売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00015 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概況

  ①経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、コロナ禍からの経済活動の正常化が進む中、インバウンド需要の回復等により景気は緩やかな回復傾向となりました。

 一方、ウクライナ情勢の長期化、継続する物価上昇による消費の低迷など、引き続き予断を許さない状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループにおいては、長期経営ビジョンの実現に向けて、引き続き「経営戦略とサステナビリティの統合」「価値創造経営の実践」「持続的成長のための経営基盤強化」に取り組んでまいりました。

 

(長期経営ビジョン)

①事業活動を通じた経済価値、社会価値、環境価値の創造により、持続可能な地域・社会づくりに貢献する

②総合食品企業として、グローバルに「マルハニチロブランド」の提供価値を高め、お客様の健康価値創造に貢献する

③水産資源調達力と食品加工技術力に基づく持続可能なバリューチェーンを強化し、企業価値の最大化を実現する

 

  その結果、売上高は787,346百万円(前年同期比0.8%増)、営業利益は25,358百万円(前年同期比5.9%減)、経常利益は30,228百万円(前年同期比2.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は22,434百万円(前年同期比21.2%増)となりました。

 

 各セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 

水産資源事業

 水産資源事業は、国内外で漁業を行う漁業ユニット、国内において主にブリ、カンパチ、マグロの養殖を行う養殖ユニット、国内外にわたり水産物の調達・市場流通も含む販売ネットワークを持つ水産商事ユニット、中国・東南アジア・北米・欧州において水産物・加工食品の生産・販売を行う海外ユニットから構成され、国内外の市場動向を注視しながら、収益の確保に努めました。

 漁業ユニットは、漁船の稼働低下による漁獲数量の減少、マグロ等の販売単価下落及び燃油代の高騰により、減収減益となりました。

 養殖ユニットは、マグロ・カンパチの販売価格が堅調に推移し売上高は前年並みも、餌料費等の高騰による原価上昇により減益となりました。

 水産商事ユニットは、冷凍マグロ、鮭鱒、ホタテなどの販売価格が引き続き低迷した結果、減収減益となりました。

 海外ユニットは、北米ではアラスカのスケソウダラ漁獲枠の増枠もあり供給増、すりみ、フィレの軟調な相場の中、販売遅れと単価低下により減収減益、欧州は昨年に子会社化したイギリス水産加工販売会社及びオランダの食品卸会社が堅調に推移し、増収増益、アジアにおいてはタイのペットフードが主要販売先である北米での在庫調整により販売低調、減収減益となり、全体においては増収減益となりました。

 以上の結果、水産資源事業の売上高は451,969百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益は11,273百万円(前年同期比42.1%減)となりました。

 

加工食品事業

 加工食品事業は、家庭用冷凍食品・缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・ デザート・調味料・フリーズドライ製品等の製造・販売を行う加工食品ユニット及び化成品の製造・販売を行うファインケミカルユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。

 加工食品ユニットは、値上げにより消費者の節約志向が強まり販売数量減となった他、前年の広島工場における火災損失をカバーしきれず減収となりました。一方、生産性の向上及び価格改定効果により増益となりました。

 ファインケミカルユニットは、機能性表示食品制度の運用方法の見直しによる取引先の買い控え及びペルーのアンチョビー禁漁による原料の値上がり等が影響し、減収減益となりました。

 以上の結果、加工食品事業の売上高は79,717百万円(前年同期比2.8%減)、営業利益は4,930百万円(前年同期比65.3%増)となりました。

 

食材流通事業

 食材流通事業は、多様な業態に対して水産商材や業務用商材の製造・販売を行う食材流通ユニット、国内外の畜産物を取り扱う畜産ユニットから構成され、グループにおける原料調達力、商品開発力、加工技術力を結集して業態ニーズにお応えする商品を提案し、収益の確保に努めました。

 食材流通ユニットは、グループ内の連携を強化し、市場の変化に合わせた業態ニーズを把握し販路拡大に努めたこと、特に外食ルートが伸長したことなどにより増収、業務効率及び工場の生産性向上により増益となりました。

 畜産ユニットは、全般的な畜肉相場の上昇に伴う販売価格の上昇及び輸入食肉の販売が堅調に推移したことから、増収増益となりました。

 以上の結果、食材流通事業の売上高は240,943百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益は6,696百万円(前年同期比121.4%増)となりました。

 

物流事業

 物流事業は、水産品をはじめ畜産品や冷凍食品などの集荷活動による着実な保管需要の取り込みに加えて、電気料金等のコスト上昇を価格に反映したことなどにより、売上高は13,500百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は2,333百万円(前年同期比72.4%増)となりました。

 

  ②財政状態の状況

  当第3四半期連結会計期間末の総資産は698,480百万円となり、前連結会計年度末に比べ61,253百万円増加いたしました。これは、主として売上債権及び棚卸資産の増加によるものであります。

  負債は455,828百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,124百万円増加いたしました。これは、主として仕入債務及び有利子負債の増加によるものであります。

  非支配株主持分を含めた純資産は242,652百万円となり、前連結会計年度末に比べ30,129百万円増加いたしました。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

  ①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 (売上高)

 売上高は前第3四半期連結累計期間(以下「前年同期」という。)を6,326百万円上回る787,346百万円(前年同期比0.8%増)となりました。

セグメント別の主な増減の内訳は、食材流通事業の増収13,806百万円、水産資源事業の減収6,305百万円となります。

 食材流通事業の主な増収要因は、食材流通ユニットにおける市場の変化に合わせた外食向け等の販路拡大、畜産ユニットにおける輸入食肉の堅調な販売等によるものであります。

 一方で、水産資源事業の主な減収要因は、水産商事ユニットにおける冷凍マグロ、鮭鱒、ホタテ等の販売価格の低迷、漁業ユニットにおける漁船の稼働低下による漁獲数量の減少等によるものであります。

 なお、当第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高は、次のとおりであります。

 

第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高

(単位:百万円)

セグメントの名称

  前第3四半期連結累計期間

(自  2022年4月1日

    至  2022年12月31日)

  当第3四半期連結累計期間

(自  2023年4月1日

    至  2023年12月31日)

前年同期比

増減率(%)

水産資源事業

458,274

451,969

△6,305

△1.4

加工食品事業

82,001

79,717

△2,284

△2.8

食材流通事業

227,136

240,943

13,806

6.1

物流事業

13,308

13,500

192

1.4

その他

298

1,215

917

307.1

合計

781,020

787,346

6,326

0.8

 

 (売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、売上高の増加に伴い、前年同期に比べ8,153百万円増加し、682,341百万円(前年同期比1.2%増)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.3ポイント悪化し、86.7%となりました。販売費及び一般管理費は、発送配達費の減少等により前年同期に比べ238百万円減少し、79,647百万円(前年同期比0.3%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.1ポイント好転し、10.1%となりました。研究開発費は、前年同期に比べ15百万円増加し、1,233百万円(前年同期比1.3%増)となりました。

 

 (営業利益)

営業利益は、前年同期を1,588百万円下回る25,358百万円(前年同期比5.9%減)となりました。

セグメント別の主な増減の内訳は、水産資源事業の減益8,191百万円、食材流通事業の増益3,671百万円となります。

水産資源事業の主な減益要因は、海外ユニットにおけるタイでのペットフードの北米における在庫調整、北米でのすりみ、フィレの販売遅れと単価低下、水産商事ユニットにおける冷凍マグロ、鮭鱒、ホタテ等の販売価格の低迷、漁業ユニットにおけるマグロ等の販売単価の下落や燃油代の高騰によるものであります。

一方で、食材流通事業の主な増益要因は、食材流通ユニットにおける業務効率化・工場の生産性向上等、畜産ユニットにおける全般的な畜肉相場の上昇に伴う販売価格の上昇等によるものであります。

なお、当第3四半期連結累計期間のセグメント別営業利益は、次のとおりであります。

 

第3四半期連結累計期間のセグメント別営業利益

(単位:百万円)

セグメントの名称

  前第3四半期連結累計期間

(自  2022年4月1日

    至  2022年12月31日)

  当第3四半期連結累計期間

(自  2023年4月1日

    至  2023年12月31日)

前年同期比

増減率(%)

水産資源事業

19,464

11,273

△8,191

△42.1

加工食品事業

2,982

4,930

1,948

65.3

食材流通事業

3,025

6,696

3,671

121.4

物流事業

1,353

2,333

979

72.4

その他

212

839

626

295.1

調整額

△90

△713

△623

692.5

合計

26,947

25,358

△1,588

△5.9

 

 (経常利益)

経常利益は前年同期を618百万円下回る30,228百万円(前年同期比2.0%減)となりました。主な増減の内訳は、営業利益の減少1,588百万円、支払利息の増加914百万円、為替差益の増加809百万円となります。

 

 (親会社株主に帰属する四半期純利益)

親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期を3,930百万円上回る22,434百万円(前年同期比21.2%増)となり、1株当たり四半期純利益は444円81銭(前年同期は360円37銭)となりました。増減の内訳は、経常利益の減少618百万円、特別利益の増加5,464百万円、特別損失の減少257百万円、法人税等の増加2,963百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益の減少1,791百万円となります。

なお、特別損益は、前年同期に比べ5,721百万円の増益となりました。これは主に、受取保険金を計上したことにより特別利益が5,464百万円増加し、また、当期において損害賠償金等を計上したものの、火災損失を計上した前年同期に比べ特別損失が257百万円減少したことによるものであります。

 

  ②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の概要

(単位:百万円)

 

前第3四半期連結会計期間

(2022年12月31日)

(a)

前連結会計年度

(2023年3月31日)

(b)

当第3四半期連結会計期間

(2023年12月31日)

(c)

前年同期比

(c)-(a)

前年対比

(c)-(b)

資産の部

 

 

 

 

 

流動資産

452,384

392,639

444,150

△8,233

51,511

 内、現金及び預金

28,960

33,679

34,927

5,967

1,248

 内、受取手形、売掛金

 及び契約資産

179,806

131,769

170,470

△9,336

38,701

 内、棚卸資産

229,326

216,698

226,311

△3,015

9,613

固定資産

246,078

244,587

254,330

8,251

9,742

 内、有形固定資産

149,085

148,995

149,850

765

855

 内、投資その他の資産

63,868

63,864

71,638

7,769

7,774

資産合計

698,462

637,227

698,480

18

61,253

負債の部

 

 

 

 

 

流動負債

331,562

265,448

298,208

△33,354

32,760

 内、支払手形及び買掛金

59,236

41,701

55,253

△3,982

13,552

固定負債

151,448

159,255

157,620

6,171

△1,635

負債合計

483,011

424,704

455,828

△27,182

31,124

 内、有利子負債

341,321

301,139

309,361

△31,960

8,221

純資産の部

 

 

 

 

 

純資産合計

215,451

212,522

242,652

27,200

30,129

(注)有利子負債は、短期借入金、一年内返済予定の長期借入金、長期借入金及び社債の合計額であります。なお、リース債務は有利子負債には含んでおりません。

 

 (総資産)

総資産は前連結会計年度末に比べ61,253百万円(9.6%)増加し、698,480百万円となりました。総資産のうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ51,511百万円(13.1%)増加し、444,150百万円となり、固定資産は前連結会計年度末に比べ9,742百万円(4.0%)増加し、254,330百万円となりました。

主な増減の内訳は、売上債権の増加38,701百万円、棚卸資産の増加9,613百万円となります。

売上債権及び棚卸資産は前連結会計年度末に比べ増加しておりますが、前第3四半期連結会計期間末と比べると合計で12,351百万円減少しており、正常な範囲内と考えております。

 

 (負債)

負債は前連結会計年度末に比べ31,124百万円(7.3%)増加し、455,828百万円となりました。負債のうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ32,760百万円(12.3%)増加し、298,208百万円となり、固定負債は前連結会計年度末に比べ1,635百万円(1.0%)減少し、157,620百万円となりました。

主な増減の内訳は、仕入債務の増加13,552百万円、有利子負債の増加8,221百万円となります。

 

 (純資産)

非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ、30,129百万円(14.2%)増加し、242,652百万円となりました。

主な増減の内訳は、親会社株主に帰属する四半期純利益等による利益剰余金の増加17,380百万円、為替換算調整勘定の増加7,757百万円、その他有価証券評価差額金の増加3,056百万円となります。

なお、自己資本比率は前連結会計年度末の28.0%から29.5%となりました。

 

 ③資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 (資金の流動性)

手元流動性確保のため、主要な金融機関との関係維持・強化を図るほか、当座貸越枠等の調達手段を備えております。

また、当社グループは各社が月次に資金繰り計画を作成する等の方法により流動性リスクを管理しております。

なお、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ、941百万円増加し、34,301百万円となりました。

 

 (財務政策)

当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した財務政策について重要な変更はありません。

 

 (資金調達の方法及び状況)

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

また、当社は、金融機関からの借入の他、2022年11月2日に環境持続型の漁業・養殖事業等に資金使途を限定した本邦初となる債券「ブルーボンド」(第1回無担保社債)を、2023年8月31日には第2回無担保社債を発行しております。

なお、当第3四半期連結会計期間末における有利子負債残高は、短期借入金が183,919百万円、長期借入金が107,441百万円、社債が18,000百万円となり、合計で309,361百万円となりました。

 

 (資金需要の動向)

当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した資金需要の動向について重要な変更はありません。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,233百万円であります。
  なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。