売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00395 IFRS

売上高

2.13兆 円

前期

1.99兆 円

前期比

107.3%

時価総額

1.95兆 円

株価

2,134.5 (12/03)

発行済株式数

914,000,000

EPS(実績)

164.59 円

PER(実績)

12.97 倍

平均給与

956.6万 円

前期

942.6万 円

前期比

101.5%

平均年齢(勤続年数)

42.3歳(14.8年)

従業員数

977人(連結:30,183人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」
社名変更

 

3 【事業の内容】

当社グループは、純粋持株会社制を導入しており、当社及び連結子会社171社、持分法適用会社30社によって構成されております。当社は、持株会社として、グループ戦略の策定、グループ経営のモニタリング機能を果たすとともに、グループ会社への専門サービスの提供を行っております。当社グループの主な事業の内容と主な会社の当該事業における位置付けは、次のとおりであります。

以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。

また、当社は特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

<国内ビール・スピリッツ事業>

麒麟麦酒㈱(連結子会社)を統括会社として日本におけるビール、発泡酒、新ジャンル、洋酒他酒類製品の製造・販売を行っております。

 

<国内飲料事業>

キリンビバレッジ㈱(連結子会社)を統括会社として日本における清涼飲料の製造・販売を行っております。

 

<オセアニア酒類事業>

LION PTY LTD(連結子会社)を統括会社としてオセアニア地域等におけるビール、洋酒等の製造・販売を行っております。

 

<医薬事業>

協和キリン㈱(連結子会社、東京証券取引所プライム市場上場)を統括会社として医薬品の製造・販売を行っております。

 

<その他>

メルシャン㈱(連結子会社)は、日本における酒類の輸入・製造・販売を行っております。Coca-Cola Beverages Northeast,Inc.(連結子会社)は、米国におけるコカ・コーラ製品の製造・販売を行っております。協和発酵バイオ㈱(連結子会社)は、医薬品原料、各種アミノ酸、健康食品の製造・販売を行っております。Blackmores Limited(連結子会社)は、アジア・パシフィックにおいてサプリメント等の健康食品の製造・販売を行っております。SAN MIGUEL BREWERY INC.(持分法適用会社)は、フィリピン等におけるビールの製造・販売を行っております。㈱ファンケル(持分法適用会社)は、日本における化粧品、健康食品の製造・販売を行っております。

 

 

事業の系統図及び主要な会社名は次のとおりであります。

 

 

※画像省略しています。
24/03/28

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り
 当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 詳細につきましては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]内、連結財務諸表注記」に記載のとおりであります。

 

(2) 経営成績の状況

①事業全体の状況
 2023年、日本国内では、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染症法上の位置付けが5類に移行し、社会生活や働き方がふたたび変化した1年でした。人の移動が活発になり、街は賑わいを取り戻しつつあります。一方、世界では様々な地域で地政学リスクが高まり、世界的なインフレや為替変動等が続いています。加えて、地球温暖化による新たな感染症のリスク増大や、生成AIをはじめとしたITテクノロジーが急速に進化するなど、消費者の価値観や行動、社会の変化はますます複雑で先行きが見通せない時代です。

 キリングループは、創業以来一貫して発酵・バイオテクノロジーをコア技術とし、酒類・飲料事業だけでなく、医薬事業にも強みを持つ、世界でも類を見ない企業グループへ進化を続けています。

 このコア技術を背景に、「プラズマ乳酸菌」等特長ある素材を生かしたヘルスサイエンス事業に2019年から取り組んでいます。

 健康課題のみならず、社会が抱える課題をキリングループの強みで解決し、同時に企業としての経済的価値を創出し企業価値の最大化を実現していきます。

 2023年のキリングループは、不確実性が高まる厳しい環境下でも、着実に成果を上げました。長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」(略称:KV2027)のもと、「キリングループ 2022年-2024年中期経営計画」(略称:2022年中計)の達成に向け、食領域の利益増大や医領域のグローバル基盤強化、ヘルスサイエンス領域の拡大を推進しました。

 

・食領域

酒類・飲料事業では、国内外で主力ブランドの強化と、新たな成長エンジン育成に向けた高付加価値商品の拡大に取り組みました。また、原材料価格の高騰など厳しい環境下でもコスト削減や価格改定で対応し、収益性改善に取り組みました。

・医領域

協和キリン㈱では、グローバル戦略品の価値最大化に注力しました。また、次世代パイプラインの拡充と将来の医療ニーズへの対応に向けて英国のバイオ医薬品メーカー、Orchard Therapeutics plcの株式取得のための契約を締結するなど、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、持続的成長に向けた基盤強化を進めました。

・ヘルスサイエンス領域

プラズマ乳酸菌関連事業を中心に、飲料やサプリメント等自社グループ商品の積極展開に加え、外部パートナー企業による商品展開を通じ、事業規模を拡大しました。また、豪州を拠点にアジア・パシフィックでサプリメント等の健康食品(ナチュラル・ヘルス)事業を展開する、Blackmores Limitedの株式を取得し、ヘルスサイエンス領域の成長加速に向けた体制を構築しました。

 

ESGの観点でも多くの実績を上げ、国内外で高い評価を獲得しました。

7月に発行した「環境報告書2023」では、TCFDとTNFDに基づく統合的な環境経営情報を開示した事例が、投資家をはじめとする世界のステークホルダーから、先駆的な取り組みと評価されました。

麒麟麦酒㈱では、国内全ての工場・営業拠点で購入電力の再生可能エネルギー(以下、再エネ)100%化を進めました。

メルシャン㈱では、「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」が、生物多様性の損失を止め回復させる世界目標「30by30」達成に資する自然共生サイトとして、環境省から正式認定されました。

ヘルスサイエンス領域では、「プラズマ乳酸菌」の発見・商品化による社会への貢献が評価され、「令和5年度全国発明表彰」で、健康食品素材で初、食品企業としては59年ぶりに「恩賜発明賞」を受賞しました。

また、「第7回日経スマートワーク経営調査」では、7年連続で最高位を獲得しました。多様で柔軟な働き方やエンゲージメントの項目が評価されたものです。「第5回日経SDGs経営調査」でも、5年連続で最高位を獲得しました。事業を通じ、持続可能な資源活用や生物多様性の保全に取り組んだ成果が評価されたものです。

 

 

2023年実績

2022年実績

対前年増減

対前年増減率

連結売上収益

2兆1,344億円

1兆9,895億円

1,449億円

7.3%

連結事業利益

2,015億円

1,912億円

103億円

5.4%

連結営業利益

1,503億円

1,160億円

343億円

29.5%

連結税引前利益

1,970億円

1,914億円

57億円

3.0%

親会社の所有者に帰属する当期利益

1,127億円

1,110億円

17億円

1.5%

 

(重要成果指標)

ROIC

8.0%

8.5%

 

 

平準化EPS

177円

171円

6円

3.5%

 

 

当年度の連結売上収益は、国内ビール・スピリッツ事業、国内飲料事業、オセアニア酒類事業、医薬事業及びコーク・ノースイースト社の増収により増加しました。連結事業利益は、国内飲料事業、協和発酵バイオ㈱等が減益となりましたが、国内ビール・スピリッツ事業、オセアニア酒類事業、医薬事業及びコーク・ノースイースト社等が増益となり、全体では増益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、ミャンマー事業撤退による為替換算調整勘定の実現損、協和発酵バイオ㈱および協和キリン㈱に係る減損損失の計上があったものの、協和キリン㈱の欧州事業売却や持分法投資損益の増加等により増益となりました。

 重要成果指標について、ROICは、Blackmores Limitedの取得等により8.0%となりました。平準化EPSは、連結事業利益の増加等により前年より6円増加の177円と過去最高となりました。

 

  ②セグメント情報に記載された区分ごとの状況

セグメント別の業績は次のとおりです。

 

 

2023年実績

2022年実績

対前年増減

対前年増減率

連結売上収益

2兆1,344億円

1兆9,895億円

1,449億円

7.3%

 国内ビール・スピリッツ

6,849億円

6,635億円

213億円

3.2%

 国内飲料

2,550億円

2,433億円

118億円

4.8%

 オセアニア酒類

2,810億円

2,559億円

251億円

9.8%

 医薬

4,419億円

3,979億円

440億円

11.1%

 その他

4,716億円

4,289億円

427億円

10.0%

連結事業利益

2,015億円

1,912億円

103億円

5.4%

 国内ビール・スピリッツ

777億円

747億円

31億円

4.1%

 国内飲料

169億円

188億円

△19億円

△10.1%

 オセアニア酒類

324億円

315億円

9億円

2.7%

 医薬

960億円

825億円

135億円

16.4%

 その他

△215億円

△163億円

△52億円

 

 

連結売上収益 対前年

※画像省略しています。

 

連結事業利益 対前年

※画像省略しています。

 

 

<国内ビール・スピリッツ事業>

国内酒類市場は、原材料価格高騰の影響を受ける中、各社収益性確保に向け価格改定が進みました。10月の酒税改正と価格改定により、ビールと発泡酒・新ジャンルの価格差が縮小しました。それに伴い、ビールカテゴリーが活況を呈しました。麒麟麦酒㈱では主力ブランドの「キリン一番搾り生ビール」と、健康志向を捉えた「キリン一番搾り糖質ゼロ」をリニューアルし堅調に推移したことに加え、業務用市場の回復も追い風となり、「一番搾り」ブランド全体の販売数量は、前年比5%増となりました。新たな成長エンジンであるクラフトビールカテゴリーでは、「スプリングバレー」ブランドから「スプリングバレージャパンエール<香>」と、限定商品の「スプリングバレーアフターダーク<黒>」を発売しラインアップを強化するとともに、流通企業やクラフトビールメーカーとも連携し、クラフトビールの売場拡大を進めました。また、業務用市場においても、飲食店向けビールサーバー「Tap Marché (タップ・マルシェ)」の取り扱い店舗拡大に取り組み、クラフトビールの体験機会を提供しました。麒麟麦酒㈱のウイスキーづくりは、富士御殿場蒸溜所が稼働した1973年に始まり、2023年に50周年を迎えました。代表ブランドの「富士」は、国内での販売実績が前年の2.7倍に伸長したほか、海外では欧州における展開国をさらに拡大しました。RTDカテゴリーでは、主力の「キリン氷結®」ブランドが好調に推移しました。特に「キリン氷結®無糖」シリーズが、年間の販売目標を10月に達成するなど、前年比35%増と大きく伸長しました。また、高付加価値RTD商品として、「キリン上々焼酎ソーダ」を10月に発売し、食事に合うRTDとして新たな需要を開拓しました。

これらの結果、売上収益は3.2%増加し6,849億円となりました。また、事業利益は、原材料等の高騰影響を上回る価格改定効果等により、4.1%増加し777億円となりました。

 

<国内飲料事業>

国内の清涼飲料市場は、原材料価格の高騰等厳しい環境の中でも、猛暑や健康意識の高まりにより、夏場の需要や健康市場は拡大しました。「午後の紅茶」ブランドは、主力の「キリン午後の紅茶」をリニューアルし夏の需要拡大に取り組みました。また、「キリン午後の紅茶おいしい無糖ミルクティー」を発売し無糖紅茶の強化を図り、「午後の紅茶」ブランド全体は前年比2%増となりました。「生茶」ブランドからは、「キリン生茶リッチ」を9月に発売し、販売開始から2週間で1,000万本を突破するなど、好調に推移しました。注力するヘルスサイエンス領域では、プラズマ乳酸菌入り飲料を中心に、お客様のニーズに合わせた多様な商品を市場に投入し、「免疫ケア」の習慣化に取り組みました。新たに発売した「キリンおいしい免疫ケア」シリーズは、「キリンおいしい免疫ケアカロリーオフ」と「キリンおいしい免疫ケア睡眠」も加わり、2022年から同容器で発売していた商品と比べて、販売数量は3.4倍に拡大しました。また、「iMUSE」ブランドは、好評な「キリンiMUSE ヨーグルトテイスト」を11月にリニューアルし、健康意識の高まる冬に向けて強化しました。これらの結果、プラズマ乳酸菌入り飲料の販売数量は前年比35%増と大きく伸長しました。㈱ファンケルとの取り組みでは、「キリン×ファンケルカロリミットアップルスパークリング」や「キリン×ファンケルカロリミットブレンド茶」等を共同開発し、シナジーを創出しました。

これらの結果、売上収益は4.8%増加し2,550億円となりました。また、原材料等の高騰影響を価格改定効果で相殺したものの、販売数量減やブランド投資の実施等により、事業利益は10.1%減少し169億円となりました。

 

<オセアニア酒類事業>

豪州の酒類市場は、新型コロナの影響が収束する一方、インフレ率が高い水準で推移し、Lionもその影響を受けました。その中で主力ブランドの強化に取り組んだ結果、健康意識の高まりを捉えた「Hahn(ハーン)」の販売が好調だったほか、「XXXX(フォーエックス)」等も堅調に推移しました。また、成長するRTDカテゴリーにおいて麒麟麦酒㈱が展開する「キリン氷結®」ブランドの、豪州での製造を新たに開始し、豪州・ニュージーランドで販売を開始しました。北米で注力するクラフトビール事業では、New Belgium Brewingの「Voodoo Ranger(ブードゥー・レンジャー)」が引き続き好調に推移したことに加え、Bell's BreweryもNew Belgium Brewingとの統合効果により、好調に推移しました。

これらの結果、円ベースの売上収益は9.8%増加し2,810億円となりました。また、構造改革等のコスト削減の取り組みにより、事業利益は円ベースで2.7%増加し324億円となりました。

 

 

<医薬事業>

協和キリン㈱は、同社の中期経営計画の3年目にあたる2023年も、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、成長に向けた取り組みを進めました。グローバル戦略品の「Crysvita」は、北米における自社販売を開始し、前年比20%増と順調に推移しました。開発パイプラインについては、「KHK4083(一般名:rocatinlimab)」等が順調に進捗する一方、「RTA 402」は開発を中止しました。また、今後の新薬創出力強化に向け、造血幹細胞遺伝子治療を用いた製品や開発品を持ち、事業に必要なプラットフォームを確立しているOrchard Therapeutics plcの株式取得のための契約を締結しました。

これらの結果、北米を中心としたグローバル戦略品等の海外医薬品売上の増加により売上収益は11.1%増加し4,419億円となりました。また、事業利益は、研究開発費が増加したものの、売上収益増収に伴う売上総利益の増加により、16.4%増加し960億円となりました。

 

また、その他の主な各事業の業績は以下のとおりです。

 

(協和発酵バイオ㈱)

協和発酵バイオ㈱では、スペシャリティ素材に注力し、収益改善を進める構造改革に取り組みました。海外で展開する「Cognizin®」の販売が堅調に推移したほか、「HMO(ヒトミルクオリゴ糖)」は、展開予定各国で規制当局からの承認が進みました。一方で、市場の競争激化に加え、原料価格や燃料価格の高騰により、アミノ酸事業を中心に厳しいビジネス環境が続きました。これらの結果、売上収益は0.8%増加し514億円、事業損失は85億円となりました。

 

(メルシャン㈱)

メルシャン㈱では、輸入ワインや原材料に対する円安影響により、主力のワイン事業が大きく影響を受ける中、収益性の高い自社ブランドの育成を進めました。日本ワインの「シャトー・メルシャン」では、「シャトー・メルシャン椀子ワイナリー」が「ワールドベストヴィンヤード2023」でアジア最高位を獲得したほか、イタリアへの輸出を開始しました。「Mercian Wines (メルシャン・ワインズ)」ブランドでは、スパークリングワインの「カンティアーモ」や、小容量サイズの「サニーサイドオーガニックスパークリング缶」を発売し、好調に推移しました。これらの結果、売上収益は6.5%増加し644億円、事業利益は8億円となりました。

 

(Coke Northeast)

米国の飲料市場は、インフレによる物価の上昇が続く中でも消費は底堅く推移しました。Coke Northeastでは、炭酸飲料やプレミアムミネラルウォーターを中心に販売が順調に推移しました。また、工場や物流拠点の構造改革やICT導入などオペレーション改革や、価格改定効果等により、高い収益性を一層向上させました。これらの結果、売上収益は15.7%増加し2,501億円、事業利益は29.0%増加し339億円となりました。

 

 

  ③生産、受注及び販売の状況

(ⅰ) 生産実績

当年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内ビール・スピリッツ

677,769

4.8

国内飲料

126,319

△0.7

オセアニア酒類

286,270

8.5

医薬

145,370

△4.4

その他

300,092

6.1

合計

1,535,820

4.3

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 (ⅱ) 受注状況

当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。

 

 (ⅲ) 販売実績

当年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内ビール・スピリッツ

684,863

3.2

国内飲料

255,028

4.8

オセアニア酒類

280,990

9.8

医薬

441,882

11.1

その他

471,630

10.0

合計

2,134,393

7.3

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前年度
(自 2022年1月1日
 至 2022年12月31日)

当年度
(自 2023年1月1日
 至 2023年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品㈱

220,074

11.1

230,872

10.8

 

  2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

   (3) 財政状態

①事業全体の状況

 当年度末の資産合計は、前年度末に比べ3,273億円増加して2兆8,696億円となりました。有形固定資産、のれん、及び無形資産については、Blackmores Limitedの買収や為替変動の影響等によって、前年度末に比べ2,360億円の増加となりました。また、現金及び現金同等物が前年度末比433億円増加しました。一方、Myanmar Brewery Limitedの売却等により、売却目的で保有する資産が461億円減少しました。

 資本は、利益剰余金が647億円増加、その他の資本の構成要素が921億円増加し、前年度末に比べ1,726億円増加して1兆4,258億円となりました。その他の資本の構成要素の増加要因は、主に円安の影響によって在外営業活動体の換算差額が901億円増加した影響です。

 負債は、前年度末に比べ1,547億円増加して1兆4,437億円となりました。2023年10月にBlackmores Limitedの買収に伴うソーシャルボンド600億円を含む社債930億円を発行したこと及び新規借入等により、社債及び借入金が1,333億円増加しました

  これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は39.5%、グロスDEレシオは0.58倍となりました。

 

  ②セグメント情報に記載された区分ごとの状況

  <国内ビール・スピリッツ>

 当年度末のセグメント資産は、その他の非流動資産が増加したこと等により、前年度末に比べ110億円増加して4,431億円となりました。

  <国内飲料>

 当年度末のセグメント資産は、設備投資による有形固定資産の増加及びその他の非流動資産が増加したこと等により、前年度末に比べ145億円増加して1,477億円となりました。

  <オセアニア酒類>

 当年度末のセグメント資産は、為替変動の影響等によって、のれん及び有形固定資産が増加したこと等により、前年度末に比べ605億円増加して6,072億円となりました。

  <医薬>

 当年度末のセグメント資産は、欧州エスタブリッシュト医薬品事業の合弁化に伴う持分法で会計処理されている投資の増加及び為替変動の影響等による有形固定資産やのれんの増加、並びに現金及び現金同等物が増加したこと等により、前年度末に比べ911億円増加して9,714億円となりました。

 

 

 (4) キャッシュ・フロー

 ①キャッシュ・フロー及び流動性の状況

当年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前年度末に比べ433億円増加1,314億円となりました。活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の収入は前年同期に比べ676億円増加2,032億円となりました。非資金損益項目である減損損失362億円減少したものの、持分法で会計処理されている投資の売却益326億円減少し、子会社株式売却損191億円増加した他、運転資金の流出149億円減少したこと等により、小計では334億円の増加となりました。小計以下でも法人所得税の支払額322億円減少したこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローが前年同期比で増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の支出は前年同期に比べ2,157億円増加2,261億円となりました。当年度の資金の収入には、子会社株式の売却や政策保有株式の縮減に向けた取組みを引き続き推進したことによる投資の売却がそれぞれ80億円ありました。一方、当年度に豪州子会社を通じてBlackmores Limitedに対する支配を獲得したことにより子会社株式の取得による支出が前年同期に比べ1,159億円増加したことや前年度の華潤麒麟飲料(大中華)有限公司売却の影響で持分法で会計処理されている投資の売却による収入が前年同期に比べ982億円減少となったことなどが前年同期比の支出増加要因となりました。なお、有形固定資産及び無形資産の取得については、前年同期に比べ153億円増加1,138億円を支出しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の収支は359億円の収入(前年同期は1,678億円の支出)となりました。これは、Blackmores Limitedの買収に伴い有利子負債が1,630億円増加した他、前年度に株主還元の拡充を目的とした自己株式取得を実行した影響で自己株式の取得による支出500億円減少したことなどが要因となります。なお、安定した株主還元を継続的に行う方針に基づき、平準化EPSに対する連結配当性向40%以上の配当を実施しており、非支配持分を含めた配当金の支払いは712億円となりました。

 

当社グループは、引き続き「BS(バランスシート)・PF(ポートフォリオ)マネジメントによるキャッシュ創出」により生じる資金を「機動的な株主還元施策」と「成長ドライバー獲得への規律ある投資」に振り向け、適切な利益還元と企業価値の向上に繋げていきます。

 

②資本政策の基本的な方針

当社は、2022年中計にて策定した資本政策に基づき、事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。

事業への資源配分については、ヘルスサイエンス領域を中心とした成長投資を最優先としながら、既存事業の強化・収益性改善に資する投資を行います。また、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(ブランド・研究開発・ICT・人的資本など)及び新規事業創造への資源配分を安定的かつ継続的に実施します。なお、投資に際しては、グループ全体の資本効率を維持・向上させる観点からの規律を働かせます。

株主還元についても、経営における最重要課題の一つと考えており、1907年の創立以来、毎期欠かさず配当を継続しております。「平準化EPSに対する連結配当性向40%以上」による配当を安定的かつ継続的に実施するとともに、自己株式の取得については、追加的株主還元として最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑み、実施の是非を検討していきます。

資金調達については、経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢に左右されない高格付けを維持しつつ、負債による資金調達を優先します。中長期的な目標達成に必要とされる投資に係る資金調達により支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資金調達については、ステークホルダーへの影響等を十分に考慮し、取締役会にて検証及び検討を行った上で、株主に対する説明責任を果たします。