売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00393 IFRS

売上高

5,186.3億 円

前期

4,784.2億 円

前期比

108.4%

時価総額

4,747.4億 円

株価

6,025 (03/28)

発行済株式数

78,794,298

EPS(実績)

111.15 円

PER(実績)

54.21 倍

平均給与

899.0万 円

前期

867.4万 円

前期比

103.6%

平均年齢(勤続年数)

46.8歳(21.4年)

従業員数

110人(連結:6,610人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループの主な事業内容と、主要会社の当該事業における位置づけは次のとおりであります。なお、セグメントと同一の区分であります。

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

(1)酒類事業

国内市場においては、サッポロビール㈱(連結子会社)はビール・発泡酒、ワイン、その他の酒類の製造・販売を行っております。㈱恵比寿ワインマート(連結子会社)は、ワイン・洋酒等の店舗販売及び通信販売をしております。

㈱サッポロライオン(連結子会社)は、ライオンチェーンのビヤホール、レストランをはじめ各種業態の飲食店を経営しており、サッポロビール㈱及びポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱が販売する各種製品等を顧客に提供しております。

また、海外においては、アジア市場は、ベトナムでSAPPORO VIETNAM LTD.(連結子会社)がビールの製造・販売を行っております。北米市場は、カナダでSLEEMAN BREWERIES LTD.(連結子会社)が中心となり、ビールの製造・販売を行っております。SLEEMAN BREWERIES LTD.及びSAPPORO VIETNAM LTD.はサッポロブランドのビールも製造し、SAPPORO U.S.A.,INC.へ販売をしております。アメリカでは、これまでサッポロブランドビールの販売を行っていたSAPPORO U.S.A.,INC.(連結子会社)が2023年10月に中間持株会社に移行し、STONE BREWING CO.,LLC(連結子会社)がビールの製造(サッポロブランドビールの一部及びStoneブランドビールの全て)・販売(サッポロブランドビール及びStoneブランドビールの全て)を行っております。なお、アメリカ国内でビールの製造・販売を行っておりましたANCHOR BREWING COMPANY, LLC(連結子会社)は、2023年7月解散の決議をしております。

 

(2)食品飲料事業

ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱(連結子会社)は飲料水・食品の製造・販売を行っております。サッポログループ食品㈱(連結子会社)は食品の製造・販売を行っている神州一味噌㈱(連結子会社)等の管理・統括を行う会社であります。また、海外においては、シンガポールでPOKKA PTE. LTD.(連結子会社)が飲料水の製造・販売を、マレーシアでPOKKA ACE (MALAYSIA) SDN. BHD.(連結子会社)及びPOKKA(MALAYSIA) SDN. BHD.(連結子会社)が飲料水の製造を行っております。

 

(3)不動産事業

サッポロ不動産開発㈱(連結子会社)は、オフィス、住宅、商業、飲食、文化施設等の複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」(東京都渋谷区、目黒区)及び商業、アミューズメント等の複合施設「サッポロファクトリー」(札幌市中央区)の管理・運営を行うとともに、当社グループの不動産事業を統括しております。

 

(4)その他事業

サッポログループマネジメント㈱は保険の代理店業務を行っております。なお、同社は関係会社への間接業務サービスの提供も行っております。

 

以上の当社グループの状況について、事業系統図を示すと次のとおりであります。

 

事業の系統図

※画像省略しています。

 

24/03/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

①業績                                        (単位:百万円)

 

売上収益

事業利益(※)

営業利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

2023年12月期

518,632

15,633

11,820

8,724

2022年12月期

478,422

9,312

10,106

5,450

増減率(%)

8.4

67.9

17.0

60.1

※事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の利益指標です。

 

<売上収益>

売上収益は、食品飲料事業が減収となった一方で、酒類事業において業務用市場が順調に回復したことや、2022年8月末に連結子会社化したSTONE BREWING CO.,LLC(以下、Stone社)が当社グループへ加入し通年寄与したこと等により、全体では前期比8.4%増、402億円増収の5,186億円となりました。

 

<事業利益>

事業利益は、国内酒類事業の増収効果や、外食事業及び国内食品飲料事業の構造改革効果等により、前期比67.9%増、63億円増益の156億円となりました。

 

<営業利益>

営業利益は、事業ポートフォリオの見直しの一環で検討を進めておりました海外子会社の解散を決議したことに伴う減損損失の計上があった一方で、事業利益が改善したことや、投資不動産の売却等により、前期比17.0%増、17億円増益の118億円となりました。

 

<親会社の所有者に帰属する当期利益>

親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増益等により、前期比60.1%増、前期比33億円増益の87億円となりました。また、基本的1株当たり利益は111.99円(前期69.96円)となり、親会社所有者帰属持分比率は27.5%(前期26.0%)となりました。

 

以下、報告セグメント別の概況は記載のとおりです。

 

〔酒類事業〕

 売上収益は、業務用市場の順調な回復、価格改定、北米での好調な販売、2022年8月末にStone社が当社グループに加わったこと等により、前期から増収となりました。

 事業利益は、原材料高騰等により変動費が増加したものの、業務用市場の回復等の増収効果及び外食事業の構造改革効果により、前期から増益となりました。

 営業利益は、事業ポートフォリオの見直しの一環で検討を進めておりました海外子会社の解散を決議したことに伴う減損損失の計上があった一方で、事業利益が前期から増益したこと等により、前期から増益となりました。

 

 ■売上収益 3,769億円(前期比422億円、12.6%増)

 ■事業利益  160億円(前期比83億円、107.2%増)

 ■営業利益   90億円(前期比1億円、0.8%増)

 

酒類事業に属する国内酒類、海外酒類、外食の詳細は次のとおりです。

 

(国内酒類)

新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、業務用市場は回復基調にあった一方

で、家庭用市場は軟調に推移しました。日本国内のビール類(ビール・発泡酒・新ジャンルの総称)の総需要は前期比99%程度、ビールの総需要は前期比107%程度になったと推定されます。

2023年10月の酒税改定を踏まえ、ビール強化とRTD(※)強化により一層注力しています。

そのような中、当社グループの国内におけるビール類合計の売上数量は、前期比102%になりました。業務用商品の売上数量では、前期比123%となりました。また、家庭用商品では、酒税改正に伴う発泡酒・新ジャンル市場の縮小影響や、業務用市場の回復影響を受けながらも、黒ラベル缶の売上数量が前期比104%、RTD缶の売上数量が前期比116%となり、引き続き好調に推移しました。

 

(海外酒類)

カナダでは、新型コロナウイルス感染症対策により経済再開が進み、業務用市場は前期より回復傾向にありまし

たが、インフレ進行の影響等によりビール類総需要は前期を下回ったと推定されます。また、アメリカでも同様にインフレ進行の影響があり、前期を下回ったと推定されます。

そのような中、海外ブランドのビールの売上数量は、カナダでの業務用市場の回復に加えて、アメリカにおいてStone社の売上が加わったこともあり、前期を上回りました。また、注力している北米でのサッポロブランドビールの売上数量は、前期比104%となり、前期に引き続き過去最高を記録しました。

なお、2023年7月にANCHOR BREWING COMPANY, LLC(以下、Anchor社)の解散を決議しました。Anchor社は、業績不振が継続していたことから、中期経営計画において事業整理の対象として位置付けておりました。成長ドライバーとなるアメリカにおいては、構造改革を断行することでリソースをシフトし、Stone社とのシナジー創出により、サッポロブランドビールを中心としたさらなる成長を目指します。なお、2023年12月より「SAPPORO PREMIUM BEER」のStone社での製造を一部開始しております。

 

(外食)

新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、外食市場は回復基調が続いています。

そのような中、当社グループの外食事業は2019年比の既存店売上が106%となり、価格改定、来客数の回復、インバウンド層やシニア層の獲得により新型コロナウイルス拡大前の水準まで回復に至りました。

 

※ RTD : Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイ等のアルコール飲料

 

〔食品飲料事業〕

売上収益は、2022年11月の自動販売機オペレーター子会社の清算に伴う稼働台数の減少や2022年4月にカフェ事業を売却した影響等もあり、前期から減収となりました。

事業利益及び営業利益は、価格改定や構造改革による効果が寄与したものの、原材料高騰の影響や海外飲料における滞留債権に対する貸倒引当金の計上等の影響を受け、前期から減益となりました。

 

 ■売上収益 1,199億円(前期比30億円、2.4%減)

 ■事業利益   16億円(前期比1億円、7.5%減)

 ■営業利益   17億円(前期比6億円、25.4%減)

 

(国内食品飲料)

新型コロナウイルスの5類移行に伴い、業務用市場や自動販売機における需要はほぼ回復したものの、国内における飲料総需要は、前期比99%に留まったものと推定されます。

そのような中、当社グループの国内飲料の売上金額は価格改定効果もあり、売上金額はレモン事業の主力ブランドであるキレートレモンが前期比109%、国産素材にこだわった無糖茶が前期比160%と好調のコーン茶を中心に堅調に推移しましたが、飲料全体では商品改廃や自動販売機稼働台数減少等により、前期比93%となりました。

レモン食品の売上金額は、主力ブランドのポッカレモン100が前期比102%となり、売上金額全体では前期比105%と好調に推移しました。

 

(海外飲料)

シンガポールにおいて、家庭用チャネルを中心とした売上金額が堅調に推移し、価格改定効果も貢献したことで、前期比106%となりました。また、注力エリアであるマレーシアの総需要は、コロナ禍以降の需要の回復が一段落し低調であったものの、当社グループでは販売体制の強化を進めたことで売上金額は前期比107%となりました。

中東等への輸出事業においては、財務状況の悪化が生じた取引先に対しての販売停止等があり、売上金額は前期比93%となりました。

 

 

〔不動産事業〕

首都圏のオフィス賃貸市場は、コロナ禍により低下した稼働率は横ばい、平均賃料水準は軟調に推移し回復には至っておりません。

そのような中、売上収益は、大型複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」における「センタープラザ」の2022年11月のリニューアル開業による増収効果、多目的ホール「The Garden Hall/Room」の稼働率の増加等により、前期から増収となりました。

事業利益は、2022年より開始した「恵比寿ガーデンプレイス」のオフィス棟の空調機能更新工事に伴う稼働率の低下により、前期から減益となりました。

営業利益は、事業利益が前期から減益となった一方で、投資不動産の売却等により、前期から増益となりました。

 

 ■売上収益 217億円(前期比10億円、4.7%増)

 ■事業利益  58億円(前期比7億円、10.5%減)

 ■営業利益  89億円(前期比34億円、62.9%増)

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産、負債、資本の状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

区分

2022年12月期

2023年12月期

増減額

流動資産

179,431

176,353

△3,079

非流動資産

459,687

487,220

27,533

資産合計

639,118

663,573

24,455

流動負債

219,515

191,204

△28,311

非流動負債

252,402

289,121

36,719

負債合計

471,917

480,325

8,408

資本合計

167,201

183,248

16,047

負債及び資本合計

639,118

663,573

24,455

(資産)

資産合計は、投資有価証券の償還によるその他の金融資産(流動)の減少等があった一方、有形固定資産の増加、出資によるその他の金融資産(非流動)の増加等によって、前連結会計年度末と比較して245億円増加し、6,636億円となりました。

(負債)

負債合計は、社債及び借入金(流動)の減少等があった一方、社債の発行による社債及び借入金(非流動)の増加、設備投資に伴うその他の金融負債の増加等によって、前連結会計年度末と比較して84億円増加し、4,803億円となりました。

(資本)

資本合計は、期末配当の実施による利益剰余金の減少等があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、在外営業活動体の換算差額の変動によるその他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末と比較して160億円増加し、1,832億円となりました。

(各種財務指標)

流動比率は、流動資産が31億円減少し、流動負債が283億円減少したことにより、前連結会計年度の81.7%から92.2%に10.5ポイント増加しております。

親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度の26.0%から27.5%に増加しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の増加等により親会社の所有者に帰属する持分が増加した一方、有形固定資産の取得等により資産合計が増加したことによるものです。

親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、前連結会計年度の3.3%から5.0%に増加しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益が増加したことによるものです。

ネットD/Eレシオは、前連結会計年度の1.4倍から1.1倍に減少しております。これは、親会社の所有者に帰属する持分が増加し、社債及び借入金(流動)の減少等でネット有利子負債が減少したことによるものです。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18億円、12%増加し、当連結会計年度末には172億円となりました。

当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

区分

2022年12月期

2023年12月期

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

7,814

45,446

37,631

投資活動によるキャッシュ・フロー

△46,137

△16,439

29,698

フリー・キャッシュ・フロー

△38,323

29,007

67,330

財務活動によるキャッシュ・フロー

36,465

△27,140

△63,606

現金及び現金同等物に係る換算差額

△131

△43

88

現金及び現金同等物の増減額(△減少)

△1,988

1,824

3,812

現金及び現金同等物の期首残高

17,368

15,380

△1,988

現金及び現金同等物の期末残高

15,380

17,204

1,824

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、454億円(前期は78億円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産及び無形資産除売却損益37億円、利息の支払額21億円の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費210億円、税引前利益121億円、減損損失及び減損損失戻入益73億円の増加要因があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、164億円(前期は461億円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入が74億円あった一方、有形固定資産の取得による支出165億円、投資有価証券の取得による支出107億円、投資不動産の取得による支出105億円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、271億円(前期は365億円の収入)となりました。これは主に、長期借入による収入が250億円、社債の発行による収入が200億円あった一方、長期借入金の返済による支出が215億円、コマーシャル・ペーパーの減少額が170億円、短期借入金の減少が163億円、社債の償還が100億円あったことによるものです。

 

なお、当連結会計年度末のセグメント別の設備投資額等の内訳は、以下のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

酒類

食品飲料

不動産

その他

全社又は消去

連結合計

EBITDA(注)

 2023年12月期

26,624

4,420

11,261

15

△6,291

36,029

 2022年12月期

18,898

4,385

11,495

18

△4,916

29,879

 増減

7,725

35

△234

△2

△1,375

6,149

設備投資

(支払ベース)

 2023年12月期

12,210

3,426

11,852

1,435

28,923

 2022年12月期

6,391

2,144

12,785

1,006

22,326

 増減

5,819

1,282

△933

429

6,597

減価償却費及び

償却費

 2023年12月期

11,195

2,786

5,477

1,514

20,971

 2022年12月期

11,843

2,617

5,036

1,738

21,234

 増減

△648

169

441

△224

△263

(注) EBITDA(事業利益+減価償却費)算出の際の減価償却費につきまして、飲食店舗の家賃にかかる使用権資産の減価償却費を除いております。

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 

①重要性がある会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。

重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」に記載のとおりです。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。

経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。

 

④事業戦略と見通し

〔2024年見通し

 次期は、「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」をテーマに、「中期経営計画(2023~26)」の2年目として、構造改革に目処をつけ、2025年以降の成長戦略の実行を確かなものにしていきます。

 2023年に引き続き、原材料高騰による物価上昇が見込まれることに加え、「物流の2024年問題(ドライバーの時間外労働の規制強化)」の影響により、物流費が高騰する見通しです。

 このような中、当社グループは構造改革の断行と成長の加速により更なる収益力の強化を図ります。国内の酒類事業や食品飲料事業においては、更なる原材料や運搬費の高騰が見込まれますが、価格改定に加えて、コスト削減や不採算事業の抜本的な見直し等の構造改革で収益性改善に努めてまいります。不動産事業では、恵比寿及び札幌エリアのコア物件の価値向上を通じて、長期的な時間軸により総合的な資産価値向上を図ります。また、海外事業では、北米酒類、海外飲料の売上拡大を図るとともに、Stone社とのシナジーを最大限に創出し、グループの成長ドライバーにしていきます。これらの取り組みにより、グループ全体の収益力向上に努めます。

 以上により、売上収益、事業利益、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、当期と比較して増収増益となる見通しです。

 

〔酒類事業〕

(国内酒類)

 次期は、2023年10月の酒税改定を踏まえたビール強化とRTD強化により一層注力します。RTDは売上の成長と共

に、仙台工場のRTD生産設備により、生産性向上に努めます。2023年に引き続き、原材料等の高騰は国内酒類の業

績に強く影響を与えるものの、品種ミックス改善に努めること等によりその影響を吸収する見通しです。

 

(海外酒類)

 アメリカにおいては、Stone社での「SAPPORO PREMIUM BEER」の製造を本格化させるとともに、シナジー効果を

最大限に創出していきます。また、サッポロブランドのマーケティング投資の拡大により、さらなる成長を目指す

とともに、その魅力を一層広めてまいります。カナダにおいては、プレミアムブランドのビール及びRTDの強化に

引き続き注力するとともに、コスト構造改革を進めることで事業の効率性を高めて更なる収益性の向上に努めま

す。

 

(外食)

 需要が大きく回復に転じた2023年の基調を維持し、更に強固な経営体制の構築を図るべく、既存店の強化を柱

に、YEBISU BAR、銀座ライオンといった注力業態へのリソースシフトを進めます。引き続き原材料や諸コストの上

昇が見込まれますが、適時・適切な価格改定、顧客体験価値向上の取組みを通じ、収益確保を目指します。

 

〔食品飲料事業〕

(国内食品飲料)

 次期は、成長領域であるレモン事業へのリソース集中に向けた取り組みを加速させます。原材料等の高騰が2023

年に引き続き見込まれますが、価格改定に加えて、更なるコスト削減や不採算事業の見直し等の構造改革を実行す

ることにより収益力の強化を図ります。

 

(海外飲料)

 海外飲料は、原材料等の高騰の影響を受けるものの、価格改定等によりその対策を講じます。シンガポールを起

点にマレーシア、中東等の成長余地のある国や地域で販売及びマーケティングの体制を強化することで、グループ

の成長ドライバーとしていきます。

 

〔不動産事業〕

次期は、恵比寿及び札幌エリアのコア物件の価値向上とまちづくりの推進により競争力強化を図りながら、サッ

ポログループの価値向上に努め、長期的な時間軸で総合的な資産価値の向上に努めます。

 

⑤当連結会計年度末の連結財政状態の分析

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

ⅰ)キャッシュ・フローの分析

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。

 

2022年12月期

2023年12月期

親会社所有者帰属持分比率(%)

26.0

27.5

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)

40.0

73.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

37.9

6.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

4.5

21.3

親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分÷資産合計

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額÷資産合計

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷利払い

(注)1 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

   2 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

   3 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象

としております。

 

ⅱ)資金の流動性及び資金の調達について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動のための製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資として酒類事業及び食品飲料事業における工場整備への投資、不動産事業による投資不動産への投資、また海外事業や新規事業等の成長分野に対するM&Aへの投資等によるものであります。

当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っています。

現在そして将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、金融機関等からの借入れによって調達しています。

 

⑦経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

今後の方針につきましては、「中期経営計画(2023~26)」の基本方針である「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」をテーマに、経営課題への取り組みを推進します。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(kl)

 

前期比(%)

酒類事業(ビール・発泡酒・新ジャンル等)

805,115

6.8

酒類事業(ワイン・焼酎・RTD等)

102,011

3.7

食品飲料事業(飲料水等)

332,990

△7.2

 

②受注実績

当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

 

前期比(%)

酒類事業

376,862

12.6

食品飲料事業

119,922

△2.4

不動産事業

21,702

4.7

報告セグメント計

518,486

8.4

その他

146

4.3

合計

518,632

8.4

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

国分グループ本社㈱

62,061

13.0

73,854

14.2