株式会社トライアルホールディングス

上場日 (2024-03-21) 
ブランドなど:トライアル
小売業スーパーグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E38525 

売上高

6,531.1億 円

前期

5,955.0億 円

前期比

109.7%

時価総額

3,313.6億 円

株価

2,709 (04/26)

発行済株式数

122,318,300

EPS(実績)

66.09 円

PER(実績)

40.99 倍

平均給与

1,087.1万 円

平均年齢(勤続年数)

41.2歳(1.8年)

従業員数

48人(連結:5,993人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は持株会社制を導入し、純粋持株会社である当社並びに各事業を担う連結子会社23社及び関連会社3社(2023年12月31日現在)から構成されており、「流通小売事業」、「リテールAI事業」等の事業を営んでおります。当社は、中期経営計画及び年度事業計画に基づき、グループ各社の自主性を尊重するとともに、事業の発展及び経営改善に積極的に協力し、関係会社の育成を促進して企業グループとしての経営効率の向上を目指すことを目的として指導及び助言を行うことを基本方針としております。

 当社の事業区分である「流通小売事業」及び「リテールAI事業」は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であり、報告セグメントに含まれていない事業及びこれらに附帯する事業を「その他」に区分しております。

 当社グループの事業内容は、次の通りです。なお、主な関係会社の詳細については「4 関係会社の状況」に記載の通りです。

 

(1)流通小売事業

①多様な店舗フォーマットとワンストップショッピングを可能にする豊富な商品ラインナップ

 中核事業会社である㈱トライアルカンパニーを中心に、『あなたの「生活必需店」。』をストアコンセプトとした『TRIAL』ブランドのディスカウントストアを全国に展開しております。店舗フォーマットはメガセンター、スーパーセンター(SuC)、smart及び小型店の4種のフォーマットで、主力フォーマットであるスーパーセンターを中心に、商圏人口や立地、店舗面積等を考慮して様々なエリアに出店し、エリアのドミナント展開と収益の最大化を進めております。

業態名

売場面積

(㎡)

主な出店

エリア

業態の概要

主要販売品

及びアイテム数

店舗数

(2023年12月末現在)

メガ

センター

約8,000㎡

地方都市

食品から趣味嗜好品までフルラインで商品を取り揃える大型店

生鮮食料品、一般食料品、日用雑貨、家電品、衣料品、園芸・DIY用品、ペット用品、スポーツ用品、インテリアなど約10万点

24店舗

スーパー

センター

(SuC)

約4,000㎡

郊外

生鮮食品や加工食品をはじめとする食品及び日用消耗品などの生活必需品を商品構成の中心としながら、家電製品や衣料品などの非食品を取り揃える中型店

生鮮食料品、一般食料品、日用雑貨、家電品、衣料品、園芸・DIY用品、ペット用品、スポーツ用品、インテリアなど約6~7万点

183店舗

smart

約1,400㎡

都市部・
小商圏

加工食品や弁当、惣菜を含む生鮮食品など、食品を中心とする商品構成で、メガセンター、SuCが出店困難な都市部・小商圏エリアへの出店が可能なフォーマット

一般食料品、日用雑貨、家電品、衣料品など約3万点

68店舗

小型店

~約1,000㎡

都市部・
小商圏

食品を中心とする商品構成で、SuCからの高頻度配送により新鮮な生鮮食品、惣菜を提供。自動値下げソリューションや顔認証決済などのテクノロジーを活用した高い生産性を実現する次世代型スマートストア「TRIAL GO」等の小型店

一般食料品を中心として、日用雑貨など約7千~2万点

36店舗

 

 なお、2023年12月末日時点の地域別の店舗数は以下のとおりです。

 

※画像省略しています。

 

 

また、商品ラインナップは、生鮮食品などの「食」を強みとして、日用消耗品などの生活必需品から家電製品、アパレル用品からホビー用品などの非食品まで、豊富な品揃えを有しており、24時間営業(一部店舗を除く。)で、何でも・いつでも・欲しいものがお得に買えるワンストップショッピングストアとして、利便性や価格優位性を特徴としております。

また、当社グループ内に弁当・惣菜製造や生鮮食品の加工を行うプロセスセンターやセントラルキッチン、飲料製造工場を有しており、商品製造のノウハウを増強しております。ナショナルブランド商品を調達して販売するスタイルが主流である一方、プライベートブランド(PB)商品も展開しております。PB商品においては、ナチュラルミネラルウォーターやお茶などの飲料や菓子類及びフリースなどのアパレルが人気商品であり、いずれも高品質で低価格であることが、人気の理由であると考えております。

 

②ローコストオペレーションを確立したユニークな店舗運営

1992年にトライアル1号店となる南ヶ丘店(福岡県大野城市)を開店して以来、当社は約30年におよぶディスカウントストアの運営ノウハウを蓄積しており、当社グループにてアライアンス先との物流網の共有化を通じた自社物流による最適化等、効率的な仕入れの確立と徹底したコスト管理、後述するリテールテックを活用した省力化によって、ローコストオペレーションを実現しております。

また、当社はグループ内に店舗の設計や建築を担う子会社を有しており、新規出店時における新築コストを抑えることができるほか、居抜きによる出店も活用しており、新規出店時による一時的なコスト増加についても低位に抑える戦略が確立されております。

当社グループはEDLP(Every Day Low Price)(注1)を価格戦略における基本方針としております。EDLPが実現できる背景はEDLC(Every Day Low Cost)、すなわちローコストオペレーションであります。生鮮食品などの生活必需品を中心に、競争力のある価格提案を行い、欲しいものがいつでも安い、地域一番の生活必需店として、お客様に寄り添った店舗運営を確立しております。

 

③リテールテックを活用した独自のビジネスモデル

当社グループが属する流通小売業をはじめ、あらゆる産業・分野においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が浸透しており、様々な企業がIoT(注2)/AI(注3)などのデジタル技術を活用することで新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通じた価値の創出に取組んでおりますが、当社は、「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」をビジョンとして、常に革新的な技術開発に取組んできた企業であり、現在も流通小売業(リテール)のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する『リテールDX』を牽引する先駆者として、業界の改革に取組んでおります。

当社グループは1996年のスーパーセンター1号店であるスーパーセンタートライアル 北九州空港バイパス店(北九州市小倉南区)の開店以降、自社開発のPC-POSシステム(注4)によって顧客データの蓄積と活用をはじめており、現在は各メーカー企業とお客様の購買情報がスムーズに連携できるデータベースエンジンの運用や商品の自動発注等を可能にする独自のPACER(注5)を活用した効率的な店舗オペレーションを実現しております。

また、当社のシステム開発等を所管する㈱Retail AIを中心に、お客様の更なる買い物体験の向上と店舗運営の省力化を企図とした取組みを加速しております。

2015年には精算手続きを省力化するスマートショッピングカート(現:Skip Cart)の導入を開始したほか、お客様の動線や商品の在庫を記録するAIカメラや商品の販促等に活用するインストアサイネージを導入するなど、リテールテックを活用した独自性のあるビジネスモデルを構築できているものと考えております。特に、Skip Cartの利用によってお客様のレジ待ち時間が大幅に改善され、お客様の利便性向上につながっております。

 (注)1.「EDLP」とは、Every Day Low Priceの略で、特売や限定販売ではなく、毎日数量を限定せず、お値打ち価格で販売することを指します。

2.「IoT」とは、Internet of Thingsの略で、あらゆるモノがインターネットに接続する技術を指します。

3.「AI」とは、Artificial Intelligenceの略で、人工知能のことを指します。

4.「PC-POSシステム」とは、販売時の商品情報を読み取り売上管理や商品管理を担う機器であり、PCを内蔵したものを指します。

5.「PACER」とは、Plan・Action・Check・Education・Recoveryの略で、当社グループで開発した店舗運営業務における商品管理の各アプリケーションがインストールされたモバイル端末になります。

 

当社の特徴である①ワンストップショッピング、②ユニークな店舗運営、そして③リテールテックを活用したビジネスモデルは既存店の安定的な客数及び客単価の成長に貢献しており、順調な事業規模の拡大を実現できております。

トライアル1号店開店以降の売上高と店舗数の推移は以下のとおりです。

 

※画像省略しています。

 

※画像省略しています。

 

<既存店売上高(前期比)>

既存店売上高(注)

2023年6月期

前期比

(%)

106.2

(注)「既存店売上高」とは、開店から満12ヵ月経過した店舗(対象月又はその前年同月に月間5日以上改装等により閉店した店舗は除く。)のPOS売上の合計であります。「POS」とは、Point of Salesの略称であり、小売店において商品が購入された店舗や日時、数量等の把握が可能となる仕組み・システムを指しています。「POS売上」とは同仕組み・システムにおいて計上された売上高であります。以下同じです。

 

<既存店売上高(前年同月比)>

既存店売上高

2023年7月

2023年8月

2023年9月

2023年10月

2023年11月

2023年12月

前年同月比

(%)

106.1

106.8

102.6

103.9

105.2

104.3

 

 

当社グループの小売店舗における月次の既存店売上高は、日本チェーンストア協会が公表している既存店ベースのチェーンストア総販売額(全国の食品スーパーやGMSなど)と比べて、前年同月比で高い成長を継続しております。

 

※画像省略しています。

 

(注)1.「既存店売上高」とは、開店から満12ヵ月経過した店舗(対象月又はその前年同月に月間5日以上改装等により閉店した店舗は除く。)のPOS売上合計であります。

2.「チェーンストア販売統計既存店売上高」とは、日本チェーンストア協会が公表している、同協会に加盟する会員企業(全国の食品スーパーマーケットやGMSなど)の総販売額における既存店ベース(当該月の販売額とその前年同月の販売額のうち、新規開店して売上増となったり閉店して売上減となったりする店舗の異動による影響を除いて比較)での前年同月比であります。

 

さらに当社グループでは、当社グループのみならず流通業界全体が活性化するような仕組みを『リテールDX』を通じて実現させることに注力しており、自社のみならず業界全体を巻き込んだ改革に取組んでおります。

当該改革の一環として、2021年7月には、当社と福岡県宮若市、九州大学が連携し、産官学協働で『リテールDX』を軸にしたまちづくり「リモートワークタウン ムスブ宮若」プロジェクトを開始しました。同プロジェクトは、『リテールDX』を推進する当社グループと、宮若市及び九州大学が協働して推進する地方創生・まちづくり構想の一つであり、産官学による「リテールDXの拠点づくり」を目指し、リテール企業とメーカー企業が共同で実証実験を行っております。業界全体を巻き込んだ改革意識の醸成として、食品・消費財メーカーの担当者が全国から集まり、『リテールDX』を学び、実践する「宮若ウィーク」というイベントを開催しており、当社グループでは、既成概念にとらわれない、自由な発想を取り入れたイノベーションを誘発する仕組みを設けることで、よりスピード感のある開発を実現し、リテールDXの最先端拠点を目指しています。具体的には取引先である食品・消費財メーカーとともに、共同学習としてリテールAI専門家による講義の提供やリテールDX人材の育成プログラムを開発するほか、DX実践としてSkip Cartやインストアサイネージを活用したマーケティング改革、MD-Linkを活用したデータの共有・可視化によるサプライチェーン全体の最適化について協働しております。

 

(2)リテールAI事業

 小売事業者や食品・消費財メーカーに対して、お客様の買い物体験の向上やリアル店舗のオペレーション改善、広告・販売促進活動の効率化等に資するプロダクトやソリューションを提供しております。当社では実店舗の運営で発生する現場のニーズを速やかに開発に活かすことができ、また、開発した技術を速やかに現場で実証実験できる体制が最大の特徴であり、実際の小売店舗という現場や流通サプライチェーンのステークホルダーの営業活動などの場面で実活用できるプロダクトやソリューションを開発する「オペレーション・ドリブン」のコンセプトのもと、流通小売事業と連携を図りながら、実店舗で実利用され、効果を生み出すことのできるプロダクトを開発しております。

主力プロダクトであるSkip Cartは、セルフスキャンによるレジ待ちの解消及びレジ人時(注1)の削減やクーポン・レコメンドを活用した実店舗におけるワン・トゥ・ワンマーケティング(注2)など、新しい価値をお客様、小売事業者、食品・消費財メーカーに提供しております。なお、Skip Cartやその他のプロダクトの月額利用料・ライセンス利用料等の収入を得ております。

 

<当社グループが開発したセルフレジ機能付きのショッピングカート>

※画像省略しています。

 

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※画像省略しています。

 

 

<リテールAIが提供するプロダクト>

※画像省略しています。※画像省略しています。

 

※画像省略しています。※画像省略しています。

 

 2023年12月末現在で、Skip Cartの当社グループ外での導入も含む導入店舗数は208店舗、導入台数は19,401台となっております。マンスリーユーザー数(注3)は407万人となっております。また、Skip Cartの利用者に占める50歳以上のお客様の割合は57%(注4)となっております。

 他にもPOS(注5)やID-POS(注6)等のデータ分析プラットフォームの「MD-Link」(2023年12月末時点で276社が利用)及びそのインフラ基盤である「e3-SMART」、棚状況の監視等を行う「AIカメラソリューション」、店頭における広告・販売促進ツールである「インストアサイネージ」などのプロダクトやソリューションの開発を行うとともに、グループ内の基幹システムや各種業務システムの開発・運用・保守を行っております。

(注)1.「レジ人時」とは、会計時の精算業務1時間当たりに必要な従業員数のことを指しています。

2.「ワン・トゥ・ワンマーケティング」とは、お客様個人の嗜好や属性、購買履歴等に応じて、個別に行うマーケティング活動です。マスマーケティングと比較した際、より深い顧客理解と広告等の出し分けを行う仕組みの構築が必要となります。

3.「マンスリーユーザー数」とは、2023年12月におけるSkip Cartの延べ利用者数(グループ外を除く)を指しています。

4.年代別の利用比率は、2023年12月末日時点においてSkip Cartを導入していた当社グループの204店舗における2023年12月1日から同年12月31日における利用比率であります。

5.「POS」とは、Point of Salesの略称であり、小売店において商品が購入された店舗や日時、数量等の把握が可能となる仕組み・システムを指しています。

6.「ID-POS」とは、(注)5の「POS」にIDデータが組み合わされたものであり、商品が購入された店舗や日時、数量だけでなく、ID単位でどのお客様が何の商品を購入したのかを把握することができる仕組み・システムを指しています。

7.「来店頻度」は、2023年1月1日から同年12月31日の期間において、改装を伴わずにSkip Cartの導入を行った当社グループにおける九州内のスーパーセンターのうち、データを十分に取得可能な14店舗を対象として、Skip Cart導入前後120日間の来店頻度をID-POSベースで比較することで算出しています。なお、当該店舗を対象とした理由は、当社グループの店舗が最も集約された地域である九州を対象とし、当社グループの主軸フォーマットであるスーパーセンターを対象とすることがより実態に即したデータになると考えられるためです。

8.「平均利用率」は、2023年9月25日時点においてSkip Cartを導入している当社グループのスーパーセンター131店舗における、2023年9月25日から同年10月1日のカート利用可能な9時から21時の時間帯における延べ客数のうち、Skip Cartの延べ利用者数の割合であります。なお、当該期間を対象とした背景は、季節性や一時的要因(セールやキャンペーンなど)の影響を受けていない平常時であるため、より実態に即したデータになると考えられるためです。

9.「1時間当たりの通過客数」及び「1時間当たりの買上点数」は、スーパーセンターであるアイランドシティ店の2023年4月29日から同年5月7日におけるPOSデータから算出しております。なお、当該店舗を対象とした理由は、一般的にSkip Cartの導入直後は不自然に利用者が増加する傾向があるため、Skip Cartの導入後期間が最も長い同店を対象としたものであり、また当該期間を対象とした背景は、顧客数が多い方がより実態に即したデータになるという考えから、繁忙期であるゴールデンウイークを選んだためです。

 

(3)その他

当社グループは、「食」のブランディングを通じて本業である流通小売業における「ロイヤルカスタマー」を確立するため旅館施設である「久織亭(くおりてい)」、「虎の湯」、「古民家煉り(ねり)」や2024年2月1日付で東急不動産株式会社より取得した大分及び阿蘇のゴルフ場を含むゴルフ場運営などのリゾート関連事業及び建築・不動産管理等を行っております。各事業の連携を通じて、会員サービスの拡充及び周遊性を高めることを目指しています。

 

 当社グループ全体のビジネスを俯瞰した図は以下の通りになります。

※画像省略しています。

(注)1.㈱トライアルストアーズは、主に店舗運営を通じて一般消費者への販売を行っております。

2.㈱明治屋は各店舗にテナントとして入っており、主に惣菜製造を通じて一般消費者への販売を行っております。

3.上海翔迹企業管理有限公司では㈱トライアルカンパニーへ主に生活雑貨等の販売用の商品を、㈱Retail AIへ主にIoTデバイス等の電子製品を、それぞれ輸出・販売しております。

4. 煙台創迹軟件有限公司ではシステム開発等の役務提供を行っております。

5.上海翔迹企業管理有限公司及び煙台創迹軟件有限公司は、㈱Retail AIの子会社であります。

6.㈱トライアルリアルエステートはリゾート・建築・不動産管理事業の統括を、㈱トライアル開発は店舗の開発代行及び建築請負を、㈱neri resortは旅館施設の運営を行っております。

 

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

24/02/14

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

第9期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

 当連結会計年度における日本経済は、世界的な金融引き締めによる原材料価格の高騰や円安を契機とした物価上昇が顕著となりました。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化など、世界情勢が不安定であることから、電力をはじめとしたエネルギーコストが大幅に上昇しました。

 そのような環境の中、当社グループが掲げる「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」というビジョンを実現するため、スーパーセンターをはじめとするディスカウントストアの新規出店により店舗網を拡大しました。

 さらに、Skip CartなどのリテールAIデバイス(注)の導入推進によって、便利な買物体験の提供や、データの蓄積及び活用を進める取り組みを実施してまいりました。

 

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は前連結会計年度と比べ57,611百万円(9.7%)増加し653,112百万円、営業利益は前連結会計年度と比べ1,918百万円(15.9%)増加し13,964百万円、経常利益は前連結会計年度と比べ1,671百万円(13.2%)増加し14,358百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ949百万円(13.3%)増加し8,084百万円となりました。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 なお、売上高については、外部顧客への売上高の金額によっております。また、セグメント利益又はセグメント損失については、未実現利益の消去等及び全社費用を調整する前の金額によっております。

 

(流通小売事業)

 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べ56,578百万円(9.5%)増加し651,167百万円、セグメント利益は前連結会計年度と比べ1,091百万円(7.3%)増加し16,069百万円となりました。

 新規出店については、メガセンターを2店舗、スーパーセンターを7店舗、smartを1店舗、小型店を5店舗の合計15店舗を新規出店し、当社グループの主力フォーマットであるスーパーセンターを中心に30店舗の改装を行いました。また、不採算のスーパーセンターを1店舗閉店した結果、当連結会計年度末の店舗数は285店舗(FC3店舗含む)となりました。

 

(リテールAI事業)

 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べ276百万円(63.9%)増加し708百万円、セグメント損失は前連結会計年度と比べ1,368百万円減少し452百万円となりました。

 主にSkip Cartやその他のプロダクトの月額利用料・ライセンス利用料を収受しております。また、リテールAIテクノロジーの研究開発を加速するために、研究開発人材の積極的な採用を行うとともに、当社グループの実店舗へIoTデバイスの導入を進めてまいりました。

 

(その他事業)

 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べ757百万円(158.1%)増加し1,236百万円、セグメント損失は前連結会計年度と比べ245百万円減少し100百万円となりました。

 不動産・リゾート事業について、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和や、日本政府の旅行支援策(全国旅行支援)による割引が旅行需要を喚起しました。また、訪日外国人観光客の増加によって、福岡県宮若市や大分県玖珠郡九重町などにおいて運営している旅館など徐々に回復の兆しが見え始めております。

 

(注)リテールAIデバイスとは、Skip Cart(決済機能付きレジカート)、インストアサイネージ(電子看板)や購買行動を分析するためのAIカメラなど、小売業における人工知能テクノロジーの活用方法として、当社グループが研究開発を進めるデバイスです。以下同じです。

 

第10期第2四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2023年12月31日)

 当第2四半期連結累計期間における日本経済は、原材料価格の高騰やエネルギーコスト及び人件費の増加に起因して、物価上昇が顕著となりました。さらに、世界情勢が不安定であることや円安を主因として、電力などのエネルギーコストや輸入製品の価格が上昇しました。

 新型コロナウイルス感染拡大防止の行動制限が緩和されたことで、経済活動の正常化が進みつつあります。

 小売業界においては、生活必需品をはじめとする様々な商品の価格上昇によって、消費者の節約志向が高まっている一方、外出や人が集まる機会の増加によって消費が促進されたことなどから、景気回復が期待されます。

 そのような環境の中、当社グループが掲げる「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」というビジョンを実現するため、新規出店による店舗網の拡大及び既存店売上高の成長を実現しました。

 さらに、Skip CartなどのリテールAIデバイスの導入推進によって、便利なお買い物体験の提供や、データの蓄積及び活用を進める取り組みを実施してまいりました。

 以上の結果、当社グループの当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高363,304百万円、営業利益11,568百万円、経常利益11,978百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,943百万円となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 なお、売上高については、外部顧客への売上高の金額によっております。また、セグメント利益又はセグメント損失については、未実現利益の消去等及び全社費用を調整する前の金額によっております。

 

(流通小売事業)

 当第2四半期連結累計期間における流通小売事業の既存店売上高は、季節外れの高気温によって衣料品などの冬物商品は軟調となった一方、食品などの生活必需品における品揃えや価格提案が奏功したこと、惣菜の支持率が上昇したことにより好調に推移しました。

 新規出店については、スーパーセンターを3店舗、smartを3店舗、小型店を25店舗出店した一方、スーパーセンターを1店舗、smartを3店舗、小型店を1店舗閉鎖しました。

 なお、新規出店数には、2023年10月に青森県で食品スーパーを運営する株式会社佐藤長より譲り受けた18店舗(smart3店舗、小型店15店舗)を含んでおります。

 当第2四半期連結累計期間末の店舗数は、311店舗(うちFC3店舗を含む)となりました。また、メガセンター3店舗、スーパーセンター14店舗、smart1店舗及び小型店1店舗を改装しました。

 以上の結果、当事業の売上高は361,993百万円、セグメント利益は12,641百万円となりました。

 

(リテールAI事業)

 便利なお買い物体験の提供や店舗オペレーションの省力化を目指したリテールテクノロジーの開発及び拡大のための、投資を実施しております。積極的な投資を行う一方、赤字幅が縮小するなど、収穫期に入りつつあります。

 Skip Cartの導入推進(2023年12月末時点の当社グループ外での導入も含む導入店舗数:208店舗、導入台数19,401台)によって、決済時にレジの列に並ぶ必要がないなど、お客様視点の利便性が向上していると同時に、店舗のスループット(時間当たりのレジ通過客数)が上昇しています。

 以上の結果、当事業の売上高は482百万円、セグメント損失は308百万円となりました。

 

(その他の事業)

 不動産・リゾート事業について、新型コロナウイルスの感染症の行動規制緩和が旅行需要を喚起しました。

 訪日外国人観光客の増加によって、福岡県宮若市や大分県玖珠郡九重町(くすぐんここのえまち)などにおいて運営している旅館などに徐々に回復の兆しが見え始めております。

 以上の結果、当事業の売上高は804百万円、セグメント損失は57百万円となりました。

 

② 財政状態の状況

第9期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末と比べ14,908百万円増加し、200,639百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末と比べ5,749百万円増加し、82,114百万円となりました。その主な要因は、前年に対して設備投資等を積極的に行ったことにより現金及び預金が3,533百万円減少したものの、棚卸資産が6,109百万円、その他が3,214百万円増加したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末と比べ9,158百万円増加し、118,524百万円となりました。その主な要因は、新規出店及び改装等により建物及び構築物が4,775百万円、機械装置及び運搬具が1,199百万円、有形固定資産その他が870百万円の増加に加えて、投資有価証券が699百万円増加したことによるものであります。

 

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ、6,595百万円増加し、132,618百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末と比べ10,619百万円増加し、107,666百万円となりました。その主な要因は、店舗数が増加したことに加えて、売上高の増加に伴い原価等の取引量が増加したことにより買掛金が5,424百万円、契約負債が4,025百万円増加したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末と比べ4,024百万円減少し、24,952百万円となりました。その主な要因は、長期借入金が返済により4,474百万円減少するも、新店増加により資産除去債務が422百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べ8,313百万円増加し、68,020百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が8,084百万円増加となったことによるものであります。

 

第10期第2四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2023年12月31日)

(資産)

 当第2四半期連結累計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ50,620百万円増加し、251,259百万円となりました。これは主として、現金及び預金が39,937百万円、棚卸資産が1,719百万円、流動資産その他が1,916百万円、土地が2,094百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当第2四半期連結累計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ44,798百万円増加し、177,417百万円となりました。これは主として、買掛金が40,422百万円、未払法人税等が2,377百万円増加し、未払金が622百万円、長期借入金が1,849百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当第2四半期連結累計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ5,821百万円増加し、73,841百万円となりました。これは主として、剰余金の配当1,265百万円と、親会社株主に帰属する四半期純利益6,943百万円の計上によって利益剰余金が5,678百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

第9期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,533百万円減少して23,898百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は18,445百万円(前連結会計年度は22,344百万円の増加)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益14,067百万円、減価償却費10,849百万円を計上したことであり、主な減少要因は棚卸資産の増加額6,111百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は16,765百万円(前連結会計年度は13,494百万円の減少)となりました。これは主に新規出店及び改装に伴う有形固定資産の取得による支出15,897百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は5,192百万円(前連結会計年度は4,318百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出4,756百万円によるものであります。

 

第10期第2四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2023年12月31日)

 当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は63,835百万円となりました。当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、主な支出項目として棚卸資産の増加額が1,713百万円、法人税等の支払額が3,145百万円あったものの、主な収入項目として税金等調整前四半期純利益が11,978百万円、減価償却費の計上が5,621百万円、仕入債務の増加額が41,426百万円あったことなどにより56,288百万円の収入となりました。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出11,797百万円などにより12,801百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出2,236百万円、配当金の支払額1,265百万円などにより3,548百万円の支出となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

第9期連結会計年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

流通小売事業

651,167

109.5

グロサリー

202,516

107.4

デイリー

118,578

111.9

フレッシュ

157,846

114.3

生活

79,878

105.6

ハード

62,140

106.6

アパレル

17,262

106.4

その他

12,944

110.6

リテールAI事業

708

163.9

その他事業

1,236

258.1

合計

653,112

109.7

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.グロサリーとは菓子類などの加工食品、デイリーとは卵や乳製品などの日配品、フレッシュとは生鮮四品(青果・精肉・鮮魚・惣菜)、生活とはタオルや収納用品などの生活雑貨、ハードとはキャンプ用品などの耐久性商品を示します。

3.第8期、第9期及び第10期第2四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文における将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性がともなうため、実際の結果は、これらと異なることがあります。

 当社の連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 財政状態

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

ロ 経営成績

第9期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、653,112百万円となりました。

 店舗数は前連結会計年度末の271店舗から当連結会計年度末には285店舗となり、1店舗閉鎖するも15店舗の新規出店、また主力のスーパーセンターを中心に30店舗を改装した効果、「食」の強化による既存店売上高の伸びなどにより、順調に推移しました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は、527,841百万円となりました。また、売上高に対する売上原価の比率は、商品ミックスの改善、コストコントロールなどを要因として、80.8%となり、売上総利益は125,271百万円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、113,673百万円となりました。

 また、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、17.4%であり、前連結会計年度から0.6ポイント増加しました。

 

(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業外収益は792百万円となりました。これは主に、持分法による投資利益374百万円及び助成金収入125百万円によるものであります。

 営業外費用は398百万円となりました。これは主に、支払利息113百万円及び為替差損111百万円によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の経常利益は14,358百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は8,084百万円となりました。

 

第10期第2四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2023年12月31日)

(売上高)

 当第2四半期連結累計期間の売上高は、363,304百万円となりました。

 店舗数は前連結会計年度末の285店舗から当第2四半期連結累計期間末には311店舗となり、5店舗閉鎖するも31店舗の新規出店(譲受した18店舗を含む。)、また主力のスーパーセンターを中心に19店舗を改装した効果、「食」の強化による既存店売上高の伸びなどにより、順調に推移しました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当第2四半期連結累計期間の売上原価は、291,744百万円となりました。また、売上高に対する売上原価の比率は、継続した商品ミックスの改善、コストコントロールなどを要因として、80.3%となり、売上総利益は71,560百万円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当第2四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、61,249百万円となりました。

 また、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、16.9%であり、前連結会計年度から0.5ポイント減となりました。

 

(経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益)

 営業外収益は625百万円となりました。これは主に、持分法による投資利益385百万円及び投資有価証券売却益88百万円によるものであります。

 営業外費用は215百万円となりました。これは主に、固定資産除却損65百万円、為替差損52百万円及び支払利息46百万円によるものであります。

 以上の結果、当第2四半期連結累計期間の経常利益は11,978百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,943百万円となりました。

 

ハ キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、新規出店や改装に係る設備投資等によるものであります。

 運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、必要に応じて資金調達を実施しております。