売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00396 Japan GAAP

売上高

3,506.7億 円

前期

3,009.2億 円

前期比

116.5%

時価総額

1,972.5億 円

株価

1,000 (04/19)

発行済株式数

197,252,043

EPS(実績)

107.51 円

PER(実績)

9.30 倍

平均給与

748.3万 円

前期

732.6万 円

前期比

102.1%

平均年齢(勤続年数)

49.3歳(24.0年)

従業員数

190人(連結:5,171人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社、子会社61社および関連会社2社で構成され、「宝酒造」が営む国内での酒類・調味料の製造・販売、「宝酒造インターナショナルグループ」が営む海外での酒類の製造・販売、海外の日本食レストラン等への日本食材などの販売、「タカラバイオグループ」が営む試薬、機器などの開発・製造・販売や受託および遺伝子医療を主たる事業としており、この3つは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。当社は、持株会社として各事業会社を統括するほか、グループ各社の間接業務の受託や不動産賃貸事業を行っております。

 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 セグメントにおける当社グループの事業内容とその位置付けは次のとおりであります。

[宝酒造]

 宝酒造株式会社は、国内において焼酎、清酒およびソフトアルコール飲料など酒類全般ならびに本みりんなどの酒類調味料、食品調味料および原料用アルコールの製造・販売を行っております。

 当セグメントに携わる子会社は宝酒造株式会社1社であります。

[宝酒造インターナショナルグループ]

 宝酒造インターナショナル株式会社は、グループ会社の管理、宝酒造株式会社の酒類・調味料製品の輸出販売を行っております。

 米国法人Takara Sake USA Inc.は、米国カリフォルニア州において主に清酒の製造を行い、宝酒造株式会社が供給する酒類製品ともども米国一円に販売しております。英国法人The Tomatin Distillery Co.Ltdは、スコッチウイスキーの製造・販売を行っており、米国法人Age International,Inc.は、バーボンウイスキーを販売しております。

 米国法人Mutual Trading Co.,Inc.(同社の子会社含む)は、米や味噌などの日本食材、調味料、酒類などのほか、レストランの調理器具や食器類に至るまで幅広いアイテムを取り扱い、米国を中心に卸売業を展開しております。

 仏国法人FOODEX S.A.S.(同社の子会社であるCominport Distribución S.L.等含む)および英国法人Tazaki Foods Ltd.は、ヨーロッパを拠点として日本食材の卸売業を営んでおり、Takara Sake USA Inc.や宝酒造株式会社の製品をはじめ、酒類、調味料、冷凍食品などを販売しております。また、Nippon Food Supplies Company Pty Ltdは、豪州において日本食材の卸売業を営んでおります。

 上述した会社を含め、当セグメントに携わる子会社は43社であり、関連会社は1社であります。

[タカラバイオグループ]

 タカラバイオ株式会社は、試薬・機器に関連する開発・製造・販売ならびに再生医療等製品の開発製造支援サービスや遺伝子解析・検査などのCDMO受託サービスを行っております。また、遺伝子治療等に必要なバイオ創薬基盤技術、製造補助剤の開発・製造・販売や臨床開発を行い、その価値の最大化に向けて取り組んでおります。

 海外では、中国において宝生物工程(大連)有限公司が試薬の開発・製造や受託を行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が試薬や機器の販売を行っております。Takara Bio Europe S.A.S.は、ヨーロッパにおいて、試薬の製造・販売、機器の販売や受託を行っております。また、Takara Bio USA, Inc.は、米国において、試薬や機器の開発・製造を行い、全世界に販売しております。

 上述した会社を含め、当セグメントに携わる子会社は9社であります。

[その他]

 その他は、国内グループ会社が営む物流事業やワインの輸入販売、主に当社が営む不動産賃貸事業などであります。

 物流事業はタカラ物流システム株式会社が営み、主に宝酒造株式会社の酒類・調味料製品の国内における貨物運送事業などを行っております。また、ブルゴーニュの高品質ワイン等の輸入販売を株式会社ラック・コーポレーションが営んでおります。

 上述した会社を含め、その他の事業に携わる子会社は8社であり、関連会社は1社であります。

 

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

(事業系統図)

※画像省略しています。

 

23/06/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米国や欧州を中心として景気の回復が見られましたが、原材料価格やエネルギー価格の高騰に加え、欧米各国のインフレ抑制に向けた金融引締め等による世界的な景気後退懸念など、先行きは不透明な状況が続いております。

 このような経済状況の中、当社グループは、2020年5月に公表した長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」の実行計画の第1ステップとしての「宝グループ中期経営計画2022」に取り組んでまいりました。当連結会計年度は、その最終年度でありましたが、環境変化に柔軟に対応しつつ、強化すべき領域へ適切な経営資源の配分と投下を行い、収益力を高める多様な「価値」を生み出し続ける事業構造とグローバルなコーポレート機能の再構築を推し進めることで、国内外での持続的な成長の実現とグループの企業価値向上に注力いたしました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高350,665百万円(前期比16.5%増)、売上総利益119,941百万円(同5.6%増)、販売費及び一般管理費81,996百万円(同16.8%増)、営業利益37,945百万円(同12.5%減)、経常利益38,706百万円(同10.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益21,206百万円(同2.1%増)となりました。

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

〔宝酒造〕

 宝酒造は、食品メーカーとして安全・安心な商品の安定的な供給に最優先に取り組むとともに、消費者に支持される差異化ポイントを付与した新商品の開発や高利益商品の育成によるプロダクトミックスの改善などに注力いたしました。また、原材料価格やエネルギー価格の高騰に対しては、徹底したコストダウンや効率化に取り組むとともに、商品価格の改定による利益率の維持・改善に取り組みました。

 当セグメントのカテゴリー別の売上状況などは次のとおりであります。

 焼酎では、甲類焼酎の大容量商品や35度焼酎などが減少しましたので、減収となりました。清酒では、料飲店市場の回復が進む中、“松竹梅「豪快」”は増加しましたが、家庭向けの“松竹梅「天」”などが減少しましたので、減収となりました。ソフトアルコール飲料では、基幹ブランドと位置づけている“タカラ「焼酎ハイボール」”が引き続き増加し、“タカラ「辛口ゼロボール」”の新発売なども寄与しましたので、増収となりました。調味料では、本みりんや食品調味料などが増加しましたので、増収となりました。原料用アルコール等も増収となりました。 

 以上の結果、宝酒造の売上高は、122,921百万円(前期比2.7%増)となりました。売上原価は93,645百万円(同3.0%増)となり、売上総利益は29,276百万円(同1.6%増)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費や事業場間転送の効率化により運送費などが減少し、24,385百万円(同1.2%減)となりましたので、営業利益は4,890百万円(同18.3%増)となりました。

〔宝酒造インターナショナルグループ〕

 宝酒造インターナショナルグループは、日本からの酒類の輸出や海外各地で酒類の製造・販売を行う海外酒類事業と海外の日本食レストランや小売店などに日本食材などを販売する海外日本食材卸事業を展開しております。

 当セグメントの売上状況などは次のとおりであります。

海外酒類事業

 ウイスキーはプレミアムバーボン“Blanton's”が引き続き好調に推移し、スコッチウイスキー“Tomatin”も売上を伸ばしました。清酒など和酒の売上は、中国ではコロナ禍の影響を大きく受けて減少したものの、市場規模が大きい米国では増加しましたので、海外酒類事業の売上高は18,253百万円(前期比29.8%増)となりました。

海外日本食材卸事業

 米国や欧州などの料飲店市場の好調に加え、小売店やネット通販などの販売チャネルの多角化への取組みや、顧客ニーズに即した商品調達と供給体制の整備にも取り組んだことなどにより、海外日本食材卸事業の売上高は、121,354百万円(前期比35.2%増)となりました。

 以上の結果、セグメント内取引消去後の宝酒造インターナショナルグループの売上高は、137,483百万円(前期比34.5%増)となりました。売上原価は95,088百万円(同35.8%増)となり、売上総利益は42,394百万円(同31.9%増)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費や運送費などが増加し、31,573百万円(同33.4%増)となりましたので、営業利益は10,821百万円(同27.7%増)となりました。

 

〔タカラバイオグループ〕

 タカラバイオグループは、バイオテクノロジーを利用する研究開発活動がますます広がりを見せる中、こうした研究開発活動を支援する試薬・機器を開発し、世界中のバイオ研究者に提供する事業を展開しております。また、近年、製薬企業などで開発が盛んな再生・細胞医療・遺伝子治療の開発・製造を支援するCDMO受託を展開しております。CDMOとは医薬品の製法開発から製造までの工程を受託する事業を指し、タカラバイオグループでは、遺伝子治療の分野に注力しております。その他、遺伝子医療事業では、遺伝子治療薬の製造補助剤の製造・販売、新規モダリティ(治療法)の創出、臨床開発プロジェクトを進め、独自のバイオ創薬基盤技術の価値の最大化に取り組んでおります。

 当セグメントの売上状況は、機器・受託事業の売上高が減少したものの、試薬事業の売上高が抗原検査試薬を含む新型コロナウイルス検査関連試薬の大幅伸長により、増加いたしました。また、遺伝子医療事業の売上高も増加いたしました。

 以上の結果、売上高は、78,142百万円(前期比15.4%増)となりました。売上原価は、売上構成の変化等により、33,377百万円(同80.5%増)となり、売上総利益は44,765百万円(同9.0%減)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費や研究開発費などが増加し、24,224百万円(同19.3%増)となりましたので、営業利益は、20,541百万円(同28.9%減)となりました。

 

〔その他〕

 その他のセグメントは、不動産賃貸事業、物流事業、ワイン輸入販売などであります。当セグメントの売上高は、ワインの輸入販売が引き続き好調に推移したことにより、30,950百万円(前期比0.8%増)となりました。売上原価は26,770百万円(同0.5%増)となり、売上総利益は4,179百万円 (同2.1%増)となりました。販売費及び一般管理費は、運送費などが増加し、1,885百万円(同0.8%増)となりましたので、営業利益は2,293百万円(同3.2%増)となりました。

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は241,513百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,189百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が16,375百万円増加し、受取手形及び売掛金が1,232百万円、商品及び製品が5,360百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 固定資産は157,661百万円となり、前連結会計年度末に比べ27,546百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が9,143百万円、投資その他の資産がASC第842号「リース」の適用などにより17,831百万円増加したことによるものであります。

 以上の結果、総資産は、399,174百万円となり、前連結会計年度末に比べ36,736百万円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は67,454百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,696百万円減少いたしました。これは主に1年内償還予定の社債が10,000百万円減少したことによるものであります。

 固定負債は76,401百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,670百万円増加いたしました。これは主に固定負債のその他がASC第842号「リース」の適用などにより15,417百万円増加したことによるものであります。

 以上の結果、負債合計は、143,856百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,973百万円増加いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は255,318百万円となり、前連結会計年度末に比べ30,762百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が13,891百万円、為替換算調整勘定が9,355百万円、非支配株主持分が7,231百万円、それぞれ増加したことによるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は、51.1%(前連結会計年度末は49.8%)となりました。

③キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益39,692百万円、減価償却費9,118百万円、売上債権の減少2,634百万円、棚卸資産の減少8,969百万円、未払消費税等の増加2,104百万円、法人税等の支払額15,535百万円などで45,478百万円の収入と前期に比べ29,101百万円の収入増加となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出23,167百万円、定期預金の払戻による収入24,008百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出10,618百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,068百万円などにより10,474百万円の支出と前期に比べ74百万円の支出増加となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払額7,305百万円、非支配株主への配当金の支払額1,579百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,551百万円などにより22,215百万円の支出(前期は4,133百万円の収入)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物に係る換算差額を含めた当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より16,056百万円増加し、91,785百万円となりました。

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の生産実績をセグメントごとおよび品種別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期増減率(%)

 

品種

宝酒造

 

 

 

焼酎

36,750

△5.6

 

清酒

11,960

△5.7

 

ソフトアルコール飲料

40,214

1.4

 

その他酒類

4,084

△5.3

 

本みりん

9,560

5.1

 

その他調味料

8,921

3.1

 

111,491

△1.7

宝酒造インターナショナルグループ

12,200

26.1

タカラバイオグループ

 

 

 

試薬

24,517

9.3

 

機器

119

107.9

 

受託

8,499

△28.9

 

遺伝子医療

1,484

△10.6

 

34,620

△4.1

報告セグメント計

158,313

△0.5

その他

1,710

10.0

合計

160,023

△0.4

(注)1.金額は酒税込みの販売価格によっております。

2.宝酒造の原料用アルコール等は、大部分が酒類等の原料として使用されていること、また、販売実績に対応する生産実績を正確に把握することが困難であることから記載を省略しております。

3.当連結会計年度よりタカラバイオグループの品種の区分を変更しており、「前期増減率(%)」は変更後の品種の区分に組み替えた数値で算出しております。

b.主要な原材料価格

 当連結会計年度における宝酒造セグメントの主要な原材料である粗留アルコールの購入価格は、世界的なアルコール需要の高まりなどの影響を受け、前連結会計年度に比べ約5割上昇しております。

c.商品仕入実績

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期増減率(%)

宝酒造

782

22.6

宝酒造インターナショナルグループ

92,367

30.2

タカラバイオグループ

6,315

△68.9

報告セグメント計

99,464

8.3

その他

9,958

1.3

合計

109,423

7.6

(注)1.金額は仕入価格によっております。

2.当連結会計年度において、タカラバイオグループの仕入実績に著しい変動がありました。これは、抗原検査キットの輸入等の減少によるものであります。

d.受注実績

 タカラバイオグループにおいて、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合において、生産に要する期間が短く、受注残高が僅少であることから記載を省略しております。

e.販売実績

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の販売実績をセグメントごとおよび品種別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期増減率(%)

 

品種

宝酒造

 

 

 

焼酎

36,597

△3.5

 

清酒

12,145

△5.1

 

ソフトアルコール飲料

40,069

6.3

 

その他酒類

5,328

△2.5

 

本みりん

9,477

4.2

 

その他調味料

8,780

2.6

 

原料用アルコール等

10,522

28.8

 

122,921

2.7

宝酒造インターナショナルグループ

 

 

 

海外酒類

18,253

29.8

 

海外日本食材卸

121,354

35.2

 

その他

2,847

 

グループ内連結消去

△4,972

 

137,483

34.5

タカラバイオグループ

 

 

 

試薬

65,925

25.6

 

機器

1,375

△9.4

 

受託

8,200

△28.2

 

遺伝子医療

2,640

16.1

 

78,142

15.4

報告セグメント計

338,547

16.9

その他

30,950

0.8

セグメント計

369,498

15.4

事業セグメントに配分していない収益およびセグメント間取引消去

△18,832

合計

350,665

16.5

(注)1.販売金額には酒税を含んでおります。

2.当連結会計年度よりタカラバイオグループの品種の区分を変更しており、「前期増減率(%)」は変更後の品種の区分に組み替えた数値で算出しております。

3.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える販売先はありません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」および「同(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度のセグメント別経営成績については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 宝酒造の売上高は、焼酎等が減少しましたが、ソフトアルコール飲料や、原料用アルコール等が増加し、増収となりました。原材料や燃料のコストアップ及び為替の影響を、コストダウンや当連結会計年度に実施した価格改定で補い、営業利益も増益となりました。

 宝酒造インターナショナルグループの売上高は、ウイスキー及び米国や欧州などの料飲店市場が好調に推移したことから、海外酒類事業、海外日本食材卸事業ともに増収となりました。売上高が増加したことにより売上総利益が増加しましたので、販売費及び一般管理費の増加による影響を吸収し、営業利益も増益となりました。

 タカラバイオグループの売上高は、抗原検査試薬を含む新型コロナウイルス検査関連試薬の大幅伸長により、増収となりました。売上構成の変化等により売上総利益は減少しました。販売費及び一般管理費は、人件費や研究管理費などが増加したため、営業利益は減益となりました。

 これらの報告セグメントにその他のセグメントを加えた当社グループの売上高は350,665百万円(前期比16.5%増)、売上総利益は119,941百万円(同5.6%増)、営業利益37,945百万円(同12.5%減)、経常利益38,706百万円(同10.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は21,206百万円(同2.1%増)となりました。

 以上の結果、ROEは11.0%(前期比1.3ポイント低下)、海外売上高比率は48.3%(前期比3.3ポイント上昇)となりました。

イ.経営成績に重要な影響を与える要因

 宝酒造では、高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れにより酒類市場の長期的な縮小が見込まれ、国内酒類業界はメーカー間の競争が激化し、厳しい経営環境にあります。加えて原材料価格やエネルギー価格の高騰、物流費等のコストアップによる製造コストの上昇をいかに市場に受け入れられる形で価格転嫁するかが問われています。またサステナビリティ経営の観点から、環境問題や過剰飲酒問題は喫緊の課題であり、環境問題への対応については技術面・コスト面の課題を解決する必要があります。

 宝酒造インターナショナルグループでは、海外での和酒・日本食の潜在需要は根強く、コロナ禍の収束に伴い、今後も安定した市場拡大が見込まれます。一方で競合各社との競争のさらなる激化も見込まれ、拠点の拡大、グループシナジーの強化、競争力のある商品の開発、経営基盤の整備などが求められます。

 タカラバイオグループでは、長期的な市場の拡大が予想されておりますが、同グループが積極的に取り組んでいる遺伝子治療分野では、多様なモダリティの開発、実用化が進み、バイオベンチャーや製薬企業等、企業規模は関係なく、世界的に競争が激化しております。このような環境下、人財の確保、研究開発費の供給、知的財産権の保護など経営成績に影響を与える多くの要因が存在します。

 なお、当社グループの経営成績に影響を与える要因に関しては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」もご参照ください。

ロ.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フローを、各事業セグメントの成長・強化領域へ積極的に投資するとともに、利益水準に応じた適切な株主還元を行い、一方で、多様な資金調達手段を確保し金融負債を利用することにより、適切な資本、負債のバランスを維持し、財務の安全性と資本の効率性の両立を図ります。

 また、当社グループの手元流動性は十分に確保されており、各セグメントの事業活動、予定している投資活動に支障はありません。さらにコミットメントラインなどのバックアップラインも適切に設定されております。

 なお、上場企業であるタカラバイオ株式会社は、タカラバイオグループの資金の調達、流動性の確保を独自に行っており、宝酒造、宝酒造インターナショナルグループは宝ホールディングス株式会社と緊密な連携を行い、効率的な資金調達、資金管理を行っております。

a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年並みに税金等調整前当期純利益を計上したことに加え、棚卸資産や売上債権が減少したことにより、前連結会計年度に比べ29,101百万円の収入増加の45,478百万円となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出などにより10,474百万円の支出となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出や配当金の支払額などにより22,215百万円の支出となりました。以上の結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ16,056百万円増加しており、現時点でキャッシュ・フローの状況に特段の問題はないと認識しております。

b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資本の財源は、営業活動から得られるキャッシュ・フローのほか、主として社債および金融機関からの借入金であります。当社では安定的な資金調達のため20,000百万円の普通社債の発行登録を行うとともに、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期債格付Aを、株式会社日本格付研究所(JCR)から長期債格付A+をそれぞれ取得しておりますが、当連結会計年度中は発行しておりません。

 また、短期資金の調達のため、当社は同じく株式会社格付投資情報センター(R&I)および株式会社日本格付研究所(JCR)から10,000百万円の発行枠を設定しているコマーシャル・ペーパーの格付(a-1、J-1)をそれぞれ取得しておりますが、当連結会計年度中は発行しておりません。

 さらに、機動的な資金調達および流動性の補完を目的として、継続して融資枠10,000百万円のコミットメントラインを設定しておりますが、当連結会計年度中は借入を行っておりません。

 当社グループは成長・強化領域へ積極的な経営資源の配分と投下を行うことを方針としており、当連結会計年度は、タカラバイオグループでは管理棟の建設や遺伝子治療用ベクター量産プラント導入への設備投資を、宝酒造インターナショナルグループでは海外日本食材卸事業に係る製品倉庫等への設備投資を実施いたしました。当連結会計年度の有形及び無形固定資産の取得による支出は10,618百万円となり、減価償却費を大きく上回る水準となっております。

 当社は、当社の信用力を生かして外部資金を一括して調達し、タカラバイオグループを除く主要な連結子会社に必要資金を貸し付けるとともに、一部の国内連結子会社とはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入するなど、各社の余剰資金を当社へ集中し一元管理することにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ16,056百万円増加の91,785百万円となり、現時点で十分な手元流動性を維持しております。

ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。