売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E05458 Japan GAAP

売上高

94.2億 円

前期

89.5億 円

前期比

105.3%

時価総額

106.7億 円

株価

550 (04/25)

発行済株式数

19,400,000

EPS(実績)

32.76 円

PER(実績)

16.79 倍

平均給与

498.9万 円

前期

464.9万 円

前期比

107.3%

平均年齢(勤続年数)

35.6歳(7.2年)

従業員数

127人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社は、事業者と消費者を結ぶ決済サービスの提供を中心とした決済・認証事業を行っております。

当社の事業内容は次のとおりであります。なお、当社は単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

 

マルチペイメントサービス

 マルチペイメントサービスは、請求書・払込取扱票など紙を使って代金請求及び回収を行うビリングサービスと、請求書・払込取扱票など紙を使わず代金回収を行うE-ビリングサービス、事業者から顧客への送金を効率的に行う送金サービス(ネットDE受取サービス、コンビニ現金受取サービス)、決済システムのSaaSサービスや決済システムに付随する情報処理システムの開発を行うその他サービスの4つのサービスから構成されております。これらのマルチペイメントサービスは、当社と提携しているコンビニエンスストア(以下「コンビニ」という。)において24時間365日の決済が可能であり(注1)、必要なソフトウエアは当社より無償使用許諾いたしますので、事業者はシステム開発に係る経費と時間を大幅に軽減できます。また、当社が頂く手数料は固定制と従量制で構成されておりますので、事業者の初期投資の低減を実現しています。

 当社が受取る手数料は、初期設定料、月額基本料金、決済毎の手数料などで構成されます。

 

①ビリングサービス

ⅰ.収納代行サービス

当社のバーコード付払込取扱票付請求書を発行するシステムと当社が契約するコンビニなどの請求代金回収経路(注2)を通じて、売掛金の回収業務を代行するサービスであります。バーコード付払込取扱票付請求書の発行は、当社が開発した払込取扱票発行・収納情報受信ソフト「コンペイ君」を使用することで、事業者自身が自社でコンビニ・郵便局で支払可能なバーコード付払込取扱票を簡単に印刷することができ、かつ入金情報受信及び入金消込を行うこともできます。なお、収納データはバーコードの数字だけですので個人情報は含まれておりません。収納情報は、支払いがあった翌営業日(郵便局からの振込は2営業日後)に配信され、入金消込処理が自動化されます。現在、通信販売をはじめ燃料代金・各種会費等の主として後払い代金収納に利用いただいております。

ⅱ.発行代行サービス

当社がバーコード付払込取扱票付請求書(銀行振込の場合は払込依頼書付請求書)の印刷・封入・封緘・郵送までを代行し、かつ入金確認及び入金消込ができる仕組みを提供するサービスです。特に物流を伴わないサービス等(授業料、各種会費)の代金収納に利用されております。また、情報授受と収納情報授受を自動的に行うサービス(請求書発行・収納代行パッケージ「ところくん」)も提供しております。

 

②E-ビリングサービス

ビリングサービスとは異なり、決済に必要な請求書の作成及び郵送を行うことなく、ウェルネットサーバーとコンビニに設置されているKIOSK端末、POSレジ、ATM、ネットバンキングなどと接続し、またクレジットカード、電子マネー等を利用して決済を行うサービスであります。KIOSK端末利用の場合、消費者がインターネット等で注文や予約をし、その際に示された決済番号を端末に入力しますと、注文内容が画面表示されます。その内容が正しければ「確認」ボタンなどを押すと、バーコード付受付票が出力されます。その後その受付票をもってレジで代金を支払います。POSレジタイプの場合は、レジにて店員に「オンライン決済」と告げるとPOSレジの客面タッチパネルにテンキーが表示されます。そこに決済番号をお客様が入力しますと、その画面に注文内容が表示されます。その内容が正しければ「確認」ボタンなどを押して代金を支払います。ATM利用の場合もほぼ同様の画面操作を行い、支払いは現金またはキャッシュカードで行います。2017年8月より、決済手段に「支払秘書」を追加し、アプリ上で当社の発行する電子マネーにより代金支払を完了できるサービスも提供しております。

現在これらのサービスは、国内のほとんどの航空会社の航空券や100社以上の高速バス事業者が販売するチケットの購入、インターネット通販などさまざまな決済に利用されておりますが、事業者は個々の収納機関(コンビニ、銀行等)との接続開発・契約を個別に行う必要がなく、当社との契約のみでさまざまな決済手段をお客様に提供できます。決済情報は当社のコンピューターを介してリアルタイムに事業者に伝えられますので、請求書や払込票を作成したり、送付する手間とコストが掛からず、支払いを確認してから商品・サービスを提供することができます。

 

③ネットDE受取サービス

事業者から顧客への振込をインターネットを利用して、より効率的に行うサービスです。この仕組みでは、受取人は事業者から受け取ったIDを利用して専用サイトにアクセスし、振込みを受けるための口座情報を入力します。この情報をもとに口座確認が行われ、自動的に振込処理が行われ、事業者の事務負担が軽減されます。

 

④コンビニ現金受取サービス

事業者から顧客への送金をコンビニ店頭にて現金で受け取ることができるサービスです。この仕組みでは、受取人は事業者から受け取ったIDをコンビニ店頭マルチメディア端末に入力して、発行される引換券を店頭レジに持参すると現金を受け取ることができ、事業者はお客様の口座情報を持つ必要がなくなり、さらに郵便振替や銀行振り込みの手数料が発生しないことから、事務負担の軽減とコスト削減が期待されます。

 

⑤支払秘書

スマートフォンアプリ「支払秘書」を活用することで、コンビニや銀行ATMへ行く必要がなく、その場で各種支払いを完了させることができるサーバー型電子マネーサービスです。生活密着型のフィンテックサービスとして普及しており、主に電気料金等の公共料金や通信料金、バスや鉄道、ECサイト等の支払いに利用ができます。

 

⑥バスもり!

スマートフォンアプリ「バスもり!」は、バス事業者・利用者双方の利便性を飛躍的に高めることができる革新的なサービスです。バス利用者は、安心・確実にいつでもどこでもスマホアプリひとつで目的地までのバス便を予約・購入でき、バス事業者も、チケットの電子化による効率的な運用を行うことができます。また、バス会社での実績を評価され、鉄道会社への提供も拡大しています。

 

⑦その他サービス

当社が提供するマルチペイメントサービスを特定の事業者向けにカスタマイズし、運用まで含めたサービス提供を行っております。また、マルチペイメントサービスと連係し、紙のチケットの発券のほか、スマートフォンなどに表示する二次元コードなどの電子チケットを認証するソリューションを提供しています。その他、コンビニの店舗に設置されているPOSレジ・KIOSK端末と当社サーバー間のネットワークを利用し、プリペイドカードをオンラインで販売するサービス、検定試験や大学受験などの各種申込を行うサービスを行っています。

 

(注)1.払込場所と時間について

払込票を使った払込みは、当社が提携している主要コンビニチェーンが展開する全国の約58,000店舗(2023年6月時点)で、そのほとんどが24時間365日営業しております。郵便局または銀行での払込みは、営業時間内となります。

マルチペイメントサービスによるペーパーレス決済についても、KIOSK端末設置済またはタッチパネル付きPOSレジが導入されている主要コンビニで24時間365日ご利用頂けます。ATMでも稼働時間内であればご利用いただけます。

2.請求代金回収経路について

当社が行う請求代金の回収は、直接当社名義の金融機関口座を払込指定先とする方法と、当社が提携するコンビニ店舗を払込場所とする方法があります。このうちコンビニ店舗に払い込まれた回収代金については、所定の期日に取り扱いを行ったコンビニ本部から当社の金融機関口座へ送金されます。その後、当社の金融機関口座に集まった回収代行代金は、所定の期日に事業者の指定する金融機関口座へ送金いたします。

 

[事業系統図]

 上記の事業の内容の事業系統図は次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

23/09/22

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要

① 財政状態及び経営成績に関する説明

当事業年度におけるわが国経済は、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクの継続、資源価格及び光熱費等の物価高騰による景気下振れが懸念され、今後の行く先の不透明な状況が続いております。一方、新型コロナウイルス感染症の経済活動への影響は、2023年5月8日から「5類」への移行に伴う社会活動の正常化により、当社を取り巻く事業環境も改善傾向にあります。

このような状況のなか、当社の主要事業ドメイン市場においても、航空、バス、鉄道など交通関連事業において回復傾向にあります。また、様々な業種業態において、DX(デジタルトランスフォーメーション)が積極推進されており、非対面サービスも増加、IT企業が果たすべき社会的役割も増してきております。

当社においても、「ペーパーレス化」「キャッシュレス化」をキーワードに、重点施策「電子決済時代への対応」「交通業界向けDX化/MaaS事業」などを推進、その文脈上にある生活密着フィンテック・プラットフォームを見据えた施策を行っており、会員管理のDX化ツール「ekaiin.com(e会員ドットコム)」)の利用拡大や電子請求書発行及び保存を行う新サービス「しまえーる」の提供など、「決済+αプラットフォーム」に注力しております。また、2023年3月には自治体向けに先進的なクラウドサービスを提供する株式会社HARPの一部株式を取得、自治体など向けの決済の全国展開を進めております。

交通関連事業では、2022年11月18日付「QRコードを活用したデジタル乗車券の開発着手について」で発表したとおり、関西を中心に岡山、静岡を含めた61の鉄道・バス事業者で構成される「スルッとKANSAI協議会」が2024年春にサービス開始予定のQRコードを活用したデジタル乗車券関連サービスのシステムパートナーとして、広域的なQRコード乗車券による非接触化とキャッシュレス化を推進することでICカード以外のデジタル化を目指しております。本プロジェクトへの参画を通じ当該協議会加盟事業者様との関係性を強化するとともに、関連する知見を蓄積し、交通事業者向けシンクライアントサービスを展開してまいります。

2023年7月にはスルッとKANSAI協議会加盟事業者様をはじめとして、関西・中国・四国・九州・沖縄も含めた西日本地区の事業者様及びお客様のサポートを強化するため、新たに大阪(梅田)に西日本支店を開設いたしました。

2016年以降「交通事業者向けオールインワンクラウドサービス」「電子マネー」など次世代向けプラットフォームの開発を推進してまいりましたが、今後はこれらソリューションの本格的な営業活動を行うフェーズに入ります。そのため西日本支店開設以外にも、2023年4月に東京本社を移転・拡張し、当社の営業体制は札幌、東京、大阪の3拠点体制となり、より地域に密着した本格的な営業活動を行ってまいります。

なお、本日(2023年8月14日)付で発表したとおり、当社は本日開催の取締役会において、上場市場を東京証券取引所のスタンダード市場を選択することとし、当社のリソースをこれら事業に集中させることにより企業価値の向上を図ることといたしました。

これらの活動の結果、当期の経営成績は、売上高9,424百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益939百万円(前年同期比27.7%増)、経常利益935百万円(前年同期比24.0%増)、当期純利益635百万円(前年同期比19.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は14,070百万円(前年同期比7.8%増)となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において営業活動により獲得した資金は1,114百万円(前年同期比66.1%減)となりました。主な増加要因は税引前当期純利益961百万円、減価償却費の計上404百万円、預り金の増加727百万円であり、主な減少要因は預け金の増加811百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において投資活動により獲得した資金は268百万円(前年同期は267百万の資金の支出)となりました。主な増加要因は有形固定資産の売却による収入251百万円、投資有価証券償還による収入200百万円であり、主な減少要因は有形固定資産の取得による支出103百万円、無形固定資産の取得による支出119百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において財務活動により支出した資金は360百万円(前年同期は390百万の資金の支出)となりました。主な減少要因は配当金の支払による支出266百万円、長期借入金の返済による支出100百万円であります。

 

 

③ 受注及び販売の状況

a. 受注状況

当事業年度の受注状況は、次のとおりであります。

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

73,032

139.1

31,895

8,114.9

(注)1.当社における受注の内容は、相手先からの受託開発であります。

2.金額は販売価格によっております。

b. 販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

前年同期比(%)

決済・認証事業(千円)

9,424,198

105.3

(注)最近2事業年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

当事業年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

アマゾンジャパン合同会社

2,594,155

29.0

2,397,340

25.4

 

(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び収益・費用の計上に関連して、種々の見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

詳細は、「 第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 経営成績の分析

当事業年度の経営成績は、売上高9,424百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益939百万円(前年同期比27.7%増)、経常利益935百万円(前年同期比24.0%増)、当期純利益635百万円(前年同期比19.4%増)となりました。

 

③ 財政状態の分析

(資産)

当事業年度末の流動資産は18,756百万円(前年同期比11.2%増)となりました。主な内訳は現金及び預金14,070百万円、預け金3,449百万円、売掛金及び契約資産604百万円であります。現金及び預金には、回収代行業務に係る収納代行預り金が10,441百万円含まれておりますが、これは翌月の所定期日には事業者に送金されるものであり、一時的に当社が分割管理により保管するものであります。また、固定資産は6,136百万円(前年同期比9.5%減)となりました。主な内訳は建物2,096百万円、土地1,602百万円、差入保証金1,455百万円、ソフトウエア443百万円であります。以上の結果、資産合計は24,892百万円(前年同期比5.3%増)となりました。

(負債)

当事業年度末の流動負債は15,105百万円(前年同期比6.3%増)となりました。主な内訳は収納代行預り金10,441百万円、預り金3,584百万円であります。また、固定負債は1,959百万円(前年同期比3.3%減)となりました。主な内訳は長期借入金1,725百万円であります。以上の結果、負債合計は17,065百万円(前年同期比5.1%増)となりました。

(純資産)

当事業年度末の純資産は7,826百万円(前年同期比5.6%増)となりました。主な内訳は株主資本7,737百万円であります。

(参考)現金及び預金の純額(回収代行業務に関する預り金を相殺した、正味の現預金残高)

 

前事業年度

(2022年6月30日)

当事業年度

(2023年6月30日)

(A)現金及び預金(百万円)

13,129

14,070

(B)収納代行預り金(百万円)

10,170

10,441

(A)-(B)現金及び預金純額(百万円)

2,958

3,629

 

④ 資金の財源及び資金の流動性についての分析

a. キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b. 資金需要

当事業年度における当社の主な資金需要は、サーバ設備やソフトウエアの取得による設備投資等であります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社におきましては、コンビニインフラへの依存、システムトラブル及び事務リスク、競合他社との競争激化、新サービスへの対応、新規事業への投資、知的財産権、個人情報の管理などが経営成績に重要な影響を与える要因と認識しております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

キャッシュレス社会に向けた大きな時代の変革期が予測されております。当社はこの変革期を大きなビジネスチャンスに変えるべく、積極的な経営姿勢に転換しております。かつてコンビニ決済など斬新なアイディアで現在の地歩を確立したように、強い思いをもってチャレンジを続けてまいります。

当社の目指すサービスプラットホームは「ストック型」であり、一旦収益ラインを突破すると一気に拡大する可能性を秘めております。重要なことは、ビジネスボリューム拡大に伴う人件費増加を避けることで、そのために運用など後方処理自動化に相当額の投資を継続的に行っております。