E00393 IFRS
(1)業績の状況
①業績 (単位:百万円)
第3四半期 連結累計期間 |
売上収益 |
事業利益(※) |
営業利益 |
親会社の所有者に帰属する四半期利益 |
2023年 |
377,749 |
14,368 |
9,573 |
3,058 |
2022年 |
345,812 |
5,751 |
7,535 |
5,292 |
増減率(%) |
9.2 |
149.8 |
27.1 |
△42.2 |
※事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の利益指標です。
<売上収益>
売上収益は、主に酒類事業の増収により、前年同期比9.2%増、319億円増収の3,777億円となりました。新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、業務用市場は回復基調が続いたことにより、主に業務用ビール売上、ビヤホールなどの外食店舗売上が、前年同期から増加しました。また、海外酒類では北米での好調な販売、2022年8月末にSTONE BREWING CO.,LLC(以下、Stone社)が当社グループに加わったこと等が寄与し、増収となりました。
<事業利益>
事業利益は、不動産事業が減益となった一方で、国内酒類や外食における業務用ビールの売上の回復や、コスト構造改革による費用の減少等により、前年同期比149.8%増、86億円の増益となり、144億円となりました。
<営業利益>
営業利益は、事業ポートフォリオの見直しの一環で検討を進めておりました海外子会社の解散を決議したことに伴う減損損失の計上等があった一方で、事業利益が改善したことにより、前年同期比27.1%増、20億円増益の96億円となりました。
<親会社の所有者に帰属する四半期利益>
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益が増加した一方で、為替差益の減少等により、前年同期比42.2%減、22億円減益の31億円となりました。また、基本的1株当たり四半期利益は39.26円(前年同期67.93円)となり、親会社所有者帰属持分比率は27.4%(前年同期27.1%)となりました。
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。
〔酒類事業〕
売上収益は、業務用市場の順調な回復、価格改定、北米での好調な販売、2022年8月末にStone社が当社グループに加わったこと等により、前年同期から増収となりました。
事業利益は、原材料高騰等により変動費が増加したものの、業務用市場の回復等の増収効果及び外食事業の構造改革効果により、前年同期から増益となりました。
営業利益は、事業ポートフォリオの見直しの一環で検討を進めておりました海外子会社の解散を決議したことに伴う減損損失の計上があった一方で、事業利益が前年同期から増益したこと等により、前年同期から増益となりました。
■売上収益 2,743億円(前年同期比333億円、13.8%増)
■事業利益 128億円(前年同期比78億円、159.9%増)
■営業利益 77億円(前年同期比8億円、12.2%増)
酒類事業に属する国内酒類、海外酒類、外食の詳細は次のとおりです。
(国内酒類)
新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、業務用市場は回復基調にあった一方で、家庭用市場は軟調に推移しました。また、昨年の価格改定前の駆け込み需要の反動減もあり、日本国内のビール類総需要は、前年同期比98%程度になったと推定されます。RTD(※)についても同様に昨年の駆け込み需要の反動減の影響を受けております。
当期は、2023年10月の酒税改定を見据えたビール強化とRTD強化により一層注力しています。
そのような中、当社グループの国内におけるビール類合計の売上数量は、前年同期比98%になりました。業務用商品では、前年同期比124%となった一方で、家庭用商品では、黒ラベル缶の売上数量は前年同期比97%に留まり、駆け込み需要の反動減の影響を受けております。RTD缶の売上数量は、駆け込み需要の反動減の影響を受けながらも既存ブランドの強化や新商品の発売により前年同期比113%となり、引き続き好調に推移しました。
(海外酒類)
カナダでは、新型コロナウイルス感染症対策により経済再開が進み、業務用市場は前年同期より回復傾向にありましたが、インフレ進行の影響などによりビール類総需要は前年同期を下回ったと推定されます。また、アメリカでも同様にインフレ進行の影響があり、前年同期を下回ったと推定されます。
そのような中、海外ブランドのビールの売上数量は、カナダでの業務用市場の回復に加えて、アメリカにおいてStone社の売上が加わったこともあり、前年同期を上回りました。また、注力している北米でのサッポロブランドビールの売上数量は、前年同期比102%と好調に推移しました。
なお、2023年7月にANCHOR BREWING COMPANY, LLC(以下、Anchor社)の解散を決議しました。Anchor社は、業績不振が継続していたことから、中期経営計画において事業整理の対象として位置付けておりました。成長ドライバーとなるアメリカにおいては、構造改革を断行することでリソースをシフトし、Stone社とのシナジー創出により、サッポロブランドビールを中心としたさらなる成長を目指します。
(外食)
新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、外食市場は回復基調が続いております。
そのような中、当社グループの外食事業は2019年比の既存店売上が価格改定、来客数の回復、インバウンド層やシニア層の獲得により103%となり、新型コロナウイルス拡大前の水準まで回復してきております。
※ RTD : Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料
〔食品飲料事業〕
売上収益は、自動販売機オペレーター子会社の清算に伴う稼働台数の減少や2022年4月にカフェ事業を売却した影響等もあり、前年同期から減収となりました。
事業利益及び営業利益は、原材料高騰の影響を受けたものの、価格改定や構造改革による効果が寄与し、前年同期から増益となりました。
■売上収益 874億円(前年同期比21億円、2.4%減)
■事業利益 30億円(前年同期比22億円、263.1%増)
■営業利益 34億円(前年同期比20億円、152.3%増)
(国内食品飲料)
業務用市場や自動販売機における需要は、「ウィズコロナ」の生活様式が浸透した影響を受けてはいるものの、各種規制緩和により回復し、国内における飲料総需要は、前年同期比99%と推定されます。
そのような中、価格改定効果もあり、売上金額は注力しているレモン事業の主力ブランドであるキレートレモンが前年同期比111%、国産素材にこだわった無糖茶が、前年同期比167%と好調のコーン茶を中心に堅調に推移し前年並みの実績となったものの、飲料全体では商品改廃や自動販売機オペレーター子会社の清算に伴う稼働台数減少等により、前年同期比87%となりました。
(海外飲料)
シンガポールにおいて、家庭用チャネルを中心に堅調に売上推移し、価格改定効果もあり、シンガポールの売上金額は前年同期比105%となりました。
また、注力エリアであるマレーシアの需要は低調であったものの、販売体制の強化を進めたことで売上金額は前年同期比109%となりました。
〔不動産事業〕
首都圏のオフィス賃貸市場は、コロナ禍により低下した稼働率及び平均賃料水準は年初より回復には至っておりません。
そのような中、売上収益は、2022年より開始した「恵比寿ガーデンプレイス」のオフィス棟の空調機能更新工事に伴う稼働率の低下があった一方で、大型複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」における「センタープラザ」の2022年11月のリニューアル開業による増収効果等により、前年同期から増収となりました。
事業利益及び営業利益は、売上収益の増収効果があった一方で、市況悪化の影響や2022年より開始した「恵比寿ガーデンプレイス」のオフィス棟の空調機能更新工事に伴う稼働率の低下により、前年同期から減益となりました。
■売上収益 160億円(前年同期比7億円、4.9%増)
■事業利益 42億円(前年同期比7億円、13.7%減)
■営業利益 40億円(前年同期比1億円、3.5%減)
(2)財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末における資産、負債、資本の状況とそれらの増減の要因は次のとおりです。
|
|
|
(単位:百万円) |
区分 |
2022年12月期 |
2023年9月期 |
増減額 |
流動資産 |
179,431 |
171,796 |
△7,635 |
非流動資産 |
459,687 |
485,441 |
25,754 |
資産合計 |
639,118 |
657,237 |
18,119 |
流動負債 |
219,515 |
191,473 |
△28,042 |
非流動負債 |
252,402 |
284,730 |
32,328 |
負債合計 |
471,917 |
476,203 |
4,286 |
資本合計 |
167,201 |
181,034 |
13,833 |
負債及び資本合計 |
639,118 |
657,237 |
18,119 |
当第3四半期連結会計期間末における資産は、法人所得税の還付によるその他の流動資産の減少等があった一方、有形固定資産の増加、出資によるその他の金融資産(非流動)の増加等によって、前連結会計年度末と比較して181億円増加し、6,572億円となりました。
負債は、社債及び借入金(流動)の減少等があった一方、社債の発行による社債及び借入金(非流動)の増加、設備投資に伴うその他の金融負債の増加等によって、前連結会計年度末と比較して43億円増加し、4,762億円となりました。
資本は、期末配当の実施による利益剰余金の減少等があった一方、在外営業活動体の換算差額、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の変動によるその他の資本の構成要素の増加、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上等により、前連結会計年度末と比較して138億円増加し、1,810億円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ32億円(21%)増加し、186億円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減の要因は次のとおりであります。
|
|
|
(単位:百万円) |
区分 |
2022年9月期 |
2023年9月期 |
増減額 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
13,596 |
38,173 |
24,578 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△42,041 |
△15,221 |
26,820 |
フリー・キャッシュ・フロー |
△28,446 |
22,952 |
51,398 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
30,711 |
△19,944 |
△50,656 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△167 |
198 |
365 |
現金及び現金同等物の増減額(△減少) |
2,099 |
3,205 |
1,107 |
現金及び現金同等物の期首残高 |
17,368 |
15,380 |
△1,988 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
19,467 |
18,585 |
△881 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、382億円(前年同期比246億円、181%増)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額19億円、利息の支払額17億円の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費154億円、税引前四半期利益86億円、営業債権及びその他の債権の減少額73億円の増加要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、152億円(前年同期比268億円減)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入が74億円あった一方で、有形固定資産の取得による支出105億円、投資有価証券の取得による支出92億円、投資不動産の取得による支出75億円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、199億円(前年同期は307億円の収入)となりました。これは主に、社債の発行による収入が200億円、長期借入による収入が130億円あった一方、長期借入金の返済による支出が215億円、社債の償還による支出が100億円、短期借入金の減少が87億円あったことによるものです。
(4)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は、19億円です。当社グループの研究開発活動状況に重要な変更はありません。
(7)主要な設備
当第3四半期連結会計期間末において、継続中の重要な設備の新設の計画は、次のとおりであります。
会社名 |
事業所名 |
セグメントの名称 |
設備の 内容 |
投資予定額 |
資金調達 方法 |
着手年月 |
完成予定年月 |
完成後の 増加能力 |
|
総額 |
既支払額 |
||||||||
サッポロビール㈱ |
仙台工場 (宮城県名取市) |
酒類 |
RTD生産 設備 |
3,894 (百万円) |
312 (百万円) |
自己資金 及び借入金 |
2022年 8月 |
2023年 10月 |
年間約1,100万函(注1) |
サッポログループ物流㈱ |
倉庫 (千葉県船橋市) |
酒類 |
物流拠点 |
8,493 (百万円) |
- |
リース |
2023年 2月 |
2024年 8月 |
約2,300パレット |
サッポロ不動産開発㈱ |
投資不動産 (北海道札幌市) |
不動産 |
投資不動産 |
5,625 (百万円) |
417 (百万円) |
自己資金 及び借入金 |
2022年 11月 |
2024年 5月 |
- |
STONE BREWING CO.,LLC |
リッチモンド工場 (アメリカ バージニア州) |
酒類 |
ビール生産 設備 |
38 (百万米 ドル) |
14 (百万米 ドル) |
自己資金 及び借入金 |
2022年 10月 |
2024年 6月 |
年間約150万函(注2) |
STONE BREWING CO.,LLC |
エスコンディード工場 (アメリカ カリフォルニア州) |
酒類 |
ビール生産 設備 |
18 (百万米 ドル) |
6 (百万米 ドル) |
自己資金 及び借入金 |
2022年 10月 |
2024年 6月 |
- |
POKKA PTE.LTD. |
事務所兼倉庫 (シンガポール) |
食品飲料 |
研究開発・ 営業兼 物流拠点 |
100 (百万シンガポールドル) |
- |
リース |
2022年 3月 |
2024年 3月 |
- |
(注)1 RTDは250ml×24本換算。完成後の増加能力については商品構成により変動することがあります。
2 ビールは633ml×20本換算。完成後の増加能力については商品構成により変動することがあります。