払い等に資金を充当しております。

 また、中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」における成長及びインフラへの投資として、既存領域での海外資源アクセスへの増強、海外生産拠点の生産設備の更新、家庭用冷凍食品に係る生産設備の更新、冷蔵庫のスクラップ&ビルド等への投資のため、並びに成長ドライバー領域への戦略投資として、海外市場への展開拡大、冷凍食品事業、介護事業、ファインケミカル事業、ペットフード事業領域の強化に向けた投資のため資金を充当してまいります。

 

  設備投資を目的とした資金需要のうち主なものは、食品生産拠点、漁船等の購入費用、物流センターの増設費用等であり、運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点及び物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 

  各セグメントの資金需要の動向は次のとおりであります。

 

水産資源事業

  漁船、漁業許可権利金、食品生産拠点、養殖設備等の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、養殖魚や養殖のために必要なエサ代、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。

 

加工食品事業

  食品生産拠点の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。

 

食材流通事業

  食品生産拠点の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。

 

物流事業

物流センターの増設費用及び物流センターの運営費等の運転資金が必要となります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の経営者は、重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。

  連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、下記については、重要なものとして、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

(ⅰ)固定資産の減損

(ⅱ)棚卸資産の評価

(ⅲ)繰延税金資産の回収可能性

 

  その他の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりであります。

(ⅳ)貸倒引当金

  当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

  個別の回収可能性の検討にあたっては、取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額などの見積り・前提を使用しております。

  当連結会計年度においては、流動資産で△410百万円、固定資産で△1,522百万円の貸倒引当金を計上しております。

  取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額には不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が売上債権、貸付金等の貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅴ)投資有価証券の減損

  当社グループは、その他有価証券のうち、市場価格のない株式等以外のものについては、期末日における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合に、回復可能性を判断して減損処理を行うこととしております。市場価格のない株式等については、当該有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合には回復可能性がないものとして判断し、30%~50%程度下落した場合には当該有価証券の発行会社の財政状態及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。

  個別の回収可能性の検討にあたっては、当該有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などの見積り・前提を使用しております。

  当連結会計年度においては、投資有価証券として39,029百万円計上しております。

  有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などには不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が連結貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅵ)退職給付会計

  当社グループは、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しております。また、一部連結子会社では、確定拠出制度を採用しております。

  当社においては、退職給付信託を設定しております。

  退職給付型の制度において、退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の見積り・前提を用いております。

  割引率については、デュレーション法(加重平均期間アプローチ)により算出した期間に対応する国債のイールド・カーブから抜粋した利回りを加重平均割引率とする方法を採用しております。

  当連結会計年度においては、退職給付に係る負債として19,091百万円を計上しております。

  これらの見積り・前提に用いる割引率、退職率及び死亡率などについては、現時点で妥当と判断したデータその他の要因に基づき設定しておりますが、実際の結果がこれらの見積り・前提と異なる場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。

  なお、退職給付関係に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)に記載のとおりであります。

 

⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

  中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」において掲げております「価値創造経営の実践」における「財務KGI」の進捗状況は次のとおりであります。

  当社グループでは、中期経営計画の最終年度となる2024年度計画において、MNEV9,500百万円以上、売上高960,000百万円以上、営業利益27,000百万円以上、EBITDA46,500百万円以上、ROIC4.3%以上、ROE9.0%以上及びネットD/Eレシオ1.2倍以下を目標にしております。

  売上高は前連結会計年度を153,754百万円上回る1,020,456百万円となり、営業利益は前連結会計年度を5,756百万円上回る29,575百万円となり、EBITDAは営業利益の増加等により前連結会計年度を4,856百万円上回る47,449百万円となりました。また、ROICは運転資本等の増加はあったものの経常利益の増加等により前連結会計年度の4.3%から0.5ポイント好転し、4.8%となりました。一方で、ROEは前連結会計年度の11.2%から0.2ポイント悪化し、11.0%となり、また、ネットD/Eレシオは借入金及び社債の有利子負債が増加したことにより前連結会計年度の1.4倍から0.1ポイント上昇し、1.5倍となりました。

  この結果、MNEVは前連結会計年度を3,527百万円上回る13,981百万円となりました。投下資本利益率を意識した効率的な事業運営により、当社グループ全体の企業価値の向上に繋げてまいります。

 

 

2021年度

2022年度

2024年度計画

(最終年度)

前期比

計画比

MNEV(百万円)

10,453

13,981

9,500

3,527

4,481

売上高(百万円)

866,702

1,020,456

960,000

153,754

60,456

営業利益(百万円)

23,819

29,575

27,000

5,756

2,575

EBITDA(百万円)

42,593

47,449

46,500

4,856

949

ROIC(%)

4.3

4.8

4.3

0.5

0.5

ROE(%)

11.2

11.0

9.0

△0.2

2.0

ネットD/Eレシオ(倍)

1.4

1.5

1.2

0.1

0.3

(注)MNEV(Maruha Nichiro Economic Value):事業活動の成果に伴う経済付加価値額として、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の差(MNEVスプレッド)に、投下資本を乗じ算出しております。